アズビル株式会社(6845)
開催日:2025年3月4日(火)
説明者:代表取締役副社長 横田 隆幸 氏
1.azbilグループ〜人を中心としたオートメーション〜
・ azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」で、人々の「安心、快適、達成感」を実現するとともに、地球環境に貢献することをグループ理念に掲げています。「計測」と「制御」の技術を核として、1世紀余りにわたり、社会の基盤や生活に密着したユニークなオートメーション事業をグローバルに展開してきました。業績に関しては、2023年度は連結売上高2,909億円、営業利益368億円を計上しました。今年度(2024年度)については、当初計画を上方修正し、連結売上高3,010億円、営業利益402億円を見込んでいます。これは4期連続の増収増益であり、過去最高売上高・利益になります。配当金は10期連続の増配を計画しています。
・ 当社は4半世紀前までは、山武ハネウエルという社名を冠していました。当社の歴史は古く、日本が工業化へと進む1906年に創業者の山口武彦により、機械工具の輸入事業からスタートしました。山口武彦は、手作業だったさまざまな苦役を技術で解放するという使命感を抱き、創業の精神を「人間の苦役からの解放」と定めました。その後、輸入業者から、自らものづくりを行うメーカーへと変わり、2000年代には「人を中心としたオートメーション」というグループ理念を定め、社名をアズビルに変更しました。現在は国内外に58社、グループ社員1万人が働くグローバル企業になりましたが、創業時の精神を変わらず受け継いでいます。
・ 当社グループの事業の要であるオートメーション事業についてご説明します。
・ 当社グループは、「計測」と「制御」の技術を核に、オートメーション事業を通じて、工場やプラント、オフィスや商業施設、暮らしを支えるライフラインなど、社会のあらゆる場所で価値を提供し続けています。「計測」と「制御」の技術を基に、ビルやプラント、ライフラインなど、普段皆さんから見えにくいところのあらゆる場所で、社会活動の重要な基盤をサポートしており、「縁の下の力持ち」の役割を自負しています。その役割を担い、現場で価値を作ることにより、快適で豊かな社会と地球環境保全を両立させることを目指しています。
・ 従来のオートメーションは、オフィスや生産現場において、あるべき一定の物理的な数値目標を達成するために計測し、制御をしていました。例えば室温を25度に設定したら、とにかく25度にすることを目指す。暑がりの人、寒がりの人という個人差は排除されていました。それに対して当社の「人を中心としたオートメーション」は、個々人の温冷感を反映したオフィス環境を提供し、また、生産現場での働き方を改善するなどして、働く人々の充足感と、お客さまの目標達成を目指しています。
・ 当社グループは、計測と制御の技術をどこに適用するかという対象によって、ビルディングオートメーション(BA)事業、アドバンスオートメーション(AA)事業、ライフオートメーション(LA)事業という3つの異なる事業を展開しています。
・ ビルディングオートメーション事業は、オフィスビルや工場、最近ではデータセンターなど、さまざまな用途の大規模建物に、空調制御に必要な製品やシステムをお届けしています。開発・生産・販売からエンジニアリング、施工、保守サービスまでを一貫した体制で提供しています。さらに、新たなセンシング技術やクラウドやビッグデータ等の技術と融合し、ビルに新たな付加価値をもたらす最先端の空調制御を目指しています。ビルディングオートメーション事業の特徴は、建物のライフサイクルの各段階において、当社製品やメンテナンスサービス体制によって、お客さまの建物を最適な状態に維持できることです。当社の高付加価値を提供できる機会が、建物のライフサイクルによって周期的に創造され、安定した収益を繰り返し生み出しています。
・ アドバンスオートメーション事業は、工場・プラントなど製造業向けの事業を展開しています。化学、石油、鉄鋼などの素材産業に関わるプロセスオートメーション(PA)分野から、工作機械や半導体製造装置等の加工組み立て産業に関わるファクトリーオートメーション(FA)分野まで、さまざまな製造現場における課題解決に向け、装置や設備の高度化やライフサイクルでの最適運用を支援する製品、ソリューション、計装・エンジニアリング、保守サービスを提供しています。IoT、ビッグデータ、AIといった最先端の技術を活用したシステム、ソフトウエアで、より安全で安定した操業をサポートしています。
・ ライフオートメーション事業は、ガス・水道などのライフライン分野と住宅用全館空調システム分野からなります。特にライフライン分野では、ガス・水道メーターなどのスマート化や、そこで収集するデータとクラウドを活用したデータソリューションの展開による付加価値の創造を目指しています。特に未来の水道メーターには、データ分析によって、昨今話題になっている上水道の漏えい検知にも貢献できる機能を持たせたいと考えています。
・ 当社のグローバル体制における販売・サービス網については、アジア地域を主体として、23の国と地域に展開しています。また、日本とアメリカに製品ソリューション開発のための研究開発拠点を置いています。グループのサプライチェーンの川上を担う生産拠点に関しては、国内の10工場、海外の9工場が連携して生産活動を行っています。今年度(2024年)は、新たにベトナムに工場を設立することを決定しました。
2. 長期目標・中期経営計画
・ 当社は2030年度に売上高4,000億円、営業利益600億円、営業利益率15%程度を長期目標として掲げています。現在はそのファーストステップとして、2021年度から2024年度までの4年間の中期経営計画を遂行中であり、今年度(2024年度)が最終年度になります。インフレ、人件費の高騰など、事業環境は大きく変動していますが、こうした変化への対応、各種施策の実施により、現中期経営計画は着実に進捗しています。事業収益力の強化と戦略投資の強化を進めながら、最終年度である2024年度の連結業績計画では、売上高3,010億円、営業利益402億円、営業利益率13.4%と、2021年度に策定した中期経営計画業績目標を上回る業績を達成できる見込みです。長期目標の達成に向けて、引き続きオートメーション技術を共通基盤とした3つの成長事業領域での成長を核に、各事業でグローバルでの成長を目指していきます。
・ 3つの成長事業領域とは、「新オートメーション事業」「環境・エネルギー事業」「ライフサイクル型事業」です。これらの事業領域は、カーボンニュートラルの実現などの社会課題の解決から、お客さまの新商品開発・生産のためのソリューションなど、新たな市場ニーズに応えていくことで成長が期待できる事業領域です。
・ 3つの成長事業領域での事業拡大に向けて、現在の中期経営計画では、「商品力強化」、「技術開発・設備投資強化」「人的資本への投資強化」に注力しています。例えば、「技術開発・設備投資強化」では、微小な半導体のチップであるMEMS(メムス)やAI活用など、当社グループならではの商品力強化に欠かすことのできない分野において、研究開発費の投入、設備投資を積極的に進めています。「人的資本への投資強化」の観点では、先端技術者、フィールドエンジニアなど事業戦略と整合する人材の確保・育成に取り組んでいます。また、資本コストを意識した経営にも取り組んでいます。24年度は「事業ポートフォリオの再構築」の観点から、過去に買収した海外事業子会社の売却を実施し、より強い経営体質の構築に努めています。
・ 3つの成長事業領域を伸ばしていくための「商品力強化」の事例をご紹介します。
・ 「新オートメーション事業」では、オンライン異常予兆検知システム「BiG EYES™(ビックアイ)」とビル向けクラウドサービスにおいて、AIやクラウドを活用し、お客さまに最適なソリューションを提供しています。
・ 「BiG EYES」は、工場・建物のプロセス、設備、製品品質、排水や大気などの環境変数を常時オンラインでモニタリングし、いつもと異なる動きを予兆の段階で検知するAIを応用したシステムです。さまざまな市場で7,000を超えるAI監視モデルが稼働しています。
・ ビル向けクラウドサービスは、ビルオーナーからビル管理者、建物居住者(テナント)まで幅広くサービスを提供しています。クラウドを活用し、BAS(ビルディングオートメーションシステム)機能の高度化から、ウェルネス、BAS機能のテナントへの開放などで、顧客と事業領域の拡大を目指しています。
・ 「環境・エネルギー事業」では、脱炭素社会、いわゆるカーボンニュートラルの実現を目指して、経済社会システムの変革といわれるGX(グリーントランスフォーメーション)を推進しています。この分野では、当社グループの技術や知見を生かし、さまざまな分野で活躍する企業や各種研究機関とのパートナーシップや事業連携を拡大することで、GXがより広く社会に実現することを目指しています。
・ 他社との事業提携、出資による事業開発の取り組み状況についてご説明します。
・ 環境・エネルギー事業領域での拡大に向けて、太陽光発電など再生可能エネルギー分野の株式会社クリーンエナジーコネクト(CEC)と提携しています。当社グループが持つ省エネルギーソリューション、サービス力と、CECの持つグリーン電力ソリューションを組み合わせることで、エネルギーサービスプロバイダー事業を進めています。
・ 環境・エネルギー事業以外の成長が期待できる分野として、例えば成長するデータセンター市場への対応という観点で、海外製SCADAシステムを得意分野とするX1Studio株式会社との業務提携を行いました。海外のシステムと当社のシステムをつなぐ分野での提携ができたことによって、国内外のデータセンター事業への当社の事業参画についてのお問い合わせが急増しています。
・ 「ライフサイクル型事業」の展開として、クラウド技術を活用したサービスの事業を紹介します。
・ 1つ目に、クラウド型バルブ解析診断サービスでは、バルブの稼働データをクラウドに自動送信し解析します。プラントや工場で稼働するバルブの健全性を診断し、その結果を可視化することで、生産設備の安定化や保安力強化に貢献するサービスです。
・ 2つ目に、SMaaS(Smart Metering as a Service・スマース)事業は、ガス・水道等のスマートメーターとクラウド技術を融合させたサービスを展開しています。従来のメーターの「はかる」という機能に加え、スマート化したメーターからデータをリモートで収集し、新しい付加価値を提供していきます。将来的には上水道等の漏えい検知にも役立っていくと考えています。
3.株主の皆様への還元
・ 当社グループは、株主の皆さまへの利益還元を経営の重要課題の一つと捉え、取り組んでいます。株主還元を含めた資本政策の基本方針は、株主還元の充実、成長に向けた投資、健全な財務基盤の3つのバランスに配慮しながら、規律ある資本政策を展開し、当社グループの企業価値の維持・向上を図ることとしています。
・ 24年度の年間配当計画は、10月に実施した株式分割前の換算で、前年度比12円増加の1株当たり88円を計画しています。また、規律ある資本政策、資本効率の観点から、自己株式150億円の取得を進めています。取得した自己株式については、今後、人的資本投資に充てるとともに、既に52億円分については償却を実施しました。なお、2024年10月1日にも分割比率1対4で株式分割を実施しました。これにより、1株あたり5,000円近辺だったものが1,000円台となり、個人投資家の皆さまにも投資しやすい環境が整えられたものと考えています。
・ 配当については、DOE(純資産配当率)を主要指標として参照し、その水準の向上を進めてきました。2024年度は10期連続となる増配計画を進めています。これにより、DOEは、当社の計算で5%という水準にまで向上する見込みです。自己株式の取得も機動的に実施していきます。
4.サステナビリティへの取組み
・ 当社グループは、グループ理念から持続可能な社会の実現までの道のりを「直列」に捉えています。電池を直列につなぐとパワーアップするように、「直列」という言葉には将来に向けて突き進んでいくイメージがあります。SDGs目標達成のための活動を連続的に実施することで、持続可能な社会の実現に具体的に、真っすぐに貢献していきます。
・ 「azbilグループSDGs目標」では、「新オートメーション」「環境・エネルギー」「健幸経営、学習する企業体」「サプライチェーン、社会的責任」という4つの項目を設け、それぞれに具体的な指標となるKPIを設定して取り組んでいます。
・ 「環境・エネルギー」のKPIの一つに、お客さまの現場におけるCO2削減効果として、2030年度に340万トンのCO2削減を目指しています。当社グループはオートメーション事業を通じて、自社におけるCO2排出量の削減を大きく超える削減が可能であるという特徴を持っています。2023年度の当社グループのCO2の年間総排出量は1.6万トンでしたが、お客さまの現場においては、その170倍に当たる284万トンのCO2を削減することができました。当社の事業活動を通じて、お客さまの現場における環境負荷低減に「直列」に貢献することができていると考えています。技術の進歩と合わせて今後の目標に挑戦していきます。
・ 当社グループがオートメーション事業を通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するためには、社員一人一人が高い生産性と創意工夫をもって事業にチャレンジしていくことが不可欠だと考えています。このため、人的資本へのさまざまな投資、制度の充実を図るとともに、社員が健康で生き生きと能力を発揮できるように、働き方改革とダイバーシティー推進を両輪とした独自の取り組みを、「幸(しあわせ)」の文字を使った「健幸経営」を進めています。
・ 当社は、2022年6月に、コーポレートガバナンスへの取り組みを強化するため、指名委員会等設置会社へ移行しました。取締役12名のうち、社外取締役が8名と、過半数を占め、各法定委員会の委員長は社外取締役がその任に当たっています。これによって監督機能と執行機能の明確な分離を図り、意思決定の迅速性を高め、経営の監督機能のさらなる強化を実現しました。2025年2月27日に発表しましたように、来たる6月の株主総会を経て、新たな社外取締役を迎えるとともに、取締役の体制にもさらに変更を加え、12名から10名へ変更する予定です。その中で10名中7名が社外取締役となり、圧倒的な過半数を占めることになります。さらに、2025年度から社外取締役が取締役会議長を務める体制に変更します。
・ これらの施策を着実に実施し、サステナビリティ経営を推進していきます。
・ 当社のサステナビリティに関する取り組みについては、社会の皆さんから比較的高い評価をいただいています。しかし、まだ課題や向上に取り組むべき点があると考えています。いただいた評価をさらなる改善のエネルギーにしていきます。
5.持続可能な社会へ向けて、さらなる挑戦へ(大阪・関西万博協賛のご案内)
・ 当社グループは創業から110年余り、「計測」と「制御」によるオートメーション事業を通じて、さまざまな課題の解決に取り組んできました。持続可能な社会の実現に向けて、オートメーションの役割、活躍できる領域はますます拡大し、当社グループも成長していくことができると考えています。
・ 「いのち輝く未来社会のデザイン」をコンセプトに、2025年4月から大阪・関西万博が開催されます。当社は、大阪・関西万博の「テーマウィーク」のブロンズパートナーとして、万博会場にて、「循環型な持続可能社会に直列につながる新6次産業チャレンジ」「社内で緩やかにツナガル大作戦」「AI共創で描く、自分らしい成長と未来の働き方」というテーマで発表を行う予定です。ご来場の際はぜひ足を運んでいただけたらありがたいです。オンラインでも配信予定ですので、ご覧いただければ幸いです。
6.質疑応答
Q1. 最高益更新を続ける原動力は何ですか。続けての成長は可能でしょうか。
A1. 2021年度からスタートした現在の中期経営計画の期間においても、当社はグローバルにいろいろな変化を経験してきました。例えばサプライチェーンにおける問題、特に部品の高騰や全般的なインフレ環境も事業に大きな影響を与えました。その中でも安定した収益を経常的に記録することができたのは、商品の販売からメンテナンスサービスまで、ストックをベースにしたビジネスモデルを持っていること、また、それらを基にお客さまの事業環境の変化やお客さまのニーズに対して迅速に対応してきたからだと思います。当社は製造業でありながら、利益の構造を見ますと、今や半分以上がサービス事業から流れてきているものになります。このような継続的なサービス事業、あるいはエンジニアリング関係の事業が、当社の事業の安定性の大きな強みになっています。また、われわれ自身の努力としても、技術開発や設備投資の強化、他社との協業の強化などによって、商品力や技術力をパワーアップし、人的な資本を向上させていくための投資を行ってきたことが背景にあると思います。加えて、執行側の意思決定の迅速性を高めるために、2022年から指名委員会等設置会社に移行するなど、コーポレートガバナンスの強化にも挑戦しています。「計測」と「制御」の事業は、どのような事業環境にも求められると同時に、どのような事業環境にも対応できる、機動性の高い事業であり、今後もさらに成長を目指していけるものと考えています。現在策定中の次期中期経営計画でも、長期計画を見据え、さらなるステップアップを図っていけるように頑張りたいと思います。
Q2. 株主還元についてのお考えをもう少し詳しく教えてください。増配を続けている背景は何でしょうか
A2. 株主の皆さまへの利益還元は経営における極めて重要な課題であると考えています。当社の安定的な収益基盤を株主の皆さまにもしっかり享受していただくためには、安定的な配当水準の向上が鍵になります。そのために、他社ではあまりないことですが、当社は過去から純資産配当率(DOE)を主要指標として参照し、その水準の向上を進めており、今年度(2024年度)はDOEを5%レベルまで上げる計画です。自己株式の取得についても、この10年間、機動的に実施してきました。それ以前は自己株式取得を実施していませんでした。潤沢なキャッシュフローが生まれてくる以上、株主の皆さんにしっかり還元させていただく意味で、配当に続いて自己株式の取得も重要な株主還元の要素だと認識しています。引き続き、株主の皆さまへの還元を着実に実施していきます。株主優待制度については、当社の事業の性質上、仕事に直接結びつくところで皆さんに還元するものがなかなかないのですが、将来的には選択肢として検討していかなければならないと考えています。株主優待については、特に海外の方や法人の投資家さんなどから、公平感に欠けるのではないかという意見もありますが、当社としては今後を見据えて、考えていく必要があると考えています。また、個人投資家の皆さんに当社株を検討していただきたいという考えから、2024年10月にも1対4の株式分割を実施し、1株1,000円台で取得できるようになりました。当社の株価はこの10年で3倍になりましたが、決してそれに満足せず、さらなる成長を遂げていきたいと思います。
Q3. 御社と同じようなオートメーション事業を行っている他社があれば教えてください。また、その他社との違いや、御社の強みと弱みを教えてください。
A3. 当社の事業についてもう一度簡単にご説明しますと、まず、大型のオフィスビルの空調制御をする事業があります。この事業は、データセンターもカバーしています。この事業の国内市場シェアは約7割です。また、産業界向けに、制御機器や計測器をプラント工場等に納入し、そのサービスを展開するエンジニアリングの事業もあります。さらに、皆さんのご家庭にもあるような計測メーターなどを提供する事業もしています。ですから、単純に会社同士で比較するのは難しいのですが、例えばビルディングオートメーション(BA)事業では、当社が国内で圧倒的なシェアを有していますが、競合会社としてはアメリカのジョンソンコントロールズ株式会社になると思います。アドバンスオートメーション(AA)事業の産業系のところでは、オムロン株式会社や横河電機株式会社がファクトリーオートメーション(FA)やプロセスオートメーション(PA)の分野で競争している会社になります。株式会社キーエンスさんもFAでは競合先になります。ライフオートメーション(LA)事業では、ガス・水道メーターで言うと、愛知時計電機株式会社のようなメーターを作っている会社が競合になります。
当社の事業の特徴は、サービス事業が非常に拡張していることです。単に製品やシステムを供給するだけではなくて、お客さまの現場、例えば建物や生産設備のライフサイクルの各段階で、長期にわたってお客さまへの支援を展開できる事業です。例えばお客さまが新しく建物を建てた場合、その建物はその後もずっとサービスやメンテナンスを必要とします。また、新しいビルも10年から15年が経過すると一つのライフサイクルの節目を迎え、更新をしていくことになります。その更新時に、メンテナンスサービスに加えて、竣工当時にはなかった当社の新しい技術、例えば省エネの技術などをご提案して、アップグレードすることによって、お客さまに追加の付加価値を提供することができます。
新しい技術として、例えば生成AIは当社の商品の中にも多く使われています。制御機器では、プラントなどに納めているバルブの中に特異な制御機能を付け、AIを活用してデータを集積し、いつもと異なる動きを予兆の段階で事前に検知するシステムが構築されています。これはプラントにおいて大きな役割を担っています。今までは人間の目や勘に頼ったり、プラントをいったんシャットダウンして、プラントの中を開けて異常値のある部分を修正したりしていましたが、当社の技術によって、プラントのどの部分でどういうことが、どういう状態で起きているか、あるいはどういうことが起きそうなのかということが分かるようになりました。新しいAIやビッグデータなどを使って、お客さまにその利便性を理解していただき、味わっていただくことがわれわれの強みであると思います。
弱みについては、他社さんとも共通するところかもしれませんが、やはり人の問題があります。事業を推進するに当たって、エンジニアを必要とする分野が非常に多くなっています。これをいかに工面するかということが、事業を安定的に拡大するためのポイントになりますから、弱みというより課題として受け止めていただけるとありがたいです。お客さまとも、どのタイミングで、どういうバランスで、どういうリソースを投入していくかということを常にご相談させていただいています。
Q4. 山武ハネウエルから現在の社名に変更した事情を教えてください。
A4. 皆さまの中には、山武ハネウエルとういう社名に愛着を感じてくださっている方もいると思います。山武ハネウエルは、アズビル(旧山武)の日本チームと米国のハネウエル社が合弁で作った会社です。当社の歴史の中で非常に長い期間、合弁でやってきましたが、二十数年前に、ハネウエル社は自身の事情で日本を撤退する判断を下し、当社とハネウエル社は、会社を分けることになりました。当時、国際事業については全てハネウエル側に委ねていましたが、その点について、日本側からすると、海外における事業の拡張や技術の革新などで制約を感じていたことがありました。独立するに当たり、われわれ日本チーム側は、知的財産などについてハネウエル社との間でしっかり決着をして、平和裏に会社を分離することができました。
皆さんにどうしてもハネウエルという印象を持たれてしまいますので、先ほどはあえて競合会社に挙げませんでしたが、現在、グローバルではハネウエル社とかなり競争しています。昔の友ではありますが、今やライバルであるということです。ハネウエル社との歴史を引きずらず、自分たちで海外も含めた市場に出ていくために、人心を一新しようというということで、社名をアズビルに変更した経緯があります。海外市場への進出が遅れたため、海外の売上比率はまだ2割です。伸びしろの余地が非常に大きいと考え、今後そこに力を入れていくつもりです。
azbilとは、Automation Zone Builder(オートメーション・ゾーン・ビルダー)の略です。「人を中心としたオートメーション」によって、安心・快適・達成感のある場(ゾーン)を創造(ビルド)することを表現しています。まさにこれがわれわれのキーワードになっています。皆さまに社名をしっかり覚えていただけるように、今後も広報やブランディング活動を強化していきたいと考えています。
以上
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