フィンテック グローバル株式会社(8789)
開催日:2025年11月23日(日)
場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 玉井 信光 氏
- 会社概要
・ 当社は、投資銀行業務、投資業務、投資運用業務を主戦にし、生業としています。その中で「投資銀行とは何ぞや」というお言葉を非常に多くの個人投資家の皆様からいただきます。
【投資銀行プロジェクトの事例】
・ 投資銀行業務は証券業の一部だという人もいますし、銀行と証券の間だという人もいます。基本的には金融業務の一つです。お金が問題でなかなかうまくいかない、困っている方やその部分について、金融業として助成し、その目的を達成していく仕事です。
具体的に当社の事例として、だいぶ前に手がけたのが鶴岡プロジェクト。山形県鶴岡市は庄内平野の真ん中にある中核都市の一つです。ここの駅前のバスターミナルで耐震補強が必要になりました。このバスターミナルには、ホテルや結婚式場など、その地域にとって重要な施設があります。ところが補修に数十億円かかってしまう。この地域の一番大きな会社が、唯一の地方銀行である荘内銀行からお金を借りて補修することになるのですが、一つの会社が負うリスクとしては非常に大きすぎるということになりました。そこで、我々みたいな会社が出ていき、所有権自体をSPC(特別目的会社)に移し、そこで資金を調達して、銀行がお金を貸します。エクイティと言いますが、出資金は地元の皆さんから集め、全ての案件を、いろんな人たちが応分にリスクを取り合って成し遂げていくことで初めてできたプロジェクトです。
長岡のプロジェクトは、新潟県長岡市の駅前再開発に関して、長岡市役所からいただいたお仕事です。市役所としては、この情勢なので、何十億円ものお金を出したくない。かつ、所有することで、その後のメンテナンスがかかる。後世に渡って負担することやりたくない。そこで証券化という手法でこのプロジェクトを推進したいというご依頼がありました。これも鶴岡と同じように地元の有力金融機関がお金を出し、残りの出資金は地元や市など、いろんなところがお金を出して成し遂げたプロジェクトです。
ムーミンバレーパークは埼玉県飯能市にあります。これも総額150億円ぐらいのプロジェクトですが、1社が負うには非常に大きすぎる。そこで、地域の鉄道会社やエンタテインメントの会社や建設会社など、いろんな方たちがお金を出し合い、みんなで応分にリスクを分かち合いながら、地域のためのプロジェクトとして完成させることになりました。これも我々が単純にお金を貸すだけでなく、仕組みを作り、リスクマネジメントし、皆様と応分にリスクを取りながら案件を進めました。
このように、その地域地域に困った問題があります。僕は広島の呉市の出身ですが、ここも日本製鉄の撤退で大変です。こういう問題について、何か新しい雇用を創造しなきゃいけないという時に、1社が頑張ってもダメなんです。地域も行政も、あるいは我々みたいな金融を補助する会社も一緒になって、プロジェクトを完遂し、なんとか目的を達成する。こういう仕事が、我々が主業務としている投資銀行業務です。この中でもストラクチャードファイナンスという仕組みを使った金融をやっています。
・ 当社がこのような仕事をするためには、まず《投資銀行業務》をやる。これは全体のリスクを分析し、アレンジし、銀行を呼び、「こういうプロジェクトをやりましょう」と金融を作る仕事です。
そして《投資業務》。自分たちでお金を出さないとどうしても足らずまいが出たり、リスクを取らないと事業がうまくいかないという時には、私たち自身が自己資金を投融資しています。
さらに《投資運用業務》は、地域の皆様からお金をお預かりしてそのプロジェクトに投資した後、鶴岡市のバスセンターなど、不動産そのものを受託し、運用する業務です。
この3つを持って投資銀行事業を成しているのが私どもの仕事です。
・ 沿革について。ここで見ていただきたいのは、リーマンショックを持って、我々の仕事の中身が変わってきたということです。
1994年、約30年前にこの会社を作り、投資銀行業務を中心に、アレンジメントをスタートしました。2005年に上場し、その時に得た資金を持って自己投資ができるようになりました。その後も順調で、2008年まで2本柱でうまくいっていました。資産規模として自己資本が300億円、投融資残高が約1,000億円、借入金が800億円近い状態でリーマンショックを迎えました。
リーマンショックでは皆さんも痛い目に遭われたかもしれませんが、私どもも投融資債権などで450億円ぐらいのマイナスを食らいました。当時、自己資本が300億円で、マイナス450億円だと、マイナス150億円で倒産しているのですが、幸いにして子会社の売却益等を中心に200億円の利益が出ました。そして、銀行に一切ご迷惑をかけずに、全ての借入金を完済。収益も200億円のプラスにしたおかげで、結果として、手元に50億円が残りました。そこからスタートしたのが2010年。ここから、今のフィンテックに変わりました。
どういう方向で変わっていくか。それは、地域に本当に必要な会社になりたい。本当に大事な会社にならないと助けてもらえないということです。
私たちは800億円の借入金を返しながら、450億円の損失をなんとか回避しながら単独で動いていました。しかし周りをみると、地方にとって非常に重要なゼネコンでも、我々金融関係者から見て、もう間違いなく倒産する、ダメだこりゃという会社がいっぱいありました。それでも地元の金融機関は、彼らを一生懸命助ける。まさに身を削って助けておられました。
それを見て我々も、「本当に大事な会社、あるいは地元や社会にとって必要な会社にならないと生き残れない。もっとそういう会社にならなきゃいかん」と考えました。その方向性は地方にあるのです。
前述のプロジェクトのような地方再生の案件は、利が薄く、儲からないので、メガバンクやインベストメントバンクは手掛けない。一方、地方銀行は、投資運用業や金融商品の販売事業のライセンスを持っていない。しかし我々はそれらのライセンスを有している。そこで我々が参画することによって、地方の死んでいる案件が生き残れることが結構ありました。このように、「あまり利益は出ないけれど地方に出よう」という方針を持ち、リーマンショック後の10数年、我々は取り組んできました。
【公共コンサルティング事業の経緯】
・ 我々は、地方自治体の皆様と親密になり、地方が持つ問題をあぶり出す方針で、地方自治体に対する営業的なアプローチを随分やりました。今現在、500近い自治体との実績があります。取引先としては、都道府県を中心とした大規模自治体及び政令指定都市、特別区など、非常に多くのお客様を抱えています。
そのきっかけとなったのは、もう20年近く前ですが、北海道の夕張市が財政破綻しました。その頃は、総務省(旧自治省)の皆さんが自治体の財政状況を把握するすべがなかったのです。民間企業で言うところの財務4表(BSPLやキャッシュフロー計算書など)がなかったので、それを整備することから始まりました。
実際、蓋を開けてみると、自治体が持つ資産の90%以上、多いところでは95%以上が固定資産です。しかし、その中身を見ると、古いのか新しいのか、よくわからない。減価償却という考え方がなく、減価償却累計額もないので、どの物件が古いのか新しいのか、会計的に把握できませんでした。
その当時起こったのが、中央高速でのトンネル崩落事故。非常に悲しい事故でした。この事故をきっかけに、自治体が持っている固定資産を精査する動きが始まりました。具体的には老朽化の確認と、その改善のために必要なお金を精査することです。それが固定資産台帳の整備で、さらにそこから、改善や解体、建替などの総合施設管理計画を作ることが今も財務省と総務省の中で行われています。政府の方針で「国土強靱化計画」がありますが、まさにあれも総合施設管理計画の一つです。この計画を元に、施設を一つずつ見直すことが、今進んでいます。
このような時代背景の中で、我々が会計コンサルティングをやり始めたのが約20年前。それ以降、ずっとこの流れが続き、我々は今、最大シェアを持つ会社になっています。
さて、今自治体で一番困っているのは、人手不足です。特に技術者がいません。例えばある政令指定都市のお客様で市内の数十校の小中学校のメンテナンスをする場合、メンテナンス工事の専門業者を選ばなきゃいけない。さらにメンテナンス時に監督する必要もあります。しかし技術者不足で、監督できる人間がいません。
そのため、メンテナンス業者の選定から工事の監督までの業務をアウトソースするしかない。これを担当しているのが、当社グループのパブリック・マネジメント・コンサルティング(PMC)で、「PMCさん、よろしくお願いします」という形で依頼されています。PMCは、地域の問題も目の当たりにするし、地域の問題を代わりに解決する役割も担っています。
さらにそういう流れの中で、駅前開発や学校の耐震化、体育館の建替えなどが発生した場合には、ファイナンスとして親会社のフィンテックが出ていく。この動きができることを目指しています。
このようにリーマンショック後の当社は、地方自治体向けビジネスを展開してきたことをご理解ください。
・ 我々の業務推進体制について。投資銀行事業は全て100%子会社の中で展開しています。地方銀行が当社と組むのは、当社がライセンスを有しているから。子会社のFAM(フィンテックアセットマネジメント)は不動産の投資運用ライセンスを持っています。FGICP(FGIキャピタル・パートナーズ)は有価証券等の運用ライセンスを持っています。
地方銀行はこういう会社をグループ内になかなか持たない。大手のメガバンクは当然全部持っていますが、地方の儲からない案件には臨まない。そこに我々のビジネスのきっかけがあります。公共コンサルティング事業は、前述のように地方の公共事業のコンサルティングを行っています
エンタテインメントサービス事業には、私どもの会社よりも有名なムーミンバレーパークがあり、そこの運営会社が連結子会社になっています。株式の保有率は84.6%です。ただしこの会社は、会計的には連結されていますが、地域の事業です。地域のためにやっている事業で、基本的には債務保証等も何にもやっていないので、他の2事業とは別物だと理解していただければわかりやすいかと。我々の中核事業は投資銀行事業と公共コンサル事業であることをご理解ください。
- 業績
・ これまでの約7年間の業績について。連結営業利益はマイナスからプラスに転換しています。マイナスの要因はムーミン事業(エンタテインメントサービス事業)です。コロナ禍の影響に苦しんでいました。
ムーミン事業の子会社のムーミン物語に関して、私どもは今、84%ほど出資していますが、当初は40%台でした。ムーミン事業は、地元の鉄道会社を中心にいろんな会社が出資されています。金融機関もたくさんお金出していただいているのですが、正直に申し上げて、なかなか事業主体になりたいという人がいない。テーマパークは各地方にありますが、過去を見ると最初からうまくいってるところはあまりありません。だからどの会社もリスクを取りたくない。しかし、地域のためにみんなでやろうという流れの中で、私どもが主人公にならざるを得なかったこともあり、40%を出資しました。
ところが、準備段階である2019年の段階でこの事業の従業員が500人いるため、16億円のマイナス。2020年、2021年は、コロナ禍で、非常にダメージをくらいました。さらに、私たちが地域に代わって増資を引き受けたため、本来本業に回していたお金がムーミン事業に流れることになります。そのため、本業も悪くなりました。
ただ、ムーミン事業は、「なんとしても地域のために」といううちの看板。看板事業を潰すわけにはいきません。このような思いから、苦しみに見舞われつつも、歯を食いしばって継続させてきたのが、2020〜2021年です。2022年ぐらいから徐々に回復し、本業にお金が回せるようになりました。そうすると利益が出るようになり、昨年の段階では大幅な黒字を達成することができました。
- 投資銀行事業
・ 事業承継案件の地域別組成累計額について。これは事業承継案件が果実になった部分です。地域のためのプロジェクトや自治体と一緒になって問題解決することを通じ、地方金融機関とも非常に強い関係ができています。そういう皆さんとの協業の中で大きな問題なのは事業承継です。事業承継問題に関して、仲介に入る会社はたくさんありますが、難しい案件や小さい案件に入る会社は少ない。しかし我々はかなり広い分野も拾える投資家です。事業承継の買い手として組成にも取り組んでおり、国内の各地方で実績を出しています。
・ 現在の投融資残高は79億3,000万円。これは期中で上下します。
・ 事業承継案件に関して、私どもは自己資金を使うだけでなく、一つひとつの買収事案に関してファンドを立ち上げます。銀行からお金を調達するケースもあれば、米系の投資銀行と一緒にお金を出すときもあります。前期の2025年9月期(第31期)は、520億円のファンドを組成し、事業承継事案を買収しています。
・ 2025年9月期の事業承継案件を含むプリンシパルインベストメントの投融資残高は、22億4,900万円。ここには、ファンドの中で最後に責任を取る人として出資金となるお金が含まれています。この自己投資とファンドを組成し、他社の皆さんとのリスクを考えながら、進めているのが前述のファンド組成額の520億円です。
プリンシパルインベストメントは、期中で上下します。四半期の決算説明書を見ると、ファンドの推移がわかりますが、この数字はすごく回転しています。
一方、不動産の投融資残高は、45億円前後で、ずっと変わっていません。これは、ムーミン事業の1つで、ムーミンバレーパークの横にあるメッツァビレッジに関する数字です。市が一部保有する公的な土地が公園のように使われており、メッツァビレッジはそこにあるショッピングモールみたいな施設です。
これは私どもが自己資金で建物を建て、賃貸人として家賃をいただいている事業です。これもコロナ禍がなければ早々に流動化する予定でしたが、ここに来てやっとムーミン事業が安定してきたので、不動産についても流動化していきます。今期以降、流動化をどんどん進め、利益を現実化していきたいと考えています。
・ 投資運用預り金残高について。現在は、1,617億円の資産をお預かりしています。このうち、いわゆる株式等に回す現金の受託は51億3,000万円で非常に少ない。大半が不動産で、前述の通り、私どもが組成した地方の案件やプロジェクトで使った不動産を自分たちがアレンジしてそのまま受託するケースもあります。しかし多くは外資系保険会社がお持ちの不動産を、私どもが受託して運用しており、大きなポジションを占めています。その合計が現状1,610億円超という規模です。投資運用の預り資産残高としてはまだまだ小さな会社です。
- 公共コンサルティング事業
・ 前述の【公共コンサルティング事業の経緯】の通り、順調に推移し、中身が深くなっています。かつ中身もコンサルティングからアウトソーシングや人材派遣に変化しています。
- エンタテインメントサービス事業
・ 埼玉県飯能市のメッツァはムーミンバレーパークとメッツァビレッジで構成されています。メッツァビレッジは入場無料で誰でも入れる場所です。
ムーミンバレーパークはムーミン物語というみんなで作った地域会社が運営主体になっています。一方、メッツァビレッジはフィンテックが大家として事業参画しています。
ムーミンバレーパークは、2019年にオープンしました。2019年の来園者数は100万人を超え、120万人近くになりました。しかしその後、コロナ禍に入り、どんどん厳しくなりました。そしてコロナ禍が明けても、なかなか客足が戻らない状態が続きました。2020年から2023年の一部分までは非常に苦しかったのですが、前期の2025年9月期に通期の黒字に戻すことができました。これは現場の努力や株主である鉄道会社のご支援等、非常に熱い庇護によるもの。なんとか盛り返すことができ、現状において黒字化を達成できた事業です。
- 2026年9月期業績見通し
・ 今期についても今までの成長スピードはあまり落ちていません。順当に成長が続くと見込んでおり、売上高182億円、営業利益42億円、経常利益40億円、最終の当期純利益27億円としています。
・ 内訳については、投資銀行事業では、事業承継の案件が非常に大変な状況が続いています。事業承継には、承継したいという案件と、後を引き継ぐ後継者がいないから清算したいというお話も多く、現場も本当に大変だと思います。それらに一つずつ取り組むのも、多くの時間かかるのですが、案件が途切れることがありません。当社の業績的にも助かるのですが、社会のお役に立っていると捉えることができ、人員を増強しながら対応することで頑張っています。
大和さんも含め、証券会社の皆さんとの連携も非常に濃くできているので、各社の力も得て、この分野については今後も引き続き、私どもの主力になる事業だと感じています。
公共コンサルティング事業も、前述の通り、人材不足が本当に大変で、アウトソースの話が非常に多いです。そのため私どもも、元々は会計のコンサル屋でしたが、今は子会社の中に一級建築事務所を構えているところもあります。そして、技術者をたくさん雇い、派遣したり、受託する仕事が増えています。このことから、公共コンサルティング事業は、ますます深く広くなっていくと思います。
エンタテインメントサービス事業は、現場の頑張りにより、好調です。このまま来園者が増加し、増収増益が達成できるという見通しを持っています。
- 中長期的展望
・ 当社グループとしては、投資銀行事業のライセンスやノウハウを全て投下し、かつ地方自治体との関係性を持って、まず問題を抽出する。そこから出てきた地域のプロジェクトに対し、ファンドの基金を作ったり、あるいは投資家市場にセキュリティトークンというブロックチェーンを使った証券化商品を売却するなど、あらゆる手法を持って地方の金融機関と一緒に連携していきたい。こういうことを地道に進める方策を模索しています。
逆に言えば、何か大きな1つのプロジェクトに頼るよりも、いくつもの機能を持って、いろんな種類の商品に対応し、収益を上げていく。社会にとってなくてはならない金融機関になることを目指しています。このような思いは、今やっと皆さんの前で口に出せる。そう言っても恥ずかしくない状態になったと感じています。
- ROEと株主還元
・ 上場以来20年間、大きな波もありましたが、ROE20%維持を常に目標とし、達成のための資本政策も取っています。そのため、今後も引き続き20%を目標として持ち続けたいと感じています。
・ 株主還元について、私どもの株価は2桁台まで低迷し、かつ元々、株数が多い会社で2億株あります。そのため、流動性過多の傾向があり、株価のわずかな動きによって、大きく動いてしまうことがありました。
これを需給のバランスを含めて調整したいという思いがあり、株式の併合などを検討しました。しかし、3年前の株主総会で私どもの考え方を株主の皆様にお話させていただきました。それは、正攻法でいくことです。ちゃんと収益を上げ、成長を鈍化させず、成長したら配当を出していく。正攻法で株価を地道に上げていく。この3年間、安定した株価水準の動きにしたいと取り組んできました。
2026年9月期も今までと同じ発想です。利益が大きく上ぶれる予定なので、それに合わせ、1株当たり5円に増配します。
株主還元については、株価が安くなれば、今までと同じように自己株の取得を行います。安くならなければ、2025年9月期のようなたくさんの自己株取得はやらない。こういう柔軟性を持って、安定的な成長に見合った株価の上昇を目指していきたいと考えています。
2026年9月期の配当金は5円を予定していますが、自己株式の取得については未定です。臨機応変に考えていきたいと思います。
- 質疑応答
Q1. 地方自治体の財政状況は、徐々に悪化しているところが多いと聞きます。公共コンサル事業ではどのような相談ごとが多いのでしょうか。
A1. 総じて言うと、人が足らない、人手がないことが大きい。それも元々は私どもの主業務の財政関連。特にバランスシートやP/L、場合によっては資金調達に関するご相談が中心だったんですが、昨今は物絡みが多い。例えばメンテナンス工事について、「まともに全部、やり替えていたら、大変なことになる」ということで内容を取捨選択し、5年後、10年後、大きなものになると30年後の修繕計画まで出せというのが、中央官庁から求められている自治体への宿題です。今、そういう案件について一生懸命一緒になって考えることが多い。傾向としては、固定資産に関するものが増えています。
Q2. 御社の人材育成について、現在注力されている点はどのようなところでしょうか。
A2. 当社はもう、人で持っている会社です。金融業は基本的にお金の規模で収益が左右されますが、お金をどう使うかは人次第。人がどれだけ育つかが最重要課題です。
人材育成が私にとって、創業以来一番の悩みの種です。できるだけ辞めさせたくないし、長い間かけて育てたい。たくさん採用し、半分辞めてもしょうがないということは一切ありません。一子相伝で、一人ずつ成長してほしい。
それでもなかなか定着してもらえない時期もありましたが、昨今はおかげさまであまり辞める人がいない。新卒もあまりたくさん採らないようにしているので、非常にいい感じになっていると思います。まさに人を大切にし、人によって会社を生き延びさせることを目指し、教育も含めて取り組んでいる状態です。
Q3. 御社は投資銀行事業の会社ではありますが、なじみのない人にはムーミンバレーパークを運営しているエンタメの会社と思う人もいると思います。会社の知名度向上の一つとして、さらにこの分野に力を入れていくことは可能でしょうか。
A3. 可能です。金融業は虚業だと私は思っています。実業家の方たちを助けるのが虚業家の役目だと思っています。したがって、必ず主役は別にいる。
一方、ムーミンバレーパークの場合、主役を自分たちで作っています。USJやオリエンタルランドなどのエンタメ企業から人を集めて作った会社です。
そしてムーミンバレーパークを育て、苦しい時には励まし、支援することを続け、ふと気づいたのは、これはやっぱり実業だなと。実業は楽しいし、面白いし、やりがいもあることをすごく感じました。
だから、個人的には大いに伸ばしたいと思いますが、本業は投資銀行事業。困っているところを助けることを主業務としています。ムーミンバレーパークにさらに注力したいし、可能ですが、今はちょっと難しいと思います。
Q4. 同業他社にはどの会社を認識されていますか。また、他社との優位性は何でしょうか。
A4. オンリーワンだと思っています。地方で地方の金融機関と一緒に、その金融機関が手の届かないライセンスを持って一緒に仕事ができる。かつ自己投融資もできる会社は、もう私どもしかいません。
やろうと思えばメガバンクや証券会社なら、当社と同じ動きはできると思います。しかし、あまり利が薄いことは、多分やられないと思います。
実績も表しているように、私たちしかいないということは、競合他社もいない。むしろ競合というより、協調他社という意味で、地銀をすごく意識しています。私どもの取引銀行で地銀が多いのはそういう理由です。
どんどん地銀の取引先が増える一方で、もちろんメガバンクにも非常にお世話になっています。ファンドの組成についてはお金も支援していただいています。
ただし、実際に協働しているのは、やはり地銀の方が圧倒的に多い。そういう意味で協調他社として地銀を挙げたいと思います。
Q5. 資金の調達先は主にどのような銀行ですか。
A5. 運転資金はあまり必要ない会社です。前期は事業承継で500億円を超えたファンドを組成しました。これはほとんど金融機関からお金を借りて一緒に投資しています。こういった金融機関はメガバンクが多い。数百億円を出せるのはメガしかないですから。
一方、地方の案件では地銀と協業している。こういう住み分けができています。
Q6. 借入金と投資先のバランスはどのようになっていますか。
A6. なかなか掴みにくい質問ですね。ムーミンバレーパークに関連する借入金は、地元の信用金庫や地銀から60億円ぐらいあり、これはムーミン物語が借りているお金です。
ムーミン物語は、自分たちが主体になって作り応援している会社ですが、基本的には会計的に連結されているだけで、ここの借入金は、極論ですが、債務保証も何にもしていない。言葉を悪く言えば、ムーミン物語が苦しい時も、倒産しても、我々は全く何もないという部分が会計的に連結されています。
それをもってバランスがどうこう、と言うのであれば、借入金をたくさん借りて、ムーミン事業に投資しているという風に見えるかもしれません。そういう意味からすると、投資先も資産も借入金も全部ライトオフできる。切り離せるとご理解ください。
決算開示資料の中では、バランスシートとして整理したいということで、ムーミン物語を地方にお返しすることも含めてお話ししています。この辺りはやっとムーミン物語が独り立ちできたので、考えていきたいことです。
Q7. 成功事例を聞いている限りでは、投資したいと思います。逆に、プロジェクトを撤退するときの基準、またはルールがあったら教えてください。
A7. 鋭いご質問ですが、撤退は下手くそです。撤退がうまければ、ムーミン事業は、とうの昔に撤退しています。
というのも、ウチにとって「これはやらなきゃいけない仕事」というものがあります。特に地方が困っているプロジェクトは、「これは歯を食いしばってでもやらなイカン」という気持ちがあります。
従業員もそういう気持ちで臨んでいます。儲かる・儲からないではなく、「これはなんとか助けなきゃいけない」「なんとか最後まで行きたい」と考える職員が多い。
だから、撤退ルールというか、自分たちから自主撤退したケースは、自分の記憶の中ではない。「1回やったら最後まで付き合います」という会社なので、ちょっと危ないと思われたら困りますが、そんなことを考えています。
Q8. 優秀な人材を確保するためには、御社はどのような工夫を考えていますか。また、即戦力として中途採用のケースは多いでしょうか。
A8. ライセンスをたくさん抱えている会社なので、ライセンスを維持するのに必要な人材を中途採用するケースが多いです。
ただ、基本的には新卒を1から育てることが私たちの会社の流れです。僕だけでなく、みんなそう思っており、入社した人間を徹底的に育てる覚悟を持って採用しています。
また、今期は初任給を上げました。ベースアップもしました。全職員、30%上げました。去年の株主総会では、30%上げることはわかっていたのですが、「超大幅に上げたい」という言い方をしました。
人材の流出だけは避けたい。他社に給与で負けたくない。その点のご理解を賜り、第31期では全職員30%上げました。それにより販管費は2億円以上かかりましたが、これもやむを得ないということで、ご理解いただきました。
以上
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