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ミネベアミツミ株式会社(6479)
開催日:2025年3月20日(木・祝)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役会長 CEO  貝沼 由久 氏

1.当社の紹介
・ 本日の私のメッセージは、当社のテレビCMのキャッチコピーでもある「世界をこっそりごっそり変えていく」です。これは、当社の製品がさまざまなところに、こっそりごっそり入っているということです。
・ 皆様は最終製品を毎日お使いになったり、購入されたりしていますが、そこに部品がなければ何もできません。車の部品は5万点、10万点とも言われますが、1つでも欠けると完成品ができません。部品メーカーがなければ文明の発達は止まってしまうかもしれないということです。一方で、現在はソフトウェアやAIが発達している時代です。しかし、どんなにソフトウェアやAIが発達しても、間違いなくエッジデバイス、末端機器が必要です。例えば、スマートフォンは末端機器ですが、どんなにAIが発達しても、どんなに通信が高度化しても末端機器は必要です。家電がインターネットにつながったとしても、最後、髪を乾かすときはヘアドライヤーが必要です。つまり、このエッジデバイス、末端装置は絶対になくなりません。今後、新製品が出てくる際、そこには当社の部品が必ずと言っていいほど入っていきます。
・ 当社の2025年3月期の売上高(注記:2025年3月期3Q時点での予想)は約1兆5,000億円です。正社員は約8万5,000名で、パートタイムを含めると約10万名です。世界23か国129拠点で活動しています。つくっている部品は1つ何十円ですが、部品メーカーとしてはそれなりの規模があります。
・ 経営理念は「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢くつくることで、持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」です。当社の1つのポリシーは、常識を超えた「違い」で新しい価値をつくっていこう、というものです。
・ 当社の特徴は、部品が、さまざまなニッチマーケットで非常にシェアが高いことです。例えば、携帯電話のリチウムイオン電池用保護ICに使われる半導体は、当社が世界の8割のシェアをもっています。また、航空機に使われるロッドエンドベアリング、スフェリカルベアリング(すべり軸受)は、世界の5割のシェアをもっています。データを保存するハードディスクドライブには、ディスク上の情報を読むための磁気ヘッドの支点部分にピボットベアリングが使われますが、これは世界の8割のシェアをもっています。当社は、ニッチマーケットでハイマージンの部分にシェアを沢山持っています。
・ 事業セグメントは4つに分かれています。当社は外国人株主が約4割を占めるため、セグメントをカタカナ名にしています。1つ目の「プレシジョンテクノロジーズ」は、機械加工品を扱う事業です。ボールベアリングやピボットアッセンブリーなど、金属を削ってつくる製品を扱っています。売上の約15%を占め、このセグメントが一番ハイマージンとなっています。
・ 2つ目の「モーター・ライティング&センシング」は、モーター、光学部品、センサーを扱っています。実はプレシジョンテクノロジーズとモーター・ライティング&センシングの2つは、旧ミネベア株式会社の事業でした。
・ 3つ目の「セミコンダクタ&エレクトロニクス」が、買収した旧ミツミ電機株式会社が行っていた事業です。買収したとき「ミツミ」という名前を入れることが条件になったため、ミネベアミツミという社名になりました。セミコンダクタ&エレクトロニクスでは、アナログ半導体、パワー半導体、また携帯電話やゲームに関する部品を扱っています。
・ 4つ目の「アクセスソリューションズ」は、ドアハンドル、ドアミラーなどの自動車部品、ドアラッチという閉まったドアを固定する装置などを扱っています。
・ 現在、自動車向けの売上高は約5,000億円ですが、当社の製品は自動車にもごっそり入っています。車内だけでも空気をコントロールするECU冷却用ファンモーター、E-Vent用ステップアクチュエーターといった装置のほか、十何種類もの装置が入っています。
・ 航空機にも当社製品が使われ、世界で約5割のシェアがあります。ボーイングもエアバスも、ロッドエンドベアリング、スフェリカルベアリングをはじめとするさまざまな機械加工部品を入れています。
・ ロボティクス分野では、産業用の協働ロボットやドローンに入っています。世界中で多くのドローンが飛んでいますが、ボールベアリングや電源ICをはじめとする当社製品が必ず使われています。
・ 医療・介護関係では、医療機器のCT装置や超音波診断装置、歯科用ハンドピースにも当社の部品が使われています。私は、デンタルハンドピースの音はすごく良い音だと思うのですが、実は当社のベアリングが1分間で50万回転している音です。回転が速いと、患者の痛みが軽減されるというメリットもあるようです。こうした歯科機器の中に使われている小さい精密なベアリングでは、世界の約7割のシェアを有しています。
・ 1台の銀行端末(ATM)には約800個のボールベアリングが使われています。お金の出し入れはもちろんのこと、お札が1枚多くも少なくもならないのは、そこにさまざまな内部の機構があるからです。その中には当社の製品が入っています。
・ オフィスなどで使われるコピー機、複合機にもモーターやベアリングなど、当社製品がこっそりごっそり入っています。スマートフォン関連では、カメラの手ブレ防止装置といった製品をつくっており、当社のアナログ半導体も使われています。
・ 最近、データセンターという言葉をよくお聞きになると思います。AIが普及するにつれデジタルデータも増えてきました。そこにさまざまな情報が蓄積されていくわけですが、データセンターにもコネクタや温度センサーをはじめとする当社製品がごっそり入っています。
・ トイレに取り付けられているバッテリーレススイッチには電池が入っていません。例えば、ドライブインなどの公衆トイレで電池式のものを取り付けると、電池を交換するのに大変なコストがかかります。すべてのドライブインのすべてのトイレの電池を一個ずつ替えなくてはいけないからです。この装置はバッテリーレスで電池を使いません。押す力によって電気を作り、無線で飛ばしてトイレの水を流します。また、温水洗浄便座のノズルは毎回必ず同じところに水が当たります。1oも違わないところにノズルをもってきて水を噴射できるのも当社のテクノロジーです。
・ 住宅機器関連にも数多く使われています。掃除機は次第に高回転になってきたため、非常に多く使われています。最新型のハンドドライヤーは5万回転します。そうした製品のベアリングを中心に、当社のモーターが使われています。住宅用では、スマートフォンを利用してドアの施錠・解錠ができるスマートロック「SADIOT LOCK(サディオロック)」という装置を製造しています。
・ いろいろな方から、「ミネベアミツミは、なぜこんなにいろいろなことやっているんだ」と聞かれます。例えば製造小売業に行くと、頭からつま先まで全部揃います。人間が生活するためには洋服や医療品など絶対に必要なものがあります。製造小売業では、上から下まで品質が良く、そしてかっこいいものが揃います。これは製造小売業が非常に躍進しているからですが、当社も同じです。当社では部品のトータルコーディネートが可能です。100Vの交流にコンセントを挿して、それを5V、15Vに電圧を下げて交流を直流にするところからすべてが始まります。製品の中には電源やコネクタなど、さまざまな当社製品が入っています。高性能のモーターには良いベアリングが必要です。そのモーターを動かすためにはドライバーというアナログ半導体が必要です。さまざまな部品が揃って、また1つの素晴らしい部品がつくられます。
・ 当社の事業は、例えば商社が鉄鋼を扱い、その横で穀物を扱い、その横で航空機を買っているのとは違います。皆様がこれから必要になってくる、さまざまな文明の力の中に入るものだけに当社は特化しています。

2.成長戦略
・ 当社の成長戦略は3つあります。1つ目は「自然的成長」です。よく、オーガニックグロースと言われる自然的な成長です。2つ目が「M&A」、3つ目が「社会的課題解決製品の開発と部品供給」です。これは、当社の手にあるたくさんの部品、あるいはその技術をかけ合わせて、まだ世界にないものをつくっていこうということです。
・ 創業時からのベアリングの生産数量をみると年平均16.1%で成長しています。その間、世界のGDPは年平均6%で成長していました。この数年は、ベアリングの生産数量も世界のGDPも年平均4%で成長しています。世界が豊かになってくると製品は自然に売れていきます。したがって、当社の部品も世の中が豊かになっていけば、必ずそれと同じように売れていく、これが自然的な成長ということです。
・ 私が社長に就任したのは2009年の4月1日で、2009年3月期からです。当時の売上高2,200億円から始まり、2025年3月期は約1兆5,000億円を見込み、営業利益も121億円から、2025年3月期は930億円を見込むまでに成長しました。今までは会社を大きくしたい一心でしたが、会社もある程度大きくなりましたので、これからは収益をもっと伸ばしていきたいと思っています。
・ M&Aは創業以来、これまでに57件(注記:2025年2月末時点では60件)実施しました。私が社長になってからの16年間で29件のM&Aを行いました。それにより、当社の売上高は自然的な成長にM&Aが加わり、ここまで成長をしてきました。

・ 自然的成長の源泉は、当社のコア事業「8本槍」です。この8本槍に代表されるのが、ベアリング、アナログ半導体、モーター、アクセス製品、センサー、コネクタ/スイッチ、電源、無線/通信/ソフトウェアです。また、サブコアとしてスマートフォンやゲームに使われるものがあります。「8本槍」とサブコアの2つで当社は成長しています。
・ 槍の定義は、とにかくニッチマーケットを狙うということです。その結果、ベアリング、アナログ半導体、モーター、アクセス製品は、すでに槍になりました。ベアリングは、2025年3月期の営業利益を560億円と見込んでいますが、600億円もみえています。アナログ半導体も2025年3月期の営業利益を230億円(注記:SEセグメントにおける一過性費用30億円を除いた数字)と見込んでいますが、これも300億円がみえています。モーターも2025年3月期の営業利益を270億円と見込んでいますが、こちらも300億円がみえてきました。同じくアクセス製品も2025年3月期の営業利益を160億円と見込んでいますが、200億円がみえています。この4つに続く槍として、これから育てていこうとしているのがセンサー、コネクタ/スイッチ、電源、無線/通信/ソフトウェアです。
・ コア製品についてですが、ベアリングは世界の60%〜65%のシェアをもっていますので、非常に競争力が高くまた利益率も良いということで、当社は外径約22oよりも小さいベアリングだけを扱っています。ベアリングといえば、昔の戦艦大和の砲台もベアリングです。当社は22o以下に特化して製造し、世界の約6割のシェアをもっています。これがニッチマーケットを狙うことであり、成功した実績をもとに他の事業でも同じように行っています。
・ 半導体メーカーは世界に数多くあります。ただ、当社がつくるアナログ半導体は、本当にニッチなマーケットの部分だけです。そしてハイマージンをもっています。
・ モーターに関しては、当社が扱うのは小さい精密なモーターだけです。世界のハードディスクドライブのスピンドルモーターを製造しています。
・ モーターは、毎月6,000万台ぐらい製造していますが、これからはパワーアシストシステムへの普及を目指します。今まで人間の手でいろいろなものを動かしていましたが、それをモーターの力で動かすわけです。自動車のシートの調整やバックミラーまで、今やすべてにモーターが使われています。こうしたモーターは、先ほどの自然的な成長と同様、発展していくだろうと思っています。
・ アクセス製品は、自動車の鍵やドアハンドルに関連する製品です。ドアハンドルは、昔は単なる機械加工部品の塊でした。今は高級乗用車に近づくと自動でハンドルが出てきます。フラッシュハンドルと呼ばれますが、全部にセンサーやモーターが入っています。ところが、今までドアハンドルを作っていたメーカーに、モーターや無線、センサーの技術はありません。しかし、当社は技術を持っています。それがあるのは、M&Aを続けてきたからこそです。7年前、当社のアクセス製品はゼロでした。それがこの7年間で売上高3,250億円(2025年3月期見込み)になっています。今後、ほとんどのヨーロッパの高級自動車メーカーには、当社のドアハンドルが使われることになります。
・ 「相合(当社グループのあらゆるリソースを掛け合わせ、相乗効果により新たな価値を創造すること)」による高付加価値製品の開発も、成長戦略の1つです。当社のコア事業の相合により、新しい製品を生み出すということです。その相合製品の1つがウィングハンドルです。ドアロック、モーター、センサーの組み合わせにより、これまでにないタッチセンサー操作による電動ロック/アンロックを実現した製品です。ウィングと呼ばれる羽のようなものがドアハンドルで、これに指を引っかけるだけでセンサーとモーターが動きドアが開きます。これは来年後半から市場投入されることが決まり、BMWのコンセプトカーにも採用されました。こういう装置は当社にしかつくれませんし、単なるドアハンドルではありませんのでマージンも良くなります。これも相合の1つの効果です。
・ 社会的課題解決製品にも注力していきます。2025年大阪・関西万博のパソナ館はぜひご覧になっていただきたいのですが、「からだゾーン」ではパソナグループと当社が共同でコンセプトベッドの体験などを提供する「未来の眠り」に関する展示を行います。このベッドは寝るだけで心拍数、呼吸数、体重、体動が測定できます。体に何も着けなくても測定でき、データ化されて健康状態を管理できます。
・ 朝日インテック株式会社とは、カテーテル用の医療器具を開発しています。カテーテルの手術をする際、ブルッと震えて血管に当たったことを知らせる装置です。万博ではこういうものを着けたカテーテル治療も展示されるということです。こうした未来を支える製品に、当社製品は今後も続々と入っていきます。
・ もうすぐ空飛ぶ車、ヒューマノイドロボットが活躍する時代がやってきます。ヒューマノイドというのは、人型ロボットのことですが、物をつかんだり、食器を洗ったり、何かを持つときに、いかに指が動くかが重要になってきます。ヒューマノイドには、1本の指に3つの関節がありますが、関節部分に入るのがベアリングです。指1本につき6個のベアリングが入るため、仮に5本指があれば30個、10本指が必要であれば60個のボールベアリングが入ることになります。関節などにも小型モーターが入るなど、今後非常に楽しみな事業です。
・ 当社の試算では、2030年には約142万体、つまり142万のロボットが、私たちの身のまわりにいるようになります。お客様の資料を集めたところでは、約320万体の人型ロボットがこれから世の中に出ていくということで、当社にとっても非常に大きな成長機会だと捉えています。

3.株主の皆さまへの還元
・ 指標の基本はEPS、つまり1株当たり純利益を増やすことで株価を上げていきたいと考えています。私が社長に就任した2009年から、東京証券取引所プライム市場のEPSの伸び率と、当社ESPを比較したところ、2025年3月期は東京証券取引所プライム市場が1.9倍、私どもは8.4倍となっています。
・ 一方でROE(自己資本利益率)は約10%です。今、形式的なROEが少し下がっているのは資産が膨れているからです。これは円安が影響していて、以前は円ベースで投資していたものを、今、資産に直すと増えてしまいます。これが1,700億円ぐらいです。個人であれば喜ぶところですが、会社では資産の活用がうまくいっていないのではないかと見られます。しかし、円安の影響・効果を除くと、約10%のROEとなります。
・ 2025年3月期は5円増配して、1株当たりの配当を45円としました。これまで当社は成長に重きを置いてきたため、できるだけ成長投資に回して、配当性向約20%の株主還元を考えていましたが、それを30%に引き上げました。2025年3月期は、配当性向31.8%です。
・ 株価に関しては、私が社長になった2009年3月31日から2025年2月28日までで、電子部品の競合他社と株価パフォーマンスを比較すると、他社をアウトパフォームしています。

4.15年間の軌跡(2009/3期〜2024/3期)
・ 現在、株価が下がっていますが、2009年3月期の8.2倍です。当社は、すべての指標で大幅に改善を達成しています。売上高は年平均約12%伸びており、営業利益も約12%伸びてきています。
・ EBITDA、ネット有利子負債、キャッシュフローの推移ですが、高収益に裏づけられたキャッシュを創出しています。
・ 創業以来のM&Aは、高橋高見会長が存命のときに21件、その後10件、私が社長に就任後、2024年4月までで27件、2025年3月までを入れると29件のM&Aを行ってきました。
・ 実は社長就任後の16年間、個人投資家の皆様に向けた説明会に出席させていただいたことはありません。なぜなら、皆様が会社で30年〜40年と過ごされて手にした大切な退職金を当社に投資してもらう、そういう自信が正直ありませんでした。しかし、今回初めてこうした席に臨ませていただいたのは、成長が継続していく土台はもうできたのではないかと考えたからです。
・ 皆様にご理解いただきたいのは、日本が今、徐々に沈んでいくなかで生き残っているのは、製造業では部品業界だけです。ですから、当社はできるだけのことを行って、これからも発展していきたいと思っています。これは日本のためでもあると思っています。本日ご紹介したように、世界中にこっそりごっそり入っている当社のような会社に投資をしていただき、そして夢を共有していただける個人株主の皆様と、ぜひご一緒させていただきたいという願いから本日の説明会に参加しました。

5.質疑応答
Q1. 貝沼会長が社長に就任されてからの16年間で、どのような重要な危機に直面した経験がありますでしょうか。また、その危機をどのような戦略や取り組みで乗り越えたのか、具体的な事例をお聞かせください。
A1. 危機はさまざまな局面がありましたが、一番大きかったのは、2011年に起きたタイの洪水です。ただ、これは非常に勉強になった事件でした。ある日、工場が水没するという想像したこともないようなことが起こって、その危機を脱する。このことについては、先週日曜日の『日本経済新聞』の「My Story」という記事に書いてあるのですが、とにかく従業員と力を合わせて危機は脱出できました。実はモーター事業は、それまでずっと赤字だったのです。20年間、毎年約20億円の赤字を出していたので、周りは「やめろ、やめろ」の大合唱の状況でした。結果的にはその洪水を経験することによって、工場のレイアウトを一から見直し、従業員たちと目標設定を共有したりすることができ、それをきっかけにモーター事業がプラスに改善され、今は年間270億円ほどの黒字が出るようになりました。それが一番大きな、私の人生のなかでもインパクトがあった事件です。

Q2. 日本中が人手不足で、思うように建物が建たないなどといった状況です。技術者もITを中心に不足しています。御社は世界No.1の製品が多いですが、技術者などの人材確保に工夫をされているのでしょうか。
A2. これは2つあると思います。1つは、私どもは部品メーカーでありながら、できるだけ前に出る努力をしています。2023年には汐留に本社ビルを買いました。今はアセットライトで、会社はあまり資産をもたないほうが良いと言われていますが、やはり学生の皆さんは名前が大きいところに行きたがります。したがって、これから部品メーカーは、限られた新卒学生にどうアピールしていくかが1つ大きな問題になってくると思います。今までは、部品メーカーというと縁の下の力持ちは、あまり前に出てはいけないと思ってきましたが、これからは前に出て知名度を上げ、良い製品を次々と生み出しながら、そしてまた素晴らしい人たちに中途採用でも来ていただく、こういう高回転を今狙っています。そしてもう1つ、当社の約8万3,000名の正社員は世界中にいますが、実は日本人は約1万名しかいません。あとの約7万名は、全部外国の方です。したがって、外国人従業員の能力を最大限に発揮することが重要だと思っています。現在、インドにもフィリピンにも、当社のソフトウェアを中心としたエンジニアが100名以上おります。これからは現場で育ってきたローカルの工場マネージャーといった人たちを積極的に活用していくことで、何とか乗り切っていきたいと思っています。

Q3. 関税の影響はありませんか。値上げはできますか。
A3. 現在、トランプ政権の関税の問題はありますが、これは基本的には全部お客様負担になります。そして、結果的には全部消費者負担になります。当社が今回の関税で受ける直接的な原因は軽微となります。他方でこの状況が長引けば、アメリカの消費は間違いなく減速することになりますので、製品の売れる量が少なくなっていく可能性はあると思います。ただ、私個人はこの関税制度は長続きしないだろうと思っています。これはやってみないとわかりませんが、どう考えてもサステナブルでないと思いますので、今の段階では大きな心配はしていません。

Q4. 御社は、創業以来50社以上の企業を買収することで大きな成長を実現してきましたが、買収後にシナジーを発揮するための具体的な取り組みや、成功の秘訣について教えてください。
A4. これはさまざまなところで申し上げているのですが、私どもの会社も結局人がつくっていて、買収される会社も人がつくっているわけです。したがって、買収とは実は企業結合、本当は人と人の結合だと思います。ですから、経営統合の機会には、経営統合準備会と申しまして、経営統合をする前から何回も、例えば人事総務は人事総務同士で会う、法務は法務同士で会う、セールスはセールス同士で会うといったことを繰り返しながら、夜は必ず皆で食事に行きます。やはり人と人が一緒になって、食事を共にして、お酒を飲んで、いろいろな話をして、そして目標を共通にしていく。このプロセスがなくて、「あなたはもう買われたから言うこと聞きなさい」と言っても、なかなか成功しないだろうと思います。そういう意味では、人とのつながりをできるだけ時間を使って深めていくということが、お答えになるのかと考えています。

以上

 

 

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