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株式会社福井銀行(8362)

開催日:2025年8月25日(月)

説明者:代表執行役頭取 長谷川 英一 氏

 

1.会社概要

・    福井銀行グループの主たるマーケットである福井県は、人口1,000人当たりの事業所数が全国1位と、中小企業が非常に多いのが特徴です。また事業所のうち、製造業の割合は11.9%と全国2位で、産業構造の割合とともに、製造品出荷額等の内訳も偏りがない、バランスのとれた構造となっています。さらに、社長輩出率が42年間連続全国1位と、進取の気質のある県民と言えます。

・    産業がしっかりしている、進取の気質、働き者が多いこともあると思いますが、共働き世帯の割合、労働力人口比率は、ともに全国1位。有効求人倍率も7年以上、全国1位です。こうしたこともあり、人口は少ないものの、1人当たりの県民所得は全国7位となっています。また、日本総合研究所が発表している幸福度ランキングは12年連続1位で、物心共に豊かな県です。

・    人口は74万人を切る水準まで落ち込んでいますが、昨年3月の北陸新幹線の敦賀延伸、岐阜県までつながる中部縦貫自動車道の2029年春の開通予定など、今後は交流人口の増加が見込めるマーケットと言えます。

・    福井銀行は1899年に設立し、今年で126年目になります。第二地方銀行の福邦銀行を2021年にグループ化し、2026年5月に合併を予定しています。

・    福井市に本店を置き、福井県を中心に79拠点の店舗ネットワークがあります。107拠点だった3年前と比べて、福邦銀行をグループ化して以降、集約が進んでいます。

・    グループには、人材会社、コンサルティング会社、リース会社、信用保証会社、観光地域商社、決済会社、投資専門子会社、デジタル化を支援する会社等があります。これら12社が一体となって、さまざまな分野でお客さまの課題解決を支援しています。

・    福井・福邦の2行合わせて、預金等は3兆4,000億円(県内シェア56%)、貸出金は2兆4,000億円(県内シェア50%)です。域内のシェアを高めていくことは、地域での存在感、競争力を高める上で重要な戦略だと認識しています。今後予定している合併を通じて、さらなるシナジーを出していきたいと考えています。

・    2025年3月期は貸出金利息、コンサルティング収益等が順調に伸びたことを主因として、連結当期純利益は9期ぶりに70億円超を計上しています。

 

2.ビジョン

・    当グループは10年後に目指す姿として、2022年に「Fプロジェクト Vision 2032〜私たちは、職員・お客さまの多様なチャレンジに伴走し『地域価値循環モデル』を実現します〜」を掲げました。

・    われわれの企業価値を高めるためには、まず福井県を中心とした地域の価値を高める必要があります。また、その地域価値を高めるためには、われわれと共に働く職員のウェルビーイングを高める必要があると考えています。

・    そのために、まずは職員のチャレンジに伴走してウェルビーイングを実現する。そして、そのウェルビーイングを実現した職員がお客さまのチャレンジに伴走して、事業成長や資産形成の実現を図る。さらに、地域のチャレンジに伴走して活力にあふれた地域の実現を目指す。そこで生み出された価値が新たなチャレンジに循環し、地域内で回るのだというスパイラルを、われわれは「地域価値循環モデル」と呼んでいます。

・    本プロジェクトでは、職員、お客さま、地域のチャレンジに伴走した先に四つのゴールを掲げています。

・    一つ目は「ウェルビーイングを実感する職員の比率を100%にする」です。われわれは職員が心身ともに健康で、社会的にも幸福であることが、地域の成長にとっても企業の成長にとっても不可欠であると位置づけるウェルビーイング経営に取り組んでいます。その結果、3年前はウェルビーイングを実感する職員の比率は41%でしたが、直近では57%まで伸びています。

・    二つ目は「1人当たりの福井県民所得を100万円増加させる」です。1人当たりの県民所得とは、県民全体の雇用者報酬、企業所得、個人の財産所得等の合計を県の総人口で割ったものです。ここには個人だけではなく、企業の所得も加味されています。われわれは、2022年に2兆5,000億円だった県民所得を2%成長させ、2032年には全体で3兆円まで引き上げることで、1人当たり100万円の増加達成は可能であると考えています。

・    三つ目は「福井県の活力人口を100万人にもっていく」です。2032年には定住人口が約70万人まで減少することが予想されています。しかし、新幹線の延伸や中部縦貫自動車道の開通など、行政と一体となって環境整備等を進めることで交流人口を3倍にし、福井県の活力人口100万人を目指して取り組んでいきます。

・    四つ目は「連結の当期純利益を100億円までもっていく」です。2025年3月期は9期ぶりに70億円を計上することができましたが、今後、福邦銀行との合併に向けた統合費用が先行してかかるため、利益水準はいったん落ちると予想しています。しかし、統合シナジーを早期に実現することで、2032年には100億円を達成したいと考えています。

 

3.経営計画

中期経営計画Tのアクションプラン

・    ビジョン達成に向けた中期経営計画は福邦銀行合併後、新銀行誕生の2026年度から新しい計画をスタートさせる予定です。そのため、現在、計画を1年延長して(中期経営計画T)、さまざまなアクションプランを実施しています。その結果の一部を紹介します。

・    一つ目は「役職員へのウェルビーイングの浸透」です。現在は57%の職員がウェルビーイングを実感するところまで来ています。

・    二つ目は「ネットワーク(産学官金連携)を生かした『まち・ひと・しごと』の面的支援」です。近年、グループ会社の取り組みが政府から表彰を受けており、「ふくいヒトモノデザイン」が観光庁の「サステナブルな旅アワード」特別賞を受賞。このほか、地域のDXを支援する「ふくいのデジタル」は、福井県内の鉄道・バスの経路検索やデジタルチケットサービスを利用できる「ふくいMaaS」の提供を開始し、内閣府「第4回Digi田(デジでん)甲子園」地方公共団体部門ベスト4入賞を果たしています。

・    三つ目は「伴走型支援を通じた真の経営課題の発見と解決」です。グループ会社12社と一体となって取り組んできた結果、中小企業向け貸出残高は9,570億円となり、3年前と比べて約2,000億円増加しています。また、法人コンサルティング収益+グループ会社売上高も、3年前と比べて40億円弱増加しています。

・    四つ目は「ライフステージに応じたサービスの展開によるQOLの向上」です。当社は2023年5月に、野村證券との金融商品仲介業務における提携業務を開始しました。その結果、預かり資産残高、証券口座数、アセットコンサルティング手数料収益は、ともに順調に推移しています。

・    五つ目は「金融インフラサービスの利便性向上とプラットフォームの構築」です。インターネットバンキングやアプリの登録者数は順調に推移し、目標の26万4,000件を達成しています。

・    六つ目は「資金運用の多様化とノウハウの蓄積」です。有価証券運用は、現在の円金利上昇を踏まえて、円債デュレーションをコントロールしながらポートフォリオの入れ替え、残高の積み上げを進めています。ストラクチャード・ファイナンスも、残高の積み上げと利回りの改善の両方を実施しています。

・    七つ目は「戦略分野への人財配置と計画的育成/地域に根差した『ヒト×デジタル』のハイブリッドチャネルの提供」です。来店者数の減少、キャッシュレスの進展もあり、店舗数とATM台数は減少させています。それによって創出された人員は戦略分野に配置して、お客さまの課題解決力の強化に努めています。

・    八つ目は「デジタルの利活用による利便性・生産性の向上」です。次世代営業店システムを導入して、お客さまの利便性の向上と業務の効率化を進めています。

・    これらアクションプランの取り組みの成果もあり、中期経営計画の当初の目標は全て達成しています。

20263月期の目標とする経営指標

・    中期経営計画T延長期間の2026年3月期の目標とする連結の当期純利益は、今期、合併に向けた統合費用が約36億円かかる見込みから、45億円以上と、若干保守的に計画しています。一方、本業の収益力を示す指標であるコア業務純益(福井銀行単体)は、前期が108億円だったのに対し、今期は130億円としています。稼ぐ力をさらにつけていきたいと考えています。

 

4.企業価値向上に向けた当行の取り組み

・    2025年3月期のPBRは0.31倍と低い水準でした。ステークホルダーの皆さま方とは地域価値循環モデルの実現について、IR、SRの充実を通じて、当行グループの今後の成長ストーリーへの理解を高める対話を継続的に行っていきたいと考えています。

・    また、2025年3月期のROEは5.26%でした。上場地銀平均よりも高い水準ですが、引き続き自己資本を増強しながら収益力の強化に努めていきます。具体的には、福邦銀行との経営統合によるシナジーを最大化させ、2032年3月期の連結当期純利益は100億円達成を目指しています。あわせて、地域への資金供給を円滑化するため、自己資本の早期充実を図り、政策保有株式の縮減、グループ会社自己資本の銀行本体への集約に取り組んでいきます。

・    収益力の強化においては、経営統合によるシナジー効果の最大化が今後の大きなポイントとなります。シナジー効果については、金融庁認定の金融機能強化法に基づく実施計画に詳細を記載しており、最新の状況を踏まえて検証・修正をしています。

・    今後の見通しとしては、統合費用が先にかかってくるものの、経営統合から2年後の2029年3月期には統合費用を回収、累積黒字化する見込みです。また、シナジー効果は実施計画のとおり、2030年3月期単年度で60億円以上の達成を見込んでいます。先行する統合費用を、トップラインシナジー、コストシナジーが後から追いかけて出てくる構図になります。

・    経営統合費用は、システム統合対応に伴う外部委託費の増加等を主因として総額122億円を見込んでいます。今期、2026年3月期は36億円、来期は47億円の統合費用が先行してかかってきますが、それに対しては実施計画期間内で政府から総額27億円の交付金を受ける計画です。

・    一方、トップラインシナジーは戦略的人員の再配置、現場力の向上を通じて、2030年3月期単年度で48億円を見込んでいます。トップラインシナジーは域内でのシェアアップ、営業人員の増強を通じて、既に融資残高の増加、利回りの改善、コンサルティング手数料の増加という形で表れています。

・    人員については中期経営計画Tにより、昨年度までの3年間で73名を戦略分野へ再配置しています。さらに経営統合や生産性向上によって創出される約50名を戦略分野に投入すると同時に、全体で約300名の人員の自然減を計画しています。

・    この人員減の一方で、人的資本の充実・強化を目的に、ベースアップや人事制度改定を計画しています。その結果、コストシナジーは2030年3月期単年度で17億円となる見込みです。

・    自己資本充実に向けた取り組みとしては、収益力を強化するとともに、政策保有株式の縮減やグループ会社の自己資本の集約を通じて、2030年3月期には自己資本比率を9%台まで高めていきたいと考えています。

・    先行してかかってくる経営統合費用の計上、また環境変化を踏まえた貸倒引当金の積み増しを見込むものの、さまざまな取り組みを着実に実行し、地域の課題解決業としての進化、統合シナジーの最大化を図ることによって、2032年連結当期純利益100億円の達成実現を目指します。

 

5.株主還元

・    今期、2026年3月期より配当方針を見直しました。

・    1株当たり年間50円の安定配当に業績連動配当を合わせ、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向を30%程度とすることを目途としています。

・    前期の1株当たりの配当金は、増益によって8円の増配としました。今期の決算は統合費用がかかるため連結当期純利益を45億円と減益予想していますが、配当方針の見直しにより1株当たりの配当金は58円と、前期並みを予定しています。

・    福井県の特産品をお届けする株主優待制度も引き続き実施していく方針です。

・    以上、当行グループのビジョンや、それに向けた経営計画の進捗状況、企業価値向上に向けた取り組み、福邦銀行との経営統合シナジーについて、ご説明しました。われわれの目指す「地域価値循環モデル」をご理解いただき、その実現に向けて株主さまとして応援いただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

6.質疑応答

Q1.北陸新幹線が福井県敦賀市まで延伸して1年以上が経過しました。県内にどのような効果がありましたか。また、その効果を最大化していくために貴行はどのような取り組みをしていますか。

A1.北陸新幹線延伸の効果としては、本当に多くの観光客、ビジネス客の方々が福井県を訪れてくださっています。観光客の消費額も統計によると過去最高を記録しており、観光、宿泊、飲食、サービス業の需要が高まってきていると言えます。 延伸後、観光客数が2割増加し、中でも、いままで北陸に縁がなかった首都圏、関東圏からのお客さまが約4割増えているというデータが出ています。消費額も全体で2割増えているそうです。 福井県の温泉として有名なあわら温泉の各旅館は過去最高の売り上げ、利益を計上しているところが多くあります。また、福井の駅前には多くの飲食店が新規出店しています。新幹線の効果は大きいと実感しています。 一方で多くの課題もあります。福井県の観光地として知られる東尋坊、永平寺、恐竜博物館などは駅から遠方にあるため、二次交通の問題があります。また、宿泊施設が圧倒的に足りない、インバウンドのお客さまが少ないといった課題もあります。行政と一体となって、こうした課題解決に取り組んでいきたいと考えています。 私どもは福井県にできた新幹線の駅、四つ全ての駅前再開発に関わっています。それらが呼び水となり現在も続いている投資の資金は、引き続き提供していきたいと考えています。その他、身近なところではキャッシュレス進展のために加盟店を増やしていく取り組みも地道に進めています。

 

Q2.株価をどのように上昇させていくのか教えてください。

A2.何といっても当行の収益力を強化していくことが大事であり、それが最終的には株主の皆さま方の株主還元にもつながると考えています。ビジョンに向けた経営計画を着実に実行した結果、前期は9期ぶりに高い利益水準となり、中期経営計画に掲げた目標は全てクリアできました。 足元の課題である福邦銀行との合併に向けてコストは先行しますが、この費用を回収するべく、トップラインシナジー、コストシナジーを早期に実現して、できるだけ早く連結で100億円の水準まで高めていきたいと考えています。 株価を上げるためには株主の皆さまに応援していただかなければなりません。私どもが目指す「地域価値循環モデル」にご理解を賜るよう、IR、SRを積極的に実施していきたいと思っています。

 

以上

 

 

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