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株式会社三越伊勢丹ホールディングス(3099)
開催日:2025年3月8日(土)
場 所:札幌ビューホテル大通公園地下2階『ピアリッジホール』
(北海道札幌市中央区)
説明者:取締役執行役常務  牧野 欣功 氏

1. 会社概要
・ 百貨店業界はコロナ禍の前から非常に厳しいと言われていました。もう終わったコンテンツ「オワコン」だと言われ、衰退基調にある業界とも言われました。百貨店業界の市場規模のピークはバブル期の1991年で大体10兆円ぐらい。そこから現在は5兆円を切る半分以下に落ち込み、当社の業績もやや下がっている。そんな状況の中でコロナ禍を迎えました。コロナ禍ではお店を開けられなかったり、閉店を余儀なくされるなど、非常に大きな赤字を計上する大変苦しい時期でした。その後、2021年に当社グループの経営陣が変わり、従業員一人ひとりと対話をしながら新しい戦略を作ってきました。
コロナ禍のリオープニングやインバウンドの増加などの追い風があったものの、新しい戦略を着実に進めたことで、過去最高の営業利益を大きく更新できました。また株主様への還元は、以前とは比較にならないほど充実しています。足元の好調な基盤をベースにしながら、さらに新たな変革を進める、新しいビジネスモデルを作り上げていく。そんな志で取り組んでいることを本日の話の中で感じていただければ幸いです。
・ 会社概要について。社名は三越伊勢丹ホールディングス。東証プライムに上場。設立が2008年、当時の三越と伊勢丹が統合し、三越伊勢丹ホールディングスというグループが始まっています。
特徴は、機関設計として指名委員会等設置会社であること。上場企業の5%に満たないほどの非常に進んだガバナンスモデルを展開しています。9名の取締役のうち6名の社外取締役の多様な知見を取り入れながらビジネスを進めています。また、女性取締役も3名おり、多様な意見を活かして戦略を推進する。そんなガバナンス体系です。
なお、グループ従業員は1万7,000人です。
・ 事業内容について、売上全体の4分の3が百貨店業です。百貨店を中心としながら、グループ全体では37の会社があります。またJRグループとのジョイントベンチャーや海外の財閥と様々な合弁会社を作っており、そういった会社が7社あります。百貨店以外にクレジット・金融、不動産、人材・サービス、旅行など様々なビジネスを展開しているグループです。

【グループ会社について】
・ 百貨店以外のグループ会社について。エムアイカードは、三越伊勢丹グループの百貨店を中心としたハウスカードから始まったクレジット・金融業の会社です。カード会員が約200万人強。カードだけではなく様々な金融サービスをご紹介し、今、ビジネスを拡大しています。当社グループの中では、百貨店に次いで2つ目の柱となる会社です。
三越伊勢丹ニッコウトラベルは、非常にプレミアムな旅行を展開しています。元々、三越伊勢丹にも旅行会社がありましたが、上場会社のニッコウトラベルにグループに加わっていただき、三越伊勢丹ニッコウトラベルとなりました。例えばプレミアムクルーザーという非常に席数を絞り快適な旅行ができるバスで、国内のプレミアムなツアーを運営。ヨーロッパでは客船を持っており、客船のクルーズツアーも運行しています。
三越伊勢丹ビジネス・サポートは、百貨店に関わる物流サービス等を展開しています。
・ 三越伊勢丹プロパティ・デザインは、特に高級な内装を手掛けるのが得意な会社です。5つ星のラグジュアリーホテルや外資系ホテル等の内装を非常に多く任されています。
エムアイフードスタイルは、クイーンズ伊勢丹という首都圏を中心に少し高級なスーパーマーケットを展開している会社です。スーパーマーケットの展開以外に食料品の工場を持っているので、レトルトのカレーやクッキーなどを作り、日本全国の様々な百貨店や専門店で展開しています。
スタジオアルタは、広告・メディア業の会社です。新宿アルタは、私たちの別のグループ会社で運営し、2月末の閉店では、ニュースなどで取り上げられました。このアルタの正面にあるアルタビジョンを使い、広告を作っている会社です。

・ 株主様の構成について。私どもの株主様は、数で言うと99%が個人株主様です。29万5,000名の株主様のうち、29万2,000名が個人株主様。当社は上場会社の中で時価総額では4,000社中200番目ぐらいかと思いますが、株主様の数では50番以内に入るほど多いと言われています。
個人株主様が多いのは、百貨店が皆様も一度は利用したことがある、比較的身近でビジネスが分かりやすい業態であることと、株主優待に非常にメリットを感じている株主様も多くいらっしゃること。個人株主様に非常に支えられている会社です。

【百貨店事業について】
・ 売上の4分の3を占める百貨店業は、三越、伊勢丹、岩田屋、丸井今井の4つの暖簾を持っています。
国内の百貨店店舗は小型店を除いて20店舗。海外で23店舗。東南アジアを中心に一部アメリカで展開しています。国内外で43店舗を展開する百貨店グループです。
・ 百貨店業の歴史について。一番古いのは1673年、三越の元となる越後屋が創業します。これは三井グループの創業とイコールです。三井グループは、両替商・金融と呉服の越後屋で創業。350年以上前の越後屋から我々グループが始まっています。
その後、福岡の岩田屋は1754年に営業を開始。札幌では1872年に今井呉服店が開店。150年以上札幌の地で商売しています。グループの中で一番新しいのが伊勢丹で、1886年創業。それぞれ4つの呉服店から始まった企業グループです。
1904年に当時三越の日比翁助氏が初めてデパートメントストア宣言し、海外にある百貨店を日本でも開店。この時、それまでのずっと呉服だけの一貨だった商売をこの時に百貨といたしました。
さらに、三越と伊勢丹の経営統合を経て、一昨年、三越が創業350年を迎えました。昨年は日本で最初の百貨店になるとしたデパートメントストア宣言から120年が経ちました。この120年間、百貨店という業態がよく続いてきたという言い方もできる一方で、ずっとこのままでいいわけではない。次の時代に合わせてビジネスモデルを進化させ、変わらなければ、次の100年、200年を生き残れないのではないか。そのためにビジネスモデルの変革を進めています。
・ 海外店舗について。昨年、中国本土から撤退し、店舗を閉鎖しました。今残っているのは、新しいビジネスモデルのフィリピンやマレーシア、タイ、シンガポール。これらでは百貨店としてやっています。
アメリカは、フロリダ州のオーランドにある世界最大規模のディズニーランドのディズニーワールドの中で、日本館での販売や日本食レストランを展開しています。
台湾では現地の金融財閥・新光グループと組んでいます。私たちの株の持ち分はマイナーですが、新光三越として展開。数週間前に爆発事故があり、ご心配をおかけしました。

2. 当社の戦略
・ 2021年、まだコロナの影響が残る時に新しい経営陣で作ってきた戦略です。
10年以上先の長期を見据え、3つのフェーズでビジネスを展開する内容です。最初が徹底的に百貨店を再生する「百貨店再生」フェーズ。これが昨年度までです。この中では3つのキーワードを挙げました。
1つ目は「“高感度上質”戦略」。どこのショッピングセンターでもあるものではなく、当社らしいもの。お客様が高感度なものや上質なものを購入したい時に、当社グループの4つの暖簾が頭の中に思い描く。そんな品揃えや店作り、空間作りをする戦略です。
そして、「“個客とつながる”CRM戦略」。来店しお買い物いただいたお客様とは、きちんとつながりを持ち、お客様の嗜好に合ったものを次にお勧めする。これが今、非常にうまくいっています。
3つ目に「科学の視点による事業改革」。コストや販管費の使い方を、今まで通りの前年踏襲ではなく、お客様に響くところにきちんとお金をかけ、そうでないところは削る新しい考え方です。この形で経費削減を進め、非常に利益が出る体質になりました。
そして、この4月からは「まち化準備」という2つ目のフェーズに入ります。ここでは、将来の大きな不動産開発に備えると共に、グループ企業間のシナジーと呼ばれる連携を強めていく「“連邦”戦略」を進めます。37社のグループ会社は、従来は少し縦割り的な面もありましたが、これからは横で連携し合い、お客様に様々なものを展開していきます。そして利益をさらに伸ばす6年間とします。
その先には、大きな不動産開発をしながら日本中、世界中のお客様を、私たちの作る百貨店を中心とした“まち”にお呼びする。こうした取り組みを通じ、従来の百貨店業の館(やかた)のビジネスから、お客様を中心とした「個客業」のビジネスモデルに生まれ変わり、さらに利益や企業価値を上げていきたい。これが私たちの戦略の全体像です。さらにサステナビリティの取り組みを経営戦略と連携しながら進めていきます。
・ 利益の推移について。百貨店業を中心とする中で、過去最高の利益が出たのが2013年の346億円。コロナ禍の前の過去最高利益でした。
2021年、まだコロナ禍の余韻が残る中で、中期経営計画を策定。利益目標としたのは、3年後の2024年に過去最高利益の346億円を超えたいということ。そこで、2024年の350億円を目標とし、10年後にはまだ到達したことのない500億円という水準を目指しました。これは日本の百貨店グループがどこも到達したことのないものでした。
これが2021年当時の目標でした。この戦略と外部要件で2022年から2023年にかけて利益が非常に伸長。当初の2024年に350億円の目標はおろか、10年後の500億円という目標を、2023年度に上回ることができました。
今年度も、当初は100億円増の640億円を目標としましたが、上方修正し、営業利益720億円が今期のマーケットに対して発表している数字です。
今のところ、第3クオーター終わり、第4クオーターが去年に負けても、720億円を達成する水準まできています。利益体質が非常に大きく変化しているのです。
このペースを維持し、2030年度までに1,000億円以上を達成したい。ビジネスモデルそのものが変化し、利益が非常に出やすい構造になっているのがこの戦略の成果です。

【百貨店事業】
・ 百貨店業中心に今やっているのが、高感度の上質な店舗を作り、お客様が何か特別なもの、いいものを買いたい時に、当社グループ、札幌で言えば丸井今井や三越の暖簾が想起されるようなお店作りをすることです。例えば、ちょっと贅沢をして高級な時計を買いたい。少し高価なカバンを買いたい。お子さんやお孫さんにランドセルをプレゼントしたい。少し豪華なスイーツやワインを買いたい、といった時です。
そして、来ていただいたお客様には、エムアイカードや三越伊勢丹アプリを使い、お客様の嗜好に合わせたお勧めを画面に表示したり、様々な手段でお伝えする。これをデジタル、今風に言うとAIなどを使い、さらにその精度を高めていこうとしています。
また、国内だけは今後の人口減少ということもあるので、日本に来る海外のお客様との繋がりも深めていきたい。今はグループ全体の百貨店の売上のうちのインバウンドはまだ15〜20%ぐらいです。日本に来られる外国人の方は、今はたまたま三越や丸井今井、伊勢丹の店舗に来られていますが、そういう方々が帰国されても定期的に色々なものをお勧めする。日本の方と同じように繋がりを持つために、今月末から海外のお客様向けアプリを新しくスタートし、毎年進化をさせていこうと思っています。
このようにお客様に一人ひとりに対して分析し、提案し、利用を拡大していただく。そして、ご家族含めたコミュニティが私たちグループのファンになっていただく。場合によっては外商等で深くお付き合いする。こんなグループでありたいと思っています。
・ 東京には私たちグループの基幹3店舗があります。
伊勢丹新宿本店は、今年初めて売上高が4,000億円を超えました。過去最高は1991年。日本の百貨店業界が10兆円の最高売上をあげた時に、1回だけ3,000億円を超えたことがありました。そこからずっと2,000億円台だったのですが、一昨年ぐらいから3,000億円が射程に入り、今年度は4,000億円を大きく超えるところまで非常に伸びています。
世界中のブランドや日本の様々ないいものを作っている方々が、ぜひここで商売をしたいと関心を持っていただき、世界の最先端のものが集まる百貨店となっています。他店の売上は公表されないので一部わからないところはありますが、4,000億円売り上げている小売業は、世界には他にはない、世界一の小売店舗です。
そして三越銀座店。銀座4丁目の角という日本で一番土地の値段が高い立地で商売する、外国人を含めたお客様数が非常に多いお店です。売上も過去最高を毎年更新。特に外国人の買い物比率が直近では40%以上になっています。そこでグローバルストアを目指し、今、様々な取り組みをしています。
さらに、全国の三越の暖簾の総本山が三越日本橋本店です。「伝統・文化芸術・暮らし」をテーマに、日本の良きものを次の世代に繋げていく役割を担っています。
金融機関はじめ、全国で全く同じような店を展開する会社も多いと思いますが、私たちは、その土地や大切にしてきた4つの暖簾を守りながら、地域のお客様に愛される店づくり、あるいは次の世代を取り込む店づくりを進めています。
・ 地域の店舗は、「地域の“高感度上質消費”を支える唯一無二の存在」でありたいと思います。札幌のように競合の百貨店があるエリアもあれば、函館のように競合がなく、地域の消費を支える存在であるなど、様々な役目がそれぞれの地域にあります。それぞれの地域で売上や利益の出方は違いますが、首都圏と同じようにビジネスを科学していきます。地方によっては物が入りにくいところもありますが、首都圏のネットワークを活用。特に新宿伊勢丹や三越日本橋は日本有数の百貨店であり、新宿伊勢丹には世界一の調達力があります。それを武器にそれらの店舗の商品を地域のお客様に展開したり、地域のお客様が東京に来られた時に同じように接客やアテンドする取り組みを進めています。
・ 札幌地区の売上動向について。札幌エリアでは、丸井今井が1872年から商売させていただき、札幌三越は三越の支店として1932年に開店。100年近く前からこの地で2つの暖簾で商売をさせていただいています。この2つの店は、2011年に札幌丸井三越という1つの会社になっています。
全国の百貨店売上と札幌地区の百貨店の売上を比較すると、札幌地区は非常に伸びています。また、丸井今井札幌本店と札幌三越の売上も毎年右肩上がりです。特に、丸井今井と札幌三越の合計では、今年、過去最高益が出るほど業績を伸ばしています。
・ 海外のビジネスモデルについて。フィリピンやタイでは、従来の百貨店をそのまま出店するのではなく、現地の財閥と組んだ中で新しいビジネスモデルを構築したり、将来の日本での不動産開発の練習をしていこうと臨んでいます。マニラではマンションに出資。バンコクではワンバンコクという大きなプロジェクトの中でオフィスに出資し、海外でも人気のある日本の食を紹介するビジネスモデルに取り組んでいます。

【不動産事業】
・ 「まち化」のイメージについて。当社グループは不動産を非常に多く保有しています。札幌でもそうですが、新宿や日本橋の店舗はもちろん、店舗の周りに多くの駐車場やオフィス、商業ビルを持っています。不動産価値では、大体日本の上場企業で30位以内に入るほど、非常に価値のある不動産を多く持っているグループです。
これらの不動産は、今までは非常にもったいない使い方をしていました。例えば新宿や日本橋の店舗の横に、非常に古い駐車場やオフィスビルがあり、その土地のポテンシャルを活かしきれていませんでした。それに対し非常に大きな投資をし、新しいビジネスを入れていくのが「まち化」です。
当社グループの投資額は通常、年間300億円ですが、10年以上かけて5,000億円以上の投資をします。そして、日本一の商業施設の新宿伊勢丹の周りにホテルやレジデンス、オフィス、エンタメなどの大きなビルを建てていく。そこに日本は元より世界中の百貨店が好きなお客様に来ていただいて、伊勢丹で自由にお買い物していただく。また、ホテルと連携して様々なものをお届けする。こんなビジネスモデルを考えています。
通常の再開発や不動産開発に加え、インフラとなる物流やシステム、カードの決済、内装なども全部自分たちのグループで行う。このような形でグループ企業間で連携し、利益を百貨店だけでなく、多くのビジネスで積み増していきたいと思います。

【金融事業】
・ エムアイカードの利益を現在の60億円くらいから、100億円くらいにしたいと思います。今、カードをお持ちのお客様には、さらに様々なラインナップのカードのご案内や金融サービス、時計の保証などの新しい保証や保険をどんどん展開しています。それらを継続することに加え、今は年会費が必要なカードしかありませんが、少しライトなユーザー向けの年会費無料のカードを作ってお客様を増やす。これらを通じて、金融を百貨店に次ぐ柱として強化していきたいと思います。

【個客業への変革】
・ 三越伊勢丹アプリについて、皆様のお手元にもご紹介しています。当社グループが識別し繋がっているお客様の数が、カードだけでは限界がありますが、お客様が三越伊勢丹アプリの会員になっていただくと、劇的に増えます。実際に今、700万人以上のお客様へ何かしらの発信ができる状態となっています。
アプリで繋がっていないお客様が、アプリ会員になると年間購買額が2倍に増えます。さらにカードユーザーになると2倍、外商で取引するようになると、そこからさらに3倍になる。繋がりができるとお客様との関係が深まり、お客様にお勧めするものの精度が上がり、単価が上がる。こういった傾向が出ているので、繋がりをどんどん深めてお客様を増やしていくのが非常に重要な戦略です。
・ 以前は、百貨店という館に不特定多数の方が来ていただくビジネスモデルで、景気の変動を受けやすい。不景気になると売上が下がるビジネスモデルでした。しかし、一人ひとりのお客様との繋がりを大切にしたビジネスモデルに変えることで、外部環境の影響を受けづらくなる。お客様としっかり繋がる。こんなグループでありたいと思います。
・ これからの事業機会として私たちが非常に伸ばせる点が4つあります。
1つは「世界」。世界の百貨店好きのお客様が日本に来られることがますます増える。インバウンドの消費額を今の8兆円から15兆円にすると政府は言っています。それに対し、我々もしっかりと世界のお客様との繋がりを深めていく。そして私たちの作るホテルをご利用いただいたり、レジデンスに住んでいただきたいと思います。
また、「時間」「空間」「用途」も新たな事業機会になります。どうしても百貨店では10時から7時半といった限られた営業時間の中でしかお客様と商売ができません。そこにホテルやレジデンスなどのもっと時間を活用し、新しい用途と空間の使い方をすることで様々な繋がりを深められます。百貨店の館だけの世界から、お客様を中心に様々なものをお届けしたり、お客様の困りごとを感動的に解決したり、お客様の関心事に革新的な提案をする。こういうことを続けるグループでありたいと思います。

【サステナビリティ】
・ 当社は、「持続可能な環境・社会をしっかりと次世代に繋げていきたい」と考えています。その一環として、I’m green(アイムグリーン)という取り組みを展開。これは経済と環境の両輪の循環を支えるもので、お客様がお持ちのものを買い取るビジネスです。外部の会社と組みながら、お客様がずっと大事にしていたものを私たちが買い取り、次世代の方々にお譲りする。直営では百貨店で初めてのビジネスモデルです。昨年6月から札幌の丸井今井でも店舗を展開。買取ビジネスに対して、百貨店の暖簾という信頼に安心感があるということで、好評を得ています。
・ 2つ目が「人と地域を繋ぐ」ために、数年前からふるさと納税のビジネスを展開しています。私たちの役目は、日本の各地域の優れた産品を様々な方にお伝えしたり、届けること。そのために、ふるさと納税に対し、独自のビジネスを展開。私たちの店舗がある地域を中心に、今300以上の自治体と繋がり、商品をご紹介しています。カタログを通じて、北海道の海産物や野菜を全国のお客様に紹介し、大変好評を得ています。

3. 業績および計画
・ 2024年度の通期では、営業利益は720億円を計画。過去最高の営業利益の346億円や2024年度に目指した350億円の2倍以上を超えるペースで今、来ています。
・ この営業利益を今後さらに伸ばしたい。そこで、今の720億円を3年後には850億円、2030年には1,000億円を超える利益を出したいと計画しています。

4. 株主還元
・ 今、利益に応じたキャッシュフローが非常に潤沢に入る会社となっています。これを株主様への還元と次の利益のための成長投資にバランスよく使い分けていきたい。
特に配当については、この後6ヵ年は、累進配当を実施。配当額を今を最低限にしながら、常に同じかプラスにすることを6年間続けます。
株主還元も、これからの3年間で1,500億円を計画。大体、年平均500億円を目処にしながら、大きな企業買収などがない限り、充実した還元していきたいと思っています。
・ 配当の推移をみると、当社グループが誕生した2008年からずっと12円の安定配当が続きました。株主還元を金額にすると大体50億円程度しか還元できていませんでした。
2022年からの新しい中計では、それほど有利子負債や借金が多い会社ではないので、利益を出したら、きちっと投資と還元に充てることとし、2023年度から配当額を大きく増額。当期利益の株主様への還元は50%以上とし、今期は7割を超える総還元性向になります。配当額は足元で48円で、過去の安定配当の時の4倍です。
また今年度は、150億円と100億円の2回の自社株買いを発表し、自社株取得が250億円。株主様への還元は、過去の12円配当の時の50億円弱から10倍ぐらい増えています。これを今後ともきちっと行いたいと思います。
・ 私どもの株主優待は非常に人気があります。三越伊勢丹グループの百貨店各店舗でのお買物が10%引きになるのが最大のメリットです。株主優待では食料品も10%優待になります。ハウスカードのエムアイカードでは、食料品は優待になりません。株主様だけ特別に食料品もレストランも通常の商品も10%優待なので、非常にご好評をいただいています。ぜひ、投資を検討される際には、この株主優待のことも少し頭の片隅においていただきながら、当社グループの店舗を今後ともご愛顧いただければ幸いです。

5. 質疑応答
Q1. 貴社のビジネスモデルの特徴は何でしょうか。また、中核事業の百貨店業を含めて各事業の成長戦略はどう考えていますか。
A1. 当社グループのビジネスモデルの特徴として、真ん中に特別な百貨店があることです。全国の百貨店の中でトップの売上シェアを持っているので、様々な商品の調達等も非常に有利な状態で進めることができます。この百貨店を中心に37のグループ会社が取り巻くようにあるが当社のビジネスモデルのユニークなところだと思います。
また、歴史をご紹介したように、350年間続いている会社は、日本の中でもあまり多くないと思います。この350年、絶えず時代の変化の中で、従業員一人ひとりが創意工夫しながらビジネスモデルを変えてきた。こうしたDNAが当社のビジネスモデルの中に引き継がれています。
今後の成長については、それぞれのビジネスモデル一つひとつを磨いていくと共に、全体の連携を強める。あるいは、「まち化」のような全く新しいビジネスモデルを遂げることで、ビジネスモデルの一つひとつがさらに進化していく。今後ともそんなグループであり続けたいと思っています。

Q2. 札幌には三越と丸井今井が同じ大通エリアに位置しています。とても近い場所にありますが、それぞれの特徴や差別化について、どのような戦略または方針を持っているか教えてください。
A2. 丸井今井は伊勢丹と同じ共同仕入れのグループに属していたこともあり、どちらかというと丸井今井の方が新宿の伊勢丹に近い高感度。三越の方が重厚感・おもむきがあり、建物やマーチャンダイジングを使い分けながら運営しています。
両店舗があることで非常に多くのお客様をカバーできる。お客様もその時々によって使い分けされているのが、近くに店舗がある非常に優位なところだと考えています。

Q3. 本業である百貨店業はインバウンドのお客様が増加しています。リッチな購買者層を対象に大きく変貌していますが、顧客の大幅な変貌に対し、従業員教育や意識改革のためにどのような努力をされていますか。どのようなノウハウがあるか、教えてください。
A3. インバウンドのお客様が全国的にも今、すごく増えています。昨日、今日と札幌の街を歩いていてもそれを感じます。札幌の私たちの2店舗で1年間を見てみると、15〜20%ぐらいがインバウンドのお客様です。特に2月は百貨店が比較的閑散期ですが、この時期に多くご来店いただいいる。また8月は、他の都道府県からのお客様が来店されている。従来、商売が少し下がる2月と8月をうまく支えるようになっています。
そして、インバウンドのお客様の接客も従来と随分変わっています。コロナ禍以前は、爆買いなどとテレビでも紹介され、バスツアーで来て、化粧品を大量に買うような形でした。それが今は、それぞれのブランドで日本の方と同じような丁寧な接客を受け、日本の百貨店のおもてなしを楽しみたいというお客様が非常に増えています。
我々としては、語学を含めた専門の要員を置いていますが、どちらかというと語学力よりは度胸。日本人と同じようなおもてなしをすることを大切にしながら、接客にあたっています。とはいえ80%以上は大切な日本人のお客様です。どこかに偏るということなく、様々なお客様に対して接客やサービスのバリエーションを増やすようにしています。

Q4. 次期中期経営計画で、海外アプリ会員を新たにKPIに加えられましたが、設定した背景を教えてください。
A4. これから日本全体が人口減となる中で、企業として大きく飛躍を遂げるには、海外の方がたまたま私たちのお店を利用される状態ではなく、日本の方と同じように、一人ひとりと繋がってきちんとご紹介したり、ご来店予定が分かるような状態にしたい。そのために次期中計の6ヵ年では、海外のお客様のアプリ会員数をKPIとしています。また、今テストしていますが、海外のお客様専用の外商にも取り組んでいます。
これらを通じ、海外のお客様がきちんと目的を持ち、意図を持って私たちのところに来ていただく状態を作り、グループの利益や企業価値を高めていきたいと思います。
以上

 

 

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