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株式会社クボタ(6326)

開催日:2023年12月15日(金)

場 所:シティプラザ大阪 2階 『旬の間』(大阪府大阪市中央区)

説明者:代表取締役社長  北尾 裕一 氏

 

1.クボタグループの概要

  • 創業は1890年、本社は大阪市浪速区にあります。昨年の売上高が2兆6,788億円でした。時価総額は約2兆4千億円です。これまで農業機械、食料・水・環境関係の製品開発をしてきましたが、今後はソリューションの提案をしていきたいと思っています。
  • 当社は各時代で、事業を通した社会課題の解決により、価値の創造に取り組んできました。創業者の久保田権四郎は当時15歳で広島県の因島から大阪へ出て、鋳物工場で働き始めました。当時はコレラなどの伝染病がはやっていました。水は井戸からくむという不衛生な状況で、何とかこれを解決したいという思いで、鋳鉄管を開発・製造しました。それが今の水道のシステム、社会インフラのシステムを作りました。
  • 戦後には、日本の食糧難に対して、機械化を進めて生産性を上げようと、トラクタやコンバインの開発をしました。高度成長期では、環境汚染が非常に大きな問題となりましたが、当社は環境事業に進出し、下水処理や焼却・溶融、産業廃棄物の処理などの事業に取り組みました。
  • 近年では耐震性に優れた耐震管という鉄管のパイプを完成させました。阪神・淡路大震災以降の大きな地震が起こっても、弊社の鉄管は壊れることなく、水道インフラを支えています。また、最近の農業分野での人手不足と後継者不足を解消するため、農業機械のロボット化、自動運転、スマート農業などに注力しています。
  • グローバル事業では、アジアの農業機械化や世界の水インフラの整備にも取り組んでいます。1960年頃から、われわれが日本で構築した水道システムを、カンボジアやミャンマー、中東にも展開し、各国の水道インフラシステムに貢献しています。
  • 弊社の製品群を紹介します。基本的には「食料(農業関係)」「水」「環境」に関わる領域で事業を展開しています。セグメントは「機械」「水・環境」「その他」で構成されています。
  • 機械事業は、農業機械や農業関連商品、エンジン、建設機械などを取り扱います。トラクタ、インプルメント、コンバイン、田植機、北米で使われている運搬車でハンティングなどのレジャーでも使われるユーティリティ・ビークル、小型の建設機械、トラックローダーと、それらを支えるエンジンなどがあります。産業エンジンのうち、100馬力以下のディーゼルエンジンは特に強いシェアを持っています。
  • 水・環境事業には、パイプシステム事業、産業機材事業、環境事業があります。パイプシステム事業では、ダクタイル鉄管(鋳鉄管)やポリエチレン管などの合成管のパイプ関係と、それを制御するバルブを取り扱っています。産業機材事業の素形材の中では、石油化学プラントで使うエチレンを生成する時に使われる反応管を取り扱っています。他にも、建設現場等で使われる鋼管杭、工場やビルで使われている空調機器もあります。環境事業では、人々が安心・安全に水を使えるようにするために、膜を使った水処理プラント、いわゆる下水処理場に関するいろいろな製品、またそれに使われるポンプ等を製造しています。また、浄化槽という下水道の未整備地域で使う水処理装置や、ごみ焼却や溶融プラント、リサイクルプラントなどを手掛けています。
  • クボタグループの事業は、主に機械事業と水・環境事業で構成しています。最近は欧米を中心に、海外での機械事業が大きく成長しており、機械事業だけで売り上げの86.9%を占めるようになっています。水・環境事業は、国内の事業が中心です。
  • 機械事業は、海外の売上高比率が77.5%です。世界120カ国以上で事業を展開しています。地域別の比率では、北米が一番大きく41.1%です。
  • 直近10年の売上高の推移から、海外売上高が非常に大きく伸びているのが見てとれると思います。
  • 「数字で見るクボタグループ」では、製品の強みを数字で表しています。
  • 機械事業では、農業用トラクタは、世界累計で540万台以上を生産しています。北米では、農業よりも草刈りや土木作業で使われており、40馬力以下の小型クラスではトップシェアを取っています。エンジンは約3,700種類のラインナップを誇っています。エンジンの総生産台数は3,000万機以上で、厳しい排ガス規制にもいち早く対応することにより、顧客の高い信頼を得ています。100馬力以下の産業用ディーゼルエンジンでは、世界でトップシェアを取っています。またアジアについては、タイのトラクタ市場で圧倒的なシェアを有しています。ASEAN地域のコンバイン市場でも、8カ国合計でNo.1のシェアです。タイのトラクタ市場では、8割ほどのシェアを取っています。タイとASEANに進出して50年以上がたちます。北米も1970年代に海外拠点を造り、グローバルに事業を展開しています。
  • 建設機械について、われわれの建設機械は6t未満の小さいもので、住宅や市街地で土木作業を得意とするミニバックホーがあります。この販売台数は21年連続世界第1位です。水・環境事業では、水道管に使われているダクタイル鉄管は、世界70カ国以上に納入実績があり、国内でも6〜7割という圧倒的なシェアを占めています。水処理を行う液中膜も、世界7,000カ所以上で納入した実績があります。安全でおいしい水を届けるために欠かせない、国内高度浄水処理施設におけるクボタ処理装置は、約80%以上の施設で使われています。地上数メートルと、地下数メートルで、クボタは社会のインフラを支える製品を販売しています。普段は皆さんの目に留まることはあまりありませんが、しっかりと社会を支えていると自負しています。
  • 最近では当社のサステナビリティへの取り組みが非常に高く評価されています。CO2の削減は、2030年時点で2014年比50%削減を目指して、今、取り組んでいます。現在は23.6%削減するところまで来ています。その他、MSCIやDJSIなどの評価機関から、ESGへの取り組みを高く評価いただいています。
  • 国内外のESGインデックスの組入銘柄として採用されています。

 

2.クボタが目指す姿と長期ビジョン「GMB2030

  • 2年前に長期ビジョン「GMB2030」を設定しました。GMBとはGlobal Major Brand(グローバルメジャーブランド)として、売り上げや利益で世界のトップを狙うとともに、お客様から最も多く信頼されることによって、最も多くの社会貢献をする企業を目指します。
  • 現在、世界は環境問題や自然災害、人口問題、資源問題などいろいろな課題が複雑に絡み合っています。このままの社会のあり方では、未来にわたってサステナブルに続けていくことができないという危機感が、世界中で強くなっています。世界的なトレンドとしてある資源循環やカーボンニュートラルは、当社でも大きな課題として、取り組んでいます。弊社は食料、水、環境を事業基盤として発展してきた会社です。食糧不足、水不足、水害対策、インフラの老朽化、人口増加と都市化の急速な進行、都市インフラの老朽化などに真摯(しんし)に取り組んでいこうと考えています。こうした考えの下で策定したのが長期ビジョン「GMB2030」です。
  • われわれが目指すところは、「豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”」になることです。プラットフォームとは、普段何気なく使っているもので、iPhoneなどもそうですし、われわれが1890年、130年前に作った水道管の社会インフラシステムもそう言えると思います。これまでのわれわれの技術プラス、最近のITやDXを使って、いかに社会課題を解決するかをテーマにして、“命を支えるプラットフォーマー”としました。われわれは土の上、下でいろいろと泥臭い経験をしてきた会社です。このような当社が持つ過去のいろいろなデータを生かして、社会課題を解決して、付加価値を高めていきたいと考えています。
  • ビジョンを実現するための新たな取り組みは3つあります。1つ目は「食料の生産性・安全性を高める」ことです。日本の農産物の自給率も低くなっていますが、これをいかに支えていくか。2つ目は、「水資源・廃棄物の循環を促進する」ことです。これまでのように廃棄処理するだけではなく、いかにエネルギーや鉱物資源を循環させていくか。3つ目は、「都市環境・生活環境を向上させる」ことです。住みよい都市づくりに貢献していきます。もちろん既存事業もさらなる拡大を図り、より地域社会に適合した事業、製品、サービスの充実に努めています。
  • これらの取り組みを支えるために強化すべき事業基盤として、「イノベーションを生み出す体制構築」「体制強化に根差した投資の実行」「グローバル経営と人材活用」「デジタルトランスフォーメーション」「モノづくりの効率化を基軸とした経営効率の向上」「総合企業価値に基づく経営」に取り組みます。
  • 長期ビジョン「GMB2030」を実現するための倫理・行動規範として、K-ESG経営を標榜しています。われわれは事業を通じて環境などの社会課題の解決を目指します。食料・農業の関係、水・資源循環の課題を、事業を通じて解決をすることが、一つのわれわれの思いです。そして、研究開発投資をして、イノベーションで課題解決の実現を支えていこうとしています。投資家の皆さまを含めた全てのステークホルダーの共感・参画を得たいと思っています。中・長期視点で多様性のあるガバナンスにより取り組みが持続可能なものとなるよう、今、取締役会でも議論をしているところです。

 

3.中期経営計画2025の概要

  • 財務指標について、2025年12月期に売上高2兆3,000億円を目標と設定していましたが、昨今の経営環境を踏まえ、売上高は3兆円、営業利益は3,600億円、営業利益率は12%と上方修正しています。本中期経営計画では資本効率の重視、株主還元の強化も掲げています。ROEは10%以上を維持し、2025年には11%以上となることを目指しています。総還元性向40%以上を目標とし、さらに50%を目指したいと思っています。キャッシュフローは5年度累計で8,800億円、フリーキャッシュフローは5年累計で2,800億円を目標としています。
  • 今期の売り上げ予測は、11月の第3四半期の決算発表で公表した、2億9,500億円、営業利益が2,950億円です。
  • 中期経営計画2025の骨子について、長期ビジョンを実現するための足がかりとして、5つのメインテーマを推進しています。「次世代を支えるGMB2030実現への基礎作り」「既存事業売上高の向上」「利益率の向上」「持続的成長を支えるインフラ整備」です。これらのテーマの土台となる「ESGを経営の中核に据えた事業転換」を図ろうとしています。

 

4.中期経営計画2025の進捗状況

  • 今後成長が見込める事業について紹介します。
  • 1つ目は、北米の建設機械事業です。売り上げ・シェアは右肩上がりに伸びています。特に運搬を中心とした建設機械であるコンパクトトラックローダは、大きく成長し、事業の半分を占めるようになりました。昨年はモデルの生産を一部日本からアメリカへ現地移管しました。工場を造り、生産能力の増強、リードタイムの短縮を図っています。また、フルモデルチェンジをすることによって、ラインナップの拡充にも努めています。
  • 建設機械事業全体の売り上げは、リーマン・ショックで落ち込み、2010年には1,000億円に満たなかった売上高が、2022年には5,000億円を超える大きな事業に成長しています。2023年10月に発表しましたが、住友建機株式会社と、中型建機のOEM供給に関する検討を開始しました。売上高全体では、2028年には1兆円を目指していきたいと考えています。これぐらいの数字になると、大手建設メーカーと対等な売り上げになっていくのではないかと考えています。農業機械に次ぐ、大きな柱に成長させていきたいと考えています。
  • 2つ目は、成長市場のインドです。昨年、連結子会社化したローカルメーカーのエスコーツ・クボタ(Escorts Kubota Ltd)をベースに、生産開発のシナジーを生かして、トラクタの最大市場であるインドに進出しようとしています。インド市場では、トラクタの年間の需要が約100万台になると予想されています。(日本は3万5,000台ほど)。この大きな市場でしっかりとやっていくために地盤を固めています。既に合弁工場を立ち上げ、生産を開始しています。販売名はクボタブランドとエスコーツブランドで、ベーシックな機械から高級機までをそろえて、全てのお客様にアプローチしていきたいと考えています。目標は、現在、両社を足して12万〜13万台の生産を、25万台まで上げて、シェアを拡大していきたいと考えています。
  • インドを輸出拠点として、海外に進出したいとも考えています。特にこれから農業の機械化が起こることが予測されるアフリカは、大きな成長市場と考えています。しっかりと輸出を進めて、事業を拡大したいと思っています。また、トラクタだけではなくて、コンバインや建設機械、エンジンなどのインド生産を検討しています。これによって、事業拡大を図りたいと思っています。
  • 3つ目の成長ドライバーは、ASEANの機械事業です。これから成長著しいといわれているASEAN地域は、農機だけではなく建設機械も今どんどんと市場が伸びています。農機は、水田だけでなく、畑作市場にも進出しようとしています。
  • 4つ目は、機械のアフターマーケット市場です。われわれの純正部品だけでは売り上げが少ないため、アフターマーケットをどうやって取っていくかについて、今、検討しています。
  • 5つ目の成長ドライバーの推進は、水・環境ソリューション事業です。機器売りといわれる製品単品の販売から、ソリューション中心の事業への脱皮を目指しています。今、大きな問題になっているのは、各自治体で専門職がどんどん減っていることです。その問題に、われわれ民間の活力を利用した、官民連携のPPP案件や、ビルド・アンド・オペレーション、メンテナンスなど、トータルに取り組んでいこうとしています。今、売り上げが着実に増えているところです。上下水道などのインフラ施設では、民間活力がこれから大きなポイントになってくると考えています。上水下水における製品、技術、サービスの総合力を生かして、水のトータルソリューション企業として、事業を拡大していきたいと考えています。
  • 大阪市や岡山県備前市などでPPP案件の国内導入事例があります。案件をしっかりと取っていって、貢献していきたいと思っています。
  • 利益率の向上を目指し、「利益率の高い分野の着実な伸長」「利益が出る体質づくり」「事業運営の徹底的な効率化」を進めていきたいと考えています。中計でも数値目標を立てて、しっかりと進めています。
  • 持続的成長を支えるインフラ整備について。コロナ禍の3年で、サプライチェーンの混乱がありました。安定供給や海外生産比率50%に向けて、生産体制の見直しも進めていこうとしています。日本での集中生産によるリスクを軽減するため、地産地消を進めるため、今、各地の生産拠点を増やしています。
  • 積極的なM&Aにも取り組んでいます。農業の全体ソリューションを提供するためには、パートナーが必要です。インドのEscorts社や、欧州の大きなインプルメントメーカーであるクバンランド社、アメリカの大きなインプルメントメーカーであるグレートプレーンズ社を買収しました。ROC社、Fede社など直近で買収した会社もあります。さまざまな企業を買収しながら、農業全体のソリューションを提案していこうとしています。

 

5.設備投資、研究開発

  • 本中期計画5年の間に、6,000億円の設備投資を計画しています。2022年、大阪府堺市にグローバル技術研究所を発足させました。およそ800億円をかけて、34万平米の土地を購入し、世界一大きいと自負している開発拠点を造りました。また、北米では建設機械の新工場を立ち上げ、生産能力増強と製品供給のリードタイム短縮を図っています。インドでは、さらなる工場の拡張を計画しているところです。
  • 主な設備投資の内訳は、堺研究所が25%、増産・合理化が15%、ITが15%などとなっています。生産の安定化を図り、中・長期的なビジョンに従って投資をしっかりと進めています。
  • 研究開発投資は、2025年までの5年間で5,000億円の投資を計画しています。基盤技術や先端技術の強化、またカーボンニュートラルに向かって電動化や水素燃料、燃料電池、資源循環等いろいろな取り組みを模索しているところです。これらの分野に積極的に研究開発投資をして、短期、中・長期のバランスを考慮しながら、外部との連携も考慮しながら進めているところです。
  • フランスやタイ、アメリカにも技術研究所を設けています。国内での研究開発体制が中心です。製品のコアになる技術は日本で開発して、アプリケーション的なところは現地で開発するという、グローバルな研究開発体制を、今、構築して進めているところです。世界6極で研究開発が効率よく機能するようにしています。
  • 研究開発の基盤技術のうち脱炭素化について説明します。電動化やハイブリッドはもちろんのこと、水素エンジンも研究しています。また、社会の温室効果ガスの排出削減のため、農産物分野での技術開発にも注力しています。日本のCO2排出量10〜11億トンのうち、農業由来の排出量が5,000万トンほどになります。そのうち、田んぼから出るメタンガスが約1,000万トン、肥料残渣(ざんさ)から出てくるものが約1,000万トン、農業機械からは200万〜300万トンぐらいです。こういう農業由来のカーボンニュートラルを目指して、研究を進めているところです。
  • スマート農業、オートノマス化について、自律・自動化の運転技術の開発にも注力しています。機械の自動化だけではなく、営農サービス支援として、ベテランの農業経験者が減る中、新規就農者に対して営農のノウハウをITシステムに盛り込んだKSAS(クボタスマートアグリシステム)を開発しました。システムに営農情報を入れて、新規参入者でもすぐに農業ができるような体制を作ろうとしています。
  • 資源循環技術をディープリサイクルと呼んでいます。残渣やゴミ、下水汚泥から、例えばリンを回収してそれで肥料を作ったり、溶融炉から金銀銅などのレアメタルを回収したりするなど、こういう技術の開発にも注力しています。また、残渣物からバイオガスを作って、バイオ液体の肥料に転換するなど、さまざまな大学や機関と連携して共同研究を進めています。
  • その一環として溶融炉という、高温で廃棄物を溶融して、減容化する技術があります。ご記憶にあるかもしれませんが、香川県豊島・直島での産廃問題が大きく注目されました。そこで、弊社が溶融炉を造って、20年かけて産廃を減容化して、きれいにしました。また、東日本大震災で問題になった汚染物質の減容化のため、福島県双葉町に溶融炉を造って、減容化処理を進めています。

 

6.スマート農業の実現に向けた取り組み

  • KSASは、種まきから、苗植え、肥料の管理、収穫までを一気通貫で結んでいます。今、コンバインで収穫した稲は、収量はもちろん、タンパク質、水分を全てデータで取ることができます。これをフィードバックして、翌年の計画に生かし、肥料や防除の減少につなげます。また、ドローンを飛ばしてモニタリングしながら、稲の生育を観察します。新規参入者でも効率よく農業経営できるシステムです。現在、導入ユーザーは約2万1,700軒以上で、日本の水田の10〜15%で普及しています。これをしっかり活用して、日本の農業を支えていきたいと思っています。
  • 2023年6月、世界初の無人自動運転で、米や麦の収穫が可能となるコンバインを発表しました。監視者を1人置き、監視者がボタンを押して、スタートさせます。GPSやカメラを使いながら、特に人の安全面に気を付けています。万が一、稲刈りの最中に人が出てきたら止まるという安全なシステムを搭載しています。人と鳥をどう区別するかに苦労しました。AIを使ってカメラ性能が良くなってきたため、それを活用しています。コンバインだけではなく、トラクタ、田植機もそろえています。安全面にもきちんと対応しています。

 

7.その他財務情報

  • 総還元性向は40%以上を目標として、50%を目指します。昨年は46.4%でした。配当も毎年増やしています。弊社は、業績が悪くてもきちんと還元できるような配当政策を取っています。
  • 今期の業績見込みは、2023年11月の決算発表で示したように、過去最高の売上高、営業利益をクリアする見込みです。
  • 株主の皆さまと交流するため、2022年10月には岩手県花巻市でブドウの収穫体験とワイナリーの見学会を楽しんでいただきました。クボタファームで栽培しているブドウを原材料で使用していただいているワイナリーです。弊社は農家の皆さんにお世話になっているため、全国の農産物を集めて、通信販売しています。また、2023年3月には、北海道北広島市に「KUBOTA AGRI FRONT」をオープンいたしました。。農業の重要性や楽しさを学んでいただく目的で、未来について一緒に考えていく場として、小学生や中学生に、農業や経営を知ってもらうことができます。今まで多くの来場者があり、非常に好評です。1階では、未来の先進農業を見せるために、イチゴやレタスを栽培しています。自動運転農機で収穫したり防除したりするところが見られるようにしています。植物工場では、コンテナの中でレタスを栽培しています。このように未来農業を体験していただく場を造っています。ぜひ皆さま方にお越しいただいて、これからの取り組みをご覧いただければと思います。

 

8.質疑応答

Q1. 海外売上高比率が8割弱ありますが、為替変動が業績に及ぼす影響はどの程度ですか。

A1. 弊社の海外売上高は8割と、非常に伸びています。一方で、海外拠点の生産比率はまだ4割以下で、日本からの輸出が多い状況です。為替感応度は、1円動くと、USドルでは約30億円、ユーロでは約10億円となり、為替に影響されています。今年は円安でプラスに働いていますが、将来的には為替変動に左右されない事業体制を作っていきたいと思っています。

 

Q2. 建設機械を農業機械と並ぶ柱にすることを目指していますが、建設機械の成長を支えているのは主に北米ですか。北米以外で伸びている国・地域はありますか。

A2. ミニバックホーという小型の建設機械を投入して、50年以上たちます。ヨーロッパ市場が一番強くて、今まではここで市場をしっかりと作ってきました。それをアメリカに展開し始めました。さらにコンパクトトラックローダという運搬車を10年前に投入して、これが非常に伸びています。今の北米は、バイデン政権のインフラ投資でインフラ需要が高まり、毎年、市場が110〜120%以上伸びています。非常に有望な大きな市場だと考え、工場を造りました。 次いで、ASEANやインドが大きな市場です。ASEANでも建設機械を導入して売れ始めています。タイを中心にいろいろなインフラ投資が進み、都市化が進んでいます。弊社の小型建設機械は、住宅の着工建設などで使われ、今後も成長すると考えています。また一部は農業市場でも使われています。これからはASEANやインドで伸びていくと見ています。

 

Q3. 海外戦略について伺いたいです。インド進出は最近見ましたが、狙っているのはどの地域でしょうか。

A3. インドは非常に大きな有望な市場になると考えています。今、Escorts社を買収してシェア拡大に取り組んでいますが、今の事業は弊社全体のうち5%ほどに当たります。これが成長して、3倍、4倍になるのではないかと期待しています。一番考えたいのはインドからの輸出です。安価で競争力のある製品を作ることによって、これから伸びるアフリカと同時に、安価な機械を望む客層が増えてきている欧米でも、しっかり出していく。欧米はもともとわれわれの販売ネットワークが非常に強く、特にアメリカでは、100馬力以下でトップシェアを誇ります。そのネットワークを使って、安価な機械も提供していきます。人口増加が起こる国では必ず伸びていくと考えています。

 

Q4. 研究開発拠点を世界各地に設けていますが、開発体制、開発方針、開発面での特徴や優位性などはあるのでしょうか。

A4. やはり日本製品の品質や耐久性は、どこの国でも評価されています。弊社の小型トラクタ、建機なども耐久性や品質の信頼によって、マーケットを開拓してきました。これをしっかりと肝に銘じてこれから進めていく一方、インドでの安価なサプライヤーネットワークを使って、いかに安く造っていくか、品質を高めていくかが、一つのポイントと考えています。 研究開発も自前だけでは限界があります。私は3階建てストーリーと言っていますが、1階が現行の事業の開発部門、2階に5〜10年先の先行研究開発である研究開発部門があり、3階でイノベーションセンターといってわれわれが直接手を出さない周辺の技術や事業に、買収したり出資したりして取り組んでいます。3階建ての力を使うことによって、将来、われわれが食料、水、環境の事業領域で必要な技術を手に入れて、それを具体的に1階に下ろして製品化する。単なる製品販売ではなく、KSASなどのITの基盤作りや、水関係のクボタスマートインフラシステムを活用して、社会課題にトータルなソリューションを提案できるよう、今、かじを切っています。将来、しっかりこの事業を伸ばしていきたいと思い、進めているところです。

 

Q5. 日本国内では農業従事者が減少して、市場の成長余地は限られていると思いますが、国内での成長はどのようになりますか。また、そういう中で、果たすべき役割を教えてほしい。

A5. 国内の人口減は避けて通れないと考えています。われわれは、食料や農業に関わるメーカーとして、食料増産や効率化、人手不足を補うために、スマート農業を一つの柱にしていこうとしています。また、耕作放棄地の問題もあります。全国に40万ヘクタールという、茨城県1県ほどの土地が耕作放棄地となっています。そこを再生するために、ほとんど手弁当で取り組んでいるプロジェクトがあります。また、クボタファームを運営して、一緒に農業に取り組んでいこうとしています。 兼業農家さんがいなくなった後は、地方の企業と連携しながら、地域の農業を支えていきたいと思っています。そのためには、機械の自動運転、省力化、ITを使ったいろいろなソリューションの提案が必要だと思い、今、研究開発、製品開発に取り組んでいます。 水関係について、水道システムのインフラが古くなっています。1960年代の高度成長期に鉄管水道管を全国に引いたのですが、耐用年数を過ぎた50年、60年の鉄管がまだ埋まっています。そして、地震に強い耐震管がまだ2〜3割しか普及していません。これを早く更新していくことによって、水道インフラを支えていくためには、地方自治体だけではなくて官民連携で取り組んでいくことが必要です。われわれが持っているノウハウや、ITを使ったソリューションで支えていければと思い、いろいろなシステム開発を進めています。日本は人手不足の分を、知恵を使うことで、事業としてまだまだ残せると考えています。

 

以上

 

 

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