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立川ブラインド工業株式会社(7989)

開催日:2023年8月26日(土)

場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)

説明者:取締役 管理本部長 兼 社長室長 兼 監査室管掌  小野 寿也 氏

 

1.グループ概要

・ 当社は、ブラインドやロールスクリーンといった窓まわり製品、間仕切り、カーテンレールを中心に事業展開を行うインテリアメーカーです。

・ 創業は1938(昭和13)年5月で、今年創業85周年を迎えました。資本金は44億75百万円、連結総資産は625億円、従業員数は連結ベースで1,269人、当社単体では808人という規模の会社です。現在、本社は東京都港区三田にあります。連結の子会社は 8社ありますが、国内7社、海外は中国に1社展開しています。

・ 当社グループには、3つの事業セグメントがあります。連結売上高の約8割を占めるブラインドやロールスクリーンなど窓まわり製品や間仕切り製品の製造・販売を行っているのが、室内外装品関連事業です。残り2割を構成するのが駐車場装置関連事業、減速機関連事業で、この2つの事業は名古屋証券取引所のメイン市場に上場している子会社の富士変速機株式会社が事業展開を行っています。

・ 室内外装品関連事業における当社製品には、多くの製品バリエーション、ラインナップがあります。

・ ヨコ型ブラインドにあるスラット(羽根)には、アルミ製のほか木製や樹脂製があります。この製品はご家庭からオフィスまで安定した需要があります。タテ型ブラインドは大きな窓に向いているため、住宅のリビングルームや商業施設などに多く納入しています。ロールスクリーンやプリーツスクリーンはファブリックを使った製品となり、ソフトな空間を演出する製品です。そのほか、カーテンレールや空間を柔軟に使い分けることができる間仕切り製品等、多種多様なラインナップを揃えています。

・ 当社の旗艦製品であるヨコ型ブラインド『パーフェクトシルキー』のスラットには昇降コードを通す穴がないため、コードの穴からの光漏れがなく、快適な室内空間を実現することができます。また、スラットを「グロスレス遮熱」など遮熱性能に優れたものにすることで、室内温度の上昇を抑えることができ、暑い夏もエアコンの消費電力を抑えながら快適に過ごすことができます。夏を快適に過ごすには、この窓まわりの遮熱が重要なポイントになります。今年5月には、このヨコ型ブラインドにおいて、スラットのカラーラインナップの見直しを行い、住宅でもオフィスでも使いやすいトレンド感のある全257色にリニューアルしました。

・ 木製ブラインド『フォレティア』は、天然木を使ったスラットにより、室内に落ち着きとくつろぎを添えます。近年、地球環境にやさしい工法として、木材を使用した建築が注目されています。従来の鉄筋コンクリート造りと比べて、建築時の二酸化炭素の排出を抑えることができるため、木材を使用した高層ビルが続々と登場し、今後オフィスや商業施設などにおいても天然木を使用したブラインドの需要が高まると予想されています。当社は今年 5月、この『フォレティア』において、オフィスや商業施設等での需要を見込み、防炎性能をもった天然木スラットを開発、新たに発売しました。

・ 『スマートインテリアシェード ホームタコス』は、リモコンやスイッチで簡単に操作ができる、住宅向けの窓まわりの電動製品です。電源プラグをコンセントに差し込むだけの、簡単な施工で取り付けができる製品です。大きな窓や複数の窓でも移動せずにその場で操作ができるため、ご高齢の方にもおすすめの製品となっています。また、スマート家電リモコンと組み合わせることで、スマートスピーカーやスマートフォンでの操作ができるほか、家庭内の消費エネルギーを節約するための管理システムとして近年需要が高まっているHEMS(ヘムス=ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)にも接続可能な製品です。当社は新たな技術を積極的に取り入れ、多彩な操作方法をご用意することで、すべての人が安全・安心・快適に過ごせる暮らしを実現させていきます。

・ 従来は伸縮式間仕切『アコーデオンカーテン』が住宅の間仕切りとして一般に使われていましたが、昨今は働き方や生活様式が多様化するなか、フレキシブルに間取りを変え、空間を有効活用するための間仕切りの需要が高まっています。間仕切『プレイス スウィング』は、スリムなフレームのスタイリッシュなデザインが特長で、空間の仕切りやワークスペースづくりのほか、収納の目隠しなど、さまざまなシーンづくりに対応します。また、空間を仕切ることで冷暖房効率を高め、「快適」と「省エネ」をかなえることができます。この『プレイス スウィング』は、住宅のみならずオフィスや店舗、教育・介護施設などでも多く採用いただいています。

・ 当社の製品は住宅向け、オフィス向け、公共施設向けなど、さまざまな用途でお使いいただいていますが、当社の売上に占める用途別の構成は、住宅向けがおよそ6〜7割、オフィスや公共施設などの非住宅向けが3〜4割となっています。

・ 2020年に新宿住友ビルに新設された、国内最大級の全天候型イベント空間「三角広場」の天窓には、当社の電動ロールスクリーン300台以上が使われています。また、丸の内ビルディングのオフィスエリアには、電動ブラインド約2,500台、1階のアトリウムには電動のロールスクリーンやローマンシェードが使われています。最近では、今年3月にオープンした東京ミッドタウン八重洲に電動ヨコ型ブラインド1,800台以上が納入されています。

・ 当社の強みの1つ目は、窓まわりのブラインド類・スクリーン類においてトップシェアであることです。現在、カーテンを合わせた窓まわり製品の市場規模は1,900億円程度となっています。そのうち、当社関連ブラインド類の市場は約888億円で、窓まわり市場全体の約4割と推定されています。当社はブラインドにおいては40%強、スクリーンでは40%弱のシェアをもち、業界トップシェアです。

・ 2つ目の強みとして、当社のビジネスモデルの特長をご説明します。当社がラインナップする製品は、色柄、操作方法等を組み合わせると実に多くの種類があります。これらはほぼ100%受注生産で、窓や空間のサイズに合わせた幅・高さは1cm単位、製品によっては幅5mm単位の受注をご注文をいただいてから、短いものでは2日程で出荷する生産体制を構築しています。お客様のニーズに応え、快適な環境づくりを追求するため、開発から販売、生産、施工まで、一貫したサイクルを全国の地域に密着した体制で行っています。

・ 3つ目の強みは、全国をカバーする当社の事業展開です。全国の営業拠点は72カ所、ショールームを 9カ所、ディスプレイスペースを3カ所、そのほかに製造拠点を5カ所に置き、地域のインテリアショップ等と連携しながら、きめ細かな対応を全国で展開しています。

・ このように、業界トップシェア、多品種・受注生産・短納期を実現するビジネスモデル、全国におけるきめ細やかな事業展開が当社の強みと考えています。

 

2.決算概況

・ ここでは2023年12月期第2四半期決算と通期業績見通し、連結業績の推移、2023年6月末現在の資産、負債、純資産の状況、最近10年間のROE(自己資本当期純利益率)、ROA(総資産経常利益率)の推移についてご説明します。

・ 2023年12月期第2四半期の業績です。売上高は、駐車場装置関連事業が低調に推移しましたが、主力の室内外装品関連事業と減速機関連事業が前期を上回り、前期比 0.2%増加の204億14百万円となりました。

・ 利益面は収益改善に努めましたが、原材料を中心とした物価高騰が影響し、営業利益は前年同期比 9.8%減少の21億29百万円、経常利益は前年同期比 6.5%減少の23億6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比4.5%減少の14億82百万円となりました。

・ 2023年12月期(当期)の通期業績予想ですが、第4四半期に価格改定による製品販売価格への転嫁等、収益改善を計画しており、増収増益を見込んでいます。なお、本年2月に公表した業績予想から変更はありません。

・ 通期業績予想は、売上高が前期比3.6%増加の428億円、営業利益は前期比 6.5%増加の40億70百万円、経常利益は前期比7.4%増加の43億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比 7.1%増加の27億円を見込んでいます。

・ 当社の売上高は一時的な事業環境の影響を受けるものの、大きな増減はないものとみています。一方、高機能かつ利益率の高い『パーフェクトシルキー』等の新製品の投入、コスト低減活動などによる収益改善に取り組んだ結果、2021年まで13期連続の増益で推移しました。経常利益率は徐々に上昇しており、直近では10%前後で推移するなど、収益力が着実に強化されてきています。なお、2023年12月期の経常利益率は10%を見込んでいます。

・ 2023年6月末時点の当社連結総資産は615億65百万円で、前期末比10億 20百万円の減少となりました。これは主に、純資産が増加した一方で、現預金、売掛金が減少したことによるものです。

・ 純資産は494億85百万円で、前期末比 8億 53百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益の計上から増収化したことによるものです。なお、自己資本比率は73.3%となります。

・ 当社は株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、保有している純資産を長期にわたり計画的に株主様へ還元していきたいと考えています。

・ 2022年12月期は原材料価格の高騰などが影響し、前年に対して減少はしたものの、ここ10年間においてはROE、ROAともに概ね順調に伸ばしてきており、近年はどちらも6〜8%前後で推移しています。

 

3.成長戦略

・ 当社は2023年から2025年までの3カ年における中期経営計画を策定しました。テーマは「タチカワビジョン2025〜継続と進化〜」を掲げ、課題解決に向け、建築物内外の生活環境の改善による社会貢献を継続しながら、今後「ものづくりとマーケティング」「経営基盤の強化」「サステナビリティへの取り組み」に注力し、時代のニーズに応じて進化させていくことを基本方針としています。

・ まず、室内外装品関連事業における「マーケティングの継続と進化」です。製品の企画開発から生産、販売に至る全ての工程において、マーケティングは欠かせません。今後は安全・安心・快適に加え、環境にも配慮した製品開発と販売促進を、マーケティングを通じて強化していきます。また、新たな快適な住空間の提案として電動製品、間仕切り製品を次の主たる製品と位置付け、市場占有に向けた基盤をこの3年間で構築していきます。

・ 販促活動においては、デジタルマーケティングを強化するとともに、リアルとデジタルの融合によりマーケティングを進化させていきます。今後も代理店と連携した販促強化や全国新製品発表会の開催など、リアルマーケティングに取り組むとともに、昨年リニューアルしたホームページを活用し、デジタルマーケティングに注力することで、リアルとデジタル両面からマーケティングを進化させていきます。

・ 次に「技術革新と生産体制の強化」です。当社は2022年11月、滋賀工場において国内2拠点目となる塗装施設を新設し、自然災害等による事業リスクへの対策強化を図りました。2023年4月には、子会社の立川機工株式会社がブラインド等の樹脂部品の生産工場を新設、収益性の向上を図っています。現在は技術研究棟の新設を推進しており、こちらは2024年 9月に竣工予定です。この施設では、新技術や新素材、新製法、新デザイン等の技術力強化を推し進めていきます。2025年には札幌製作所を移転し、北海道内の物流拠点との統合を計画しています。

・ 続いて「経営基盤の強化」です。将来に向け、戦略に必要な人材の確保と育成、事業拠点の整備を推進します。人材面では、人的資本の観点から人材確保、社員育成、多様性の拡大、健康経営の促進に注力し、人への投資を強化し企業価値向上を図ります。事業拠点整備においては、エリアマーケティングを推進するうえで必要な支店・営業所の最適化を推進していきます。2023年12月期は関東支店を新設・移転し、支店内にショールームを開設しました。また、職場の働きやすさや環境面に配慮し、照明のLED化や太陽光パネルの設置を推進しています。

・ 減速機関連事業では、ギヤードモータにおける標準品のアレンジ対応や歯車技術を活用した差別化提案による販路開拓等をもって売上の拡大を図っていきます。特に、物流倉庫の無人搬送機向け開発や養殖用ギヤードモータなど、個々のニーズに応えることで需要を獲得する計画です。

・ 駐車場装置関連事業では、新規物件獲得に向け、高層マンション向け立体駐車場を提案し、また既存保守物件への付加価値提案としてIT技術を活用した「オートゲートクローズシステム」や、今後ニーズが拡大する「EV充電システム」などを訴求し、需要を獲得していきます。

・ 当社はサステナビリティ経営を推進するために、中長期的な企業価値の向上において、重要かつ優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しています。まず「E」の環境面では、事業活動における環境負荷低減を推進します。特に温室効果ガス排出量を、2030年12月期までに2021年12月期比で30%削減する目標を設定し、削減に努めていきます。「S」の社会面では、当社製品による安心・安全・快適で環境に配慮した住空間の提供、働きやすく働きがいのある職場環境の整備、サプライチェーンマネジメント等を推進していきます。「G」のガバナンス面では、コーポレートガバナンスやリスクマネジメントの強化、コンプライアンスの徹底を進めていきます。当社はこれらの課題に取り組むことで、SDGsに貢献していきます。

・ 今回の中期経営計画の終了年度となる2025年12月期の連結業績目標は、売上高は2022年12月期比7.8%増加の445億円、営業利益は2022年12月期比15.1%増加の44億円、経常利益は2022年12月期比14.9%増加の46億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2022年12月期比15.1%増加の29億円と設定しています。この中期経営計画の 3年間は、今後、当社が飛躍するための「足場固め、基盤づくり」と位置付けており、当社グループは一丸となって収益改善に取り組み、これらの目標を達成していきます。

・ 今後の資金配分についてです。2025年12月期までの3年間での連結営業キャッシュフローは119億円を見込んでいます。こちらを原資に、配当と自己株式取得を含めた株主還元として38億円、技術研究棟や札幌製作所の移転、システム開発等の成長投資に56億円、合計で 94億円(投資計画全体の約8割)を株主還元と成長投資へ投下していきます。将来の企業価値向上に向け、効果的に資金を配分する計画となっています。

 

4.株価とPBRの状況

・ 当社の株価は収益力を伸ばしてきた2017年頃に上昇しましたが、その後は1,000〜1,500円で推移しています。足元のPBR(株価純資産倍率)は0.5〜0.6倍となっています。自己株式取得を行うことで、直近の株価は1,300円台に上昇してきましたが、今の株価にはまだまだ上昇余力があると考えています。

・ 今回、PBRの構成要素を経営指標に分解し、取締役会でも現状分析を行ったところ、資産の効率性について課題があることを認識しました。現預金の成長投資や株主還元への積極的な活用、不要な保有資産の売却など、総資産を圧縮させ、効率的に収益を上げていく体制への変革を進めることで、今後PBRを改善していきます。

 

5.株主還元

・ 当社は、株主配当を財務および資本戦略上の重要な課題の一つであると認識しています。株主様への配当方針としては、減配することなく、配当水準を維持または増配を継続することとし、2023年から2025年までの中期経営計画期間中においては、年5円増配を継続します。

・ 1株当たりの年間配当額は2023年36円、2024年41円、2025年 46円とし、8期連続の増配を実施します。なお、当社ではここ10年間で減配は行っていません。

・ 株価が一昨年前より割安に推移していたため、当社は機動的な株主還元策として、2022年11月から2023年4月にかけて、約6億円の自己株式の取得を行いました。自己株式取得を機に株価は向上しましたが、PBR は 0.5〜0.6倍にあるなど、依然として当社株価は割安な状態にあると判断したため、本年8月から2回目の自己株式取得を行っています。

・ 2023年12月期の総還元性向は40%台を見込んでいますが、将来的には増配の継続や自己株式の取得により、総還元性向50%の早期実現を目指しています。

・ 当社は、株主の皆様の日頃のご支援にお応えするとともに、当社株式への投資の魅力を高め、幅広く当社株式を保有していただくことを目的として、株主優待制度を実施しています。その内容は、12月31日の基準日時点で100株以上保有していただいている株主様を対象に、保有株式数および保有期間に応じ、500〜5,000円のオリジナルクオカードを贈呈させていただくものです。なお、当社は2011年より株主優待制度を導入していますが、2022年12月末を基準日とした株主優待からクオカード贈呈対象範囲の拡大や贈呈額の増額など、株主優待制度の拡充を行いました。

・ 配当と株主優待の利回りのシミュレーションです。試算の条件として、1株当たり年間配当額は36円、株式保有期間は3年未満、株価は2023年7月31日の終値である1,267円とします。最低単元株数の100株をご購入いただいた場合は、投資金額は12万6,700円であり、年間配当3,600円と優待の500円の合計は4,100円で、実質利回りは3.24%、3%を上回る利回りとなります。また、500株をご購入いただいた場合は、投資金額は63万3,500円で、年間配当は1万8,000円、優待3,000円の合計は2万1,000円となり、実質利回りは3.31%となります。今後も株主還元の充実を図り、株主や投資家の皆様のご期待に沿えるよう取り組んでいきます。

・ 当社は、今後も企業価値の向上と中長期的な成長に向けて取り組んでいきます。

 

6.質疑応答

Q1. 国内の住宅着工戸数が減少傾向にあり、今後住宅市場の縮小が見込まれますが、どのようにして製品や利益の拡大を図っていくのか教えてください。

A1. 今後の成長領域としまして、単価の高い電動製品や間仕切り製品を次の主力製品ととらえ、拡販を図ってまいります。電動製品は操作の快適性に加え、昨今の通信技術の進化に応じて技術革新を反映することで、さらなる進化が期待できます。また、間仕切り製品は、操作性、デザイン性、施工性に優れたパネル間仕切りを従来の『アコーデオンカーテン』の後継として捉えており、リフォーム事情が伸びていることも含め、このような間仕切りの需要は今後も伸びると考えています。今後、住宅着工戸数の減少が見込まれるなか、こうした単価の高い製品を拡販し、売上利益を確保することが必要だと考えています。

 

Q2. タチカワブラインドの製品製作において、利益率を高めるための施策をお聞かせください。

A2. 当社の主力製品におきましては、数年前より操作性、意匠性、遮蔽性などを向上させた高機能製品をラインナップしており、これらの高機能製品は通常製品より販売価格を高く設定しているため、通常の製品と比べて利益率が高くなっています。当社では2008年から2021年まで13期連続で経常利益の増益を続けてきましたが、この高機能製品の拡販も収益力の向上に大きく貢献をしたと考えています。今後も他社と差別化された高機能製品の拡販により、利益率を高める活動を進めていきます。

 

Q3. PBR1倍割れについて、タチカワブラインドの課題と取り組みを教えてください。

A3. 当社のPBRは現在0.5〜0.6倍で推移しておりますが、今回の東京証券取引所の要請を受け、改善の必要性を強く感じています。PBRに関係する項目につきましては、当社の現状をよく分析した結果、ROEの観点では総資産回転率が悪く、資産の効率性について課題があることを認識しました。より少ない資産でこれまで以上の業績をあげられるよう、現預金を成長投資や株主還元に活用していくこと、不要な資産を売却していくことなどが必要であり、取り組みを現在も進めています。また、PERの観点では、当社の属する業界は全体的に低い水準となっていますが、本年策定した中期経営計画のビジョンに「継続と進化」を掲げているように、今あるビジネススタイルを継続するだけではなく、時代のニーズに合わせて進化させることで今後の当社の業績に期待をもっていただき、改善していきたいと考えています。

 

Q4. 株価やPBRについては、どのように認識していらっしゃいますか。また、タチカワブラインドの今後の方針や取り組みについて教えてください。

A4. 当社の株価につきましては、直近10年間では2018年2月に最高値1,637円をつけ、そのときはPBRも0.88倍まで上昇しましたが、その後株価は1,000〜1,500円の間で推移し、PBRも直近は0.5〜0.6倍で推移しています。今回、東京証券取引所の要請を受けまして、資本コストや株価に関する分析評価を行いましたが、2018年前後は収益力の強化を進める一方、株主還元が十分にできておらず、ROEをさらに向上させることができていませんでした。今年2月に策定した中期経営計画では株主還元方針を策定し、長期安定的な増配の継続や増配ペースの引き上げなどの方針を掲げています。株主還元として増配の継続、自己株式の取得、また現預金の活用や不要資産の売却といった保有資産の効率性を高めることで、ROEおよび株価を向上させていくよう取り組みます。

 

Q5. タチカワブラインドの競合会社を教えてください。また、競合会社と比較し、タチカワブラインドの強みを教えてください。

A5. 当社の競合会社としましては、当社と商品のラインナップが似ており、多品種、短納期、オーダー生産などのビジネススタイルをもつメーカーとして株式会社ニチベイがあります。また、トーソー株式会社も競合会社と認識しています。株式会社ニチベイは商品ラインナップや販売構成が当社と近い会社ですが、売上規模は当社の7〜8割で推移していること、また非上場のため、信用力の面などで当社に優位性があると考えています。トーソー株式会社はカーテンレールの売上構成が高く、トップシェアの会社ですが、ブラインド類は当社の売上規模の約4割程度に留まっており、主力のブラインド類の事業は当社に優位性があると考えています。この当社を含めた3社で、主力製品の市場規模の約8割強を占めていますが、こちらは大きくシェアが変化することもなく、優位に事業展開できる状況であると考えています。

 

Q6. タチカワブラインドの株主還元において、総還元性向の目標を50%とした根拠や考え方をご解説いただけますでしょうか。

A6. 当社の配当性向は20%強で推移しており、中期経営計画終了年度の2025年には30%となる見通しです。これに推進している自己株式の取得を合わせると、総還元性向は40%を上回る水準で推移しています。今後は増配と自己株式取得により、現状を上回る総還元性向50%の早期実現を目指して邁進していきます。

 

Q7. 御社は2022年12月末時点でプライム市場上場維持基準に適合していませんが、今後もプライム市場への上場を継続するのでしょうか。スタンダード市場を選択することはないのでしょうか。

A7. 当社は2022年末におきましては、プライム市場の上場維持基準である流通株式時価総額100億円を下回りましたが、現在は株価水準が向上し、100億円をクリアしています。また、株式の流動性を高める取り組みも進めており、1日平均売買代金も上昇させてきました。こうした取り組みを進めるため、今後プライム市場の上場維持基準を下回ることは想定しておらず、スタンダード市場に移行する考えはありません。上場維持基準の経過措置の適用が終わる2025年12月以降も上場廃止となることがないよう資本政策を進めていきますので、よろしくお願いいたします。

 

Q8. 中期経営計画において、ROEの目標設定はないのでしょうか。

A8. 当社のROEは2008年から13期連続経常利益増益のなかで7%台まで上昇し、これを維持してきましたが、原材料の高騰から2022年12月期は減益に転じたことで、直近年度は5.8%に低下しています。こうした状況を受け、今回策定した2023年12月期からの中期経営計画で、今後さらに飛躍していくための基盤づくりを行い、収益力を上げていく所存です。また、連続増益を続けているなかで明確にできていなかった株主還元方針を今回策定し、還元方針の強化を進めることでROEの改善を図っていきます。ROEの目標値は明確に定めておりませんが、8%の早期達成を意識して様々な取り組みを進めていく所存です。

以上

 

 

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