GMOプロダクトプラットフォーム株式会社(3695)
開催日:2026年9月6日(日)
場 所:グラントウキョウノースタワー 18階 『大和コンファレンスホール』(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 荻田 剛大 氏
1.自己紹介・創業の経緯
- 前職の楽天勤務中の2014年、スマートフォンの通信制限を自ら経験したことがきっかけとなって起業しました。引っ越し直後で自宅にWi-Fi環境がない中、動画を視聴していたところ通信制限がかかり、この課題を解決したいと考えました。
- 街中のフリーWi-Fiに簡単に接続できるようにすることで通信制限を回避できるのではないかというアイデアのもと、楽天の新規事業として「タウンWi-Fi」の立ち上げを提案したのですが、社内審査を通過できませんでした。
- それでも、この事業を実現したいという思いから楽天を退職し、スタートアップとして起業。ベンチャーキャピタル等からの出資を受けながら、フリーWi-Fiへの自動接続機能を備えた「タウンWi-Fi」アプリをリリースしました。
- 2019年、GMOインターネットグループに会社を譲渡するかたちでグループ入りし、同グループが株式の9割程度を保有することとなりました(荻田も一部株式を保有)。
- タウンWi-Fiは順調にユーザー数を伸ばしましたが、マネタイズには苦戦しました。上場企業グループの一員(GMOタウンWi-Fi)となったことで年度目標達成へのコミットメントが求められる中、試行錯誤の末、Wi-Fi接続でスタンプが貯まり、広告動画視聴でポイントに変換、そのポイントをPayPay等に交換できる「ポイ活」機能を考案しました。これが軌道に乗り、広告動画による収益化が実現しました(2023〜2024年頃)。
- 2024年末、上場会社であるGMOリサーチ&AIの社長から連絡があり、GMOタウンWi-FiとGMOリサーチ&AIの経営統合と新会社社長就任の打診を受けました。
- これを受け、2025年に両社を統合して「GMOプロダクトプラットフォーム株式会社」として新発足。2025年4月に代表取締役社長に就任しました。
2.会社概要
- 当社は「良いプロダクトを世の中に増やす」ことをミッションに掲げています。
- 現状、消費者向けのスマートフォンアプリやWebサービスの99%はマネタイズに成功しておらず、その結果として開発が停止したり、サービスが縮小したりしているケースが多いのです。
- 利用者シェア上位1%のプロダクトが全体ユーザーの約40%を獲得し、その40%が収益全体の約90%を生み出しています。
- 一方、収益化に成功していない多数のプロダクトは投資が続かず、開発停止・利便性低下・ユーザー満足度低下という負のサイクルに陥りやすい。タウンWi-Fiもかつて、この構造の中にありました。
- 利用者シェア上位1〜5%(次の4%)にあたる層も合計で約40%のユーザーシェアを持っていますが、収益シェアは約9%にとどまっており、マネタイズの余地が大きいと当社は捉えています。
- 当社は、こうしたユーザーは獲得できているがマネタイズができていないプロダクト・Webサービスに対し、収益化のためのプラットフォーム機能を提供し、連携先企業と収益をシェアするビジネスモデルを展開しています。
- 提供機能としてはポイント付与基盤、ポイント交換、ポイントを用いた株式運用機能に加え、収益化機能としての広告配信やアンケート配信などがあります。
- 収益モデルは広告主や調査会社から得た広告・アンケート案件を連携プロダクトに提供し、ポイント運用等を通じて生じるマージンを収益として得る仕組みです。
- 現在、126のプロダクトと連携し、延べ約1,000万MAU(月間アクティブユーザー数)に対して機能を提供しており、中期的には3万プロダクト・延べ15億MAUへの拡大を目標としています。
- 連携プロダクト数・MAUは着実に伸びている一方、連携先プロダクトの中にはユーザーを維持しきれずサービス終了に至った例もあり、当社が掲げる目標水準には、まだ距離があります。ただし、足元の収益性は改善しています。
3.今期業績予想と直近決算
- 2026年12月期の業績見通しは売上高8億円、営業利益8.0億円(前期比約134%増、約2.3倍)です。
- 2025年は事業統合を含む構造改革の年でしたが、2026年は成果が表れ、上場以来最高となる営業利益を達成する見通しです。
- 上期累計実績は売上高が前年比+4%、営業利益は前年同期の1.14億円から5.58億円へと大きく伸長しました。
- 営業利益0億円という見通しは無理な上方修正ではなく、修正後計画に対する進捗率69.8%で、順調に推移しています。
- 収益モデルの多角化(従来のアンケート配信手数料に加え、広告配信やポイント運用に伴う手数料の獲得)により粗利率が向上し、営業利益の構造的な改善につながりました。
4.成長ビジョン・中期利益構造について
- 中期的な成長ドライバーは連携プロダクトの拡大によるMAUの増加です。MAUが増えることで媒体価値が高まり、広告・アンケートの単価や参加率が上昇し、収益性が向上します。
- 収益性の向上により、さらに多くのプロダクトとの連携が可能となる好循環(MAU拡大→媒体価値向上→単価上昇→収益性向上→連携拡大)を目指しており、これにより営業利益率の向上・原価率の低下を図ります。
- 株主還元については配当性向65%以上とDOE(自己資本配当率)2%のいずれか高い方を採用する方針です。
- GMOインターネットグループ独自の施策として、一定の基準を満たした株主に対してビットコイン(GMOコイン)を進呈する取り組みも行っています。
5.本日のまとめ
- 当社は「良いプロダクトを世の中に増やす」ことをミッションとして掲げ、マネタイズに苦戦するプロダクトやWebサービスに収益化プラットフォームを提供する事業を展開しています。
- 前身であるタウンWi-Fi社自身がマネタイズに苦しんだ経験を原点とし、収益モデルの提供を通じて連携先の開発投資を可能にし、プロダクトの改善・ユーザー満足度向上につなげることを目指しています。
- 目標とする規模(3万プロダクト・延べ15億MAU)には、まだ道半ばであるものの、2025年の構造改革を経て2026年は収益性の面で着実な成果が出ており、今後さらなる成長を図っていきたいと考えています。
6.質疑応答
Q1. 荻田社長が大切にされているモットーはありますか。
A1. 「成長が全てを癒す」という考えを持っています。上場企業として、成長により株主の期待に応えることが重要であり、そのための手段が成長と配当だと考えています。現在の営業利益8億円という規模は、まだ小さいと自覚しており、投資家の想定を超える強い営業利益成長が求められています。強い成長によってユーザーや社員も含めて満足度が高まると考えており、今後も成長にコミットしていきます。
Q2. 調査協力パネラーについて、国内3,000万人以上、世界130カ国に約4億人を確保していると『四季報』等で報じられているが、海外では、どの地域・国に多く分布しているか。また、今後の海外展開の中心地域はどこか。
A2. 海外パネラーの9割は東南アジアが占めており、中でも中国が最も連携数が多い。ただし、海外事業(アンケート事業)は苦戦しています。理由は現地パートナーの構築・現地採用・現地クライアント開拓といった「現地化」が、まだ進んでいないためです。現地化には相応の体力とコミットメントが必要ですが、現在の営業利益規模(8億円程度)では限界があります。まずは国内でのマネタイズ・事業基盤を強化し、その後改めて海外事業へ挑戦したいと考えており、現時点で海外事業への注力予定はありません。
Q3. マネタイズが多角化し、売上構成がアンケート・広告・ポイント運用の3分野となっているが、将来的に、この3つの比率をどうしていきたいか。
A3. 特定の分野に依存しない、強いポートフォリオを構築することを重視しています。業界・季節要因等による波は不可避ですから、不調な時期に無理に伸ばそうとするのではなく、連結全体で高い成長を実現できる強いプラットフォーム・ポートフォリオをつくることが自身の役割だと考えています。理想としては3分野を3分の1ずつのバランスにしたいと考えており、さらに収益源を4分の1、5分の1と増やしていくことで、市場環境の変化に左右されず、成長にコミットできる体制を目指します。
Q4. 市場トレンドに逆行するかたちで親子上場を続けていることが企業価値にマイナスに働く恐れはないか。
A4. その懸念はあると考えています。マーケット全体として親子上場に対してネガティブな見方があり、親子上場を理由に投資対象から除外するファンドも存在すると認識しています。一方で、GMOインターネットグループの一員であることが事業成長に最も資すると信じており、これは親会社の意向ではなく当社の判断です。その根拠としてGMOリサーチ&AIとGMOタウンWi-Fiの経営統合が挙げられます。仮に単独のままであった場合、上場基準を割り込み、上場廃止に至っていた可能性があり、グループ内であったからこそ両社のシナジーを活かした経営統合と自身の社長就任が実現したと考えています。したがって、親子上場がマイナスに働く恐れはありますが、グループに属することによるプラスの効果の方が大きいと判断しています。
Q5. 株価が低迷している。グロース市場の企業である以上、配当より成長に重きを置くべきではないか。
A5. ご指摘の通り、株価は低迷しており、株主の期待に十分応えられていないと認識しています。既存株主・新規投資家の双方から厳しい評価を受けていると受け止めています。グロース市場の企業として配当より成長を優先すべきという考えには同意します。優先順位としては、まず成長に必要な投資をすべて実施した上で、なお可能であれば配当を増やしていくという二段階の方針であり、順序としては成長を最優先としています。
Q6. 先日、ドットマネーを事業譲渡されたが、その目的を説明してほしい。
A6. ドットマネー(.money)は独自発行のポイントをPayPayや楽天など他社ポイントに交換できるプラットフォームであり、当社も従来から利用していました。同事業は、もともとサイバーエージェントが運営していましたが、先月、当社が同社より事業譲渡を受けました。詳細はNDA(秘密保持契約)の関係で言及できない部分があるが、開示可能な範囲で説明すると、ドットマネー事業は不正アクセスの発生により本年6月からサービスを停止していました。サイバーエージェントとしてはサービス再開を望んでいたものの、セキュリティ面のリスクから再開に踏み切れず、当初予定していた1カ月後の再開が延期されていた状況でした。そこで当社側から、GMOインターネットグループが有する国内トップクラスのセキュリティ体制(ホワイトハッカー等)を活用してセキュリティを担保した上でサービスを再開する提案をしたところ、話がまとまり譲渡に至りました。グループのサイバーセキュリティ面での信頼が今回の案件成立につながったと考えており、グループシナジーが発揮された事例と捉えています。事業としても有望で、本年8月分から連携・連結を開始し、来年の損益計算書から本格的に反映される見込みです。
Q7. タウンWiFiのユーザーから、最近ポイント関連のシステムトラブルがあったと聞いている。システムの安定性について、どのような対策を行うか。
A7. これはQ6で回答したドットマネー(.money)のサービス停止に伴い、ポイント交換ができなかった件を指していると推測しています。ご不便・ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。前述の通り、当社グループがドットマネー事業を引き受け、グループのセキュリティ体制のもとで運用することで、当該課題は解決に向かうと考えています。なお、AIの普及に伴いサイバー攻撃のリスクは高まっていますが、当社としてもAIおよびグループが有するセキュリティ面の知見・体制を活用し、より強固なシステム運用を実現していく方針です。
Q8. 競合他社との違いは何か。
A8. 事業領域の切り分け方によって競合は異なります。例えば、タウンWiFi(フリーWi-Fi接続アプリ)についてはNTTグループ系列の競合アプリが存在します。アンケート・リサーチ領域ではマクロミル、インテージといった企業が強い。ポイント運用については特許を保有するストックポイントが独自性の高いプロダクトを展開しています。このように個別の機能単位で見ると競合が存在し、劣る部分もあり得るが、当社の強みはそれらの機能をプラットフォームとして一括提供できる点にあり、ここが競合他社との最大の違いだと考えています。
Q9. 人材確保・人材育成についての取り組みを教えてほしい。
A9. 昨年より新卒採用を本格化させました。具体的にはGMOインターネットグループ全体で新卒採用を実施しており、新卒の年収水準として業界最高水準となる710万円を提示するなど、グループ全体でのブランディング・採用広報を強化しています。単独では実現が難しかったプロモーションや処遇の実現がグループとして可能になっており、これにより新卒採用面で優秀な人材を確保できていると感じています。実際、昨年入社した新卒社員も他の社員と遜色ない活躍を見せています。今後も新卒採用の強化を軸に人材獲得を進めていく方針です。
Q10. 株式の流動性を改善するために、どのような対策を検討しているか。
A10. 上場維持基準として求められる流通株式比率について、現状16.63%にとどまっており、25%以上への引き上げが必要な状況です。この点は最優先課題として認識しており、上場廃止という事態は絶対に避けるべく取り組んでいます。GMOインターネットグループとしても、株主への影響やレピュテーションリスクの観点から上場廃止は回避する方針です。流通株式比率が不足している主因は親会社であるGMOインターネットグループの保有比率が高いことにあるため、親会社側での保有比率調整により改善を図る考えです。インサイダー情報の関係で詳細には言及できませんが、必ず達成するとコミットしています。
Q11. 5年後、現在の会社と比べて最も変わっている点は何ですか。
A11. 5年後を見据えると、AIがどの程度、社会に浸透しているかが最大の変数であり、具体的な予測は難しい部分があります。一方で明確に言えるのは現在のマネタイズモデル(収益源)がさらに増えているという点です。もともとアンケート収入のみだったところに、この2年で広告収入、ポイント運用収入が加わり、収益ポートフォリオが着実に強化されてきたという実績があります。今後も収益モデルの多角化を進め、より強固なポートフォリオを持つ、安定的に成長できる会社になっていくことをコミットしたいと思います。
Q12. 健康経営について、具体的な取り組み・施策を教えてほしい。
A12. 正直に申し上げると、現時点で健康経営の優先順位を十分に上げられておらず、胸を張って取り組みを説明できる段階ではありません。上場企業は社会の公器であり、目先の利益ではなく長期的な利益を志向すべきであり、その長期利益にはユーザー・クライアント・株主だけでなく、周辺の地域・社会・国・世界といった広がりも含まれるべきだと考えています。そうした会社を目指したいという思いはありますが、長期的な視点を持つには、それに耐えうる会社としての強さがまだ備わっていないのが現状です。現時点では具体的な施策を打ち出せる段階になく、まずは足元・当面のユーザー・クライアント・株主のための経営を優先している状況です。
Q13. プラットフォームの実績事例や代表的な顧客企業名を教えてほしい。
A13. 現在、最も連携数が多いプロダクト群は、いわゆる「ポイ活」系アプリです。具体的にはモッピー(運営:株式会社セレス)をはじめとする大手ポイ活サービスや、楽天等のポイント発行媒体などと幅広く取引しており、ポイ活媒体における当社のシェアは高いと認識しています。ただし、連携先は約150社・150プロダクトにとどまっており、これは、もともとアンケート事業のみを展開していたことに起因します。今後はポートフォリオを強化することで連携プロダクト数・MAUを拡大し、より多くのユーザーの課題解決につなげていきたいと考えています。
Q14. 今後の成長投資と、配当をはじめとする株主還元とのバランスを、どのように考えているか。
A14. 「成長が全てを癒す」という考えのもと、グロース市場の企業として何よりもまず力強い成長を実現することが重要だと考えています。今後の成長投資としては、プロダクトとの連携拡大や企業買収など、事業成長に資する投資を最優先に行う方針です。その上で、強い成長を実現した後に配当性向を検討していくという順序で考えています。
Q15. 機能別売上高(広告・アンケート・ポイント運用)は、それぞれどのような仕組みで収益を生み出しているか。
A15. GMOインターネットグループ全体としてストック型ビジネスを志向しており、当社グループとしても各機能のストックビジネス化を進めています。
- 広告:旧タウンWi-Fi社の広告事業に由来し、TikTok・Facebook・Google等の広告ネットワークと連携することで自動的に広告が配信される仕組みとなっています。ユーザー数の増加や広告視聴に適したUX改善が進めば、自然と売上が積み上がっていくストック型のビジネスです。
- アンケート(調査会社向け):旧リサーチ社が苦戦していた要因は営業活動への依存度が高かったことにありましたが、この1年半ほどで調査会社との関係を深化させ、調査会社から案件が来た際に優先的に当社への配信・回収依頼が入るような関係性(定常受託化)の構築を進めており、これによりストックビジネス化を図っています。
- ポイント運用:発行済みポイントの残高に応じてこれを運用し、その運用益からマージンを得るシンプルな仕組みであり、発行ポイントの規模が大きくなるほど収益も拡大します。これもストック型のビジネスモデルです。
以上
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