Daiwa Investor Relations

企業を探す

企業コード / 会社名
業 種

この条件で検索する

旭化成株式会社(3407)

開催日:2026年1月11日(日)

場 所:東京国際フォーラム ホールB7(千代田区丸の内)

説明者:代表取締役 兼 専務執行役員  堀江 俊保 氏

 

1.会社概要

・   当社は、“いのち”と“くらし”に貢献する企業に投資したい方、あるいは優れた技術と人財による変革を応援してくださる方、そして長期で保有し、安定的な配当を期待される投資家の皆さまにお応えします。

・   当社の製品やサービスは皆さまの身の回りにも多く使用されています。浄水場等の水処理の技術や家電樹脂といった身近な素材など、生活の基盤を支える様々な製品・技術を持っています。また、重篤な心肺疾患領域を対象とした除細動器やAED等の医療機器の事業や医薬事業も行っています。加えて、現代社会を支えるスマートフォンやパソコンなどの大切な部品にも当社製品が組み込まれており、環境問題に対しては、電気自動車の普及や、将来的には水素社会にも貢献していきたいと考えています。

・   当社には多彩な人財が在籍しています。事業が多岐にわたるため、様々な専門性を持った従業員が多いほか、東京オリンピックの金メダリストである柔道の大野将平選手や永瀬貴規選手、実業団駅伝で活躍するようなスポーツ選手もいれば、2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰名誉フェローも所属しています。

・   当社は1922年に創業し、再生繊維等の事業から始まっております。創業者の野口遵は、当時の日本は食料が十分ではなかったため、空気から肥料を作り、農業増産につなげたいと考え、原料となるアンモニアを製造するためのプラントを宮崎県延岡に建設しました。「時代のニーズや社会課題に対し、事業を通じて解決策を提供していきたい」という創業者の思いは、現在も変わっていません。「空気中の窒素からアンモニアを合成して肥料を作り、農産物の増産に貢献したい」という当時の志は、脱炭素社会の実現に向けて水素の事業化に取り組む現在の姿勢にも通じています。その後、石油化学へと展開し、パソコンやスマートフォンには欠かせないリチウムイオン電池をはじめとする、現代社会を支えるデバイス用の部品や材料の供給や、M&Aによるヘルスケア事業の拡大などに取り組んでいます。

 

2.旭化成の強み

・   当社は、時代や社会の要請に応じ、事業ポートフォリオの転換を図る力を持っています。その力を支えているのが人財、技術力、知的財産、製造力、ブランド力といった無形資産の強さであり、安定的な財務基盤の下に事業を運営していることも特徴です。

・   当社が過去最高益を達成した2018年度当時は中国がアジア全体の経済を引っ張っており、その経済成長に沿って需要が拡大していたケミカル事業(石油化学関連)が収益の大きな柱でしたが、中国経済の悪化等を背景にケミカル需要が縮小したため、ここ数年で取り組んでいるのが事業ポートフォリオ変革です。成長分野であるヘルスケア領域のM&Aや先端半導体の材料への投資の結果、2025年度は再び過去最高益を更新する見込み※1です。ケミカル事業が占める割合はごくわずかとなる一方、ヘルスケア、住宅、マテリアルのエレクトロニクス事業などが成長し、内訳が大きく変化しています。

・   無形資産の中でも「技術」は幅広い社外評価を受けています。また、「人財」は多彩であり、風通しのよい社風です。吉野彰名誉フェローも非常に気さくで、ノーベル化学賞の授賞式から帰ってきた際には、メダルの形をしたチョコレートをたくさん購入して帰国されたエピソードがありました。

・   「ブランド」については、当社はB to Bのビジネス中心ですが、過去には「スター千一夜」や「なるほど!ザ・ワールド」といった冠番組があったことや、「ヘーベルハウス」などの強いB to Cブランドもあり、一般の方々にも一定の認知をいただいていると認識しています。

・   業績面では、今日に至るまで、営業利益が赤字になったことは一度もありません。財務体質についても2024年度におけるD/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は62で、2025年度は0.5ポイント台になる見通しです。格付はAA(ダブルエー)を維持しながら、現在は安定的に成長していく企業を目指し、事業ポートフォリオ変革に取り組んでいます。

※2025年度のD/Eレシオは、0.46となりました。

 

3.旭化成の成長戦略

・   中期経営計画(2025年度〜2027年度)では営業利益2,700億円を目標としていますが、2030年度に向けては営業利益3,800億円、ROE12.0%、ROIC8.0%を目指しています。2027年度における営業利益目標2,700億円は、コミットメントと認識しており、事業を取り巻く外部環境が変化しても収益をしっかりと上げていける会社を目指しています。

・   現在は「重点成長」事業を中心に成長を図り、安定的な成長の実現を目指しています。「重点成長」事業とは、ヘルスケアの医薬事業、クリティカルケア事業、住宅の海外住宅事業、マテリアルのエレクトロニクス事業です。また、当社の特徴は、「収益基盤維持・拡大」事業を有していることです。住宅では国内における「ヘーベルハウス」を中心とする国内住宅事業や、衣料に使われる「ベンベルグ」や「サランラップ」といったオンリーワンに近い製品を持つコンフォートライフ事業など、安定的な収益を上げられる事業が「重点成長」事業拡大の下支えになっていることも当社の強みです。

・   「収益改善・事業モデル転換」事業と位置付けるケミカル事業は、当面は構造転換を着実に進めていきたいと考えています。

・   医薬事業は、抗がん剤のような大型医薬品であるブロックバスターは狙わず、ニッチな疾患領域に絞って展開しています。また、特許戦略など強みである知財を活かしたM&Aも特徴であり、現在は米国を中心によりグローバルな事業を展開しています。2024年にはスウェーデンの製薬会社である、Calliditas社を買収していますが、その業績は買収時の計画以上であり、資本市場から評価をいただいています。

・   クリティカルケア事業は、2012年に買収したZOLL社の下、着用型自動除細動器「LifeVest」をはじめとした革新的な医療機器によって成長してきました。「LifeVest」は、米国市場では約9割のシェアを有しています。ドイツの臨床研究においては、心臓疾患のある患者さんが「LifeVest」を治療初期の3カ月間着用することで、薬剤治療のみの場合と比べて心停止のリスクを抑えられるというデータが実証されました。これらを背景に、今後は米国市場だけではなく、欧州も含めたグローバルに展開を加速していきたいと考えています。また、ZOLL社は、AEDや医療機関用の除細動器についても高いシェアを占めており、こちらも将来に向けてさらに伸ばしていきたいと考えています。

・   海外住宅事業は、北米事業は足元ではローン金利高騰の影響などから需要がやや減少していますが、今後は成長軌道に戻ってくると考えています。なお、北米事業は国内で展開する「ヘーベルハウス」を手掛けるのではなく、日本国内で培った工程管理を米国で導入し、工事の効率化や高品質化を実現しています。

・   エレクトロニクス事業は、電子材料の供給において、台湾のTSMC社より2年連続で「TSMC Excellent Performance Award」を受賞しています。AI関連製品の需要が強く、先端半導体に使用される「パイメル」や基板に使用されるガラスクロスといった主力製品は、今後も売上高で年率10〜15%程度の成長を見込んでいます。

 

・   資本配分と株主還元

・   現在の中期経営計画では、3年間で成長に向けた投資と株主還元に約1兆2,000億円を見込んでおり、投資と還元のバランスを重視しています。

・   配当は、DOE3%を目安に累進配当をベースとしています。長期的に累進で配当を増やしていきながら機動的に自社株買いを行うことで、株主の皆さまへの還元を充実させていきたいと考えています。

 

5.サステナビリティ

・   当社は従来サステナビリティを意識しており、環境負荷の低減に貢献する「環境貢献製品」を数多く提供しています。

・   住宅事業では、「ヘーベルハウス」や「ヘーベルメゾン」への太陽光発電設備設置を積極的に推進しており、事業に使用する電力の100%を再生エネルギーで行う「RE100」を達成しています。また、CO2を原料の1つとして使うポリカーボネートの製造も実現しています。

・   その他、地域・社会への貢献等も数多く取り組んでおり、主要な社会的責任投資インデックスへも組み入れられています。また、国内では5年連続DX銘柄に選出されました。株主の皆さまへの情報発信の強化については、2025年度には「IR優良企業賞」受賞いたしました。

※2026年4月に、6年連続となるDX銘柄の選定を受けました。

 

 

6.質疑応答

Q1.旭化成の強みとは何でしょうか。御社は総合化学メーカーの域を越えているようにも思いますが、他の化学メーカーとの違いも含めてご回答ください。

A1.いつの時代も社会課題や環境変化に応じて、世の中が必要とするものに対して価値を提供していくことが私たちの企業活動の原点です。具体的には、無形資産(人財、知財、製造技術、財務安定性等)を総動員して、常に事業ポートフォリオ変革を行っていく実行力こそが当社の強みであり、DNAだと考えています。

 

Q2.足元では株価が堅調に推移していますが、現在の株価水準についてはどのようにお考えですか。さらなる株価上昇に向けた具体策があれば教えてください。

A2.株価はPBR1.0倍を超える水準まで回復しましたが、まだ十分な水準ではないと考えています。当社は多様な事業を展開しているため、分かりにくい可能性があると思います。まずは4つの「重点成長」事業を軸に着実に成長させ、それが世の中のニーズを捉えていることを示していくことによって、中長期的な成長への信頼感を高め、結果として企業価値や株価の向上につなげていきたいと考えています。

 

Q3.株主還元は累進配当を重視され、2025年度は自己株式の取得も発表されましたが、改めて還元についてのお考えを教えてください。

A3.当社は多様な事業を行っているため、成長投資と還元のバランスを取っていくことが重要だと思っています。配当は累進配当を基本方針とし、DOEを1つの指標として中長期的に安定した還元を継続する考えです。まずは当社の成長投資に対する成果への信頼を得た上で、投資案件、キャッシュ・フローの状況等を踏まえながら機動的に自社株買いを行っていく方針で、還元についても前向きに検討を進めています。

 

Q4.2025年度の営業利益目標は、過去最高益の2,210億円と発表されています。最高益の更新に向けて、足元の業績ならびに米国の関税や金利政策といった事業リスクについて、どのようにお考えでしょうか。

  

A4.米国トランプ政権の関税や金利政策など社会情勢が不透明な場合、リスクマネジメントが重要です。当社では、一部の事業に影響が生じても他の事業で吸収できる事業ポートフォリオを有しています。例えば、2025年度については、自動車関連事業は想定より若干のマイナスで推移しましたが、AI関係の需要が高まったエレクトロニクス事業や医薬事業は想定を上回ることで、最高益を更新できると見込んでいます。当社の特徴は、先の見通せない不透明な時代においても、多様な事業を展開していることで安定的な成長を実現できる点です。今後も当社の強みを最大限発揮し、投資家の皆さまのご期待に応えたいと思います。
※2025年度の営業利益は、2026年5月12日に公表のとおり、2,312億円と、過去最高益を更新しています。

 

Q5.成長に向けたM&Aや設備投資を1兆2,000億円計画されていますが、今後どのような分野への投資をお考えでしょうか。

A5.「重点成長」事業への投資を中心に行います。成長ドライバーであるヘルスケア領域では、医薬事業についてM&Aの可能性を検討しています。一方で、エレクトロニクス事業については、AI・半導体需要の急拡大を受け、関連する電子材料工場の増設計画を前倒しで行っていきます。
※2026年2月26日にドイツの医薬品開発企業であるAicurisの買収を発表しました。

 

Q6.御社はEV市場の成長を見据えて、2024年にカナダでのリチウムイオン電池用湿式セパレータ工場建設を発表されていました。足元のEV市場は必ずしも好調とは言えない状況かと思いますが、今後のセパレータ事業の見通しについて教えてください。

A6.トランプ政権に変わり、EV向けの需要は想定よりも鈍化していますが、カナダでの工場建設にあたっては、当初よりリスクマネジメントを重視してきました。具体的には、日本政策投資銀行、カナダ政府、オンタリオ州政府からの補助金に加え、お客様であるホンダ様からも出資をいただくなど、当社の出資額を抑制しながら実行しています。
現在はAIの需要が好調なため、EVだけではなくデータセンター向けのセパレータの需要を取り込み、リスクを分散しながら安定的に運営していきたいと思っています。

 

Q7.10年、20年先の旭化成をどのような会社にしていきたいですか。ぜひ、堀江専務のお考えをお聞かせください。

A7.現在、当社では、ヘルスケア、住宅、マテリアルの3つの領域で事業展開していますが、時代のニーズに応じて価値を提供しているのがこの分野であり、最初からこの事業構成を目指していたわけではありません。したがって、10年、20年後の社会においても、その時々のニーズに当社の技術やビジネスモデルで応え、価値を提供し続ける企業であることが目指す姿です。事業構成は変わったとしても、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献する」という考え方は変わりません。

 

Q8.2027年度にROE9.0%の目標を掲げられています。2024年度は7.4%という実績でしたが、今後のROEの改善策を教えてください。

A8.ROEの改善に向けて、収益を上げていくことと、資本効率を意識することの両方の努力を重ねており、還元の拡大も対策の1つになります。現在、2027年度にROE9.0%の目標を発表していますが、2030年度にはROE12.0%以上を目標にしています。構造転換に取り組んでいる石油化学関連事業は、4年に1度の安全を確保するための定期修理のタイミングを考慮しながら、2030年度に向けて構造転換を完成させていく予定です。その過程として2027年度のROE目標は9.0%としていますが、この目標は最低限達成したい水準であり、いち早く10%を超えていきたいと考えています。そして、2030年度のROE12.0%以上という目標達成に向けて、事業ポートフォリオ変革を進めたいと思います。

  ※2025年度のROEは、8.0%でした。

 

Q9.現在展開されている事業の中で、期待されている事業は何でしょうか。

A9.水素関連の事業はニーズがある分野として認識しています。当社は水素を製造するのではなく、水素の製造プラントを支える技術や運転ノウハウを提供するビジネスを考えています。当社は従来、イオン交換膜法食塩電解事業という歴史のある事業を展開しており、そこで培われてきた顧客基盤、技術、サービスプラットフォームは、今後アルカリ水電解水素製造のビジネスにおいても生かせると考えています。

 

Q10.本日の説明には入っていませんが、マテリアル領域の今後の方向性についてご紹介いただけますか。

A10.ケミカル事業については、引き続き構造転換を進め、それ以外の事業についても、従来の「モノ売り」から、ソリューション型事業への進化、あるいは技術レベルの高い付加価値分野で勝負していくことが重要だと考えています。構造転換と成長投資を並行して進めることで、マテリアル領域における事業ポートフォリオを質的に転換していく考えです。

 

以上

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

大和インベスター・リレーションズ(以下、「当社」といいます。)はこの資料の正確性、完全性を保証するものではありません。

ここに記載された意見等は当社が開催する個人投資家向け会社説明会の開催時点における当該会社側の判断を示すに過ぎず、今後予告なく変更されることがあります。

当社は、ここに記載された意見等に関して、お客様の銘柄の選択・投資に対して何らの責任を負うものではありません。

この資料は投資勧誘を意図するものではありません。

当社の承諾なくこの資料の複製または転載を行わないようお願いいたします。