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株式会社ピックルスホールディングス(2935)

開催日:2024年1月23日(火)

説明者:代表取締役社長  影山 直司 氏

 

1. ピックルスグループの概要

・ ピックルスホールディングスは、2022年9月にピックルスコーポレーションの持株会社として設立しました。東証プライム市場に上場。証券コードは2935です。

当社グループの経営方針は、「地球環境に配慮した企業経営」「従業員のモラルアップと、安全・健康を第一にした職場づくり」「安全でおいしい製品を作るための品質管理」です。「野菜の元気をお届けします」が当社グループのスローガンで、社名のロゴにはナスとキュウリをあしらっています。

・ 当社の主要子会社はピックルスコーポレーションです。同社の沿革は、1977年に会社を設立。すぐにセブンイレブンとの取引が始まりました。その後、イトーヨーカ堂との取引も始まり、全国に自社工場やグループ会社を設立。北海道から九州までの製造・物流体制を整備しました。ちょうどセブンイレブンが全国に店舗展開し、2万店舗以上へと拡大するのに併せて、当社グループも全国での供給体制の構築を進めました。

さらに2009年に発売した「ご飯がススムキムチ」の売上増加に伴い、全国のスーパーマーケットとの取引も拡大いたしました。

・ グループ体制について。ピックルスコーポレーションなどは主に漬物の製造・販売を行っています。それ以外にも、商品企画と仕入販売、農業事業、農産物加工、外食・小売事業も各事業会社で展開しています。

・ ヒット商品は「ご飯がススムキムチ」です。従来のキムチよりも甘口のフルーティな味付けで、今までキムチになじみが少なかった女性やお子さま、「キムチは辛くて食べられない」というお客様にも好評。2009年の発売以来、人気商品となっています。また、レギュラータイプだけでなく、辛口や大根のカクテキなどのラインナップも充実させています。

・ 品目別売上高について。2023年2月期の売上高は410億円。売上構成比は、浅漬とキムチで40.1%、ナムルやサラダなどの惣菜で25.4%、福神漬などのふる漬が1.1%、梅干しや焼肉のタレ、ドレッシングなどの仕入商品で33.4%となっています。

・ 漬物業界について。漬物の市場規模は3,160億円。米の消費が減っているのに合わせて、市場規模はややシュリンクしつつも、近年は横ばい状態となっています。

業界を品目別にみると、浅漬とキムチで市場の半分を占めています。会社別の売上ランキングをみると、売上高が100億円超の企業は、当社の主要子会社であるピックルスコーポレーションを含めて5社。当社グループの業界シェアは、連結ベースで約13%。今後はシェア15%を目指しています。

 

【高成長の背景】

・ 食の安全・安心への取り組みとして、原料野菜を契約栽培して調達しています。また、FSSC22000やJFS-Bなどの食品安全規格の活用。フードディフェンスを推進することで、安全・安心な商品の供給に努めています。

・ 北海道から九州まで製造・物流拠点を整備。全国にインフラを持つ企業は、漬物業界では当社グループのみです。

・ 自社工場で製造する浅漬・キムチ・惣菜だけではなく、自社工場では製造できない梅干しや沢庵などは仕入れて販売。自社製造品と仕入品を併せて得意先に運ぶことで、物流を効率化。量販店のニーズに合わせ、漬物売場全体をコーディネートできるのが当社グループの特徴で、メーカー機能と商社機能を併せ持つ「ベンダー機能」を活用し、効果的な営業活動をしているのが、当社グループの強みです。

得意先別の売上高では、量販店が76.3%、コンビニが15.3%、外食が8.4%です。

 

2. 今後の戦略

・ 4つの方向性があります。

1つ目は「商品開発」。簡便性のあるおつまみやおかずになるような商品開発を、今まで以上に進めます。消費者の健康志向は高まっており、野菜を摂りたいという需要も高まっています。当社グループの製品を通じ、野菜を摂取するお手伝いができればと考えています。

2つ目は「販売エリアの拡大」。新規開設した佐賀や兵庫の工場を活用し、近畿・中国・四国・九州地区の販売を強化します。

3つ目は「販売先の拡大」。従来のコンビニやスーパーの漬物・惣菜売場に加えて、量販店の豆腐・納豆・冷凍食品売場等、新たな売場カテゴリーに向けた商品を開発。また、新たなチャネルとして、ドラッグストアなども開拓していきます。

4つ目は「新規事業」。B to C事業として、発酵のテーマパーク「OH!!!〜発酵、健康、食の魔法!!!〜」や農業事業のピックルスファームを展開。昨年9月にはベジパルを設立。ピックルスファームで作ったさつまいもを加工・販売する会社です。さらにEC事業では、「OH!!! 〜発酵、健康、食の魔法!!!〜」との関連で、ECでの商品販売も展開し、グルーブ間での相乗効果を高めていきたいと考えています。

 

【商品開発】

・ 主力製品の「ご飯がススムキムチ」について。2023年2月期は、新型コロナウイルス感染症の巣ごもり需要の反動減の影響により、前年をやや下回る結果となりました。今期は改めて販売を強化。売上高80億円、前期比2.8%増を計画しています。

直近の施策では2〜3月に増量キャンペーンを実施。「2(ス)・2(ス)・6(ム)」と読んで2月26日を「ご飯がススムキムチの日」とし、この日に向けて販売を盛り上げます。デジタルギフトが当たるキャンペーンも同時開催。販促活動を強化します。

・ 浅漬商品は、箸休めの一品としての定番商品をはじめ、今後はおかずや料理として使える商品を開発。例えば、「大入焙煎ごま白菜」なら、肉と一緒に鍋で煮こめば、鍋つゆ要らずでごまラー油鍋が作れます。生の白菜を使うよりも美味しい鍋料理ができると好評です。ピックルスコーポレーションのHPでレシピを公開。ぜひご覧ください。

・ 惣菜業界について、日本チェーンストア協会の調査では、スーパーの惣菜売場で1兆2,000億円以上の市場があります。家庭料理の簡便性志向から年々市場は拡大。この傾向は今後も続くものとみています。

・ 当社グループの惣菜製品の売上は106億8,000万円。浅漬やキムチに続く柱に育っており、ナムルセットやぬか漬盛合せなどが好調です。

・ 新規分野では、冷凍食品の開発に取り組んでいます。「冷凍ご飯がススムキムチ鍋」や「冷凍トップシール惣菜」を開発し、量販店での販売を始めています。

また、ロングライフ惣菜として、日持ちのする惣菜を提供。食品ロスが発生しにくいので、大変喜ばれています。切干大根やひじき煮、卯の花、きんぴらなどの販売を開始しています。

 

【販売エリアの拡大】

・ 当社グループの地域別売上高割合をみると、関東地区の売上が51%となっているのに対し、近畿地区は15.1%、中国・四国は4.5%、九州は5.3%で、まだ割合が少ない状況です。今後は西日本エリアで30%以上を目標とし、販売強化に努めます。

 

【販売先拡大】

・ 当社グループの量販店への販売は、まず漬物売場から始まりました。その後、惣菜売場に商品を展開。現在は、豆腐売場や納豆売場など、既存分野以外でも販売できる商品を開発し、提案しています。最近は「冷凍ご飯がススムキムチ鍋」やトップシールの冷凍惣菜などを冷凍食品売場に向けて提案。スーパーの店舗内で、さまざまな売場で商品を取り扱っていただくことで、売上拡大を図ります。

 

【新規事業】

・ 埼玉県飯能市で外食・小売事業の「OH!!!〜発酵、健康、食の魔法!!!〜」(以下「OH!!!」といいます)を運営。昨年10月で開業3周年を迎えました。

新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、来場者数も増加。今後はイベントの開催や新メニューや新商品の導入などを通じ、売上拡大を図ります。

現在、Piene Caféというカフェ棟を改装中。3月にベーカリーとしてリニューアルオープン予定です。

・ 新規事業の2つ目は「ピックルスファーム」の農業事業です。当社グループは野菜を主原料とする会社として、野菜の生産に関わり、安定調達や農業を通じた雇用創出など、地域活性化に向けて取り組んでいます。埼玉県所沢市・飯能市の3ヵ所の農場で事業を開始。足元では小松菜やサツマイモを生産しています。今後はサツマイモの生産量を増やすべく、保管庫や倉庫の建設も進めております。

・ 新規事業の3つ目は「ベジパル」です。昨年9月にセンシングデバイス・半導体、FPD関連製品、農業資材、食品添加物を取り扱う複合機能商社であるAsueと合弁でベジパルを設立。Asueは海外展開の知見もあるので、両社の強みを生かし、国内外でのサツマイモの加工品販売を目指しています。ピックルスファームとも事業連携し、新商品開発にも取り組みます。

 

・ 生産面での取り組みについて。原料の野菜は以前から契約栽培による調達を行っていますが、調達のリスク分散を図るために、全国の工場ごとに農家と契約。今後もさらに進展させていきます。

また、今現在、多数のアイテムを販売していますが、アイテム数が広がっているので、不採算のアイテムの見直しやアイテムを集約し、生産の効率化を進めます。

人件費も高騰しているので、機械化も強化していきます。

・ SDGsの取り組みについて。「環境」「安全・安心」「従業員」の3テーマで部会を立ち上げ、部会ごとに活動しています。環境面では、従来、堆肥化し、畑で再利用していた野菜くずを、山梨大学や静岡県の焼津水産高校と共同で、ウニの養殖に活用することを研究しています。これによりウニによる食害などを抑制する効果が期待できます。2月10日には、この研究により育ったウニを、飯能の「OH!!!」のレストランで試食会を行います。

・ 健康経営の推進として、昨年2月に健康経営宣言を策定。当社グループでは、「従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり」を経営方針に掲げています。会社の発展には、従業員の健康が欠かせないと考え、さまざまな項目に取り組んでいます。

・ 2024年2月期の業績予想は、売上高422億円(前期比2.8%増)。アフターコロナの需要回復やよりいっそう需要が高まる惣菜製品の拡販により、増収を計画しています。

営業利益16.2億円(前期比5.3%増)を計画。燃料費も高騰していますが、社内の工夫等により、増収増益を目指しています。

・ 配当金はピックルスコーポレーションが上場していたときを含めて過去10年間、ずっと増配を続けています。今期も前期より2円増配の1株当たり24円を計画。M&Aや新工場の設備投資にお金がかかるので、内部留保を確保しながら、今後も安定した配当を行っていきます。

・ 株主優待制度について。2月末に当社株式を100株以上保有する株主様を対象とし、年1回、1,500円相当の商品、または寄付から選択いただいています。今期の優待では、当社グループの商品詰め合わせの他、飯能市にある複合施設「OH!!!」で利用できる商品券も選択肢に加えました。今後も株主様に喜んでいただけるような株主優待の充実に努めてまいります。

・ 当社ではIR情報のメール配信サービスを実施しています。インベストメントブリッジ社が運営するサービスですが、当社HPの「適時開示メール配信サービス」から会員登録していただくと、当社の適時開示情報や各種IRニュースを配信。ぜひご登録いたただき、ご活用ください。

 

3. 質疑応答

Q1. 食品業界は値上げを順次進めることで利益改善を図る流れがあると思います。御社では値上げについて、どのような対策を考えていますか。

A1. 値上げは大変重要な問題です。当社グループの浅漬は季節ごとに商品を開発。開発ごとに規格や内容量の見直しを図ることで、ある程度、価格転嫁できています。一方、売れ筋で規格変更のない年間商品もあります。これらの商品の値上げが追い付いていません。そこで、今年春以降の値上げを検討しています。

また、ご飯がススム キムチは発売以来、値上げしていません。いつまでも値上げしないわけにもいかないので、タイミングや内容を考えながら、値上げを検討中です。単純な値上げということではなく、お客様にとってプラスになるような規格変更も含めて考えたいと思い、慎重に進めてまいります。

当社グループは輸入キムチも扱っていましたが、為替の関係で待ったナシで値上げしなければならず、先んじて値上げしました。しかし、値上げは売上に大きく影響します。簡単な値上げでは、お客様には認めていただけないことを重々感じました。この点を熟考しながら、お客様に納得していただける内容で、変更していきたいと考えています。

 

Q2. 昨年リリースされていた茨城新工場について、もう少し詳しく教えてください。新工場建設にはどのようなメリットがあると捉えていますか。

A2. 茨城県八千代町に工場に新設します。ここは白菜の日本一の産地で、工場の周りはほとんど白菜畑。今年12月を目標に工場を建設中です。白菜を原料としたキムチや浅漬を集中的に生産することを計画しています。

現在、首都圏には、所沢・千葉・湘南・大宮の4つの工場がありますが、売上増加に伴い、各工場の生産のキャパシティもかなりいっぱいになりつつあります。4工場はそれぞれ日勤だけでは生産が間に合わず、夜勤生産もしています。しかし、人手不足の今、夜勤製造は人件費もかさみます。

新工場が完成したら、白菜を主原料とするキムチの集中生産を行いたいと考えています。産地が近いので、購買のメリットもあり、機械化も導入。これまで人の手で行っていた目視検品にAIカメラを導入し、異物を除去するなど、徹底的な省力化を実現。コスト面でこれまでよりも生産効率のよいキムチを作りたいと考えています。そして、所沢・千葉・湘南・大宮の各工場では、空いたスペースで新商品を作ったり、夜勤で作っていたものを日勤で作るなど、コスト削減を図りたいと思います。

新工場建設には多額の投資を行いますが、今後、ピックルスコーポレーションが成長する上で必要な投資だと考えており、新工場をしっかり活用していきたいと思います。

 

Q3. 海外展開についてはどのように考えていますか。

A3. 国内マーケットは人口の関係もあり、これ以上大きくなることはない。そこで、新たな販路として海外を検討したいと思います。ベジパルによるサツマイモの海外販売の他、キムチも海外に輸出できるよう、これからいろいろと進めたいと考えています。

以上

 

 

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