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サンワテクノス株式会社(8137)

開催日:2023年11月19日(日)

場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)

説明者:代表取締役会長  田中 裕之 氏

 

1.会社概要

・ 私、代表取締役会長の田中裕之は1957年生まれで、現在66歳です。中央大学理工学部を卒業して、プロパーとして1979年に入社しました。2024年には入社45年目を迎えます。当社では、内規により社長の定年を65歳、会長を70歳としていますので、今は代表取締役会長として企業価値を上げるためIR活動・SR活動に注力しています。経営者として、PBR1.0倍超の早期実現を目指しています。

・ 当社の設立は1949年11月4日で、2024年には創立75周年を迎えます。2023年9月末日現在、拠点は国内に30拠点、海外に33拠点で、従業員数は連結で1,094名、単体で625名です。2023年3月期決算の売上高は1,810億円、営業利益は76億円です。

・ 当社の創業者は、第二次世界大戦中、インドネシア・ボルネオ島で捕虜として終戦を迎え、帰国後の1949年に山田工業株式会社(現・サンワテクノス株式会社)を設立しました。設立時は株式会社安川電機製作所(現・株式会社安川電機)と代理店契約を結び、電機品の販売からスタートしました。1949〜1960年代は復興〜高度成長期で、当社もモーターで日本産業の基盤を支えました。1970〜1980年代はバブル経済期で、当社も国内産業の発展に伴って国内拠点を拡充し、多数の組み込み商品によって事業を拡大しました。1990〜2000年代はグローバル経済期で、日本企業の多くがアジアを中心に生産拠点を海外に移し始めました。当社も1995年のシンガポールの現地法人設立を皮切りに海外展開を進め、2023年9月には33拠点目となるインド事務所をベンガルール市に開設しました。なお、1993年に、社名を現在のサンワテクノス株式会社に変更しました。2010年代以降はICTとデジタル経済期に入り、当社も社内のDX化を進め、国内外での連携を強化しています。

・ 当社は産業用エレクトロニクス・メカトロニクス関連の装置・機器・部品を取り扱う独立系技術商社で、ビジネススタイルはBtoB(企業間取引)です。電機部門では、インバータやモーションコントローラ等の商品を扱っています。電子部門では、小さな電子部品からコンピュータまでを含めた電子部品関連を扱っています。機械部門では、産業用ロボットといった生産設備関連の商品を扱っています。ロボットが自動車を作る映像をご覧になったことがあるかと思いますが、そうした設備そのものを販売する部門が機械部門です。部門別売上高構成比は、電機部門21%、電子部門71%、機械部門8%です。

・ 当社の取引の特徴は、双方向取引です。物を作っているお客様から仕入れて、同業他社に販売しています。事例を挙げて説明します。体温計で有名なオムロン株式会社(以下オムロン)は、制御器においても世界でトップクラスの企業です。当社はオムロンの代理店なので、オムロンから機械を制御する商品を仕入れて同業他社に販売しています。同時に、オムロンで製造する様々な機器には、当社から仕入れた部品が使われています。つまり、お客様であり仕入先様でもあります。双方向取引により密接な信頼関係と強い協力関係を築いています。

・ 当社の事業は一般の方には理解されづらいので、皆様のお役に立っている身近な例を紹介します。TOTO株式会社の「ウォシュレット」には、当社が販売した制御機器が使われています。トヨタグループの車載には、当社が販売した自動運転用安全センサが採用されています。株式会社ブリヂストンで作っている航空機のタイヤも、当社が販売した機械で作られています。自動販売機のボタンスイッチの光や高速道路の電光掲示板にも当社が販売した製品や部品が使われています。このように、当社は皆様の暮らしや社会に黒子として貢献しています。

・ サンワグローバルネットワークとして、国内30拠点、海外14社33拠点を展開しています。売上比率は、国内約65%、海外約35%です。海外の売上は、約70%が中国市場です。現在、中国には台湾との関係等の不安要素がありますが、当社が展開しているのは生産拠点ではなく販売拠点なので、大きな投資は必要ありません。逆に、中国からビジネスを撤収すると、今度は中国市場での成長機会を失うリスクがあります。現状では中国市場から撤収せずに、従前通り事業の拡大を図ります。そして、インドをはじめとする中国以外の地区への戦略を今後も進めていく予定です。

・ コロナ禍により当社でもリモートワークが進みましたが、当社の場合、お客様は全て事業所です。部品や製品に不具合が生じた場合、すぐに駆けつける必要があります。そのため、リモートワークを取り入れたタイミングで「スマート営業所」を展開しました。これは、お客様の近くに小さな営業所を増やし、セールスマンが2〜3名駐在します。業務オペレーションは支店から遠隔支援します。コストをかけずにお客様の支援ができるので、同業他社に対して差別化を図るとともに、お客様からも高い評価を得ています。国内6拠点、海外5拠点を現在展開しています。

 

2.2024年3月期第2四半期決算概要及び通期業績予想

・ 2024年3月期第2四半期では、過去最高の数字を出すことができました。売上高88,867百万円、営業利益3,442百万円、経常利益3,700百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益3,075百万円、1株当たり四半期純利益201.75円です。

・ 2024年3月期通期業績予想として、営業利益5,510百万円達成を発表しています。現在、国内の製造業では在庫調整が続いています。原材料不足により各社が買い集めをしたため、当社のお客様も多くの在庫を抱えています。また、スマートフォンやパソコンのコロナ特需が一巡して、市場にブレーキがかかっています。一方では、今後は車のEV化が増えるといった端境期にあるので、当社も警戒した見通しをしています。

 

3.中期経営計画進捗報告

・ 「2022〜2024年度 第11次中期経営計画」の目標として「PBR(株価純資産倍率)1.0倍超の早期実現を目指す」と掲げています。当社だけではなく、東京証券取引所に上場している会社の3分の1がPBR1.0倍を割っています。日本のマーケット活性化に向けた動きも高まっているため、当社だけではなく、各社もPBR1.0倍超の目標に積極的に取り組んでいます。逆に投資家の皆様の立場としては、事業に真面目に取り組んでいるPBR1.0倍割れの企業を検討してはいかがでしょうか。当社の場合、株価を2,800〜2,900円程度まで上げないとPBR1.0倍に届きませんので、さらなる企業価値の向上を目指します。

・ 2023年度は3つの方針を掲げています。「イノベーションが求められる成長分野への注力」「より高付加価値な製品と新たなソリューションの提供」「サステナビリティ経営による持続可能な社会の実現に貢献」の3つです。

・ 「イノベーションが求められる成長分野への注力」として、セグメント戦略の展開による収益力の強化を掲げています。当社のセグメント戦略は、ロボットマウンター、工作機械、半導体製造装置、設備、車載、FA装置の6つが挙げられます。特に、日本は半導体製造装置では、世界でもかなり強みをもっています。現在は半導体製造装置の業界は小康状態ですが、今後は急速に拡大していくのは明らかです。当社は半導体製造装置業界に特化した営業を強化します。この業界では、業界独特の言葉・文化・製品があり、独創的な製品を要求する文化があります。独特な業界に精通した社員によって、集中的に営業を強化させます。半導体製造装置の他にも、ロボットマウンター、工作機械、車載等の各業界に精通した社員を選んで、特化した強力な営業を日本全国に展開する組織を作りました。その営業力によって、収益をさらに上げていきます。

・ 中期経営計画での進捗状況として、半導体製造装置では独創的な商品を発掘できました。業界を席巻する力をもった商品です。目標達成率を15%以上としていましたが、結果は2年間平均で年率6.4%でした。ボリュームの増減が激しい業界なので、天気予報にたとえれば、現在は雨ですが、今後は急速に晴れるのではないかと予想しています。ロボットマウンターでは、これまで取引がなかった超大手企業の口座が獲得できました。マウンターは細かい部品を製品に実装する装置で、日本の企業が市場の大半を押さえています。大手企業ではパナソニックコネクト株式会社、株式会社FUJI、ヤマハ発動機株式会社が世界のマウンターシェアの大半をもっています。ただ、スマートフォンにブレーキがかかると、この業界にもブレーキがかかってしまうので、結果は2年間平均で年率19.7%減でした。ただ、車のEV化が進むと実装密度の高いマウンターの需要が増えるので、将来的には雨から快晴になると予想しています。車載は、2年間平均で年率3.7%増でした。半導体不足の時期には、トヨタ自動車株式会社ですら車の生産が止まりました。現在は半導体不足も解消され、生産量が増えています。天気予報で言えば晴れです。ただ、市場自体は世の中の変化の影響を大きく受けるので、当社のビジネスとしてどう安定させるかが課題です。

 

4.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

・ PBR1.0倍超を早期に目指すためには、自社の業績を上げることは当然ですが、当社の業績は数値から見ても極めて好調です。しかし、当社の持続的成長に向けた事業戦略・成長戦略は、投資家の皆様から十分な理解を得られていません。投資家の皆様へのアピールが重要であると考えています。専門家によると、日本の株式市場の半分以上が海外の投資家で、海外ファンドの投資対象にならないと株価が上がらない構造になっているそうです。海外の大口ファンドの投資対象になるには、時価総額を500億円以上にしないと対象にならないそうです。当社は時価総額が小さく、機関投資家の投資対象となりにくくなっています。皆様に応援していただいて、時価総額500億円以上を目指します。

・ 企業価値向上のため、2023年10月30日に株式会社エムテック(福岡県北九州市)と業務提携契約を締結しました。株式会社エムテックは「ローテクを駆使したハイテクへの挑戦」を理念とした企業で、ロボットシステムの開発に強みをもっています。業務提携により、産業機械分野での技術ソリューションにおける協力を推進します。業務締結日と同日、新たにロボットソリューションパッケージの新商品をニュースリリースしました。仮想空間を活用したデジタルマニュファクチャリングを実現する「3D Connectシリーズ」を開発し、その第一弾として、ARマーカーを利用したロボットソリューションパッケージ「AR^2 System<エーアール・ツー・システム>」を発売します。当社が取り扱うロボットは、産業用ロボットです。ロボットは赤ちゃんと同じように経験や知識がないため、誰かが教えないと動くことができず、ただの鉄の塊となってしまいます。教える技術は大変難しいのですが、株式会社エムテックはそうした技術の引き出しを多数もっています。この協業により、当社のロボットビジネスの販売をさらに強化させます。

 

5.株主還元策

・ 2022年度の年間配当金は1株当たり90円を実施しました。2023年度の年間配当金も1株当たり90円を予定しています。業績連動利益配分の指標として、連結配当性向25〜35%を目標としています。

・ 株主還元や資本効率向上のため、時期や財政状況に応じて機動的に自己株式の取得を実施しています。

・ 業績が上がれば、配当金も上げていきます。絶対とは言い切れませんが、過去1回も減配を実施したことがないことを強調しておきます。

・ 若い世代にアピールするため、当社のYouTubeチャンネルやX(旧Twitter)アカウントを開設しました。VTuberの「さんわちゃん」が当社の宣伝活動を行います。興味がある方は、ぜひ、YouTubeチャンネルをご覧ください。

 

6.質疑応答

Q1. 今後、開拓に注力するインド市場について、インドではどういった分野の商品が伸びるのでしょうか。

A1. 当社は2023年9月にインドに初めての拠点を出しました。以前からインド市場に注目していましたので、5年程前にインド調査室を立ち上げて、本格的に出店を計画していました。ただ、インドは極めて価格が厳しい市場です。現在は廃止されたものの州をまたぐ取引にかかる税金等、複雑な税制があります。出店した理由は、インドの成長や人口に魅力を感じたお客様が、インドに工場を出し始めたためです。現在は自動車が大きな市場になっていますが、今後はファクトリーオートメーションが入ると予想し、当社はそのFA市場に注目しています。近々にインドのデリーにも出店する予定です。

 

Q2. 電子部品の商社がとてもたくさんあり過ぎると思うのですが、御社の強みを教えてください。

A2. 電子部品商社は多数ありますが、そのうちの何社かは統合されると予想しています。特に、電子部品の中でも半導体商社と言われている商社です。半導体商社は、半導体メーカーの意向を強烈に受ける商社で、ここは数が多過ぎるため統合する流れが大きいと思われます。直近では、株式会社リョーサンと菱洋エレクトロ株式会社の経営統合がありました。特徴として、仕入メーカーの方が強い傾向があると感じています。当社がもっとも数多く販売しているのは、株式会社安川電機の設備商品です。当社の特徴は生産設備と生産材の両方を取り扱っていることです。これが何を意味するかは、スマートフォンを例にすると、最初にスマートフォンの需要が高まると部品の需要も大きく増加します。しかし、その前に設備投資が必要です。つまり、ここに時間軸が発生します。設備投資が最初に始まらないと物が作れません。あるいは、物が急増して後から投資をして設備を作ることもあります。いずれにしても時間軸が変わります。当社は先々の動きや、時代の変化の見通しが他社よりも早くわかることが強みと考えています。

 

Q3. 半導体の在庫調整は、いつ頃終わると見込んでいますか。

A3. 半導体は新聞等で底打ち感が出ていると報道されていますが、現在の個人的な現場感覚でお答えします。今、中国にブレーキがかかっているため、日本の生産設備にブレーキもかかっています。最初にブレーキがかかったのは中国です。日本が落ちる4か月位前に中国にブレーキがかかって、日本の設備投資にブレーキがかかりました。逆に言えば、先に中国が立ち上がれば、日本も立ち上がってくるでしょう。半導体分野ではありませんが、当社の中国のお客様では底打ちされてきました。ただ、当社の中国のお客様はまだ在庫をもっているので、当社にはまだ変化はありません。そうした時間軸はありますが、2024年度の夏場前には当社の業界が先に立ち上がってくるのではないかとの見方をしています。

 

Q4. インドビジネスの5年先、10年先の戦略を開示ください。

A4. 当社の中国出店は大きく成功しました。中国は一党支配ですから、インフラの整備は速いスピードで進み、次々と道路や工場が完成していきます。これは中国の特徴です。インドは中国と同じ位に人口が多く、さらに増えるとは言うものの、インドは民主主義なので、当社が中国で一挙に拡大できたようになるとは考えていません。逆に、中長期的に育てていく市場であると理解しています。5〜10年位は投資を続け、それが大きな市場となって返ってくると期待しています。

 

Q5. 中長期的に見た場合、6つの顧客セグメントのうち、どのセグメントの成長率が高いのでしょうか。やはり、積極的リソース投入の3セグメントでしょうか。

A5. 当社がもっとも得意としているのは半導体装置、ロボットマウンター、工作機械です。同時に、このセグメントは日本の強みの分野でもあります。もともと当社が強い分野で、かつ日本の企業が強い分野です。10〜20年先はわかりませんが、ここ4〜5年は全くぶれずに展開するのではないかと見ています。

 

以上

 

 

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