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タキヒヨー株式会社(9982)

開催日:2025年7月19日(土)

場 所:シティプラザ大阪 2階 『旬の間』(大阪府大阪市)

説明者:代表取締役 社長執行役員  滝 一夫 氏

 

1.タキヒヨーのいま

・    タキヒヨーという会社は宝暦元年(1751年)5月に創業し、275年目に入ります。

  • 本社は創業時から名古屋にあります。支店は東京、大阪、ミラノ、ニューヨークにあります。東京とニューヨークの支店は商品を売るためにあります。イタリアのミラノ支店は情報収集、そしてイタリアから輸入する際の介在拠点として使っています。
  • 現在、東京スタンダード名証プレミアに上場しています。2025年2月時点で資本金は36億2,225万円、連結売上高は606億円、従業員数は523名です。連結子会社は、不動産を扱っている会社、物流センター、制服を作っている会社など4社あります。
  • なぜタキヒヨーという名前なのか。初代は兵右衛門という方です。1751年当時は名字を許されていませんでしたが、そのうちに名字帯刀を許されるようになり、瀧という姓を名乗りました。「瀧」と「兵右衛門」をくっ付けて「タキヒヨー」としたのが名前の由来です。
  • 創業時から生地を売っていました。まだ日本に洋服はありませんので、着物の反物を売り歩く行商からスタートしたと言われています。
  • 1962年は、近年での一番大きな転換点となりました。1962年のある日、当時52歳の私の祖父が心臓麻痺で突然亡くなり、私の父・富夫が26歳の若さで社長職に就きました。ちょうど高度成長期に入ろうとしている時期でした。このときはまだ和装を売っていましたが、これからは洋服の時代になっていくだろうと考え、父は和装から洋装への転換を行いました。これを1年で行いましたので、非常にリスキーな話ですが、この作戦は大きく当たり、洋服を作れる会社になりました。
  • また、1969年、マーケットに大きな変化がありました。量販店のビジネスが出来上がり、ジャスコ株式会社、ユニー株式会社、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ダイエー、株式会社長崎屋等のGMS(ジェネラルマーチャンダイジングストア、総合スーパー)で洋服を売るようになったのです。
  • 例えばジャスコ株式会社(現・イオン株式会社)は、いきなりジャスコという会社になったわけではありません。株式会社岡田屋、フタギ株式会社、株式会社シロの3社が合併して、一つの会社になりました。三者三様のところが一つになるのですから、大変です。そのため、当社が仲介に入り、合併調印式はタキヒヨーの社長室で行われることになりました。名古屋に拠点のあったユニー株式会社も同様で、西川屋チェンとほていやの2社が合併する際、仲介役となりました。
  • これがわれわれにどう関係したか。間に入ったことにより門戸が開かれたのです。「出口作戦」と言っていましたが、当社が出口をつくり、そこに商品を流せるようになったので、大量の商品が当社からGMSに流れることになりました。当社の業態が大きく変わっていったわけです。
  • 1975年、量販店の商品ばかりではなく、ブランドビジネスをしよう、それもアメリカのブランドのビジネスをしようということで、当時の社長が単身でニューヨークへ行き、今でいうM&Aを行いました。当時、アパレル業界で日本の会社がアメリカの会社を買収するなど稀有なことだったと思います。買収したANNE KLEIN社は大きく成長し、そこから派生してDonna Karan社が出来上がりました。「DKNY」のTシャツ等がよく売れ、この2社で、アメリカで1,000億の売上をつくることができました。全米で1番、つまり世界で1番ということです。このブランドビジネスは日本でも展開しました。
  • しかし、いいことばかりではありませんでした。そのまま上り調子で行くかと思っていたら、ニクソンショックとオイルショックに端を発する日本経済の長期不況の波に襲われ、ものが全く売れなくなったのです。
  • 当時は「メーカー機能を内蔵したユニークな商社になる」「衣食住を網羅する繊維商社になる」という標語を掲げており、ものも作れるようにということで生産拠点(工場)を持っていました。そうなると、不景気で売れなくなっても、ものを作り続けなければならないのです。そして売れないものをいっぱい作る、在庫になる、在庫をさばくために値引いて売る、損が出るという連鎖が始まりました。
  • 1977年をきっかけに50億円ぐらいの赤字が2、3期続き、タキヒヨーは危ないのではないかとよく言われました。家の前に新聞社の車が停まっていて、父親が帰ってくるのを待っている。帰ってきたと同時に、取材をするために車から降りて、父親のところに走ってくる。私は玄関で待ち伏せて、父親を早く中に入れるという競争をした覚えがあります。いいこともあれば、悪いこともある。やってきたことの結果ですから、私としてはこれも経験のうちだったと思っています。
  • いろいろな構造改革を断行しました。残念ながら人の整理もしました。当時、高層ビルを建てましたが、この建てたばかりの高層ビルも売却しました。計画より4年前倒しで再建を完了し、黒字体質に戻しました。
  • 安定して黒字を出していく会社を目指して先代の社長たちは奮闘してきましたが、今から思うと、安定というのが一番いけません。安定するというのは、去年そこそこ利益が出て、今年もそこそこ出て、その次も出るだろう。実際、利益も出るので、あまり人は考えなくなるのです。考えなくなったところへだいたい波は来る。考えていないので、波が来ても、まあ何とかなるだろうと思う。何ともならないのに何とかなると思っているので、動きが遅くなります。
  • 2022年、私の代で22億円の大赤字になりました。1人で全部は取り返せないので、皆と一緒にやらなければいけない。次はどういう手を打とうか、どうしようかとあがいているときは本当に眠れませんでした。しかし、これもいい経験だったと思います。
  • ここでも構造改革を行いました。一番やりたくなかった社員の早期退職を促し、拠点を閉め、不採算事業から撤退するなどロスを削減していきました。ロスを削減すると経費はたちまち減りますので、利益の出る体質の最初が整います。それと共に売上を上げていく。それも利益の付いた売上をとるということを徹底して行い、そこをボトムラインと考えてスタートしたので、2023〜2024年頃から黒字になり、黒字は拡大していきました。だから波なのです。いいときが続くと必ず悪くなる。そのときに備えることがどれだけ大切かがここで分かりました。
  • タキヒヨーの事業領域
  • 当社はファッションにとどまらず、いろいろな分野で暮らしを支えていきたいと考えています。アパレル・テキスタイル事業の他にマテリアル事業、不動産事業、飲食事業があります。
  • マテリアル事業では、化学製品、合成樹脂製品の卸売を行っており、一番分かりやすいものでは、皆さんが使う家庭用のごみ袋を大量に売っています。
  • 不動産事業では、名古屋の栄のど真ん中に保有している土地を「名古屋ZERO GATE」を運営しているパルコさんにお貸ししています。そのうち、いろいろなところと共同開発を行い、栄地区をもう一度繁栄させるための起爆剤としたいと考えています。
  • 飲食事業に参入したきっかけは簡単です。自分たちの本社が入っているビルに喫茶店がなかった。コメダ珈琲はクセのないコーヒーを出していて、気取っていない。行こうと思っても周りに店舗がない。そこへ本社が入っているビルの一番下が空いていた。ならば、そこを借りてコメダ珈琲をやろうということで始まりました。フランチャイジーとなり、現在は4店舗やっています。

 

  • アパレル・テキスタイル事業
  • 連結売上高606億円のうち、アパレル・テキスタイル事業は約9割を占めます。その内訳は、皆さんの着ている洋服(アパレル製品)の卸売が80%、当社のルーツである生地の売上が15%、その他ゴルフウェア等の小売りが5%ほどで、単体商品売上高として合計525億円となります。
  • アパレル製品の卸売の半分はレディスの商品です。あとは、ホームウェア・メンズが2割、ベビー・キッズアパレルが3割ほどとなり、当社の製品は生まれたときから高齢になるまで、お客さまのニーズをカバーできる製品を販売できていると考えています。
  • これらの商品の売り先はどこか。当社は年間4,600万枚もの製品を販売していますが、これは日本の人口の4割ぐらいの人に1枚ずつ渡る計算になります。この量を作って売るのは大変ですが、売上額を見てお分かりのように、1枚当たりはものすごく安いのです。
  • 販路別の内訳を見ると、525億円分のうち約60%(315億円ほど)が衣料品専門店・通販に並びます。そのうち、しまむらへの販売金額は215億円ほどで、当社は一番の仕入れ先になっていると思います。こちらへ売るのは結構大変で、2,000店舗ありますが、「全店舗に1枚ずつ入れてくれ」「45日で商品を作って入れてくれ」などの要望上に、売れない商品を作ると商売ができないというシビアな世界ですが、今ではその要望に応えられるようになりました。
  • その他の販路は、ジャスコや平和堂などのGMSである量販・チェーンストアへ約13%で70億円ほど、海外有名ブランド・自社小売りブランドへ約13%あります。海外有名ブランドというのはほとんど生地ですが、68億円ほどになります。その他、百貨店・モール、ファッションビルのショップなどへ約12%販売しており、これが60億円ほどになります。
  • 仮説×ものづくり力でお取引先の課題解決
  • 商品というのは、誰かから提案されたものを作っていたらいいというものではなく、自分たちで考えて作らなければいけません。考えるためには情報を入れなければいけないし、自分の頭で考え、仮説を立てて、企画して、相手に提案しなければいけない。相手から言われたものを「はい、はい」と作っていたのでは何の面白みもありません。自分たちが作っていきたいものを作っていくというのが当社のいいところです。
  • よく「マーケットで必要なものを作れ」と言われますが、マーケットで必要なものなんて分かるわけがない。いろいろな人がいて、好みも違う。こんなものが必要だと簡単に思いつかないでしょう。どうしたらいいのか。自分が欲しいものを作ったらいいのです。これが一番簡単なマーケットリサーチであり、マーケット・インの基本だと思います。自分が最小単位です。それが分からなかったら、商品を作ることも、商売もやめたほうがいいと常に思っています。
  • 当社はものづくりの原理・原則を一番大切にしています。製品を作るにあたっても、生地を作るにあたっても、ものづくりというのは、ある一定のところから数学と物理と化学になります。ものがどうやって出来上がるのかが分からなければ、いいものを見抜く力はつきません。生産拠点を持っていないからこそ、ものを大切にし、ものづくりを一番に置く。これが私のポリシーです。
  • ベビー・キッズアパレルでも考え方は同じです。ディズニーやMARVELなどのキャラクターを付けることによって付加価値をつけ、卸売では日本一を保っています。
  • 小売りでは、ゴルフウェアのブランドを三つやっています。ZOY、WAAC、DEVEREUX GOLFはデパートや直営店で販売していますが、自分たちが売り場へ出ていって、お客さまの声を直接聞きます。仮説を立ててものを作っていくということを実践する場です。パイは大きくありませんが、キラリと光る個性があります。

 

  • 連結業績の推移・予想
  • 2025年2月期と2026年2月期の第1四半期の数字を比べると、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、四半期純利益、全てにおいて伸びています。基本に立ち返り、利益のある売上を目指す、可能な限りロスを少なくするということをやった結果が表れていると考えています。これをもっと強靱に進めていきたい。無理はするが、無茶はしない。われわれは数字を着実に上げていきたい。そのためにいい商品を作ります。
  • 2022年2月期が一番悲惨でしたが、年を追うごとに回復していきました。社員が考え方を変え、新しいものに挑戦するという風土になったことにより実現しました。2026年2月期の予想としては、売上高610億円に対して営業利益15億円を目指しています。

 

2.タキヒヨーのこれから

・    新中期経営計画(2026年2月期〜2028年2月期)を立てています。自分たちの強みをどう掛け合わせるか。生地でも、製品でも、卸売でも、小売りでも、いろいろなノウハウがあります。自分の中にため込んであるノウハウをパズルのように組み合わせて、いいものを作っていく。そこへさらに自分たちの強みを掛け合わせて、われわれができ得る最良のものをお客さまに提供する。このことを新中期経営計画の柱としています。「Create Future with Passion」、情熱を持って未来を創造していきます。

  • その中核が「コア事業である卸売ビジネス(B to B)の強靱化×資本コストと株価を意識した経営の推進」です。利益を出し続け、その結果としてROEやROIC、PBRを上げていく。これは結果の数字です。ここへ行き着くまでに、われわれが欲しいと思う商品、お客さまが思わず手に取ってしまう商品をどれだけ作れるか。これを一番にやります。その結果として数字が上がるということを目標としていますが、目標を超えるようなことをやっていきたいと考えています。
  • サステナビリティ経営も推進していきます。「人的資本の拡充」を目指します。当社で働いている社員が、自分の思ったことが言える、自分のやりたいことができる会社。男も女も、年上も年下も関係なく、「やりたい」「やりたくない」がきちんと言える会社。一番大切なのは反対意見を言える人です。迎合して「いいですね」と言う人は信用しません。「それは違うのではないか」と言えるのは理由があるからで、この理由が非常に大切ですので、そのような組織集団にしていきたいと思っています。
  • その一環として、サステナブルソリューションカンパニーを目指します。簡単にいうと、「もったいない」の精神を見直していくということです。今までの社会構造は大量生産、大量廃棄でしたが、これをやっていったら環境汚染という話になりました。100年ぐらい続いているものをいきなり変えろといっても簡単に変わるものではありませんが、やろうと思わなければ変わりません。当社は古いものを回収して、新しく生まれ変わらせるということで、7、8年前からリサイクルやアップサイクルをスタートしています。一定の評価を得て、どうやったらリサイクルでいい商品ができるかということを確立させましたが、これからはもっと加速させていきます。

 

3.投資家の皆さまへ

・    配当政策です。年間で40円の配当に戻すことができましたが、もっと上げていくつもりです。現在、株価は1,723円まで上がっています。単元株数の100株を買っていただくと17万2,000円となります。ただ、これからは儲かったらもっともっと上げていきたい。自己株買いもやりたい。その消却もしていきたい。そして株主価値を上げていきたい。これが私の考えです。

  • 200株以上お持ちの株主さまには株主優待を用意しています。バスタオルセット、牛革ポーチ、友禅柄のハンカチセット等を優待品として差し上げていますが、優待品は全部、私が選んでいます。株主総会で、「こんなものをもらっても自分は何の得にもならない」と言われましたが、そんなことを言われても全員に充足できないから勘弁してくれと謝りました。それでも私が選ぶ。自分で選んで「いい」と思わないものを人にあげますか。その人が嫌だと言っても、私はいいと思う。そのようなものを皆さまに差し上げたいと思っています。
  • もう一つ、500万円を費やして抽選で1人頭50万円の旅行券を10名に差し上げています。560分の1ぐらいの確率なので、34万円で株を買って50万円当たったら、めちゃくちゃいいでしょう。ぜひとも株を買って抽選をやっていただきたい。

 

4.さいごに

・    当社には「信用第一」「謙虚利中」「客六自四」という三つの経営哲学があります。「信用第一」は字のとおり、真っ当な商売を、嘘をつかずにやる。これが継続への秘訣の第一歩です。「謙虚利中」は殿様商売をしないということ。弱い者に対しては強く、強い者に対しては弱くというのは一番やってはいけない。頭を低くして「報恩感謝」、感謝の気持ちを忘れずに商売をする。「客六自四」は、利益はお客さまに取っていただくものであって、自分たちがお客さまよりたくさんの利益を取るということではない。会社というのは利益追求団体なので、コストをまかなって、儲けをためていかなければいけませんが、爪を伸ばして取りすぎるのは決していいことではありません。これがわれわれの経営哲学です。お金でなくても、商品価値でも、お客さまに多くを差し上げる。そのようなものをつくっていく会社にしていきたいと考えています。

  • 274年は奇跡的に生きてこられましたが、275年から300年、350年と続くような不変的な会社に、集団になっていきたいと考えています。これから先、私の次に続く人たちに思いっきり責任と権限をあげて、やりたいことをやってもらいたい。そのような開かれた会社にしていきたいと考えています。

 

 

                                      以上

 

 

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