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株式会社バロックジャパンリミテッド(3548)

開催日:2025年12月13日(土)

場 所:アクロス福岡 (福岡県福岡市中央区)

説明者:代表取締役社長兼最高経営責任者  村井 博之 氏

 

1会社概要

・ 福岡市内の当社の店舗について。今、天神を中心に、博多駅やキャナルシティ、ららぽーと福岡など、市内に15店舗。もう少し先だと、久留米、筑紫野、鳥栖、佐賀、大分、熊本、宮崎など、九州で展開しています。

私どものスタートは、MOUSSY(マウジー)というブランドです。ティーンエイジから25歳ぐらいまでを対象にしたブランドですが、他のブランドも広げ、さらにシニア世代に向けたブランド開発等も進めています。

・ 私自身の自己紹介について。私自身、元々この商売を生業としていたわけではありません。学生時代には中国に留学しました。当時の中国は、今みたいに日本にとやかく物申すのではなく、田中角栄が国交を回復し、パンダを贈られる、日中友好・親善ブームの時代です。私自身はあまり北京に行きたくなかったんですが、私の父が「中国はこれからすごく発展するから、今のうちに中国に行って、中国を見て、中国の言葉を学び、中国が今後どうなるかを見ていけ」と、かなり先見の目のあることを言うのです。そこで北京にいったわけです。しかし1980年頃の中国は、文化大革命が1976年に終わったばかりで、まだ何にもない。空港から学校まで信号機1個もないという状況。車もほとんど走ってなくて、牛車や馬車が走っている。食料買うのも食料配給券がないと買えない。

私も留学するのに荷物をいっぱい持って行ってもしょうがない。郷に入れば郷に従えで、洋服は向こうで買えばいいやと思っていたのですが、服は年に1枚の配給制。慌てて家に電話をします。しかし電話も通じない。

1980年頃の日本は、まだ携帯電話はありませんが、普通に公衆電話があり、プッシュホンやFAXを使っていました。ところがその頃、中国から日本に電話をするには、中央電話局に行って、申し込みをして、番号を言って架けてもらわなければならない。市外通話も交換を通じて繋いでもらうような時代でした。

その後、カメラで有名で、他にも医療機器や事務機、総合機、複合機、半導体製造装置など色々と手がけるキヤノンに入社しました。この会社は、意外に九州に縁があり、創業者の御手洗氏は大分出身で、工場も大分の国東や長崎、宮崎に作りました。

80年代の日本は、「ジャパン・アズ・No.1」と言われ、今の中国と同じように、アメリカを凌駕する世界第2位の経済大国。そんな時代に、輸出企業で経験を積むことができました。今は米中経済摩擦が起こっていますが、当時は日米経済摩擦です。日本からの輸出が多すぎて、アメリカが貿易赤字になった。だから、日本に対し高関税をかけてくる。高関税は、交渉でなんとかしたものの、今度は急激な円高になる。円が高くなるから日本企業の輸出が難しくなる。毎日、証券会社のボードを見て、円が1円高くなると、会社としては年間100億円以上損するという今と全く逆の世の中でした。

キヤノンで主に担当していたのは、中国とアジアのビジネスです。当時はキヤノン以外の多くの輸出企業では、花形は米国市場への輸出。次がヨーロッパで、アジアはまだあまりお金がないし、これからだろうと見られていました。中国や今のアセアンのマーケットは軽んじられていたのですが、そこでの今後の市場拡大を仕事としていました。

その後、航空会社に移ります。今は日本航空と合併した日本エアシステム(JAS)からオファーがありました。80年代までの日本の航空行政は、国際線は国営の日本航空しか営業が認められず、日航しか飛んでいませんでした。全日空(ANA)やJASは国内線しか飛べなかったのですが、「国際線の空の解放」が行われ、当時東急電鉄が持ってた日本エアシステムも国際線に参入することになりました。しかし、アジアや太平洋のビジネスに精通した人間がいないということで私に声がかかりました。

私は悩みました。そこで、90歳で今もキヤノンの会長兼社長を務めている御手洗富士夫さんがまだ人事本部長だったので相談しました。すると「お前行ってこいよ。人から請われたチャンスは無にしちゃいかん」とおっしゃるのです。でも万が一、航空会社で全然、仕事にならなかったら、どうすればいいかと、重ねて伺うと、「キヤノンに帰ってくりゃいいじゃないか」と、軽くおっしゃっていただいたので、航空会社に転職しました。今でも御手洗会長に年に1回ぐらいご挨拶に伺うと、「俺、そんなこと言ったかな」と言われてしまうのですが、そういうチャンスに恵まれたことは、私の人生にも大きなプラスになりました。

航空会社は、世界にどんどん自由に進出できるキヤノンみたいな輸出会社と違い、国によって様々なことが規制される規制産業です。その中でどう売上を伸ばすのかが問われる時代でした。輸出中心のキヤノンは、グループ全体の売上・利益の8割近くを海外で得ています。主にキヤノンマーケティングジャパンが担当している日本のビジネスは30%ぐらいしかありません。それに対して、当時の航空業界の状況は、バブル経済が終わってからの日本人でもまだまだ余力があり、海外旅行に出かける。そこが航空会社の主なビジネスでした。

当時、私は香港の中国総代表の仕事をしていました。ちょうど1998年頃、当時まだ国土交通省になる前の運輸省の講演会で「今でこそ日本人が海外旅行に行くのに日本の航空会社がいいから乗っていく時代ですが、そのうち世の中が逆転して、日本はインバウンド大国になる」という話をしました。すると、この男は頭おかしいんじゃないかと、みんなに馬鹿にされました。中国人やタイ人が、金を持って日本に遊びに来るような時代が来るわけないと言われました。そこから10数年で、まず中国人が最初に日本に来るようになり、その後、今では中国のみならず、タイやベトナム、インドネシアの東南アジア各国からも日本に観光旅行に来るようになり、世の中は大きく変わりました。

その中で、私自身もまた違う人生を歩むことになります。長い間、大企業のサラリーマン人生だったのですが、バロックジャパンリミテッドを経営する時がやってきます。

バロックジャパンリミテッドは、元々、私よりも一回り以上年下の当時20代の若者たちが、「既成の服に満足できないから自分たちのブランドを作ろう」と、MOUSSYというブランドを作り、創業ブランドの創業者になり、生まれた会社です。それが3年で100億円くらいの大きなビジネスになります。将来構想を考えている時に、私がこの若者たちと出会い、色々と相談に乗っているうちに、「じゃああなたが経営してください」という話になります。そして私が経営することになり、MOUSSY以外のブランドもM&Aを重ね、今のバロックジャパンリミテッドができたという次第です。

・ バロックの歴史について。2000年に創業。バロックの大きな特徴は、中国事業を拡大したことです。2008年に中国事業を最初は独自で立ち上げ、その後、中国の小売大手のベルインターナショナルとのジョイントベンチャーで、50%ずつの合弁会社を作りました。そして、コロナ禍前には中国全土で337店舗を展開するまでになりました。

中国に進出した日本のアパレルの中では、ファーストリテイリング(ユニクロ)が700店舗近くで、次が我々の330店舗、その次が無印良品の280店舗ぐらいです。そういう意味で、バロックは中国で大きく展開し、かつ中国の利益が大きくグループに貢献し、2016年には東証一部に上場しました。その後、2022年にプライム市場に移行します。

ただ、中国がバロックの中で大きくビジネスのポーションを占めたことが、危機に直面する要因にもなりました。

そしてコロナ禍。実はコロナ禍までは中国景気は非常によかったのですが、コロナ禍明け以降、景気が失速します。そして、消費が伸びない。我々もそれまでは中国が大きな利益の源になっていましたが、コロナ禍明けは中国がどんどん赤字を作っていく。マイナスを作る源となってしまったので、今年の頭に中国のベルインターナショナルと合弁でやっていた小売事業を株式譲渡し、中国側の経営で我々の商品を売ってもらう形に改めました。ただ、今後、中国で全く何もやらないということではなく、全く新しい形での中国との合弁事業をこの秋、スタートしています。

・ 私どものブランド群について。全部で17ブランドあります。その中で、ENFOLD(エンフォルド)は、百貨店内の高級ブランドで、福岡では岩田屋で展開。他に三越伊勢丹、高島屋を中心に、フランスやニューヨーク、ソウル、香港など、グローバルに展開しているブランドです。パリのファッションウィークにも参加し、ファッションショーを開いています。

その他のブランドは、ほぼ20〜30代をターゲットとしたブランド群です。一部メンズブランドもありますが、その比率が非常に低い婦人アパレルSPA(製造小売業)として捉えられています。ただ、今後、メンズ商品は作らないということではなく、メンズ商品の開発にも注力していこうと考えています。

 

2.成長戦略

・ 当社のコアコンピタンスについて。MOUSSYで、最初の3年間で100億円を作り、今現在、MOUSSYとAZUL BY MOUSSY(アズールバイマウジー)、MOUSSY VINTAGE(マウジービンテージ)というアメリカで展開中のメイドインジャパンのハンドメイドの高級デニムを含め、トータルで500億円規模の事業に成長しました。

中国は一時多かったのですが、今はちょっと一休みで、北米や欧州の350アカウント以上の有力百貨店やセレクトショップなどにネットワークを広げ、海外展開しています。

今後の目標は、連結売上高1,000億円です。実はすごく簡単に超えられると思ったのですが、コロナ禍以降の中国が不調で、達成がちょっと遅れているのが現状です。

・ 新規子会社の設立について。元々、バロックは、アパレルの企画・製造・小売を専業としていました。もちろん中心となるのはファッションですが、今後、色々と大きく事業を拡大するために2つの子会社を作りました。

1つはバロックトレーディング。バロックがアパレル以外の物販を目的したトレーディングカンパニーです。中国の巨大企業との新たな合弁事業をサポートしています。

そして、バロックサステナブル。昨今、サステナブルな世の中と言われ、環境要求が強まっています。地球温暖化や気候の変化はすべて、環境変化やCO2の排出量が多すぎるから起こると言われています。カーボンニュートラルという言葉は、菅総理がよく使っておられましたが、今はちょっとトーンダウンしているかに見えます。しかし、世界のCO2の排出原因は、1位が石油化学工業で、2位が実はアパレル産業なんです。

アパレルがCO2をいっぱい排出するというのは、化学繊維を使っているということもありますし、天然繊維もウールの原料となる羊の体から発するCO2(二酸化炭素)が意外に馬鹿にならない。そして、最後はたくさん作って安売りして、余って処分に困った服を焼却することでCO2の排出を招く。

バロックとしては、こうしたくだらない悪の循環は止めていきたい。たくさん作って、作りすぎて、セールして、セールでも売れないから焼いてしまうという無駄なことは止めていこうと、従前からグループとして取り組んできました。今回、さらに踏み込んで事業化する意味で、バロックサステナブルという新会社を設立。リユースを古着と言えば簡単ですが、古着をただ洗濯して売るだけではなく、新たな商品として使っていくことも含め事業展開していきます。

今、日本のアパレルの消費全体で10数兆円しかない中で、リユース市場の規模は2023年現在で3兆円あり、今後4〜5兆円へとどんどん伸びることが想像されています。

・ 中国の事業は一休みしました。それは、中国で日本のモノを売ることに限界が来ているから。限界というのは、中国で日本のモノを売るといっても、家電製品もアパレル製品も、ほぼほぼMade in Chinaなんです。日本のブランドでも、元々は中国で作っている。中国の人もそうしたことに気付いている。その状況では日本商品としての競争力は非常に狭いものになっています。

そこで、中国のJD.COMというアリババと並ぶ最大のECプラットフォームであり、ハイテク技術の開発会社と組むことにしました。そして、日本の古い文化から新しいゲームコンテンツに至るまで、中国ではできない、日本にしか本当にできないものを、最初は中国、その後世界に展開していこうというビジネスを始めます。

日本で作られている日本のいいものには、日本食や健康食品、お酒、美容、ゲームなどのコンテンツほか、まだまだ埋もれているものがいっぱいあります。最近は、中国人も、それ以外のヨーロッパやアメリカの人でも、佐賀の陶磁器を買って帰ったり、合羽橋で包丁や日本の厨房器具、岩手の南部鉄瓶を買って帰るなどの傾向が多数見られます。

これはただ物を売るだけではありません。一方、日本のいいものを作っている会社の中には、海外展開のノウハウがなかったり、生産設備が老朽化するも、投資するお金がないという会社があります。こういう企業に対し、販売のお手伝いをしたり、生産設備拡大の投資を含めたお手伝いをして一緒に発展していくことを目的としています。

そこで1億米ドル(約150億円)を投資する事業を10月15日からスタートしました。

・ 我々のパートナーであるJD.COMは、中国語ではジンドンと読み、アリババと並ぶ中国の2大ECプラットフォームの会社です。時価総額で7.6兆円。日本で言うとメガバンク(三井住友・三菱・みずほ銀行)を超える金額で、従業員数が90万人います。

従業員数90万人なのは、ECの物流をすべて自社でやっているからです。それまでの中国のEC物流は玄関の前に荷物を放り投げて帰るなど、非常にサービスが悪いと言われていました。ところがJDは、日本の宅配便を上回るサービス提供を、自社物流でやっています。

自社物流だと、ドライバーが足りないから物が運べないなど、色々な問題が起きます。しかしJDは、ハイテクやAIを活用し、大型トラックを高速道路で無人運転で配送する先端設備も整えています。

JDは、我々とちょっと格違いな大きな会社です。経営者のリチャード・リウ(劉強東)氏は、私よりも一回り若い、まだ50歳ちょっとの創業会長兼社長です。今、中国の会社、特に創業者が自分で創業した会社は全ての決断が早い。

日本も昭和の時代に世界的に脅威と言われる経済発展を遂げたのは、ほとんど創業者社長だったからです。自分でどんどん決めてどんどん進めればよかった。ところが、日本の大企業の創業者は、みんな鬼籍に入りました。そしてサラリーマン社長が、自分の任期だけなんとかうまくやろうという短期的な利益を見据える経営が増えています。

ところが中国は、ここ10〜20年ぐらいで大きくなっている。そして一代で売上23兆円を作る、まだ50歳の人がいる。日本なら、昭和の大企業経営者。経営の神様と言われるような人が中国にたくさんいる。そこで我々は、彼らと手を携えて新しいビジネスを創造していこうと考えています。

・ 中国だけではなく、我々はアメリカやヨーロッパでもビジネスをしています。アメリカで主に展開しているのは、今日、私も履いていますが、高級デニムです。日本円で大体5万円以上します。

日本でMOUSSYのデニムは大体1万5,000円、AZUL BY MOUSSYのデニムは7,980円が中心価格帯ですが、北米で展開するものはそれよりもはるかに高い。それは岡山や広島でハンドメイド作っているから。こうしたものがアメリカでも売れます。

日本のブランドマークがついている商品は、実はほとんどが中国で作っているから中国人に売れないという話と同じです。元々、デニムやジーンズはアメリカ発祥で、アメリカ製のデニムはアメリカ人から見ると、有難みが少ない。日本の手作りということに有難みがあり、アメリカの富裕層やセレブリティと言われる有名人にご愛用賜り、ビジネスを伸ばしています。

・ バロックの海外事業は、中国や北米以外にも27ヵ国でビジネスを展開しています。今後これをさらに広げようと考えています。

 

 320262月期中間業績と中期経営計画

・ 直近の業績について。今まで偉そうなことを散々言ってきたのに、直近の業績は優れないというご指摘もあるかと思います。大きな原因は、コロナ禍が明け中国が大きく崩れ、中国に起因する損失が大きくなったことがあります。そこで、これまで中国を中心としていたサプライチェーンシステムを、新しいビジネスの形に変える最中です。

直近の業績は決して誇れたものではありませんが、今、急ピッチで改善しており、早く元の水準に戻してたいと考えています。

・ 我々は2016〜2019年頃までは、コロナ禍や中国の景気減速の影響を受けることなく、営業利益率で8.9%、在庫回転で6.5回転、ROEで15%を達成していました。当面の経営計画として、この水準まで戻すことを目標としています。

 

4株主還元

・ 業績が振るわない中でこんな高配当して大丈夫なのかというご心配も賜りますが、もちろん不可能であれば配当はしません。我々としては、可能な限りきちんと配当して、お客様に還元いたします。

今、バロックには6万人以上の株主様がいらっしゃいます。そのうち4万人ぐらいは、実は私どものお客様。我々のバロックのブランドを買っていただいている女性のお客様です。そういう意味において、投資までしていただいている大事なお客様を第一に考えることが、当社の配当施策です。

・ 我々の株主様はお客様が中心なので、優待に関しても、ただ売り買いを繰り返すというトレードではなく、長期保有し、一定量の株を保有していただける方に対して、日本でもかなり高い株主優待をしています。株主優待の本やウェブ記事をご覧いただくとわかりますが、株主優待+配当利回りで常に国内トップレベルを維持しているのがバロックジャパンの配当と優待施策です。

 

5.質疑応答

Q1. 中国と香港の売上は全売上の何%ぐらいになりますか。

A1. 今は中国の合弁会社の持ち分も譲渡していますが、譲渡する前も、実は中国の売上は、日本の上場会社のバロックジャパンの売上に組み入れていません。中国の小売売上は、一番いい時で、250億円ぐらいありました。今は大体100億円台に落ちていますが、これは日本の売上には入っていません。

ですから、日本の売上のほとんどは日本国内の売上とご理解ください。さらに、Made in Japanの製品を中国やアメリカで卸している部分が連結で入ってくる。それを売上として計上する形になっています。

 

Q2. 女性の社会進出の進展、若者の非婚化の増加、少子化の進展、夫婦別姓の議論など、女性を取り巻く社会環境の変化がありますが、女性の着たいモノの嗜好も変化があると想像します。どのような変化がありますか。

A2. 私どもが創業した2000年頃、若い女性が自分の可処分所得の中で洋服に使うお金をは、業界では3割強と言われていました。ただ、今はもうそんなに高くない。洋服よりももっと使わなきゃいけないことがたくさん増えています。

若者に洋服以外の興味が色々出てきたことにより、「SmartBuy(スマートバイ)」という現象が起こりました。「スマートに買う」「安くていいものを買う」という意味で、一時期ファーストリテイリング(ユニクロ)が大きく伸びましたが、今、ユニクロをも脅かす大きなゲームチェンジャーが現れています。

それがSHEIN(シーン)という中国のECブランドです。単品が700〜800円で、スマホでオーダーすると中国からすぐ送られて来ます。日本はSHEINに対して意外に寛容ですが、ヨーロッパ各国とアメリカは、中国のSHEINを締め出さないと自国のアパレル産業がなくなってしまうと警戒しています。

私が先月、パリに出張していた際に、今までは通販だけだったSHEINが、ヨーロッパのフラッグシップストアを開くというタイミングに行き合いました。店にはお客様もたくさん並んでいますが、それに反対するフランスのアパレル組合の組合員や反中国の方が衝突して警察が出動する騒ぎになっていました。

そうは言っても、やっぱり経済合理主義で安いものが売れていく時代です。ただ、ヨーロッパでもアメリカでも環境に対する意識は高まっています。アメリカはトランプ大統領が環境に対してあまり熱心ではないので、パリ協定の実行について否定的ですが、今後、皆さん、これをお考えいただきたい。

今、気候変動がどんどん進行している。当社の社員の80%以上は女性社員で、社員の平均年齢は29歳です。私はもう還暦を過ぎたので、「これから地球がどんどん温暖化したり異常気象が起こるのは心配だな」と思うくらいですが、若い方は、ご自身のお子さんが大きくなった時に地球がどうなっているのかを真剣に考えています。

そういう意味で、社員のみんなにサステナブルの意識がある。CO2排出量の削減も「もっと大きな会社がやればいい」ではなく、「自分の会社からまずちゃんと手本見せていかないと大変なことになる」と、非常に強い危機感を持っています。

そうなると、お洋服にお金を使えないから、安いのを買って、破れたら捨てればいいやという消費型がだんだん変革していきます。

ヨーロッパでSHEINの出店に対し、警官が出動する衝突になっているのは、SHEINが来ると困るというアパレルの組合員もいますが、環境保護団体の人も大勢参加している。ファストファッションで、たくさん作っては捨てる。消費者も「安いから1年着れればいいや」と思い捨てる。これがどんどん地球環境を破壊する大きな原因になっているということ。これを我々アパレル業界の人間として、強く肝に銘じ、今後、お客様に本当にいいものを長く着ていただくことを考えていきたいと思います。

以上

 

 

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