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アステリア株式会社(3853)

開催日:2024年2月18日(土)

場 所:シティプラザ大阪 2階 『旬の間』 (大阪府大阪市中央区)

説明者:代表取締役社長/CEO  平野 洋一郎 氏

 

1. 会社概要

・ 社名について。カタカナなので英語のように思いますが、実はギリシャ語で「星座」。プレゼン画面の背景も星座です。星座は星と星をつなぐことで新しい形や価値を作ります。私たちもそういうことを目指して、アステリアという社名にしました。

私たちのコーポレートカラーはグリーンで、星座の空も緑がかっています。私も緑色のネクタイです。緑色のネクタイを常に締めている上場企業のトップは私を含め3名います。1人は日本電産(ニデック)の永守重信社長。緑色のネクタイを1,200本以上お持ちだそうです。もう1人はユーグレナの出雲充社長。出雲社長は私よりももっと黄緑色の鮮やかな色のネクタイを締められています。トップが常に緑色のネクタイを締めている会社はこの3社だけです。そのうちの1社としてぜひ覚えてください。

・ 当社はIT会社で、東証プライムに上場しています。証券番号は3853。株価は金曜日(2024年2月16日)の終値で615円。投資単位は100株なので、購入1単位は6万1,500円です。

・ 株価の推移について。過去には1,200円を超えた時期もありました。投資は上がり切った会社にするのではなくて、これから上がる会社にするものです。そのために今日は皆さん、ここに参加されていることと思います。

・ 当社は企業向けのソフトウェア開発を行うメーカーです。日本のソフトウェア開発は殆どが受託開発です。一番大きいのはNTTデータ、次にSCSKやユニシスなどがあります。その他、何億円、何十億円という案件受注で企業や官公庁に収めているのが、日本のソフトウェア開発事業の一般的な形です。一方、当社はソフトウェアメーカーです。個別の受託開発を一切行わないのが特徴です。

今、東証プライムに上場していますが、設立は25年前の1998年。会社規模は小さく、連結の従業員数が150名ほど。これからの時代、小さな組織が繋がって、大きなことができるかが大事です。だから「つなぐ」をキーワードにしています。つながって大きなことをやる。自分たちだけで何千人も何万人もいる会社では、紺屋の白袴になりかねない。少数精鋭で行うことが私たちの信念です。

小さいながらもソフトウェア業界をリードしています。上場企業で一番初めにブロックチェーンにコミットしたのは当社です。2015年で、多分まだ、ブロックチェーンが皆さんには知られていなかった頃です。

それからノーコード。一昨年「ノーコード推進協会」を発足しました。企業やいろいろな団体のソフトやコンピュータがノーコードで動かせる。つまりプログラミングを組まなくても指示して動かせるようになります。こういう時代がやってくる。そのために2年前に協会を作り、業界内で推進しています。

さらに働き方ではウェルビーイング。日本の企業の生産性を上げる。長時間働くのではなく、アメリカと同じように短い時間で、生産性の高いことをする。そのためには、体と頭が快適であることが大切です。手を動かすだけのことや長く働けばできることは、ロボットや生成AIでできるようになる。そんなところに人間が時間を費やす時代は終わっていく。これからの時代の大切なのが、ウェルビーイングです。

これまでは働く時間を短くしたり、楽しく働こうとすると、「サボらせられるか」といった昭和的な発想が主流を占めていましたが、それではもう欧米には追い付かない。いかに一人ひとりの生産性や創造性を高めていくか、ということに少人数ながら寄与している会社です。

・ 私自身は熊本の田舎の出身です。熊本といえば、デコポンという有名なミカンがありますが、私はミカン農家の長男です。山の中で、私が卒業した小学校は125年の歴史がありましたが、すでに廃校になっています。そのくらいの限界集落です。

そこから熊本大学に進学し、コンピュータに魅せられ中退し、その後ずっとコンピュータひと筋です。コンピュータバカと言ってもいいくらいだと思います。

2007年にマザーズに、2018年に東証一部(現・プライム)に上場しました。現在は京都大学経営管理大学院の特命教授としてビジネススクールで教えています。外資系にも勤めていたので、世界のソフトウェア事情も理解しており、そこに日本から挑む思いでビジネスに取り組んでいます。

・ 今、DXが注目されています。その中で必ず必要なのがデータ連携です。いろいろなシステムやクラウドがある中で、データを連携する。お客様の名前ひとつとっても、営業システムでもカスタマーサポートでも使えることが大事です。

当社の主力製品の「ASTERIA Warp」はデータ連携のソフトウェア市場でシェアNo.1。しかも圧倒的。半分以上のシェアがあります。さらに17年連続です。製品自体は2002年にリリースし、今年で発売から22年。1万社以上で使われています。1万社というと、上場企業のかなりの数と、中堅・中小企業でも使われていることになります。

・ 取締役会の編成では、社外取締役が特徴的です。私たちは25年前の創業時から社外取締役を入れて編成しており、5年以上前から社外取締役の方が多い。現在は3分の2が社外取締役です。社外取締役を増やせと言われる前から社外取締役の方が多く、お友だち的な人材でもない。その道のエキスパートの方々に加わっていただいています。

私と副社長の北原の2人だけが社内取締役で、その他の社外取締役は、元金融庁長官の五味廣文氏。バブル経済が終わり、銀行が多くの不良債権を抱えた時に日本の金融を正常化させるために活躍された方です。Anis Uzzaman氏は現役のシリコンバレーのベンチャーキャピタリストで、ペガサス・テック・ベンチャーズのCEOです。20以上のIPO(新規公開)を実現。日本語が堪能で日本語で本も出しています。時岡真理子氏は現役のアントレプレナー。連続起業家で、新たなスタートアップを次々と手がけています。オックスフォード大学を卒業し、まずイギリスで起業。その会社を売却した後、今はニューヨーク在住です。新しい会社を興し、幾つもの受賞もあります。そして去年の6月から加わったのが正宗エリザべス氏。元・在日オーストラリア大使館公使です。日本在住歴も長く、日本語も非常にお上手。いくつもの日本の企業に関わっています。私たちがこれから海外展開していく中で、欧米以上に成長率があり、ポテンシャルが高いのが東南アジアとオセアニアです。私たちはその方面での知見が不足していたので、正宗エリザべスさんに加わっていただきました。その時々のテーマに従い、社外取締役に入っていただく。これが私たちの特徴です。

・ ウェルビーイングについて。ウェルビーイングとは楽して働こう、ということではなく、よりよい働き方、より創造性の高い働き方、日本の底力を上げるための働き方です。

新型コロナウイルスが5類に移り、多くの企業がオフィスに人を戻しています。東京でも朝のラッシュが復活。しかし、当社は今でもテレワーク就業率が8割以上です。

実際に、働く場所を選べます。自宅で働くだけではなく、全国800ヵ所以上のリモートオフィスと契約しており、サテライトオフィスとして活用し働くことができます。カフェや図書館などのリモートオフィスやネット上のバーチャルオフィスも選べます。これらの場所から働き方の選択ができる。自分の効率や仕事内容に応じて使い方が選べます。

・ 内閣官房の調査では積極的にテレワークを行った年は、日本全体の生産性が落ちたことがデータに表れています。しかし当社は違います。社員に3ヵ月ごとにアンケートを取っていますが、8割以上の社員がテレワークで生産性が向上したと答えています。アンケートではなく、実際の売上高でみても右肩上がりの度合が高まっています。

このような特徴のある会社です。IT会社なので先進技術をどんどん使います。それを生かし、私たちはこれからの近未来の働き方をすでに実現していきます。

 

2. 中心となるソフトウェア事業について

・ ソフトウェア事業には2つのパターンがあります。日本のソフトウェア業界の上場企業のほとんどが受託開発です。大きな受注をし、その注文書通りに開発し納品します。

ところが皆さんもご存じの海外のGoogleやOracle、Microsoftなどソフトウェア企業は製品開発です。製品開発の方がスケールしやすいからです。1つのソフトウェアを作れば、それを何百社、何千社、何万社で使ってもらうことができる。当社の「ASTERIA Warp」も1万社以上で使われています。このような製品は国内だけでなく、海外でも使われる。だからGAFAM(GAMMA)のような企業が生まれるのです。

1件1件受託開発していたら、1件の受注が10億円でも100億円でも、それで終わりです。しかし日本のソフトウェア企業は受託開発が多い。経営的にも先に受注できるから安心です。投資家も「何億円が受注済」と聞くと安心します。日本はリスクを取りにくい環境なので受託開発が主流になる。製品開発を行っている会社はサイボウズやOBCなど、あまり多くありません。

製品開発の収益モデルは、まだ受注がないところから、何億円、何十億円とかけて製品開発しなければならないので、最初は赤字です。ただ損益分岐点を超えると、開発は不要になる。製品をコピーして販売し、使っていただければいいので、利益額だけでなく利益率も上がります。当社の粗利率は85%を超えています。このようなビジネスモデルが可能なのが製品開発です。

・ ノーコードが私たちの特徴です。ノーコードはプログラミングが不要なことです。これまではコンピュータを動かすにはプログラミングが必要で、そのためのエンジニアが必要でした。しかしそれがいらない。ノーコードでアプリを開発できる。そこまで技術は進歩している。進歩しているのは生成AIだけではありません。

その実例では、ある企業の社長でITを全く知らない人でもアプリが作れる。入社2年目の若手社員でも紙で行っていた倉庫管理をスマホでできるようにしたくて、アプリを開発した。リサイクル工場の工場長が現場の忙しさを解消したくてアプリを作る。そういうことができるのです。

IT人材の不足が叫ばれています。経済産業省の調査では2030年には79万人不足すると言われています。ITコーディネーター制度を作り、50万人のIT人材不足を埋めると言っていたのが2001年です。20年を経て不足人数は増えています。だから抜本的に改革しなければならない。その解決策になるのがノーコードです。

プログラミングをするごとにエンジニアが必要です。そうではなく、エンジニアがいなくてもコンピュータを使えるようにする。これが私たちが2002年からずって手がけていることです。「ASTERIA Warp」もノーコードです。

・ 昔はフローチャートを描いてから、コーディングに落としていました。SF映画などでも黒いコンピュータの画面に現れるシーンがありますね。これが「ASTERIA Warp」では不要。プログラムのフローチャートを書けば、それだけで動く。また、当社のもう一つの製品の「Platio(プラティオ)」では、スマホ上の項目を選んでドラッグ&ドロップするだけで業務アプリが作れる。前述の実例の皆さんはこちらを使っています。

・ 「ASTERIA Warp」はデータ連携を司ります。多くの会社では、人事システムや給与システム、顧客管理システムなど複数のシステムが使われ、社内のクラウドシステムで管理されています。データが連携されていないと、システムごとにデータを抽出しなければなりませんが、システム内のデータが連携すれば使いやすくなります。これをノーコードでできるのが「ASTERIA Warp」です。今、1万社以上で使われています。

・ 「ASTERIA Warp」の実例では、日本郵船では単にデータ連携するだけでなく、輸送に関わるCO2排出量を算出。データを見える化することでCO2排出量の管理がしやすくなります。JR九州システムソリューションズでは人事データを連携。星野リゾートでは社内のシステム管理ツールや分析ツールの連携を「ASTERIA Warp」で行っています。

・ 前述の通り「ASTERIA Warp」は17年連続市場シェアNo.1の圧倒力があります。

・ 「ASTERIA Warp」が強いのはノーコードだけではありません。強力な販売パートナー(代理店)各社が販売を担当。マスターパートナー(AMP)は、NECや富士通、TIS、日立ソリューションズ、SCSKなど、日本中をカバーし、当社よりも知名度の高い会社ばかりです。AMPよりも小さめの企業ですが、サブスクパートナー(ASP)も73社。さらに各企業の課題に合わせたシステム構築支援やアダプター開発をするテクニカルパートナー(ATP)もあります。

このようなネットワークを私たちはエコシステムと呼んでいますが、日本一強い仲間がいることが、高いシェアの理由でもあります。

・ その先に1万社以上のユーザーがいます。第1号ユーザーはソニーで、第2号ユーザーは京セラ。関西では京セラとの繋がりのある企業も含めご紹介などで広がっています。

・ ノーコードモバイルアプリ作成ツールが「Platio」です。作成するには、勤怠管理やクレーム管理、ヒヤリハット記録、工事安全点検など120種以上のテンプレート(ひな形)から業務を選び、自社に合わせてカスタマイズするだけです。

従来はアプリを作るには、何百万円もかけて外注するのが一般的でした。しかし「Platio」を使えば、3日で自社の業務アプリが完成します。

・ 公称では余裕を持って作成日数3日としていますが、さまざまな導入事例では、ほとんど1〜2日で作成しています。しかもそのアプリを社内に開示すると、現場から多くの要望が寄せられますが、それらにも対応。すぐに反映し、バージョンアップして開示できます。このようなことはこれまでのアプリではできませんでした。

これまでのアプリは、スマホに対応するためのAppleやGoogleの審査が1週間くらいかかる。制作を外注していれば仕様書を固めるのにさらに1週間くらいかかる。このような時間が必要でした。

「Platio」はノーコードでかつスーパーアプリ方式です。最近多いスーパーアプリ方式は、PayPayやYahoo!のように一つのアプリの中にいろいろな機能を持つもの。「Platio」も同様で、アプリの中にその会社のアプリがたくさん入っている画期的なものです。

・ 採用しているユーザーは業界問わず多岐に渡ります。

・ 当社はまだ売上は大きくありませんが、次世代のソフトもいくつか提供しています。

一つ目は「Handbook X」。これからの5〜10年は、自律・分散・協調型社会になることが想定されます。中央集権がどんどんゆるやかになる。今でも副業が増えたり、多くのコミュニティができています。一つのところにだけ所属するのではなくなっており、そういう時に役立つ情報共有のツールです。

もう一つは「Gravio」。これからはIoTでいろいろな機器がつながり自動化が進みます。モーターなどの動くものとセンサーなどを繋いでいく。そのためのツールを私たちはすでにリリースしています。

・ これからの時代は今よりももっと変化が激しくなります。直近ではインボイス制度の開始、その前は電子帳簿保存法の施行など、いろいろなモノがデジタル化されています。それについていけないと、いろいろな企業が立ち行かなくなる。それはこれから先もあり得ます。例えば今年の4月からは2024年問題とも言われている、医師や建設業、物流業の残業規制が始まり、デジタル化はどんどん進んでいます。

それに対しどう臨むか。エンジニアが不足したら、何もできずに終わってしまうのか。そうではなくて、ノーコードです。私たちはこれから、本当に必要なところに必要なコンピューティングを届けるための方策を進めていきます。

 

3. 直近の決算について

・ 私たちには2つのセグメントがあります。従来から取り組んでいるソフトウェアセグメントと2019年から始めた投資セグメントです。

ソフトウェアセグメントの第3四半期決算(12月末)は、第3四半期として初めて売上30億円を突破しました。非常に好調です。売上収益は22%増、売上総利益(粗利)は23%増。特に注力しているのは「ASTERIA Warp」のサブスクリプション版。毎月利用料をいただきます。ソフトウェアは以前はライセンス売りで、納品したらその時にお金をいただく形が主流でしたが、私たちは2016年から月額のサブスクに注力してきました。今や一番伸びているのがサブスクで、「ASTERIA Warp」のサブスクが38%増収、「Platio」が58%増収。海外で展開しているデザイン事業は113%の増収です。

一方、投資セグメントは残念なことになっています。一昨年7月に投資先(Gorilla社)がNasdaqに上場。最初は株価も好調でしたが、その後大幅に下落し、単年度でみると大きな赤字になり大幅減益となりました。

アステリア全体でみると芳しくなく見えるかもしれませんが、各セグメントに切り分けて見ていただきたいと思います。

・ 売上収益は第3四半期で31億円を超えており、前期よりも大きく伸びています。ソフトウェア事業とデザイン事業、投資事業の3つの事業のうち、投資事業は利益か損かしかありません。したがって売上はすべてソフトウェア事業とデザイン事業の貢献です。

売上総利益(粗利)の粗利率は83%ですが、ソフトウェア事業だけでは85%です。

・ ソフトウェアセグメントの収益推移をみると、営業利益は前年同期の5倍以上の7億9,100万円。営業利益率は私たちが経営指標としている20%を超え、25%になっており、非常に好調です。

・ ソフトウェアセグメントの収益に投資事業を加えると、Gorilla社の株価が下がったことで41億円の未実現評価損失を計上。これは帳簿上のもので、実際のキャッシュには1円も影響しません。そして円安による金融為替差益等を勘案すると、親会社の株主に帰属する四半期利益は22億円の赤字になります。

・ ソフトウェアセグメントについて。「ASTERIA Warp」のサブスクが38%増。製品売上も新規売上のうち44%がサブスクです。前年同期は31%なので、今後もどんどん伸び、おそらく5割を超えるものと思います。

サブスク商品は安価・低コストで使えます。月額3〜6万円で利用可能。ライセンス商品は納品すれば300万円くらいどんと入るのがメリットですが、月によって売上の増減があり、昔は投資家の皆様にもご心配をおかけしていました。サブスクはそれよりも単価は安いですが、ずっと継続して使っていただける。毎月、利用料が積み上がり、中長期的に確実な売上増になります。

・ 「Platio」は売上推移の角度がさらに急です。2024年問題を間近に控え、人手不足の解消のため、何でもスマホで対応できることがポイントになります。DXやデジタル化と言っても、社員が皆PCの前に座って仕事をしているわけではありません。今、人手不足と言われているのは現場です。立ち仕事の多い現場をデジタル化するには、PCでは対応できません。手持ちのスマホで簡潔に、短時間で、正確に仕事ができるか。これができるのが「Platio」です。

「Platio」は1社月額2万円からですが、高機能ラインも販売しており、顧客単価も向上しています。

・ 財政状態計算書(IFRS)について。当社の貸借対照表です。特徴的なのは自己資本比率が7割であること。非常に健全な経営で、安全な財務状況です。

・ 当社はずっと株主優待を行っていませんでした。それを昨秋、優待制度を新設。保有期間と保有株式数に応じたクオカードを進呈します。多く長く持っていただき、そこに感謝の意を表したいと思います。

また、配当も昨秋、初めて中間配当を実施。創業25周年の記念配当2.0円を行いました。当社は中間配当を別にして安定配当を続けており、減配することなく増やしています。期末配当は未発表ですが、安定配当方針を堅持するつもりです。

・ 本日のまとめとして。当社はソフトウェアの会社です。つなぐソフトウェア、アステリア。アステリアは星座の意味で星を繋ぐ存在です。世の中にあるさまざまな人やシステム、会社。それらの光るモノを繋ぐことにより、新たな価値や形を生み出します。

IT人材不足を解決するノーコード製品を専業で開発しています。そして、株主優待や中間配当などで株主還元にもしっかり取り組んでいます。

「ソフトウェアで世界をつなぐアステリア株式会社」でした。

 

4. 質疑応答

Q1. 2023年度・2024年度は赤字が見られますが、要因は何ですか。

A1. 赤字は投資事業によるものです。投資先のAI関連のGorilla社(所在地:ロンドン)は2022年度にNasdaqに上場。上場時は100億円ほどの利益を計上しましたが、年度末に向け株価が下がり、上がった分の差分が大きな赤字となっています。これは帳簿上の動きで、当社のキャッシュには1円の影響もありません。

第3四半期の決算でも大きな赤字が出ていますが、これも投資事業による評価損の影響です。少し前にソフトバンクグループが大きな赤字を出しましたが、それと同じ状況で、非常にご心配をおかけしていますが、実際の会社の運営上には問題ありません。

 

Q2. 優待を新設され御社への期待度が高まっています。今後の株主還元や配当性向についてどのようにお考えですか。

A2. 優待は設定したばかりなので、しっかり継続し、皆様の期待に応えたいと考えています。配当性向については、安定配当を旨とし、減配することなく、累進的に上げていきたいと思います。その場その場の利益を元にすると、投資事業で赤字が出ると無配になるのか、という話になりますが、そうではありません。祖業であるソフトウェア事業は安定的に利益が出ているので、当社単体を考えてやっていきたいと思います。連結になるとデザイン事業や投資事業の子会社も関わります。こちらも含めるとご心配も多くなるので、配当に関してはアステリア株式会社単体で、安定的に実施する方針です。

 

Q3. 赤字決算脱却の具体的な対策を教えてください。

A3. Gorilla社は上場時に100億円の価値がありましたが、株価が急落。今は20億円の価値もありません。ここから先に落ちようもなく、また計算上のことです。とはいえ株価の上下は不安材料になります。同社はすでに上場しており、当社とのロックアップも切れています。よきタイミングで処分したいと考えています。

過去の例でデザイン事業を取り上げられることがあります。デザイン事業もプロジェクト型なので、儲かる時とそうでない時があります。そこで、あまり依存度を高めないようにしています。極論すれば、投資事業とデザイン事業がなければ、ソフトウェア事業で右肩上がりなのは間違いありません。そこをうまくマネジメントすることが、経営として課せられている課題だと考えています。

 

Q4. 製品説明からデータ連携が強いと思いましたが、国や各自治体の安定稼働向けに、縦割りの弊害や解決に有効ではないかと思います。今後の導入促進では公共組織への取り組みはいかがですすか。セキュリティの課題にはしっかり対応できますか。

A4. 公共の縦割り問題。実際にデータ連携ができずに、新型コロナウイルスのワクチン供給が遅れた問題がありました。そのためデジタル庁もデータ連携に注目しています。ところが世の中には、新しいモノに対する抵抗勢力があります。例えば、地方を繋ごうとすると、地方のシステムインテグレーターが声を上げる。当社はノーコードで開発できるので、エンジニアが不要になる。現在の10分の1程度で済みます。そうすると、地方では雇用問題が出てくる。その辺りのせめぎ合いがあり、これまでの導入事例や事実を示しながら、攻めていくことが必要です。

例えば当社は熊本県の小国町を支援しています。職員70名の町で、これまでのシステム開発では予算を通し、1〜2年かけて導入していたことを「Platio」を導入し、スマホだけで対応。1年に5個も10個もシステムが作られるようになりました。その成果により日本DX大賞も受賞しています。

業界内の抵抗勢力はあるものの、このような実例を示し、自治体側から歓迎される環境を拡げたい。それが日本のデジタル化を進める肝になると考えています。

日本のデジタル競争力の世界ランキングは30位。毎年低落しています。特定の企業だけでなく、社会のインフラを変えないとかなりまずい状況です。そこに力を振り絞っていきたいと考えています。

 

Q5. 米国のソフトウェア企業のような製品開発型のビジネスモデルで、今後勝ち残るために何が必要だとお考えですか。

A5. 勝ち残るための1番は人材です。それもクリエイティブな人です。手を動かす人や同じことを何回もできる人はAIやロボットでできるようになる。20%残業すれば、20%生産数は増えますが、生産性ではありません。率は上がりません。

日本で本当に生産性が高まらないのは、クリエイティビティの問題です。皆、真面目に働き、サボっているわけでもないのに、欧米に比べ生産性が低いのは、クリエイティビティが低いから。ここを上げる必要があります。

そこで私たちは生産性よく、クリエイティブに働ける人材を確保し、それをソフトウェアに反映させる。そのソフトウェアを使う人が増えれば、生産性をコピーできます。これが受託開発ではない、ソフトウェアの製品開発の最大のメリットです。

もう一つはグローバルであることです。日本だけでビジネスしていても、マーケットが相対的に小さい。私たちが創業した25年前、日本市場は世界の10%くらいを占めていました。ところが今や世界における日本のソフトウェア市場は5%もありません。日本のソフトウェア市場が小さくなっているわけではなく、世界がどんどん伸びているからです。だから「ASTERIA Warp」はデータ連携のソフトウェア市場でシェアNo.1ですが、世界に打って出て勝ち残らなければ、最終的に勝ち残れないと考えています。

以上

 

 

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