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株式会社ユー・エス・エス(4732)

開催日:2025年8月23日(土)

場 所:オービック御堂筋ビル2階 オービックホール (大阪府大阪市中央区)

説明者:代表取締役社長 兼 最高執行責任者(COO)  瀬田 大 氏

 

  1. 当社の概要・業績について

・ 我々は、オートオークション事業をメインで行っています。8月5日に第1クォーターの数字を発表し、通期の利益を上方修正しました。また、今期から株主還元策も強化しています。

当社の概要について。本社は、愛知県名古屋市の南に隣接している東海市にあります。会社の設立は1980年。オークション事業は1982年8月23日にスタートし、今日でちょうど43年を迎えています。

まず、1999年に名証第二部に上場し、翌年の2000年12月に東京証券取引所市場第一部に上場を果たしました。現在は、東証プライム市場に属しており、業種はサービス業、証券コードは4732です。

・ 連結業績の推移について。昨年2024年度の売上高は1,040億円で、当社として初めて1,000億円を突破しました。また、営業利益は542億円でした。

上場以来、営業利益率は平均で44%以上を維持しています。営業利益率が高いのは、車を仕入れて販売する小売業ではないから。オークションというプラットフォームをお客様に提供し、その対価として手数料をいただくビジネスを展開しているのが、営業利益率が高い理由です。昨年度の営業利益率は52%を記録しています。

・ セグメント別売上高構成比では、大きく3つのセグメントに分かれています。

最も大きな事業は、オークション事業。売上の7割以上を占めており、連結営業利益542億円のうち約98%に当たる532億円を占めています。

次に、車の買取・販売事業をラビットブランドで全国展開しています。さらにリサイクル事業があります。

 

  1. オートオークション事業について

・ 日本の中古車オークションマーケットは非常に大きな市場です。

国内には大小合わせ120のオークション場が存在。2024年度の120会場の総台数は約750万台以上、トータルの車両売上は年間で4.4兆円を超えています。

その中で、ユー・エス・エスオークションは約4割の市場シェアを獲得。私どもの会員の車屋さんは全国に約5万社あり、現在でも毎年1,000社以上が新規入会しています。

・ ユー・エス・エスは、北海道から九州までの日本全国に業界最多となる19会場を展開。あらゆる地域のお客様が出品また参加可能な環境を構築しています。

3大マーケットである関東地区、中部地区、近畿エリアでは、市場シェア40〜50%を占める地域最大規模の会場運営を行っています。

近畿エリアでは、西淀川区に大阪会場、兵庫県神戸市に2会場の合計3会場を所有し、毎週3会場合計で1万5,000台以上のオークションを行っています。

・ 約30年間の出品台数のシェアの推移では、順調にシェアを伸展。昨年2024年には41.4%まで伸ばしています。

・ 他のオークション会場と比べると、ユー・エス・エスには、コンディションのいい、また高額な輸入車が集まる傾向があります。この商品ラインナップが当社の大きな強みの一つ。当社で成約される車の平均単価は、去年、過去最高の126万円となりました。これは、他のオークション会場と比べ、60万円以上高い成約単価です。

・ 今から43年前の第1回ユー・エス・エス名古屋オークション会場の写真を見ると、お客様の前で車を1台1台引き回し、コンダクターによる、3万円、5万円、10万円という手ゼリのオークションが行われていました。

手作業のオークションは、1台成約するのに3分以上と時間がかかりました。また、人と人が相対で取引をするので、いろんな意味で忖度が発生し、声の大きい強い業者に有利に働くようなオークション環境でした。

そのオークション環境を公正・公平なものにしようと立ち上がったのがユー・エス・エスです。いち早く機械式のオークションを始め、手ゼリの信号をデジタルに変え、オークション参加する皆様に公正・公平な環境を提供できるようになりました。それが大ヒットになり、多くの車屋会員様から信頼を得るオークションに生まれ変わりました。

・ 名古屋会場の第1回目のオークションは出品台数が255台でしたが、現在では近代的な設備に変わり、毎週金曜日に1万台以上が集まるオークションを開催。現在10台の車を同時にオークションにかけ、成約時間は1台当たり約20秒。高速取引ができるのは、我々のオークションは完全B to B。プロの方が出品し売買する構成だからです。名古屋会場は立体駐車場が4棟あり、1万6,000台を収容可能です。

・ オートオークションのビジネスモデルについて。我々ユー・エス・エスの収益の柱は、お客様からいただく3つの手数料で構成されています。

1台の車がオークションに出品すると、売り手にあたる出品者から出品手数料として約8,000円、この車が成約すると出品者から成約手数料を1万円いただきます。

また、この車を買った買い手からは落札手数料として1万円いただきます。

つまり、1台の車がオークションで成約すると、平均2万8,000円の手数料収入が得られるビジネスモデルです。このビジネスモデルの特徴は、出品台数、また成約台数が増えれば増えるほど安定して売上を伸ばすことができます。

また、このオークションはB to Bでプロの方しか参加できません。会員は主に日本国内の新車ディーラーの皆様、中古車販売店、ガリバーのような車買取専門店などです。このような車の売買のプロに支えられているのが私たちのオークション場です。

・ 会員の皆様には会社に居ながらにして、リアルタイムにオークションに参加できるシステムを有料で提供しています。これを我々は外部落札と呼んでいます。

このサービスはインターネットと専用回線を利用する2つの方法があり、全体の取引の約半分以上でこのシステムが使われています。

このサービスは月額の有料サービスで、専用端末ご利用の会員様(約2,000社)からは毎月4万円の会費、インターネットをご利用のお客様(約3万5,000社)から毎月1万2,000円の会費をいただいています。

さらに、この外部システムの落札手数料は、通常の落札手数料(1万円)よりも高く設定しているので、当社にとって非常に大きな収益源の一つになっています。

・ 「公正で公平なオークション運営」が我が社のモットーです。これを行うために厳格な検査体制を敷いています。

当社の全国19会場には、検査員が255名おり、この暑い中も一生懸命検査をしています。検査員は、その車に事故歴があるかどうか、また外装・内装のコンディションを慎重かつ丁寧に検査をします。検査制度は、オークション場での評価に直結するため、品質を維持する独自の検査制度を導入しています。

また最近では、流行りのAIを活用した車両細部の可視化システムを導入。特に人の目ではなかなか見ることができない車のボディの下回りに特別な画像システムを使い、人が行う車両検査を補っています。この画質クオリティの高いサービスは、会員様からも高い評価をいただいています。

・ オークション事業のまとめとして、今後も、ユー・エス・エスという業界内でのブランド価値を向上させながら、持続的な収益拡大を目指していきたいと強く考えています。

・ 今後3ヵ年の計画として、現在42%弱の市場シェアを3年以内に45%にするために、約500億円規模の設備投資計画を実行していきます。

具体的には、まだまだ成長の余地のある横浜会場、東京会場、HAA神戸会場の新築・建替工事や立体駐車場の増設で、取扱量を拡大。キャパシティを大きくする設備投資を考えており、グループを挙げて全社員が一丸となり、シェア45%を取りに行く強い目標の中で一生懸命仕事をしています。

 

  1. リサイクル事業について

・ 当社ユー・エス・エスグループでは、自動車の買取やオークションによるリユースから、自動車の資源リサイクル、またプラントリサイクルまで、グループ全体で総合的に循環型社会・サーキュラーエコノミーに貢献しています。

・ リサイクル事業を行っているアビヅは2003年に設立。オークションでは値がつかずにスクラップになる車があります。そのような車をアビヅが引き取り、適切に処理します。具体的には、鉄・非鉄・レアメタルなどに再資源化。さらに、工場から排出される廃材なども受け入れており、廃プラスチックのリサイクルにも積極的に取り組んでいます。

また、アビヅにはパテントがあります。独自の技術を利用し、自動車の破砕物を省エネ資材として製品化し、電炉メーカーへ販売する事業も行っています。

・ プラントリサイクルを行っているのは、SMART(スマート)です。2019年にSMBCグループでの三井住友ファイナンスリースの子会社と共に設立。当社が51、相手方が49のジョイントベンチャーの会社です。リースアップやインフラ案件、工場の解体案件などの情報をSMBCグループからいただき、解体工事を請け負う事業を行っています。

SMARTとアビヅのリサイクル事業で、2027年までにそれぞれ売上100億円を目標としています。

 

  1. 業績予想について

・ 今年度2025年度通期の連結業績予想について。今月8月5日の第1クォーターの決算発表の際に上方修正しています。売上高1,118億円、営業利益565億円、経常利益572億円、当期純利益388億円としました。

・ 2025年度第1クォーターについて。売上高は前年同期比106.8%の273億円。営業利益は前年同期比109.4%の147億円で、売上高、営業利益ともに前期に引き続き過去最高を記録しました。

 

  1. 株主還元について

・ 今期より株主還元策を大幅に強化させていただきました。まずROEの目標を今までの15%以上から20%以上に引き上げました。また、配当性向方針も55%から60%以上に引き上げました。加えて、今年度からの3ヵ年は、総還元性向を100%とし、株主資本の効率化を図ります。

市場シェア45%獲得による収益拡大と、500億円規模の設備投資、総還元性向100%以上により株主資本の効率化を図り、ROE20%以上を目指します。

・ 当社は1999年の株式上場以来、25期連続で増配を達成。今期も26期連続増配を目指し、1株当たり年間7円の増配を計画しています。

・ 配当利回りのシミュレーションについて。昨日8月22日の株価終値は1,790円50銭でした。100株投資していただいた場合は17万9,050円で年間配当5,040円。

これに500円分のQUOカードが年2回、1,000円相当分が追加されるので、配当と優待の合計は年間6,040円となり、利回りは3.37%になります。

・ 当社では年2回、株主優待を贈呈。100株以上の株主様には500円分のQUOカード、300株以上の株主様には2,000円分の商品券、500株以上だと3,000円相当の商品券、1,000株以上の株主様には7,000円分のグルメカタログギフト、1万株以上の株主様には1万5,000円相当のグルメカタロギフト。以上を年2回お送りしています。

また今年から、9月末から3年以上保有の株主の皆様には、今まで以上に株主優待の内容を拡大させていただいています。

・ 当社は2014年から「JPX日経400」の組み入れ銘柄として選定されています。

 

6. 質疑応答

Q1. 第1四半期の決算で利益を上方修正されています。1年見通して何が起こるかわかりませんから、年度開始3ヵ月で上方修正する企業は、実はなかなか珍しいと思うのですが、どうして上方修正したか、その背景や原因をもう少し詳しくお願いします。

A1. はい。要因は2つあります。第1クォーターの4月〜6月、オークションの取扱台数が去年に比べて20%以上上昇したのが最大の要因です。去年はメーカーの認証不正問題があり、新車の登録台数が減少。それが今年に入り、新車の登録台数が非常に順調に推移し、我々の取引量が増えました。

また、外部落札手数料は我々の非常に大きな収入源の一つですが、これを3,000円値上げさせていただき、収益が拡大しました。

この2つの要因と、今、第2クォーターを走る中でも足元の数字は悪くありません。第1クォーターの上振れ分を当初の計画に上乗せし、そのまま上方修正しました。

 

Q2. わかりました。そうすると、今、上方修正したのは、最初の見立てよりも好調な分を乗せたことと、取扱台数の好調が7〜8月も変わらず、この先も行けそうだということ。それから手数料を値上げしても、取引が下がることなく、特に影響もないことがわかったので上方修正したということでしょうか。

A2. まさにそうです。手数料を上げる時はちょっと心配したんですが、落札台数は変わらずに推移しているので、値上げのマイナス影響はなかったんじゃないかなと思っています。

 

Q3. ROE目標を15%以上から20%以上に上げ、配当性向も55%以上から60%以上に上げるとのこと。実際、一旦上げると下げづらいということもあり、そこは決断がいるのではないかと思います。今回この決定をした思いをちょっと皆さんにアピールした方がいいのではないかと思いますが。

A3. そうですね、ROE20%と非常に高い目標を打ち出したのですが、前年度は18.9%まで上がりましたから、キリのいい数字にして、社内的にも対外的にも一つの意思表明だと思っています。

また、ROE20%は、今、足元の事業も非常に好調で、いいペースで成長しているので、実現可能な数字と私は見ています。

配当性向も、55%以上から60%以上にしました。これは、やはり株主様に喜んでいただきたい。また、今は還元できる力があり、今後も引き続き強くやっていきたいという思いからの数字です。

 

Q4. 配当性向を60%以上に引き上げられて、この先もどんどん上げることができれば、株主様も喜ぶと思うのですが、なかなかそう簡単ではありません。配当性向60%でも随分高いと思いますが、配当を上げるには元の利益を増やさないといけません。

そういう状況下にあって、オートオークション市場のシェア拡大、45%を取るために投資をしていくとの説明でした。そこでちょっと意地悪な質問ですが、オークション会場の建替も、今は建築費などが結構上がっており、計画金額よりも膨らんでしまい、計画見直しのリスクもあると思いますが、この辺りは大丈夫でしょうか。

A4. まず結論から申し上げますと、そのようなコスト増は、500億円の投資計画の中に織り込んでいます。

建築コストもコロナ前と比較して4〜5割高になっています。ただ、もうコスト増は覚悟の上。この大阪でもたくさんのタワーマンションなど、いろんなビルが新しくなっていますが、コスト増は当たり前だという認識で建て替られていると思います。

また、500億円の投資に見合ういろんなサービス強化も考えています。この設備投資により、市場シェアの拡大だけでなく、収益も図りながら、ROE20%を早期に、この3年以内には実現したいと考えています。

 

Q5. 会場の新築や建替について、今ある会場を一旦潰して建て替えるのではなく、今ある会場は走りながら別の場所に建てるという認識でよろしいですか。要は、今の会場を潰すと、売上が減ってしまうのではないかという心配があると思うのですが。

A5. おっしゃる通りで、同じ敷地内に新しい建物を建て、完成したらそこに引っ越し、旧い建物は取り壊して、駐車場にしてキャパを広げていく計画です。

 

Q6. リサイクル事業は、サーキュラーエコノミーへの社会貢献でもあり、ここを広げていきたいというお話でした。前期のリサイクル事業の2社の売上は合計84億円ですが、御社は3年後の2027年にそれぞれで100億円、合計200億円の売上目指しています。これは84億円から倍以上にしていかないといけないのですが、具体的にどう実現していくのか、もう少しお聞かせください。

A6. どうしてもリサイクル事業は資源相場に左右されるところがあります。現在、足元ではあまり数字は良くないんですが、期待できる点もあります。

プラントリサイクルのSMARTはSMBCグループとタッグを組んで解体請負をしている会社ですが、現在受注残が40億円以上となり、この下期、非常に期待が持てる感じです。これは前述のように建築コストが上がることで、建築計画が後ろにずれてしまい、解体の工期も伸びてしまうケースが多い。これにより受注残が増えています。

また、アビヅは資源リサイクル事業をしていますが、今期から新たにアルミの水平リサイクルも始めています。アルミは鉄に比べて単価が高く、鉄の4倍ぐらいあります。

このような背景を元に、リサイクル事業をうまく軌道乗せ、3年後には200億円の売上にしていきたいと思います。

 

Q7. わかりました。リサイクル事業の売上倍増に向け、イメージは出来上がっていることを感じました。

では、会場の質問を取り上げたいと思います。リサイクル事業について、売上貢献度や成長ポテンシャルはどの程度ですか。具体的な拡大計画や期待している収益性を教えてください。

A7. オークション事業がメインで、オークション事業だけなら営業利益率は6割に近い商売をしていますが、リサイクル事業は、市場の資源相場によってかなり利益の幅が変わります。前期ではプラントリサイクルのSMARTの営業利益率が17%。アビヅで約10%なので、圧倒的にオークション事業の売上や利益の構成比率が高いです。

ただ、リサイクル事業にはサーキュラーエコノミーの視点もあり、当社は総合的にこの世の中に還元できる企業を目指しています。営業利益率が低くても、まずは3年後にリサイクル事業で売上200億円を目指しています。それでも貢献度では数%にしか当たらないと思うんですが、子会社に力も入れながら、トータルで頑張りたいと考えています。

 

Q8. わかりました。御社の場合、メインであるオートオークション事業がそろそろ飽和状態なので新しい売上獲得を目指すというのではなく、オートオークション事業もちゃんと伸ばしながら社会貢献していくことが非常に重要なポイントだと思いました。

最後にぜひ私が聞きたい質問があります。御社は配当性向60%と高く、26期連続の増配を目指しています。これは個人投資家にしてみると嬉しいところだと思います。さらに優待も300株以上保有している方を対象に以前よりも拡充されており、ここも個人投資家が非常に注目するポイントではないかと思います。

また、御社は個人投資家向け説明会も結構頻繁に開催し、情報発信されており、個人投資家を作ることに非常に熱心だということが十分にわかります。

個人投資家から見ても、株価を長く見ると非常に好調なのが分かり、つい最近も上場来高値を更新されていました。こうなってくると、もう個人投資家向けのIR活動は注力しなくてもいいと思う企業も出始めますが、御社は大丈夫でしょうか。

A8. はい。今後もこのような個人投資家向け説明会に積極的に参加させていただき、情報発信し、情報をアップデートさせていきたいと思っています。実際、こういったIR活動により、去年1年間で1万2,000人の新しい株主様が増えました。

我々の株式構成は、結構な割合で外国人の方がお持ちです。外国人の機関投資家の保有比率が42%と高く、彼らに対し四半期ごとに情報もアップデートしています。

しかし我々は、一般株主様の数も増やすことで、安定的な株価につながると思います。今後ともこういった活動は積極的に行っていきたい。株価も過去最高値を付けましたが、タイミングを見て、ユー・エス・エスに投資していただきたいと強く思っています。

以上

 

 

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