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三洋貿易株式会社(3176)

開催日:2025年7月18日(金)

場 所:札幌ビューホテル大通公園 地下2階 『ピアリッジホール』(北海道中央区)

説明者:代表取締役社長  新谷 正伸 氏

 

1.会社概要

・    まず自己紹介をさせていただきます。私は大学卒業後、三洋貿易で40年以上働き、アメリカに2回、タイに1回の海外駐在も経験しました。私のサラリーマン人生は三洋貿易と共にあります。座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」です。

・    当社は戦後、財閥解体した旧三井物産神戸支店の社員が1947年に設立した会社です。現在は独立した会社で資本関係等はありませんが、三洋貿易には三井物産の血が流れています。

・    「世の中の課題解決に貢献し、人と地球の笑顔をつくる」というビジョンに則り、経営をしています。初代社長 玉木榮一の「品格『社格を下げるものはやるな』」という50年以上前の言葉は、先人訓として今も残っています。会社の品格を大事にする社風は、現在まで脈々とつながっています。

 

2.理念体系

・    当社の理念体系をご紹介します。ミッションの中にある「自由闊達な社風」、ビジョンの「人と地球の笑顔をつくる」という言葉の下に、良い仕事だけを積み立てていくという思いで、社員たちは仕事に取り組んでいます。一番大事なのは社員の笑顔です。社員が生き生きしていなければ、良い仕事はできません。

・    社員をご紹介します。ゴム事業部、化学品事業部、グリーンテクノロジー事業部、モビリティ第一・第二事業部、ライフサイエンス事業部、管理系のリスクマネジメント部や業務部等があり、若手社員を中心に前向きに頑張ってもらっています。当社は商社ですので、何も作っていません。最終的に商社は人が命であり、社員の成長が会社の成長につながります。「人のSanyo」であるという話を何度もして、成長する機会を与えたり、研修を行っています。

・    余談ですが、日本経済新聞社が第1回「学生漫才王決定戦」を開催します。会社をネタに学生が漫才をつくるという面白い企画で、当社も参画しています。三洋貿易の特長を題材にして、学生たちが面白い漫才を披露してくれることを楽しみしています。決勝戦は8月ですので、8月末か9月に日経新聞に記事が出ると思います。

 

3.当社のユニークネス

・    当社のユニークネスは二つあります。一つ目はビジネスモデルで、1商品1仕入れ先を原則としています。各商品は、一つのメーカーの商品のみを扱っています。例えるなら一夫一婦制です。仕入れ先と一生涯、寄り添うパートナーシップを結びます。一方、販売先は無限大で束縛はありません。系列の会社がある場合は、仕入れ先は複数あり、販売先は系列の親会社、関係先のみとなりますが、当社は独立系の会社ですので、真逆です。仕入れ先との50年、60年という長いパートナーシップの中で、定常時も非常時も一緒に成長していきます。

・    二つ目は「人(人材)」です。仕入れ先とパートナーシップを組むには、仕入れ先と会話をする必要があります。当社の仕入れ先の大部分は海外ですので、語学力は当然必要ですが、技術的な会話もできなければいけません。商社としては非常に珍しいのですが、当社の営業の半数以上は技術系の出身です。そして、少数精鋭です。現在、連結で約700人、単体で約300人と多くはありませんが、選ばれた社員のロイヤリティは高く、年間15人ほどの新入社員の過去3年間の定着率は100%です。

 

4.三洋貿易とは

・    さまざまなところで当社のサービス、商品が使われています。家のリビングを見ても、化粧品の原料・容器、梱包材、飲食物、健康食品の成分となるタウリン、再生可能エネルギーの電力など、さまざまな取扱商品があります。皆さまが意識していなくても、生活のどこかでお役に立っていると思います。

・    事業を大きく分けると「ファインケミカル」「インダストリアル・プロダクツ」「ライフサイエンス」「サステナビリティ」の四つがあります。

・    「ファインケミカル」は、創業から現在まで当社の基盤になっているビジネスで、合成ゴムの原材料や化学品(機能性ケミカル)を輸入して、日本もしくは日系に販売します。

・    「インダストリアル・プロダクツ」は、自動車の内装部材を扱っています。シートの中にあるシートヒーターや背中を支えるランバーサポート、シートベルトリマインダー、空調(エアベンチレーション)、シートを動かすモーターなどを取扱っています。

・    「ライフサイエンス」は化粧品や電子材料、酸素濃縮機械、各種検査機器など、人に対する商材を非常に幅広く扱っています。

・    「サステナビリティ」は洋上風力や地熱開発、木質バイオマス等の再生可能エネルギーを扱っています。北海道でも下川町で木質バイオマス発電機器を最先端のドイツから輸入し、11基、納入しています。何とか地域を活性化したいと思い、町長とも「下川から再生可能エネルギー、カーボンニュートラルを世界に発信していこう」という話をしています。そのような意気込みで今、本事業を進めています。

・    海外・国内拠点と売上構成の概略をご説明します。アジアにはタイ、インドネシア、シンガポール、インドなど、多くの拠点があります。アメリカはニューヨーク、デトロイト、アラバマの3カ所のほか、アリゾナにも展開予定です。ヨーロッパはミュンヘンに拠点があります。海外は10カ国15拠点、国内は4拠点とグループ会社の11拠点があります。

・    現在、売上の7割は国内ですが、北米、ASEANは毎年10%以上の成長を遂げていて、期待する市場になっています。

・    グループ会社を四つ、ご紹介します。コスモス商事株式会社は、海洋開発・洋上風力・地熱・石油・天然ガス向けの掘削器材や関連装置の輸入販売およびレンタルを行っています。株式会社ワイピーテックは、機能性畜産飼料ならびに飼料添加物等を輸入販売しています。北海道は帯広に事務所があり、牛、豚、鶏の畜産飼料を扱っています。株式会社スクラムは、ライフサイエンス、ヘルスケア関連の化学機器を輸入しています。KOTAIバイオテクノロジーズ株式会社は、遺伝子の解析を行っています。

 

5.当社の強み・高収益性

・    当社の強みの一つ目は「一気通貫モデル」です。例えば、自動車の内装部材を海外から輸入して、日本の自動車メーカーに納入していますが、海外のサプライヤーと一緒に日本の自動車メーカーやTier1向けに紹介、プロモーション、設計・開発、試作を2、3年かけて行い、量産をスタートさせます。その間は材料を切らすことなく、ジャストインタイムでの安定供給を続けます。量産終了後も7、8年は交換部品が必要となりますが、全て当社で確保して提供します。お客さまに寄り添ったサービスを提供し、最初から最後まで一気通貫でフルサポートします。インターネットが盛んになった現代でも、人のつながりがあり、開発から保守までの全てを把握している当社のサービスを他に置き換えることは簡単にはできません。

・    二つ目は「質の高いビジネス」です。営業利益率は5.3%、ROEは約11%、ROICは約9%です。いずれも上場している同業他社と比べ、非常に高い数字です。これは当社が得意とするニッチな分野でビジネスを行うビジネスモデルが貢献していると考えています。

 

6.当社の成長戦略

・    今日、皆さんに一番お伝えしたいのは当社の成長戦略です。当社は5年間の長期経営計画「SANYO VISION 2028」を2023年11月から推進しています。2028年に営業利益90億円を達成することが一つの目標です。

・    そのための成長戦略は「三本の矢」です。@潜在コア事業の果実化については、新規事業の種を具体的な新しい事業に育てます。現在、社内で31案件を同時並行で進めています。AM&Aの推進については、当社が上場した2012年以降、年に1、2件のM&Aを継続しています。今後もM&Aを成長の一つの手段として継続していきます。Bベンチャー投資への取り組みについては、新しい技術へのベンチャー投資を積極的に進めていきます。このような成長戦略の下、全期の営業利益70億を2028年に90億にする方針を掲げています。

・    潜在コア事業の具体例を三つご紹介します。

・    1例目は、自動車ベンチマーキング事業です。自動車部品のデータをソフトとして顧客に提供する事業を開始しました。また、日本のお客さまから「データだけでは物足りない。現物を見たい」という要望があり、EV自動車の部品を分解して展示する展示場を3年前に開設しました。どのようにEV自動車が造られたのか、展示場に行けば部品まで分かります。テスラ、BMW、ジャガー、中国のEV自動車など、25台を分解して展示しています。名古屋から1時間の岐阜県の中学校の廃校を利用していますが、体育館だけでは足りずに1年1組から3年3組まで、全ての教室で展示しています。3年間で約1万人にご来場いただきました。技術者の方は童心に返って、2時間でも3時間でも部品を見ていらっしゃいます。

・    ビジネス以外にも廃校活用の視察のため、地方自治体や政府系の方も来訪されています。一番の目的であるベンチマーキングソフトの販売は確実に伸びていますが、それ以上にさまざまな情報提供ができています。

・    2例目は、EVバッテリー診断です。今年、ハンディタイプのEVバッテリー診断装置をパートナーと共同開発しました。EVの高速チャージャーCHAdeMOに差せばEVバッテリーの状況を30秒で診断し、結果をスマホアプリに送信します。EVバッテリーの劣化度は時間をかければ診断できますが、簡易な装置はありませんでした。日本のEV自動車の市場規模はまだ小さく、1%ほどです。中古EV自動車のバッテリーの状態が診断できず、価値が分からないため中古車市場がまだ確立されていません。中古EV自動車は全部海外に輸出され、使用されている希少金属も海外に流出する状況を何とかしなければということで、EVバッテリー診断装置を開発しました。

・    中国のEV自動車市場は30〜40%です。日本でも将来、EV自動車市場が拡大したときに、次に来るのは当然、中古車市場です。EV自動車の価値を把握するというニーズに対して、30秒でバッテリーを診断するソリューションを提供するため、今、担当部署が積極的に紹介しているところです。

・    3例目は、洋上風力発電です。日本は海に囲まれています。まだまだ課題はありますが、国が成長を一番期待している再生可能エネルギーは洋上風力です。当社は洋上風力の本体ではなく、多様な機器を扱っています。主に欧州から輸入し、グループ会社であるコスモス商事が販売していますが、取扱機器の多さを強みとしています。国家プロジェクトであり、長期戦になりますが、2027年以降の本格的な収益化実現を目指して、今、種をまいています。

・    三本の矢の二つ目は「M&Aの推進」です。過去のM&Aの実績としては、2016年に株式会社ソートを買収しました。紫外線吸収剤を輸入している会社ですが、化学品と相乗効果があるため、今は化学品の中に入っています。2020年に買収した株式会社ワイピーテックは、畜産飼料の添加剤を扱っています。創業から40年、売上50億の会社です。今後10年間で倍にするため、さまざまな新規ビジネスに取り組んでいます。2023年に買収したKOTAIバイオテクノロジーズ株式会社は、遺伝子解析が日本で一番進んでいると言われている大阪大学発祥のスタートアップ企業で、遺伝子解析を行っています。当社は今後、遺伝子解析に力を入れていきます。

・    今後も方針に基づいてM&Aを進めていく予定です。投資枠は5年間で総額200〜300億を予定しています。投資の前提条件は「事業を強くする相乗効果」「当社の海外展開加速」「将来の成長性」の三つです。これらを満たすものに対してのみ、M&Aを行います。特長的なのは、長期保有を原則としているところです。マジョリティーを取り、事業を通して一緒に社会、顧客に貢献することが当社の存在意義でもあります。自己資本比率50%以上、D/Eレシオ0.5倍未満という枠を決め、財務的な盤石性を担保しながら積極的に投資をしていく方針です。

・    三本の矢の最後は「ベンチャー投資への取り組み」です。商品を一つ紹介します。サーキュラーマテリアル製品は本革のような肌触りですが、ポリエステル100%で作っています。表裏で単一の材料を使いますので、リサイクルしやすいという特長があります。自動車のシート関係に活用しようと、ヨーロッパの自動車メーカーに紹介しているところです。

 

7.当社の業績

・    当社は13年前の2012年に上場しました。上場後の業績推移は、売上と営業利益は約3倍となり、ダイナミックな成長を継続しています。

・    2024年9月期の数字では、売上高は1,293億円で4年連続、過去最高を更新しました。営業利益は70.7億円で2年連続、過去最高を更新しました。当期純損益は52.1億円で、4年連続、過去最高を更新しました。営業キャッシュフローは54億円で、強いキャッシュ創出力を示しています。ROEは11.4%、ROICは9.4%となっています。

・    従業員数は連結で713名。男女比率は2対1です。営業社員の54%は技術系出身です。海外拠点数は10カ国に15拠点あります。新入社員の3年間の定着率は100%です。男性の育休取得率は130%です。これは申請済みで未取得の案件も入れているため、100%以上になっています。男性も積極的に育休を取ることを会社として促進しています。

・    株主還元の方針は増配・安定配当を行う基本方針の下、「SANYO VISION 2028」の期間は配当性向30%以上を目安に累進配当を継続します。年間配当は、昨年は12円増配の55円でした。今年は57円を予定しています。

 

8.まとめ

・    今日のまとめです。三洋貿易ならではの「よい仕事」を今後も継続します。成長戦略の「三本の矢」である潜在コア事業の果実化、M&Aの推進、ベンチャー投資への取り組みを粛々と推進していきます。また、配当は会社の重要な項目の一つと考えていますので、長期安定的な配当増額を目指します。

・    「統合報告書2024」により詳しい情報が載っています。最近、SNSも始めました。いろいろな情報を載せていますので、ご覧いただければ幸いです。

・    「Quest for Next」が三洋貿易のスローガンです。

 

9.質疑応答

Q1.独立系専門商社としての貴社の強みと成長戦略について教えてください。

A1.独立系専門商社の強みは自由であることと、判断・決断が早いことです。商売のタネがあれば、しがらみなく紹介できます。必要に応じて取締役会を開き、社内の取締役4名が合意すれば決断できます。世の中の流れが速いので、タイムリーに決断しています。

       成長戦略は、1商品1仕入れ先で、仕入れ先に寄り添いながら進める一気通貫の強いビジネスモデルを生かし、派生ビジネスを展開していくことが当社の王道だと考えています。

 

Q2.自動車向け製品が主力のようですが、強みのある部材や海外の展開状況について教えてください。

A2.当社は、自動車のシートに関係する部材が非常に強いです。海外メーカーのシートヒーター、ランバーサポート、ベンチレーションといった内装部材を日系の全自動車メーカーに納入しています。日本国内だけではなく、日系の自動車メーカーの工場のあるアメリカ、中国、東南アジアにも展開しています。ミュンヘンにも事務所を設けましたので、アンテナショップの出店などで欧州に展開しながら、欧州のサプライヤーの調査も進めています。

 

                                      以上

 

 

 

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