株式会社リンクアンドモチベーション(2170)
開催日:2026年8月22日(土)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役会長 小笹 芳央 氏
1. 会社概要
・ 私は、1961年大阪生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社しました。リクルート時代14年間のうち前半7年間は人事部人事課採用担当でした。その時に、採用人材こそが企業にとって最も重要、最強の資源であると確信しました。
・ リクルート時代の後半7年間は、組織人事コンサルティング室で責任者を務めました。広告会社リクルート初のコンサルティング部門です。コンサルティング室長時代に多くの経営者と出会いましたが、業界、会社の規模、歴史が異なっていても経営者には共通の悩みがありました。それはいかに社員のやる気を高め、やる気を束ねるかという問題です。これこそ、経営者が悩むテーマであると確信しましたが、当時、業界には社員のやる気に着目するコンサルティング会社はありませんでした。そこで、今から26年前に世界で初めてモチベーションにフォーカスしたコンサルティング会社、株式会社リンクアンドモチベーションを立ち上げました。
・ モチベーションという言葉もまだ一般的ではなかったため、早く普及させようと思い、「モチベーション・マネジメント」や「モチベーション・リーダーシップ」等、モチベーションとタイトルのつく書籍を年間3〜4冊発行しました。現在までに28冊を発行しています。また、「日経スペシャル ガイアの夜明け」(テレビ東京系列)や「日経スペシャル カンブリア宮殿」(テレビ東京系列)等のテレビ番組にも取り上げられました。
・ 当社グループのミッションは、「私たちは モチベーションエンジニアリングによって組織と個人に変革の機会を提供し 意味のあふれる社会を実現する」です。このミッションのもと、グループ16社が束ねられています。
・ 基幹技術のモチベーションエンジニアリングを基盤に大きく3つのDivision(ディビジョン)で事業を展開しています。組織開発ディビジョンは、創業来の事業です。コンサル・クラウド事業とIR支援事業の2事業を含みます。個人開発ディビジョンは、B to Cの個人向けのビジネスで、キャリアスクール事業と学習塾事業で構成しています。マッチングディビジョンは、ALT配置事業と人材紹介事業で構成しています。ALTとは、アシスタント・ランゲージ・ティーチャーのことで、英語の補助講師です。外国籍で英語がネイティブの人材を国内外から採用して、全国の小学校・中学校・高校に派遣しています。民間では、圧倒的なシェアを誇る事業です。
・ 加えて、ベンチャー・インキュベーション事業も行っています。CVC(Corporate Venture Capital)として、コンサルティングだけでなく資本参画も行い上場まで一貫して支援します。
・ 基幹技術のモチベーションエンジニアリングの前提の1点目は人間観です。人間は完全合理的な「経済人」ではなく、限定合理的な「感情人」であると位置づけています。これは2002年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者、ダニエル・カーネマン氏の本の帯に書かれていたフレーズです。「人は勘定ではなく、感情で判断する」ことから、限定合理的な「感情人」であると言い、ある程度は合理的に考えたりするものの、感情が大事であることを示しています。
・ 「感情人」への報酬としては、金銭報酬が大前提です。それ以外にも、自分は誰かの役に立ったという貢献欲求を満たすこと、自分は認められているという承認欲求を満たすこと、さらには良いチームワークのなかで働く親和欲求、成長欲求を満たすことを含めて、私たちは感情報酬と呼んでいます。金銭報酬だけでは人を動かすのは難しいので、感情報酬もうまく作り出すことが重要です。
・ 金銭報酬は、誰かが多く取れば、誰かは我慢するというゼロサムゲームの宿命を負っています。感情報酬は、経営者がその気になれば、いくらでもその原資を社内で生み出すことができます。金銭報酬も大事ですが、それに加えて感情報酬をたくさん作り出せる経営が一番強いという考え方をもっています。
・ 基幹技術のモチベーションエンジニアリングの前提2点目は組織観です。組織は要素還元できない「協働システム」です。5人の組織の場合、Aさん、B君、C、D、Eと5人のチームという数え方が普通ですが、協働システムと考えた場合、AとB、BとC、CとD等、それぞれの間に関係性の線ができます。この場合の線は、5×4÷2で10本あります。例えばこのチームに仕事が増えて5人増えると、数え方では10人になります。人数を2倍にした普通の数え方です。ところがシステムとした場合、10人の線は、10×9÷2=45本になります。もともと10本だったものが45本になるため、4.5倍の合意形成となり、意思疎通が難しく、複雑性が増大します。
・ 組織の問題は「人」ではなく、「間」に生じるという考え方です。例えば、営業部門と技術部門の間、本社と各店舗の間、階層で申しますと、トップとミドルの間に問題があったり、あるいはミドルと現場の間の疎通がうまくいってないなど、問題は「人」ではなく「間」にあります。組織を見つめ問題を発見し、「間」をつなぐ考え方です。
・ 5人が10人になったら45本、100人になったら4,950本になります。当然、チームを分けて10人チームを10個作り、リーダーを置きます。10人ですから45本、それが10個あると、さらにリーダー会というチームができますので、全体で495本になり、複雑性を縮減することができます。当社は、こうした内容で企業を支援しています。
・ モチベーションエンジニアリングには、2つのステップがあります。診断と診断結果に応じて変革改善をするステップです。
・ 組織開発ディビジョンの中心は、コンサル・クラウド事業です。エンゲージメントを切り口にスコアで見える化する当社のプロダクト「モチベーションクラウド エンゲージメント」は、エンゲージメントマーケットにおいて10年連続でシェアNo.1を誇り、膨大なデータを蓄積しています。コンサルティングは、診断結果に応じて採用支援、人材育成、人材開発支援、評価・報酬制度の設計から運用支援、風土変革等で、年間約900社を支援しています。
・ IR支援事業は、上場企業のIRレポート、動画配信、決算発表の支援をしています。現在、上場企業約4,000社のうち、当社のお客様は約1,000社です。
・ 個人開発ディビジョンでは、キャリアスクール事業と学習塾事業を展開しています。キャリアスクールは、校舎数で約150校、学習塾事業は全国で13校を開校しています。
・ マッチングディビジョンのALT配置事業は、年間約3,500人の外国籍・英語ネイティブの人材を全国の小学校・中学校・高校に派遣しています。民間では圧倒的なシェアNo.1を誇る事業です。
・ 上場子会社のオープンワーク株式会社は、国内最大級のクチコミプラットフォームです。累計社員クチコミ数が約2,190万件で、元社員、現社員が会社についてリアルなクチコミを書いています。最近では、新卒学生の大半がオープンワークのクチコミ情報を参考にし就職活動をしている状況です。
・ インキュベーションは、これまで28社ほど業界を特に定めず出資しました。そのうち12社が上場ないしはバイアウトでイグジットに成功しています。イグジット率は42.9%です。この1年でさらに上場あるいはバイアウトする企業が出てきますので、かなり高確率でイグジットに成功する見込みです。
2. 注力事業
・ 3つのディビジョンのなかでも組織開発ディビジョンのコンサル・クラウド事業が、成長可能性が高いと考え注力をしています。企業と個人を取り巻く環境として、商品市場においては企業の競争優位の源泉が箱物のハードからソフト力に変わってきており、商品のライフサイクルも短サイクル化しています。一方で、労働市場も転職が当たり前となり、かつての企業と働く個人の相互拘束型の関係から、お互いに選び合う関係に変化しています。人材が流動化し、労働力人口も減少するなかで、企業が労働市場に適応することが大事になります。
・ 例えば、商品市場への適応度合いでは、P/LやB/S等の財務情報があります。しかし、労働市場に対する適応度合いのモノサシは、これまでありませんでした。そこで当社が生み出したのが、エンゲージメントスコアです。労働市場に適応していくためには、従業員エンゲージメントの向上が不可欠な状態であり、エンゲージメント状態を可視化することが重要です。しかもエンゲージメントスコアは、営業利益率やROIC(投下資本利益率)等の指標と正の相関が見られます。人的資本では、女性の管理職比率、男性の育児休暇取得率等の義務がありますが、それらは業績との相関がまったく出ていません。唯一出ているのはエンゲージメントです。現在、上場企業のうちエンゲージメントを開示している会社は1,500社を超えています。それぐらい重要な指標になってきています。
・ 当社はエンゲージメントという切り口で組織の健康診断を行い、診断結果に応じてコンサルティング等でエンゲージメント向上に向けたサポートを行っています。当社の「モチベーションクラウド エンゲージメント」は、圧倒的なシェアNo.1の製品です。国内では最大級のデータベースのため、偏差値としてエンゲージメント状態を同じ業界、業種で比較し位置づけを伝えることができます。
・ 具体的な診断には、会社と個人の相思相愛度合いに影響する16領域のエンゲージメントファクターを用います。例えば、理念戦略、組織風土、給与などの制度待遇、対上司、対職場等のファクターがあります。16項目について5段階で、「あなたは会社にどの程度期待しますか」と期待度を聞きます。さらに、同じ質問に対して今度は満足度を聞きます。縦に期待度、横に満足度をマトリックス化するとスコアが出ます。これは会社によってマッピングが変わってきます。
・ 最も大事なのは、組織が束ねられてエンゲージメントされているのかを、明らかにすることです。また、どの項目を改善すれば全体のエンゲージメントスコアが上がるのか、それをしっかり診断してコンサルティングも含めてサポートをしていきます。この期待度と満足度が特許事項です。
・ お客様の課題に応じた多様な変革ソリューションで、採用、育成、制度、風土の一気通貫での組織変革支援が可能です。採用戦略の設計、面接官の育成、階層別・テーマ別研修、人事制度設計から運用支援、組織風土の設計から理念浸透設計等々、ワンストップで対応しています。エンゲージメントを測定するプロダクトをもつ会社は他にもありますが、調査を行うだけで診断後のサポートはありません。診断、変革のサポートの両方をできるのが、当社の最大の強みになっています。
3. 中期的な成長戦略
・ 2025年12月期の売上収益(売上高)は415億円でした。2026年末時点では、467億円と過去最高売上収益を予想しています。
・ 2026年2月に中期経営計画を公表しました。2030年時点で営業利益150億円、ARR(年間経常収益)240億円の達成を目指しています。そのマイルストーンとして2028年における営業利益100億円、ARR150億円を計画し、これに向けて現在全社一丸となって動いています。
・ 安定的な成長に向けては、ARRが上がっていくことが重要で、全社そこに注力をしている状況です。ARRを上げる方法には、既存サービスの拡大と、新規サービスの拡大の2段階があります。
・ 既存サービスの拡大では、業界ごとの深耕を進めています。各業界トップクラスの大手企業に導入されている「モチベーションクラウド」を、業界の中堅企業にも拡大していきます。トピックスとして、運輸業界では、JR九州(九州旅客鉄道株式会社)様、JR西日本グループ(西日本旅客鉄道株式会社)様への新規契約がスタートしました。今期(2026年12月期)の第2四半期だけでも製造業21件、建設業5件、エネルギー2件、運輸5件と導入が拡大しています。
・ 組織に困っているのは、企業だけではありません。最近、依頼が多いのは地方自治体です。自治体においても組織の状態を診断し、改善、変革することへのニーズが高まっています。支援実績は、現在9庁を含む26組織まで増加しています。徳島県や宮城県も「モチベーションクラウド エンゲージメント」を導入しています。企業のみならず自治体にも既存サービスが拡大します。
・ 新規サービスとして、「モチベーションクラウド」の診断、変革のラインナップシリーズを拡大しました。2026年4月に採用支援サービス、8月にマネジメント支援サービスをリリースしました。
・ 採用支援サービスの「モチベーションクラウド エントリーマネジメント」は、リリース後3ヶ月でARRが2億円を突破し、順調に新規サービスとして立ち上がっています。2026年8月にリリースしましたマネジメント支援サービス「モチベーションクラウド マネジメント」は、マネジャーの代わりにAIがメンバーの相談にのります。その結果、マネジャーは、本来使うべきところに時間を使えます。基本的には、時間不足の解消、マネジメントスキル不足を解消するサービスです。
・ 長期的には海外展開を拡大していきます。現在、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアの5ヶ国に現地法人を設立しています。まず、アジアから始め、将来的には北米、ヨーロッパに展開することを考えています。
・ 目指すべき当社のポジションは、「グローバルな人的資本経営プラットフォーマー」です。海外でも期待度と満足度というアンケート方法が普遍的で、どの国においても通用します。海外事業は立ち上げからまだ2年ですが、来年早々に黒字化する勢いで成長をしています。
4. 株主還元
・ 当社は、四半期配当を実施しています。設立当初から3ヶ月が1年というくらいのスピードで経営することを考えていました。創業直後は、上場を目指すベンチャー企業、上場直後のベンチャー企業がお客様に多かったため、非常にスピードがありました。当社もそのスピードに負けないように、3ヶ月ごとのカレンダーで運用しています。3ヶ月を1年と考える経営をしてきましたので、配当につきましても四半期配当を継続しています。
・ 年間配当額は2011年以降、順調に増配を継続しています。2026年12月期の年間配当は16.4円を予定しています。業績の状況に応じて、その都度株主還元を強化していきたいと考えています。
・ 自己株式取得を通じてROE(自己資本利益率)を向上させようと、過去最大規模の60億円の自己株式取得を実施中です。2026年7月末時点の取得価額の総額における進捗状況は54.11%、取得株式の総数における進捗状況は47.01%です。8月末まで自己株式取得を着実に進めていく予定です。
・ 2025年8月から株主優待制度を導入しました。年に2回、デジタルギフト、QUOカードを進呈しています。できるだけ多くかつ長期に株式を保有いただくことが目的です。
・ 通常の配当利回りと株主優待を合わせた総合利回りは6%を超え、プライム市場平均を大きく上回っています。
5. 質疑応答
Q1. SaaS(Software as a Service:サービスとしてのソフトウェア)市場では、競争が激化していますが、「モチベーションクラウド」が今後も高い成長率を維持するための差別化ポイントについて教えてください。
A1. 「モチベーションクラウド」は、非常に特徴的なアンケートの取り方をします。期待度と満足度というマトリクスで、これは特許事項ですので他社は真似ができません。そして、私たちがファーストランナーですから、最大規模のデータベースを25年間蓄積しています。これを優位性として成長していきたいと思っています。具体的には、既存サービスを大手企業だけではなく、中堅・中小企業、さらには地方自治体、海外にも拡大します。トータルでストック収益が今後も高まっていくと考えています。
Q2. コンサル・クラウド事業において、AIの進化は、御社にとってリスクと捉えているか、機会と捉えているか、その理由も合わせて具体的に教えていただけますか。
A2. 結論から申し上げますと、大変な追い風だと捉えています。AIが急速に進化していくことで、作業や調査が簡単にできるようになります。結局、AIに代替される人材と、AIとうまく並走していける人材が出てきます。簡単に申し上げれば、今後、企業は人材の質へのこだわりが強くなります。「モチベーションクラウド」の採用支援サービスは、リリース後すぐに受注が増えました。それは企業が人材の質にこだわり始めているからです。つまり、人手不足ではなく人材不足になるということです。本当の意味での人材力の向上と、人材の相互作用、組織力やエンゲージメントも含めて高めていくという部分の需要が、AIのおかげで広がっていると実感しています。
Q3. ベンチャー・インキュベーションの会社は、どのような基準で選んでいるのでしょうか。
A3. 当社のモチベーションエンジニアリングの考え方に先方の経営者の共感度があるかどうかです。「モチベーションクラウド」を導入しているかどうかが、1つの目安になります。私もリクルートで人事の採用をしていましたから、人を見抜くことにおいては自信があります。経営者と話をし、一緒に食事をして、この人物は最後まで上場を諦めずにやり切るか、途中で挫折するのではないか等を見ています。結論的に申しますと、業種業態よりは、当社の考え方への共感度と経営者の人物像の2点をモノサシに、出資するしないを決めています。
Q4. 大手企業への新規導入が決まっておりますが、営業活動についてお聞かせください。御社の実績や評判で先方から引き合いがあるのでしょうか。
A4. 大手企業へのアプローチに力を入れ始めたのは約5年前です。営業が最初の接触をもってから受注するまでに約3年はかかります。それがようやく花開いてきた状況です。業界別に深耕しているため、業界団体の紹介もあります。単に電話をかける営業ではなくなってきました。現状としましては顧客からの紹介、あるいは顧客のグループ会社、海外の現地法人といった形で広がっています。
Q5. モチベーションエンジニアリングについては、会長がリクルート在籍時に気づいていたのでしょうか。
A5. リクルート時代には、優秀な人材をいかにリクルートに採用するかということを通じて、入社モチベーションを高める仕事をしていました。また、組織人事コンサルティング室長時代には、多くの経営者と会いました。当時、モチベーションという言葉はなく、単に「やる気」と言っていましたが、多くの経営者はどうすれば社員のやる気が出せるか悩まれていました。その重要性につきましては、すでにリクルートから独立するときには気づいていました。しかし、モチベーションエンジニアリングという技術体系ができたのは、当社設立から1年後です。
Q6. 御社の競合会社を教えてください。また、競合他社と比較して御社の強みを教えてください。
A6. ダイレクトな競合はおりません。例えば、診断の部分では、社員・従業員満足度調査等、廉価な製品を売っている競合があります。しかし、診断も変革も行うというトータルで見たときの競合はおりません。競合があるとすれば、社員のモチベーションやエンゲージメント等は、当社に頼らず自社で行うという場合です。つまり、プレイヤーとして直接ぶつかる競合は存在しません。ただ、エンゲージメント調査におきましては、外資系を中心に何社か競合がいます。そして、コンサルティングの場合でも採用支援、人材開発研修等という視点で見れば何社かはありますが、直接に競合と言える会社は存在しません。
Q7. 「会社四季報」のV字回復銘柄として注目しております。柱のコンサル・クラウド事業が、新設の組織変更対応サービスを武器に、大手企業を軸に導入数を拡大するとありますが、大手企業への新規開拓営業は御社自前の組織で行うのでしょうか、それとも代理店を経由した営業スタイルでしょうか。
A7. これまで26年間歩んでまいりましたので、途中で提携先を見つけて、当社のプロダクトを売っていただくというチャレンジも試したことはありますが、1度も成功しませんでした。つまり、当社が行っていることが難しいので、誰かに売ってもらうことはうまくいかず、結論を申し上げますと、すべて自前でやっている状況です。
Q8. 御社の社員のモチベーションはどうですか。モチベーションが優秀なら、御社の成長は期待大ですか。
A8. これは決算発表で定期的に当社のグループ16社のエンゲージメントレーティングを開示しています。大変ありがたいことに非常に高い状況で、一番上のAAAが16社中14社あります。そうした意味では、エンゲージメントの高さに甘えながら経営している部分もあると思っています。
Q9. 海外事業も行われていますが、民族、風習、考え方などの違いは、エンゲージメントのスコアに影響しないのでしょうか、グローバルで通用するスコアリングですか。
A9. 例えば、従業員満足度調査で満足度だけを聞く形式では、お国柄や就労観、仕事観によって質問を変えなければなりません。ところが、当社は普遍的なエンゲージメントに関連する16項目について期待度・満足度を聞く形のため、海外展開してもまったく違和感なく受け入れられています。そうした意味では、今後は北米やヨーロッパに展開し、真のグローバルな人的資本経営プラットフォーマーを目指すうえで、大変可能性があるのではないかと考えています。
Q10. 中期的な成長戦略として、営業利益を2028年は現在の約2.5倍の100億円、2030年に約3.5倍の150億円を目指すとされていますが、ハードルはかなり高いように感じます。達成に向けて、どのような取り組みを推進していくのかお話しいただけますか。
A10. 同じことが昨日の経営会議で役員の話題となり、少しバーが高いと申していました。M&Aも含めて積極的に展開していくなかで、「既存サービスの拡大と新規サービスを展開していき、ストック収益を高めて大きな成長を図ろう、バーは高いかもしれないけれどもできないことはない」と話し合いました。
Q11. 直近では、日本郵政グループのような超大型組織や自治体、公的機関でのエンゲージメント向上事業の受託が相次いでいます。民間大手企業と異なり、公的機関や超巨大組織における組織変革やエンゲージメント改革はハードルが高いと推測されますが、契約の継続率やLTV(Life Time Value)を維持するためのサービス体制はどのように構築されているのかご教示ください。
A11. 巨大組織になればなるほどエンゲージメントは低い傾向にあります。そして、それを高めていくのも時間がかかります。具体的には、3〜5年がかりで行う感じです。契約形態としては、最低2年は継続してくださいということで、2年ごとに更新する形になっています。大手になればなるほど、巨大組織になればなるほど、エンゲージメントに苦しんでいる実態があります。難しい問題を解決しながら、当社もモチベーションエンジニアリングを超大手と仕事をするなかで進化させていきたいと考えています。
Q12. 上限60億円という過去最大規模の自社株買いを精力的に進められており、株主還元と資本効率改善への強いコミットを感じます。一方で、買い付け完了後の持続的なROE向上シナリオとして余剰キャッシュを自社株買いに充当し続ける方針なのか、それとも中長期計画達成に向けたM&Aへバランスをシフトさせていくのか、キャピタルアロケーションの優先順位を教えてください。
A12. 明確に優先順位はついており、1番目が成長投資です。AIを含めて新たなプロダクトを開発していくことに投資します。それから、M&Aも含めた成長投資です。2番目には、株主還元の順番で捉えています。できるだけ高い目標を達成するために事業の成長投資につきましては、スピードを鈍らせることなく進めていこうと考えています。
Q13. 御社は、自社での全社員AI活用にとどまらず、2026年中にAIエージェントを活用したマネジメント支援などの新クラウドサービス投入をアナウンスされています。AIの進化は、組織課題の発見やコンサルティングの自動化を加速させる一方、単価下落リスクもはらみます。AI新サービスは、ARPU(Average Revenue Per User:1ユーザー当たり平均売上)を押し上げ、価値アップセル施策となるのか、それともコンサルタントの工数削減による利益率改善が主目的となるのか、具体的なマネタイズ設計について教えてください。
A13. AIマネジメント支援「モチベーションクラウド マネジメント」につきましては、2026年8月にリリースして、すでに商談が進んでいます。企業にとって管理職が忙しすぎて、もう一人の相棒、つまりAIの相棒みたいなものを導入したいということで、テストケースとして何社も行っています。もうすぐどの程度売れたのかをリリースします。ニーズは高まってきています。また、当社もそれを活用していますが、業務の効率化、マネジャー自身が本来使うべき時間に投資できますので、これは大変助かっているプロダクトでもあります。お客様からも幅広く受け入れてもらえるものと信じています。
Q14. 自治体、公的機関への支援実績が9庁を含む26組織まで拡大しているとのことですが、導入が進む要因と今後の展望を教えてください。
A14. 自治体は横並び意識が強く、どこかの県が導入しているならば、同様に導入してみたいとなります。そのため、自治体への「モチベーションクラウド」の導入は、これからさらに加速していくと思います。全国で市町村を含めて1,741ほど地方自治体があります。まだ開拓はこれからで、原野が広がっている状況ですので、ご期待いただければと思います。
Q15. 海外展開が順調に拡大している要因について教えてください。
A15. 海外展開をするため、2年前に社内公募をかけました。最初はシンガポールだけでよいと思っていましたが、公募には60人ぐらい集まりました。そのなかから書類審査で16人に絞り、経営ボードに対してなぜ海外でこの事業に取り組みたいのか説明してもらいました。プレゼンテーションでは、行かせてあげたいと思える人が多く出てきました。簡単に申し上げれば、最初はシンガポールだけの予定だったのが、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアと増えていきました。第2の創業と自分たちで言い始めていますから、男女問わず海外組は非常に高いモチベーションで、高い業績を上げています。
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