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 沖縄セルラー電話株式会社(9436)

開催日:2023年12月19日(火)

説明者:代表取締役社長  菅 隆志 氏

 

1.沖縄セルラーとは

・ 創業は、1991年6月1日。本社は沖縄県那覇市松山。松山というと飲食街のイメージがあるかもしれませんが、松山の端のビジネス街の一角です。主要株主はKDDIで持株比率は51.1%。従業員数は439名。本社ビルは10年前に竣工しました。日銀の本店があった場所を取得し、本社ビルを建設。沖縄の本土復帰は1972年ですが、流通している貨幣をドルから円に交換する必要がありました。その時、地下金庫に500億円以上の日本円を保管していたのが、当社の本社のある場所に元々あった日銀のビルです。

・ 沿革について。1990年に沖縄懇話会が発足。当時の沖縄はやや活気がなかったため、沖縄と本土の財界人が、沖縄を元気にしようという趣旨で始めたグループです。発足記念パーティーの席上で、京セラやDDI(現・KDDI)の創業者である稲森和夫氏が「沖縄県民のための通信会社を沖縄に作ろう」と提案しました。これに対し、県内財界や有力企業の賛同を得て、1991年6月に当社が設立されました。当時、県内43社が出資し、今に至っています。

2010年1月には、OTNet(沖縄通信ネットワーク)を子会社化しました。OTNetは沖縄電力の子会社で固定通信事業サービスを展開した会社です。その後、同年3月にFTTHサービスの提供を開始。モバイルとFTTHを提供する県内唯一の総合通信業者になりました。2019年11月には、沖縄電力株式会社と業務提携し、電力供給事業の「auでんき」サービスの提供を開始しました。

「沖縄のために」という声から生まれた、沖縄のための総合通信事業の会社です。

・ この思いを経営理念にも掲げています。経営理念のトップは「事業を通して、沖縄経済の発展に貢献すること」。常に社員一同、このことを考えながら仕事をしています。

また、「沖縄県の名実ともにトップ企業になること」も掲げています。昨年度まで税引後利益で4年連続のトップ企業でした。経営理念は名実共に形になりつつあります。

・ 沖縄セルラーのサマリーについて。総資産額1,196億円、純資産1,011億円、自己資本比率82.6%です。営業収益772億円、当期純利益108億円、EPS 204円、ROE 11.1%。

12月11日時点の終値ベースで、時価総額で1,688億円。PBR 1.81倍。株価は3,430円。1株当たりの配当金は100円。配当性向43.3%。配当利回り2.91%です。強固な財務基盤と高い収益性を両立しています。

・ 株価の推移では、2023年12月7日に3,465円で新高値を更新しました。やや浮き沈みはありますが、トレンドとしては右肩上がりで推移しています。

・ 沖縄セルラーグループについて。KDDIが51.1%の資本を投入。沖縄セルラーの子会社として、OTNet(沖縄通信ネットワーク株式会社)と沖縄セルラーアグリ&マルシェ株式会社があります。OTNetは固定通信の通信事業で当社出資は77.5%。沖縄セルラーアグリ&マルシェは観光とアグリ事業で、当社の100%子会社です。

・ 沖縄セルラーの事業概要は、主軸となる通信事業と成長領域に分かれます。

通信事業のモバイルは「au」「UQmobile」「povo」の3ブランドを提供。FTTHは「auひかり ちゅら」とNTTのコラボサービスの「ひかりゆいまーる」を提供しています。

成長領域では、「auでんき」、ソリューション事業、「アグリ&マルシェ」、ヘルスケアの「JOTOホームドクター」があります。

通信事業が我々のコア事業で、周辺領域を成長領域と位置づけ、次の成長の軸になるよう、果敢に取り組んでいます。

 

【通信事業】

・ モバイルの契約者数は、3ブランド合計で2023年9月末で66万人。右肩上がりで純増しています。沖縄県内の沖縄セルラーのシェアは約5割。2人に1人が沖縄セルラーと契約しています。順調な契約数増加を継続すべく、営業担当者が頑張っています。

・ FTTHの契約回線数も、右肩上がりで順調に推移。「auひかり ちゅら」との「ひかりゆいまーる」合計契約数は12万2,200件。回線シェアは約3割。5割のシェアがあるモバイルよりもやや低くなっています。これは32年前からサービス提供しているモバイルに比べ、FTTHは13年前からということも関係しているのではないかと思います。

 

【成長領域】

・ 成長領域の「auでんき」の2023年9月末の契約数は6万5,100件です。

昨年3月末まで契約数は順調に伸びていましたが、燃料費の高騰を受け、昨年11月に燃料費を値上げ。auでんきは沖縄電力から電力を卸しており、卸金額にも燃料費高騰分が転嫁されるようになったことによるものです。沖縄電力も加入者に対し値上げを申請していましたが、認可が下りたのは今年6月からでした。認可が下りるまでの期間はauでんきよりも沖縄電力の使用料の方が安くなるため、沖縄電力に乗り換えるお客様が昨年10〜11月に発生し、auでんきの契約件数は一時停滞。営業活動も差し控えました。しかし、今年6月に沖縄電力の値上げ申請も認可されたので、我々も営業活動を再開。その結果、2023年第2四半期の契約件数は順調に伸びています。

期初はいつauでんきの販売が再開できるか不透明だったので、年間獲得契約数を1,200件と見積もっていましたが、足元の状況を踏まえ、1万契約に変更しています。

・ 成長領域の電気以外の事業では、「事業創造による沖縄の課題解決」を目指しています。

ソリューション事業は、私どものDXやクラウド系サービスを踏まえ、提案することで、DX支援や県内企業の課題解決に貢献しています。

アグリ事業は、スマート農業や植物工場の取り組みです。沖縄は台風が襲来すると露地物野菜は大きな被害を受けます。また、離島では連絡船が1週間くらい航行できないこともあります。すると離島内のスーパーから葉物野菜が品切れになってしまいます。そこで、我々がICT技術を活用したスマート農業や植物工場を運営し、年間安定した野菜供給ができるようになりました。島民の皆様からも喜んでいただいています。

ヘルスケア事業は、健康管理アプリやオンライン診察の取り組みです。沖縄県は長寿県のイメージがあるかもしれませんが、メタボリック症候群やメタボ予備軍の数では全国ワーストで、健康課題が顕在化しつつあります。私どもはスマホやアプリを活用し、沖縄県の健康長寿を取り戻すことに注力しています。

 

【社会貢献】

・ 社会貢献として生物多様性に取り組んでいます。2021年に世界自然遺産登録に選ばれた沖縄県北部や西表島、奄美大島・徳之島のエリアには絶滅危惧種を含む固有種が非常に多い。これらを後世の残すのが我々の努めです。そこで、「Biome」というスマホアプリを活用。動植物をアプリで撮影すると、その種類が判定できます。固有種・絶滅危惧種の保護には、外来種の除去が必要です。このアプリを活用することで、生息分布が明らかになります。

また、データ収集に関しては、イーロン・マスク氏が手掛ける衛星通信サービス「Starlink」を活用しています。例えば、西表島の浦内川河口から8kmのジャングルのど真ん中。周囲に集落がないので、基地局等の通信環境は未整備ですが、Starlinkによるアンテナ等を設置することで、周辺領域でWi-Fiが利用可能となります。これにより、通信を介した確認や各種調査が可能になります。

・ カーボンニュートラル実現への取り組みもあります。沖縄セルラーでは「2030年度までに自社のCO2排出を実質ゼロ」とするクリーンエネルギーロードマップを策定。主要高圧施設は沖縄電力からCO2フリーの電力を購入しています。

しかし基地局の電力は、CO2フリーの電力が充分導入できません。そこでソーラーパネルを設置し、日中はソーラーで発電した電力でまかない、夜間はCO2フリーの電力を沖縄電力から調達し、基地局丸ごとCO2排出ゼロを目指しています。

今後も消費電力の低減にしっかり取り組み、併せてこのようなサステナブル基地局の展開も拡大。2030年のCO2排出量実質ゼロに向けて、ドライブをかけていきたいと考えています。

・ 「Okinawa DX University」を創設し、沖縄県のDX推進にも取り組んでいます。

沖縄県は労働生産性が全国最下位。そこに人手不足も重なり、各企業の大きな課題となっています。DXに関して我々も各取引先とダイレクトにやり取りしていますが、生産性向上には沖縄県全体の底上げも必要です。

そのための「Okinawa DX University」はオープンプログラムで、第一弾として100名に無料で提供。DXの基礎知識を取得し、DX人材として今後のDX化や効率化を推進してほしいと考えています。

・ 沖縄県の子どもたちへの支援も社会貢献として取り組んでいます。

一つは「離島ケータイ奨学金」です。沖縄県にはたくさんの離島があります。有人の島の中で高校のない島が23あり、中学を卒業し、高校のある島に寄宿して進学する生徒もいます。私どもは彼らを支援するために、高校3年間の通信料やケータイ端末を無料とする取り組みを2015年から始めています。以来8年間で、延べ370名が奨学金を活用しています。

もう一つは「子ども基金」です。沖縄は子どもの貧困問題が社会課題となっています。そこで2016年に子ども基金を設立。年2回、子ども向け支援をしている5団体に30万円の寄付をしています。7年間継続している活動ですが、引き続き継続し、少しでも貧困問題の解消に貢献できれば、と考えています。

 

・ 我々の経営方針は「3増(サンゾウ)」と配当性向40%超です。「3増」とは増収・増益・連続増配の3つの「増」を表します。これらをしっかり達成できるよう、取り組んでいます。

・ 業績推移について、売上高である営業収益は順調に右肩上がりで推移しています。2022年3月期は、会計基準の変更により減収となっていますが、旧基準比較では増収です。また、今年度の予想は前期からやや下がっていますが、前期水準をクリアすべく、取り組んでいる最中です。営業利益も右肩上がりで、12期連続の増益を達成しています。

・ 1株当たりの配当金について。期初は中間期45円、期末45円の年間90円を予定していましたが、中間決算のタイミングで増配を決定。中間期・期末共に50円の年間100円の配当を予想しています。これが実現すれば、23期連続の増配となります。配当性向は43.3%となります。

 

2.中期経営計画

・ 2022年度から2024年度にかけての3年間の計画です。

事業戦略は「通信を核とした両利きの経営」です。内訳として、まずは「既存事業の深化」。「深化を支える5Gネットワーク戦略」と「5G戦略とマルチブランド推進による収益最大化」に取り組みます。

さらに「成長領域の拡大」。「エネルギー事業の推進」「ソリューション事業の推進」「事業創造による沖縄の社会課題解決」に取り組みます。

「既存事業の深化」と「成長領域の拡大」双方をしっかり行うのが、戦略のベースです。

 

【既存事業の深化】

・ 深化を支える5Gネットワーク戦略について。当初は2024年度末には全島で95%の人口カバー率を目指していました。しかし、今年9月に計画を1年半前倒しで目標を達成しました。

・ 離島で5Gの本格サービスを行うには、既存の海底ケーブルでは容量が足りません。そこで沖縄本島と石垣島、宮古島と久米島を繋ぐ新設ケーブルを敷設。6月末に竣工しました。これを機に5Gの人口カバー率が一気に拡大することができました。

・ 収益の最大化について。私ども事業では、マルチブランド通信ARPU収入が収益の核になります。ARPUは、Average Revenue Per Userの略で、一人当たりの平均利用額を指します。当初は2023年度の底打ち反転を計画していましたが、足元の状況では1年間前倒しの2022年度の底打ち反転となりそうです。ARPUをいかに早く底打ち反転させ、増やしていくことが、私どもの経営の要になります。

 

【成長領域の拡大】

・ 当初の計画では、2024年度の売上目標を、2021年度比で50%超の150億円規模を目指していました。これに対し、2022年度は137億円を達成。計画に対し順調に拡大しています。来年度2024年度は150億円規模まで持ち上げられるよう、鋭意努力したいと考えています。

 

・ 財務目標について。2021年度のEPS(1株当たり純利益)は198円。これを2024年度は2021年度比15%増の228円を目指すのが中期経営計画です。これに対して足元の状況では、2023年9月末で230.82円。前倒しで目標達成しています。さらにEPSを向上させるべく、いろいろな取り組みをしたいと考えています。

・ キャピタルアロケーションについて。2022年度から2024年度の営業キャッシュフローを累計で500億円規模と想定しています。そのうち5Gなどの設備投資に3年間で200億円規模を投入。残りでしっかりと成長に向けた戦略投資を行います。

また、増配や機動的な自己株式取得実施による株主還元も併せて行います。

 

3.株主還元

・ 自己株式取得は、2021年3月期に20億円を実施。2023年3月期には、その倍増の40億円を実施。今年度上期は公開買付で83.7億円。KDDIから取得しました。現在は8月1日から来年4月に向けて、30億円の取得を進捗中です。

合計で173.7億円の自己株式を取得。そのうち今年度上期の83.7億円まではすでに消却済みです。

・ 1株当たりの配当金は、期初予想90円に対して修正予想100円で、中間決算のタイミングで増配を公表しました。配当性向は43.3%です。

・ 配当金の推移について。今期の100円を含めると、23期連続の増配となります。引き続き、配当も念頭に置いて会社経営に努めていきます。

・ 当社の株主優待の基準月は3月。株主の皆様の日頃のご支援に感謝し、株主様の「保有株式数」と「保有期間」に応じて、3,000円から1万円相当の「株主優待カタログギフト」を贈呈。沖縄県の特産品である石垣牛や完熟パインも楽しめます。私どもの子会社であるアグリ&マルシェが取り扱っている商品です。

・ まとめとして、健全な財務状況で契約数も好調です。自己資本比率は82.6%。モバイルのシェアは約5割、FTTHは約3割です。

中期経営計画は前倒しでそれぞれのKPIを達成、もしくは順調に進捗しています。通信ARPU収入は1期前倒しで進行中で、2022年度底打ち反転を目指しています。EPS成長は2023年9月末で当初計画をクリア。さらなる上振れを目指しています。

増配・機動的な自己株式取得による株式還元を実施。増収・増益・連続増配の3増と、配当性向40%超を目指しています。機動的な自己株式取得も継続していきます。

 

4.質疑応答

Q1 沖縄セルラーのモバイルを利用されている方は5割とのこと。沖縄でモバイルを販売している会社は3社です。本土では大手の子会社を入れると10社で、さまざまな価格体系があり、自分に合った価格体系の会社と契約しています。携帯会社にはそれぞれ特徴があるので、契約会社が割れるのは当然と思っていますが、沖縄で5割をキープしているのに驚いています。どんな施策で5割をキープしているのですか。

A1. お客様に評価されているのは、通信品質と販売チャネルです。

私どもは沖縄に本社がある通信事業者です。一方、他社は全国一律の会社で、沖縄は九州支社の沖縄支店という位置づけでサービス提供しています。

そのため私どもは、沖縄県内で不具合があることを聞くと、最優先で速やかに対応しています。創業以来32年間、この姿勢を続けてきました。しかし他社はおそらく九州の中でプライオリティの順位付けがあるのではないかと思います。

このような取り組みから、エリアの広さやエリア内の通信品質がお客様から好評です。

販売チャネルについて。「店頭でいろいろ説明を受けながら契約したい」「料金プランの説明を受けたい」というお客様は多くいらっしゃいます。我々はauショップやau styleのブランド名で離島を含め沖縄県内で70店舗展開しています。一方、他社の店舗数は我々の半分程度。我々の密な販売チャネルは、「近くにあるauショップ/au style」とお客様に認識されており、安心してご契約いただいていると思います。

以上2点が、私どもが50%のシェアをずっと維持できている理由です。

 

Q2. エネルギー事業のauでんきは、前期、燃料費調整額の上限超過による企業負担が発生し、採算が悪化していたと思いますが、現状はどのような状況でしょうか。

A2. 昨年は仕入れ価格とお客様の請求額が逆ザヤになっていました。11月からお客様の負担いただくこととし、若干の利益が出せるようになりました。電気事業でプラスが出せているので、この流れが今後も続けば、電気事業は売上・利益共にしっかり貢献できるものと思います。

 

Q3. 中間決算では利益も順調。配当金も上方修正しています。通期の業績も予想を上振れするのではないでしょうか。

A3. 我々も当初の計画通りに収めようとは考えていません。稼働と利益を取り、コストを抑え、当初計画を上回るように経営に取り組んでいます。しかるべくタイミングが可能なら、いろいろな変更も含めご案内したいと思います。

 

Q4. 前向きな好材料のお話が大半でしたが、今後のリスクや課題はありませんか。

A4. 実は昨年7月に通信障害を起こし、お客様に大変ご迷惑をおかけしています。このような通信障害を二度と起こさないよう、設備の増強や体制整備に取り組んでいます。

昔と異なり、最近の通信設備はかなり複雑で、障害発生は大きなリスクです。通信障害を二度と起こさないよう、しっかり対応していきたいと考えています。

 

Q5. 経営陣が大切にしている信念は何ですか。

A5. 我々の創業の経緯もあり、沖縄県にどのように貢献するかを常に考えています。健全な利益をあげ、いかに沖縄県に還元するか。経営陣だけでなく社員も含め、同じような考えの元、日々の業務に臨んでいます。

以上

 

 

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