共英製鋼株式会社(5440)
開催日:2026年8月22日(土)
場 所:オービックホール (大阪府大阪市中央区)
説明者:取締役・副社長執行役員 菅 哲哉 氏
1. 共英製鋼とは?
・ 当社は、一言で言うと電気で鉄を作る電炉企業です。電炉という産業自体、皆様にはあまり馴染みがないかもしれません。この説明会を通じ、少しでも身近に感じていただければと思います。
・ 電気で鉄を作ることについて。鉄を作る方法は大きく分けて高炉法と電炉法の2つがあります。
・ 電炉事業の強みについて。1つ目は、我々の電炉事業はサステナブルな事業です。現在、私たちの社会には鉄がさまざまな形で蓄積されており、毎年その数パーセントが鉄スクラップとして廃棄されています。
電炉事業は、その鉄スクラップを回収、そしてリサイクルし、鉄鋼製品を作り、再び社会インフラに循環させる事業です。したがって、我々本業そのものがサステナブルな事業であると言えます。
2つ目は、環境負荷が少なく、小さいことです。鉄鋼各社の生産量1トン当たりのCO2排出量をみると、一般的に電炉のCO2排出量は高炉の約4分の1程度と言われています。ところが当社の排出量はさらに少なく、およそ7分の1となっています。世界中で温暖化の影響が顕在化している中、地球環境に優しい事業であると言えます。
・ 当社の概要について。当社は1947年8月に設立しました。まさに本日より、80年目に一歩踏み出したところです。
売上規模は3,000億円程度。国内外に18の事業会社を有し、従業員は約4,000名です。2006年12月に当時の東証・大証一部に同時に上場しました。
・ 当社が生産する製品について。鉄筋を中心に、生活や産業の隅々にわたり幅広く使われています。主力製品は鉄筋です。
・ 当社製品が使用されている具体例について。グランフロント大阪をはじめ、全国各地の大型物件やマンションなど、多くの建造物に使用されています。また、皆様の身近でご覧いただける事例では、道路の溝蓋などに用いられるグレーチングです。これは当社製品が約7割程度使われています。
・ 当社グループの製造拠点について。国内に4拠点、ベトナムに3拠点、米国とカナダにそれぞれ1拠点ずつ、鉄鋼製品の製造拠点を有しています。
・ 事業セグメントは、国内鉄鋼事業、海外鉄鋼事業、環境リサイクル事業の3つを柱としています。また、その他事業として、ベトナムでの港湾事業や国内とベトナムにおける鋳物事業などを展開しています。
・ 過去5年間の業績推移と今年度の見込みについて。ここ数年、海外鉄鋼事業の拡大を背景に売上高は増加傾向にあります。
利益面では、鉄鋼事業は市況に左右されやすく、ぶれやすい傾向にあります。それでも、2022年度以降は100億円以上の営業利益を確保しています。
2020年度より好調だった国内鉄鋼事業は、建設現場の人員不足による工事の遅延などで需要が低迷。昨今厳しい状況にありますが、今年度は、国内の不調を海外が補う形で、全体として営業利益155億円、経常利益140億円を見込んでいます。
・ 過去5年間の財務状況の推移について。近年、積極的な海外投資を行っていますが、自己資本比率は50%以上を維持し、財務体質は強固です。財務格付けもA格を取得しています。
2. 共英製鋼の強み
・ 我々の強みは、「世界3極体制」「環境リサイクル事業」「グループ総合力」の3つです。そして、強みを支える力として、「人財」と「ブランド」の2つがあります。
【世界3極体制】
・ 1つ目の強みである世界3極体制について。当社は日本に加え、ベトナムと北米の3エリアで電炉事業を展開しています。電炉鉄鋼業という地産地消ビジネスをグローバルに展開しているのが私たちの最大の強みであり、最も重要な戦略です。この戦略を可能としているのが、長年にわたる当社の海外事業の歴史です。
1963年、国内の電炉メーカーとして初めて海外進出した台湾を皮切りに、これまで欧米やアジア、アフリカなど20ヵ国以上で技術指導や工場建設などに携わってきました。
今後も海外事業を将来の成長ドライバーとして位置づけ、人材を含む多くのリソースを振り向け、強化したいと考えています。
・ 当社の原点かつ中核事業である国内鉄鋼事業について。関東、中部、関西、そして中四国・九州の4大需要地に4つの製造拠点があります。需要地は同時に鉄スクラップの発生地でもあるため、この拠点展開は他社と比較しても大きな強みと言えます。
また、複数の拠点は、災害時など有事における事業継続の観点からも一つの強みです。
結果として、当社の鉄筋のマーケットシェアは約19%と国内No.1です。メーカー数が多い当業界において大きな存在感があると言えます。
当社の主力製品である鉄筋は、地域で発生したスクラップを使って生産し、近隣エリアに出荷する、いわゆる地産地消のビジネスです。したがって、輸出入もほとんどありません。また、日本の建設現場では、指定されたサイズや長さの鉄筋を日々搬送する必要があります。重い鉄筋を海外から持ち込んで、きめ細かなデリバリーを行うのは現実的ではなく、実質的な輸入障壁にもなっています。
・ そのような事業環境における我々の国内戦略は、主力の鉄筋で国内トップシェアの維持拡大が最大のテーマです。そのために3つの施策に取り組んでいます。
・ 海外鉄鋼事業について。当社は1994年、日系鉄鋼企業としてベトナム戦争後初めてベトナムへの進出を果たし、南部のホーチミン近郊にビナ・キョウエイ・スチール社を設立しました。現在は、ビナ・キョウエイ・スチール社と2000年以降に買収した北部の2社の計3社を有しています。
現在、ベトナムでは、トー・ラム書記長の下、経済成長を重視した政策が行われています。GDP成長率も8%を超える水準で推移。2023年4月には人口が1億人を突破し、平均年齢も33歳と若く、ASEAN諸国の中でも大いに経済成長が期待される国です。
・ そのような成長過程にあるベトナムの事業環境は、政府のインフラ投資や民間デベロッパーのプロジェクトを中心に、鋼材需要が堅調に推移しています。また、政府が低所得者向け住宅の建設を推進していることも、建設需要を後押ししている要因の一つです。南北とも需要は堅調で、特に北部はインフラなどの開発が遅れており、需要が旺盛です。
今年1月には、政府の5ヵ年計画において引き続き経済成長路線を維持する方針が示され、今後もこの需要は底堅く推移するものと考えています。
・ このような事業環境下、当社は、南部と北部でそれぞれの強みを生かした成長戦略を進めています。
南部のビナ・キョウエイ・スチール社は、30年以上にわたって培ってきた日本品質のブランドを生かし、ハウジング(戸建住宅)市場やインフラ案件で高い信頼を得ています。
ベトナムでは、個人のお客様が戸建住宅を建てる際に、鉄筋メーカーを自ら指定。ユーザーと鉄筋メーカーが直接繋がる慣習があります。ベトナムの建設用鋼材において、当社グループのシェアは第2位で10%強あります。
北部拠点のベトナム・イタリー・スチール社では、新たな圧延工場が昨年6月に完成し、稼働を開始しました。その後の操業も大変順調で、来年度以降は、販売量の増加に加え、抜本的なコスト改善による競争力の強化が見込まれます。
・ 北米の鉄鋼事業の強みについて。米国に初めて進出したのは1973年。日本の製造業としてソニーに次いで2番目に進出しました。その後、オイルショックや1990年代の金融不況等、国内事業の業績悪化により2度にわたり北米撤退を余儀なくされました。
2016年に米国テキサス州の電炉会社を買収し、3回目の米国進出を果たしました。その後、2020年にはカナダの電炉会社を買収し、現在に至っています。
北米も日本と同様、鉄筋は地産地消ビジネスです。そのため、現在の第2次トランプ政権下では、米国内に拠点を持っていること自体が大きな強みです。
また、カナダの拠点は同国の西海岸エリアで唯一の電炉企業であり、堅調な国内需要の下、安定的に収益を上げています。
さらに、原材料の調達がしやすい立地も強みの1つです。米国拠点、カナダ拠点ともに自社にスクラップ加工会社を持ち、低コストかつ安定的に原材料を調達できます。
・ そうした中、米国拠点では、かねてより設備の老朽化による生産性の課題があり、抜本的対策として、この度、大型の設備投資計画を進めています。
米国拠点が位置するテキサス州は、商業建設支出が2025年時点で年間約900億ドル規模と全米最大水準であり、他州を大きく凌駕。需要の主要分野は、エネルギー・電力関連やデータセンター、半導体工場等、大型プロジェクトがテキサス州に集積しています。
また、鉄鋼やアルミの輸入品に対して50%の関税が課せられていることから、当社グループのビントン社でも出荷単価が上昇。スプレッドも拡大傾向にあります。
・ 設備投資計画の概要について。今年7月より建設工事を開始し、来年(2027年)10月には新ラインによる一貫商業生産をスタートする予定です。このプロジェクトは、需要が堅調な米国国内で北米事業を強化する最重要プロジェクトです。中長期的な当社の成長戦略の核として今後もご期待ください。
【環境リサイクル事業】
・ 私どもの2つ目の強みは、環境リサイクル事業を積極的に展開していることです。この事業は、鉄を作る過程で電気炉が発生する数千度の熱を利用し、様々な産業廃棄物を溶融処理するものです。当社が独自に開発した大変ユニークな処理方法です。
廃棄物処理に伴う電気炉操業への支障も数多くありましたが、様々な工夫を重ねてこれらを克服。現在では社会性が高く、また当社グループの利益を支える重要な事業の一つになっています。
廃棄物は電気炉で適正に溶融処理され、鉄分は製品の一部となり、それ以外のものはスラグ・ダストとして再利用されています。
・ 廃棄物処理の事例について。私たちの生活に欠かせないコンビニエンスストアに関連した事例があります。店舗の改装や閉店に伴い発生する什器や看板などの廃材を、当社が一括して引き受けています。回収された廃材は、鉄筋などの鋼材として再生され、新たな店舗の基礎部分等に再利用されています。
また、皆様よくご存じの水銀が含まれる蛍光灯も再資源化や再利用しています。
さらに、2025年8月に公表した大手ゼネコンの鹿島建設との提携事例もあります。鉛やアスベストなどの有害物質が付着した金属廃棄物を電気炉で安全に処理し、鋼材に再生するスキームを構築しています。
・ 環境リサイクル事業は、社会が直面する様々な課題に応え続けてきた歴史でもあります。注射針の不法投棄への問題認識から、1988年に医療廃棄物の処理を開始しました。それ以降、フロンガスやアスベスト等、環境問題や健康被害が明らかとなった社会の難題を解決すべく、その都度必要な許認可を取得し、処理するようになりました。このように、時代ごとの課題に対応しながら社会に貢献してきました。
【当社グループの総合力】
・ 3つ目の強みは、当社グループの総合力です。鉄スクラップの調達から生産、副産物の処理、配送、加工など、それぞれの段階に当社直系のグループ会社があり、協力会社や商社とともに機動的で安定性のある事業体制を作り上げています。
・ 当社の事業を支える2つの力について。1つ目は人材。次世代人材の着実な育成です。
当社は海外事業を展開し、グループに様々な分野の会社を擁しており、他社にない成長の舞台や機会を提供することができます。海外拠点に幹部やスタッフを派遣するほか、研修のために若手社員を一定期間派遣する取り組みも行っています。
昨年完成したベトナム北部の圧延工場の建設に携わった社員は、彼のことを知る誰もが驚くほど目覚ましい成長を見せてくれました。現在進行中の米国の新工場建設でも、そのような人材が育ってくれるものと大きく期待しています。
2つ目の支える力は、ブランディングです。我々が40年近く前から行ってきた鉄鋼事業と環境リサイクル事業を同時に行う取り組みに新たな価値を与え、医療廃棄物・産業廃棄物等を処理しながら製造した製品をエシカルスチールと命名。一昨年よりブランディング活動を開始しました。
・ 昨年6月から、エシカルスチールのイメージキャラクターとして、皆様よくご存じのウルトラマンを起用。認知度拡大と利用促進を図る取り組みを進めています。
ウルトラマンの起用の背景について。ウルトラマンは地球の平和を守るヒーローです。一方、エンドユーザーの皆様や本日お集まりの株主の皆様をはじめ、エシカルスチールに携わるすべての方々が、時代とともに現れる難処理廃棄物の処理に取り組み、地道に地球の未来を守り続けてきたもう1人のヒーローであると考えた次第です。
先月までに累計受注量が約1万5000トンとなり、着実に成果に繋がっています。
3. 中期経営計画「NeXuSU 2026」
・ 今年度で最終年度となる中期経営計画「NeXuS(ネクサス)U 2026」について。2018年を起点に2030年に向けた長期シナリオでは、当社の目指すべきゴールとして、「資源循環型社会のエッセンシャル・カンパニーになること」を掲げています。その中で、今回の中期経営計画では「ONE KYOEI」をスローガンに取り組みを進めています。
・ 中期経営計画の定量目標の進捗状況について。今中計の最終目標値に対し、利益面ではなかなか届かないものの、将来の収益の基盤である製品出荷量は目標の400万トン体制に着実に近づいています。米国で建設中の新設備が完成すれば、生産能力はほぼ400万トンを達成することになります。
・ 現在の中期経営計画では6つの重点方針があります。その中で「『100年企業』を目指したESG経営」について。
・ E(環境)に関する取り組みについて。具体的には、重油から天然ガスへの燃料転換や太陽光発電設備の設置などを積極的に進めています。
また、ゼロエミッションを実現するための取り組みの一環として、鉄を作る過程で発生する副産物(電気炉スラグ)のさらなる有効活用、再資源化に向け、研究しています。例えば、「キョウエイREストーン」は電気炉スラグを原料としたもので、環境省が実施する環境技術実証事業で、海底での藻場の育成と魚を集める効果が認められました。
・ S(社会)に関する取り組みのうち、人材の取り組みについて。健康経営優良法人の認定を5年連続で受けています。今後も、企業価値創造の源泉である人材の育成とその能力を生かせる職場づくりを目指したいと考えています。
・ 社会貢献活動への取り組みについて。中期経営計画の定量目標として、連結当期純利益の0.5%程度を社会貢献活動に充てることとしています。
例えば、メスキュード医療安全基金は、当社の医療廃棄物処理事業の収益の一部を積み立てています。これは医療関係団体に寄付を行うもので、2002年の開始から既に4.5億円を上回る寄付を行っています。
また、山口事業所の地元の大学にエシカルスチール製の自転車ラックを寄付したり、筑波大学芸術学系との共同研究によるモニュメントの設置などの取り組みもあります。
・ 地域社会への貢献として、山口事業所がある山陽小野田市で障がい者支援事務所から社員を採用。小型家電の解体やコーヒードリップパックの製造など、障がい者の方々が活躍する事業も展開しています。
また、山口事業所近郊ではオリーブ植樹活動も行っています。今後も社会貢献活動をさらに充実させたいと考えています。
・ G(ガバナンス)について。より迅速な意思決定と、経営と執行の明確な分離を目的とし、昨年6月、取締役をこれまでの11名から9名としました。そのうち社外取締役は4名です。また、今年からは、その中の3名を女性取締役とすると共に、監査役を1名増員し、ガバナンスの強化に取り組んでいます。
4. 資本コストと株価を意識した経営の実現
・ 現在の当社のPBRは0.38倍と1倍を割れており、その改善が重要であると認識しています。これは海外鉄鋼事業の持続的な成長と鉄鋼セクター内における他社との差別化が十分に理解されていないことが要因であると考えています。
世界3極体制を核とした成長戦略の着実な実現によりROE 8%以上を達成し、また、人的資本投資やブランド戦略、投資家の皆様とのさらなる対話によって、当社の将来性への期待を高めることなどにより、PBRの改善に努めていく所存です。
・ 配当方針について。配当性向は30〜35%としています。また、業績の変動にかかわらず、少なくとも年間30円の配当を実施していく方針です。
今年度は、米国での投資状況を踏まえ、中間30円、期末配当40円、通期70円の配当予想としています。加えて、株主優待としてQUOカードを進呈しています。
・ まとめとして、中期経営計画のタイトルの「NeXuS(ネクサス)」には、つながるという意味の他に、「Next Success」、つまり次世代の成功や100年企業を目指してという意味も込められています。
これからのサーキュラー・エコノミー社会の実現に向かって、私ども共英製鋼グループは、「日本の電炉メーカーとして、社会の発展と地球環境の調和に貢献するエッセンシャル・カンパニーになる。そして、日本だけでなく、世界の人たちにとって、なくてはならない会社になる」。これを目指して様々な課題に取り組む所存です。皆様においては、引き続きのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。
5. 質疑応答
Q1. ベトナム、北米事業が成長していますが、今後どちらの地域により大きな成長機会があると考えていますか。
A1. ベトナム、北米ともに魅力的な市場であると感じています。ベトナムは今、成長市場として、右肩上がりの経済成長を続けています。北米は成熟市場ですが、安定的に成長しています。両地域とも、人口が増えていることで、大変魅力的な市場だと思います。
ただ、ベトナムは、大変競争環境が激しく、ボラティリティも高いと感じています。これまでベトナムを中心に投資し、現在はその回収時期にあると考えています。
したがって、今は北米に大規模投資を行っており、今後も、安定的に成長する市場かつ大きなマーケットであることを勘案すると、我々としては北米市場に力を入れていきたいと考えています。
今現在、何かM&Aの話があるわけではありませんが、そのようなことも積極的に視野に入れながら運営していきたいと感じています。
Q2. 東証が各社に推奨するROE8.0、PBR1.0には程遠い状態ですが、2027年度3月期20円減配予想と発表されました。資本コストと株価を意識した経営についてどのように考えているのか、今後の方針をお伺いします。
A2. 御指摘については、大変重要だと認識しています。一方、我々の業種の特徴として、利益ベースのボラティリティが大変高い傾向があります。したがって、自己資本をしっかり厚くしないと常に影響を受ける環境にあります。これは我々だけに限らず他メーカーも含め、自己資本比率を高め、維持する傾向にあります。
加えて、我々は物を作るメーカーです。我々の成長は、次なる投資をして回収していく。次なる投資を積極的に行い、利益を多重層化していくことが基本的な戦略の一つです。いいものをしっかりと作り、ユーザーの皆様に使っていただく。その結果として利益を上げ、投資をして利益を多重層化する。この基本的なスタンスをしっかりと続けていきたいと思っています。
この10年は海外に投資を行い、その結果、世界3極体制のもと、安定的な利益を上げています。今後もしっかりと投資し利益を上げ、次への投資と株主の皆様への還元、さらには従業員への還元をバランスよく成し遂げていきたいと思っています。
現在の米国での投資については、新工場が軌道に乗れば、さらなる利益の積み上げが期待できるものと思います。現在の事業計画や戦略を着実に実施することにより、ROEとPBRを上げていくことに繋げたいと考えている次第です。
Q3. 競合他社との差別化戦略について教えてください。
A3. 我々の一番の差別化戦略は「世界3極体制」です。これは大変難しく、他社がなかなか簡単には真似できない事実があります。例えば、スクラップから鉄を作る工程で、各地域のローカルの社員で成し遂げる難しさ。これを可能にしているのは、かなり古い時期から海外にチャレンジしているからです。
我々の経営理念は「Spirit of Challenge」。過去から様々な国で色々なチャレンジをしてきたことが、今、実を結びつつあります。世界3極体制も、現時点ですべてできているとは考えていません。北米の事業をさらに拡大することにより、世界3極体制をしっかりと成し遂げていきます。
差別化については他にもいくつかありますが、大きなものは「環境リサイクル事業」です。エシカルスチールに込めた思いもそうですが、電気炉の熱を使い、難処理物を破壊する、元素レベルまで溶融処理することです。溶融処理し、様々なものを混ぜることにより、全てのものをリサイクルする。使い切ることができるようになります。
こちらも、電気炉操業に影響を及ぼすため、ノウハウが大変難しい。我々は35年以上前から始めており、他社にない一つの強みです。差別化の面でも強みだと考えています。
そしてもう一つは、やはり人材です。我々の企業としての成長には、人材の成長が欠かせません。共英製鋼グループには、様々な人材が入ってきますが、活躍できる場面が多くある。その意味で、人が強いということをこれからも続けなければと思います。しっかりと人を育てて、投資し、次の成長を実現していくことを、PDCAとして回していきたいと感じています。
Q4. 現在の主要拠点以外に、他の地域に拡大する考えはありますか。
A4. まず、日本では、今4つの拠点を持っています。現在、日本国内において、人口減少の中で需要がどちらかというと右肩下がりになっている状況です。したがって、現時点において、国内で新たな拠点を作ることは考えていません。
ただ、将来に向けての投資や利益の多重層化を考えており、利益の多角化もやらなくてはなりません。利益の多角化はまだまだ緒に就いたところと認識していますが、日本国内では、違うビジネスも展開していかないといけないと考えています。
一方、海外は、魅力的なマーケットがたくさんあります。この中でどんな成長戦略を描くかを考えています。しかし、事業を運営する・経営するとなると、相当ハードルが高い。これも過去からの歴史の中で積み上げてきたノウハウがある中で、もし、今後さらなる拠点を作るとしたら、やはり北米ではないかと考えています。
現在、何か具体的な話があるわけではありませんが、やはり北米はさらなる成長戦略を描いていきたいと考えている次第です。
Q5. 電気料金上昇への影響はいかがですか。イラン情勢や円安で、今後は電気料金の上昇が予想されています。また、AIデータセンター等の増加により電力不足も予想されています。今後の対応なども併せて教えてください。
A5. 大変本質を突いたご質問ありがとうございます。我々はメーカーなので、売上を上げて利益を上げることに関して、いくつかポイントがあります。
まず、スクラップは市況商品です。一方で我々の鉄筋の製品も市況商品です。したがって、我々は仕入れも売りもマーケットに左右されます。
それからもう一つ、競争環境も我々の利益に関連する非常に重要なファクターです。
さらにもう一つ、コスト管理があります。コストについては、もう飽くなき戦いを細かく続けていることをちょっとご想像ください。
ベトナムは、今とても好調で、去年完成したベトナム・イタリー・スチールの売上も上がっています。しかし、その前にコストに挑戦し、できるだけコストを安く抑えています。それが、マーケットが良くなってきた時に利益が多く取れることに繋がっています。
電力料金も確かに今、増加しつつあります。一方、我々は様々な工夫を凝らし、コスト削減をしていることをご理解ください。
中東情勢への影響は、一言で言うと直接的な影響はありません。なぜなら、我々のビジネスは地産地消ビジネスなので、輸出入とはほとんど関係ありません。
中東情勢は、直接には影響はありませんが、輸送費等、様々なところに影響が出てきます。我々はそれに対して、日頃からコスト管理をしっかりと行い、打ち勝つ努力をしなければいけないと考えている次第です。
以上
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