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日本空港ビルデング株式会社(9706)

開催日:2026年5月24日(日)

場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区)

説明者:取締役 上席常務執行役員  松田 圭史 氏

 

  1. 日本空港ビルデングについて

・ 私は平成6年の入社です。入社してもう30数年。バブル崩壊直後の非常に苦しい時期になんとかこの会社に入り、以来30数年勤め上げさせていただいています。

会社の歴史はさらに長く、創業から70数年です。実はその歴史の中でも、個人投資家様への説明会は本日が初めてです。今までやったことはありませんでした。どうしても我々の会社を皆様に知っていただきたく、今回はこの時間をいただきました。

・ 設立は1953年、昭和28年です。資本金は381億円。東証プライム上場企業です。コロナ禍の時に資本が非常に傷み、増資をしました。以前の資本金は170億円台でしたが、増資後、381億円となりました。

従業員は本体で300名ちょっとですが、連結を全部合わせると3,000人程度。直近の売上高は約2,900億円です。事業会社で非常に縁の深いJALとANAが同数で5%未満の株主ですが、特に支配株主という方はおりません。

・ 私どもの社業は基本的には、羽田空港の国内線旅客ターミナルビルと国際線旅客ターミナルビルの建設・管理運営です。建物を建てるところから始まり、管理しています。特に不動産事業としてはエアラインにお借りいただき、賃料をいただいたり、施設内で物販や免税店等を運営し、収入を挙げています。また、周辺事業として外国エアライン向けの機内食事業も行っています。さらに成田空港でも店舗展開しています。

成田空港は、開港当初は成田空港に人材がいなかったので、私どもが成田のターミナルの維持管理もやっていました。ただ、成田空港も株式会社化し、自分たちで運営することになりました。当時は成田に支店があり、メンテナンスの維持管理部隊だけでも200人ぐらいいたのですが、全員成田空港側に転籍し、仕事を受け渡しました。

中部国際空港と関西国際空港も開港当初から免税店等を運営しています。そのほか、熊本空港はコンセッションとして私どもも運営に参画させていただいたり、海外ではパラオ空港やモンゴルのウランバートル空港も運営に参画しています。

・ 設立当初の1953年は平場の駐車場しかなく、飛行機がほんの数機止まる程度の小さなターミナルでした。その後、今のような1ビル、2ビル、3ビルに分かれます。

皆様、PFIという言葉をご存知ですか。Private Finance Initiative(プライベート ファイナンス イニシアチブ)の略で、平成11年ぐらいにできた仕組みです。本来、国や公共が行う仕事を民間の事業運営能力や資金力や活力を生かし、民間に委託することで、ともすると私どもはそのPFIの走りではないかと思います。

戦後、GHQから羽田空港が返還された時に、滑走路やエプロンなどの基本施設は国が整備しました。しかし、旅客ターミナルビルの整備までは敗戦後ということもあり、国庫に財源がなくできませんでした。そこで、民間から資金を作ってターミナルビルを建てようということで生まれた会社が我が社です。

そういったことからスタートし、これまで沖合展開し、徐々にターミナルの範囲を広げ機能強化に努めてきました。

 

  1. 羽田空港について

・ 羽田空港は、1ビルと2ビルの間を首都高湾岸線が跨いでいる形です。沖合に展開してきた空港なので、基本的には24時間運用が可能な海上空港です。

・ 立地は都心に非常にアクセスが良く、直通のモノレールで浜松町まで早ければだいたい13分。京急でも同じぐらいで品川に着く。世界的に見てもこれだけの規模の空港で、これだけ都心に近い空港はなかなかないと思います。

成田空港とはだいたい60km離れているので、立地の優位性という意味で非常に恵まれている空港です。

・ 成田空港との違いについて。私どもは純粋たる民間企業ですが、羽田空港そのものは国が管理している国管理空港です。一方、成田空港は会社管理空港です。

羽田の場合、基本施設である滑走路と誘導路、エプロンはすべて国が整備しています。また土地の所有者も国です。一方、成田空港は、土地の所有者も成田空港で、基本施設の整備も成田空港自身でされています。

私どもは旅客ターミナルビル、いわゆる上物だけをグループで運営しており、成田空港は旅客ターミナルビルもご自身で運営しています。

唯一、管制施設はどちらも国が運営しています。飛行機を誘導する管制施設は、有事の際はしっかりと国が握らなければならないため、どちらの空港も国が行っています。

その他の基本施設は、羽田は国、成田は成田空港ご自身がされている形です。

・ 羽田空港の概要について。空港の総面積が1,516ha。これは東京23区の中で中位に位置付けられる渋谷区と同等の面積です。非常に面積が広い空港です。

この1,516haの中にA、B、C、Dの4本の滑走路があります。よく井桁と言われますが、斜めに2本、横に2本の滑走路があり、滑走路で囲まれた中央部分に第1ターミナルと第2ターミナル、首都高湾岸線が引かれています。

第1ターミナルは主にJALが、第2ターミナルは主にANAが使われています。そして第3ターミナルが国際線です。これら全てを当社グループが建設と管理運営をしています。3つのターミナルを合わせてだいたい100万m2の規模です。

その他、P1、P4、P5の駐車場を私どもで管理しています。P2、P3は国の外郭団体が管理する駐車場です。駐車場だけでも5つの立体駐車場があり、だいたい1万4,000台の収容能力があります。

さらに羽田空港には船着場があり、これも私どもで所有、運営しています。船着場を民間で管理運営しているのは珍しいと思います。一部定期航路も結んでいます。

・ 私どもは空港の施設を通じてお客様をお迎えしています。英国の世界的な空港評価機関のSKYTRAX社の「5スターエアポート」を12年連続で受賞しています。

その他、3部門で連続して世界第1位を受賞しています。1つがWorld Best Domestic Airport。国内線空港として世界一の評価を14年連続でいただいています。2つ目はWorld Cleanest Airport。世界の空港の中でも最も清潔な空港として、11年連続で受賞しています。3つ目はWorld Best PRM。PRMとはPassengers with Reduced Mobility(パッセンジャー リデュース モビリティ)の略で、いわゆるバリアフリーのことです。世界で一番バリアフリーが充実している空港として受賞しています。

・ 羽田空港の旅客数は年間で約9,100万人。国内ではダントツの1位です。世界的には第3位です。昨年(2024)まで第4位でしたが、1つランクアップしました。

その他の空港について、やはり強いのはアメリカのアトランタ。もうここは本当に揺るぎなく、ほとんど毎年1位の旅客数を誇っている。年間1億人以上が使われています。2位がドバイ。最近、中東情勢が目まぐるしく、今はちょっと苦しんでいると思いますが、伸びてきている空港です。4位以下では、ダラス・フォートワースや最近伸びている中国の上海(浦東)。そして、昔ながらのシカゴ、ロンドン(ヒースロー)などが上位にランクインする世界の主要空港です。

・ 路線数は、国内線でだいたい50路線。1日の出発便だけで500便ぐらい。到着便も合わせると1日1,000便ぐらい飛んでいる空港です。

主要路線は、札幌、大阪、福岡、沖縄。これらが大きな幹線ですが、特徴的なのは東北です。東北は、青森、三沢、大館能代、秋田、山形、庄内に路線がありますが、だいたい日本海側です。太平洋側の岩手、宮城、福島には路線がありません。これらの地域には新幹線があるからです。新幹線との競合ということもありますが、日本海側へは奥羽山脈を越えなければならないので、飛行機としての利便性があります。

・ 国際線は世界約53都市、今だいたい1日当たり170便、出発だけで飛んでいます。幹線は欧州や北米、東南アジアの主要都市で、徐々に就航先を増やしました。

初期の羽田の国際線には、暫定国際線ビルがありました。今のT3(第3ターミナル)を建設する時は、年間旅客数700万人を前提に設計しました。その後、国の政策で路線が広がり、今は2,400万人まで増えており、第3ターミナルも手狭になっています。

 

  1. 羽田をとりまく環境

・ 世界の国内線市場について。日本は国内線のマーケットの規模としては、アメリカ、中国、インドに次いで世界第4位です。国土が広く、かつ人口の多い国で国内線が非常に活発なのを考えると、アメリカも中国もインドもいずれも非常に人口が多く、国土も広い。ここに次ぐ4番手というのは、よく頑張っていると思います。

一方、世界の国内線の就航路線のトップ10をみると、その中に3つ、羽田路線がランクインしています。1位は実は最初知った時、私は意外に思ったのですが、韓国の済州(チェジュ)〜金浦(キンポ)路線です。その次に羽田〜新千歳、そして羽田〜福岡の順です。以下、ハノイ〜ホーチミン、人口の多いムンバイ〜デリー、メルボルン〜シドニーに続いて羽田〜那覇です。さらに11位くらいに羽田〜伊丹もいます。

日本の国内線のマーケットは世界で見ても強い。日本の国土面積そのものは世界で60位ぐらいで、あまり大きな国ではありません。ただ、排他的経済水域まで入れると一気に世界第6位まで上がる。非常に広い領域を持っています。

日本の地図をヨーロッパに当てはめると、だいたいデンマークからポルトガルまで日本の地図で横断する形になります。非常に長い移動距離があるため、航空が重要なインフラになっています。

・ しかし日本の人口はもう減少傾向にあります。6年前の2020年に女性の2人に1人が50歳以上になった。今はなんとか出生率を上げようとしていますが、どうしても母数が少なくなり、人口は非常に厳しい状況にあります。

ただ、世界の航空需要をみると、これから世界の人口は増える。グローバルだと今の2倍ぐらいになる。さらに、アジアは東南アジアや新興国など、世界の中でも大きく増えているので、航空需要は3倍になると言われています。

・ 今ここに着目して、アジアでは非常に大きな空港間競争が起きています。どこがアジアの中でハブの地位をとるのか。アジアの空港間競争は今、群雄割拠の形です。

具体的には、まず北京の新空港では、最大で滑走路7本まで作ると言われています。それから、韓国の仁川(インチョン)は、T2を拡張して4本目の滑走路を作っています。T2が拡張できると年間約1億人さばけるインフラになると言われています。香港も第3滑走路の建設中。シンガポールのチャンギ空港では、第5ターミナルを作っています。第5ターミナルというと、これまでの4つに次いで5つ目ができるように思いますが、この第5ターミナルは巨大です。今までの1から4と同じ面積のターミナルが5個目にできる。倍増する処理能力を作ろうとしています。

 

  1. 羽田空港機能強化への対応

・ アジアの中の競争が非常に高まっている中で、果たして我々の羽田空港がどう戦っていくかが今、1つのポイントになっています。

日本政府は6,000万人までインバウンドを増やそうと、一生懸命頑張っています。足元の2025年はだいたい4,200万人まで来ています。これを政府目標として2030年までに6,000万人に上げたいというところです。

観光産業が日本の産業にとって非常に重要になっているのは、間違いないと思います。今、1ドルが160円になり、正直、これだけ円安が進むと、一義的には従来通り輸出産業が力強い。国力を高める上では重要だと思います。しかし、私もちょっとショックでしたが、ソニーもテレビ事業から撤退した。もう国産のテレビはなくなってしまいました。そういう状況下で、インバウンドは外貨を稼ぐという意味では輸出だと、日本も非常に力を入れています。

・ ただ、首都圏空港の課題を、ちょっと前のデータですが、森記念財団が毎年出されている世界の都市競争力ランキングの2016年で見てみます。

東京は総合ランキングではロンドン、ニューヨークに続き、だいたい毎年3位にいます。2016年の分野別ランキングでは、経済1位、研究・開発2位、文化・交流5位、居住6位でした。ロンドンはもう家賃が高すぎて、当時は居住が10何位かでした。そんな中で東京は非常によく頑張っていたのですが、交通・アクセスは11位で、非常に低位でした。総合では3位にも関わらずです。

これは、東京からの就航都市数がロンドン、ニューヨークに比べ、あまりにも少ないからです。ロンドンはヨーロッパの中にあるので、375都市と結ばれている。ヒースロー、スタンステッド、ルートン、ガトウィック、シティとロンドンの周りには5つ空港があり、それを全部合わせると375都市になります。ニューヨークもJFK、ニューアーク、ラガーディアと3つ空港があり、全部合わせると232都市。ところが東京は、成田と羽田合わせても157都市。発着処理能力も少なく、非常に苦戦していました。

・ このため機能強化の必要性を国も一緒に考えるようになりました。首都圏の国際競争力を強化しなければいけない。一方で地方も元気にしなければいけない。より多くの外国人を迎えなければいけない。当時は東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まっていたので、これを円滑にやらなければいけないということで検討しました。ところが、羽田は日中の時間帯はすでにフル稼働していて、これ以上国際線を増やすことがなかなかできないという議論がありました。

・ そんな中、羽田の発着処理能力を国際線に関しては年間6万回から3.9万回増加し、約10万回まで増やそうという動きがありました。現在、国際線の出発便は1日170便ですが、オリンピック前は120便でした。1日50便をなんとか増やした努力の結果です。

・ これは今の成田空港の機能強化にも繋がります。羽田が先に競争機能強化をしたように、今、成田も滑走路の延長や増設を行っています。その結果、成田と羽田の年間の発着処理能力はなんとか100万回まで上がります。そうすればロンドンやニューヨークにも迫る発着回数になるため、今、成田も努力されています。

・ 羽田の発着枠を増やすために、東京都心上空に飛行経路を伸ばすことも行いました。飛行経路は管制が関わるので、国が司り、国からの住民説明会を全部でフェーズ6まで行いました。フェーズ6というのは6回やったということではなく、フェーズ1の間に20〜30回、飛行経路にあたる自治体で説明会を開きました。我が社は民間で唯一、国に帯同してこの説明会に参加しました。私も参加させていただきました。

騒音問題や資産価値の問題など、色々なご意見をいただきました。一方、お子様連れの若いご夫婦が「もう日本はこのままだとどんどんダメになる。借金ばかり増えていくと子供たちの未来がどうなるか分からない。やはりこれぐらいのことをやらないと勝てない」とご理解のあるお言葉をいただいたのも事実です。

・ 一方、ニューヨークやロンドンではどうなのか。ロンドンのヒースロー空港に降りる時、飛行機の眼下にバッキンガム宮殿が見えます。つまり、ロンドンでは、皇居の真上を飛行経路で飛んでいるような形です。

世界の旅客空港の旅客数では、羽田が9,000万人、ロンドンがだいたい8,500万人。年間の処理能力はほぼ同じですが、ヒースロー空港の滑走路は羽田の半分の2本しかありません。2本で羽田と同程度の旅客がさばけるのは、上空の規制が非常に緩和されているからです。ニューヨークも同じで、マンハッタンの上空も飛行経路になっています。

もちろん安全は大前提ですが、羽田もこういった取り組みから発着数を増やしました。

・ 上空だけではありません。ターミナルを広げるなど、我々はいろんな対策を進めました。オリンピックまで時間も整備工程もないということで、当時、国と一緒に定めたのが既存ストックの有効活用です。既存のターミナル施設を大改修して増築しました。

・ 主に2ビルに国際線を持ってきて、増築して国際線を広げました。他の1ビルも3ビルも駐車場も少しずつ改修して広げました。

・ 2020年2月に2ビルの国際線ターミナルが完成しました。残念ながら、直後にコロナ禍となりました。第2ターミナルのロビーは全く使われず、ドラマやCMの撮影に使っていただき、少しだけお金をいただきました。今、ようやく実を結び、多くの方に使っていただいています。

・ 昔の空港跡地も開発を重ねています。多摩川沿いの跡地に第1ゾーン、第2ゾーンを設け、開発し、我々も一部参画しています。

・ 第1ゾーンの天空橋には、HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)を造りました。私どもも第3位の株主として開発に参画しています。様々な文化施設や先端産業施設があり、藤田医大も誘致しています。

・ 第2ゾーンは、元東急ホテルがあったところです。残念ながら私どもは参画できませんでした。今、住友不動産がヴィラフォンテーヌというホテルを展開されています。

・ その他にも色々と取り組んでいます。青海の東京国際クルーズターミナルの運営も、私どもが指定管理を担当しています。船で来て飛行機で帰る、あるいは飛行機で来て船で帰るフライ&クルーズも選択肢に、客船ターミナルを運営しています。

また、羽田空港の船着場からは、飛行機を真下から見られるアンダージェットクルーズやお花見ツアーなどを行っています。

 

  1. 中期経営計画(20262030年度)

・ 新中計を5月8日に発表しました。私どもは2040年代を見据えて、「日本の航空旅客数最大化に貢献したい」という目標を立てています。

私どもの社名がなぜ羽田空港ビルデングではなく、「日本空港ビルデング」なのか。「ビルデング」もちょっと古い言い方ですが、これは戦後の非常に苦労した時期に、羽田だけが潤えばいいのではなく、日本全体を潤すために羽田空港が生まれた。その思いを社名に込めているからです。そこを改めて原点回帰で目指したいと考えています。

足元の5年間は正直あまり大きな増枠の予定はありません。今の東京都心上空の飛行経路をさらに広げるという計画もありません。今のところ、お客様はそれほど増える見込みはありませんが、量的成長ではなくて質的成長をしっかりと果たした上で株主還元を果たす。と同時に、将来の機能強化の原資となる投資余力をしっかりと確保していきたいと考えています。

・ 今回の中計での経営戦略について。今後、さらなる機能強化が必要になることを見据え、大規模投資の長期遂行を検討。また、今まではどちらかというと需要を享受する会社でしたが、需要を創造する会社に変わらなければなりません。これらを踏まえて、「効率」「付加価値」「共創」の3つをキーワードにして戦略を立てています。

5年後の業績目標・ガイドラインとしては、売上高3,400億円以上、営業利益550億円以上。ROEやEPS、総還元性向の目標値も定め、皆様に明示した上でしっかりと取り組みたいと考えています。

・ 売上高のトップラインは2025年比で20%を切る形ですが、営業利益はそれ以上に伸ばせる余地を十分に考えています。株主還元は、今までは配当性向でしか語りませんでしたが、今後は総還元性向として株主還元を強化したいと考えています。

・ キャピタルアロケーションは、5年間のキャッシュフローを3,500億円と見た上で、投資キャッシュフローを2,200億円としています。そのうちの成長投資が約半分の1,000億円。株主還元は総還元性向50%以上。格付維持を大命題に捉えています。

 

  1. 現在と今後

・ 今、取り組んでいるのは、第1ターミナルの北側サテライトの新設です。5月に竣工し、この夏から供用開始予定です。昨年3月には2ビルのサテライトも強化しました。

最近はビジネスジェットのニーズが高い。羽田の貴重な枠なので、数人で来られる富裕層の方々のために1枠を提供するのは難しいのですが、非常に人気があります。

大リーグの人気選手やハリウッドの人気俳優なども利用されるのですが、どこにも公表していないのに、人気者が来る時はファンの方がターミナルの前に集まり、出待ちになる。ファンの皆さんはSNSをよくご覧になり、情報を把握しています。人気者が来るといつも警備が非常に苦労する状況もあります。

・ 今度オープンする第1ターミナルの北側サテライトは、日本の空港で初めて大規模な木造・木質化で建てました。やはり航空は環境問題をしっかり考えなければならない。選ばれるインフラになるには、環境問題に取り組まなければなりません。

ここは国内最大規模。1,800m3の木材を使用した初めての木造・木質のターミナルを展開します。もう少しでお披露目できる予定です。

・ 二次交通について。2031年にJRの新線が開通します。JR東日本の路線で、東京方面からダイレクトで羽田空港に乗り入れてくる。第1ターミナルと第2ターミナルの間のやや第2ターミナル寄りに入ります。今は東京方面からですが、いずれ新木場方面や渋谷方面からも接続し、二次交通の強化を図ります。

東急と京急で検討している蒲蒲線も、東急の蒲田と京急の蒲田を結ぶことが決まっていますが、将来的には羽田空港に伸ばしたい。そうすれば一層便利になります。

・ 私どもにとっての将来の大規模投資は、1ビルと2ビルの機能強化です。首都高湾岸線の上に蓋をして、1ビルと2ビルを繋ぐコンコースを建築する。それにより国際線の発着の場所を増やし、さらなる機能強化を勤め上げたいと考えています。

これにより、滑走路の機能も強化できる。わざわざ5本目の滑走路を作らなくてもできることはあるだろうと、今、国と調整しながら取り組んでいます。

・ 私どもの社是は「公共性と企業性の調和」です。この言葉を創業から70数年ずっと社是としてきました。投資家の皆様に公共性という言葉は受けが悪いことは承知しています。ただ、私どもは、企業性だけでは存在する価値がない。羽田空港は日本の玄関を担うという自覚を持ち、公共としてもしっかり役に立たなければ意味がない。これが長らく先代たちから教えられてきた社是です。

アジアの中で競争が激化し、羽田、成田もなかなか苦しい状況にあります。その中で改めて皆様方にお願いしたいのは、どうか私どもを知った上で応援していただきたい。それほど大きな利回りは出せていないかもしれませんが、安定をお約束した上でしっかりと国のためにも努めていきたいと考えています。これからは還元強化にも努めますので、皆様の応援をぜひよろしくお願い申し上げます。

 

  1. 株主還元方針・株主優待のご紹介

・ 空港内で使える株主優待券や免税品などの割引券もあります。長期保有の方には、空港内外関係なく使えるギフトカードも提供しています。私たちは長期保有いただけるファンの方々を作らなければならないと考えています。

・ まとめとして、「公共性と企業性の調和」を経営理念に掲げ、これからも取り組みます。また、我々はこれまで需要享受として、羽田の機能強化や羽田の立地に甘えてきたところも多分にあると思います。これからは我々自身が需要を創造できる会社に切り替わるために、様々な努力をしていきます。その上で、しっかり還元を果たすことを皆様にもご承知おきいただければありがたいと思います。

 

  1. 質疑応答

Q1. 株価が5,000円超ほどになっていますが、株式分割をするお考えはありますか。1株2,000円以下にして個人株主を増やした方がメリットが大きいと考えます。

A1. おっしゃる通りです。我々も、東証のマーケットそのものも5,000円を水準として、株式分割を推奨していることは承知しており、考える必要があると思います。今の段階で具体的な分割内容は申し上げられませんが、ご指摘の通り検討したいと思います。

 

Q2. 空港ビルへ行くだけで楽しいと思える街づくりを具体的に考えているのですか。

A2. 航空利用者以外の方々にもお越しいただきたいと、我々事業者としては本当に願っています。飛行機をご覧になる方々がどこで時間を過ごしたり、そのためにはどんな施設が必要なのか。商業的に配置を検討したり、最近ではフードコートを新しくし、お求めやすいところを作っていきたいと思っています。

一方、非常に利用者が多く、一時期は航空利用者以外のお客様が多く来られることで駐車場が混み、航空局からお叱りを受けたこともあります。羽田空港だけでなく、周辺の第2ゾーンや第1ゾーンとも連携し、エリア全体を魅力ある空間にしたいと思います。

 

Q3. 業績は好調。増収増益で2023年度以降3期連続で最高益を更新していますが、2026年度の業績は前期比で微増の予想です。かなり保守的な予想と思われますが、成長減速要因としてどのようなことが考えられますか。

A3. 旅客数の伸びがやや鈍化しているのは、需要がないわけではなく、航空政策上、今ある発着枠がほぼ上限値に近づきつつあるのが事実です。

ただ、今回の微増に見受けられるのは、1ビルのサテライト新設のような大規模投資が供用になることによる減価償却や面積が増えることによる一時的なコスト増が関係しています。

この5年間、こういった大規模投資が続くことはありません。むしろ、中計の最初の年にターミナルの新しいエリアの供用が集中しているため、少しコスト高になっています。残りの4年間でしっかりと100億円以上の営業利益を伸ばしたいと思います。

最近、発着枠は上限値が近づいていますが、エアラインも機材の座席数を少しずつ増やしています。1便あたりの座席数が数席増えるだけでも年間のインパクトは相当なものになります。その点はエアラインともしっかり連携しながら、お客様の利便をちゃんと全うしたいと思います。

 

Q4. 羽田空港はいつも清潔に保たれています。清掃されている方の努力に感心しています。社員教育で重要視されていることは何ですか。

A4. 清潔面では、我々は必ずゴミを拾う教育をほぼ全員受けています。昼休みに食堂に行く途中や通勤・帰宅時にロビーでゴミを見つけたら必ず拾えと、常日頃言われています。

社員教育でやはり今注力しているのは、エンゲージメントの強化です。自ら考えてしっかりと行動できる人財集団を増やしたい。これからは質的成長を追求しなければいけない。それから我々は「共創」をキーワードにしています。

羽田空港は国管理空港なので、多くの事業者が個別に事業を営んでいます。個別最適を目指して、JALもANAも取り組んできましたが、個社ごとにやってきたコスト削減はもう限界があると考えます。誰かが音頭を取り、全体最適を追求しない限り、効率性もコスト削減も実現できません。そこで最近は私どもがしっかりと音頭を取ってほしいと言われています。空港側がそういったトータルエアポートマネジメントの主体になる。それができる人財をしっかり教育したいというのが我々の大命題です。

以上

 

 

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