Daiwa Investor Relations

企業を探す

企業コード / 会社名
業 種

この条件で検索する

コクヨ株式会社(7984)

開催日:2021年9月12日(日)

説明者:執行役員 理財本部長  梅田 直孝 氏

 

1.コクヨグループについて

・ 私の自己紹介から。テレビ東京の街紹介の番組「アド街ック天国」に出演している山田五郎氏によく似ている、といわれます。私もお店巡りの趣味があります。

・ コクヨは何の会社か、ご存じですか。一番多いのは文具メーカーという認識だと思います。オフィス家具メーカーだと思っている方もおられることでしょう。どちらも正解ですが、実はそれだけではありません。今日はその点についてご説明します。

・ コクヨは今年で創業116年。元々は富山出身の創業者が大阪に出て、和式帳簿の表紙の製造販売を始めたことが発祥です。現在の代表者は創業者から数えて五代目です。

・ 現在コクヨでは柱となる事業領域が3つあります。1つ目がオフィスを中心とした働く空間を構築する「空間価値」ドメイン。2つ目がオフィス用品等を販売店に卸したり、通販事業を行う「ビジネスサプライ」ドメイン。3つ目が国内外で文具を企画・製造・販売する「グローバルステーショナリー」ドメインです。

文具と家具では材料が異なり、これらの3つはバラバラに見えるかもしれません。しかし共通点はあります。それは「はたらく」「まなぶ」「生活する」といった人の生活シーンで使われる環境や道具を提供することで、人の活動の創造性を高めることに関わるビジネスだ、ということです。これがコクヨが世の中に提供していきたい価値です。

・ 事業別構成比について、2020年度は全社の売上高が3,006億円ありました。そのうち空間価値ドメインが最も多く1,447億円、続いてビジネスサプライドメインの1,130億円、グローバルステーショナリードメインが715億円です。合計が全社総計と一致しないのは、ドメイン間の取引があり、全社で消去が発生するためです。

・ 各ドメインについて、空間価値ドメインは、お客様の「はたらく」「まなぶ」「くらす」をより創造的に、快適にするために、オフィス・医療機関・教育機関・官公庁などの家具の製造・販売、空間設計や施工、働き方コンサルティング、個人向けインテリア家具の製造・販売等を行っています。

当社が施工した最近のオフィス事例では、従来のオフィスとはだいぶ趣が異なります。最近のオフィスは、社員の執務スペースに加えて、社員間のコミュニケーションを活発化するスペースが多く採り入れられています。

・ 当社の新製品として、開放的なオフィス内に換気に配慮しつつ、クローズドな環境を構築できる「WORKPOD(ワークポッド)」があります。コロナウイルス禍を受けて急速に拡大したWeb会議の音対応やソーシャルディスタンスの確保等、ニューノーマルな働き方に対応し、安心で快適なワークスペースとしてご好評いただいています。

・ 個人的にインテリア小売事業を展開する「ACTUS(アクタス)」は、コクヨのグループ会社です。コロナウイルス禍の巣ごもり需要の高まりを受け、顧客へのオンライン商談や事前予約制の接客サービス等の営業活動に取り組み、受注が好調に推移しています。

・ コクヨの取り組みの一つに地方の山村でのプロジェクトがあります。四方を山に囲まれ、自然豊かで、四国のチベットとも呼ばれる徳島県那賀町木頭地区。ここを文化の力で奇跡の村として復興させるための「木頭デザインプロジェクト」の中に「未来コンビニ」があります。ここは地元住民と来訪者との接点として、またこの地に生まれた子供たちを未来に繋ぐ場として生まれました。コクヨはこのスペースの建築とインテリアデザインを担当。世界一美しいコンビニと言われ、世界三大デザイン賞の一つ、レッド・ドット・デザイン・アワード2021でリテールデザイン部門ベスト・オブ・ザ・ベストなどを受賞しています。

このように多様化するワークスタイルのニーズに対応することはもちろん、これからの働き方や働く人の暮らし方までを考え、それを実現する環境づくりのための家具、内装、工事、空間デザインコンサルティングまで幅広く事業を展開しています。

・ ビジネスサプライドメインは、文具やオフィス家具に留まらず、オフィスで使われる事務用品全般を販売。必要とされるお客様が便利に購買できる仕組みを構築しています。

お客様のニーズに合わせ、卸売りから通販まで複数の購買チャネルを展開。「カウネット」「べんりねっと」「KiSPA(キスパ)」を構築し、法人・個人向けにサービスを展開しています。

・ 通販事業の「カウネット」では、独自に開発したオリジナル商品・カウコレプレミアムシリーズが特徴的。お客様の声や当社社員のアイデアからユニークな商品を日々生み出し続けています。

その一つが「フリーアドレスバッグ」。文房具や小物類、ノートPCなど、まとめて持ち運べ、展開時も立てて置けるので、デスクワークの時に小物が取り出しやすく、仕切りとしても使えます。その名の通り、テレワークやフリーアドレスオフィスに最適なバッグです。

・ もう一つ「折り畳み集中ブース」です。同じくカウコレプレミアム製品で、広げるとパーテーションになり、集中できる作業空間を簡単に作れます。使いたい時だけ手軽に設置でき、使用後はコンパクトに収納できます。時代のニーズに沿ったアイデア商品として、NHK「おはよう日本」、テレビ朝日「お願い!ランキング」など、多数のメディアに紹介されました。

・ グローバルステーショナリードメインは、国内および中国、インドなど、海外の文具の開発・製造・販売を行っています。文具を通じて、使う人の創造性をかきたて、「はたらく」「まなぶ」「くらす」をもっと豊かにするモノやサービスをお届けする事業です。

その一つがコクヨの最大定番商品であるCampusノートです。1975年に初代のCampusノートを発売し、今年で46年目。現在のデザインは5代目です。材料や機能も非常にシンプルな製品ですが、使う人のニーズに合わせて絶え間なく進化させ続けていることで、学生をはじめとしたお客様に長年お使いいただいています。

・ 定番品だけでなく、常に世の中のニーズに着目し、新しい文具ブランドを開発しており、KOKUYO ME(コクヨ ミー)シリーズもその一つです。これは機能的でありながら、色や素材に変化を持たせ、魅せる・コーディネートするなど、アクセサリーのような価値を提供しています。

・ 今までにない新しい価値提供を目指し、2007年より絵本の出版事業にも取り組んでいます。親子のコミュニケーションと想像力育成を事業テーマに、かおノート、おしゃれノートをはじめとするワークブックやミックス色鉛筆、透明クレヨンをはじめとする画材を製造・販売しています。

・ コクヨは長年、海外市場の成長にも取り組んでいます。日本の文具は高機能で品質がよいと、海外でも高く評価されています。特に中国市場は新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの回復が早期に進み、文具事業も急速に成長しています。

 

2.コクヨの中長期ビジョン

・ 今年2月に長期ビジョンを発表しました。

コクヨが将来に渡りお客様に価値を届け、社会から必要とされる会社であり続けるために、2030年をターゲットとする「長期ビジョンCCC2030」を策定。その上で「森林経営モデル」というビジョンを掲げました。一つの大きな顧客ニーズに注目した1本の大きな木を目指すのではなく、森林のようにそれぞれの顧客ニーズに応える事業をたくさん作る、という考え方です。新たな事業に取り組みつつ、これまでの事業のポートフォリオを新陳代謝させ、2030年にはユニークな事業の集合体になりたいと思います。

多様な事業の集合体に変わるために、新たな企業理念として、「be Unique」を掲げました。グループの強みである顧客への共感力、顧客と共に価値を作る共創力で新たな成長を目指します。そのために2つのテーマを設定しています。

1つが「顧客体験価値の拡張」です。商品の数や種類を広げるのではなく、コクヨのビジネスを通じて、お客様が体験する価値を広げたい、という考え方です。

もう1つが森林の土壌となる部分に当たりますが、「共通資産の活用」です。多様な事業を運営しながらも、効率的に事業を拡げるために、グループ共通の資産をうまく活用していこうと考えています。

・ 「顧客体験価値の拡張」の実現のために、3つの重点戦略テーマを設定しました。

1つ目は「デジタル×アナログ」です。アナログの体験価値にデジタルを掛け合わせ、新しい働き方や学び方を生み出したいと考えています。コクヨのこれまでの商品やサービスは、アナログな体験価値をお客様に提供するものでした。ここにデジタル要素を掛け合わせ、これまでにはない新しい働き方や学び方を作りたいと考えています。

例えば、IoT文具で親子のコミュニケーションを創出する「しゅくだいやる気ペン」です。主なターゲットは小学1〜4年生。低学年のお子様に対し、鉛筆にセンサーを付けて勉強した量を見える化します。ただ量を測定するだけでなく、保護者のスマホのアプリにデータを送信したり、その量により子どもにご褒美が設定されたりします。親子で約束した学習の進捗が共有でき、かつモチベーションを高める仕掛けで、単に勉強量を測るだけでなく、それを親子のコミュニケーションに生かして変えていく。このような顧客体験の提供により、販売開始から2年で約1万4,000本の販売実績を残しており、非常に好評を得ています。

2つ目のテーマは「顧客データ活用」です。これからの働き方や学び方を新たに生み出すために、顧客の活動データを蓄積。具体的にはセンシングで収集したデジタルデータにより働き方を変える実証実験を2021年2月に実施。我々の品川の自社ビルのTHE CAMPUSで実践しています。これまでは文具や家具を購入したら、そこで顧客接点が切れてしまいましたが、その後のお客様のコクヨ製品の利用データを活用し、そこから新たなサービスや商品開発のアイデアに繋げていきます。

3つ目のテーマは「スモールマス」です。すでに顕在化している大きな市場を狙うのではなく、ターゲットを絞り、ニーズを掘り下げ、今は小さくても大きくなる可能性がある新しい市場を作ることです。世の中の変化に伴い新たなニーズは、どんどん生まれますが、これまでのマス市場に取り組むビジネスモデルではなかなか商品化ができません。クラウドファンディングやベンチャー企業の方が新しいニーズを形にするのが得意であるように思われますが、我々も新しい小さなニーズに対応できるような会社になりたいと考えています。

成功事例としては、グローバルステーショナリードメインでも紹介した中国の文具市場の取り組みです。中国の女子中高生向けのかわいい文具市場を創造。単品商品を販売するのではなく、一つのブランドのように女子中高生のニーズに合わせたデザインや機能を利かせた商品を面で展開しています。日本の文具は機能的であるという評価は、以前よりありました。そこに中国の女子中高生のニーズを現地のマーケティングの中から見出し、商品展開し、SNS等で情報していることが、一つのファッションのように受け入れられています。

・ 「長期ビジョンCCC2030」の推進により、2030年に売上高5,000億円を実現したいと考えています。そのために1,800億円の戦略投資を行います。

売上高の内訳は、既存事業のバリューアップで3,000億円。既存事業は大きな成長は望めないものの、収益性をより改善していくことでバリューアップを図ります。さらに既存事業の領域拡大で1,000億円。今取り組んでいるものから市場を広げたり、テーマを増やし、顧客を変えていきます。最後に新規事業の創出で500〜1,000億円と考えています。

戦略投資の内訳は、成長戦略に1,200億円。既存事業のバリューアップに600億円を考えています。戦略投資のうち、M&Aやベンチャー投資に500〜1,000億円を考えていますが、これは中期の経営計画の中で具体的に検討します。

・ 東京の品川オフィスおよび東京ショールームを全館リニューアルし、THE CAMPUSが生まれました。ここは新しい化学反応を生み出し続ける実験・実践の場として、未来の社会に向けたコクヨの熱い思いがふんだんに詰まっています。

この施設は「みんなのワーク&ライフ解放区」をコンセプトとし、これから新規事業をどんどん生み出す自社オフィスとしての機能に加え、コクヨ製品を取り扱うショップやパークやカフェなど、お客様や地域の皆様にご利用いただけるエリアを併設しています。コロナウイルス禍でもあり、オフィス内の見学は、お客様のソーシャルディスタンスを確保するために完全フル営業アテンド制で法人のお客様のみに限定していますが、ショップやパークは予約ナシで見学が可能です。お近くの方は気軽に足を運んでください。

・ 私たちのサステナブルな経営の方向性をステークホルダーの皆様に明確に示し、かつグループ全社員で実感を持って取り組むために、このたび特に注力すべきマテリアリティ(重点課題)を特定しました。「新しい働き方の提案」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「気候危機への対応」「循環型社会への貢献」「自然共生社会への貢献」の5つです。それぞれのマテリアリティとSDGsへの関係も明確に提示し、2030年目標を制定。社内外と対話し、中期目標やアクションプランを詳細化していきます。

・ 特定したマテリアリティに沿って、すでに社会価値向上の活動を始めています。

2006年、コクヨは高知県四万十町大正地区の民有林を「結(ゆい)の森」と名付け、「人工林の再生」と「自然環境と地域社会の再生」をテーマに、間伐材の有効活用を中心とした森林保全活動を始めました。この取り組みでは、2020年10月の持続可能な社会づくり活動表彰や2019年の低炭素杯2019優秀賞、第7回環境省グッドライフアワードの環境大臣賞 企業部門など、多くの外部表彰や評価をいただいています。

・ グループ会社のコクヨ工業滋賀では、10年以上に渡り、琵琶湖のヨシの原生地を保護。新しいヨシ活用について活動してきました。当プロジェクトは、令和2年度気候変動アクション環境大臣表彰を受賞しています。

・ コクヨグループでは2008年版総合カタログから、商品のライフサイクルの「作る」「運ぶ」「使う」「捨てる」各段階において、いずれか一つでも環境配慮が十分でない自社商品について「ECO×(エコバツ)マーク」を表記。それを3年間でゼロにする取り組みを行い、2011年版総合カタログでECO×ゼロを達成しました。2020年版総合カタログでも引き続きゼロを継続しています。

これからもいっそう、環境保全と経済価値向上・社会価値向上の両立を目指します。

 

3.業績推移

・ 2021年度の売上高は3,220億円を目標にしています。

2020年はコロナウイルス禍の影響もあり、売上が落ち込みましたが、空間価値ドメインのオフィスリニューアル需要の確保等を通じ、足元の業績は好調に推移。2021年はコロナウイルス禍前の2019年の水準を上回る見込みです。

・ 2021年の営業利益は、売上高同様にコロナウイルス禍前の2019年の水準を上回る見込みです。新たな需要の取り組みに加え、これまでの付加価値向上の取り組みがお客様に好評で、いち早くコロナウイルスの影響から脱出しつつあります。再び成長軌道に乗せたいと考えています。

 

4.株式・配当情報

・ 株主の皆様への利益還元について、配当性向は40%、および前期比での増配を基本方針にしています。2020年度12月期はコロナウイルス禍の減収減益決算でしたが、長期的にご期待いただいている株主様に報いる観点から財務健全性も考慮し、前期と同額の1株当たり年間39円を実施しました。

2021年12月期は1株当たり年間配当43円を計画しています。また2021年は株主還元の一環とし、資本効率向上の取り組みをスタートさせるべく、自己株式の取得も推進しています。

・ 当社グループは創業以来、創業家から社長を輩出しており、いわゆるファミリー企業のイメージが強いかも知れません。しかし創業家の株式保有持分は約17%と限定的。国内外の機関投資家をはじめ、さまざまな株主様に株式をお持ちいただいています。

・ 当社グループの役員体制は、取締役の構成は社内が3名、社外が4名、うち1名が女性の合計7名です。監査役は社内1名、社外2名、うち1名が女性で合計3名です。取締役、および監査役の過半数を社外の人材が占めており、強固なガバナンスを意識した構成となっています。さらに取締役会の議長は社外取締役の藤原健嗣氏が任命されており、より実質的な取締役会運営に大きく貢献していただいています。

・ 株主優待は、500株以上保有の株主様には3,000円相当、1,000株以上保有の株主様には6,000円相当の当社のこだわりの文具を贈呈。真心を込めて毎年選定しており、それらを説明するパンフレットの制作にも力を入れています。

 

5.まとめ

・ 業績推移は、アフターコロナを見据えたオフィスリニューアル需要等を取り込み、足元の業績は好調に推移。2021年業績は、コロナウイルスの影響を受けた昨年から大きく回復し、コロナウイルス禍前を上回る水準となる見込みです。

コクヨの中長期ビジョンは、2030年をターゲットとする長期ビジョンCCC2030において、売上高5,000億円を目指すことを発表しました。ビジョン達成に向けた具体的な戦略を、第3次中期経営計画として2021年11月頃に発表する予定です。

株主還元は、配当性向40%と継続的な増配を掲げ、積極的な株主還元を実施。中長期な資本効率向上の取り組みの一環として、2021年は自己株式取得を推進中です。

6.質疑応答

Q1. 新型コロナウイルス感染症が拡大し2年近く経過していますが、コロナウイルス禍ではどのような影響がありましたか。またそれにより貴社の事業方針はどのように変化しましたか。

A1. 昨年の初め、コロナウイルス感染症が拡大し始めた頃には、市場が一気に縮小し、特に緊急事態宣言下ではオフィスに出社しない状況になりました。今後オフィス市場はどうなるのかと非常に不安に思いました。

ただ、宣言が明けると、アクリルパネルなど感染症防止対策商品がすぐに売れるようになりました。通販のカウネットでもマスクや消毒液などの感染対応商品が喫緊に必要となったので、我々も確保してお客様に供給していました。

その後のオフィス環境について不安な思いもありましたが、今、どの会社でもコロナウイルス禍が収まっても以前と同じような働き方が戻ってくると考えている人はほとんどいません。今後の働き方は、在宅勤務やサテライトオフィスのようなサードプレイスでの働き方も出てきます。その時、どのような働く環境を提供すればいいのか。明確な答えを出している会社はまだありません。

我々はオフィス環境を通じ、働き方についてすでに何十年も研究してきました。そして、将来的にいつかこういう時代が来るのではないか、と思っていました。それがコロナウイルス禍で一気に早まることになりました。

我々には長年研究を続けてきた一日の長があります。まだまだ研究開発途中ではありますが、今年に入ってからは、各企業から我々にこれからの働き方に対するご相談が一気に集まるようになりました。

新しいビルに新しいオフィスを作るというよりは、「今までのオフィスをリニューアルしたい」「在宅勤務でこれまでの半分くらいしか社員が出社しなくなったから、オフィスを作り換えたい」といった注文が多く、想定以上の状況で好業績を支えています。したがって昨年はコロナウイルス禍で業績が悪化しましたが、今年は新たなビジネスモデルの提供も含め、コロナウイルス禍前を超えるほどの進捗で進んでいます。

ただ、この状態がずっと続くということではないと考えています。ニューノーマルな働き方を見据え、これまでの延長線上ではなく、5〜10年後の日本、および世界がどんな働き方・学び方・暮らし方をしているのか。我々は先見の明を持って実験しながら、事業展開していきたいと思います。

 

Q2. コロナウイルスの影響後の事業方針については伺いました。では業績予想の進捗はいかがでしょうか。

A2. 新社長が5年前に就任し、第一次計画、第二次計画と展開。第二次中期経営計画では、特に昨年はコロナウイルス禍のために非常に大きく落ち込み、二次計画の最終目標を大幅に下方修正することになりました。

ただ今年になってからは、前述の事業環境や事業の進捗により、3年前に掲げた計画には達していませんが、それに近いところで達成できそうです。そういう意味では当初想定していた状況とは異なりますが、第二次中計の計画水準まで進捗しています。

第三次計画は今年11月頃に発表する予定で、現在社内で鋭意検討中です。そちらもご期待ください。

 

Q3. 空間価値ドメインについて、コロナウイルス禍もあり、市場全体ではオフィス需要は縮小していくと思いますが、貴社におけるオフィス需要の考え方を教えてください。

A3. 新聞紙上では、大企業がオフィスの面積を半分くらいに縮小したり、首都圏中心にオフィスの空室率が上昇傾向にあることなどが報じられています。

新規のオフィスビルはここ10年ほど、首都圏中心に非常に活況でしたが、オリンピック前年の昨年をピークに谷間を迎えています。

ただ、大企業がオフィスの面積を半分にするといっても、社員数が減るわけではありません。自宅やカフェやコワーキングスペースのようなサードプレイスで働くようになる。するとそういう場での働き方をどう整備するのか、という新たな需要が出てくるものと考えています。またセンターオフィスを半分にするのも、単に減らせばいいのではありません。在宅などで働いている人も時々は出社するので、執務スペースは半減しても、社員間でコミュニケーションし、関係性を構築するためのスペースがこれまで以上に求められるようになります。そういう場所を新たに作りたいというニーズも高まっており、我々はそれらに対応し、新たなビジネスに繋げていきたいと思います。

単にオフィスの縮小ではなく、多様化する働き方や場所の課題についてソリューションを提供できている会社はまだ少ないので、我々はそこを担いたいと考えています。

 

Q4. 働き方改革などを背景にオフィスのリニューアル需要は旺盛なようですが、どのような業種や地域の需要が多いのでしょうか。

A4. 大都市の大企業中心に働き方改革の需要は始まっています。例えば、昔の職場はできるだけ効率的で安価に作れるのが一番いいという考え方が根強かったのですが、最近の経営者は人材の確保を重視しています。優秀な人材に「この会社で働きたい」と思ってもらうには、オフィス環境も重要です。それだけでなく、人事制度や福利厚生も含めた企業の働く環境自体をいいものにしないと、なかなかいい人材は確保できません。

我々もそういった経営者のニーズに応えるために、単にオフィスをきれいにするだけでなく、よりよい働き方や人材確保に繋がるような環境整備のお手伝いをしていきたい。この流れは首都圏の大企業中心に広がっていきますが、大阪も大阪万博に向け、いろいろなオフィスが供給されていきます。またコロナウイルス禍を受け、オンラインの働き方が広がると、首都圏と地方の差はどんどん縮小していきます。首都圏の動きが日本全体に広がるスピードは、ますます加速するものと考えています。我々はその状況を踏まえ、日本全国にキチッとサービスや商品を展開していきたいと考えています。

 

Q5. 長期ビジョンで新規事業の創出を挙げていますが、どんな分野や事業を想定していますか。

A5. 当社には116年の歴史がありますが、文具やオフィス家具の特に国内市場は、今後大きな成長はなかなか望めないのではないかと考えています。そのためこの分野はバリューアップの形で成長させていきたいと思います。そして、今後もコクヨが社会の役に立ち、企業価値を向上させるためには、新たなニーズを捉えた新たな事業分野を展開する必要があると思います。

ただ、まったく新しい事業を何でもいいから展開すればいい、ということではなく、コクヨのこれまでの強みやブランド、社会から得ている信用を生かせる事業分野で考えていきたい。曖昧な表現にはなりますが、「はたらく」「まなぶ」「くらす」ことにおいて、人の創造性を活性化することを企業の存在価値としているので、その分野で考えていきます。そして過去から築いてきたモノづくりの強みを生かした事業展開を新規事業でぜひやっていきたいと思います。

長期ビジョンは10年の計なので、なかなか具体的なものをすぐに出すのは難しいですが、ベンチャー企業への投資も含め、スモールスタートでいくつかいろんなチャレンジをしたい。その中で株主の皆様にも我々の方向性を説明できる状況にしていきたいと思います。

 

Q6. M&Aで話題になったぺんてるとの状況は今、どうなっているのですか。またその状況をどう打破していくつもりでしょうか。

A6. ぺんてるとの件では株主の皆様や取引関係の皆様にご心配をおかけしました。

我々は日本が誇る文具事業をグローバルに展開したいと考える中で、いろいろな会社との協業を検討していました。コクヨは紙製品が発祥の会社なので、文具の中でも筆記具が弱い。課題も多くありました。また我々はインドでは自社展開していますが、ぺんてるをはじめとする筆記具メーカーは欧米にもビジネスを広げています。我々としては、ぺんてるのような会社と一緒になることで、日本の文具事業をさらに展開できる可能性があるとみて、子会社化に動きました。あいにく思い通りの展開には至っていませんが、戦略の目的自体は変わりません。ぺんてるとも協議を重ね、お互いがwin-winになる関係で中長期的に進めていきたいと考えています。

ぺんてるに限らず、日本の文具事業のために協業できる会社であれば、一緒に取り組んでいいきたい。昨年、ショウワノートとの提携を発表しましたが、こちらは大きなシナジーが得られています。両者のwin-winな関係で業務提携が進んでいます。

 

Q7. 海外事業の売上高はどのくらいでしょうか。

A7. 全社の売上高は3,000億円強ですが、海外事業の比率はヒトケタの後半、10%に満たないところに留まっています。具体的には日本の文具の評価をベースに文具事業の展開を優先的に進めています。文具事業の中では2〜3割を占めているので、他の事業領域よりも先んじており、オフィス家具や通販でグローバル展開するのはもう少し先だと考えています。

 

Q8. 多額の利益剰余金がありますが、株主還元を考えていませんか。

A8. 過去の経営者の努力の成果で非常に厚い利益剰余金があり、財務的には非常に健全な状態です。株主様や投資家の皆様から剰余金の活用について質問もよく受けます。我々もそれは認識しており、経営上の重要な課題として検討しています。

今回長期ビジョンを掲げたのも、IT業界等に比べ業界自体の変化が遅く、中長期の視点を持ち、長い目で見た投資を進めないと成長が難しいと考えたからです。その中でキチッと計画的に投資をし、企業価値を上げることで株主の皆様に報いることが、我々として一番重要なことだと捉えています。

では今後10年間、剰余金は投資に使われるのか、というのではご理解を得にくいところもあると思います。投資を最優先としながらも、株主還元とのバランスをキチッと考え、中長期のコクヨの成長に期待していただけるような状態にしていきたいと思います。そういう意味では、世間並の水準ではありますが、配当性向40%は今後も死守し、さらに向上させていきたい。また投資にすぐ回さないような場合には、今年の初頭に発表したように、自社株買いも機動的に推進していきたいと考えています。

 

Q9. 貴社が強く意識している企業があれば教えてください。その企業と比べた場合の貴社の強みを教えてください。

A9. 我々には3つの事業領域があり、同じような事業をしている会社は実はありません。文具に関しては、三菱鉛筆やパイロット、プラスなど。オフィス家具ではオカムラ、イトーキ、通販では非常に大きな会社ですがアスクルがあります。

我々の強みは、3つの事業分野を我々の目的に沿って進めていること。3事業のシナジーなど、競合他社にはない価値が提供できるものと思います。このような総合力と長年培ってきたお客様のニーズを見極めて商品化する力。これらをますます磨いていきたいと考えています。

 

以上

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

大和インベスター・リレーションズ(以下、「当社」といいます。)はこの資料の正確性、完全性を保証するものではありません。

ここに記載された意見等は当社が開催する個人投資家向け会社説明会の開催時点における当該会社側の判断を示すに過ぎず、今後予告なく変更されることがあります。

当社は、ここに記載された意見等に関して、お客様の銘柄の選択・投資に対して何らの責任を負うものではありません。

この資料は投資勧誘を意図するものではありません。

当社の承諾なくこの資料の複製または転載を行わないようお願いいたします。