株式会社ユー・エス・エス(4732)
開催日:2025年7月26日(土)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 兼 最高執行責任者(COO) 瀬田 大 氏
1.当社の概要・業績について
・ 当社はオークションを開始して、8月23日で43周年を迎えます。昨年度の決算では過去最高益を達成することができました。
・ 本社は、愛知県名古屋市の南に隣接する東海市にあります。設立は1980年で、オークション事業は1982年にスタートしました。現在は全国で19拠点運営しています。
・ 1999年に名古屋証券取引所第二部に上場し、2000年12月に東京証券取引所第一部に上場を果たしました。現在は東京証券取引所プライム市場に属しており、業種はサービス業に分類されています。証券コードは4732です。
・ 2024年度、売上が初めて1,000億円を超え、1,040億円となり、営業利益は542億円でした。上場以来、平均営業利益率は44%以上を維持しており、昨年度は52%を記録しました。
・ 当社は車を仕入れ、その車を在庫にして販売する小売業ではありません。当社の営業利益率が高いのは、オークション施設を会員であるお客さまに利用いただき、その対価として料金をいただく、プラットフォームビジネスを展開しているからです。
・ 当社の事業は、大きく三つのセグメントに分かれています。最も大きいのはオークション事業で、売上の7割以上を、また営業利益は、連結で542億円のうち532億円と、約98%を占めています。このほか、「ラビット」ブランドで全国展開している中古自動車等買取販売事業、リサイクル事業で構成されています。
2.オートオークション事業について
・ 日本の中古車オークション市場は非常に大きく、国内に大小合わせて120のオークション場があります。昨年の合計流通台数は750万台、売上高は4.4兆円を超えています。その中で、当社は40%以上のシェアを獲得しています。全国4万8000社の車屋さんが当社の会員様で、現在も毎年1,000社以上、新しく入会いただいています。
・ 北は北海道から、南や九州まで全国で、業界最多となる19のオークション会場を保有しており、あらゆる地域のお客さまが参加可能な環境を提供しています。関東エリア圏、中部圏、近畿圏の3大エリアでトップシェアを獲得しています。一番大きな会場は千葉県野田市のUSS東京会場で、毎週木曜日に1万8,000台以上の車を集めて、1日オークションを行っています。
・ 2024年度の市場シェアは41.4%に上昇しました。
・ 当社のオークションには比較的コンディションが良く、輸入車も含めた高額な、いい商品が集まる傾向があります。この商品ラインナップが当社の強みの一つです。1台当たりの成約単価は平均で126万円と、市場平均よりも60万円以上も高い金額となっています。
・ 今から43年前に、第1回USS名古屋オートオークションが開かれました。当時のオークションは手ゼリで行われ、コンダクターの前に車を1台1台引き回ししていました。アナログ的なオークションで、1台成約するのに3〜5分と非常に時間がかかっていました。また、人と人が相対で競り合うため忖度が発生し、声の大きな、力の強い業者に有利に働くような不公平なオークション環境でもありました。
・ その中で、当社はいち早くコンピューター(機械式)セリ機を導入しました。機械式セリ機の導入後は手ゼリの信号がデジタルになり、一番高くビットした人に買う権利が与えられる、非常に公正・公平なオークション環境を提供できるようになりました。それが大ヒットのきっかけとなり、多くの方に支えられるオークション場になっていきました。
・ 手ゼリで行われていた第1回は255台のオークションだったのですが、現在、名古屋会場には毎週金曜日に1万台以上の車が集まります。ここでは10台の車が同時にセリにかけられており、1台にかかる成約時間は約20秒と、高速で取引が行われています。先ほどお話ししたコンピューターセリ機の導入のほか、プロの売り手と買い手が参加していることで高速取引が実現しています。名古屋会場の敷地内には4棟の立体駐車場があり、1万6,000台の車が収容可能です。
・ 次にオートオークションのビジネスモデルについてです。当社の収益は、会員の皆さまから頂く手数料で成り立っています。1台の車がオークションに出品され成約すると、売り手から出品手数料と成約手数料を、合わせて平均で1万8,000円を頂きます。また、落札者である買い手からは落札手数料を平均1万円頂きます。つまり、1台の車がわれわれのオークションで成約、取引されると、平均で2万8,000円の手数料収入が得られる仕組みになっています。
・ このモデルは出品台数や成約台数が増えるほど、収益、利益が伸びる仕組みになっているのが特徴です。
・ 当社のオークションには事前に入会基準を満たしたプロのみが参加でき、一般の方は参加できません。参加されるのは、主に日本国内の新車ディーラー、中古車販売店、車買取店です。われわれのオークションはそのようなプロの方々に支えられています。
・ 当社には会員の皆さまが会社にいながらリアルタイムにオークションに参加できる外部落札システムがあり、インターネットと専用端末の2通りの方法をご利用いただけるサービスを提供しています。
・ 専用端末をご利用の会員さま約2000社からは毎月4万円、インターネットをご利用の会員さま約3万5,000社からは毎月1万2,000円の会費を頂いています。さらに、会場に来られた場合の落札手数料は平均1万円ですが、このシステムで落札された方からは1万8,000円(専用端末利用)、2万円(インターネット利用)と、それよりも高い手数料を頂いています。外部落札システムは、当社にとって非常に大きな収益源となっています。
・ 当社は公正・公平なオークション環境を提供することがモットーであり、企業理念でもあります。その運営を的確に行うために厳格な検査体制を整備しています。
・ その一つが、プロフェッショナルによる厳正な車両検査です。全国に255名の車両検査員がおり、その車に事故歴があるかどうか、機関・機構に不具合がないかどうか、内外装に傷やへこみがないかなど、コンディションを1台1台チェックしています。この検査の品質がオークションの評判に直結するため、検査員には当社独自の資格制度を設けています。255名は、年2回のテストをクリアした優秀な検査員です。
・ さらに、検査員は1から10までアナログで、人間の手で検査をしていますが、最近はAI技術を搭載したデバイスを使って、人間が行う検査を補っています。特に、のぞいても見えにくい車の下回りには、専用の画像・解析システムを用いています。この非常に画質クオリティの高いサービスは、会員さまから高い評価を得ています。
・ 今後ともユー・エス・エスのブランド価値を高めながら、収益拡大を図っていきたいと考えています。将来的には市場シェア50%を目指しており、この3カ年で45%の獲得を計画しています。そして、45%を確実に取りに行くために、3年間で500億円規模の大型の設備投資を考えています。具体的には成長の余地がある横浜会場、東京会場、HAA神戸会場の3会場を新しく建て替えて、最新鋭のコンピューターセリ機を導入します。また、各会場に立体駐車場を設けて、キャパシティと機能強化を図ります。
3.リサイクル事業について
・ 当社ではグループ全体で自動車オークションによるリユース、資源リサイクルによる循環型サーキュラーエコノミーに貢献させていただいています。
・ 自動車等の資源リサイクルを行うアビヅ社は2003年に設立されました。オークションで値がつかずにスクラップになる車両を会員さまから買い取り、適切に解体処理をして、鉄、非鉄金属、レアメタルに分別して再資源化を図っています。
・ さらに小型家電や工場から排出される廃材なども受け入れ、特に現在は廃プラスチックのリサイクルにも力を入れています。
・ また、独自のパテントを取った商品で、自動車の破砕物を加工、省エネ資材にし、それを新日鉄などの製鉄会社に販売する事業も展開しています。
・ プラント等のリサイクルを行うSMART社は、2019年に三井住友グループのファイナンス&リースの子会社とタッグを組み、設立しました。三井住友グループから出るリースアップ資産やインフラ案件、工場の解体案件などを受注し、解体工事を請け負っています。
・ アビヅ社とSMART社は2027年3月期までに、合わせて売上を200億円とする計画を発表しています。
4.業績予想について
・ 今年5月に発表した通期の業績予想は、売上高1,118億円、営業利益558億円、当期純利益383億円で、今期も過去最高益を見込んでいます。
5.株主還元について
・ 今期より株主還元策を大幅に強化しました。
・ まず、経営指標であるROE目標を、これまでの15%以上から20%以上にしました。また、連結配当性向も、これまでの55%以上から60%以上とし、加えて、今年度から3カ年、総還元性向を100%以上としています。既に6月末に、160億円規模の自社株買いを実施しました。
・ 先ほどご説明した、3カ年で市場シェア45%を獲得することによる収益拡大と500億円規模の設備投資、また総還元性向100%以上による株主資本の効率化によって、ROE20%以上を目指していきます。
・ 当社は1999年の上場以来、前期で25期連続増配を実施しました。今期も26期連続増配を目指して、1株当たり5円20銭の増配を計画しています。
・ 昨日、7月25日の当社の株価の終値は1,660円50銭でした。当社の最低投資単価である100株に投資いただいた場合、取得金額は16万6,050円、年間配当は4,860円です。これに500円分のQUOカードが年2回、合計で1,000円相当分の株主優待が追加されるので、配当と優待の合計は年間5,860円、利回りは年率3.52%となります。
・ 株主優待は、100株以上保有の方には500円分のQUOカード、300株以上の方には2,000円分の三井住友VJAギフトカード、500株以上の方には3,000円分の三井住友VJAギフトカード、1,000株以上の方には7,000円相当のグルメカタログギフト、1万株以上の方には1万5,000円相当のグルメカタログギフトを、それぞれ年2回、お送りしています。なお今年9月30日から、3年以上長期保有していただける株主の皆さまへは株主優待の内容を拡充させていただきます。
・ 当社は2014年から「JPX日経400」の組み入れ銘柄に選定されています。
6.質疑応答
Q1.今年も過去最高の売上、営業利益を予想されています。3カ月たちましたが、ここまでは予想どおり順調という認識でよろしいでしょうか。昨今の物価高の影響は、御社には今後も心配ないでしょうか。
A1.第1四半期が終わり、第2クォーターに入りましたが、順調に推移しています。昨年は新車登録時の認証不正問題などがあり新車登録台数が減りましたが、今年は新車登録台数が4月、6月で、4%、6%ほど増えています。当社もオークションの取り扱い量が昨対比20%増となっています。また、車の値も非常にインフレ傾向で、新車価格は10年前の倍ほどの構成になっています。 その中で、中古車需要は今まで以上に強くなってきたと思っています。今後ともオークション事業を中心に売上・利益の拡充を図っていきます。8月5日の第1四半期の決算発表を、ぜひご期待ください。
Q2.ROE目標を20%以上に引き上げた御社の思いを、あらためてお聞かせください。
A2.これは今後の事業成長と株主資本の効率化に対する決意表明です。これまで15%以上だったのに対して、実際、前年度は18%以上を達成していました。 また、20%以上とすることで社内的な目標も非常に明確化しました。3年間で市場シェアを45%にし、収益拡大を図ると同時に、株主資本の効率化として、今年度から3カ年、稼いだお金を100%還元するという方針を打ち出していますので、3年以内にROE20%以上は達成可能ではないかと考えています。
Q3.市場シェア45%に向け、500億円の成長投資をして3会場を建て直すとのお話がありました。近年の建築コストの上昇に伴う計画の先延ばしなどのリスクはないのでしょうか。
A3.計画の変更はありません。500億円は建築費の高騰を加味した数字です。 当社はあまり値引きをせず、基本的に毎年何らかの手数料を上げてきました。来期も再来期も何らかの手数料を上げながらシェア拡大を目指すという、非常に難題に取り組んでいます。そうした中で、建物や設備を新しくすると建て替え効果が生まれます。設備投資をしながら確実に45%を取りに行くという決意表明でもあります。
Q4.オートオークションの手数料、会費の価格改定はお考えでしょうか。
A4.手数料収入を増やすために毎年改定を行っています。会社にいながらリアルタイムにオークションに参加できる外部落札システムの落札手数料(専用端末利用)は、実際に1万5000円から1万8000円に上げさせていただきました。
Q5.中長期的なシェア目標50%をホームページにも掲げていらっしゃいますが、具体的な達成時期の目安はありますか。M&Aなどもお考えでしょうか。
A5.まず、3カ年でシェアを45%に上げるという目標に対して、実際4月までで42.6%になっています。しかし、残りの2.4%が非常に大変です。年間750万台の流通台数のうちの2.4%となると相当な数ですし、値上げをしながらシェアを上げるので、ゆっくり取り組んでいきたいと思っています。 M&Aをすれば早いではないかというお声もたくさん上がっていますが、既にシェアが40%以上ありますので、たとえ売り物が出たとしても独占禁止法に引っかかってきます。また、他のオークション場で上場しているところはなく、高いシェアが弊害となって日本国内のM&Aは難しいため、設備投資を大きくして自力でシェアを上げていくという戦法を考えています。
Q6.リサイクル事業も循環型経済やサーキュラーエコノミーへの貢献ということで、非常に意義があると思います。2027年3月期までにアビヅ社、SMART社の2社合わせて売上200億円を目指すということですが、あと3年で現在の84億円から倍以上の拡大は図れるのでしょうか。
A6.道筋は立っています。特にSMART社は、三井住友グループが49%、当社が51%の合弁会社ですが、去年は数字が良くなかったんですけれども、大きくてこ入れをし、役員や営業マンをファイナンス&リース社から3〜4名補充していただきました。現在は既に40億円以上の受注残があり、今後3年で100億円の目標を上回る可能性を秘めています。 一方のアビヅ社も、これまではあまりアルミのリサイクルに取り組んでこなかったのですが、鉄よりも単価が高いアルミをもっときれいに分別、リサイクルする新商材で売上拡大を図っていこうと考えています。 リサイクル事業は資源相場によって売上が変動するため難しいところはありますが、2027年3月期までに2社合わせて200億円の売上は可能だと考えています。
Q7.55%以上から60%以上への配当性向引き上げや26期連続増配予想に加えて、300株以上長期保有の方の株主優待の内容を拡充するなど、個人投資家にとっては非常に魅力的な、人気のある企業だと思います。また、個人投資家向けの説明会を積極的に開かれたり、株価も堅調に推移したりと、個人投資家と御社の関係も非常に良好だと思うのですが、今後もIR活動等、良好な関係を築く活動は継続していくのでしょうか。
A7.これはわれわれにとっても重要なことだと考えており、できる限り株主の皆さまと対話をしていきたいですし、新たな株主も増やしていきたいと思っています。1年前まで2万4,000人だった株主さまはこの1年で1万4,000人増え、現在3万8,000人になっています。 株価の堅調な推移も背景にあると思いますが、対話等を通じて当社のことを知っていただき、さらに個人株主さまの数を増やしていきたいと考えています。
以上
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