K&Oエナジーグループ株式会社(1663)
開催日:2026年5月23日(土)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役 社長執行役員 緑川 昭夫 氏
1.グループの概要
・ 当社の商号はK&Oエナジーグループ株式会社、本店所在地は千葉県茂原市です。茂原市は千葉県の九十九里側、太平洋に近い方にある、人口が9万人弱くらいの都市です。
・ 会社の設立は2014年1月6日、まだ会社ができてから間もないように見えますが、実際は創業から95年くらい経っている割と古い企業です。代表者は私、緑川です。資本金が80億円、上場取引場所はプライム市場、証券コード1663です。鉱業に分類されています。
・ 事業目的は「ガス事業、ヨウ素事業等を行う子会社等の経営管理及びこれらに附帯又は関連する一切の事業」です。売上高構成は、ガス事業が70〜80%、ヨウ素事業が15〜20%です。決算期は12月31日、株主総会は3月末、発行済株式総数は2,833万6,061株、従業員数は連結子会社も含めて700人弱です。
・ K&Oエナジーグループは持ち株会社で、連結子会社は4社です。
・ 関東天然瓦斯開発株式会社は、千葉県で井戸を掘り、天然ガスを生産している会社です。日本で消費する天然ガスのほとんどは輸入ですが、千葉県、新潟県、北海道で国産天然ガスを生産しています。千葉県では私どもが最も生産量が多い会社です。千葉県の天然ガスは、地下の地層に古代の海水である「かん水」があり、その中にメタンが高い圧力で溶け込んだ状態で存在しています。ビール瓶の栓を抜くと圧力が下がりぶくぶくと炭酸が出てくるように、かん水を地上にくみ上げると、同様に圧力が下がり自然にメタンがかん水から分離し、天然ガスとして採ることができます。これを都市ガスとして供給します。さらに、かん水にはヨウ素が含まれておりますので、当社グループのK&Oヨウ素株式会社で、ガスを採取した後のかん水からヨウ素を精製して販売しています。井戸の深さは500〜2,000メートルくらいです。
・ 大多喜ガス株式会社は、関東天然瓦斯開発が生産した天然ガスを購入し、主に家庭用に供給しています。同社は国産の天然ガスだけではなく、東京ガスさんや東京電力さんからLNG(液化天然ガス)を卸してもらい、京葉工業地帯の大口のお客さま向けに販売しています。また、東京ガスさんと同じように、電気の小売りも手掛けています。
・ 「圧縮天然ガスの製造・販売」とは、地下から出てきたメタンガスをもう一度圧縮してボンベに詰めて販売する事業です。昔から私どもが手掛けておりましたが、現在日本で行っているのは当社だけになってしまいました。海外ではまだ圧縮天然ガスを使っており、アジアやブラジル、インドなどでは現在もこのような方法で天然ガスが供給されています。
・ K&Oヨウ素株式会社は、かん水からヨウ素を採り出し、精製して販売している会社です。
・ これら3社は、千葉県の地下の資源から事業を行っています。
・ 連結子会社4社のうちのもう1社、株式会社WELMAは地熱掘削の専門会社です。関東天然瓦斯開発は2,000メートルくらいのガス井戸を掘り、井戸から出てくるのはかん水とメタンです。一方、WELMAが掘っている地熱井(ちねつせい)は、やはり2,000メートルくらい掘り、出てくるのは熱、熱水や蒸気です。どちらも同じような、リグという「やぐら」を組み、ドリルで地面に穴を開け、パイプで掘り出す技術を持っており、両社の技術は親和性が高いため、私どもの仲間になっていただきました。地熱発電は、これから再生可能エネルギーの安定電源としても注目されています。
・ 当社グループの歩みを説明します。
・ 1931年(昭和6年)に天然ガス事業を創業、ここから数えると95年が経ちました。戦前なので、国産のエネルギーが非常に注目されていた時代でした。1949年に東京証券取引所に上場し、1984年に一部に指定替えされました。この前辺りに、天然ガスを掘る会社は鉱山保安法、都市ガスの会社はガス事業法と事業の根拠となる二つの法律が整備されましたので、当社もそれに合わせ関東天然瓦斯開発と大多喜ガスの2社に分かれました。
・ 1996年に子会社である大多喜ガスが上場しました。これはいわゆる親子上場の形であり、それを解消するために、2014年に両社で持ち株会社のK&Oエナジーグループ株式会社を設立しました。会社名である「K&O」の「K」は関東天然瓦斯開発、「O」は大多喜ガスです。K&Oエナジーグループが東証一部に上場し、関東天然瓦斯開発と大多喜ガスは上場を廃止しました。
・ その後、電気の小売りに参入し、2018年に地熱事業のWELMAを私どもでM&Aしました。さらに2021年、かん水に含まれている有機物を利用した事業として植物工場事業に参入しました。
・ 2022年にグループ内の天然ガス事業とヨウ素事業を再編しました。K&Oヨウ素株式会社の前身である日本天然ガス株式会社はガスとヨウ素を生産しており、関東天然瓦斯開発も同様にガスとヨウ素を生産していました。事業が重なっていましたので、これを解消するために、ガス事業は関東天然瓦斯開発に、ヨウ素事業は日本天然ガス、現在のK&Oヨウ素に集めました。再編によって、ノウハウをより蓄積できるようになりました。
・ ここで、昭和18年ごろのフィルムをご紹介します。
・ 昭和18年ごろですので、このフィルムは日本に資源が届かなかった、戦前に撮影されたものです。当時は石炭から作ったガスが主流でしたが、一酸化炭素が含まれているので、かなり危険なガスでした。しかし、われわれの天然ガスには一酸化炭素は入っていませんので、(フィルムで紹介されているように、川から)ぶくぶくと天然ガスの泡が出ていても危険はありません。そのような当時の貴重な様子をうかがうことができます。
・ ガスの井戸の掘削の方法ですが、一般的なガス井(ガスせい)は、やぐらと呼んでいる鉄塔からパイプをつり下げて、パイプの先にドリルビットというドリルのような物を付け、パイプをぐるぐる回しながら掘り進めていきます。パイプをつなぎながら掘り進め、最後にパイプを取り換え、上がってくるかん水を採り出します。
・ 私どもが操業しているのは千葉県の茂原市周辺です。資料に示した千葉県の地図で紺色の地域が関東天然瓦斯開発の鉱区で、茂原の周辺と少し北の方にもあります。これらの鉱区はパイプラインでつながっており、千葉や、パイプラインの先には市川の方までガスを供給しているところもあります。地図に緑色で表示した非常に広いエリアは南関東ガス田と呼ばれ、資料に掲載した千葉県の東西方向の地下断面図を見ると、ガス層は西側の東京湾の方向へ向けて深くなっています。ガス層が浅いところから掘る方が経済的なので、外房である太平洋側でガス井戸を掘っています。
・ 南関東ガス田のうち、当社グループの鉱区は可採埋蔵量が約1,100億立方メートルと言われており、現在の生産量で換算すると600年分あります。ヨウ素についても、この鉱区から採れるのはまだ400年分くらいはあると言われています。
・ 国内天然ガス年間生産量は約8億立方メートルで、私どもが2億立方メートル弱くらい生産しています。残り16億立方メートルはほとんどが新潟です。あとは北海道や宮崎県などで天然ガスが生産されています。ヨウ素に関しては、実は千葉県がほとんど生産しています。
・ 「千産千消(地産地消)天然ガス」という言葉を使っています。千葉県で産出して千葉県で全て消費しています。ほとんどメタンなので、石油やプロパンガスなどと比べると、CO2の排出量が少ないという良い点があります。
・ さらに国産の天然ガスは海外情勢による影響などを受けにくいです。中東情勢の影響で油の価格がこれから上がってくると思いますが、LNGの国際価格は、油の価格に連動していますので、今後LNG価格も上昇することが想定されますが、国産の天然ガスはこの影響を受けません。
・ LNGは世界中、オーストラリアやアメリカ、インドネシア、さらにブルネイなどからも日本に来ています。LNGは現地で液化して、輸送し、さらに日本で気化させます。国産天然ガスは、地下からくみ上げて、分離したものをそのまま都市ガスとして使っているので、トータルのCO2排出量は抑えられます。
・ 当社グループのガスの流れを説明します。メインは国産の天然ガスを掘っている会社、関東天然瓦斯開発です。関東天然瓦斯開発は大多喜ガスだけではなく、他のガス事業者さんにもガスを卸しています。また、千葉県でガスを生産している他の会社もあるので、そちらからもガスを卸してもらっています。これを、大多喜ガスをはじめとする都市ガス事業者等が家庭用のお客さまに届けています。
・ もう一つは別系統で、LNG輸入事業者、具体的には東京ガスさん、東京電力さんからガスを卸していただいて、大口のお客さま、京葉工業地帯の工場などへ発電用、大口工業用向けとしてLNGを販売しています。
・ 次はヨウ素についてご説明します。ヨウ素と聞くと、皆さんになじみがあるのは、喉へのスプレーでしょう。実は、一番大きな用途はCT検査で血管造影剤として使われるX線造影剤です。
・ X線造影剤は詳細な診断をしたい場合や、少し高級な医療をする場合に使われ、まだ先進国でしかあまり使われていません。これから途上国が高級な医療を行うようになると、X線造影剤の使用量は順当に伸びていくと予想しています。
・ ヨウ素は用途が非常に幅広い素材です。X線造影剤、医薬品以外には、殺菌防かび剤、工業用触媒、さらに液晶関連があります。今の平面パネルは液晶ではなく有機ELですが、実はヨウ素を使わないと有機ELが作れません。その他、医薬品、飼料添加物、安定剤などです。また、自動車のシートベルトのナイロンも実はヨウ素がないと作れません。このように、ヨウ素の用途は非常に幅広いです。
・ 皆さん、ペロブスカイト太陽電池という言葉を聞いたことがあると思います。薄くて軽くて、曲げることができる太陽電池として注目されています。これの主要原料がヨウ素と鉛です。普通の太陽電池はほとんど中国産になっていますが、ヨウ素という国産原料から作ることができる太陽電池ということでも注目されています。
・ ヨウ素の生産国は、日本、チリ、アメリカ、その他になります。2000年くらいから世界のヨウ素の生産が少しずつ伸び始め、これからも年間2%くらいの割合で伸びていくと見ています。X線造影剤だけでもこれくらいは伸びていくと考えています。
・ ヨウ素は固体で、昇華という現象で固体から直接気体に変わる少し変わった物質です。中学校の理科で昇華を説明する際に取り上げられます。ヨウ素はプリル品、フレーク品と呼ぶヨウ素製品として出荷されます。プリル品は丸い粒のような物です。フレーク品はチョコフレークのように薄い板状の物です。
・ 世界のヨウ素生産量は、チリが7割程度を占めています。チリ、日本、アメリカの3カ国でほぼ世界のヨウ素生産を占めています。日本の生産量は世界の2〜3割です。日本は資源小国なのですが、ヨウ素は輸出をしている資源大国です。K&Oヨウ素は、世界シェアでは5%、国内では15%です。世界で使われているX線造影剤に利用されるヨウ素は、ほとんどが日本かチリの物です。
・ ヨウ素の輸出価格の推移を見ると、2019年や2020年ころは1キログラム当たり30ドルくらいでした。今は60ドルを超えて、70ドル近くとなり、価格自体がほぼ2倍です。さらに為替レートが、当時は1ドル100円、120円だったものが、今ご存じのとおり、155円を超え、160円をのぞくようになっています。価格上昇と為替変動の影響は、私どもの業績に非常に大きくプラス方向へ効いています。
2.業績の概要等
・ 売上高は、2017年は総額約600億円でしたが、2022年に大きく伸びました。要因はガス事業の売上です。2021年は、ガス事業の売上は550億円でしたが、2022年に900億円と倍増しました。これは、ウクライナ侵略により国際的なエネルギー価格が上昇し、これに連動してLNG-CIFの国際価格も上がったことによるものです。LNGは国際価格で購入し、国際価格で販売しているので、売上に大きな影響がありました。その後、国際価格がだんだん下がってきているので、それに伴い、ガス事業の売上が少しずつ減っていますが、購入価格とお客さまへの販売価格は連動しているため、利益に影響はほぼありません。
・ 注目してほしいのがヨウ素事業の売上です。ヨウ素事業の売上高は建値の上昇や為替が円安である影響を受けて毎年増え、2025年で150億円程度、2026年で156億円を見込んでいます。売上高はそれほど大きくありませんが、国産なのでコストの増加がほとんどなく、売上高の増加分と利益は必ずしも連動はしないものの、大きく利益増加につながっています。このため業績は非常に良くなっています。
・ 売上高全体について2026年は2025年よりも8%ダウンすると予想しました。これは今年2月中旬に発表した時点の数字ですので、中東情勢に変化が生じる前の前提に基づいております。為替レートやエネルギー価格が現在のような状況になるとは思っていなかった時に予想したものです。
・ ガス事業の売上高も減る予想を立てています。こちらも、中東情勢の緊張が顕在化する前に見通したもので、輸入エネルギー価格の影響によりガス販売価格が低下すると見込んでいたためです。LNGが日本に入ってくる時のLNG-CIF価格は、1トン当たり8万9,000円が8万円に下がると見ていました。今現在は10万円くらいまで上がってきています。
・ ヨウ素事業の売上高は、若干増えて、2025年は150億円でしたが、2026年は156億円を見通しています。ヨウ素の生産を少しずつ増やすことと、価格はそれほど落ちないだろうということで、3%くらい伸びると予想していました。今年2月に発表した時には、為替レートが1ドル155円、さらに140円台になってくるだろうと想定し、149円で見ていましたが、今時点で155円なので、業績には良い方向へ働くと思っています。
・ 経常利益は、2022年から大きく増えています。ほとんどがヨウ素事業の貢献によるものです。ガス事業において、売上に影響が多いLNGの販売は、仕入価格とお客さまへの販売価格が連動しているため、売上高が増えても、利益にそれほど影響がありません。ヨウ素事業は、為替レートとヨウ素建値の上下が利益に影響します。2022年以降、利益水準がどんと上がっています。
・ 5月13日に株式分割を発表しました。分割割合は普通株式1株につき2株です。基準日の6月30日現在の株主様の株式を、効力発生日の7月1日に2分割します。分割の理由は、投資単位当たりの金額を引き下げることで、流動性を上げ、買いやすい、売りやすい株式の単位に変えるためです。株価が一時5,500円にも上がり、単位株当たり50万円を超えていたことがあります。より流動性の高い株式相場にしていきたいと考えています。
・ これに合わせて配当予想の修正も公表しましたが、実質的な修正というよりは、2分割するので1株当たりの配当が変わるということです。配当金の状況は、2017年から28円で安定した配当を行ってきました。最近は少しずつ配当を増やしています。昨年は54円、今年の予定は株式分割前の金額で60円と予想しています。
3.グループの取り組み(トピックス)
・ グループの取り組みの一つに、ヨウ素の増産があります。昨年秋にヨウ素精製工程(後半工程)設備を竣工させました。また、ガス井戸からヨウ素工場までかん水を送水管で運ぶのが難しい地区において、井戸元吸着設備の新増設を推進しています。これまでヨウ素を採らずに地中に戻したり、流したりしていたかん水を活用し、ヨウ素生産量を少しずつ増やしていきます。現在約1,800トンであるヨウ素の年間生産量を、中計が終了する2027年には1,900トンまで伸ばしたいと考えています。
・ 最近の話題として首都圏CCS事業があります。昨年2月に関東天然瓦斯開発と株式会社INPEXさんと共同で首都圏CCS株式会社を設立しました。首都圏CCS事業とは、内房の日本製鉄株式会社東日本製鉄所君津地区、京葉臨海工業地帯の複数産業から排出されたCO2を回収し、パイプラインで輸送した上で、外房の海の中に固定化していくというものです。外房の海にはCO2を貯めやすい地盤構造があるだろうと見込まれており、国が首都圏CCS事業を進めています。その事業を、INPEXさんと関東天然瓦斯開発、日本製鉄さんの3社で受託しました。分離回収は内房で行い、INPEXさんと当社は、パイプラインでの輸送と、太平洋の地下にCO2を貯留することを手掛けようとしています。
・ 実際の工事にはまだ入っていませんが、5月に国から九十九里沖の特定地域における試掘の認可がおり、ニュースにもなりました。CCS事業法(二酸化炭素の貯留事業に関する法律)という法律も成立したので、ようやく具体的に動けるようになりました。
4.まとめ
・ 当社は、国産のエネルギーである天然ガスと、世界的にも貴重なヨウ素を生産している会社です。
・ 当社グループの鉱区内の可採埋蔵量は、ガスが約600年分、ヨウ素が約400年分なので、安定して生産供給することができます。
・ ヨウ素事業のヨウ素のシェアは世界で5%、国内で15%です。ヨウ素の国際的な価格で事業を行える会社です。
・ ガス事業は上流から下流まで一貫して行っています。
・ 首都圏CCSは試掘工事の許可がおり、工事を実施する準備が整いました。
・ 普通株式を分割する予定です。
5.最後に
・ 皆さんのお手元にお土産として「リキダス」を用意しました。かん水の中に含まれている有機物、「フルボ酸」をもとにした植物活性剤です。これは肥料ではなく、肥料をより効率良く植物が吸収できるようにする商品で、株式会社ハイポネックスジャパンさんが製品化しました。ここに使われているフルボ酸を私どもが供給しています。当社の植物工場ではこれを利用してリーフレタスなどの生産を行っています。ご自宅でお花や果物、野菜などを栽培しているのであれば、ぜひ試してみてください。
6.質疑応答
Q1.中東情勢が御社の事業運営に与える影響とその期間について教えてください。
A1.中東情勢は非常にひっ迫していますが、私どもの企業グループの業績への影響はほとんどないだろうと考えています。ガス事業において、供給に関する心配はありません。当社は国産天然ガスのほかに、輸入LNGの卸売りを受け、大口工業用等のお客さまへ販売していますが、実はホルムズ海峡を通って日本に輸入されるLNGは6%程度しかありません。石油と違い、LNGは世界中から輸入されており、東京ガスさんもオーストラリアやインドネシア、アメリカ、アラスカなどから購入しています。
ガスの供給に関する心配はありませんが、価格が少し高くなるのではないかという心配はあるでしょう。ただ家庭用等にお届けしている国産天然ガスは国際価格と連動しないため、影響はありません。LNGは、買値が高くなれば売値も高くなるので売上は大きくなりますが、利益はおそらくほとんど変わりません。このような事情で、ガス事業にそれほど影響が出ないと思っています。あえて言えば、諸物価が上がってしまうので、それぞれの原価コストが少し上がってくると思います。
ヨウ素も、国産のヨウ素を世界に売っているので、それほど大きな影響はないと思っています。ただ、船便がひっ迫するようになると、輸出するにあたってボトルネックが出てくる可能性があります。以前も船に載せるコンテナが世界中でひっ迫し、ヨウ素をお客さまに届けられない事態がありました。その可能性を少し心配していますが、現在のところそのような事態にはなっていません。
Q2.ヨウ素事業の市況循環、供給増リスクを踏まえた中期的な利益の安定性をどのように見ていますか。日本が世界に輸出ができる数少ない貴重な資源であるヨウ素について、今後の戦略について詳しく教えてください。
A2.ヨウ素の価格は最近の10年ほどで上昇していますが、ヨウ素価格は、実はボラティリティが高く、長期的にみると大きく変動しています。変動の大きな要因は、日本は安定した量を生産していることに対して、チリは需要動向に必ずしも連動せず供給を急増させることがあることです。チリが増産することで、需給のバランスが崩れ、価格が落ちてしまうリスクが考えられます。一方で、チリは、海水のパイプラインをおそらく1,000キロメートルくらい引かないと増産できないため、「来月からすぐ増産できる」という訳ではなく、年単位での増産計画になります。そのため、今後もヨウ素市場価格は変動しますが、大きな変動はあらかじめ見えるのではないかと思っています。
また、X線造影剤の需要が牽引し、ヨウ素全体の需要は安定して伸びていきます。供給の方に変わった動きがなければ、ヨウ素事業は緩やかに伸びている状態が続くと思っています。
Q3.地熱発電での他社連携の現状について教えてください。
A3.宮城県で関東天然瓦斯開発が出光さんとコラボレーションして、地熱発電の試掘をしている最中です。1本目の掘削が終わり、2本目を掘り始めていますが、どちらも蒸気の出はいいということです。取りあえずは蒸気が出始めているので、もう1本くらい出れば、順調に地熱発電に向かっていけると思います。それ以外にも、他の会社とのコラボレーションは何件かトライしています。
地熱発電は、投資してから回収までに時間がかかります。最初に投資してから、既に5〜6年経つのですが、まだプラントができる状態になっていません。ただ、事業化できれば、収益が安定する事業ですので、私としても非常に期待しています。
Q4.中東情勢が不安定な中、電力供給の面から地熱発電は有望だと思います。主力事業の一つとするお考えはありますか。
A4.地熱事業はキャッシュ化までに時間がかかるので、簡単に事業ができません。さらに、地熱発電所の発電容量は、実はそれほど大きなものではなく、日本で一番大きいものでも10万kW程度ですが、東京電力さんの発電所は100万kW、200万kWの発電所です。地熱発電でその規模の発電容量を賄うためには、地熱発電所が10カ所も必要ですので、地熱事業を主力にするには時間がかかってしまうと思います。
ただし、地熱事業は、私どもの事業に親和性が高い再生可能エネルギーで、安定した電力として国からの期待も非常に大きく、しかも私どもが得意とする「掘る技術」を使っているので、第3の柱にできればしたいとは思っています。
Q5.新規のガス掘削の進捗状況を教えてください。
A5.千葉県のガス井戸はガスの生産を始めて20〜30年くらいでガスの量が少なくなります。そのため、新規ガス開発を行い、減少分を補います。一方で、地盤沈下との因果関係は証明されていないものの、井戸からかん水という地下水をくみ上げるため、千葉県の揚水規制があり、順守しています。くみ上げる水の量は変えずに、減ってきた分をきちんと補うために、ガス井戸の新規掘削を年に2〜3本行いながら、ガスを600年供給していきたいと思っています。
Q6.株価が5,000円前後となり、個人投資家には投資しづらく感じます。株式分割などの議論はされていますか。
A6.5月13日に株式分割を実施することを発表しました。6月末最終の株主名簿に記録された株主の所有株式を7月1日に2分割する予定です。これにより流動性が高くなることを期待しています。
Q7.御社の成長戦略を教えてください。
A7.ガス事業のうちの既存の国産天然ガスは、少しリファイン(改善)しながら微量に増やしていますが、大きく増産することはできません。
再生可能エネルギーについて、大多喜ガスは電力の小売りも行っており、電力事業を手掛けています。再生可能エネルギー事業は、今後もいろいろなことをトライしていきたいと思っています。具体的な案件は、まだ地熱の1件しかありませんが、それ以外にも再生可能エネルギー案件にいくつか取り組んでしていきたいと考えています。
私たちが生産している国産天然ガスはメタンです。これはCH4なので、四つのHから水素を作り、残りのCはCO2としてCCU(Carbon Capture &Utilization、CO₂回収・利用)に回して別のもので利用する、埋めてしまう形にすることも考えらえます。カーボンニュートラルになる2050年の時点でも、国産天然ガスを生産し、利用していただきたいと思っています。
以上
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