川崎汽船株式会社(9107)
開催日:2025年12月8日(月)
説明者:代表執行役専務 芥川 裕 氏
1.川崎汽船の紹介
・ 当社は、「グローバルに信頼される“K”LINE−海運業を主軸とする物流企業として、人々の豊かな暮らしに貢献します」という企業理念のもと、さまざまな船舶を保有、運航し、海上輸送を生業としています。目的や用途に応じた船舶を保有・運航し、例えばドライバルク船では、ケープサイズと呼ばれる全長約300メートルの鉄鉱石などを運搬する大型の船舶や、穀物や石炭などさまざまな原料や鋼材などを運ぶばら積み船があります。また、エネルギー資源輸送では、液化天然ガス(LNG)を運ぶ輸送船やオイルタンカー、電力会社向けの石炭を輸送する電力炭船などがあり、製品物流セグメントでは、自動車輸送船やコンテナ船、近海内航船などがあります。最近では、低炭素・脱炭素で重要な役割が期待されている液化CO₂輸送船やLNG燃料供給船、洋上風力発電プロジェクトをサポートする地質調査船も加わり、約450隻を保有、運航しています。
・ また当社は、2025年7月末時点の世界の上場している海運会社の時価総額ランキングで9位となっています。
2.事業の概略および概況
・ 当社の事業は大きく2つに分けることができます。ドライバルクやエネルギー資源輸送、自動車船などの当社自身が船舶を運航している自営事業と、日本郵船、商船三井と一緒に事業運営しているOCEAN NETWORK EXPRESS(以下ONE社)が手がけるコンテナ船事業です。
・ まず、自営事業について、現在の中期経営計画で成長を牽引する役割を担う3つの事業と位置づけている自動車船事業、鉄鋼原料事業、LNG輸送船事業を中心にご紹介します。
・ 1つ目は、自動車船事業です。当社は、日本で初めての自動車専用船を運航するなど、自動車海上輸送のパイオニアとして、50年以上にわたり、完成車の海上輸送サービスをグローバルに展開しています。乗用車のみならず、バスやトラックなどの大型車両、建設機械や重機、鉄道車両等の非自走貨物の輸送強化も図っています。
・ コロナ禍の際には、輸送量減少を見越して自動車船各社は主に古い船をスクラップし、船隊を大きく絞りました。その後、半導体不足や自動車部品の供給制約が改善して、自動車の生産需要、輸送需要ともに回復し、そこに中国からのEVを含む自動車輸出が急激に増加したことを受け、ここ数年、自動車船の輸送需要に対しての供給、すなわち自動車船そのものが足りていない状況が続いていました。加えて、中東情勢に起因するスエズ運河回避の影響で船舶需給がさらにひっ迫する状況が続いています。2026年ごろにかけて、需給はようやくバランスしていくと見ています。
・ 2020年度からは、従来の燃料である重油に比べてCO₂排出量が少ないLNG燃料を動力源とした自動車輸送船を就航させ、お客さまである自動車メーカーのニーズに応えるべく、CO₂排出削減など環境対応にも配慮した船隊整備を進めています。これまでにLNG燃料焚き自動車船は12隻が竣工済みで、こうした環境対応船は2030年度までに30隻程度の規模に増やすことを目指しています。
・ 環境対応による新たな輸送価値の創出を通じた成長により、需要変化に応じた航路網の再編、貨物ポートフォリオの最適化にも並行して取り組んでいます。
・ 2つ目の鉄鋼原料事業は、鉄鋼メーカーなどのお客さまとの中長期の契約に基づき、安定的な事業運営を目指しています。ケープサイズと呼ばれる鉄鉱石や石炭を運搬する大型船が中心となります。
・ 日本、韓国の鉄鋼メーカーについては顧客内シェアの維持に注力し、BHPやリオティントなどの資源メジャーの中の当社のシェアの向上を目指しています。既に当社として強固な関係を構築し、今後、輸送需要の増加が見込まれているインド、中東の鉄鋼メーカーに対しては、営業組織を強化、拡充することによって商圏の拡大を目指しているところです。
・ 今後の事業戦略としては、運航規模を維持、拡大しつつ、空船での航海をできるだけ削減して船の稼働率を上げ、インド、中東、シンガポールなどの注力地域での営業力の強化に取り組むことです。これらにより貨物の契約と船隊の契約の期間をうまくバランスさせることによって、市況変動に対するリスク対応力を強化しつつ、環境対応船需要の取り込みによって船隊規模の拡大と収益の増加を目指しています。また、新たな輸送需要を開拓することで、さらに収益の積み増しを実現していきたいと考えています。
・ 2024年5月には、当社のバルク船隊では初となるLNGを燃料とするケープ船“CAPE HAYATE”を竣工させ運航を開始しています。当社が運航する船から排出されるCO₂の排出量を減らすという環境対応により、お客さまのシェアの維持、向上を引き続き目指し、安定収益を獲得していきたいと考えています。
・ 今後も日韓の鉄鋼メーカーをはじめとするお客さまのニーズに合わせて、LNG燃料船など環境対応船への転換を進めていきます。現在、約80隻の船隊を2030〜2035年度に向けて、100〜110隻規模に増やす計画です。
・ 3つ目のLNG輸送船事業は、1983年に日本初となるLNG船を竣工して以来、日本のエネルギー輸送の一翼を担ってきました。新興国を中心とした経済成長による消費の量の増加に加え、LNGそのものがカーボンニュートラル社会実現に向けた現実解であるという評価がされていることを背景に、低炭素・脱炭素へ向けたトランジションエネルギーとして、昨今LNGに対する需要が高まっています。少なくとも2040年まではLNGに対する需要は堅調に増加し、それ以降も安定的に推移すると見込まれています。
・ LNG需要全体の増加に伴い、当社が注力する長期安定契約に基づくLNG輸送船の需要も2040年までは堅調に増加するという見立てです。2024年には当社として初めて、インドの国営ガス会社と長期傭船契約を締結するなど、長期契約がほとんどを占める同事業は、安定収益の柱です。
・ 当社のLNG輸送船の関与隻数は足元47隻ですが、2026年度には65隻へ、2030年度には関与隻数を75隻以上として、その先には100隻体制を視野に入れて船隊拡充に取り組んでいるところです。2026年度の計画は、既に契約を締結済み、あるいは契約締結に近い状況の案件がほとんどであることから、65隻体制はほぼ確定しています。その先の期間も、既にお取引のあるお客さまの輸送需要の更なる積み上げと新しいお客さまの開拓に注力しており、長期契約を中心に契約を積み上げて安定収益を増やすべく取り組んでいるところです。
・ 当社は、“K”LINE 環境ビジョン2050を策定し、自社の低炭素・脱炭素に取り組み、社会の低炭素・脱炭素化支援を掲げて、そのための新規事業領域にも取り組んでいます。まず、社会の脱炭素化、ネットゼロに向けた現実解としてはLNGに関する事業に取り組むことに加え、二酸化炭素を回収して地中に貯留するCCS(Carbon dioxide Capture & Storage)事業の利用推進が必要だと認識しています。
・ そのため、当社はカーボンニュートラル社会の実現を支えるこうしたCCS事業に伴う液化CO₂輸送事業とFSUやFSRUなどLNG輸送周辺事業に加え、再生エネルギーの発展に貢献する洋上風力発電支援船事業、新燃料としての水素・アンモニアの輸送事業の4つに力を入れて取り組んでいます。
・ 1つ目、液化CO₂輸送事業は、カーボンニュートラル社会の実現に不可欠なCCSバリューチェーンの一部を構成する重要な要素で、当社の強みを生かせる社会的意義の大きい事業と考えています。CCSは工場などから排出されるCO₂を回収・輸送し、地下に圧入することで空気中のCO₂を削減する手法です。CO₂の回収地と液化CO₂の貯留地の距離が離れている場合は、液化CO₂船による海上輸送が必要となります。
・ 現在、世界初の液化CO₂の海上輸送を伴う事業であるノルウェーのNorthern Lightsプロジェクトという国策プロジェクトが開始され、順調に進捗しています。当社はNorthern Lights社が発注した本プロジェクト向けの4隻の液化CO₂輸送船のうち3隻の輸送事業に従事しています。昨年末には“NORTHERN PIONEER”と“NORTHERN PATHFINDER”が竣工し、今月3隻目の“NORTHERN PHOENIX”という船が竣工しました。
・ これらの船の運航を実施するに当たっては、液化CO₂輸送船の運航マニュアルを作成したり、船と陸のさまざまな調整事項の確認を行うなど、万全な準備をして臨み安全運航を実現しています。こうしたプロジェクトを通じてさまざまなノウハウや実績を積み上げ、ヨーロッパやアジア太平洋地域での後続案件の獲得を目指しています。その実績とノウハウをてこに業界のトップランナーを目指しています。
・ 2050年にかけてCCSによるCO₂貯留量が増加することを見込んでおり、液化CO₂輸送船に対する需要も増加すると予測しています。
・ 洋上風力発電支援船については、当社の子会社である川崎近海汽船株式会社と共同でケイライン・ウインド・サービス株式会社を設立し、推進しています。
・ 2つ目の大きな柱であるコンテナ船事業について、ご説明します。2018年から日本郵船、商船三井と川崎汽船のコンテナ船事業を統合したONE社で事業を運営しており、株主の立場で関与を継続しています。コンテナ船業界は2015年時点では17のコンテナ船会社が競合していましたが、船会社同士の集約が進んだ結果、運航船腹量が150万TEUを超える主要コンテナ船会社は7社にまで集約されています。ONE社はその中の1社に該当します。
・ 2024年はコンテナ船の供給の伸び率が約10%と、船が大幅に増加しました。一方、中東情勢を背景に2023年末からスエズ運河を通航できず喜望峰を経由することにより船が走る距離が増え、同じ貨物を輸送するにも今までよりも多くのコンテナ船が必要となり、結果として、船の供給増加が吸収されている状況です。
・ 2025年も喜望峰経由の運航が続いていますが、コンテナ船の需要の伸び率3%に対し、船はその倍の6%ほど増加している厳しい状況で、足元はコンテナ船の運賃市況が少し低迷しています。スエズ運河の通航再開を検討している会社が出ているという一部報道もあり、他社も含めて通航が再開されれば今まで吸収されていた船舶が必要なくなるため、再開のタイミングやそれぞれの船会社がどのような方針で運航するか注視しています。
・ ONE社の2025年度の業績見通しについては、新造船の竣工が継続し、全体の市場環境に影響を及ぼす見込みです。加えて、アメリカの関税影響も不透明感が強いので、ONE社では、地政学や通商政策の影響もしっかり確認しつつ、臨機応変に対応できるようなオペレーション体制を取りながら事業を継続しています。
3.当社を取り巻く事業環境
・ 世界の海上貨物輸送量の1997年から2026年までの推移を見ると、1997年の時点では約50億トンにすぎなかった輸送量は2026年には約130億トンと、この30年間で2.6倍に増える見込みです。世界の人口増加や経済のグローバル化が進展しており、世界経済は海上輸送なしには成り立たなくなっています。この点からも、海運業は成長産業と位置づけられると考えています。
・ 続いて、日本における海運が果たしている役割についてご説明します。日本の産業や日本の生活は、海外から輸入される物資に大きく依存しています。エネルギーはほぼ100%、大豆は94%、木材も64%以上が輸入によってもたらされています。日本全体で99.6%、すなわちほとんど全ての物資が海上輸送によって日本に運ばれてきています。このように、海運業は日本にとっても欠くことのできない社会的・経済的なインフラです。
・ 海運業の足元の事業環境に大きな影響を与えるリスクは、地政学リスクを含めた経済のデカップリング、世界経済の動向、エネルギー政策の動向の大きく3つに分けられると認識しています。この中で、特に当社が注意しているポイントは、アメリカの関税政策、アメリカUSTRによる中国関連船対抗措置、中東情勢です。
・ アメリカの関税政策については、報道のとおり、10月30日の米中協議で追加関税の一部延期や取り消しなどで合意がなされました。また、USTRによる中国関連船対抗措置およびそれを受けた中国の対抗措置に関しても、10月の終わりから11月にかけて適用開始の1年延期が決定されています。ただ、米中関係も含めた地政学リスクや世界経済の下押し圧力などにより、事業環境の先行き不透明感は継続しています。
・ 事業によって受ける影響は異なりますが、アメリカの関税については、主に自動車船事業で今年度下期に一定の輸送量の減少による影響を見込んでいます。また、コンテナ船については、アメリカ発着の貨物が世界の約2割を占める状況にあるため一定の影響があると認識しており、ONE社は配船やサービスの変更によって業績への悪影響を最小化する方針で事業に取り組んでいます。こうした状況については、引き続き注視が必要だと認識しています。
・ 当社を含むほとんどの船会社では、中東情勢の悪化により紅海での安全運航を確保できないため、2023年末より、スエズ運河の通航を回避し喜望峰経由での運航を継続しています。当社は、船舶、乗組員、お客さまからお預かりしている貨物、これらの安全が十分に担保されない限り、スエズ運河運航に戻ることはなかなか難しいと考えています。
・ そのため当社の2025年度の業績見通しにおいても、スエズ運河通航の再開は難しく通年で喜望峰経由の運航が続く前提となっています。喜望峰経由の航海により、船腹需給への影響は、コンテナ船で約10%、自動車船で約5〜6%供給を引き締める影響があると見ています。スエズ運河の通航の再開は船腹需給へ与える影響が大きいため、市況への影響を含め状況を注視しています。
4.通期業績
・ 2025年度の通期業績予想は、売上高9,840億円、営業利益860億円、経常利益1,000億円、当期純利益1,050億円を見通しています。自動車船、ドライバルクなどの利益減少に加え、為替影響により11月の第2四半期決算公表時には、営業損益は2024年度比168億円減少の860億円、経常損益は同じく前年度比2,080億円減少の1,000億円を見込んでいます。また、ONE社からの持分法損益の減少などにより、8月に公表した従前の見通しとの比較で、経常損益は200億円、当期純損益は100億円の減少をそれぞれ見込んでいます。
・ 営業利益は堅調に推移しており、2024年度は1,000億円を超えることができました。コンテナ船事業を手掛けているONE社は持分法適用会社のため、営業外収益として計上されます。ここからも、コンテナ船事業以外の自営事業については利益が着実に上がっていることをご理解いただけると思います。
・ 2024年度のコンテナ船事業の利益を含む経常利益は、コロナ禍の影響で大きく利益が増えた2021年度、2022年度に次ぐ過去3番目の利益水準となりました。また、中東情勢やアメリカによる関税政策など、不透明な環境の中でも、2025年度の経常利益は1,000億円をキープできる見込みです。
・ セグメント別の業績予想では、自営事業のドライバルクセグメントは大型船を中心に下期の市況も概ね堅調に推移しており、業績予想どおりの数値で着地できる見込みです。エネルギー資源輸送セグメントは、お客さまとの中長期の契約がほとんどですので、安定的な業績の推移が見込まれています。コンテナ船以外の製品物流は、中心となる自動車船の輸送需要が世界各国総じて底堅い需要に支えられ、輸送台数は前期比微増となり、為替の影響や運航費の増加などで多少の減益になりますが、高い水準での利益が見込める予定です。自営事業全般の事業そのものは、順調に推移していると総括しています。
・ もう1つの柱であるコンテナ船事業は、足元では運賃市況の低迷によって収益環境は厳しい状況にあります。加えて、先ほどご説明した中東情勢、アメリカの通商政策、スエズ運河の通航再開時期など、不透明な要因もありますので、引き続き状況を注視する必要があるという認識です。
5.中期経営計画の進捗
・ 2022年度から5カ年の中期経営計画の進捗についてご説明します。中計の4年目がまもなく終わりますが、さらなる成長と企業価値の向上を達成するために、資本政策、事業戦略、機能戦略、この3つの戦略を柱に施策を着実に実行しているところです。
・ 現在の中計では、当社は成長を牽引する役割を担う自動車船、鉄鋼原料船、LNG輸送船の3つの事業に資金を集中的に投下して、低炭素・脱炭素に向けた事業も新たに事業領域として加えつつ、しっかりと稼ぐ体制を強化して、安定した収益を積み上げていると自負しています。特に自営事業が安定的に推移しており、コンテナ船事業、ONE社に対しては、株主として積極的に関与を継続することによって、しっかりと収益を上げていきたいと思っています。こうした成長を牽引する役割を担う3つの事業を中心として、着実に利益を積み上げて、企業価値の向上をさらに目指していきたいと考えています。
・ 中長期的な収益の目標として、2030年度までに自営事業の経常利益1,100億円+αを目指しています。安全運航と船舶の品質管理を生かした特殊貨物輸送の拡充や低炭素船、ゼロエミッション船の投入による新たな製品サービスの投入、データの利活用による運航の効率化・CO₂の削減などによって、当社の競争力を向上させる取り組みを通じて、1,100億円の達成を目指しています。そして、自営事業における取り組みの深度化、高度化と成長、さらに当社の成長を加速させるであろう、さまざまなお客さまとの提携、M&Aを組み合わせることによって、+αの実現を目指しています。
・ 営業キャッシュフローは約1.5兆円であるのに対して、投資キャッシュフローは6,100億円、株主還元は8,000億円で、この差分が約800〜900億円ほどありますが、事業環境が非常に変わりやすいため、M&Aや一部投資が後ろ倒しになっているものに充当する、あるいは資金使途がなければ株主の皆さまへ還元するといったマネジメントアロケーションとして、いったん留保させていただいています。これについても中計期間中どう使うのかについて、しっかりとご説明したいと思っています。
・ 中計期間の投資キャッシュフローは7,400億円と公表させていただきましたが、精査した結果、足元では6,100億円という状況になっています。主な投資としては、LNG船や自動車船の環境対応に資金を使い、船隊の整備に努めています。液化CO₂船の事業や洋上風力発電支援の地質調査船の事業などの新しい取り組みも進めているところです。当社の強みを生かすような形で、お客さまとの連携も含めて事業の成長を続けていきたいと考えています。
・ 株主還元について、配当は今年度1株当たり120円、来年度は100円を現時点で予定しています。中計期間の2022年度から2026年度までの還元総額は約8,000億円以上とお示ししています。そのうちの500億円については、配当もしくは自己株式取得、もしくはその組み合わせになりますが、どのような形になるかはまだお示しできておりません。決まり次第ご説明をさせていただく予定です。
・ 資本政策については、最適資本構成とキャッシュアロケーションを常に意識して、企業価値の向上に必要な投資と財務健全性を確保した上で、適正資本を超える部分については、キャッシュフローの状況を踏まえて、機動的かつ積極的な株主還元をする方針は変えずにしっかりと取り組んでいきます。
6.質疑応答
Q1.株主還元について、2025年度の配当は120円でしたが、2026年度の配当は100円の予定とされています。これは減配となるのでしょうか。
A1.現時点では今年度の配当は120円、来年度については100円と公表しています。現在の中期経営計画期間中で8,000億円以上とご説明している株主還元の中で、その時期や手法について引き続き検討中のものがまだ500億円ございます。当社の事業は今の中計期間で終わるわけではないので、2027年度以降の中計での投資状況やキャッシュフローの状況を見ながら、この500億円について2026年度までにどういった形で還元させていただくか、配当、自己株式取得、もしくはその組み合わせかということも含めて現在検討中ですので、もう少しお待ちいただければと思います。来年度について100円の配当というのは現時点で決まっていますが、今ご説明したような状況についてご理解いただければと思います。
Q2.日本の政策の影響について教えてください。高市政権による経済政策は、御社にどういった影響を及ぼすのでしょうか。また、日本政府による日本の造船の促進の話が出ていますが、それについての考えも教えてください。
A2.今、造船業が非常に脚光を浴びており、同じ海事クラスターにいる者として非常に頼もしく思っています。何年か前までは、日本が世界の造船業のトップランナー、フロントランナーだったのですが、足元では中国が圧倒的なシェアを持ち、韓国、日本という順番になっています。当社が保有、運航している船は、従前から日本の造船所を中心に発注してまいりました。しかしながら、日本の造船業のシェアが競争環境の中で下がっていることについて、私どもとしても少し心配な状況において、国全体として造船業を支援していく方針が示されたことについては、当社としても非常にうれしく思っています。今でも日本の造船業の競争力がないわけではないと思っています。確かに船価、船を造る値段は巷間言われているように、中国、場合によっては韓国よりも高いのですが、船は平均すると20年以上使うので、船の品質やその間のメンテナンスコスト等々を含めると、日本の造船業のトータルでの経済性は高いものがあると思っています。そうしたものが現政権の支援によってさらに強化されて、それを使うわれわれ日本の海運業のビジネス基盤が強化されることは、当社としても非常にありがたいことですので、積極的に意見を発信していきたいと考えています。
Q3.米中関税問題が取り沙汰されていますが、海運業界にとってはどのような影響があるのでしょうか。他にも、トランプ政権でアメリカは自国優先の政策を掲げています。その辺りの影響について教えてください。
A3.関税については、4月ごろトランプ政権の下でさまざまな国に対する相互関税が発表されました。発表以前から関税政策を見越したさまざまな貨物の急激な輸送量の増減が起きるなど、アップダウンの激しい展開があり、船会社はそれに振り回されている状況があります。従来は関税がありませんでしたが、落ち着きつつあるとはいえ関税が一定程度課されたこと自体は、貨物の輸送に対して少しマイナスに効いていると思われます。自動車で言いますと、関税がかかった分、時間的なずれはあるでしょうけれども、最終的にはアメリカの消費者が自動車を買うときの値段に転嫁されることによって購買意欲が少し落ちる、もしくは個人消費が少し冷え込むことを通じて、船会社にとってはマイナスの影響が及ぶことを少し心配しています。それ以外では、USTRの中国の造船業に対する措置ということで、一時棚上げになってはいますが、アメリカに入港する中国の船会社、もしくは中国で建造した船に関する入港料、自動車船についてはどこで建造したかに関係なく、アメリカ建造以外の船については中国で入港する際に入港料がかかることが検討されたという事情もあります。そうしたことで当社のコストが上がるという懸念材料は少しありますが、荷主である、例えば自動車メーカーなどとしっかりお話をしながら、そうしたコストの問題についても対応していきます。
以上
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