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株式会社アルトナー(2163)
開催日:2025年3月16日(日)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 関口 相三 氏
1.会社情報
・ 社名は株式会社アルトナー、1962年9月18日設立の技術者派遣事業のパイオニアです。現在、株式は東京証券取引所プライム市場、証券コードは2163です。ソフトウェア、電気・電子、機械領域の技術者派遣事業、ならびに請負・受託事業を全国で展開しています。
2.2025年1月期決算概要
・ 市場環境は、当社の主要顧客である自動車関連メーカー、半導体製造装置メーカーからのエンジニアの要請が引き続き活発でした。技術者派遣事業は、稼働人員数が前年を大きく上回ったことに加えて、1人当たりの技術者単価が大幅に上昇しました。請負・受託事業は、積極的な営業展開により、売上高構成比が11.6%まで増加しています。利益の状況についても、さまざまな設備投資を吸収し、大幅な増額となっています。
・ これらの市場環境を踏まえた業績ハイライトとしましては、売上高は前年同期比10.0%の増収、売上総利益は16.2%の増益、営業利益は18.9%の増益、当期純利益は19.8%の増益となっています。営業利益率は16.3%でした。
・ 売上高の詳細は、技術者派遣事業で7.4%の増加、請負・受託事業で36.9%の増加です。請負・受託事業は構成比が前年9.3%から11.6%まで拡大しています。
・ 業種別売上高の状況は、特に自動車関連メーカーへの技術者派遣の展開が活発であり、24.3%の増加となりました。
・ 技術領域別の売上高は、現在ソフトウェアのエンジニア要請が他の機械や電気・電子に比べて非常に活発です。その状況を受けて、ソフトウェアの領域が大きく売上高を伸ばしています。
・ 技術領域別の期末エンジニア数は、ソフトウェアの増員率が拡大し、特に組み込み系のソフトウェアやIT系のソフトウェアの積極的な採用展開によって増員となりました。
・ 地域別売上高は、自動車関連と半導体製造装置関連のお客さまが集結する南関東、北関東の売上高が大きく増加しています。したがって関東エリアの売上高は前年対比で15.6%の増加となりました。
・ 技術者派遣事業の収益構造について説明します。まず売上高は、エンジニア数×稼働率によって稼働人員数が算出されます。それにエンジニア1人当たりの時間の単価と労働工数を掛けると、1人当たりの売上高が計上されます。一方、利益の構造は、売上原価はエンジニアの労務費が計上され、スタッフの人件費や活動費は販売管理費に計上される構造となっています。したがって、利益率向上のポイントは二つです。まず、売上総利益率を向上させるためには、エンジニア1人当たりの技術者単価を上昇させる必要があるということです。二つ目は、営業利益率を向上させるためには売上総利益率の向上に加え、効率的な販売管理費の活用が不可欠であるということです。これらの結果、売上総利益率の向上ならびに営業利益率の向上につながります。
・ この構造を踏まえて、詳細データについて説明します。2025年1月期の新卒の技術者採用数は171名でした。2026年1月期は153名の入社が決定しています。2027年1月期の新卒採用計画数は180名です。キャリア技術者採用数は、25年1月期が67名、26年1月期は100名の計画です。離職率・退職率は25年1月期が11.7%です。
・ 期末技術者数は25年1月期平均で1,279名です。稼働率は25年1月期年間平均で98.5%です。エンジニア1人当たりの技術者単価は、25年1月期平均で4,494円となり、前年対比プラス163円となっています。労働工数は前年と同数の月166時間の平均となりました。
3.11期連続増収・増益
・ 2025年1月期の決算を受けて、11期連続の増収・増益となりました。技術者派遣のマーケットは毎年右肩上がりで拡大しています。要因は三つです。
・一つ目は、63年の長い歴史の中で、多くの顧客企業からの信頼を築いてきたことです。
・ 二つ目は、11期前から当社が作り上げてきたビジネスモデルです。当社はメーカーを主要顧客としており、メーカーサイドの研究開発領域、設計領域のプロジェクトに当社のエンジニアが派遣されています。その開発工程の中で特に当社が得意とする分野は、上流工程といわれる研究開発領域から、中流工程といわれる製品開発領域で、そこに80%を超えるエンジニアを配属しています。これらの工程に配属可能な優秀な学生を採用するため、技術者のニーズを踏まえた社内制度を導入し、高いレベルで実現した結果、優良な顧客層からの信頼を得ることができています。
・ 三つ目は、マーケットニーズの高い技術分野への戦略的な技術者の配属です。当社の主要顧客である自動車完成メーカーや半導体製造装置メーカーのプロジェクトを選択し、今、注目を集めている「カーボンニュートラル」に関連するプロジェクトへの積極的な配属を行うことにより、高い付加価値で業務をさせていただいています。
4.中期経営計画(2026年1月期〜2030年1月期)
・ 前中期経営計画(2023年1月期〜2025年1月期)を振り返ると、技術者数目標は1,600名で、結果は1,251名となり、マイナス349名でした。売上高目標は116億円とし、結果は111億円で、マイナス4億7,500万円でした。営業利益率目標は14.0%とし、結果は16.3%で、プラス2.3%でした。ROEは20%以上の設定で、28.1%でした。配当性向を50%以上と設定し、2025年1月期の実績で69.1%となる予想です。それから、配属中の技術者における「カーボンニュートラル」関連のプロジェクトの配属比率目標を50%と設定し、結果51.3%となりました。また、「カーボンニュートラル」関連プロジェクトへの配属可能なエンジニアの採用目標を55.0%の構成比で設定し、結果は47.9%でした。
・ まとめとして、営業利益率は技術者単価の上昇により達成。ROE、配当性向はプライム市場の上場維持基準の対応により達成。「カーボンニュートラル」関連指標に関しては、配属率は達成、採用は未達となりました。中期経営計画未達の総合要因は、採用環境による技術社数の未達が期末技術者数と売上高の未達につながったと分析しています。
・ これらを踏まえた新中期経営計画(2026年1月期〜2030年1月期)の概要をご説明します。外部環境および社会的課題、需要予測、当社の提供価値について、5年後2030年1月期の当社のあるべき姿を設定し、分解し、中期経営計画の戦略に反映しています。
・ 2030年1月期の当社のあるべき姿から見た課題は二つです。一つ目は、当社はプロダクトアウトではなくマーケットインの観点から事業戦略を構築していますが、マーケットに対する当社の準備をどのように整えていくかを考えると、今中期経営計画の最大のテーマは採用です。二つ目は、顧客ニーズに応えられる人財を採用し、育成することで、お客さまに供給していくビジネスサイクルを追求するため、当社の特徴であるセグメント管理をさらに深化させ、中期経営計画を推進していくことです。
・ 今中期経営計画の基本方針は「持続的成長および次世代成長のための基盤を構築する」というものです。基本施策は三つです。1.セグメント戦略の推進、2.多種多様な人財活用の推進、3.新たな事業・収益機会の模索です。
・ 主たる成長戦略は三つです。まず、正社員を毎年平均10%増員し、さらなる需要拡大を目指します。二つ目は、当社の同業他社との差別化であるハイエンド領域の配属比率を現状より高めることによって、さらなる付加価値を向上させます。具体的な目標数値として、超ハイエンド領域36%を50%まで引き上げます。多種多様な人財活用の推進の成長戦略については、さらなる請負・受託比率を拡大します。それに伴い、さまざまな人財の活用が可能になる環境が整います。技術者派遣事業においては、当社が直接雇用する正社員や有期社員の活用に法律上限定されていますが、請負・受託事業においては外部人財、つまり協力会社の活用も法律上可能となります。それによって、さまざまな人財の活用を可能にし、さらなる稼働人員数の増加に努めます。
・ これらを踏まえて、新中期経営計画の最終事業年度の売上高目標は187億円としました。営業利益率目標は16.0%、最終事業年度期末技術者数は2,100名、1株当たりの純利益は195円と設定しました。
・ 中期経営計画の業績目標と重要指標の相関図については、採用、請負・受託事業と技術者派遣の比率、売上高、売上総利益の構造、採用コスト、設備投資コストの増加などから、最終営業利益率目標を16.0%と設定しています。ROE目標は20%以上、配当性向は50%以上としています。サステナビリティ数値目標として、それぞれ現状からの目標値を設定しています。人的資本経営、健康経営、最後に地球環境貢献としての「カーボンニュートラル」プロジェクトへの対応を設定しています。
5.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
・ 当社の現在の株価はおおむね1,800円台で推移しています。今中期経営計画5カ年の中で、東京証券取引所のTOPIXへの対応方針が外部発表されていますが、TOPIXの入れ替えルールを変えるという方針を受けて、当社が新TOPIXに継続採用されることを一つの目標設定としています。まず、2025年1月期時点の株価は1,850円で着地しています。時価総額は197億円、浮動株比率は60%、浮動株時価総額は118億円、EPSは118.64円、PERは15.6倍となっています。
・ これらの実績を踏まえて、次期TOPIXルールへ対応するために理論・目標株価を3,600円と設定しました。それに対する時価総額は383億円、浮動株比率は同じ60%、浮動株時価総額で230億円をクリアする必要があります。3,600円の株価を前提とするEPSは195円で、これは中期経営計画の目標です。理論PERは18.5倍となります。これらの株価等々の目標を設定し、実現するためのさまざまな施策を今中期経営計画で実行したいと考えています。
6.2026年1月期業績予想/配当予想
・ 2026年1月期の業績予想は、売上高は114億9,200万円、営業利益は18億3,800万円、経常利益は18億3,800万円、当期純利益は12億7,400万円です。当社は予算計画を保守的に組むという会社の方針がありますので、その前提条件で策定しています。
・ 2025年1月期と2026年1月期(予想)の配当について説明します。まず、配当性向50%をベースに2025年1月期は69.1%を計画しています。来月開催される定時株主総会の決議をもって最終配当額は決定します。2026年1月期の配当予想は、配当性向70.0%を計画しています。2025年1月期の配当金額は期末42.0円、当初予想の40.0円より2円の増配計画です。中間配当40円と合わせて、2025年1月期の年間配当計画は82.0円となる予定です。2026年1月期は、年間84.0円、中間で42.0円、期末で42.0円の配当を予定しており、前期比2.0円の増配予想です。
・2025年1月期現在の期末株主数は2万2,181名となっています。
7.質疑応答
Q1.トランプ大統領が日本との自動車貿易を巡り、日本を名指しして批判し、米国車の輸入が少ないことへの不満をあらためて示しましたが、業績への影響は出てきますか。
A1.トランプ大統領が関税の引き上げということで、さまざまなディールを展開している状況です。最終関税率の決定はまだなされていませんが、現状と比較して関税率が上がった場合、自動車の原価、またその原価を価格転嫁できるかによって、利益への影響が想定されます。ただ、当社の強みである上流工程へウェイトの高い技術者派遣というビジネスモデルは、2008年のリーマンショックを受けてお客さまの業績が悪化したときに極力影響を軽減できるものとして変化させたものです。ですから、影響が全くないとは言い切れませんが、極めて限られた領域になるだろうと予想しています。なぜならば、現在の自動車関連メーカーが抱えている社会的テーマであるCO2削減等に関しては、研究開発費の削減までにはなかなか至りません。当社のエンジニアはその関連への配属比率が高いからです。
Q2.中期経営計画の技術者数は、目標の1,600人から2025年1月実績1,251人と大きく下回っています。その要因と対策を教えてください。
A2. 人員数に影響を及ぼす指標としては、退職者数と採用数のバランスで期末人員数が決まります。退職数は概ね10%レベルで推移しているので、人員未達の要因が退職率の増加に起因しているとはいえません。当社は新卒採用とキャリア採用の2軸で採用展開していますが、その双方とも中期経営計画では採用未達に至り、その結果、採用数が未達になったことが要因です。工学部や理学部を卒業した学生を採用するのが新卒採用、工学部や理学部を卒業して社会人経験もある方を採用するのがキャリア採用ですが、現在、労働者人口減少等々の労働者環境、雇用環境の中で、工学部や理学部を卒業した方の採用は激化しており、メーカーサイドと同業他社との採用マーケットでの競争に勝ち切れなかった。これらを踏まえて新中期経営計画においては、採用スタッフ構造の強化や採用手段の徹底的な見直しといった総合的な対策を積極的に展開し、予算増加も行いながら、人員数確保に努めます。
Q3.技術者の単価は売上高に大きく影響すると思われますが、派遣先の企業とどのような交渉で決めているのでしょうか。
A3.技術者単価は三つのルートで決定されます。
一つは、今お客さまに派遣されているエンジニアの契約継続に伴う単価の交渉です。これは配属されたエンジニアの1年間の実績評価とスキルアップの評価を総合的に判断して、お客さまにA、B、C等の等級を付けていただきます。当社は、そのエンジニアの市場価値をはかって、お客さまとの単価交渉の席上でぶつけます。双方の評価と市場価値の判断で最終的に単価交渉がなされて、翌年度の技術者の単価が決定されます。
二つ目は、プロジェクトが終了し、次のプロジェクトに派遣されるときの再配属の復帰対応の単価決定です。これは当社が判断したエンジニアの市場価値をお客さまにお見積書という形で提示し、価格が折り合えば配属の契約が履行されることになります。そこでもお客さまとの価格交渉はあります。
三つ目は、当年度入社の新卒社員とキャリアルートで入社する新人の初配属単価です。これは当社では前年実績という基準があるので、それを下回らない初配属単価の設定をし、その価値を認めていただけるお客さまを優先してエンジニアを配属するという営業政策を実行しています。
以上

 

 

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