株式会社アルトナー(2163)
開催日:2026年3月15日(日)
場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 関口 相三氏
1. 2026年1月期連結決算概要
・ 当社の会社情報について。株式会社アルトナーの設立は1962年9月18日。本年で64年目を迎える技術者派遣会社の老舗企業です。現在、東京証券取引所プライム市場に上場。証券コードは2163です。
2026年1月31日現在の従業員数は約1,500名、そのうち約1,400名がエンジニアで、まさに技術者集団の会社です。
・ 2026年1月期決算概要・総括について。市場環境は、引き続きエンジニア不足が大きく影響し、お客様からのエンジニアのニーズが旺盛でした。特に当社は、自動車完成メーカー、自動車部品メーカー、半導体製造装置メーカーに戦略的ターゲットを絞り、営業展開しています。
技術者派遣事業の状況は、稼働人員が増加。また、技術者単価も上昇しています。
請負・受託事業は、現在、戦略的に強化を図っており、売上高構成比が上昇しています。
利益の状況は、採用や教育関連の設備投資はあったものの、売上高の伸長によりこれらを吸収しています。
・ 2026年1月期の連結業績ハイライトについて。昨年9月に1社、12月にさらに1社と、合計2社の買収を実施しました。その関係で前年対比の数字は挙げていません。単年度の数字報告です。連結売上高は約120億円、売上総利益は45億7,300万円、営業利益は18億2,100万円、経常利益が18億2,300万円、親会社株主に帰属する当期純利益は12億5,800万円となりました。
・ 単体の売上高は前年対比で7.4%の増収、営業利益は7.9%の増益、経常利益は7.3%の増益、当期純利益で10.9%の増益、最終営業利益率は16.3%です。
・ 単体の事業別売上高について。技術者派遣事業は5.6%の増収、請負・受託事業は20.6%の増収、請負・受託事業の売上構成比は13.0%まで拡大しています。
・ 単体の業種別売上高について。電気機器で1.9%増、自動車を中心とする輸送用機器で13.3%増、情報・通信で2.1%減となっています。
・ 技術領域別の売上高について。エンベデッド・モデルベース、いわゆる組み込みソフトウェアの領域で13.1%増、ITソリューションで13.7%増、電気・電子で3.0%増、機械も3.0%増となりました。
・ 技術領域別の期末技術者数について。エンベデッド・モデルベース(組み込み領域)で7.6%増、ITソリューションで21.9%の増、電気・電子で1.6%減、機械で0.8%の増となりました。期末総技術者数は、前年の1,251名から当年は1,315名まで拡大しています。
・ 地域別の売上高について。大阪発の技術者派遣事業会社ですが、現在は関東エリアの売上構成比が65%を占めています。東海で15.0%、近畿は13.0%で、現在は、南関東・北関東を中心に事業を展開しています。
・ 技術者派遣事業の収益構造について。技術者派遣の売上高の構成要素は、技術者数に稼働率を掛け、稼働人員数を算出します。稼働人員数に1人の1時間当たりの技術者単価を掛け、さらに月間労働時間の労働工数を掛けることで、1か月の売上高が構成されます。それに12か月を掛けたものが年間の売上高です。
一方、売上原価は、技術者派遣事業では、顧客企業に配属中の技術者の給料(労務費)が原価として計上されます。請負・受託事業では、技術者の労務費に加え、協力会社への外注費の支払が原価として計上されます。
また、販売管理費は、社内にて教育研修中の技術者の労務費やスタッフ職の労務費、採用・営業活動費が計上されます。
技術者派遣事業の利益率向上のポイントは2つです。まず1つは、売上総利益率の向上です。そのためには、エンジニア1人当たりの技術者単価の上昇が必要です。
もう1つは営業利益率の向上です。技術者の増員に伴う間接部門の増員を管理効率の向上で抑え、販売管理費の上昇をコントロールする。これで営業利益率が向上します。
・ これらの前提を踏まえ、詳細な数字をご紹介します。新卒技術者の採用について、2026年1月期は154名が入社。来年度(2026年度)は153名の入社を予定しています。また、2027年度の新卒採用目標数は210名です。
一方、キャリア技術者数の採用について。2026年1月期は87名が中途入社。2027年1月期は120名の採用を計画しています。
離職率は、2026年1月期は全体で11.2%。昨年が11.7%だったので、若干、改善傾向にあります。一方、定年退職者や当社の転職支援制度を活用して離職された方を除いた離職率では、2026年1月期は8.9%で着地しました。
・ 期末技術者数の状況について。2026年1月期は平均で1,319名。前年対比で40名の増員です。稼働率は前年98.5%に対して本年は98.1%。おおむね98%台で推移しています。
・ 技術者単価について。2025年1月期は平均で1時間当たり4,494円でしたが、2026年1月期は4,713円。前年対比で1時間当たり219円上昇しています。
労働工数は、前年の166時間に対して本年は164時間。時間内工数と残業を合わせ、月平均160時間台で推移しています。
2. 12期にわたる増収・営業増益の要因
・ 当社の主力事業である技術者派遣の市場規模は年々増加傾向です。また、当社の主要顧客である製造メーカーの開発費にかかる予算も年々右肩上がりで推移しています。
したがって、技術者派遣事業の市場そのものは、業界の伸びと主要顧客である製造メーカーの研究開発費の伸びの両方が、非常にフォローの市場環境にある。こういうところで我々は事業をしています。
・ 12期にわたる増収・営業増益の要因について。まず1つは、「長い歴史による顧客企業からの信頼感」です。アルトナーは、1962年に会社を設立。本年64年目を迎える技術者派遣会社の老舗企業です。その長い歴史によるお客様との信頼関係により、リピートオーダーをいただける状況にあります。
・ 2つ目は、「上流工程への技術者の配属を推進するビジネスモデル」です。当社のエンジニアは製造メーカーのいわゆる開発部や設計部で仕事をしています。我々は開発設計部の上流工程にターゲットを絞り、そこに積極的に技術者を配属することで、高い技術者単価を得ることが可能です。
・ 3つ目は、「マーケットニーズの高い技術分野への技術者の配属」です。特に自動車完成メーカーの設計開発部のいわゆるハイブリッド車や電気自動車、燃料電池自動車や自動運転の支援、さらに半導体製造装置メーカーに営業のターゲットを絞っています。その分野に積極的にエンジニアを配属することで、高い稼働率や技術者単価の確保が可能となっています。
3. 中期経営計画(2026年1月期〜2030年1月期)
・ 今中計の基本方針は、「持続的成長及び次世代成長のための基盤を構築する」です。
・ 基本方針実現のための具体的政策は、次の3つです。1つ目は、「セグメント戦略の推進」です。今中計では、ハイエンド領域への配属比率を現在の36%から50%の目標を立てています。それにより、技術者単価が上昇。売上や利益のアップが期待できます。
2つ目は、「多種多様な人財活用の推進」です。そのために請負・受託の事業比率を現在の13%から30%まで拡大させる目標です。それにより、当社の社員エンジニアのみならず、協力会社等のエンジニアの活用が可能となります。
現在、エンジニアの人財確保は非常に困難です。自力での採用に加え、協力会社のネットワークを活用し、請負・受託事業で外部人財の活用を推進していく考えです。
3つ目は、「新たな事業や収益機会の模索」です。これは、M&Aや技術提携等を積極的に行い、さらなる事業基盤の強化を図る考えです。
・ 2026年1月期には2社との業務提携と2社の事業買収を達成しています。
業務提携先の1つは、株式会社富士テクノホールディングス。神奈川県厚木市に本社がある機械設計を中心とした事業を展開しています。
もう1社はジャパニアス株式会社。こちらは現在上場企業です。神奈川県横浜市に本社を置く、ITエンジニアの派遣を主な事業としている会社です。
・ 2社の買収先について。1社目は静岡県浜松市に本社を置く有限会社クリップソフト。もう1社は株式会社情報技研。こちらは栃木県宇都宮市に本社を置く会社です。
クリップソフトは、主に組込みソフトウェアの派遣、請負を展開しています。情報技研は、機械設計を中心とする事業を展開しています。
・ 2社のグループ化の狙い・戦略について。当社は自社のストロングポイントやウィークポイントを相互に補完・補強できるパートナーを対象に、M&Aを展開しています。
クリップソフトは、当社のストロングポイントである組み込みソフトウェアを専門に展開している会社です。グループ化により、さらに組み込みソフト領域での補強を進めたいと思います。
一方、情報技研は、機械設計をストロングポイントにしています。当社はこの領域がウィークポイントです。この分野を補完する対象として情報技研の買収を展開しました。
・ M&Aを踏まえた当中計の売上高目標は200億円、営業利益率目標は15.0%です。
・ 一方、アルトナー単体の売上目標は187億円、営業利益率目標は16.0%です。
・ 連結の期末技術者数の目標は2,250名。現在約1,400名なので、プラス850名を計画しています。1株当たりの純利益(EPS)目標は200円です。
・ 単体での技術者数目標は2,100名。単体での1株当たり純利益(EPS)は195円に設定しています。
・ ROEは20%以上、配当性向は50%以上を目標としています。
4. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
・ 次期TOPIXルールへの対応について。TOPIXは、定期入れ替えが年1回あり、10月最終営業日に入れ替えの判定をしています。
当社がTOPIXの指定銘柄にとどまるには、2025年10月時点の株価目標が4,053円であること。時価総額は431億円、浮動株比率が65%、浮動株時価総額が280億円、EPSが195円、PERが20.8倍。これが理論数字です。
一方、現在の当社の株価は2,071円。時価総額が220億円、浮動株式比率が65%、浮動株時価総額が143億円、EPSが118.47円、PERが17.5倍です。
当社は、次期TOPIXルールに適合した株価や時価総額を1つの目標指標とし、様々な株価施策を展開します。
5. 2027年1月期の業績予想/配当予想
・ 連結の2027年1月期の業績予想は、売上高で前年対比16.4%増の約140億円、営業利益が前年対比10.7%増の約20億円、経常利益は前年対比9.8%増の約20億円、親会社株主に帰属する当期純利益は若干マイナスの12億円と設定しています。
・ 2026年1月期並びに2027年1月期の配当予想です。配当性向は50%をベースに、2026年1月期で70.9%、2027年1月期予想で73.2%を計画しています。
2026年1月期の期末配当は42円、中間配当42円、年間配当で84円を計画。2027年1月期は中間43円、期末43円の前年比2円増配の年間86円を予想しています。
・ 過去の年間配当の推移について。前年割れをしない増配。これが当社の配当の基本方針です。今年度も前年84円に対して翌年86円の2円増配を計画しています。
6. 参考資料
・ 当社の経営理念は「エンジニアサポートカンパニー〜私たちは、技術者の夢をサポートします〜」です。この経営理念に基づき、様々な施策を実行しています。
・ パーパスは「日本が世界に誇る財産であるエンジニアの成長、自己実現をサポートする」です。これがアルトナーの社会的存在意義だと認識しています。
・ 単体の2026年1月期の売上高上位10社について。上位10社は、主に自動車完成メーカーや自動車部品メーカー、半導体製造装置メーカーで占められています。
・ 期末株主数について。前年期末の2万2,181名から2026年1月期は2万5,424名まで増加しています。
・ 株価推移は、現在、イラン情勢等非常に不安定な状況ですが、当社の株価はおおむね2,000円前後で推移。3月13日の終値は1,949円です。
7. 質疑応答
Q1. 3月13日に自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせのプレスリリースを発表されていました。今回の自己株式取得の実施に至った背景や事業戦略上の狙いについて教えていただけますか。
A1. 当社は株式の配当ならびに、株主還元の充実を図るとともに、資本効率の向上や中長期的な企業価値向上に向けた機動的な資本政策を遂行するため、この度、株式の配当金と並びに自己株式の取得を決定させていただきました。
自己株式の活用方法は、今後、2〜3年先になりますが、従業員に対する株式報酬制度の確立等々を考えています。
Q2. AIの進展により技術者派遣が減少するということはありませんか。その点への対応について教えてください。
A2. AIがもたらす当社事業への影響について。現在、ソフトウェアの領域でAIが得意としているのは、コーディング業務やソフトウェアのテスト業務です。これらの分野がソフトウェアの領域でAI活用が最も早期に対応されています。
一方、当社は、開発領域の上流工程、いわゆる研究開発の領域に中期目標で約50%の配属率を高めていく方針を立てています。コーディング業務やソフトウェアの運用テストは、どちらかというと開発領域のその下、下流と言われる業務領域です。
当社の下流領域の人員のウエイトは非常に低い。つまりAIに置き換わる業務に多くの人財を派遣していないため、当社へのAIから受ける影響は軽微だと考えています。
Q3. 御社の優位性について。
A3. 当社は開発の上流工程への配属比率が高いこと。その結果、技術者単価が高く、さらにその結果、同業他社と比較して営業利益率が極めて高いというのが、当社の優位性として皆さんにお伝えできるポイントだと思います。
Q4. ホンダが大きな損失を発表しましたが、御社との影響はありますか。
A4. 先週、ホンダがいわゆるEV事業に関わる事業から一時的に撤退。設備投資の償却等々を含め大きな損失を出したというリリースが発表されました。
当社の派遣事業は、3〜4月決算のお客様について、おおむね3月末までに翌年の派遣契約の更新の有無に関する交渉を行います。併せて翌年の1人当たりの技術者単価の価格交渉もおおむね3月末で終了します。
現在、ホンダグループでは、当社の約350名のエンジニアが派遣または請負・受託事業で配属しています。今年4月1日以降の派遣や請負・受託の契約は、約350名全員の契約更新が既に決定しています。また、4月1日以降の価格改定についても、世間のベースアップ並みの価格改定が決定しています。
さらに、EV領域の当社のエンジニアのプロジェクト参加は基本的にありません。
したがって、契約の更新状況や価格の改定状況、EVに関わる配属状況を勘案し、今回、発表されたEVの一時開発凍結の当社への影響は、現時点ではありません。
Q5. 中東情勢の悪化による業績の影響はいかがでしょうか。
A5. 現時点で、原油価格の高騰等に関わる当社への直接的な事業の影響は見られません。
しかし、中東の情勢の長期化による原油高は、今後何らかの影響が出る可能性は無視できません。引き続き、お客様の状況や状況変化を注視する対応を取りたいと思います。
Q6. 新規事業や海外進出の計画はありますか。
A6. 中期経営計画では3つの基本施策を掲げています。その1つがM&Aやアライアンスを積極的に展開していくことです。
現中計では、当社の主力事業である機械領域、電気・電子領域、ソフトウェア領域での事業強化を図る目的でのM&Aを行いたいと考えています。したがって、新たな事業領域への展開は、現中計での優先順位としては後の方という考えです。
また、海外進出について、今中計では請負・受託事業の比率を現在の13%から約30%まで高めていくこととしています。請負・受託事業の強化の中で、今後、海外での事業移転や海外企業との提携を通じ、オフショアする。共に仕事を分けていくような海外への事業展開は想定していますが、現時点では具体的には決定していません。
以上
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