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オルバヘルスケアホールディングス株式会社(2689)
開催日:2025年3月1日(土)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長  前島 洋平 氏

1.はじめに
・ まず自己紹介ですが、私は元内科医で専門は腎臓内科でした。岡山大学医学部、大学院を修了し、医学博士を取得した後、米国ハーバード大学医学部の附属病院に3年間、研究留学をしました。2001年に帰国した後、岡山大学の助手、講師を経て、2011年からは慢性腎臓病および心血管病を研究する講座の教授を務めました。
・ その後、2014年に事業承継の目的で当社の取締役に就任し、翌年9月から代表取締役社長に就任して現在に至ります。
・ また、経営について体系的に学ぶ必要があると考え、GLOBIS経営大学院を修了し、経営学修士を取得しました。医師、教育者、経営者という三つの側面を持ちながら経営を行っています。

2.当社の概要
・ オルバグループでは、医療器材事業、SPD事業、介護用品事業の三つの事業を展開しています。売上高構成比は、医療器材事業が94%(営業利益20億円)、SPD事業が4%(同1億円)、介護用品事業が2%(同2億円)となっています。
・ 医療器材事業は、株式会社カワニシ、サンセイ医機株式会社、日光医科器械株式会社、株式会社カワニシバークメドの4社が、医材流通の専門的事業であるSPD事業は株式会社ホスネット・ジャパンが、在宅介護用アイテムを扱う介護用品事業は株式会社ライフケアが、それぞれ担っています。
・ 当社グループは主に中四国、近畿、東北、東京で事業を展開しています。事業所は全国に55拠点あり、地域医療に密着して顧客との関係性を築いています。
・ また、2023年にはタイ王国に合弁会社のタイオルバヘルスケア株式会社を立ち上げました。さらに、2025年1月には低熱分解型アップサイクルユニットを販売する株式会社オルシードを新たに設立しました。
・ 当社は、「ビジネスを通じて、医学・医療・介護の発展に貢献し、国民の健康長寿に寄与する」という企業理念(社員憲章)を掲げています。この企業理念の下、地域の医療インフラとして貢献し、医療・介護を止めないというミッションを社員全員で共有して、日々活動しています。
・ 社員憲章を社員に浸透させる取り組みの一つとして、社員が作成した4コマ漫画を、年10回発行する社内報に掲載しています。迷ったときに一人一人が社員憲章を軸に正しい行動を判断し、生き生きと働ける未来を目指して、グループ全体で企業理念を共有しています。

3.事業概要
・ まずは医療器材事業の取り扱い製品をご紹介します。医療機器は多品種・少量使用という特性があり、手術や患者さんに合わせて準備する必要があります。手術で使用する超音波メス、人工膝関節、ペースメーカー、新型コロナが重症化したときに使われていた心肺補助システム(ECMO)、人工呼吸器、手術支援ロボットのほか、小さなものではマスク、手袋、手術用ガウン、ガーゼ等の手術用消耗品も取り扱っています。医療機器は85万種類以上に上り、当社グループは全ての診療領域の医療器材を取り扱っています。
・ 医療機器販売商社は、医療機器メーカーと医療現場をつなぐ役割を果たしています。約1,000社の医療機器メーカーから医療機器や医療材料を仕入れて地域の各医療機関に販売したり、在庫保有による安定供給や緊急手術時の迅速な手配を行ったりしています。
・ 医療機器販売商社が存在しなければ、医療機関は手術のたびに自分たちで約1,000のメーカーから商品を選んで、手配しなければなりません。当社グループの営業担当者は各メーカーの製品や手術方法といった知識を豊富に有しています。最適な医療機器選別のサポートや適正な使用について、医師や看護師等に対する説明や支援を行っており、医療現場の課題解決に貢献しています。
・ 医療機器メーカーが製品開発や改良に注力し、医療機関が本来の目的である最適な医療の提供に専念できるよう、われわれ医療機器販売商社が間に入って、医療現場を支えるインフラとして医療現場をサポートしています。
・ 次に、SPD事業についてです。SPDはSupply(供給)、Processing(加工)、Distribution(流通)の頭文字を取った言葉で、医療機関の物品管理を総合的にサポートしています。具体的には、医療機関の物品配送、適正在庫の管理、購買価格の検証を行い、医療機関の活動の効率化を支援します。診療報酬管理の支援や手術室業務の合理化支援も行っています。
・ 次に、介護用品事業についてです。本事業では、ご自宅での介護を総合的にサポートしています。具体的には介護用の電動ベッドや車いすなどのレンタル、歩行補助器や補聴器などの販売、自宅に手すりを設置するなどのバリアフリー化の住宅改修も行っています。社内にはケアマネージャーが在籍し、ケアプランの作成、支援もしています。

4.医療機器販売業 業界説明・当社の強みと弱み
・ 医療機器の国内市場規模は政府の医療費抑制政策はあるものの、毎年2〜3%、安定的に成長しています。新型コロナウイルス感染症の影響からも回復し、手術数増加や新規製品導入により市場は拡大しています。2024年度は3兆7,940億円と予測されています。
・ 次に、広域医療機器販売商社の状況です。医療機器販売商社は地域ごとに展開しており、全国で1,000社以上の医療機器販売商社が存在しています。今後はM&A等による業界再編が進む可能性があります。当社グループは引き続き地域医療に密着し、高齢化社会にも対応しつつ医療・介護に貢献していくとともに、M&A等も視野に入れながらさらなる成長を目指します。
・ 当社の強みは、第一に中四国圏でのシェアがNo.1という点です。迅速な対応や情報提供能力を通じた、顧客と仕入れ先からの信用を基盤に、安定的に確保された利益を源泉に新規投資が可能となっています。
・ 2点目の強みは、成長の源泉となる人材育成・DX投資です。新入社員に専門的な教育を約1年間行い、顧客ニーズを的確に把握できる人材を育成しています。また、当社独自の電子カタログシステムをはじめとするICTツールを活用し、競合に勝る営業活動の展開が可能となっています。
・ 次に当社の弱みを2点挙げます。1点目は低利益率です。当社のような卸売業は一般的に利益率が低い業界ですが、当社としてはタイをはじめとした海外展開、自動精算機等の高付加価値な自社開発商品の販売などを通じた収益性改善を目指しています。
・ 2点目は大都市圏での低シェアです。業界の特性上、新規地域への進出は困難ですが、医療機器以外の分野での全国展開などにより大都市圏への販売も拡充しています。クリニック向け自動精算機は販売先の約4割が関東圏で、今後も大都市圏での販売を増やしていく予定です。
・ 次に人材育成についてです。当社グループの競争優位性の源泉は、第一に人材力です。業界内でもいち早く社内教育の重要性を認識し、30年の歴史を持つ社内教育制度「OLBA Academy」をはじめ、新入社員から幹部社員まで各ステージに合わせて最適な学びの機会をシームレスに提供。医療の専門知識に加え、マネジメント力の強化にも力を入れています。
・ 顧客のニーズを伺い、課題解決に貢献する商品を見だすには、医療・介護に関する深い理解、製品知識が必要です。当社グループの社員が培ってきた医療・介護分野の専門性は顧客から高い信頼を得ており、競合との差別化にもつながっています。

5.業績概要・株主還元
・ 2024年6月期の連結業績は、連結売上高が1,185億6,400万円、営業利益が22億2,600万円、経常利益が22億4,400万円で、親会社株主に帰属する当期純利益は15億円となっています。通期決算では、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益ともに過去最高となりました。1株当たりの当期純利益は251.68円でした。
・ 次に、前期の主だった業績をまとめます。売上高と営業利益は過去最高でした。ROEは13.8%で、5年平均でも12.7%です。PBRは1.05倍でした。配当利回りは4.0%で比較的高水準となっています。DOE(株主資本配当率)も4.4%で比較的高くなっています。
・ 2025年6月期 第2四半期時点の業績トピックをご紹介します。世界的なインフレ・円安の影響で、海外製品が多い医療機器の価格は上昇傾向が継続しています。しかし、当社では営業活動の拡大や仕入れ改善とともに、医療機関の要望に応じた代替品の提案、販売価格転嫁の交渉を行うことで一定の利益水準を確保しています。
・ 主力医療器材事業においては、カワニシが2024年7月に神戸営業所を支店へと昇格させ、関西支店を設立しました。近年、注力している関西エリアでのさらなる顧客獲得と、事業拡大の取り組みを強化しています。
・ 医療器材事業における消耗品販売については、福島県でオリンパスマーケティング社との協力体制を2023年4月に開始し、消化器内視鏡関連製品の売上高が前期比9.1%増と堅調に伸びています。また、関西エリアでの新規施設の獲得により、循環器消耗品の売上高も前期比8.7%増となっています。
・ 2025年6月期 第2四半期の連結業績は、売上高が606億2,700万円、営業利益が8億800万円、経常利益が8億2,400万円で、親会社株主に帰属する中間純利益は6億4,800円となりました。中間決算としては売上高、売上総利益、親会社株主に帰属する中間純利益が過去最高となりました。1株当たり中間純利益は109.44円でした。
・ なお、親会社株主に帰属する中間純利益の予算比、前期比での大幅な増加は、子会社の本社移転統合計画に伴う過年度の不動産減損処理に関する税効果会計の影響によるものです。
・ 2025年6月期の通期連結業績予想は、連結売上高が1,237億2,600万円、営業利益が22億7,000万円、経常利益が22億5,300万円で、親会社株主に帰属する当期純利益は14億6,500万円の見通しです。売上高、売上総利益、営業利益、経常利益は過去最高を見込んでいます。
・ 2024年6月期と比較した2025年6月期の営業利益予想の増益要因としては、医療器材事業における安定的な市場成長に加え、2024年6月期に獲得した関西の大型施設の本格稼働が挙げられます。SPD事業、介護用品事業についても利益増が見込まれますが、一方で、人的資本への投資や営業活動・間接業務双方の生産性向上に向けたシステム、IT投資等を継続するため、販管費も大きく増加する見込みです。これらを踏まえた連結営業利益の予想は、前期比4,400万円プラスの22億7,000万円となる見通しです。
・ 次に、直近4年間の連結売上高実績の推移と2025年6月期予想についてです。新型コロナやインフレ、円安等の影響もありましたが、業績は毎期順調に増加し、2024年6月期の売上高は過去最高の1,185億円となりました。2025年6月期は1,237億円を予想しており、過去最高ならびに5期連続の増収を見込んでいます。
・ 直近4年間の連結営業利益実績の推移と2025年6月期予想については、2024年6月期は営業利益22.2億円(22億2,600万円)と、過去最高となりました。2025年6月期は22.7億円(22億7,000万円)と予想しており、こちらも過去最高ならびに5期連続の増収を見込んでいます。
・ 次に、配当の基本方針についてです。基本方針の1つ目は、増配または維持を目指すこと。2つ目は、成長投資に備え内部留保に努めること、です。2024年6月期の1株当たり配当金は80円で、5期連続の増配となりました。2025年6月期も引き続き80円の配当を予定しています。
・ 上場企業の全業種におけるDOEの平均は2%台と言われていますが、当社のDOEは2024年6月期末で4.4%となっています。また、配当利回りも4.0%で、DOEおよび配当利回りは比較的高水準となっています。
・ 当社グループの資本コストと資本収益性の現状についてです。当社の株主資本コストは6%前後で推計しています。一方、ROEは一過性の特殊要因で大きく下がった年度がありましたが、おおむね12%以上で推移し、継続的に資本コストを上回る資本収益性を達成しています。ROEから株主資本コストを引いた、いわゆるエクイティスプレッドは6〜7%程度で推移しています。
・ 次に当社のPBR向上に向けた取り組みです。まず前期末のPBRは1.05倍でした。スタンダード市場の卸売業の加重平均0.9倍は上回ってはいますが、さらなるPBRの向上を目指したいと考えています。
・ PBRはROEとPERに分解されます。当社はPBR向上のためには、特に売上高純利益率と期待成長率の向上が重要であると認識しています。売上高純利益率は、DX等による効率化で生産性を向上させ、高付加価値の新規事業の育成を推進しています。期待成長率については、海外事業比率の向上や新規事業の育成、積極的なIR活動などによる当社の認知度向上を図り、PBRのさらなる向上を目指しています。
・ 株主優待については、当社の株式を1年以上保有いただいた株主の皆さまには保有年数、所有株式数に応じたQUOカードを謹呈しています。

6.中期経営計画
概要
・ 2025年6月期から2027年6月期にかけての中期経営計画では、当社の企業理念である社員憲章の共有により一体感、事業への共感を醸成しながら、OLBA-DXの推進やITスキルアップを図っていきます。また、生産性向上に関しては物流のイノベーションも図っていきます。そして未来への投資として、新規事業の育成、海外事業、外部との連携促進、サステナビリティなどを進める取り組みをしていきます。そして、3期目の2027年6月期の時点で連結売上高1,350億円、連結営業利益27億円の達成を目指します。
・ 当社は「VISION 2030」において、2030年までにありたい姿として「国内最高の医療機器商社となる」「営業利益の20%を海外事業から得る」「30以上の新製品・サービスを生み出す」の三つを挙げ、その実現に向けて取り組んでいます。
OLBA-DX
・ 次にOLBA-DXの施策をご紹介します。DX推進室を設置し、デジタル技術を駆使するヘルスケア業界のリーディングカンパニーとなり、ステークホルダーに新たな価値を提供することを目標として、グループ各社の業務改革を進めています。
・ 顧客への新たな価値創造としてWebオーダーアプリを開発しました。社内では独自の電子カタログの運用や名刺管理システム、経費精算システムの運用により営業支援や業務効率化を図っています。RPAやノーコードツールなども積極的に活用し、強固なセキュリティ対策としてランサムウェア対策であるEDR(エンドポイントセキュリティ)を運用しています。
・ 現在は、さらなる営業支援、業務効率化を目指して、CRM(顧客情報管理)、SFA(営業支援システム)の構築、販売管理システムの刷新、生成AI利用拡大、情報セキュリティ対策を進めています。
・ DX人材育成の取り組みとして、昨年11月にノーコードツール活用勉強会を実施しました。グループ各社から選抜されて参加した社員が自身の業務を効率化させるアプリを開発し、その成果を社内の発表会で報告する予定です。また、生成AI活用勉強会やeラーニングによる全社員向けDXリテラシー教育等により、グループ全体でDX人材育成を推進しています。
ロジスティクス・イノベーション
・ 物流統合システム「Li-Flo」が2022年より順次稼働し、グループ全社への拡大に向けて取り組んでいます。「Li-Flo」は在庫管理強化、使用期限等の品質管理強化、整形外科手術機器の貸出業務効率化などを目指して開発しました。バーコード読み取りによる倉庫内での商品ピッキング作業の効率化、納品書出力の効率化、棚卸時間削減等の効果が既に得られています。
・ 計画中の新岡山物流センターは2027年7月の稼働を目指しています。業務効率化やBCP対策、新たな物流ネットワーク構築、中四国地域における医療機器供給のハブ拠点形成を趣旨として、「医療を止めない」の理念の下、地域医療を支え、医療機器の安定供給を担うことを目指しています。
新規事業@
・ カワニシバークメドが事業展開しているクリニック向け自動精算機「テマサック」は、診療報酬請求システムであるレセプトコンピューターと連携し、キャッシュレス決済にも対応しています。会計業務の省力化に努めるクリニック・医院を中心に導入が進み、この半年間で165台、2024年12月末時点では累計664台導入されました。
・ 販売先の約4割は関東圏ですが、日本全国のクリニック等で導入されており、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡に続き、昨年7月に北海道にも販売拠点を開設しました。
新規事業A
・ 次に、低熱分解型アップサイクルユニット「OLSTECH(オルステック)」をご紹介します。医療や介護の現場で日々大量に廃棄されるナイロン手袋やおむつ等を、環境に優しい形で処理できないかという発想から、大阪大学環境安全研究管理センターとの共同研究で完成した製品です。
・ OLSTECHの特徴は、200〜300℃の低熱低酸素下で有機物を分解することで、二酸化炭素やダイオキシンの排出を大幅に抑制する点です。さまざまな有機ごみを燃焼させずに、4時間から一晩で300分の1の容積にサイズダウンし、生成した粉末状の炭酸塩は二次利用も可能です。1m2モデルで4畳半程度のサイズで、24時間連続運転しても月々のランニングコストは2、3万円に抑えられる見込みです。
・ SDGs推進にも貢献可能であり、一般ごみの分解目的で昨年8月から日本全国へ販売を開始し、昨年11月からは沖縄県竹富町にて離島でのごみ問題解消の運用実験を始めています。
・ OLSTECHの販売事業を専門に行う、当社100%子会社の株式会社オルシードを2025年1月に設立しました。現在、さまざまな業界、顧客先から問い合わせを頂いています。
新規事業B
・ 次に、産婦人科向けの新生児ライブ配信&メモリアルムービー作成サービスの「Babyeets○R(ベビーツ)」をご紹介します。新生児と母親の入院期間に、ご家族がいつでもどこでも専用カードを読み取るだけの簡単操作で、赤ちゃんの映像をスマホやPCからリアルタイムに視聴できるサービスです。退院後にはメモリアル動画を提供します。
・ 出産直後の感動や新生児の記録を家族、親族へ届けたい、新生児に対する愛着形成を促進したいという思いから開発に至り、2024年12月に愛媛大学医学部附属病院で運用を開始しました。利用者からは「ライブ配信を簡単に見ることができ、両親にも喜んでもらえた」「帝王切開で動けないときに、わが子を見ることができてうれしかった」という声を頂きました。
新規事業C
・ 2023年1月にタイでタイオルバヘルスケア株式会社を設立し、海外事業を開始しました。タイはASEAN地域の経済的、地理的なハブとなっていること、現在の日本のように急速な高齢化が今後見込まれること、タイ政府が医療産業の育成に注力していることが進出理由です。
・ 主な事業の一つは、病院の薬局などに設置する全自動錠剤分包機の販売です。株式会社タカゾノとタイにおける正規販売代理店契約を締結し、現在、第1号の病院への設置準備を進めています。二つ目はリハビリ用機器の販売です。株式会社モリトーなどと連携して販売準備を進めています。これらの取り組みを拡大して、タイ国内でビジネス基盤を形成し、将来的にはASEAN各国への展開を視野に事業拡大を図っていきます。
医工連携
・ 当社は医工連携に参画しています。当社社員が臨床現場で医療従事者から医療機器開発ニーズを伺い、メーカーやものづくり企業、地域産業支援機関とも連携してさまざまなコンサルティング機能を果たしながら、公的資金も活用して新規医療機器の開発に貢献しています。私も一般社団法人日本医工ものづくりコモンズの理事として、医工連携活動を進めています。
・ 市場調査、開発ニーズ収集とブラッシュアップ、販路開拓支援などは地域産業支援機関等から有償で案件を受託しています。医療機関への販路としても機能し、最適な医療の実現に貢献していきます。
・ また、AMED(日本医療研究開発機構)の研究事業である「HealthTechHub中四国」にも参画しています。私も特任フェローとして参加していますが、これにより、広域的なインフラや地域資源を生かした中四国地域の医療機器開発の連携ハブ拠点の運用を推進していきます。
ESGへの取り組み
・ Environment(環境)分野ではOLSTECHの販売等により、環境負荷低減に取り組んでいます。Social(社会)の取り組みは人的資本への投資、働き方改革として2023年に引き続き、2024年にも定期昇給とベースアップを合計4〜5%程度で実施しました。また、男性の育児休業取得者も徐々に増加しています。社員が安心して働き続けられる職場を目指して、女性活躍推進、社員エンゲージメント向上などの取り組みも行っています。
・ 私は元内科医ですので健康経営を推進していますが、当社は2024年の健康経営法人に認定されました。2024年9月からは新たな福利厚生制度として、社員が病気やけがで長期間働けなくなった際に収入の一部を保証するGLTD制度も導入しています。
・ そしてGovernanceの分野では経営の透明性・効率性・健全性を確保しながら、当社グループの企業価値向上を図っていきます。
株主還元の取り組み
・ 先ほどもお話ししましたが、当社は「VISION 2030」において、2030年までにありたい姿として「国内最高の医療機器商社となる」「営業利益の20%を海外事業から得る」「30以上の新製品・サービスを生み出す」の三つを掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。主力市場である医療・介護業界では、今後も医療機関や患者様に安定した医療・介護サービスを提供するべく活動していきます。成長戦略としては、自動精算機や低熱分解型アップサイクルユニットの販売、タイへの進出など新規事業の拡大を図り、オルバグループのさらなる発展を目指します。そして、これらの事業で得た収益は積極的に株主還元を行いつつ、企業価値の向上に努めていきます。

7.質疑応答
Q1.世界的に続くインフレや円安は、御社にどのような影響を与えていますか。
A1.手術等で使われる高額な医療機器は海外メーカーの製品が中心ですが、当社では海外製医療機器を直接輸入するのではなく、海外医療機器メーカーの日本法人や商社を通じて日本円で購入しています。そのため、為替相場が日々の仕入れ代金に直接的な影響を与えることはありません。
しかしながら現在の世界的なインフレや円安の影響により、日本法人からの値上げ要請が増加し、当社も一部値上げを受け入れざるを得ない状況となっています。仕入れ価格の上昇分を販売価格に転嫁するため、取引先との交渉を粘り強く進めています。また、営業エリアの拡大や、販売先に対しては既存医療機器の代替品の提案を行い、一定の利益水準を維持しています。
一方で物価高騰や人件費の上昇などにより、病院の経営環境も厳しさを増しています。引き続き営業努力を重ねるとともに柔軟に対応していきたいと思います。

Q2.御社が特に期待する新規事業について教えてください。
A2.カワニシバークメドが販売するクリニック向け自動精算機事業に期待しています。スーパーなどにもセルフレジはありますが、クリニックでは診療報酬を取り扱うため一般的な精算機ではデータ連携に対応できません。当社の自動精算機はクリニック向けに自社開発したもので、診療報酬を請求するためのレセプトコンピューターとの連携が可能です。多くのキャッシュレス決済にも対応し、2024年7月の新紙幣移行にも対応しています。
カワニシバークメドは2019年7月に設立した若い会社ですが、感染対策や人手不足、業務効率化などの時流を捉え、2024年12月時点で累計664台の自動精算機を全国のクリニックに納入しました。2025年6月期の上半期は納入台数が対前年同期比65%増となり、今後ますますの販売拡大を見込んでいます。

Q3.配当金を5期連続で増配されましたが、今期末も増配となる可能性はありますか。
A3.当社の配当は5年間で倍増しています。2023年10月からは増配または維持を目指しながら、成長投資に備えた内部留保にも努める、いわゆる累進配当の方針に変更しました。期末日現在の株価で見ても配当利回りは4%前後、DOEは4.4%であり、市場平均よりも高い比率での配当を実施しています。
今期末の配当金は現時点では1株当たり80円を予定していますが、今期の業績動向や来期以降の市場動向、当社グループの成長投資等の計画なども考慮しながら、今後の配当水準を検討していきたいと考えています。引き続き企業価値向上に努め、株主の皆さまへの還元が増加するように努めていきます。

Q4.医療器材事業では、神戸営業所が関西支店に昇格しました。関西エリアでの顧客獲得が進んだ背景や、支店昇格の経営的なメリットについて教えてください。
A4.当社グループは神戸市、姫路市等の兵庫県南部を重点エリアと位置付け、子会社であるカワニシが営業活動を行っています。この地域は大都市圏に近いため市場規模が大きく、当社にとって重要な成長エリアであると認識しています。数年にわたって営業活動を強化し、顧客基盤の拡大や業績向上に取り組んできました。
今回、営業体制をさらに強化する目的で、カワニシの神戸営業所を関西支店に昇格させました。新たに関西支店長も配置し、顧客である医療機関や、仕入れ先の医療機器メーカーへの対応力を向上させました。
神戸営業所と姫路営業所を一体的に管轄することで組織体制を強化し、より効率的な営業活動を実現しています。関西エリア全体では当社の別の子会社である日光医科器械が大阪、奈良を中心に整形外科分野を主軸とした営業活動を展開していますが、新規顧客獲得によって業績拡大に寄与しています。
物価高騰などの影響で市場環境は厳しい状況にありますが、関西地域は引き続き成長が期待できる重要な市場です。当社グループとしては関西地域での営業活動を強化して、顧客基盤の拡大を図ることで企業価値の向上を目指していきたいと思います。

                                      以上

 

 

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