Daiwa Investor Relations

企業を探す

企業コード / 会社名
業 種

この条件で検索する

矢作建設工業株式会社(1870)

開催日:2025年7月27日(日)

場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)

説明者:代表取締役社長  燒 充広 氏

 

1.会社概要

・    社名は矢作建設工業株式会社、今年で76周年を迎えた総合建設会社(ゼネコン)です。

  • 東証プライム、名証プレミアに上場し、東海地方に本社を置くゼネコンでは唯一東証プライム市場に上場しています。
  • 筆頭株主は名古屋鉄道株式会社で、当社の株式を19.1%保有しており、同社から線路の維持管理、鉄道高架橋、駅舎などの鉄道関連工事を継続的に受注しています。特に線路の保守・維持管理については、名古屋鉄道の路線網のほぼ全てを担当しています。
  • 当社は、創業者の山田勝男が1949年、現在の愛知県豊田市で設立しました。社名は、愛知県の一級河川である矢作川に由来しています。徳川家康や豊臣秀吉にもゆかりのある地域の象徴として、地元の人々に親しまれている川です。創業者の山田勝男はこの近くで生まれ育ち、故郷から三河湾を経て、太平洋に注ぐ矢作川のように全国に飛躍するという願いが込められています。また、山田勝男は太平洋戦争に従軍し、東南アジアで米軍の大型重機による野戦飛行場の急速施工を目の当たりにし、建設の機械化や工業化の必要性を痛感したことから、単なる「建設」ではなく「建設工業」としています。
  • 当社の特徴を三つのキーワードで紹介します。一つ目は設計施工です。一般的に建築工事は設計事務所が設計し、その図面を基に建設会社が施工することが多いのですが、当社は東海圏において、専門の建築設計事務所を含めても最大規模の設計部門を有しています。企画・設計段階からお客様とともに課題解決に取り組むことで、お客様のニーズに的確かつ柔軟に応える設計施工一貫体制を確立しています。
  • 二つ目は不動産事業です。建築、土木工事だけでなく、倉庫や工場用地をはじめとした産業用地の開発、宅地の開発、マンションの分譲等の不動産事業を展開しています。特に注力しているのは大規模な産業用地の開発で、進出企業はもちろん、行政をはじめとする地域社会のニーズに即した開発を得意としています。
  • 三つ目は東海圏です。当社は創業以来76年にわたり東海圏を基盤に事業を展開し、お客様や地域社会との信頼関係を構築してきました。産業用地開発などは、長年培ってきた地域の不動産情報ネットワークや、行政、地権者、近隣住民など、地域社会との信頼関係を背景に、事業の円滑な推進とともにリスクの低減を図ることができています。
  • 当社の沿革を紹介します。1949年の創業当初から建設の工業化を目指し、アスファルトプラントの開設や大型ブルドーザーの導入など、積極的に投資をしました。1960年には、当時の資本金の約2倍を投資し、国内最大級のアメリカ製のモータースクレーパー2台を導入し、トヨタ自動車元町工場の造成工事などに投入しました。モータースクレーパーとは、大量の土砂の掘削、運搬、整地を連続的に行うことができる大型重機です。
  • 1967年には、名古屋鉄道の子会社であった名鉄建設株式会社と合併し、以来、名古屋鉄道が筆頭株主となっています。同時期から事業の多角化に着手し、デベロッパーである矢作地所株式会社、ビル・マンション管理を行う矢作ビル&ライフ株式会社(旧:国際開発ビルディング株式会社)、緑化事業のヤハギ緑化株式会社など、建設周辺分野の事業会社を相次いで設立し、事業基盤を拡大してきました。
  • 1990年代に入ると、バブル崩壊による建設投資の落ち込みに対応するために、当社独自の耐震補強工法であるピタコラム工法による公立小学校を中心とした耐震補強事業に経営資源を集中しました。この工法は1995年の阪神・淡路大震災以降の法整備、耐震改修促進法の施行を背景に、現在までに全国の小中学校を中心とした教育施設や事務所、住宅など4,400棟以上に採用されています。
  • 2010年代に耐震補強の需要が一巡したことから、一般建築、土木工事の再成長を目指し、研究開発施設の地震工学技術研究所をエンジニアリングセンターへ改編し、さらに鉄道工事関連技術の研究開発や研修等を行う鉄道技術研修センターを設立しました。また、不動産事業の強化に取り組み、土木、建築、不動産のバランスの取れた事業ポートフォリオの構築による収益構造の安定化を図っています。2023年3月には京都市の北和建設株式会社を子会社化し、事業エリアの拡大にも努めています。
  • 創立から現在に至るまでの業績の推移を紹介します。創業から1970年までの約20年間は、大型重機の導入など、建設の機械化・工業化を推進し、名鉄建設との合併などにより、売上高は100億円規模にまで成長しました。
  • その後のバブル崩壊までの約20年間は、二度のオイルショックなどがあったものの、分譲マンションや緑化など新事業に進出し経営の多角化を推進し、売上高は1,000億円に迫る規模まで拡大しました。1991年のバブル崩壊により建設事業は急速に冷え込み、売上の伸びは停滞し利益率も落ち込みましたが、耐震補強工法のピタコラムに経営資源を集中することで、2008年には当時の過去最高水準となる営業利益60億円まで回復しました。その直後、リーマンショックと耐震補強事業のピークアウトが重なり2012年まで業績は落ち込みますが、2013年からの景気拡大を背景に、耐震補強中心の事業から建築、土木、不動産のバランスの取れた事業ポートフォリオへの転換を図り、業績を回復しています。
  • 現在は、不動産開発から土木、建築工事の受注につなげることで、事業規模のさらなる拡大を図っています。当社の現中期経営計画最終年度である2026年3月期は、売上高1,680億円、営業利益100億円を予想しています。また長期的な目標として、2030年度に売上高2,000億円の成長を目指しています。
  • 矢作建設グループは、専門性の高いグループ各社が連携することで、建物のライフサイクルのあらゆる場面で、お客様のニーズに的確に応えるソリューションを提供しています。
  • 当社の企業理念は「誠実・進取・創造」で、「誠実進取で自ら創造し、常に社会の要請に応える事業を行う」ことであり、経営理念は「建設エンジニアリングによる価値創造を通して、従業員の自己実現と企業の持続的成長を目指す」ことです。
  • 当社の主要事業である建築、土木、不動産について説明します。まず、建築事業です。物流施設、分譲マンション、商業施設、事務所、その他、名古屋鉄道の駅舎など、さまざまな施工実績を有しています。主な発注者は野村不動産、三井不動産、三菱地所などの大手マンションデベロッパーの他、物流デベロッパーである日本GLP、家具メーカーのイケア・ジャパン、名古屋鉄道などです。野村不動産、三井不動産などからは、近年はマンションだけでなく物流施設も数多く受注しており、両分野で高い評価を頂いています。
  • 次に、土木事業です。高速道路や上下水道、河川整備などの官庁工事の他、開発許認可の取得を含めた宅地や産業用地の造成、メガソーラーやバイオマス発電所などの再生可能エネルギー関連、名古屋鉄道の鉄道関連工事など、民間工事も幅広く手がけています。
  • 不動産事業は、倉庫や工場などの産業用地の開発、販売の他、自社ブランドの分譲マンションであるバンベールシリーズの販売、その他、不動産賃貸、仲介などを行っています。特に産業用地の開発に注力し、進出企業のニーズに加え、行政や地域社会との連携を重視し、持続可能なまちづくりへの貢献を目指した開発事業を推進しています。
  • 代表的な取り組みが、大府東海開発プロジェクトです。建築、土木、不動産の各事業のシナジー効果を発揮した案件で、過去最大規模の開発プロジェクトです。名古屋市に隣接する大府市と東海市の二つの自治体にまたがる約7万坪(東京ドーム約5個分)に及ぶ工業団地開発プロジェクトです。2016年の事業着手から約170名の地権者との合意形成、開発許認可の取得、両市にまたがる市街化編入手続きなどを経て2021年に造成工事を開始、2023年9月に完了しました。完成した宅地は1号宅地と2号宅地に分かれ、1号宅地は2023年10月、2号宅地の一部も2025年1月に野村不動産へ売却し、現在は同社が計画する大型物流倉庫の建築工事が進行しています。
  • このプロジェクトは、地権者が求めるエリア一帯での開発と自治体の都市計画マスタープランに沿った整備という双方のニーズに対し、開発許認可の取得、関係行政機関との協議調整など、当社がこれまで培ってきたノウハウを提供することで事業化を実現しました。土木、建築、不動産の総合力を発揮し、雇用創出、税収増加など地域経済の活性化に貢献しています。
  • 現在、契約が完了している1号宅地、2号宅地の一部を合わせ、宅地販売、物流倉庫の建築により、2024年3月期から2027年3月期の4年度にわたり、不動産事業売上高、完成工事高を合わせて約1,000億円程度の売上計上を見込んでいます。現在、同様の産業用地の開発プロジェクトが東海圏を中心に複数件進行しており、今後も当社の成長ドライバーとして貢献することを期待しています。
  • 当社の特徴を数字で表します。2025年3月期の売上高は1,406億円で、3期連続で過去最高を更新しています。営業利益は86億円と過去2番目の高水準、営業利益率は6.2%で、プライム上場建設業平均を1.2ポイント上回る水準です。予想配当利回りは6月末時点で5.2%と、プライム上場企業平均2.6%の約2倍に相当する高い水準です。建築工事受注高(解体・補修を除く)に占める自社での設計施工比率は、95.6%です。

    2
    20253月期 決算
  • ・    当期決算の売上高は1,406億円と前期比208億円の大幅増収となり、3期連続で過去最高を更新しました。一方、大府東海開発プロジェクト1号宅地の不動産売上を前期に計上した売却益の反動減により、営業利益は前期比8億円減益の86億円、当期純利益は前期比8億円減益の56億円となりました。
  •  
  • 売上高は、建設事業の大幅な伸張により、前期比208億円の大幅増収となりました。特に建築工事で、大型物流施設工事等の施工の進捗により前期比210億円増、土木工事の増加分を加えて、全体で224億円の増収となりました。一方、不動産事業は前期売上計上した大府東海開発プロジェクト1号宅地の売却の反動減により、前期比15億円強の減収となっています。
  • 営業利益については、建設事業は増収効果により全体で前期比12億円の増益となりました。不動産事業は売上高と同様に、大府東海開発プロジェクト1号宅地の反動減により16億円の減益、また人材投資としての給与水準の引き上げや広告宣伝費などにより、販管費が前期比5億円増加しています。
  • 受注高は、建築、土木共に複数の大型工事を受注したことにより、前期を112億円上回り4期連続で過去最高を更新しました。次期繰越高も、受注高の大幅増加に伴い1,639億円と前期比258億円の大幅増加となり、4期連続で過去最高を更新しています。

 

320263月期 業績予想

・    2026年3月期の売上高は、1,680億円と4期連続で過去最高を更新する見込みです。営業利益は100億円、当期純利益は66億円の見通しで、各利益とも過去最高を更新するとともに、現中期経営計画の数値目標である営業利益100億円の達成を見込んでいます。

  • 売上高273億円増の内訳について、建築・土木の建設事業は、複数の大型建築工事の施工、進捗を中心に前期実績比312億円増となる見込みです。一方、不動産事業は分譲マンションの新規供給物件が減少することから、前期の実績を40億円ほど下回る見込みです。営業利益については、建設事業が前期比41億円増となりますが、不動産事業は前期を20億円ほど下回る見込みです。販管費も約7億円増加する見込みです。

 

4.中期経営計画

・    建設業界内での当社の立ち位置について説明します。ゼネコンは、売上高が1兆円以上のスーパーゼネコン、2,000億円以上の準大手ゼネコン、2,000億円未満の中堅ゼネコンに区分されています。当社の昨年度の売上高は1,406億円と業界24位で、中堅ゼネコンに区分されます。一方で、営業利益は86億円と準大手ゼネコンと同水準にあり、これを名実ともに準大手ゼネコンのレベルに成長させることが当面の経営目標です。

  • 今回の中期経営計画の策定に当たり、策定時の10年後、2030年度の目指す姿を考え、「課題解決&価値創造型企業」と設定しました。これは、顧客や地域が抱える課題を解決するだけにとどまらず、よりよい社会を実現するために建設エンジニアリングによる新たな価値を創造・提供することで、顧客、地域、社会の持続的発展に貢献する企業を指します。そして、東海圏にとどまらず首都圏や関西圏へエリア拡大を図り、その中の特定の顧客・分野ではスーパーゼネコンとも肩を並べる存在感と実力を備えた企業を目指します。
  • 売上高規模では、2030年度に計画策定時のおよそ2倍となる2,000億円程度を設定しました。その上で、2030年度の目指す姿の実現に向け、10年間を5年ずつに分け、現在の中期経営計画期間となる前半5年間を後半の5年間で加速度的に成長するための基盤構築期間と位置付けています。
  • 2030年度の目指す姿である「課題解決&価値創造型企業への変革」をスローガンに、加速度的成長に向けた「つくる(造る・創る)力の増強」と「持続的成長への基盤構築」の二つを大方針として、既存事業の深化・進化および新規分野・領域の探索・開拓をテーマに、事業規模拡大に向けた生産体制の強化、事業エリアの拡大など、9項目の事業方針を建築、土木、不動産の各部門で推進しています。また、コーポレート部門を含めた全社において成長を支える経営基盤の構築をテーマに、企画提案力の向上、魅力的で働きがいのある職場環境の整備、SDGsへの取り組み推進などに注力しています。
  • 中期経営計画の数値目標は、最終年度である2026年3月期において売上高1,300億円、営業利益100億円としています。現在の進捗状況について、売上高は不動産開発に関連する建築工事の受注拡大や大型工事への積極的な取り組みが奏功し、目標を大幅に上回る見込みです。営業利益についても、策定時には想定していなかったコロナ禍や地政学リスクの長期化など、建設コストの急騰があったものの大幅な増収効果により、100億円の目標達成を見込める状況です。
  • 事業セグメント別の収益の推移について説明します。建築事業は、不動産開発に伴う工事増加や企業設備投資の拡大、2023年3月期に実施した北和建設株式会社のM&A等が寄与し、順調に業績を拡大しています。土木事業は官庁工事が堅調に推移し、民間工事も不動産開発や区画整理事業に伴う造成工事、名古屋鉄道の鉄道関連工事、さらに当社独自の地山補強土工法のパンウォール工法の売り上げも順調に拡大し、着実に成長しています。不動産事業は、大府東海開発をはじめ複数の産業用地開発プロジェクトが進捗し、業績に大きく寄与しています。一方、プロジェクトごとに規模や収益性にばらつきがあるため、平準化が目下最大の経営課題です。
  • 2026年3月期の売上総利益は、建築事業が86億円、土木事業が64億円、不動産事業が65億円と三つのセグメントがバランスよく利益を創出する構成となる見込みです。このようなバランスのよい利益のポートフォリオになるような収益基盤の安定化、健全性の確保を目指しています。
  • 企業価値向上施策の一環として、2025年2月に株式の売出しを実施しました。株式の売出しとは、金融機関や事業会社などの大株主が保有している株式を、証券会社を介して一般投資家へ売却するものです。売出し実施前の当社株式は、出来高回転率が約15%と流動性の低さが課題だったため、当社株式の市場の流動性向上、幅広い投資家層に対する当社認知度の向上、当社の長期的な戦略を支援していただける株主層の拡大および拡充を目的に売出しを実施しました。
  • 売出し規模は、発行済株式数の約20%に当たる880万株、売出人は将来的に株式の売却ニーズを有する金融機関等に打診し、13社に参加していただきました。売出しの効果は、5月7日に発表した決算内容と配当方針の変更による影響もありましたが、出来高回転率、浮動株比率、日次売買代金ともに大きく増加しました。株主数も前期末の約7,000人から約2万人へと約3倍に増加し、流動性、認知度、投資家層の拡大という目的は十分に達成できたと評価しています。一方、売出し直後に一次的に株価が大きく下落し、既存の株主様にご心配をおかけしたことは真摯に受け止めております。

 

5.株主還元

・    2025年5月に配当方針の変更を公表しました。当社は、企業価値向上とともに株主の皆さまへの適切な利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置付け、継続的かつ安定的な株主還元を実施してきました。その姿勢をより一層明確にするため、当期2026年3月期から自己資本配当率(DOE)を新たな配当基準とし、その目標値を5%以上、加えて毎年配当を引き上げる、もしくは維持する累進配当を基本とする方針に変更しました。

・    前期2025年3月期の年間配当は、1株当たり80円(創立75周年記念配当20円含む)でした。当期2026年3月期の年間配当予想は、新たな配当方針に基づき1株当たり普通配当90円とし、前期から10円の増配、DOEは5.6%程度となります。これによって13期連続減配なし、5期連続の増配となる見込みです。

・    直近5年間のデータでも株価、出来高ともに着実な上昇傾向を示しており、これまで当社が取り組んできた経営改善や株主還元施策の成果、株式の売出しなどについて、市場から評価され始めてきたと捉えています。今後も資本コストや株価を意識した経営を推進し、中長期的な企業価値の最大化に向けて引き続き取り組んでまいります。

 

6.質疑応答

Q1.御社の強みと成長戦略について、あらためて教えてください。

A1.当社の強みは、設計施工、不動産事業、東海圏の三つのキーワードに集約されます。長年にわたって東海圏で培ってきた顧客や行政、地域社会との信頼関係を基盤にして、産業用地の開発から土木工事、建築工事、さらに建物建築後のメンテナンスに至るまでワンストップで対応できる体制を有していることが当社の最大の強みです。今後はこうした不動産起点のビジネスモデルを東海圏だけでなく首都圏や関西圏にも展開し、事業成長を図っていきたいと考えています。

 

Q2.ゼネコンは人材不足と聞きますが、御社はどうでしょうか。

A2.ゼネコン全体で、仕事量に対して人員が不足している状況は続いています。技術者だけでなく現場の技能者についても人材がひっ迫し、しかも高齢化している状況です。 そこで、当社は多様な人材の確保に努め、女性技術者や外国籍人材の積極的な採用を進めています。女性技術者を直近5年間で毎年10名程度採用し、新卒採用における割合も10%超となっています。外国籍人材についても、2018年度頃から本格的に採用を開始し、今年度は10名採用するなど多様なバックグラウンドを持つ人材の受け入れを進めています。この結果、当社の新卒採用は5年間で約1.5倍に増えています。その他、定年を65歳まで延長する等の施策を打っていますが、人員確保だけに頼るのではなくデジタル技術の活用や新しい工法の開発、業務改革等により生産性全体の向上にも取り組んでいます。

 

Q3.建設業界は人手不足が続いており、需要に対して供給が追いつかない状況だと思いますが、粗利率が高い仕事を選べる状況にあるのでしょうか。

A3.需要に対する供給力が不足している状況は続いており、建設資材の価格の高止まりや人手不足で、今後も労務費の高騰は懸念しています。粗利率の高い工事の確保に実際に取り組んでおり、官庁工事は物価スライドの採用などにより、おおむね物価上昇に見合った事業費の変更がありますが、民間は厳しいものがあります。 しかし、この1年ほどで民間のお客様の建設コストに対する理解が進み、競争環境は緩くなってきていると思います。現在施工中のものは利益率が厳しいものもいくつかありますが、粗利の高いものを選ぶというより、お客様のご理解を得て仕事をさせていただき、今後の受注については一定の利益率を確保できると考えています。ただし、当社の技術力向上のために挑戦する分野については、将来的な投資として利益率を犠牲にしてもチャレンジしたいと考えています。

 

Q4.御社の株主優待、自社株買いおよび現状の株価に対する認識を教えてください。

A4.株主還元は、個人株主様以外に機関投資家も多いため、株主平等の観点から配当のみと考えています。自社株買いは現時点では予定しておりませんが、今後の市場環境の変化や資本効率向上などの観点から、今後も総合的に検討していきたいと思います。 現在の株価は、決算発表以降、業績見通しや株主還元の方針変更等も評価され、1,400円台から足元では上場以来最高水準となる1,900円台まで上昇していますが、現状の水準に満足することなく、今後も利益成長と株主還元の両立に努めたいと思います。

 

Q5.業績は好調ですが、名古屋以外の地域に進出する計画はありますか。

A5.当社は創業以来、東海圏を基盤に事業展開を進めてきました。現在では名古屋にとどまらず首都圏や関西圏を中心としたエリア、これを当社内部ではリニア経済圏と呼んでおり、新聞等でスーパー・メガリージョンと呼ばれているものと同じです。主に不動産開発と建築工事については、このリニア経済圏での事業拡大に取り組んでいます。特に、土木工事の官庁工事については範囲を拡大したいと思っています。 そうした中で、2023年に賃貸マンションやホテル、オフィスを得意とする建築専業のゼネコンである京都市の北和建設株式会社を子会社化し、関西圏の基盤強化を図っています。チャンスがあれば首都圏でもM&Aを行い、首都圏や関西圏での大型建築工事や公共工事の施工、不動産開発や土地区画整理事業への取り組みについても着実に進めていきたいと考えています。

 

                                      以上

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

大和インベスター・リレーションズ(以下、「当社」といいます。)はこの資料の正確性、完全性を保証するものではありません。

ここに記載された意見等は当社が開催する個人投資家向け会社説明会の開催時点における当該会社側の判断を示すに過ぎず、今後予告なく変更されることがあります。

当社は、ここに記載された意見等に関して、お客様の銘柄の選択・投資に対して何らの責任を負うものではありません。

この資料は投資勧誘を意図するものではありません。

当社の承諾なくこの資料の複製または転載を行わないようお願いいたします。