ラサ商事株式会社(3023)
開催日:2025年9月5日(金)
場 所:アクロス福岡 4階 『国際会議場』 (福岡県福岡市中央区)
説明者:代表取締役社長 青井 邦夫 氏
- 当社グループの概要
・ 大和IR様主催の説明会は、コロナ禍前の2019年までは各地域で参加させていただき、福岡では2018年12月に参加しています。今回、6年9ヵ月ぶりの参加ということになります。また、私は6月末の株主総会で社長の大任を拝命しました。まだまだたくさんの皆様の前で会社を代表してお話しすることに慣れていません。お聞き苦しいこともあるかと思いますが、どうぞご容赦ください。
当社は特定の材料や工場向けの機械を取り扱っている専門商社です。一般的な消費財を扱う会社ではないので、皆様には非常に馴染みが薄い会社だと思います。
九州地区の関わりとしては、私どもの福岡支店は博多駅東の合同庁舎及び中比惠公園の近くにあります。また、私どもの機械部門の主力商品である産業用ポンプは、日本製鉄様や九州電力様、電源開発様などの製鉄や電力関連企業、半導体関連ではJASM様やソニー様、キヤノン様、焼酎関連では霧島酒造様や三和酒類様など、電気・IT関連から食品関連まで非常に多くのお客様に使っていただいています。その他にもいろいろなポンプがあり、各市区町村の水処理や下水処理、し尿処理場などで使われています。
私どもの資源部門の主力商品であるジルコンサンドという鉱物は、九州では黒崎播磨様やプロテリアル様で使っていただいています。
私どもの商品は非常に分かりづらく、皆様の目に直接触れる機会が少ないのですが、皆様の生活には非常に関わりが深い商品だと思っています。
・ 当社の社名の由来について。当社は元々、ラサ工業というプライム上場企業の子会社として誕生しました。「ラサ」という社名は、沖縄本島の南東約400キロにある沖大東島の通称です。ここでリン鉱石を採掘したのがラサ工業です。
私どもは1939年にラサ工業の子会社の商事部門として設立されました。現在は独立系商社として事業を営み、2006年に東京証券取引所第二部に上場。翌年、2007年に第一部に指定替えになり、2022年の市場編成に伴い、スタンダード市場に上場しています。
・ 当社の事業の変遷について。元々、ラサ工業の商事部門として、食料品やリンなどの鉱物を取り扱う商社としてスタートしました。食料品は、牛肉や鮮魚、小麦など。ちょっと変わったところでは食料品ではありませんが、競走馬の種馬を輸入していた時期もありました。しかし、独自性の高い分野への経営資源の集中という観点から2009年に食料品部門から撤退しています。
一方、祖業である鉱物資源を取り扱う過程でオーストラリアとの関係が非常に強くなり、オーストラリアで開発された特殊なポンプに着目しました。そこで、日曹製鋼(現・太平洋金属)と共同で商品化したことが産機・建機事業のスタートとなっています。
さらにその後、単品の機械販売からその周辺機器やプラント設備を手掛けるための技術力を高め、下水処理や廃棄物処理、製鉄所の高炉の付帯設備の水砕スラグ製造設備を環境設備関連事業として拡大しています。
このように食品や鉱物資源など原料を取り扱う商社から、ポンプなどの機械を取り扱い、環境設備のプラントエンジニアリングへ事業を拡大してきました。
また、2010年代にM&Aを2回ほど行いました。2012年にイズミ株式会社を買収。これが化成品関連事業が加わった経緯です。また、同社が保有していた不動産を集約し、私どもが持っていたビルと合わせて不動産賃貸関連事業を立ち上げました。その後、2014年に旭テックという会社を買収し、プラント・設備工事関連事業となっています。
このように、現在の私ども6事業は主要3事業+新規3事業という構成です。
ちなみに、イズミに関しては、経営資源の集約化を通じて管理部門の効率化を図ると共に、営業面で連携を強化し、コンプライアンスやリスク管理の強化を図るために、昨年4月に本体に吸収合併しています。
- 事業の概要・特徴
・ 資源・金属素材関連事業について。この部門で取り扱っているのは、ジルコンサンドという天然の鉱物です。高温で溶けにくく、硬くて重いのが特徴の砂みたいなものです。この特徴を生かし、日本では半導体の素材のシリコンウエハーの表面加工用の研磨剤として多く使われています。それ以外に製鉄所やガラス工場で使われる耐火レンガや耐火物の原料や鋳物の部材、電子材料など、幅広い用途に使われています。
皆様のご家庭でもトイレや洗面台などに衛生陶器やタイルが使われていると思いますが、そこで使われてる釉薬は、ジルコンサンドが主成分の一つになっています。
ジルコンサンドは主にオーストラリアと南アフリカが2大生産地となっています。特にオーストラリアは世界の生産量の約40%を占めています。
オーストラリア最大のジルコンサンドメーカーにアイルカ社があります。私どもは日本における総販売代理店として同社と締結し、日本で販売させていただいています。
現在、当社のジルコンサンドの国内シェアは、おおよそ50%ぐらいと考えています。
・ 産機・建機関連事業について。当社は国内で製造した機械と海外から輸入した機械の両方を取り扱っています。主にさまざまなポンプを取り揃えています。
ポンプは、一般的には水を送るために使われますが、私どもはスラリーポンプが中心です。スラリーとは、砂利や石など水以外のいろいろな固形物が混ざった液体のことをいいます。私どものスラリーポンプは摩耗に強くて腐食しづらい特殊なポンプで、その特徴を生かして国内で販売。スラリーポンプの国内シェアではNo.1を争っています。
特に私どもは1958年から国内で販売を続けています。約70年間の主力商品がワーマンポンプです。これはオーストラリアの鉱山技師のC.H.ワーマン氏が約90年前に開発した特殊なポンプです。元々、鉱山で使うことを想定しているので、鉱石の混じった液体など過酷な環境で使用可能な有能なポンプです。しかも取り扱いが簡単。このような背景から世界中に広まっている商品です。
当社はワーマンポンプに注力して国内に導入。現状では鉱山はほとんどありませんが、鉱山以外の用途をたくさん開発しました。電力や製鉄、非鉄金属、精錬関係、化学品、精密機器、電子部品、半導体、セラミック及び食品関係等、多岐に渡る用途で国内外約3,000社余りの取引先があります。
ワーマンポンプは当社の関連会社で千葉にある太平洋機工でライセンス生産を行い、当社が総発売元として国内で販売しています。
ワーマンポンプ以外にもたくさんのポンプを取り扱っています。その多くが国内外のメーカー様と独占販売権を締結し、国内で販売している状況です。
・ 環境設備関連事業について。私どもは商社ですが、商社という枠組みを超えて大型のプラント設備の設計や施工・設置・メンテナンスを一貫して提供しています。このため、商社でありながらエンジニアを抱えたエンジニア部門を保有しています。
現在の主力商品の1つが「水砕スラグ製造設備」です。製鉄業界では「ラサ・システム」として非常に知られています。
北九州の八幡に日本製鉄様の製鉄所があります。製鉄所では鉄鉱石とコークスを高炉に入れ高温で溶かして銑鉄を作ります。鉄鉱石やコークスには鉄の成分以外のいわゆる不純物が含まれています。主に石灰やシリカなどでスラグと呼ばれます。副産物としてスラグが生成されても、以前は埋め立てしか、処分方法がありませんでした。
銑鉄もスラグも高炉の中でドロドロに溶けた高温のものですが、溶けたスラグを当社の水砕スラグ製造設備を用いて砂状の物質にすると、セメント原料や道路のアスファルトの下に敷く路盤材として再利用できるようになりました。以前は廃棄されたものがリサイクルできるということで、非常に環境に配慮した設備だと考えています。 高温のドロドロ状のものを砂状にするのは、「水砕」と書いて字の如し。水で砕いて砂状にします。鉄を1万トン作ると、約3,000トンのスラグが発生します。ラサ・システムは、製鉄所で非常に不可欠な設備で、当社は国内の大手鉄鋼メーカー3社全てに納入実績があります。
一方、昨今の市況や市場環境の変化から鉄鋼メーカーでは高炉の統廃合を進めています。当社の今後の取り組みとして、温暖化ガスの排出量が多い高炉だけではなく、消費エネルギーが少ない電炉への転用や非鉄金属関連分野での水砕技術の応用をユーザー各社様と開発を進めています。
・ 化成品関連事業について。こちらは、M&Aで2012年にグループ化したイズミが元々担っていた事業です。自動車分野や建材分野、工作機械分野などに、プラスチックなどの多種多様な合成樹脂や化学製品・化学薬品などを提供している事業です。
私どもが強いのが、電線被覆用という電線を作るときの外側のプラスチック部分や巾木などの建材関係、自動車部品のワイヤーハーネスに使われる特殊なシールドテープ、ガムテープなどの粘着テープの粘着部分に使われる油脂などです。
イズミは当初は子会社でしたが、昨年4月に吸収合併。引き続き、化成品関連事業の収益基盤の強化と社内連携の強化、販売コストの効率化に努めています。
・ プラント・設備工事関連について。こちらも2014年12月にM&Aでグループ化した旭テックが担っている事業です。旭テックは設立から約37年の業界内では比較的若い状況でありながら、高い技術力を認められ、非常に厚い信頼を得ている会社です。
旭テックの主な活躍の舞台は千葉の太平洋側の海岸沿いに広がる京葉臨海コンビナートの石油精製関連の会社です。旭テックは、石油化学関連工場の配管工事の設計・施工からメンテナンスまで一貫した対応を行っています。
それ以外にビルの冷暖房などの空調に関わる熱供給設備の配管工事や千葉にある大手テーマパークの配管工事を請け負い、非常に高く評価されています。
さらに、4万平方メートルぐらいの自社工場を保有し、そこで配管を事前に組んだり作ったりして現場作業を軽減させるプレハブ加工や各種鋼材や製缶品の加工、ポンプのメンテナンスなどを行っている会社です。
・ 不動産賃貸関連事業について。子会社のイズミ等が持っていた不動産を有効活用する目的で作られた事業です。子会社のラサ・リアルエステートで担っています。
当社の本社があるRASA日本橋ビルとイズミの本社があったイズミビルという2つの賃貸オフィスビルを管理するのが目的で、どちらのビルも現状満室の状態です。
- 当社グループの強み
・ 私ども考える当社の強みは3つあります。1つ目がニッチ市場におけるトップシェアを構築していること。2つ目が商社の枠組みを超えた技術やノウハウを蓄積していること。3つ目が健全な財務体質です。
【強み@ニッチ市場におけるトップシェア】
・ ラサ商事には3つの主要事業がありますが、いずれの事業でもニッチな市場でトップシェアを有しているます。
資源・金属関連のジルコンサンドは国内シェア約50%前後。
産機・建機関連のスラリーポンプは国内シェアのNo.1を競っています。中でもワーマンポンプはあらゆる業界でたくさん使われている商品です。
環境設備関連のラサ・システムは業界内では世界的によく知られています。納入先は製鉄所なので、決して多くはありませんが、水砕スラグ製造設備の設計・施工から設置、メンテナンスまで一貫して提供できるのは世界にも当社を含めて数社しかありません。
それぞれ非常に限られた分野ですが、トップシェアを持っていることで、当社が必要とされる仕事が定期的に発生する。安定的な利益を確保できていると考えています。
当社がそのトップシェアを保持できる理由としては、例えばジルコンサンドでは、取り扱っているのが世界のトップメーカーのアイルカ社の高質な商品であること。それに加え、私どもが国内で在庫を確保し、販売することで、お客様への安定供給を保証している面があります。ジルコンサンドは天然鉱物でもあり、定期的に供給不安を起こすような素材です。それは決して正しいことではありませんが、いろいろな要素により時々供給不安が発生します。競合他社ではこの商品をほぼその都度輸入していますが、私どもは国内で在庫していることが大きな特徴です。
10年ぐらい前にジルコンサンドが世界的に供給不足に陥ったことがありました。当時、半導体産業の方々から「絶対に国内で供給を切らすな」という強いプレッシャーを受けたことを覚えています。半導体の基盤となるシリコンウエハーは、まずインゴットと呼ばれる金属の塊から薄く切って、次に磨いていくという工程があります。その後、半導体ができるまで、細かいものまで数えれば、数百もの工程がありますが、その中で私どものジルコンサンドが使われるのは最初の工程で、この原料がないと半導体の後工程が全部止まってしまうという非常に重要な商品です。ジルコンサンドは、非常に地味な商品ですが、非常に重要な商品であると言えます。
また、ワーマンポンプは、産機・建機関連事業で主要な商品です。この商品の特徴は、長寿命で摩耗や腐食に強いことです。それは構造的な特徴によるものです。普通のポンプはケーシングという筒の中で液体が直接触れて流れますが、ワーマンポンプはケーシングが二重構造になっており、液体が触れるのはケーシングの内側のライナー部分です。ライナーは特殊な金属やゴムで作られており、腐食性や摩耗性がある液体が触れてライナーが摩耗したり、腐食したら、ライナーを交換すれば、また同じように使うことができます。このため非常に長期間に渡りお使いただける商品です。
さらに交換が簡単。お客様自身で交換できるので、非常にご愛顧いただいています。
2011年に東日本大震災が起きた時に、私どもの東北地方のお客様もたくさん被災されました。津波で被災したポンプが、私どもの関連会社の太平洋機工に「修理をしてほしい」と、たくさん返ってきました。いくつかのポンプは1960年代や70年代に作られており、これまで40〜50年、ずっと働き続けているものでした。それをまた直して使おうということで、今でもまだまだ現役で頑張っている商品です。
【強みA商社の枠組みを超えた技術やノウハウを蓄積】
・ 私どもは、非常に提案力や技術力を持っていると考えています。
提案力については、商品の販売で、私どもは代理店を介さず直接お客様と接点を持つことを基本としています。そして可能な限りお客様の新たなニーズや課題を把握できるように心がけています。その情報をメーカーにフィードバックし、新たな商品開発や新しい使い方を提案することで、お客様の問題解決や業務改善にお役に立ちます。 このような問題解決や改善への提案力で、お客様との長年にわたる良好な関係を維持できていると思います。
また、お客様の工場で稼働しているポンプについて、私どもから定期的に点検を提案させていただき、点検後、結果をレポートし、必要に応じてメンテナンスする活動も行い、予防保全に取り組んでいます。これが当社の製品の信頼度を高めています。
技術力については、当社が取り扱う商品は、産機・建機関連でも環境設備関連でも、非常に特殊なものです。そのため、導入時のお手伝いだけでなく、その後の保守・メンテナンスまで当社が責任を持ち、ずっと対応することが重要だと思っています。
特に当社では、ドイツから輸入しているポンプがあります。お客様からみると、当社がメーカーの立場にあるような状況なので、トラブルが発生した時に、毎度、ドイツから技術者を呼んで対応するわけにはいきません。当社の技術者が迅速に問題を解決しなければならないので、当社にはこれまでのトラブルの対応や改善の歴史が蓄積され、社内教育による技術継承ができています。技術商社として幅広い人材やノウハウ、ネットワークを独自に築いています。
さらにエンジニアだけでなく、当社の営業担当も日頃の点検作業やトラブル対応を経験し、問題の原因を推測したり、改善提案の知識を持っています。国産の機械でもメーカーの技術者を呼ぶ前に、ある程度問題を推測したり、迅速にお客様に対応することで、お客様からの信用や再注文につながっていると思います。
【強みB健全な財務体質】
・ 有利子負債が圧縮傾向にある一方で、純資産は着実に積み上がっています。2025年3月期は、現預金が融資・負債を上回っており、実質の無借金経営になっています。このように自己資本比率は改善しており、2025年3月期では65.7%となっています。
今後は、自己資本比率を上げるだけでなく、M&Aも含め将来の成長に向けた投資を適時的確に実行できる状況を維持し、株主還元も積極的に行いたいと思います。
- 当社グループの中期経営計画
・ 2025年度から2027年度までの3ヵ年を計画期間とする中期経営計画「“Step Forward” Rasa 2027〜成長のステージへ〜」を5月14日に公表しています。
当社では現在、約10年間のスパンで企業理念の追求と長期ビジョンの実現に向けた3つの中期経営計画を設定。今回、STEP-1を終えて、STEP-2がスタートした状況です。
今中期経営計画は、前の中期経営計画で強化を図ってきた経営基盤のもと、次のステージへの一歩を踏み出す。この3ヵ年を成長へのステージを目指す年と考えています。
・ 前中期経営計画を振り返ると、過去10年間の売上はおおむね横ばいで推移していますが、利益は安定的に高収益を創出できる体制が整ってきていると思っています。
売上高が停滞しているのは、当社の主力商品の1つであるジルコンサンドの市況の低迷によるものです。それ以外にも、これまで段階的に商品の選択と集中を行っており、売上高が高くても収益性が低い商品の取り扱いを徐々に削減している状況です。収益性の高い分野に注力するために商品の選択と集中を行ってきたことも、売上高があまり伸びてない状況の理由です。今後も独立性や収益性を考慮した商品の選択と集中を進めていきたいと考えています。
・ 新中期経営計画の概要について。骨子としては、前中計で培ってきた経営基盤のもと、新たな成長へのステージに進みたいと考えています。
その中で3つの重点施策があります。「新規及び成長分野への取り組み」「既存領域の深耕」「事業活動を通じたサステナビティ経営の推進」です。
【重点施策@新規及び成長分野への取り組み】
・ 新規の分野として、新しい取引先や商品の開拓を進めていこうということです。具体的には今後成長が期待される分野に力を入れていく。当社は日本国内への輸入を主体とする取引ですが、建設機械関連では海外に輸出している商品があります。今後は特に東南アジアやインド向けを主体にこの販売体制を強化していきたいと考えています。
また、昨今いろいろと話題になっているレアアースの新商品開拓に向けた市場調査や販路拡大に向けて取り組みたい。輸入主体の既存の取引先との取引アイテムの拡張を考えています。
それに加えて成長分野の取り組みとして、M&Aが挙げられます。これまではどちらかというと受け身のような体制でしたが、今後は主体的な取り組みを進めるべく営業本部と管理本部が合同でM&A推進委員会を立ち上げました。当社グループにとって成長が期待できる分野やシナジーが発揮できる、もしくは期待される分野をいろいろと調べ、我々の方から主体的にM&Aの案件の発掘をしていきます。
【重点施策A既存領域の深耕】
・ 私どもが今行っている既存領域の中で効率化や深掘りをしていきます。
【重点施策B事業活動を通じたサステナビティ経営の推進】
・ 当社は従来より社会インフラに関わる事業に取り組んでおり、社会や環境課題について一定の貢献はしていると自負していますが、昨今のESGへの意識など、持続可能な社会の実現に貢献することがさらに求められています。当社グループとしても、引き続きサステナビリティへの取り組みを強化していきたいと考えています。
・ 経営目標と財務方針について。新中期経営計画の最終年度となる2027年度の利益目標は、営業利益・経常利益・当期純利益のすべてにおいて過去最高益となることです。
経営指標は、前中期経営計画の目標数値を上回る数値としており、資本の効率的な活用や本業の収益力強化を図り、ROE10%以上、売上高営業利益率9%以上を目指します。
投資方針は、財務の健全性に配慮しつつ、企業価値の向上に資するM&Aの案件を機動的に対処すると共に、将来を見据えた能力の増強や業務効率化に資する投資を検討していきたいと思います。
加えて、株主還元方針として、私どもは株主の皆様への利益還元を、非常に重要な経営課題として認識しています。配当性向は引き続き40%前後の水準を維持しつつ、機動的な自己株式の取得を行い、新たに総還元性向50%以上という目標を掲げています。
- 株主還元・配当・株価など
・ 2025年3月期の年間配当は72円、配当性向で37.9%という結果でした。
今期の2026年3月期は、配当性向は引き続き40%前後の38.4%、年間配当72円を今のところ予想しています。
加えて、今期は総還元性向50%以上という方針を付け加えており、機動的な自己株式の取得を行いたいと思っています。
・ これまでの配当実績を見ると、2006年2月の上場以来、安定配当を継続しています。2012年3月期から5年間は、年間配当15円、配当性向20%前後で推移しましたが、段階的に20%前後から25%前後、25%前後から30%前後と引き上げ、2023年3月期からは40%前後に引き上げる方針としています。
また今期からは、配当性向40%前後を維持しつつ、さらに総還元性向50%以上を新たに設定しました。これからも株主価値の極大化に努め、業績の成長を通じて増配や配当性向の向上を実現できるように取り組みたいと思っています。
・ 当社の株価の状況について。昨日の終値は1,692円でした。昨日の終値ベースの予想配当利回りは4.26%、PBRが0.85倍、PERは約8.90倍となっています。
- 質疑応答
Q1. 株主還元について、配当性向の目安を40%前後とした根拠を教えてください。
A1. 当社は株主の皆様への長期的な利益の還元を非常に重要な経営課題の一つと捉えています。企業体質の強化や今後の事業展開及び内部留保の充実等を勘案した上で、2023年3月期から配当性向をそれまでの30%前後から40%前後に引き上げました。2025年3月期では自己資本比率が65.7%となり、実質無借金経営と言えるところまで来ています。内部留保も重視しつつ、2011年から14年連続で減配せずに来ています。
今年度からスタートした中期経営計画では、株主還元方針に新たに総還元性向50%以上を追加しており、今後も株主還元強化に努めたいと思っています。
Q2. 貴社の連結PBRが1倍に届いていない現状をどのように捉えていますか、また、PBR改善に向けてどのように対応する計画でしょうか。
A2. 私どもPBRは現状0.85倍で、1倍に届いていないことは非常に真摯に受け止めています。東証からも意識しろということで通達を受けています。
今年5月14日に当社では「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応に関するお知らせ」を発表させていただいています。具体的な現状分析や対応は当社サイトのニュースリリースをご確認ください。
改善に向けた対応として、成長分野の投資や資本政策、収益性の向上、今回のような説明会参加などのIR活動のさらなる充実を掲げており、PBRの向上に努めていきたいと思います。また、今後も引き続き株主価値・企業価値の向上を図るために、積極的なM&Aや他社とのアライアンスなどの新たな成長の種や苗を創出することが必要だと考えています。
以上
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