エスコンジャパンリート投資法人(2971)
開催日:2025年10月29日(水)
場 所:オービック御堂筋ビル2階 オービックホール(大阪府大阪市)
説明者:株式会社エスコンアセットマネジメント 代表取締役社長 織井 渉 氏
1.エスコンジャパンリート投資法人について
・本投資法人は、地域社会の豊かな生活を支え、持続可能な社会へ貢献するために、暮らしに密着した資産への投資を通じて、地域コミュニティの活性化と人々の豊かな暮らしの実現を理念としています。
・本投資法人の保有資産の約半分は、関西圏に投資しています。阪急千里線沿線の「tonarie南千里」、南海電鉄沿線の「tonarie栂・美木多」、近鉄線沿線の「tonarie大和高田」など、駅前の商業施設を中心に運用しています。
・商業施設や住宅等の「暮らし密着型資産」を中心に投資を行うことで、地域コミュニティの活性化と人々の豊かな暮らしの実現を目指すREITです。商業施設・住宅・持続可能な社会の実現に資する資産を主な投資のターゲットとして、これらを合わせて「暮らし密着型資産」と定義しています。
2.スポンサー紹介
・暮らし密着型資産の運用・投資に当たり、スポンサー企業について3社紹介します。
・まずは株式会社エスコンで、エスコンフィールドHOKKAIDOの命名権を有しています。もう一つは、中部電力株式会社とその子会社の中電不動産株式会社です。電力供給を中心にインフラを運営し、非常に安定的かつわれわれが目指す「暮らし密着」というテーマをサポートいただけるスポンサーになっています。
・主たるスポンサーであるエスコンは、本社は東京都港区虎ノ門ですが、もともとは大阪府大阪市に設立した不動産開発会社(デベロッパー)です。プライム市場に上場しており、「Ideal to Real 〜理想を具現化し、新しい未来を創造する〜」という理念を掲げ、人々の「暮らし」をつくることを大きなビジョンとして掲げています。
・エスコンの親会社として、中部電力が51%の株を保有しています。中部電力は人々の暮らしのコミュニティをサポートする企業として多くの事業に参画しており、中部電力グループの不動産事業を支える会社としてエスコンがあります。エスコンと中部電力の2社がわれわれ当運用会社の親会社であり、運用会社を通じて、エスコンジャパンリート投資法人を支えるスポンサー企業となります。
・エスコンは大阪で創業し、関西を中心に分譲マンションから商業施設の開発まで幅広く展開してきましたが、今は日本全国の街で、暮らしをつくるライフデベロッパーとしての役割を担っています。
・代表的な例が、野球場を中核としたHOKKAIDO BALLPARK F VILLAGEでのまちづくりです。現在は分譲マンションの引き渡しやシニアレジデンスの他、球場の隣にホテルを建設しています。2028年に新駅ができるため、新たな商業施設の開発や大学の誘致等も進めていく予定で、HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGEはこれから大きく発展していきます。
・球場に最も近いJR北広島駅前の再開発も行っています。分譲マンションや複合型商業施設の開発を手掛け、「tonarie北広島」は2025年3月にオープンしました。球場をご利用になる方も含め、多くの方々に利用いただき、北広島駅の活性化事業の一つとして開発を進めています。
・茨城県つくば駅前の開発も進めています。また、地元の大阪府では、吹田市の「TSUNAGU GARDEN千里藤白台」において、分譲マンションを核とした商業施設等の開発を複合施設として実施しています。日本全国で開発したものが、将来本投資法人の中に組み入れられることを通じて長期的に運用していく可能性も秘めた非常に夢のある開発をしているデベロッパーです。
3.エスコンジャパンリート投資法人の特徴
・投資方針は「日本全国・地域分散」を基本方針とし、商業施設・住宅・ヘルスケア施設、教育関連施設、ホテル・物流施設等、地域住民の生活に根差した暮らし密着型資産というコンセプトの下、運用していきます。
・投資対象エリアも日本全国・地域分散を図って投資を行い、暮らしをつくり、多様な世代にとって居心地の良いまちづくりをグループが連携したサポートで行っていければと考えています。
・2025年9月末時点で、資産規模は38物件、取得価格は合計715億円となっており、商業施設を中心に近畿圏をはじめ日本全国に投資をしています。まだ小さなREITなので、これからどう成長させていくのかは課題ではありますが、大きな開発が進んでいる中、将来それらが組み込まれていくことによって資産の拡大を図っていければと思っています。
・保有資産の一覧については、皆さんの身近な日常生活に不可欠な商業施設を中心に、投資・運用しています。非常に親近感がわくような施設だと思いますし、毎日買い物に行かれる方は、身近に感じていただけるような施設だと思います。仙台市の支倉メディカルビル等、医療法人が入った施設にも新たに投資を始めています。
・保有施設では、地域の方々と共存できるような活動も行っています。皆さんはJ-REITの投資口を持たれたり保有を検討されたりしているので、投資家という目線からすれば、配当の有無や投資口価格が安定的に推移していくことに越したことはないと思いますが、施設を日々使っていただかなければ、賃料に相当する収入を得ることができません。買い物に来ていただく方々とご一緒できることはないかと考え、災害に備える防災体験や認知症サポーター養成講座を施設内で開催しています。少しお休みいただけるような「ひとやすみカフェ」や、地域の方々が集まって発表する場を提供することで、施設がにぎわい、人が集まることで暮らしをつくっていく。そういった役割も本投資法人の中で担っていければと考えています。
・商業施設は、震災や災害等が発生した時は一時的に避難する場にもなり得ます。2016年に起きた熊本地震では、本投資法人の施設が一時的な災害拠点となり、さらに2025年6月に熊本市と「災害時の避難場所・施設利用に関する協定書」を締結しました。万が一の時はそういった利用もしていただけるように取り組んでいます。「J-REITでそこまでやるのか」と思われるかもしれませんが、普段使っている方々と共存していくことがREITそのものの長期的な運用には重要だと考えています。
・ただ、施設は時間とともに劣化していき、陳腐化してしまいます。「tonarie南千里」は完成から20年が経過し、施設の劣化が少しずつ目立ち、地域の高齢化とともに、にぎわいが減ってきていたため、このタイミングで施設に手を加えようと考えました。日々使っているお客さまはどこに不満があり、どこを直してほしいのか、どこを直したら使い勝手が良くなるのかをお客さまの目線からご意見を頂き、。テナントの方々には、どういった施設になればより自分たちの商品を売りやすくなるのか、お客さまに来ていただけるのかといった観点も含め、来館者とテナントの両者の方々の満足度調査を行いました。
・運用会社が自分たちだけの発想でよかれと思ってやったことが、実はあまり効果的ではなかったという経験も過去にあるため、こういった調査を反映して資産のバリューアップを行い、全館リニューアル工事を経て2025年4月にリニューアルオープンしました。オープニングイベントでは、近所の中学生や高校生が演奏会を行いました。その後、お客さま数がリニューアル前と比べて約10%増え、最近は新たに若いファミリー層の方々も来ています。ただ買い物に来るだけではなく、施設を交流の場にしていただくなどのリニューアル効果も出た結果、施設の売上も上がりました。このように、皆さんの意見を聞きながら、地道にひとつひとつの案件の価値向上を図っています。
・本投資法人の大きな特徴として、投資口数の約4割を個人の方が保有されています。J-REIT平均の10%を大きく上回っており、個人の方々に非常に支えられています。資産規模と時価総額が小さいため、多くの機関投資家にまだ投資いただけていないことは事実ですが、個人の方々に大きく支えられていることを強みに、一人一人が使っていただいている、暮らしに密着した施設という側面を含めて、個人投資家の方々のファン層を作っていきたいと思って活動しています。
・投資家の皆さんにお渡しする分配金は、各施設のテナントから頂いた賃料を源泉にして配当しています。商業施設の場合は、お客さまが支払ったお金の一部がテナントの賃料の源泉となり、その賃料を本投資法人にお支払いいただき、それが投資家の方々への分配金となっています。裏を返せば、お客さまが本投資法人の投資口を持っていれば、買い物で支払った代金が、ぐるっと回って自分の手元に分配金として戻ってくる仕組みです。このお金の流れで、施設の近くに住まわれている方も含めて、ぜひファンになって支えてもらえる循環型の仕組みを目指しています。
・先日、千葉県のあすみが丘ブランニューモールにおいて、買い物に来たお客さまを対象とした本投資法人の説明会を開催しました。できれば他の施設でも同様の説明会を行い、買い物に来た方々にファンになっていただけたらと考えています。
4.今後の成長戦略
・J-REITはようやく投資口価格が上がり、東証REIT指数が1,900ポイント台に上がりました。本投資法人の投資口価格も少しずつ回復し、本日時点で12万4,000円まで回復しています。これからさらに投資口価格を上げていく施策も打っていきたいと思っています。
・新たな資産の取得が今後の課題ですが、当面は収益性が鈍ってきている案件は、収益をしっかり上げていけるものに入れ替えながらポートフォリオ自体を強くしていき、投資口価格も上げ、今後もしっかりした外部成長を行っていきます。スポンサーであるエスコンがさまざまなエリアで開発しているので、スポンサーのパイプラインも活用したいと思っています。
・これらの活動を収益に反映していかなければ、やっていることの意味が半減してしまいます。第17期が2025年7月の決算で終わりましたが、右肩上がりで1口当たり分配金を増やしています。18期、19期は分配金をさらに右肩上がりで増やしていき、さらに資産の入替を行うことで、今後は1口当たり分配金を3,600円台にするという目標を掲げ、成長させていきたいと思っています。
・現在の投資口価格の場合、3,500円の水準でいくと約5.6%の利回りとなります。J- REIT平均よりも高い利回りとなりますが、ファンになっていただいた方々に多くの分配金をお支払いできるよう、今後も運用していきたいと思います。
5.質疑応答
Q1.資産の入替方針について、地域やアセットタイプの構成を教えてください。
A1.長く運用していると、これ以上収益を伸ばしていけない、もしくは将来下がってしまうのではないかと危惧される案件も当然出てきます。今運用している中で言うと、エリアが外れた地域の底地や、投資をしても収益が上がらない商業施設などは入替の対象になります。
一方で、世の中は今、デフレからインフレ局面に変わってきています。このインフレしていく部分をしっかり自分たちの中で収益に取り込んでいける、そういった施設に投資したいと思っています。
代表的な施設は、住宅、ホテルなどです。高市政権になって、これからは積極財政だといわれていますが、いろいろなお金が動くようになります。日本は観光で生きていくところも大きいので、インバウンドを含めて収益性が向上できるようなアセットはぜひ投資の対象として見たいと思います。
お金が動くようになれば、お買い物に行く方も増えてくるでしょう。そういった中で価値向上ができるものをしっかり見極め、資産入替を進めていきたいと考えています。
Q2.今後の戦略について、重点となる取り組みを教えてください。
A2.われわれのポートフォリオは715億円と申し上げました。この規模のREITで資産価値を伸ばしていくためには、入替をしながら全体のポートフォリオ自体の収益性を上げることが第一です。その結果、皆さんから「しっかりとした運用をしている」「このREITは投資する価値がある」と思っていただければ、投資口価格も上がっていきます。そうすれば、新たな資産を購入するチャンスが出てくるので、収益性をしっかり上げることを前提に、資産規模を700億円から1,000億円と段階的に増やしていくような戦略を考えています。
Q3.御社の強みを教えてください。
A3.J-REITは、どれだけ質の良い資産を多く持つことができるかという仕組みであるため、優良な資産を自分たちの近いところで開発していく機能があることは極めて重要な要素だと思っています。
エスコンや中部電力のように、特徴ある確かな開発力を有し、安定性と信頼性の高いインフラ事業を提供しているスポンサーのもとで、私たちは次の資産規模拡大において確実に貢献し、強力なサポートを得られる体制があることがわれわれの強みです。非常に特徴的なデベロッパーであり、インフラ企業でもあるという点が、他の多くのREITの中にはない大きな特徴の一つです。
Q4.成長戦略の具体的な内容を教えてください。
A4.今までは商業施設と底地を中心にポートフォリオは構成されていました。99%稼働し、長期の契約も結んでおり、非常に安定的なキャッシュフローを皆さんにお支払いできています。しかし、成長性はどうなのかという課題はどうしてもあります。
先ほどインフレの話をしましたが、インフレ環境下では収益だけでなくコストも上がっています。その分をしっかり補わなければ成長は継続できません。安定性を強みにしながら、もう少し収益を上げていける、インフレ耐性を備えた資産を入れていく。
例えば、ホテルや商業施設、オフィスビルなどの施設のタイプではなく、それぞれの収益がどう構成され、どういう入り方をして安定しているのか。成長性があるのか、落ちてしまうのかに着目し、「安定している」という強みを活かした成長性のあるものをしっかり入れていくことを今後の戦略にしていきたいと思っています。
Q5.物件選定において最も重視していることを教えてください。
A5.物件そのものの収益が、成長させられるのか、安定しているのか、駄目になってしまうのか。さらに、どれくらいのコストをかけていく必要があるのか。コストをかけたことがプラスに寄与できるかどうかをしっかり見ることです。もう一つは、その前提となる不動産の立地(エリア)、物件の物理的な状況といったハード面の両面を見ています。
以上
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