リックス株式会社(7525)
開催日:2025年3月9日(日)
場 所:TKPエルガーラホール 8階 『大ホール』(福岡県福岡市中央区)
説明者:代表取締役社長執行役員 安井 卓 氏
1.会社紹介動画
・ リックスの商材は、さまざまな生活に役立てられています。独自の製品やサービスの提供により、製造現場に力添えすることが当社の仕事です。
・ 1907年に福岡県で創業した当社は、足袋の卸売りから事業を開始し、その後さまざまな業種や業界の課題に応え続け、2022年には創業115年を迎えました。
・ 現在の取引先は約3,000社あります。そして、国内外のグループを合わせて700人を超える社員と、44を超える事業拠点が当社の成長を支えています。
・ 当社が目指しているのは、メーカー商社として世界の産業界に貢献することです。販売、技術、製造、サービスの4つの機能を高次元に融合し、最適なソリューションを提供します。
・ 当社の強みは、産業分野のさまざまなニーズに対応が可能なことです。当社独自の課題発掘により、製造工程においてお客さまの課題にマッチする製品やサービスを誕生させることができます。福岡県の自社工場および研究開発施設では、お客さまの困り事に対して、当社のオリジナル製品で応えています。
・ また、高い専門性を持った営業担当による顧客密着型営業も強みの一つです。お客さまの工場近くに営業所を展開し、営業担当も作業服を着用して現場に入ることで、お客さまの本質的な課題解決に努めています。顧客よりも顧客のことを考える、それが当社の顧客密着です。
・ 当社の働き方の基盤となるのは、「RIXing Action(リクシングアクション)」です。ここから当社の推進力が新たに生み出されています。
・ 創業から115年を超える歴史は、不透明な時代の変化に的確に対応して挑み続けてきた当社社員の誇りです。世界の産業界に貢献し続けていくメーカー商社として、次の100年に向けて、既に当社は走り出しています。
2.会社概要
・ 当社は福岡県に本社を置き、産業機器・部品などを製造販売するメーカー商社という業態で活動しています。
・ 本日特に伝えたい3つのポイントは、メーカー商社として世界中の幅広い物作りに貢献していること、今後さらなる利益拡大のためにオリジナル品の開発を推進していること、そして現状維持は後退の始まりという考えの下、既存事業に加えて、成長分野などに新たに挑戦していることです。
・ 当社は1907年に福岡県の福岡市船場町で創業しました。今では、北海道から鹿児島までの37カ所の拠点と、海外では北米、中国、インドなど7カ国12カ所に拠点を展開することで、顧客密着営業を心がけています。
・ 従業員数は、昨年末時点で723名となっています。売上高は497億円であり、経済産業省が定める中では中堅企業の立ち位置になります。
・ 1907年の創業当時は、足袋の卸売りを担っていました。その後、足袋の底にゴムがついた地下足袋が開発され、それを北九州の八幡製鉄所、現在の日本製鉄に納入したことがきっかけとなり、産業界に参入しました。
・ そして、工場に通い続ける中でお客さまのさまざまな困り事を聞く機会が増えたことにより、地下足袋だけでなく、産業界向けの商材の取り扱いを始めました。今では鉄鋼業界だけでなく、自動車、電子・半導体、タイヤ業界などにも販路を広げ、商社機能を拡大しています。
・ また、1967年に高圧油圧ポンプの製造を開始したことで、現在のメーカー商社という業態の礎を築きました。2003年には初の海外拠点を設立しています。その後、2016年には東証一部に、現在は東証プライム市場に上場しています。
・ 国内では北海道から鹿児島まで、37カ所に営業所を構えています。その多くは太平洋ベルト付近にあり、大手メーカーの工場のすぐ近くに営業所を構え、顧客密着営業を実行しています。
・ 海外では7カ国12カ所に営業・製造拠点を構えており、中でもアメリカ、中国、インドに注力しています。現在インドでは自社製品の製造工場を建設中であり、今年10月から11月ごろに稼働を開始できる見込みです。
・ 全国および全世界に拠点がありますが、当社は福岡県博多区の山王公園の近くに本社を構えています。自社製品工場は糟屋郡須恵町にあり、昨年11月には糟屋郡粕屋町に「リックス協創センター」という研究開発施設を設立しました。
・ しかし、まだ福岡での知名度が低いため、福岡県の皆さまに当社を知ってもらう機会を増やしているところです。例えば、福岡空港の北口に大きな看板を掲示したり、プロ野球ソフトバンクホークスの中継の合間にCMを流したりしています。また、今シーズンからはPayPayドームの大型ビジョンにも広告を掲載する予定です。
・ 次に、当社が持つ機能と顧客領域についてです。当社はメーカー商社として、販売商社、メーカー、研究開発、サービスの4つの機能を融合させ、お客さまの課題を解決する製品・商品・サービスを提供しています。
・ 国内外の産業界の大手企業が主なお客さまであり、鉄鋼では日本製鉄、自動車ではトヨタ自動車、半導体ではキオクシアなど、各業界のトップメーカーと取引があります。
・ 当社はものづくり業界の8つのセグメントで活動しており、中でも鉄鋼、自動車、電子・半導体の売上が約6割を占めています。
・ 次に、事業領域についてです。当社では、お客さまの最終製品に搭載される部品をほとんど取り扱っておらず、お客さまが製品を作るための生産設備や機器を提供しています。
・ 例えば自動車業界では、自動車が製造されるまでに、プレス、ボディ組付け、塗装といった数々の工程があります。当社は、その際に使われるポンプや洗浄装置、インバーターといった機器や部品など、ものづくりに欠かせない多種多様な商材を販売しています。
・ 当社には3つの強みがあります。まず1つ目は、創業当時から大切にしている顧客密着営業です。当社は国内外に営業拠点を構えており、いずれもお客さまの工場の近くに展開しています。
・ また、商社の営業といえば一般的にスーツ姿をイメージしますが、当社の営業は作業服を着用しています。実際に生産現場に入ってお客さまのニーズを引き出しており、時には作業服に汚れがつくほど現場に密着しています。同じお客さまを毎日訪問し、1日に複数回伺うことも少なくありません。そこで得た情報やニーズを基に提案活動を行い、課題を解決することで、さらなる信頼関係を構築しています。「お客さまのことを、お客さまより考える」をモットーに日々活動しています。
・ また、企業全体としても人材力を強化するために、「RIXing Action」を重要視しています。これは、当社に受け継がれてきた経営理念や社風などをまとめたもので、9つのアクションから構成されています。
・ 昨今はさまざまな企業でコンプライアンス違反が上がっていますが、「RIXing Action」では「善悪を損得に優先させよ」を掲げています。これは、コンプライアンスという言葉が叫ばれる以前から当社に浸透している考え方です。このように、「RIXing Action」を社員と会社に一層浸透させていくことで、強みを伸ばしていきたいと考えています。
・ 2つ目の強みは、メーカー商社である点です。メーカー部門として、自社製品の製造工場を保有しており、そこで勤務する約140名が設計・開発・製造・試験などに励んでいます。
・ 自社工場では、ロータリージョイントをはじめ、半導体の製造工程で使われる洗浄装置や、工業用の油を回収するオイルスキマーなど、流体制御に関する自社製品の開発・製造を行っています。商社とメーカーそれぞれの強みを掛け合わせることで幅広い課題解決力を持つことが、メーカー商社としての当社の強みとなっています。
・ 中でも、当社の主力製品となるのがロータリージョイントです。鉄鋼、電子・半導体、食品などのさまざまな業界で使用されています。高速回転で高い技術が求められる工作機械業界向けでは、国内トップを誇る70%以上のシェアとなっています。
・ ロータリージョイントは、固定された配管から、回転している機器へ流体を漏らさず送るための継ぎ手です。内部には流路があり、水、油、空気などのクーラントが流れて、潤滑や真空などの役割を果たします。例えば飲料メーカーの工場では、回転するペットボトルにお茶やジュースなどの飲料を漏らさず注いでいく際に役立っています。
・ 当社のロータリージョイントは、自動車やスマートフォンなどの最終製品において、品質の安定化と量産化に貢献しています。今後も販売、技術、製造、サービスを高度に融合させ、世界の産業界に貢献し続けます。
・ 3つ目の強みは、売り上げ基盤と顧客の幅広さです。当社は創業116年間で一度も赤字を出したことがありません。売り上げ安定の基礎となっているのは、流れ・基礎品と顧客の幅広さです。
・ 流れ・基礎品とは、いわゆるリピート品であり、お客さまが生産工程で使う機器や部品のうち、定期的に販売があるものをいいます。1件当たりの販売額は大きくありませんが、全国各営業所とセグメントごとに積み上げられるため、売り上げのベースとなっています。
・ また、さまざまな業界のお客さまと取引があるため、景気に左右されにくく、リスクの分散や経営の安定につながっています。新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に業績が落ちましたが、基本的に売上高と営業利益は共に右肩上がりで推移しており、昨年度は過去最高の業績を達成しました。
3.今期業績予想と直近決算
・ 通期業績は前年比で増収増益となりますが、当期純利益は減益を予想しています。売上高および営業利益率は過去最高の見込みです。
・ 事業自体は好調ですが、海外子会社での特別損失の計上や、法人税などの税額控除が前期ほど見込めないことから、純利益は減益の見込みとなりました。
・ 株主還元については、2022年度より配当性向を単体30%から連結40%に引き上げています。
・ 2024年度の配当に関しては、2月13日に上方修正を発表し、下期配当を1株あたり12円増配しています。年間では上期53円、下期79円で、合計132円の配当を予想しています。
・ また株主優待については、100株以上の保有でQUOカードを進呈しています。
4.当社成長ビジョンについて
・ 本日の最重要パートである当社の成長ビジョンについて説明します。当社では、2030年度までの長期経営計画「LV2030」を策定しており、「世界中のものづくりの課題解決屋になる」という在るべき姿の下、売上高は現在の1.4倍となる700億円、営業利益は1.6倍の56億円を目標にしています。
・ 本日はこの成長ビジョンの中で、オリジナル品比率、成長分野、海外売り上げ比率の3つに絞り、当社のチャレンジについて紹介したいと思います。
・ まずはオリジナル品についてです。全体像として、オリジナル品を増やすことで利益率の向上につなげていきたいと考えています。
・ オリジナル品は、当社のみが販売できる商材の総称であり、自社製品、グループ会社製品、専売仕入品が該当します。自社製品ではロータリージョイント、グループ会社製品では世界トップシェアを持つタイヤ加硫機用バルブ、専売仕入品としては海外製のインバーターなどをオリジナル品としています。
・ オリジナル品には独自の技術と優位性があり、その高い競争力によって売り上げ比率を拡大することで、収益性を伸ばすことができると考えています。売上高に占めるオリジナル品の割合は2023年度で31%となっていますが、2030年度までには55%にすることを目指しています。当社では利益の40%を配当金として還元しているため、利益が拡大すれば配当金額も高まる見込みです。
・ オリジナル品を増やす取り組みの軸として、昨年11月に「リックス協創センター」という研究開発施設を福岡県粕屋町に開設しました。約40名の従業員が勤務しており、開発設計室や組立室に加えて、試験や検査に欠かせない各種装置類も充実しています。
・ このセンターは、既存製品にとらわれない、競争力や利益率の高い新製品および新サービスを生み出す場として捉えています。当社だけでなく、お客さま、大学、研究機関、ベンチャー企業等の各機関と協力してソリューションを作り上げる「協創」を念頭に、社会課題や産業界の課題を解決する製品・商品・サービスを生み出していきます。
・ 「リックス協創センター」の取り組みの一例として、EV・HEVの電池製造工程向けの設備や機器の研究開発をはじめ、福岡県内の大学と水素関連技術の研究開発などを行っています。また、ロボットベンチャー企業との共同開発や、九州大学との培養関連の共同研究も行っています。
・ 「協創」の考え方として、お客さまの課題を解決する製品や商品を生み出すには、当社の技術力だけでは限界があるため、お客さま、仕入先、大学、ベンチャー企業などと協力して課題解決策を創り上げることを重要視しています。このような協創で生まれた製品も幾つかあり、今後も協創によってオリジナル品を増やしていきたいと考えています。
・ 次に、成長分野についてです。当社は既存分野だけでなく、成長分野にも挑戦しています。その具体的な取り組みとして、1つ目は自動車のEV・HEV化の流れに追随し、自動車業界向け電池・モーター製造工程関連の売り上げを拡大しています。
・ 2006年度にはエンジン向けの売り上げが多くを占めており、電池・モーター関連の売り上げは約1%でしたが、2023年度には44.3%まで拡大させることができています。当社の強みである顧客密着営業で得た情報やニーズを基に、先回りで提案活動を行っていることが数字を伸ばしている一つの要因となっています。
・ また、商社として商材を仕入れて販売するだけでなく、EV・HEV生産ライン向けの自社製品も開発しています。例えば自社製品「D-RAT」は、電池の材料となるペーストから泡を取り除く装置です。このように、当社の特徴であるメーカー商社の強みを生かした営業活動を行うことで、常に変化する産業界のニーズに応え続けています。
・ EV・HEV関連は自動車業界だけでなく、鉄鋼、ゴム・タイヤ、電子・半導体などの各業界にも影響が及びます。例えば、鉄鋼業界では電磁鋼板や超ハイテン鋼板の開発、ゴム・タイヤ業界では電気自動車用のタイヤの開発が進んでいます。当社としては、新たに立ち上がる製造工程に向けた製品・商品・サービスの展開に注力していく考えです。
・ 2つ目の成長分野は半導体関連です。現在、半導体業界は日本国内で設備投資を加速させています。特に九州は、台湾のTSMCが熊本県に工場を建設するなど活況です。当社は、九州、北海道、東北、三重といった半導体が活況な地域に営業拠点を展開しており、さまざまなサービス・製品を提案しています。
・ 当社としても半導体業界向けの売り上げを拡大しており、直近10年間では約2倍となっています。顧客密着営業により先回りで情報収集し、お客さまのニーズの変化に応じて取り扱い製品やサービスを拡充してきたことが、売り上げ拡大の要因となっています。
・ 半導体業界向けの製品・サービスを一部紹介すると、ロータリージョイントは半導体製造装置にも組み込まれています。また、精密さやクリーンさが求められる半導体製造には欠かせない、洗浄装置やノズルも自社で製造しています。その他、装置やポンプの修理再生サービスも展開しており、国内大手メーカーにて多くの実績を上げています。商社としても、AI検査システムやインバーターなどの商品を多数取り扱っています。
・ 自社製品で培ってきた技術や知見が評価され、当社は昨年12月に、インテルなど22組組織で構成されている「SATAS」という半導体関連の組合に加入しました。この組合に加入するのは、福岡県に本社がある企業として初めてのことです。業界基準の自動化の開発に携わることで大きな知見と経験が得られるため、当社のメーカー部門のコア技術である精密洗浄技術と、装置をつくる技術を生かして、半導体の後工程の自動化や標準化に貢献していきたいと考えています。
・ また、TSMC熊本工場に対しても提案と開拓を行っていきます。当社が得意とするのは工場の整備・保守であり、工場立ち上げ時の活動は限定的なため、まだ売り上げ実績はありませんが、今後はTSMC本体に納入実績がある海外メーカーとの協働を模索する他、国内で実績を積んでいる電源装置の修理再生サービスや、半導体装置に組み込まれている当社製のロータリージョイントなど、メーカー商社としての知見、技術、製品を持って信頼関係を築いていきたいと考えています。
・ 3つ目の成長分野は、当社が開発した陸上養殖設備です。陸上養殖市場は活況で、全国で各企業が取り組んでいますが、当社は魚を育てて売るのではなく、あくまでも設備を販売していく予定です。
・ 当社が陸上養殖に取り組むのは、流体関連機器に長年携わってきた知見やノウハウを生かし、食料不足や環境汚染などの社会課題の解決に貢献するためです。
・ 魚にとって有害なアンモニアを微生物で脱窒する技術を生み出したことで、日常的な水替えが必要なく、人工海水を削減し、排水を限りなく少なくする設備が完成しました。この設備では、マダイ、マサバ、トラフグなどの育成を確認しています。昨年末に開催された陸上養殖設備の展示会にも出展し、さまざまなご要望をいただいている段階です。今後も提案活動を積極化させていきます。
・ 4つ目の成長分野は、ロボットベンチャーです。当社は現在、産業界の課題解決につながる技術を持つロボットベンチャー3社に出資して、共同開発を行っています。
・ ものづくりの現場では、人手不足や、危険作業の減少を目指す時代の変化によって、さまざまな新しい課題が生まれています。このような課題を、ロボットベンチャーとの協創によって解決していきます。
・ 例えば、人が侵入できない狭い箇所を点検するドローンや、高所を点検するヘビ型ロボット、ロボットハンドツール「柔軟指」などによって、各業界の課題を解決できると考えています。
・ 最後に、当社の海外展開におけるチャレンジについてです。当社はインドに自社製品の製造工場を建設中であり、今年の秋頃に完成する予定です。既にインドでは2018年に販売拠点を構えていますが、製造拠点については初めての展開となります。
・ 工場を構えるカルナータカ州の近郊に位置するベンガルールは、トヨタ自動車系をはじめとする自動車産業の集積地であり、日系企業が数多く進出しています。また、インドは鉄の生産も年々増加している他、自動車の保有率も少しずつ高まっています。
・ 産業のさらなる発展が見込まれるインドで自社製品の製造を強化することで、海外売り上げの拡大を図っていきたいと考えています。当社の海外売上高は2023年度で13.5%でしたが、2030年には20%まで拡大させる目標を掲げています。
5.本日のまとめ
・ リックスはメーカー商社という業態で活動しており、鉄鋼、自動車、電子・半導体などの製造工程向けに商材を販売し、世界中のものづくりを下支えしています。
・ 成長ビジョンとして、オリジナル品の開発、成長分野への挑戦、海外売り上げ拡大を掲げています。このビジョンを達成するために、「リックス協創センター」の稼働や、自動車のEV・HEV分野の深耕、半導体業界向けの取り組みの拡大など、さまざまな施策に挑戦中です。
・ 福岡県に本社を構えながら、今後も世界で邁進していきたいと考えているため、ぜひご支援のほどよろしくお願いします。
6.質疑応答
Q1. 社名にはどのような由来や意味がありますか。名前に込められた思いなどがあれば教えてください。
A1. リックスという社名は、アルファベットで「RIX」と表記します。RIXの“R”は、自社製品のブランドである「ロッキー」から取っています。このブランド名には、まだ当社が海外展開を行う以前において、「いつかロッキー山脈を超えて、世界で勝負したい」という当時の経営層や社員の思いが込められています。また、RIXの“I”は、当社のお客さまである産業界を示すIndustryから取っています。そして、RIXの“X”には無限の可能性という意味合いが込められており、これらを合わせて「RIX」としています。
Q2. 8つのセグメントのうち、今後の成長期待が大きいセグメントはどこでしょうか。
A2. 現在は鉄鋼、自動車、電子・半導体が非常に大きいですが、今後は電気自動車の生産が増えると考えており、当社も積極的に投資しています。なお、当社では従来の自動車向けの商材も、電気自動車向けの商材も取りそろえているため、EV化が足踏みする状況になった場合もカバーできると思っています。
Q3. 貴社の知的財産戦略について紹介してください。また、保有技術を他社にライセンスして収益を上げることは考えていますか。
A3. 近年、知的財産は重要なファクターになってきています。以前は当社に知財担当部門がありませんでしたが、現在は専門部署を設置し、知財戦略を強化しています。ライセンスも検討していますが、まだ不透明な部分があるため、外部機関と連携しながら取り組んでいきたいと考えています。
一方で、当社が使用させていただいている特許もあります。当社の湿式微粒化装置の中にある特殊ノズルに関しては、福岡県の工業技術センターの特許であり、ライセンス料を払いながら製品を販売しています。
Q4. セグメント別の売上高は、鉄鋼、自動車、電子・半導体が6割を占めていますが、利益についてはその3セグメントが全体の何割を占めていますか。
A4. 利益に占める3セグメントの比率は、売上高の構成比と同等です。なお、ロータリージョイントの主力業界である工作機械セグメントは、売り上げ構成比が4.9%ですが、利益の構成比は倍の9.3%となっています。また、自社製品が多い半導体向けも利益が高い傾向にあります。
Q5. 海外売上高比率を2030年度に20%まで拡大させるとのことですが、どの国や地域で拡大を図る計画でしょうか。
A5. 中国、北米、インドの3つの地域を強化していく予定です。特にインドではロータリージョイントの工場を建設中であり、2018年に販売会社を展開して以降、市場自体の業績も良いため、非常に期待しています。
Q6. 貴社のロータリージョイントが工作機械業界向けで国内トップシェアを獲得している理由は何だと考えていますか。
A6. 工作機械に使われるロータリージョイントは、回転数が極めて多く、鉄鋼業界等と比較しても桁が1つから2つ異なります。当社は工作機械業界において、高速回転かつ漏れずに送る技術を高めており、その知見が優位性となっているため、他社がなかなか追い付けない部分だと考えています。
Q7. 顧客密着営業で成果を上げるためには、営業担当者の知識や能力が重要になりますが、貴社が考える優秀な営業とは具体的にどのような能力を持った人でしょうか。
A7. 当社の営業に関しては、工業製品の知見のある者が担当していると思われますが、文系の社員も多く、業界ごとの知識を教育しています。また、実際にお客さまのブランドや設備を見ながら勉強することで、一人前になっています。
その中でも、やはりお客さまとのコミュニケーションが上手な社員が活躍しています。例えば、お客さまから「こういうものがほしい」という要求があったとき、すぐに持っていくのではなく、「なぜそれが必要なのか」を考えて、お客さまの懐に上手に入っていくことが得意な人が優秀な営業だと感じます。
Q8. 長い歴史の中で、特に大きな転換点となった出来事があれば教えてください。
A8. メーカー商社の礎を築いた高圧油圧ポンプの製造販売や、福岡工場の稼働開始が、会社の歴史の中でも大きな瞬間だったと思います。また、2003年に初めて海外拠点を設立したことも大きなポイントです。
最近では、東証の市場再編が挙げられます。当社は恥ずかしながらIRに注力してきませんでしたが、今後はIRに力を入れなければ株主の皆さまから賛同を得られないことを身に染みて感じており、市場再編も当社にとって転換点になると考えています。本日をきっかけに、当社のことを知っていただければ幸いです。
Q9. 貴社が活動している成長分野は、現在どこまで浸透して社会に貢献していますか。
A9. 当社は、ものづくりの過程で活躍しており、表立って見えないため、なかなか説明が難しい部分があります。しかし、工作機械は「マザーマシン」といわれており、各種製品の母となる機械です。その工作機械には当社のロータリージョイントが使用されており、これがなければ金属を加工できません。その意味で、さまざまな波及効果があると思っています。
当社は晴れやかな表舞台で活躍するのではなく、黒子のような存在ですが、当社の製品がなければ世の中は成り立ちません。そのような部分で社会に貢献していると考えています。
Q10. 貴社が競争相手として特に意識している企業はありますか、また、それらの企業と比べた際の、貴社の強みや優位性について教えてください。
A10. 当社のようにメーカー商社の形で活動している企業はほとんどなく、技術商社の業態に関してはライバルとしてベンチマークしていません。メーカーではアメリカのデュブリン社が挙げられ、工作機械の高速回転に関しては当社に優位性がありますが、その他の部分で激しく競合しており、シェアの奪い合いを繰り返しています。ただ、業界によってライバル会社が変わるという特殊性があるため、競合他社については一概に回答できない状況です。
以上
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
大和インベスター・リレーションズ(以下、「当社」といいます。)はこの資料の正確性、完全性を保証するものではありません。
ここに記載された意見等は当社が開催する個人投資家向け会社説明会の開催時点における当該会社側の判断を示すに過ぎず、今後予告なく変更されることがあります。
当社は、ここに記載された意見等に関して、お客様の銘柄の選択・投資に対して何らの責任を負うものではありません。
この資料は投資勧誘を意図するものではありません。
当社の承諾なくこの資料の複製または転載を行わないようお願いいたします。