ジーエルテクノホールディングス株式会社(255A)
開催日:2026年8月22日(土)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 長見 善博 氏
1. 会社概要
・ 私は、1982(昭和57)年に当時の社名であるガスクロ工業株式会社大阪営業所に入社しました。その後、当時新設された広島営業所に4年勤務し大阪に戻りました。2007(平成19)年には、中国・上海の株式会社島津製作所様との合弁会社に出向し、2012年に帰国、2015年に取締役社長に就任しました。そして、2024(令和6)年の経営統合に伴い、ジーエルテクノホールディングス株式会社の代表取締役社長に就任しました。
・ 当社の原点は、1968(昭和43)年2月1日に設立したガスクロ工業株式会社で、分析機器事業で創業しました。また、1976(昭和51)年には株式会社ガスクロ・ヤマガタを設立しました。ガスクロ・ヤマガタは元々石英ガラスの加工工場でしたが、後に半導体事業に進出し、現在では当社を牽引する主要事業となっています。1990(平成2)年にガスクロ工業はジーエルサイエンス株式会社へ、1991年にガスクロ・ヤマガタはテクノクオーツ株式会社へと商号変更しました。2013(平成25)年にジーエルサイエンスの一部門として存在したRFIDを中心とする自動認識事業を分社化して、ジーエルソリューションズ株式会社を設立しました。そして、2024年に経営統合を行い、ジーエルテクノホールディングス株式会社を設立しています。
・ 当社の事業は半導体だけではありません。最近はAIの普及などを背景に半導体への注目が非常に高まり、投資家の皆様からの注目度も高いことと思います。そのため、当社も半導体関連銘柄として認識されることが多くなりました。確かに半導体事業は当社の成長を牽引する重要な事業であり、市場の拡大を背景に今後もさらなる成長が期待される事業です。しかし、もし当社を半導体の会社とだけ見ていらっしゃるとしたら、それは当社の魅力の半分しか見えておりません。当社には、主力の半導体事業に加え、景気変動の影響を受けにくい分析機器事業もあります。つまり、成長だけではなく安定も兼ね備えている、それがジーエルテクノホールディングスです。
・ 当社は3つの事業を展開しています。半導体事業(テクノクオーツ)は、AIやデータセンターの普及、自動車の高度化などを背景に、今後も高い成長が期待される市場です。当社グループの成長を牽引する重要な事業の1つです。分析機器事業(ジーエルサイエンス)は、食品や医薬品、水質分析など、人びとの暮らしに欠かせない分野で活躍しています。自動認識事業(ジーエルソリューションズ)は、セキュリティ関連システムや公共システム等、社会インフラを支える幅広い分野で事業を展開しています。成長と安定のポートフォリオをもっていることが、当社グループの強みです。
・ 当社グループの2026年3月期業績は売上高471億円、営業利益71億円と、いずれも過去最高額を更新しました。グループ全体では14社、約1,200名の従業員が事業を支えています。また、自己資本比率75.4%、ROE(自己資本利益率)11.4%と健全な財務基盤と資本効率の両立を図っています。
・ 当社の大きな特徴の1つが、売上の7割以上を占めるストック型収益です。ストック型収益とは、サブスクなどの定期的なものに加え、製品の継続利用に伴って繰り返し得られる収益を指します。例えば、家庭用プリンターはプリンター本体購入後も、インクを繰り返し購入します。当社も同様に繰り返しご購入いただく製品を数多く提供しています。こうした継続的な売上の積み上げが、安定した収益基盤につながっています。そして、安定した収益基盤があるからこそ、将来に向けた積極的な成長投資が可能になっています。
・ 過去10年間、コロナ禍や中東情勢等、企業を取り巻く環境は、決して順風満帆ではありませんでした。しかし、当社は外部環境の変化が続くなかでも着実に事業を成長させてきました。当社は成長が期待できる分野へ積極的に投資する一方で、安定した収益基盤を大切に育ててきました。だからこそ、外部環境が変化しても成長を続けることができています。当社はこの実績をゴールではなく、これからの成長を支える土台だと考えています。
・ 株価、時価総額ともに10年で10倍以上に成長しました。着実な業績の積み重ねに加え、将来を見据えた成長投資を進めてきたこと、さらには資本効率を意識した経営などが市場から評価された結果であると考えています。
・ 2026年3月に流動性改善のために金融機関が保有する政策保有株式の売り出しを行いました。また、売り出しによる一時的な株価への影響を緩和するため、自己株式の取得も実施しています。直近では、出来高も上昇し取引も活発化しています。今後も投資家の皆様に投資していただきやすい環境を整えることで、企業価値のさらなる向上を目指してまいります。
・ 当社は着実な成長を続け、市場からも一定の評価をいただいています。ただ、企業が成長するだけでは、本当の意味で企業価値が高まったとは申せません。その成果を株主の皆様に還元していくことも、非常に重要な経営方針の一つとしています。安定的かつ継続的な配当を基本方針に、配当性向30%以上を目安に株主還元の充実に取り組んでいます。
・ 配当金は着実に増加しており、2027年3月期は年間126円、7年連続の増配を見込んでいます。今後も企業を成長させながら、この成果を株主の皆様へ着実に還元していく好循環を継続していきたいと考えています。
・ 当社グループは、14社の連結子会社を有しています(2026年3月末時点)。従業員数は約1,200名(2026年3月末時点)です。日本国内だけでなく、中国、ベトナム、アメリカ、ヨーロッパなど世界各地で事業を展開しています。当社の海外売上比率は42.4%(2026年3月期)と、約4割を占めています。特定の地域や市場に依存することなくグローバルに事業を展開していることも、当社グループの強みの1つです。国内外に需要があるからこそ、私たちの成長の可能性も世界に広がっています。これからもお客様との関係を深めながらグループ全体のさらなる成長を目指してまいります。
・ 当社の魅力のポイント1つ目は、売上の7割以上が安定的なストック型収益であることです。2つ目は、当社は成長投資拡大フェーズにあること、3つ目は7年連続の安定増配です。
2. ストック型収益のビジネスモデル
・ ポイント1つ目は、売上の7割以上を安定的なストック型収益が占めている点です。当社の連結売上高の9割以上は、主力である半導体事業および分析機器事業が担っており、この2つの事業に共通する最大の強みは、定期的な交換需要が発生する消耗品が中心であるという点です。一度採用されれば継続的に収益を生み出す構造です。
・ 安定した収益基盤があるからこそ景気の変動に左右されにくく、将来に向けた積極的な設備投資や研究開発にも挑戦することができます。安定があるから挑戦ができる、これが当社の成長を支える大きな強みです。
・ 売上の半分を占めるのが半導体事業です。当社が製造するのは、半導体そのものではありません。半導体を製造する装置で使用する、石英ガラスや結晶シリコンを加工した消
耗品です。
・ 当社では、原材料をお客様の装置仕様に合わせて加工し、アプライド・マテリアルズ社をはじめ世界を牽引する半導体製造装置メーカーへ販売しています。当社製品が組み込まれた製造装置は、半導体メーカーの工場で使用され、ここで作られた半導体が最終的にはスマートフォン、パソコン、自動車へと組み込まれます。当社製造の消耗品がなければ、最先端の半導体を安定して製造することはできません。当社は、世界の半導体産業を支える存在です。
・ 当社の消耗品は、より高い技術が求められる前工程の酸化・成膜およびエッチングの工程で使われています。この工程は、強力な薬品が使われたり、高温にさらされたりと、非常に過酷な環境です。そのため、消耗が早く定期的な交換が欠かせません。半導体が作られるかぎり、継続的な需要が見込めます。これが、半導体事業における消耗品のストック型ビジネスの強みであると認識しています。
・ 半導体製造装置に使用される石英ガラスの部材には、非常に高い加工精度と品質が求められます。当社の強みは、火炎加工と機械加工という2つのコア技術を合わせもっていることです。火炎加工では複雑な形状にも対応し、機械加工ではミクロン単位の高精度加工を実現しています。2つの技術を組み合わせることで、お客様のさまざまなニーズに応え、高付加価値製品の製造を可能にしています。
・ 当社の強みは、石英ガラスに付加価値を生み出す加工技術です。高度な加工技術と品質こそが、世界トップクラスの大手メーカーにパートナーとして選ばれ続ける理由であり、将来の成長を支える大きな強みになっています。
・ 当社のもう1つの柱は、分析機器事業です。例えば、オレンジジュースにはビタミンをはじめさまざまな成分が含まれていますが、それぞれの成分がどの程度含まれているのか、体に有害な成分や不純物が混ざっていないかなどは、見た目だけではわかりません。こうした目に見えない成分の量を測り、数値として見える化するのが、成分分析です。この分析に欠かせない主力製品の1つが、カラムという消耗品です。
・ カラムは分析の心臓部を担う役割をもっています。分析を行うたびに消耗するため、定期的な交換が必要になります。そのため、カラムは一度ご採用いただくと継続的な販売につながり、安定した収益基盤を支えるストック型ビジネスになります。つまり、一度きりの販売ではなく、継続的に収益を積み重ねることができることが、この事業の大きな強みです。
・ 分析機器事業では、特定の業界だけではなく、食品、医薬品、環境、化学、大学・官公庁など、非常に幅広い分野のお客様がいらっしゃいます。例えば、食品では安全性の確認、医薬品では品質管理、環境分析では水質検査など、当社の製品は人びとの健康や安全、また社会を支えるさまざまな場面で活躍しています。1つの業界の景気が悪くなったとしても、すべてのお客様の需要が同時に落ち込むことはありません。幅広い顧客基盤こそが、景気変動に左右されにくく安定した収益構造を作っています。
・ 現在、分析機器事業に市場の追い風が吹いています。ニュースでも話題になるPFAS検査の義務化です。安全な暮らしを守るため、水道水などの定期的な検査が法律で義務化されました。これにより検査に使う消耗品の需要が拡大しています。当社のPFAS用の消耗品販売数量は、前期比で約2倍へと急成長しました。一過性のブームではなく、継続して定期検査で使用され続ける持続的なストック型ビジネスとなります。
・ 当社では、この大きな需要を確実に捉えるため生産体制も整えています。半導体事業だけでなく分析機器事業でも、人びとの安全と安心を支える製品を提供しています。消耗品の継続的な需要によるストック型ビジネスこそが、当社の安定と成長をさらに強固なものにしています。
3. 持続的な成長への戦略投資
・ 当社の魅力のポイント2つ目は、現在、当社が成長投資拡大フェーズにあるということです。半導体事業の業績推移は、市場の拡大を背景に売上高、営業利益ともに着実に成長を続けています。2026年3月期、半導体事業の売上高は約236億円、営業利益は約46億円と、過去最高額を更新しました。
・ 市場環境の追い風もありますが、長年培ってきた技術力や品質、お客様との信頼関係があってこその結果だと考えています。そして、ここがゴールではなく、さらに成長するためのスタートラインです。ここで満足することなく、さらなる成長に向けて当社は今まさに投資を進めています。
・ 2026年3月期は受注高、受注残ともに大きく伸びています。半導体市場の回復を背景に、半導体メーカーによる設備投資が活発化してきたことが要因です。また、受注残が積み上がっていることから、将来の売上につながる案件も着実に増えています。これは、今後の事業拡大を支える重要な指標の1つだと考えています。
・ AI、データセンター、自動運転など、半導体が活躍する分野はますます広がっています。世界の半導体市場の規模は、2025年の119兆円から、2027年には300兆円に急成長すると言われています。2027年までのわずか2年間で2倍以上の成長が予想されています。
・ 市場拡大は、当社にとっても大きなチャンスだと考えています。重要なのは拡大していく需要に応えられる供給体制を整えられるかどうかです。当社では市場の成長にしっかり対応できるよう、大規模な投資を進めています。市場の成長チャンスに、売上高と利益の成長を着実に結びつけてまいります。
・ 市場拡大を見据え、当社では3年間で約120億円の大規模な設備投資を進めています。大きな投資ですが、今だからこそ投資すべきタイミングだと判断しました。当社は目の前の需要に対応するだけでなく、その先にある市場の成長性まで見据え、今から生産体制を整えています。安定した収益基盤があるからこそ、未来への成長投資を積極的に行えます。これも当社の強みの1つです。短期的な利益よりも中長期的な企業価値の向上を重視した投資を進めていきます。
・ 半導体事業では、ベトナムに新工場を建設しています。実はこの工場建設は、2024〜2026年の中期経営計画の予定には入っていませんでした。しかし、半導体需要の拡大スピードが想定以上だったことから、供給体制の強化が必要だと判断し、新たに建設を決定しました。投資総額は約50億円、完全稼働時には約30億円規模の年間売上高を見込んでいます。さらに生産拠点の分散によるリスク低減、人件費の削減など、将来の利益につながる効果も期待しています。市場環境の変化に迅速に対応できることも、当社の価値の1つであると考えています。
・ 福島県喜多方市にある生産棟が、2026年5月に稼働を開始しました。将来の需要拡大に対応できる生産体制の構築を目的に自動化設備を導入しています。生産能力は増設前の約1.5倍です。この投資の狙いは生産能力の増強だけではありません。自動化によって品質の安定化、さらには人手不足にも対応できます。売上拡大だけでなく利益率の改善にもつながる投資であると考えています。
・ 山形県山形市に火炎加工の生産能力を増強するための設備拠点を増設します。生産能力は従来の火炎加工の約2倍を見込んでいます。火炎加工は高度な技術が必要です。当社の火炎加工技術を活かした、より加工難易度が高く、付加価値の高い製品を安定供給できる体制を整えることを目的に投資しています。
・ 高付加価値製品は、競争優位性の確立のみならず売上拡大による利益率向上にもつながります。生産能力だけでなく利益を生み出す力そのものを高めていきます。そして、この投資は、より収益性の高い事業構造へ進化させるためでもあります。
・ もう1つの柱である分析機器事業でも積極的な投資を進めています。埼玉県入間市に生産拡大拠点を増設し、2025年10月に生産棟の稼働を開始しました。近年、分析に対するお客様のニーズはより複雑化、高度化しています。標準的な製品を提供するだけでなく、お客様のニーズに合わせて製品仕様を最適化することが求められています。お客様のニーズにこれまで以上に幅広く対応するために、この生産棟を増設しました。投資額は約12億円で、生産能力は約3倍になります。
・ 分析機器事業は景気変動の影響を受けにくく、当社の安定した収益基盤を支えている事業です。その安定した基盤があるからこそ、半導体事業への積極的な投資も可能になります。安定と成長の両輪で企業価値を高めている点が、当社グループの特徴です。
・ 2026年3月期には、8件の新製品をリリースしました。その代表例が主力製品である液体クロマトグラフ用カラムです。世界最高水準の耐アルカリ性・安定性を備えた製品で、既に日本国内のみならず海外市場でも高く評価されています。これからも研究開発への投資を続け、将来の新たな収益源を育ててまいります。
・ 設備投資や研究開発は、すべて将来の売上高利益を伸ばすための先行投資です。当社は短期的な利益だけを重視するのではなく、5年後、10年後も選ばれ続ける企業であるための基盤づくりを進めています。市場拡大という追い風のなかで、生産力、開発力、そして供給体制を着実に強化し、持続的な成長と成長価値の向上を目指してまいります。こうした投資の成長が、今後少しずつ業績に表れてくることを、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
4. 株主還元
・ 当社の魅力のポイント3つ目は、7年連続の安定増配です。株主還元につきましては、配当性向30%以上の方針のもと、安定的かつ継続的に右上がりの増配を行っています。
・ 2027年3月期の年間配当は、前期からさらに3円増配し126円を見込んでいます。経営統合前から含め、7年連続で増配予定です。
・ 将来の企業成長のための投資と株主の皆様への還元とのバランスを図りながら、引き続き安定的な配当の維持に努めてまいります。
5. 本日のまとめ
・ 1つ目は売上の7割以上が安定的なストック型収益であること、2つ目は当社が今成長投資拡大フェーズにあること、3つ目は7年連続の安定増配です。
・ 安定した収益基盤があるからこそ大胆な成長投資ができます。そして、その成長の成果を株主の皆様と分かち合う好循環こそが、当社の最大の強みです。
・ 投資家の皆様からのご期待に、持続的な企業価値の向上という結果で、しっかりとお応えできるよう、全社一丸となって邁進してまいります。
・ これからもジーエルテクノホールディングスの挑戦に、ぜひご期待いただき、応援いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
6. 質疑応答
Q1. 2024年10月の持株会社化後、2年近く経過していますが、そのメリットはどういったところに表れていますか。
A1. 経営統合から約2年経過していますが、管理部門の効率化や経営資源の配分、営業、商流面を中心にメリットが出ています。例えば、ベトナム工場の新設を早期に決定できたこと、また自動認識事業の製品を分析事業の顧客へ販売することを強化しています。さらには3事業間での人的交流をより活性化しています。事業所も3事業間で兼用できるところは兼用しています。
Q2. 個人株主の獲得に向けて株主優待を導入するお考えはありますか。
A2. 現在、株主優待制度を導入する具体的な予定はございません。まず、安定した配当の継続が基本であると考えています。また、本日のような個人投資家の皆様との接点を増やすことも重要であると思っています。ただ、中長期的な課題として、今後検討していく可能性はございます。
以上
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