Daiwa Investor Relations

企業を探す

企業コード / 会社名
業 種

この条件で検索する

タカラスタンダード株式会社(7981)

開催日:2024年2月23日(金)

説明者:管理本部財務部長  森本 恭介 氏

 

1.会社情報

  • 当社は、独自の素材である「高品位ホーロー」を使った製品を展開する総合住宅設備機器メーカーです。本社は大阪市城東区、創業は1912年(明治45年)5月30日で、2022年に創業110周年を迎えました。社長は渡辺岳夫、資本金は263億5,600万円、東京証券取引所プライム市場に上場しています。2023年3月期の業績は、売上高が2,274億円と2期連続で過去最高の売上高を更新し、営業利益は109億円でした。従業員数は、2023年3月末時点で6,445名、主な事業内容は、キッチン、浴室、洗面化粧台などの住宅設備機器の製造・販売です。なお、2024年4月1日付けで社長交代の人事を発表しました。現社長の渡辺は代表取締役会長となり、代表取締役社長に、現東京支社長の小森取締役常務執行役員が就任する予定です。
  • 当社はホーローのパイオニアとして、創業以来、ホーローとともに歩み、成長を続けてきました。1912年に、日本初のホーローメーカーとして、当社の前身である日本エナメル株式会社を創設し、ホーローの鍋や食器などの製造・販売を始めました。ホーローはもともと七宝焼などの芸術品に使われていましたが、当社はドイツから技術者を招いてホーローの技術を習得し、家庭用のホーロー製品を生産するようになりました。1957年に、タカラブランドの第1号として、ステンレス製流した台の製造・販売をスタートし、水回り機器メーカーとしての第一歩を踏み出しました。
  • 1962年の住宅建設ブームにおいては世界で初めてホーローキッチンを製品化し、1971年に社名を現在のタカラスタンダード株式会社に変更しました。1973年に東京証券取引所市場第一部に上場し、1980〜1990年代にかけて、浴室、システムキッチン、ホーロー壁装材など、さまざまな製品を開発してきました。1999年に他社には真似できない、浴室のサイズをオーダーメイドで対応する「ぴったりサイズシステムバス」を市場に送り出し、現在においても業界唯一の製品になっています。
  • 2015年に、ホーローのデザインを飛躍的に高めるインクジェット印刷技術の開発に成功し、2016年に、インクジェット印刷技術を活用したホーロー内装材「エマウォールインテリアタイプ」を発売しました。その優れた機能性とデザイン性は、海外でも高い評価を得ています。昨年、2023年8月に、新たにホーロー3Dインクジェット印刷技術を開発し、新製品に展開しています。
  • 企業理念として3つのスタンダードを掲げています。1つ目にLiving Standard(住生活水準)として、より多くの人が心地よい暮らしを楽しめるようにお手伝いをして、全ての人々の住生活の質の向上に貢献します。2つ目にEthical Standard(倫理規範)として、「社会との調和」、「社員の幸せ」、「環境への配慮」を大前提に、持続的な利益成長の実現を目指します。3つ目にQuality Standard(品質基準)として、顧客、社会からの信頼が重要な会社の資産であると考え、製品・サービスの品質向上を全てに優先させます。
  • 当社は、リフォーム市場、集合住宅市場、新築戸建市場を中心に事業を展開し、キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレ、給湯機、ホーロー壁装材など幅広いラインナップで、皆さまの快適な暮らしの実現をお手伝いしています。さらなる成長に向けて、海外市場や非住宅市場での事業育成にも取り組んでいます。

 

2.特徴・強み

  • 当社の独自素材「高品位ホーロー」についてご説明します。ホーローとは、金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けた複合材料です。金属の強さとガラスの美しさを併せ持ち、それぞれの長所を最大限に生かした夢の素材です。身近なホーロー製品として鍋や保存容器、ケトルなどの素材として使われており、皆さまにも馴染みのある素材だと思いますが、当社はそれをキッチンなどの住宅設備機器の素材として採用しています。ホーローは欠けやすいというイメージがあるかもしれませんが、当社は創業以来、研究を積み重ね、他社の追随を許さない高品質なホーローを独自に開発しました。
  • ホーローの品質を高めるポイントは、2つの異なる素材の密着性と、素材そのものの品質です。当社は長年培ってきた加工技術と焼成技術により、高い品質を実現しています。
  • 鋼板や釉薬については、ホーローに最適な鋼板を専門メーカーと共同開発し、色柄・光沢など、製品や用途に合わせた釉薬を独自に配合しています。
  • 「高品位ホーロー」には、お手入れが簡単、湿気に強い、キズに強い、熱に強いという特徴があり、水回りに求められる性能を十分満たしています。また、マグネットが使えるため、調理器具の収納位置を自由に決めることができる、においが染み込まないので快適な空間を作れる、ホルムアルデヒドなどの有害物質を発散しない安心な素材である、高精細なインクジェット印刷技術によってリアルな色柄を表現できる多彩な表現力を備えているなどの特性があり、水回りや住生活に最適な素材であると言えます。
  • ホーローを通して「快適な生活、きれいな生活の実現」に貢献するため、「高品位ホーロー」の特徴を生かしたさまざまな住宅設備機器を提供しています。キッチンや洗面化粧台については、扉やキャビネットの隅々までホーローを使用した他社にはないホーローシステムキッチン「レミュー」や、ホーロー洗面化粧台「エリーナ」などを展開しています。浴室については、湿気やカビに強く、マグネットで自由に収納スペースをアレンジできるホーロー製の壁面や、温かく清潔で美しい鋳物ホーロー浴槽「プレデンシア」などを展開しています。
  • 全国各地に生産拠点を16カ所、物流拠点を10カ所配置しており、消費地に近いエリアで生産を行い、安定供給を実現する、効率的な生産・物流体制を構築しています。物流拠点倉庫の延べ床面積は約6万坪であり、マンションなどの大規模な物件に対応することが可能です。大規模物件に対応できる当社の生産・物流能力は、ゼネコンやデベロッパー各社に信頼をいただいており、新築マンション向けのシステムキッチンや洗面化粧台で非常に高いシェアを獲得しています。新築マンション向けのシステムバスのシェア拡大のため専用シリーズを発売しましたが、大規模物件に対応できる当社の生産・物流能力は、その販売拡大にも役立っています。また、生産・物流拠点を各地に分散して配置することで、自然災害などのリスクを回避できる体制にしています。
  • 事業を展開する各市場に対して専門の営業組織を配置し、きめ細かな営業活動を行っています。リフォーム市場は支社・支店が担当し、代理店・販売店・工務店への営業を行っています。集合住宅市場は直需支社・支店が担当し、マンションを手がけるデベロッパーやゼネコンへの営業を行っています。新築戸建市場は特販支社・支店が担当し、分譲住宅や注文住宅を手がけるビルダーやハウスメーカーへの営業を行っています。
  • 商品を「見て、触れて、納得」した上で購入していただくことが重要と考え、全国に業界最多の約160カ所のショールームを展開しています。また、お客さまが情報収集を行う段階では、WEB検索で興味を持っていただくことが重要と考え、WEBコンテンツを拡充しています。360°見渡せるバーチャルショールーム、VR機能を搭載したカラーシミュレーション、ショールーム予約システムなど、WEBからリアルのショールームへの来場促進を図っています。また、テレビCMで著名なタレントを起用して、ホームドラマのキッチンに当社の製品をお使いいただくなど、皆さまにショールームへお越しいただくきっかけとなるような取り組みも進めています。

 

3.当社の取り組み施策

  • 当社を取り巻く水回り市場の動向についてご説明します。新設住宅着工戸数は、1990年頃の167万戸をピークに、昨年度(2022年度)は86万戸と、約半分に縮小しました。新築市場は人口減少、世帯数の減少に伴い、今後も減少傾向が続くと考えられます。一方で、リフォーム・リノベーション市場は、築15年以上の住宅ストックに支えられ、安定した市場になると予測されます。当社の1990年度の売上高は947億円でしたが、縮小する新築市場を見据え、リフォーム市場での需要を獲得できる商品の開発や販売を行ってきた結果、2022年度の売上高は2,274億円と、1990年度比240%になっています。今後も堅調に推移すると思われるリフォーム市場で、当社の存在感を発揮できるよう努めていきます。
  • 現在の業界シェアは、キッチンは当社が第1位であり、リーディングカンパニーとして今後も業界を牽引していきます。浴室と洗面化粧台はともに3位であり、さらなるシェア拡大に努めていきます。
  • さらなる成長を図るために、商品力の強化とリフォームの取り組み強化が不可欠であると考えています。
  • 商品力の強化として、高精細の色柄を表現できるインクジェット印刷技術の進化により、従来は光沢があることが特徴だったホーローに、焼き物の風合いや金属の錆の様子などをリアルに表現したマット仕上げの質感を再現しました。また、色柄をスクエアな箱型になった扉に立体的に印刷できる、世界初のホーロー3Dインクジェット印刷技術の開発に成功しました。それらの技術をホーローシステムキッチン、ホーロー洗面化粧台、ホーロー内装材に展開し、「高品位ホーロー」のデザイン性の向上を図りました。また、浴室については、浴槽・洗い場のカラーや機能オプションなど、多様化するニーズに応え、幅広い選択肢の中から選べる中高級価格帯のシステムバス「グランスパ」を2022年8月に発売しました。売上も好調で、システムバスの拡販に貢献しています。
  • 新築マンション向けのキッチンは非常に高いシェアを獲得していますが、浴室でもさらなるシェア獲得を図るため、新築マンション専用の浴室シリーズ「リラクシアMPタイプ」を発売するなど、商品力の強化に努めています。
  • リフォームの取り組み強化として、首都圏におけるマンションリフォームの研修施設として、「東京MRe.墨田テクニカルベース」を開設しました。リフォーム前の現場調査方法や納まり知識を習得できるなど、得意先さま向けの技術研修に活用しています。リフォーム市場での売上拡大のためには、当社商品を施工していただくエンジニアの確保も重要です。当社は、施工力増強に向けた当社認定エンジニアの育成拠点として、横浜と大阪にトレーニングベースを開設しました。東日本と西日本の2拠点での運用を開始することで、より多くの受講者を受け入れ可能とし、今後、増加が見込まれるリフォーム需要に対応できる体制を整備しました。
  • 今後の事業領域拡大に向けてパネル事業と海外事業に取り組んでいます。
  • パネル事業については、当社のホーローを用いて、非住宅分野へ事業領域の拡大を図っています。耐久性・清掃性など高い性能が求められる内装・外装に当社の「高品位ホーロー」は最適な素材です。マンションのエントランス、リビングの壁面、駅の外壁や社屋の外装など、住宅・非住宅を問わず、さまざまなシーンで当社のホーローパネルを活用していただいています。新型コロナウイルスの感染拡大以降、多くの人が集まるパブリックスペースにおいて、ウイルス抗菌製品を求める声が多くなったことを受け、「抗菌・抗ウイルス仕様」のホーロー内装材を発売しました。また、外装でもインクジェット印刷技術を使用し高精細なオリジナルデザインを実用化し、2023年1月より受注を開始するなど、デザイン性の向上にも努めています。
  • 海外事業については、水分や汚れ、熱に強いなどの「高品位ホーロー」の特徴を生かし、高温多湿な国が多いアジアを中心に事業を展開し、高い評価を得て順調に売上を伸ばしています。販売代理店の拡大を進め、マンションなどの大型物件への取り組みを強化し、10年以内に海外売上高100億円水準を目指します。また、現地の大型展示会に出展し、海外での認知度向上にも取り組んでいます。2023年12月には、インドで開催されたアジア最大級の建築系展示会「Economic Times ACETECH展」に初出展しました。海外の代理店さまの評価から、当社のホーロー製品は海外でも十分勝負できると感じています。現在は中国、台湾、ベトナムが主要マーケットですが、海外での売上拡大のために海外事業戦略室を設置し、ボリュームの大きいインドなどの国々について市場調査を行っています。

 

4.業績と株主還元の状況

  • 2021年3月期の売上高は、新型コロナウイルスの影響によって、ショールームの閉鎖や現場の遅れなどがあり落ち込みました。しかし、22年3月期と23年3月期の売上高は、リフォームが非常に好調に推移し、また新築も堅調であったことから、2期連続で過去最高売上高を達成しました。当期(2024年3月期)もさらに増収を見込み、3期連続で過去最高売上高の更新を予想しています。
  • 2023年3月期の営業利益は、資材価格の高騰により減益となりましたが、2024年3月期は、昨年度および今年度に実施した商品の価格改定の効果や経費削減の取り組みによって増益を見込んでいます。
  • 2024年3月期第3四半期の売上高は前期比3.9%増の1,794億円となり、第3四半期での過去最高売上高を更新しました。市場別では、新築(戸建と集合住宅)が前期比3.9%増、リフォームが前期比4.5%増と、新築、リフォームともバランスよく伸びました。製品部門別では、キッチンが前期比3.9%増、浴室が前期比6.9%増、洗面化粧台は前期比4.1%増と、主要3部門とも前年を上回る結果になりました。当社のキッチン、浴室、洗面化粧台出荷台数の対前期増減率は、業界(キッチン・バス工業会)を上回る水準で推移しています。
  • 2024年3月期の年間配当金は、中間配当金27円と期末配当金27円を合わせ、昨年より2円増配の年間54円を予定しています。当社は年々増配をしており、配当性向が40%水準となっていることに加え、昨年度に続き今年度も自己株式の取得を35億円実施しており、2024年3月期の総還元性向は80%水準となる見込みです。

 

5.トピックス

  • 2023年8月に発売した新製品をご紹介します。当社のハイエンドモデルであるホーローシステムキッチン「レミュー」とホーロー洗面化粧台「エリーナ」は、ハイクラスゾーンのお客さまをターゲットにした高級価格帯の売上拡大を目指しています。ホーロー3Dインクジェット印刷技術を用いたリアルな木目柄や大胆な濃淡のグラデーションカラーで、これまで以上に高品質で高級感のあるキッチン、洗面化粧台を提供します。「キープクリーンフード」は、10年間、内部のお手入れが不要なホーロー製レンジフードです。ホーローの優れた清掃性と、重厚かつ優艶な、高級感のある意匠の両立を実現したことが評価され、「2023年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
  • 当社は、ESGの取り組みを通じて中長期的な企業価値向上を目指しています。E(環境)として、耐久性が高く、長く使えることからゴミの削減につながるサステナブル素材「高品位ホーロー」を使った製品展開を行うほか、2030年度のCO2排出量削減目標として2020年度比30%削減を掲げ、社屋に太陽光発電設備を設置するなど、環境や省エネルギーへの配慮に取り組んでいます。S(社会)として、こども食堂への寄付や、フルブライト奨学金制度への協賛、こどもたちの心を育てる「こころの劇場」への協賛などの活動を行っています。G(ガバナンス)として、プライム市場上場企業としてガバナンス体制を強化し、IR活動を通じて幅広いステークホルダーとの建設的な対話を実施しています。
  • 当社は俳優の土屋太鳳さんがショールームアドバイザー役として出演するテレビCMを放送しています。今年で5年目になりますが、著名なタレントを起用することによって当社の認知度向上に取り組んでいます。また、近年、当社の最新のシステムキッチンやシステムバスのデザイン性が評価され、テレビドラマの住居のセットとして採用していただくことが増えました。最新機種だけでなく、ロングセラーとなっているセパレートキッチンなど、ノスタルジックな雰囲気も好評で、幅広いシチュエーションで使っていただいています。今後も積極的にメディアへの協力を行い、皆さまの目に触れる機会を増やし、当社の商品を身近に感じていただきたいと考えています。

 

 

以上

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

大和インベスター・リレーションズ(以下、「当社」といいます。)はこの資料の正確性、完全性を保証するものではありません。

ここに記載された意見等は当社が開催する個人投資家向け会社説明会の開催時点における当該会社側の判断を示すに過ぎず、今後予告なく変更されることがあります。

当社は、ここに記載された意見等に関して、お客様の銘柄の選択・投資に対して何らの責任を負うものではありません。

この資料は投資勧誘を意図するものではありません。

当社の承諾なくこの資料の複製または転載を行わないようお願いいたします。