ウシオ電機株式会社 (6925)
開催日:2025年9月2日(火)
場 所:シティプラザ大阪2階『旬の間』 (大阪府大阪市中央区)
説明者:代表取締役社長 朝日 崇文 氏
1. 社会を支えるウシオの光
・ ウシオは、光を中心にさまざまな可能性を追求し、発展してきました。
ウシオの活動の根底にあるのは、「未来は光でもおもしろくなる」です。これは、私たちのコーポレートスローガンです。
ウシオは、「『光』とは何か?」を追い求め、そして「光には未来を変えてしまう力がある」と信じてきました。その信念をもとに世の中の進化や発展に貢献してきましたが、「光」にはまだまだ解明されていないものがあると言われています。
ウシオは、新たな「光」の解明と用途開拓を通じ、社会課題の解決に挑戦し続けることを目指しています。
・ 光の機能について。光というと、太陽光や照明の明かりなど、目に見える光を思い浮かべる方が多いと思います。目に見える光は可視光線という波長領域のものです。
可視光線よりも波長が短い光に紫外線、波長が長い光に赤外線があります。光には波長の違いにより、さまざまな特性や機能があり、それを生かすことで多様な課題を解決することが可能です。
例えば、紫外線は日焼けの原因というイメージがありますが、人の目には見えないものの、強いエネルギーを保有し、固める・検査する・除菌するなど、いろいろな用途で利用できます。赤外線も人の目には見えませんが、強い熱を発する特徴があります。
ウシオは、これらの特性や機能を理解し、洗う・検査する・並べる・固めるなど、光をエネルギーとして利用し、光でできることを増やしてきました。
なお、ウシオのロゴの色はグリーンです。これは可視光線の基本の色となる光の三原色、赤・緑・青の真ん中、つまり光の中心であるグリーンに由来し、常に光の中心にあり続けたいというウシオの思いを込めています。
・ 光の機能を活用したウシオの光が社会の中で使われている事例をご紹介します。
現在、私たちの身の回りにあるさまざまなもの、例えばスマートフォンやパソコン、自動車や家電などに半導体が使われています。私たちの生活が便利で快適になる上で、半導体の進化は欠かせません。半導体の製造工程で、ウシオの光を活用した製品やサービスが多く採用されています。
具体的には、半導体の製造工程で基板などに回路や配線を描く露光や、ウエハーの洗浄、加熱などに使われており、半導体の進化に大きく貢献しています。
・ また、スマートフォンや液晶テレビなどで使用される液晶パネルの製造工程でも、ウシオの技術や製品、サービスが活躍しています。近年、液晶パネルの進化により、大変きれいな画像や映像をスマートフォンや液晶テレビで楽しめるようになりました。そこには紫外線を使ったウシオの光配向技術(光で液晶分子をきれいに並べる技術)が採用されています。これにより、液晶パネルの高精細化に貢献しています。
・ エンターテインメントの世界でもウシオの光は活躍しています。迫力ある映像を味わう映画館での上映には、業界向けの高性能なプロジェクターが使われています。そのプロジェクターとその中で光を出しているランプはウシオの製品です。高精細かつ迫力のある映像づくりを通じて、感動や驚きの提供に貢献しています。
また、近年、万博やオリンピックなどの国際的なイベントや世界的なテーマパークで、大空間かつ立体的な映像演出をするプロジェクションマッピングが増えています。そこでもウシオのプロジェクターが使用されています。
現在開催されている大阪・関西万博でもウシオのプロジェクターが採用されており、ウシオの光で万博を盛り上げています。
・ 病院などの施設でもウシオの光は活躍しています。新型コロナウイルス感染症の拡大以降、環境衛生に対する意識がより高まっています。ウシオは、人体に悪影響を及ぼさない紫外線波長である222nm(ナノメートル)を利用し、有人環境でも使用可能な高ウイルス除菌技術を製品化しました。現在、医療現場や介護施設などで活躍しています。
また、皮膚の角層から真皮層まで届く紫外線波長を利用した紫外線治療器は、白斑や乾癬、アトピー性皮膚炎などの治療に利用されています。このように、ウシオの光は、安心・安全な生活に貢献しています。
・ 私たちのオフィスや家庭でも活躍しています。プリンタやコピー機の中で、トナーを定着させる熱源にウシオの光が使用されています。ウシオの製品は家電量販店などで見かけることはないと思いますが、皆様の目の届かないところで産業の革命や進化に大きく貢献しています。
2. 当社の紹介
・ 現在のウシオグループの特徴について。まず1つ目は、グローバルに事業を展開している点です。海外売上高の割合は77%と非常に高く、従業員の約6割が海外で働いています。世界を市場とし、グローバルな視点でビジネスを進めています。
2つ目は、経営の高い安全性。長い歴史に裏づけされた強固な経営基盤を持ち、ガバナンス体制の強化にも積極的に取り組んでいます。加えて、直近の配当利回りは3.4%と、安定した株主還元を実現しています。
・ 事業セグメントについて。売上高は、主にインダストリアルプロセス事業とビジュアルイメージング事業の2つで構成されています。
インダストリアルプロセス事業は、半導体やフラットパネルディスプレイ向けの露光及び光学装置とその光源を扱っています。
ビジュアルイメージング事業は、映画館やイベントなどの演出用途向けに高性能なプロジェクターとその光源を扱っています。
両事業とも、光源という消耗品の交換による安定収益と装置の販売の成長ポテンシャルを組み合わせたビジネスモデルを展開しています。
また、育成事業として、環境衛生やメディカル分野向けのライフサイエンス事業や、LEDやレーザーなどの光源を扱うフォトニクスソリューション事業もあります。
なお、新成長戦略の方針として現在は、成長が期待できる半導体分野を中心に、インダストリアルプロセス事業に注力しています。
・ ウシオの特徴の一つに、ライフサイクルが長く、かつ高いシェアを誇る製品を数多く生み出してきたことがあります。創業以来、光のニッチトップ企業としての地位を確立し、安定的かつ持続的な成長を続けています。
【ウシオの強み】
・ ウシオが培ってきた強みについて。主に、「光をあやつり社会課題を解決し続ける力」と、「グローバルなマーケット接点とパートナーシップ」の2点です。
・ ウシオ電機の創業は1964年で、今年で61年を迎えました。当時、光の用途はほとんど明かりだけの時代でした。ウシオの原点は、創業者の牛尾治朗が掲げた、「光を明かりとしてだけでなくエネルギーとして利用し、新しい光市場を創造する」という着想にあります。創業当時の牛尾治朗は33歳、社員の平均年齢は23歳という若い集団での船出でした。
創業時の考えを今も変えずに継承し、多彩な光を提供し続けています。以来、光の専門メーカーとして社会に貢献し、光の特性や機能を理解し、光をあやつり、社会課題を解決し続ける力を得ることができました。
・ ウシオは、光のプロフェッショナルとして、多くの技術革新のボトルネックを解決してきました。
モノクロからカラーへ、アナログからデジタルへ、ノートパソコンやスマートフォン、液晶テレビの普及、これからのIoTや生成AIの進展においても、ウシオは光の特性や機能を理解し、光をあやつることで、技術革新の進展に貢献していきたいと考えています。
・ グローバルなマーケット接点とパートナーシップもウシオの大きな強みです。
ウシオは早くから世界をマーケットとし、積極的な海外展開を進めました。全世界がウシオのマーケットであり、付加価値の高い製品やサービスをワールドワイドに提供することが可能。生産、開発、販売の基盤をグローバルに持つことで、パートナーとの協業やサプライチェーンの分断リスクの軽減、生産効率の向上にもつながっています。
3. 新成長戦略 Revive Vision 2030
・ 2024年5月に公表したウシオの新成長戦略について。過去10年間の株価は安定的に推移していますが、新成長戦略ではPBRの向上と株価のさらなる上昇を目指しています。
・ 新成長戦略では、経営効率の重視を基本方針とし、2026年度を最終年度とするPhase(フェーズ)T、2030年度を最終年度とするPhaseUの二段階に分け、取り組んでいます。
まず、PhaseTでは、事業ポートフォリオの変革を進め、収益構造の改善による収益基盤の強化に注力しています。また、2027年度以降のPhaseUでのさらなる成長に向け、将来を見据えた先行投資を進めています。
これにより、事業の利益率向上を図り、資本効率を改善させます。具体的には、2026年度にROE 8%以上、2030年度にはROE 12%以上を経営目標とし、達成を目指します。
・ 経営目標の達成に向け、事業戦略として「基盤事業の強化」と「成長事業の拡大」を進めるとともに、財務戦略として「資本効率の改善」を推進しています。
事業戦略では、収益基盤となる事業をより強固にし、キャッシュ創出力を高めることで、成長事業への投資サイクルを確立し、確実な事業成長を目指します。これにより、着実に企業価値向上を実現していきたいと考えています。
【事業戦略】
・ 新成長戦略の中で特に注力しているのがインダストリアルプロセス事業です。中でも半導体分野は、今後、高い市場成長が見込まれ、投資やリソースを集中する方針です。
半導体は、IoTや5G、生成AIの進展に伴い、ビッグデータ時代という大きなメガトレンドが待ち受けています。ウシオはこれまでも半導体の進化に貢献する多くの製品を生み出してきましたが、現在はこのメガトレンドに対応し、半導体の後工程、いわゆるアドバンスドパッケージ市場に貢献する露光装置の販売拡大と開発に注力しています。
さらに、露光装置だけでなく、将来の成長が期待される半導体のサーマルプロセスや検査・分析用途においても、ウシオの光が大きく貢献できると考え、注力していきます。
・ 現在、生成AI向け半導体の進化が急速に進んでいます。生成AIの台頭により、大量のデータ処理と高速処理のニーズが急増し、半導体のさらなる高度化が不可欠です。
これらの課題に対し、これまでは半導体前工程の微細化技術の進展で対応してきましたが、その進化は限界に直面しています。そこで注目されているのが後工程の技術革新であり、高密度パッケージ技術の進化がカギとされています。高性能なパッケージ基板に半導体チップを乗せ、基板を積み重ねることで、処理能力の向上や消費電力の低減を実現しようという流れです。その際、それぞれの機能を最大限に発揮させるために、チップと基板上の配線をより高密度かつ基板の特性に合った微細配線とする必要があります。この微細配線を実現するのが、ウシオの露光装置です。
・ ウシオは後工程の半導体アドバンスドパッケージ市場に向けて、より高度な配線技術を備えたデジタルリソグラフィ装置を新たにラインナップに加えました。従来から高いシェアを持つステッパ露光装置を含めたフルラインナップ体制で、お客様の多様なニーズに対応しています。
このように幅広いニーズに応えるラインナップを提供できるのはウシオだけです。これらの露光装置は年率成長率が15%と高く、新成長戦略における最大の成長ドライバーと位置づけています。
・ さらに、インダストリアルプロセス事業を中心に、安定収益を生み出す基盤事業である光源事業の強化も進めています。
具体的には、光源事業の最大の競合先であるオスラム社の事業買収を決定しました。これはウシオにとって過去最大級の投資案件です。
これにより、安定収益の拡充と一層の安定化が進み、得られたキャッシュを成長事業への確実な投資資金として確保できます。今回のM&Aは、基盤事業の強化と成長事業の拡大の確度を高める重要な案件と位置づけています。詳細は2025年7月29日のリリースをご覧ください。
・ インダストリアルプロセス事業に続く主力事業として、ビジュアルイメージング事業があります。映画館をはじめとする大空間で人々が集まり、体験や感動を共有することは、人々の生活に欠かせない要素と認識されており、プロジェクションマッピングなど高度な映像演出のニーズが高まっています。
映画館自体は大きな成長分野ではありませんが、プロジェクターの製品寿命に伴う置き換えの需要は、今後も安定的に推移する見込みです。
現在、収益性が低位なのが課題であり、収益構造の改善に取り組んでいます。今後の収益性向上により、安定収益事業として位置づけていきます。
・ 2つの主力事業の他に、まだ規模は小さいものの、将来に向けた育成事業として有望なのが、ライフサイエンス事業です。
紫外線を利用した治療器や除菌装置など、既に製品化しているものもありますが、光技術を応用した社会課題の解決に貢献する新規事業の育成に主に取り組んでいます。
健康寿命の延伸や気候変動対策など、人々を取り巻く環境の改善や保全といった社会課題に対し、ウシオの光が貢献することで事業の着実な成長を目指していきます。
【“光”イノベーション創出】
・ 「未来は光でおもしろくなる」を実現する、ウシオのイノベーション事例です。
1993年にウシオが世界で初めて製品化したのがエキシマランプです。エキシマランプは、172nmや222nmなどの短波長紫外線を発し、高いエネルギーを持つ光源です。そのため、表面の改質や殺菌、加工などに適しており、半導体や液晶パネルの製造工程で洗浄用途として使われています。
製造工程において、基板やフィルムに付着した有機物に対し、エキシマの光を照射することで結合が切断されます。また、空気中の酸素分子もエキシマの光で切断され、酸化力の強い酸素原子、元素記号Oが生成されます。その酸素原子と結合することで有機物が分解され、揮発し、基板やフィルムが洗浄されます。
光洗浄は、光の機能で有機物に化学反応を起こし、非接触できれいに洗浄する仕組みです。この技術は、半導体やフラットパネルディスプレイのナノレベルの微細加工工程で活用されています。
・ エキシマランプは、高いエネルギーに加え、波長の選択性にも優れ、さまざまな分野での応用が可能な光源です。具体的には、半導体などエレクトロニクス分野での洗浄工程に加え、紫外線を利用した治療器やウイルスなどの除菌用途にも活用されています。
また、近年世界的に注目されている新たな環境規制物質であるPFAS(ピーファス)の分解・無害化技術としての応用も検証中です。
このように、紫外線の機能を活用したエキシマ光源技術と、ウシオの強みである「光をあやつり社会課題を解決し続ける力」を組み合わせることで、多様な事業領域への応用展開を進めています。
・ 10年〜30年後のグローバルな社会潮流や社会課題は、SDGsなどで示されている通り、多岐に渡ります。これらの課題に対し、ウシオの光技術が貢献できる分野はまだまだ多く存在しています。
新規事業の創出は、ウシオにとって重要な課題の一つです。そのため、事業創出の仕組みやテーマの選定を厳格かつ着実に進め、取り組み案件の実現性を高めていきます。
まずは、現在の事業戦略を確実に実行すると共に、新たな事業の創出を着実に進めることで、持続的成長と社会課題の解決への貢献を実現していきたいと考えています。
【財務戦略】
・ 財務戦略について。新成長戦略では、掲げた戦略の実行による営業利益率の向上と共に、株主還元の拡大により資本の最適化を進め、ROEの改善を目指します。
また、計画を着実に実行し、成果を上げるため、厳格なモニタリングで実効性を高め、PERの向上を図ることでPBRの改善を実現します。
・ PhaseTの3年間で、M&Aを含む成長投資として400億円以上を投資する計画です。半導体を中心に、成長が期待されるインダストリアルプロセス領域へ重点的に投資し、着実な成長拡大と目標達成を目指します。
・ 株主還元の基本方針は、安定的かつ持続的な利益還元です。新成長戦略のPhaseTの3年間では、1株当たり70円を下限とする配当を設定し、株主還元の強化を図ります。この方針に基づき、2025年度の年間配当は70円を予定しています。
4. ESGへの取り組み
・ ウシオは、持続的な成長と企業価値向上を目指し、ガバナンスを強化しています。
取締役会の構成は、過半数を超える約6割が社外取締役で、そのうち半分以上が女性です。また、取締役会の議長は社外取締役です。このように、多角的で質の高い議論を可能にするガバナンス体制を築くことで、経営の透明性と健全性の向上に努めています。
取締役会の実効性をさらに向上させるため、取締役会の円滑な運営への工夫や、社外役員のみで構成されるエグゼクティブセッションの開催など、多面的な取り組みを推進しています。
【人財戦略】
・ 新成長戦略の2030年目標の達成に向け、人財戦略を重点課題と位置づけ、取り組みを強化しています。具体的には、成長分野である半導体関連事業において、競争力のある人財育成を目指したリスキリングを推進すると共に、最適な配置や人件費のコントロールを行い、メリハリのある仕組みを構築。人財の質の向上を図ります。
・ また、内部エンゲージメントの向上も重要な課題として認識し、取り組んでいます。エンゲージメントサーベイの結果を踏まえ、施策を検討すると共に、社員一人ひとりが自身の業務と重要課題との結びつきを意識することで、エンゲージメントの向上を図り、企業の発展につながる相乗効果の獲得を目指します。
なお、ウシオの企業理念には、「会社の繁栄と社員一人ひとりの人生の充実を一致させる」という考えがあります。設立当初から、給与水準の引き上げや休日の増加を掲げた長期計画を策定するなど、社員と企業の繁栄の一致を追求してきました。
人的資本の重要性を創業時から認識しており、その考えは今も変わりません。これらの取り組みは統合報告書に掲載しているので、ぜひご覧いただければ幸いです。
・ このようにESG経営の強化を進めており、ウシオは、世界最大の年金運用機関であるGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が運用する国内株式を対象とした6つのESG指数の全てに選定されております。
ウシオは、事業の成長もさることながら、ESG経営を実践し、社会に求められ、認められる会社であり続けたいと考えています。
・ 本日のまとめについて。ウシオは、60年以上にわたり、光をあやつり、カタチにすることで、さまざまな社会課題の解決に貢献してきました。
光にはまだまだ可能性があります。ウシオの強みを生かし、これからも光のニッチトップポジションを構築し続けます。そして、成長分野であるインダストリアルプロセス事業を中心に、社会課題を解決する光のイノベーションカンパニーとして、10年〜30年後の中長期での成長を目指します。
本日のこの機会に、ウシオの魅力を感じていただけましたら幸いです。
・ なお、当社ホームページの投資家情報サイトには、個人投資家様向けにウシオの成長性や取り組みを発信するコンテンツを用意しています。また、IRニュースの開示後、適時にメールで情報をお届けするIRメール配信サービスを行っているので、ぜひこの機会にご登録ください。
・ ウシオは大阪・関西万博に協賛。プロジェクションシステムと抗ウイルス・除菌用紫外線技術「Care222®」を提供しています。EXPOホール「シャインハット」では、360度全方向のプロジェクションマッピングを体験できるシステムを設置しています。
開催期間も残りわずかですが、引き続き大阪・関西万博をウシオの光で盛り上げます。万博にお越しの際は、ぜひウシオの光を体感ください。
5. 質疑応答
Q1. グローバルに事業を展開しているとのことですが、トランプ政権による関税措置が業績に与えた影響を知りたいです。
A1. 今回の関税措置に関して、一定程度の影響はありますが、当社の場合は限定的です。
直接的な影響を一番大きく受けるのは、中国で生産しているプロジェクターです。一部を米国に出荷しているので、これが対象になります。
また、当社のランプは日本やフィリピンで生産しており、これらも対象ですが、サプライチェーンの対策を打ったり、価格の見直しを一定程度行ったりと、お客様のご協力を得ています。こうした取り組みにより、関税の直接的影響は限定的に抑えられると見ています。
一方で、間接的な影響もあります。お客様が今回の関税措置による今後の影響を懸念し、半導体の設備投資の判断を後送りするということが、ところどころで起きています。また、映像関係では、ハリウッド以外の他国で作られた外国映画に対して関税をかけるという話が、一時期ニュースになりました。こちらは、実際に適用するという話は今のところ出ていませんが、注視する必要があると思います。
Q2. 新成長戦略における成長ドライバーは半導体の露光装置で間違いないですか。他に注力しているドライバーはありますか。
A2. 最も注力している一番の成長ドライバーは、半導体アドバンスドパッケージ市場向けの露光装置で間違いありません。
それ以外でも、半導体マーケットが成長著しく拡大しているので、露光装置以外の洗浄や加熱、ウエハー検査で使う光源なども非常に大きな成長分野と見て注力しています。
また、世の中でも問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の分解などのライフサイエンスの分野も、長期的な成長のために研究開発を進めている状況です。
Q3. 株価のPBRが1倍を下回っているとのことですが、要因は何ですか。また、PBRを引き上げるために実行されている具体的な施策はありますか。
A3. 株価低迷にはいろいろな要因がありますが、当社にて分析した結果、資本効率が課題と認識しています。特にROEが長年5%前後で推移していることが課題となっています。
従来から光源の需要はおおむね安定していて、収益の源泉として利益を一定程度安定的に生み出していますが、一部の光源市場においては、今後縮小傾向を見込んでいるため、半導体向けの露光装置や加熱プロセスなどの新しい分野に向けて、多くの開発投資をしています。
私たちは、この分野のマーケットが将来成長すると見込んでおり、そこでウシオも成長できることに確信を持って開発投資をしています。しかしながら、株式市場はその辺りの確信を得られていないのではないかとみています。
従って、新成長戦略の中の具体的な施策として、事業戦略と財務戦略の両輪で取り組みを強化していくことを掲げ、事業戦略では、成長分野にしっかりとリソースを配分し、開発を促し、将来の成長を確実なものにしていくこと。また、財務戦略では、株主還元をしっかりと行いながら強化すること。さらに成長分野の進展の確信を皆様に持っていただけるよう、しっかりとIRで示すことを考えています。
Q4. 競合先に対するM&Aの実施により、今後どのような効果や成長が期待できるのでしょうか、また、今後の成長戦略におけるM&Aの活用について教えていただけますか。
A4. 今回の買収先であるオスラム社は当社の光源事業にとって一番の競合会社です。今回の買収は、事業の収益基盤を強化するために非常に大きな期待ができる案件です。
現在、光源事業は、一部縮小していくマーケットもありますが、半導体に使われるランプに関しては、今後も成長が期待できる分野です。
今後もM&Aは成長に必要な一つの手段として、M&Aを含めたあらゆる選択肢を持って持続的な成長への取り組みを進めたいと考えています。
Q5. 多くの製品で高いシェアを獲得していますが、競合他社に対する御社の優位性は何でしょうか。
A5. ウシオは、創業当時から光を明かりだけでなく、エネルギーとして活用することに着目。光の機能の活用方法をしっかりと理解している点に強みがあります。
それにより、お客様のニーズに対し、光の機能を活用してきたこと、かつ、高度な製造ノウハウにより、多くの技術革新に貢献してきたことから、お客様から「光といえばウシオ」という高い信頼を得ているということが非常に大きいと思います。加えて、創業当時からの考えである特定分野に特化するニッチトップ戦略も、高い競争優位性を築けた一つのポイントだと思います。
以上
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