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株式会社フジクラ(5803)

開催日:2026年2月11日(水)

場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区)

説明者:取締役社長CEO  岡田 直樹 氏

 

1.フジクラグループ概要

・ 簡単に自己紹介いたします。1986年に当社に入社。当時はまだ藤倉電線という社名でした。後ほど変更し、今、フジクラという社名になっています。

私は元々技術屋で、入社後はずっと佐倉の事業所で主に光ファイバーケーブルの研究開発に従事してきました。研究開発部門に非常に長く勤め、革新的な光ケーブルの開発に成功しています。それが今、我々の業績の重要な商品の一つであるSWR®/WTC®です。この光ケーブルをもって、次世代光ケーブル事業推進室を立ち上げ、この事業の拡大に努めました。2018年には光ケーブルシステム事業部長として、SWR®/WTC®の認知が進む中、世界に向けて拡販と事業の拡大に取り組んできました。

ずっと佐倉事業所に勤務していましたが、2020年1月1日に本社に呼ばれました。当時のフジクラの経営状況は非常に厳しいものがありました。地方の事業所にいると、危機的な状況をなかなか感じられなかったのですが、2020年1月に本社に来て、非常に危機的な状況であることを認識しました。

そこで、2020年4月に常務執行役員としてコーポレート企画室長、今の経営企画の室長として拝命いただきました。とにかくフジクラを立て直すという意味で「事業構造改革100日プラン」を策定し、推進。翌年には取締役COOとして、中核事業の全てを担務し、翌年の2022年から取締役CEOを務めています。

この頃になると、だいぶ業績も回復し、持続的成長フェーズへ転換。「2025年中期経営計画」が今年度末までということで取り組んでいます。来年度からは次期中期計画となり、今まさにその策定に取り組んでいます。

・ フジクラの概要について。本社は東京都江東区の木場です。私は社長としては14代目。非常に長い歴史があり、創業は1885年。昨年140周年を迎えました。2024年度の数値で、資本金530億円、従業員5万人強、売上が9,800億円という規模の会社です。

・ 私はCOO、あるいはCEOになってから、ずっと言い続けていることがあります。それは、「技術のフジクラ」ということです。

フジクラの創業者は藤倉善八。彼が銀座にアーク燈が灯るのを見て、電気の時代を予見。電線業始めたのが我々の会社のスタートです。当時は家内制手工業で「根掛け」を作っていました。これは紐をより合わせて、女性の髪飾りに使ったものだと聞いています。このより合わせの技術が電線に適用できるということで、技術を転用して電線業をスタートさせました。

そういった意味で、創業の時からフジクラは「進取の精神」と「技術のフジクラ」をずっとDNAとして持ち続けている。これを私は社内外に発信しています。

「世界では今後も大きな変革が進むとともに、多様な技術革新が起こる。こういった社会の変化や技術の進展があるところには、私たちフジクラグループの優れた技術を生かせる機会が必ずある」という信念の元、取り組んでいます。

また、「“つなぐ”テクノロジー™を通じ、顧客の価値創造と社会に貢献することが、当社の『Purpose』であり、存在意義である」という強い発信をしています。

・ 事業内容について。2024年度の数値で連結売上高は約9,800億円です。

事業を大きく分けると、情報通信事業、エレクトロニクス事業、自動車事業、エネルギー事業の4つがあります。

一番大きいのが情報通信事業で約4,500億円。主力製品は光ファイバーやその関連製品です。エレクトロニクス事業は、色々な電子部品やコネクタなどの商材があります。例えば、FPC(フレキシブルプリント配線板)や、最近ではハードディスクドライブ用の部品、CPUを冷却するサーマルソリューション、センサー類などがあります。自動車事業の主力製品は車の中の電線、いわゆるワイヤーハーネスです。エネルギー事業は、創業から綿々と続く電線を扱っており、特に電力を送るための電線類の事業です。

・ グローバルでは、今、フジクラグループは、世界31ヵ国に121社を有しています。近年、海外の成長に合わせて会社全体も成長しており、海外売上比率が年々上昇。約77%が海外売上です。

欧州、アジア、日本、北米で展開していますが、近年一番伸びているのが北米です。北米が約5,000億円で、全体の半分強くらいを占める構成です。

 

2.事業再生フェーズ/持続的成長フェーズ

・ 今週月曜日に決算発表し、2025年度の業績予想を修正しています。2016年から2025年度までの業績推移をみると、2019年度はフジクラの歴史上、最大の当期損失を計上。385億円の非常に大きな損失を出し、この年は無配。株主の皆様方にもご迷惑、ご心配をおかけしました。

ちょうどこの時期に私は本社勤務となり、事業再生フェーズに取り組みました。比較的、短期間で成果を出し、2021年度にはほぼ前と同じぐらいまで復活。その後の持続的成長フェーズでは、順調に事業を拡大し、利益も拡大している状況です。

今はまさに2025年中期経営計画期間。2023年スタート、2025年度ゴールの中期経営計画に取り組んでいます。

・ 実はこの構造改革では、非常に大きなことを短期間で実現。その時に大きく経営刷新し、経営体制を変えています。

非常に大きな損失を上げた2020年3月期の経営体制は、業務執行取締役、執行役員が22名でした。業務執行取締役も執行役員も多く、機能が細分化され、責任の所在が結構、曖昧になっていたのが、経営上の大きな問題点として認識していました。

当時はカンパニー制を敷いていましたが、2021年6月に廃止し、事業部制にしました。組織の重層化を解消し、一時的にCEO・COOに権限集中し、痛みを伴う改革を短期間でやり遂げる体制を作りました。この時、私はCOOとして取り組みました。

その後、業績回復したのち、CEO・CTO・CFOの三頭体制で、今、経営しています。

さらに、昨年6月に取締役の体制を大きく変えました。これまでは社外取締役の方は全員、監査等委員でしたが、この6月からは社外取締役を監査等委員でとそうでない方に分け、監査等委員でない取締役の方は、非常に経営経験の豊富な方を招聘。この体制で今、まさに次期中期計画を策定しています。

・ 2020年度の事業再生フェーズから、2022年度以降の持続的成長フェーズの取り組みは、大きく転換施策(構造改革)と強化施策に分かれます。

事業再生フェーズでは、事業の撤退や売却、工場の閉鎖等々、スリム化のための施策を多数実施。成長フェーズになると、より事業を拡大する施策に徐々にシフトさせました。

ただ、事業再生フェーズの中で、1つだけ、将来に向けて種を撒いて育てようというのが光ケーブルの事業です。SWR®/WTC®のフジクラオリジナルの革新的な光ケーブルだけは、きちっとリソースを投入して取り組み、それが今、花開いたところです。この分野は、新工場建設にも繋がっています。

将来に向けて、我々は超電導線材という世界を変える技術を持ち合わせています。この新工場投資にも今、取り組んでいます。

・ そういった背景を踏まえた株価の推移について。2020年3月期が最悪で、株価は250円でした。それが業績の回復と、将来への大きな期待をいただき、株価は急峻に上がり、一番最近の終値では2月4日で2万2,810円まで上がっています。PERは50倍近く、PBRは13.5倍で、非常に高い評価をいただいていると感じています。

・ 株主還元について。配当金は2020年度は無配でしたが、業績の回復と共に株主還元もきちっとやる方針で取り組んでいます。

中期計画では配当性向30%を目安に掲げていましたが、2024年度で中期計画の目標数値は全てクリアしています。そこで2025年度は中期計画とは切り離し、単年度で実施。配当性向を30%から40%に引き上げ、業績の好調さを反映した配当を予定しています。

・ 2025年度は、業績の良さを背景に数々の表彰をいただいています。

1つは、「ポーター賞」。これは経営学で著名なマイケル・E・ポーター氏にちなんだもので、独自性のある優れた戦略を行う日本企業や事業に贈られる賞です。我々の光ケーブルSWR®/WTC®の事業戦略とその拡大が高く評価され、受賞に至っています。

2つめは「日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞」です。SWR®/WTC®の最新製品が表彰されました。

このケーブルは、1つのケーブルの中に1万3,824本ものファイバーが入っています。今、データセンターで使われていますが、1つのケーブルでこの芯数を達成しているのは、世界で今のところフジクラだけです。

競合他社はその半分の6,912本。我々はその倍の芯数のケーブルを達成したということで最優秀賞をいただきました。

・ また、経済誌「財界」の「経営者賞」を受賞。これは顕著な業績を残した経営者や人材教育など、特筆すべき取り組みをした経営者を対象としています。経営危機から短期間のうちに業績を回復させ、4期連続の最高益更新ということと、SWR®/WTC®という最先端の技術開発で牽引している点が高く評価されました。

さらに、「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2025」で、「経済産業大臣賞」を受賞しました。こちらも経営危機からの事業再生と、我々は後継者育成や取締役選任についてシステマティックに取り組んでおり、これらの取り組みに対して表彰をいただいています

 

3.2025年中期計画

・ 2025年中期計画では、3つの領域を革新的事業領域にしています。ここに経営資源を投入し成長を図るという明確な方針のもと、取り組んでいます。

3つの領域とは、「情報インフラ」「情報ストレージ」「情報端末」です。今、生成AIが非常に盛り上がっていますが、我々は将来のさらに高度なデジタル化社会の実現に貢献していくことを目指しています。

そのためには、光ファイバーをベースとした「情報インフラ」。データセンターを主とする「情報ストレージ」。そして、こういった情報を扱う「情報端末」。これはスマホやパソコンを指します。これらの領域で我々は貢献していくというのが2025中期計画の大きな柱でした。

・ 3年間の領域別の推移について。「情報インフラ」は、前年比で7%(2023→2024)、12%(2024→2025)と順調に成長しています。そして、特筆すべきは「情報ストレージ」です。この領域は、160%(2023→2024)、64%(2024→2025)という非常に大きな伸びを遂げています。これはまさにデータセンター向けです。昨今ではデータセンターで光ファイバーが大量に使われており、それにより非常に大きく伸びています。

一方、「情報端末」は残念ながら2025年はちょっと厳しい予測をしています。これまで情報端末ではスマホが成長を牽引してきましたが、その伸びが鈍化していることと、スマホに代わるウェラブル等の情報端末がなかなか盛り上がりません。そういった中で競争も激化している状況です。

また、私どもは次世代の自動車も情報端末として位置づけて取り組むつもりでした。将来の自動車は、走るスマホや走るデータセンターと言われ、我々がスマホやデータセンターで培ってきた技術が次世代の自動車にも使えるだろうと考えていました。ただ、自動車事業はEVの変調等もあり、盛り上がりにやや欠けることが影響しています。

・ この3ヵ年の事業部門ごとの売上高の推移について。総額の売上高は約8,000億円から1兆1,500億円に伸長しており、今年度初めて、売上高は1兆円を超える見込みです。特に情報通信事業の大きな伸びが目立ちます。

営業利益も急峻に伸びています。やはり情報通信事業の貢献度が非常に大きいです。

・ 我々がこの中期計画で掲げていた主要な経営指標です。2025年度の営業利益は約2,000億円弱で、営業利益17.1%です。中期計画の目標は2024年に1年前倒しでほぼ達成しており、2025年度は計画よりもさらに大きくなっています。

この中計では自己資本比率にも着目していました。それまでかなり危機的な状況だったので財務体質が脆弱で、この中期計画で自己資本比率50%ぐらいまでは戻そうと取り組んできました。これも、ほぼ2024年度に達成し、2025年度は58%です。いよいよ財務体質も盤石になり、資金も多くなったので、将来に向け何に投資するかが、次の中計の大きな方向性だと考えています。

ROE32.2%、ROIC24%で、非常に高収益の企業に生まれ変わったと言えます。

 

4.将来の成長に向けた取り組み

・ 当社は俳優の長谷川博己さんによるTV CMを放映しています。そこで登場しているのが、革新的な光ケーブルのSWR®/WTC®です。SWR®は、Spider Web Ribbon®(スパイダーウェブリボン)の略です。

これが情報通信事業の伸びを牽引しています。特に2023〜2025年の伸びが著しい。国別では米国のデータセンターに大量にSWR®/WTC®が採用されています。

・ この伸びに対応するため、私の以前の職場ですが、千葉県佐倉市の事業所に次世代の工場を建設中です。約450億円を投資し、2029年度に稼働予定です。ここには革新的な製造技術を導入し、生産性を現行比2〜3倍に高め、コスト競争力もさらに強化します。

さらに、去年の秋口にトランプ大統領が来日された折、フジクラは米国の商務省と枠組合意書を締結しています。今後も米国は、政府主導で戦略的にAIインフラを強化していく方向性があります。そこでは光ファイバーケーブルが大量に使われる。米国でのプレゼンスは非常に高いものがあります。そこで我々は、米国政府からAIインフラ用のデータセンターに使われる光ケーブルの供給者に選定されました。その規模は約200億ドル、日本円では約3兆円の非常に大きなものです。

ただ、期間も明示されておらず、全量がフジクラというわけではないと思います。全てがフジクラの売上に繋がるかはわかりませんが、非常に大きなプロジェクトが計画されており、その中でフジクラが光ケーブルの供給者として認定されたということです。

それからすると、今450億円をかけて新工場を建てていますが、とてもこの規模では対応できません。こういったオポチュニティ(好機)に対応すべく、さらに新たな工場建設を検討中です。

我々は、この世界トップクラスの光ケーブルだけでなく、光コネクタもファイバー融着接続機も世界一で、それらに付随した光コンポーネントビジネスも広がっています。さらにこれらの製品をデータセンターの中に組み込む施工エンジニアリングビジネスも手がけています。データセンター向けには、トータルソリューションでビジネスを拡大したいと考えています。

・ 将来の取り組みでは超電導があります。昨今、注目されているのが核融合です。高市首相もAIや核融合は日本の成長戦略として取り組んでいくと表明しています。

核融合の実現には、磁場閉じ込め方式とレーザー方式の2つの方式があります。

磁場閉じ込め方式には、我々の高温超電導線材がプラズマを閉じ込めるための超電導コイルに大量に使われるので、非常に高い期待をいただいています。

また、レーザー方式には、我々のファイバーレーザーが生かせるということで興味を持っていただいています。核融合実現のための2大方式に、我々のキーテクノロジーが貢献できるのではないかと期待しています。

昨今では、こういった政府主導の核融合プロジェクトが、日本、米国、英国、EU、中国で非常に進んでいます。さらに、米国を中心に多くのスタートアップ企業が民間でも多額の資金を集め、核融合に向けた大きな投資が進んでいます。

・ 2025年度は89億ドルもの資金が調達され、多くのスタートアップ企業が実現に向けて取り組んでいます。

・ スタートアップ企業からのフジクラの高温超電導線材の発注が非常に多く、超電導線材の製造工場も拡張を進めています。

実は、2027年度の生産能力を3〜4倍に拡大するために60億円を投資し、今まさに工場建設中です。しかし、さらに多くの需要があるので、それに対応すべく、今年に入ってから56億円の追加投資を決断しました。これで生産能力はさらに2倍になります。

また、核融合は非常に大きな市場ですが、そればかりではありません。将来的には、超電導リニアなどの新市場の開拓も見据えた投資です。

・ 将来に向けた取り組みでは、ファイバーレーザーもあります。レーザー方式で核融合を実現しようとしているスタートアップ企業に、Blue Laser Fusion(ブルーレーザーフュージョン)社があります。この企業は、青色LEDでノーベル物理学賞を受賞した中村修二先生が取り組んでいる核融合実現のためのスタートアップ企業です。

中村先生からは我々のファイバーレーザーに非常に高い期待をいただており、今、Blue Laser Fusion社と共同で、レーザー方式による核融合実現に向けて取り組んでいます。

また、ファイバーレーザーの分野でもう一つ期待しているのが、新素材加工への展開です。カーボンFRPという素材は、非常に軽くて強靭な材料で、最近は車両や航空機への適用が進んでいます。ただ、加工がかなり難しい。しかし、ファイバーレーザーなら、非常に高品質で高速な加工ができると、興味を持っていただき、幾つかのお客様と取り組んでいます。

・ 最後のまとめです。フジクラは、過去の経営危機を契機に、「ガバナンスの強化」と「選択と集中」を進め、経営基盤の強化を図ってきました。その後も、経営の継続的改善と戦略的な事業運営を推進。その結果、この4〜5年でフジクラは大きく変化しました。

現在は、次期中期計画を策定しています。これまではどちらかというと構造改革や不採算など、守りの選択と集中がメインでしたが、安定した財務基盤の下、今後は「攻めの選択と集中」に舵を切り、成長分野のメリハリをつけたリソース投入を加速。さらなる高収益企業を目指したいと考えています。

「進取の精神」と「技術のフジクラ」が、フジクラのDNAです。社会の変化や技術革新を成長機会と捉えて、未来に“つなぐ”テクノロジー™により、引き続き顧客の価値創造と社会に貢献します。

 

5.社長対談 質疑応答

(質問者は大和IR 代表取締役社長  成瀬 順也氏)

Q1. 2019年度決算で史上最大の純損失を計上され、その後、構造改革を進められたというお話を伺いました。その中で「100日プラン」を策定。推進に関わられたということですが、その時はどのような思いで進められたのか、お聞かせいただけますか。

A1. 私は技術屋で工場勤務でしたので、本社に異動し、これほどの状況になっていることに非常に驚きました。当時、資金繰りもままならず、400億円もの劣後ローンを借り入れて、それでなんとか繋いできたところでした。

当時は、事業の売却や拠点の統廃合、あるいは政策保有株の売却、2度に渡る希望退職など、痛みを伴う施策を行いました。こういう厳しい状況は早く脱しないと、社員の皆さんの人心が疲弊することを一番気にしていました。そのために、やるべきことをいかに短期間で切り上げるかを一番考えていました。

それから、フジクラの140年という長い歴史を我々の代で止めるわけにはいかないということも、全社員が一丸となって取り組めた一つの要因ではないかと思います。

 

Q2. その結果、足元の中期経営計画を1年前倒しで達成する結果に繋がってきたと思います。そのことに対するご自身の評価や、特にコロナ禍でなぜ、この成果出すことができたのか、その辺り、もう少しお聞かせいただけますか。

A2. 構造改革で大きかったのは、私は、ある意味教科書通りというか、固定費の削減等々について、いかに覚悟を持ってやりきるかということです。その中で、現状に繋がったのは、「経営刷新」「ガバナンスの強化」だと思います。

当時のカンパニー制は、カンパニーごとにカンパニー長が取締役を務め、利益代表者の塊が取締役会を構成していました。そうするとフジクラ全体での最適なデシジョン(決定)がなかなかしにくい。

また、カンパニーを統括している取締役は、「他の事業には物申さず」「自分のところを好きにやる」みたいな雰囲気が多少あったのではないかと思います。それが結果的に全体最適に繋がらなかったと考えています。

この経営刷新を通じ、今の経営体制は、いわゆる事業代表、利益代表の方は取締役にはおりません。「フジクラの全社最適はどうなのか」「事業ポートフォリオマネジメントはどうあるべきか」といったことがきちっと議論され、決断できるようになっているのが大きな要因かと思います。

 

Q3. 私は元アナリストでしたので非常に興味があるのですが、足元これだけ業績も株価も大きく上がると、アナリストや投資家との面談がとても増えているのではないかと予想します。その中で特にグローバルな投資家からは、どのような質問や期待が来ているのか。その中で国内とは違うと思うことは何かありますか。

A3. 業績が非常に良くなり、自己資本比率も50%を超えてから、特に海外の投資家から「キャッシュを置いといてもしょうがないでしょう」「将来に向けてどんな成長投資をするのか」といった期待感を非常に大きく感じます。

 

Q4. ご質問いただいている中で、AIデータセンターについての質問が多くありますので、この中から幾つかお聞きします。まず、AI関連は過剰投資とも言われていますが、ピークアウトはするんでしょうか。

A4. 過剰投資という話は、私も時々耳にしますが、我々がいろんな商材を扱っている中の肌感としては、今、その懸念はほとんど感じられません。

来年度に向けても、非常に多くの引き合いをいただいており、我々は光ファイバーもケーブルもコネクタも、その需要には全てお応えできていない状況です。そういう意味で、この需要は今後とも続くと思います。

また、トランプ大統領による米国政府の生成AIインフラ投資は膨大です。これは数年で立ち上がるようなものではなく、少なくとも5〜6年、さらにはもっとかかるような大きなプロジェクトです。そういったことからも、生成AIの需要は継続して維持されるだろうと見込んでいます。

 

Q5. 関連するご質問です。高性能な光ファイバーケーブルを中核として、光コネクタや融着接続機、光コンポーネントエンジニアリングを組み合わせ、データセンター周りへトータルソリューションとしてビジネスを拡大する戦略には納得感があります。持続性も期待できると感じましたが、競合の光ファイバーケーブルメーカーでは同様の取り組みはできないものですか。

A5. 今の大きな市場は米国で、競合がいます。一番大きいのはコーニング社です。

フジクラとコーニング社を比較すると、光ファイバー自体はコーニング社も非常に強いものをお持ちです。世界でも先進的に光ファイバーを実現したメーカーなので、光ファイバーに関しては非常に強い。

光ケーブルでは、SWR®/WTC®の技術とそれを応用した多くのファイバーが入っている超多心光ケーブルに関しては、確実にフジクラの方が技術が上です。ビジネス規模もフジクラの方が上だと思います。

光コネクタに関しては、実は我々はコーニング社とデータセンター向けを中心に需要が拡大している多心コネクタの分野で合弁会社を作っています。ここは一緒に取り組んでいる分野です。

融着接続機では、フジクラのシェアが世界一です。これは多分20年以上維持しているので、確実にフジクラの方が強い。コーニング社は融着機ビジネスをやっていないので、フジクラの優位性は確実にあると思います。

エンジニアリングもコーニング社は手がけていません。エンジニアリングについては、フジクラのかなりの強みだと感じています。

 

Q6. SWR®/WTC®にも多くの質問が届いています。SWR®はSpider Web Ribbon®(スパイダーウェブリボン)ということですが、一言で言うなら何でしょうか。

A6. CMでは長谷川博己さんが「ビヨン」と広げていましたが、あれは光ファイバーを並べ、点付けしているから広がるのです。

実は光ファイバーは繋ぐのが大変で、何本かのファイバーを横に並べて、一度にコネクタ付けしたり、融着接続するのが非常に効率的です。ところが、今までの光ファイバーは、光ファイバーを横に並べて、樹脂で固めたので、一方向にしか曲がりませんでした。

それを点付けにし、いかようにでも変形して曲げられるのがSWR®の特徴です。その機能をフル活用し、超多心ケーブルが非常に細く仕上がるのが利点です。

かなり複雑な構造なので、うまくビジネス化するには、高度な製造技術がセットで必要です。その点でも我々は、競合他社と比べ、かなり高い生産性があると自負しています。

 

Q7. 岡田社長のお話でも、光ファイバーの構造について難しく思われる方もおられると思うので、簡単に説明すると、光ファイバーのケーブルは、髪の毛の太さぐらいのモノを何本も寄せ集めます。その時にベタっと全部くっつけると、硬くなって動かなくなる。それをフジクラさんの製品は、チョンチョンチョンと点でくっつけているので、CMで扱っていたように、ビヨンと動く。あれはところどころでくっついているからです。

スパイダーウェブリボンという名前も、スパイダーは蜘蛛。形状が蜘蛛の巣のように見えるので、そのような名前が付いています。

これをさらに幾つも組み合わせると、従来の硬くて太いファイバーでは折れ曲がったりして危ないので、芯を入れたりすると、太くて重いケーブルになる。これがフジクラさんの製品だと、ファイバーを寄せ集めても軽くて柔軟性もあるということです。

では、SWR®/WTC®は競合他社では作れないのですか。どこが差別化の要因ですか。

A7. 実は最近では競合他社も、我々を真似ていろんな製品を出してきています。

ただ、一番最初のSWR®は、事務所の机の上で私が手作りしたものです。ファイバーを並べ、瞬間接着剤で点付けして、「これが実現できれば世界が変わる」ということで取り組みました。このような経緯があり、発想はフジクラ発です。製品化も事業化も一番最初はフジクラです。競合に比べ、時間的なリードは非常に長いものがあります。

そういった中で、我々は次から次へと技術を応用した新製品を創出しています。「もっと多心、もっと細く」を追求し、次から次へと新製品に仕掛けることにより、他社から追いつかれる前に、さらに先を行く戦略です。

もう一つの強みは、やはり製造技術。圧倒的な生産性を持つことにより、コスト競争力的にも強みを持っていると考えています。

 

Q8. 核融合発電についても多くの質問が届いています。商用化は何年頃と見込まれますか。

A8. 以前は、2050年ぐらいに実現の原理が確認できるという見込みでしたが、最近はかなり実現性を帯びてきたと感じています。そのため、各国政府の取り組みも加速し、多くのスタートアップが稼働。そこに民間の資金もたくさん集まっています。

今、早ければ2030年代後半には、それなりの技術が立ち上がるのではないかと言われています。これが本当に発電所になり、世界の原子力発電に置き換わるには、まだ多少かかるとは思いますが、2040年代ぐらいの実現の可能性は高くなってきたと思います。

 

Q9. 時期と同じく、もう一つ多い質問が規模です。どれぐらいの規模になりますか。

A9. 今はまだスタートアップ企業からの引き合いとはいえ、それなりに需要が増え、我々は工場を幾つか建てる計画があります。イメージで言うと、核融合が実現された暁には、所要量は大きければ1,000倍ぐらい。少なくとも数百倍にはなるだろうと。スタートアップ企業からも約30年で所要量は数百倍あるいは1,000倍ぐらいになるだろうと聞いています。それに向けて、我々も今のうちからキャパシティだけじゃなく生産性を高め、将来に向けて取り組んでいます。

 

Q10. 関連した技術的な質問について。核融合発電は、磁場閉じ込め方式とレーザー方式のどちらが有望と考えていらっしゃいますか。

A10. 今、核融合の業界では磁場閉じ込め方式の方が実現性が高いと言われています。スタートアップ企業の数やそこから集めている資金の大きさからしても、磁場閉じ込め方式の方が大きいのは確かです。

ただ、レーザー方式は、磁場閉じ込め方式よりも、よりコンパクトにできる可能性があります。それぞれメリット/デメリットがある中で、両方が取り組まれているのが現状です。実現性としては今のところ、磁場閉じ込め方式の方が早いのではないかと言われています。

 

Q11. 技術に関してもう少し広い分野でのお話ですが、業界のトップランナーとして技術力が高いので、企業秘密も多いのではないかと思います。その中で特に気を付けていることはありますか。

A11. SWR®に関しては、本当に生産技術や製造技術で非常に秘匿性が高い。そこが我々の今の強みと言っても過言ではありません。

そのため、工場では、仮にお客様でも工場内の見学はお断り申し上げるなど、技術の秘匿はかなり意識してやっています。

 

Q12. ちょっと違う方向で質問したいと思います。今後のさらなる成長を見据え、成長投資に重点を置くのは国内と海外、どちらでしょうか。

A12. これはやはり海外です。今後、高市首相が日本でもかなり成長戦略をやっていくということで期待感はあるんですが、我々は生成AIにしても核融合にしても、日本と比べた米国の規模に驚かされるばかりです。私も、米国のデータセンターや米国の核融合のスタートアップ企業を色々と回りましたが、日本とは本当に規模が違います。

それからすると、グローバル、特に米国がしばらくの間は、我々のビジネスにとって非常に大きく重要な市場だと認識しています。

 

Q13. 質問のキーワードとして多いのが、「人材」や「育成」です。御社の風土や改革、特に人材育成についての考え方や方針を教えてください。

A13. 私は人材育成という意味で、フジクラとして重要な点が2つあると思っています。

1つは、「技術のフジクラ」として、いかに優秀な人材/技術屋を育てるのか。ここが極めて重要です。それからすると、市場はグローバル、特に米国中心でも、日本での生産は、規模は多少小さくても続けるべきだと思っています。そこがマザー工場として機能し、マザー工場でさらなる技術を創出し、その過程の中で優秀な技術を育て上げる。そういった方針を打ち出しています。

もう1つの人材育成は、事業家です。事業家が将来の経営者にもなるかもしれません。「事業とは何なのか」を比較的若いうちから育て上げる取り組みを今、しています。

具体的には、若い方々に「何か事業の構想やアイデアがあれば、直接私のところに持ってきなさい」というお話をしています。私自らがそのアイデアを目利きして、良さそうなアイデアなら社長直下で取り上げて、それなりの人的導入や金銭的なリソースを投入する取り組みをしています。それにより、そのプロジェクトのリーダーは、自分のアイデアが将来の事業に繋がる。それを私が支援する。しかも私とかなりの頻度で議論する。「この事業をどう立ち上げていくのか」といったプロセスの中で、事業家を育てたいと思っています。

 

Q14. 大変素晴らしい企業で、御社の株を買うとよりも、「この会社に入りたい」「お子さんを入れたい」という方がいっぱいおられるのではないかと思いました。

さて、株価が2万円を超えていますが、株式分割は検討されていますか。差し支えのない範囲でお願いします。

A14. そういうお声はよくお聞きします。東証からも購入単位や金額を小さくする指針が出されています。そういう意味では、今まさに検討している状況です。

 

Q15. フジクラ様には、1年ちょっと前の昨年1月の弊社の新春講演会でお話いただきました。当時の株価は5,000〜6,000円でしたので、あの講演会を聞いて、御社の株をお買い上げいただいた方はそれから4倍になり、ハッピーということではないかと思います。

関連して、株主還元についての質問です。

既存株主です。近年は利益成長に伴い大幅な増配を実行されました。利益成長の見通しが堅実なため、今後も株主還元に期待したいです。今後も投資が必要なことはご説明の通りだと思いますが、財務の健全性が増している中、最近採用例が増えている累進配当導入のお考えはないですか。

累進配当とは、業績が大きくぶれても配当を減らさずに常に増配をし続ける。万一、業績が悪くても最低限は維持することを表明することを指します。

A15. 成長投資しながらも、当然ながら株主還元。これは企業としての責務であり、重要な内容だと思います。さらに、一時期毀損した財務体質もかなり盤石になってきたので、その中でどのような成長投資をして、どのような株主還元をするのか。次期の中計で明確に提示したいと思います。まさにキャピタルアロケーションをどうするのかということです。

そういった中で、私も安定した株主還元が望ましいと考えます。配当性向30%を今年から40%にしていますが、そういったやり方がいいのか。累進配当を検討するのか。社内でも色々と議論をしています。次の中期計画を5月に発表します。そこである程度の指針を出させていただければと思っています。

 

Q16. 今、中期経営計画というお話が出ました。個人投資家の皆様が一番期待されているのは、足元の業績が心配なく、その先の夢もある。大きく伸びるものがあるということです。その意味で核融合発電は大きな夢のある話だと思います。一方、足元の業績や中計についての質問も届いています。

足元、2026年3月期も業績予想を上方修正するなど、業績は順調に推移しています。次期中期経営計画が始動するということで、方針や注力分野について差し支えのない範囲でお聞かせいただけませんか。

A16. 現中計は、核心的事業領域として「情報インフラ」「情報ストレージ」「情報端末」に取り組んでいます。今後も生成AIの拡大と共に高度なデジタル社会はさらに進展すると思います。次期中計でもこの領域はフジクラの根幹として変わらないと思います。

さらに、この3つの領域の中では「情報ストレージ」。いわゆるデータセンターの事業が伸びていくだろうと思います。データセンターがたくさん作られると、データセンターを繋ぐ光ファイバーインフラも将来的には必要になるはずです。その意味で、「情報ストレージ」と「情報インフラ」の増強はセットで必要です。そこは引き続き我々が注力するべきところと思っています。

また、長期ビジョン「Beyond 2025」では、核融合やファイバーレーザーに取り組むことを、現中計でもお話しています。次の中計では、この2分野に関して、いよいよ事業化に向けて進んでいくだろうと思います。ただ、それなりの規模や利益が出るには、多少、時間がかかるかもしれません。とはいえ、やはり光ファイバーに続く世界を変える技術だと思うので、中長期的には今からきちっと取り組むことが重要だと思います。

 

Q17. ちょっと毛色の違った質問をいたします。

生成AIやデータセンター、光ファイバーケーブルと、今後も大きな成長が期待され、順風満帆だと思いますが、将来に向けてあえてリスクを上げるとどんなことがありますか。また、その対策として何を検討していますか。

A17. 売上が急峻に拡大し、事業規模も拡大する中で、私が多少心配しているのは、経営基盤。例えば本社機能やコーポレート機能の強化も合わせていく必要があると思います。人的な増強も必要ですし、経営をより素早く決断するための電子化やERP(Enterprise Resource Planning・企業資源計画)の刷新などがセットです。

事業の拡大に比べ、その部分の取り組みがちょっと遅れている感があり、1つのリスクとして認識しています。そこに取り組むことも次の中計の重要な課題の1つです。

 

Q18. エネルギー事業の展望について教えてください。データセンターの世界的なエネルギー需要と発電所建設増加により、高圧直流関連の需要や恩恵ありますか。

A18. 我々のエネルギー事業は、かなり規模や領域を絞り込んでいます。過去には海外への事業展開等々もトライしましたが、重い電線を日本で作って海外に売るのは非常に難しい。また、電線は、各国に地場のケーブルメーカーがいて、その中で我々が進出する難しさも感じました。そのため、海外のエネルギー事業は、もうほぼ撤退しました。これは「100日プラン」の中でもかなり絞り込んだところです。

それからすると、今のエネルギー事業は、日本国内市場だけです。ただ、日本国内の電線需要は比較的堅調です。データセンターもそうですし、大きな半導体工場を作ると、そこの電線需要もあります。大都市では再開発が色んなところで行われていますが、そこでも電線需要があります。現状、エネルギー事業もそれなりの利益が残っている状況です。ただ、世界に向けて広げることは、今のところは考えていません。

 

Q19. SWR®について、競合他社が似たような技術で追随するリスクはありますか。当面は独占的な地位が続くと見ていいのでしょうか。また、生産能力は十分ありますか。

A19. 我々の製品を模倣したものが競合他社から幾つか出ているのは事実です。そこはきちっと見ていかなければならないと思いますが、正直に申し上げて、今のデータセンター需要があまりにも急峻なので、我々もお客様の需要の全てに応えきれていません。その分、お客様は競合他社が模倣した製品を買わざるを得ない状況になっています。

その意味では生産能力の取り組みを強化したい。ただ、光ファイバーは髪の毛1本分ぐらいの細さですが、ガラスでできています。そのため、工場の能力を上げるために、お金と立ち上がりまでの期間がかかります。佐倉の事業所に450億円の投資をするのも、稼働予定は2029年です。さらに次の工場の建設も3年ぐらいかかる。今しばらくは、作りたくても作れない状況が続いています。

一方、ファイバーは全世界で色んなメーカーが作っています。SWR®工程とWTC®工程が差別化の要素なので、他社のファイバーを調達し、SWR®のビジネスを広げることに今、取り組んでいます。世界の幾つかのメーカーから、SWR®に適用できる品質の高いファイバーを調達できるメドがついたので、当面はそういった形で需要をキャッチアップしていこうと思います。

 

Q20. 最後に岡田様から個人投資家の皆様にメッセージをいただければと思います。今後、どのようなところに注目し、期待していけばよろしいでしょうか。

A20. 本日は本当にありがとうございました。今日は我々の将来展望等を幾つかお話させていただき、引き続きご関心とご支援いただければと思います。

「進取の精神」と「技術のフジクラ」です。世の中の変化にアンテナを高くし、ビジネスチャンスを捉え、技術でお客様の期待に応えることが我々のDNAであり、今後とも変わらない方向性です。

光ファイバーは今、活況です。光ファイバーは本当に世の中を変える技術で、今後もさらに期待されています。さらにちょっと先の話ですが、超電導核融合も確実に将来の世の中を変える技術だと思います。その意味では、フジクラは将来に向けても、世の中を変える技術を持ち合わせています。引き続き、ご期待をいただき、ぜひご支援をいただければと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

以上

 

 

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