近年、日本の株式市場は史上高値圏で推移し、株式投資への関心が広がっています。国内の個人投資家に加え、国内外の機関投資家からも、日本株に対する視線が改めて注がれるようになりました。資本市場がより多くの人により広く開かれる中で、投資家は企業の将来性や姿勢を、これまで以上に丁寧に見極めています。
私はこれまでの証券会社でのキャリアを通じて、多くの個人投資家の方々と向き合ってきました。その経験から実感しているのは、投資家が本当に見ているのは、一時的な話題性ではなく、企業が成長を続けていけるのか、安定した基盤を持っているのか、そしてその姿を誠実に示し続けているのか、という点だということです。
現在、企業のIRが担う責任と役割は、確実に重みを増しています。単に情報を開示するだけでは十分ではありません。その背景や意図、経営として何を大切にしているのかが、投資家に本音として伝わっているかどうか──そこにこそ、建設的な対話を進め、企業価値向上につなげていくための要があります。
東京証券取引所が進める市場改革においても、「日英同時開示」や「IR体制の整備」といった取組みの重要性が、これまで以上に強調されています。これらは形式的な対応にとどまるものではなく、企業が説明責任を果たし、投資家との対話に本気で向き合うための土台であると受け止めています。とりわけ海外機関投資家を含むグローバルな投資家との関係構築においては、言語や情報環境の違いを越えて、企業の意思や方向性を正確に伝えていく工夫が不可欠です。
また、オンラインの活用はIRの可能性を大きく広げています。投資家向け説明会のオンライン開催にとどまらず、IRサイトを通じた情報発信やコンテンツの充実など、時間や距離の制約を越えて投資家と向き合う手段は確実に広がりました。重要なのは、手段の多さではありません。企業の考え方や方向性が、投資家にとって腹落ちする形で伝わる「対話の環境」として、オンラインをどのように磨き上げていくかです。
大和インベスター・リレーションズは、1996年の設立以来、企業と投資家をつなぐ役割を担ってきました。私たちは、IRを単なる情報発信ではなく、企業と投資家の相互理解を深め関係の質を高めていく仕事だと捉え、その支援に誇りを持ち、取り組んできました。
これからも、企業の意図や方向性が正しく伝わり、対話がより実りあるものとなるよう、ともに考え、支え続ける存在でありたいと考えています。大和証券グループの一員として培ってきた市場理解と現場感覚を生かし、資本市場の健全な発展に貢献してまいります。
2026年4月
代表取締役社長
成嶋 真紀