極東貿易株式会社(8093)
開催日:2025年2月23日(日)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長 岡田 義也 氏
1.会社概要
・ 当社は1947年に産業用機械を扱う専門商社として設立されました。産業設備、産業素材、機械部品の三つの領域で事業を展開しています。
・ 戦後の高度成長期に始まり、その後の産業技術の高度化に合わせて、電子部品や産業素材などに事業範囲を拡大しながら事業基盤を堅固なものとしました。2009年以降、子会社の設立、M&Aなどによって急変する市場に対応しながら成長してきました。この間、グローバル体制も確立し、日系企業をはじめ、世界展開を図る顧客のものづくりを支援しています。
・ 当社は設立以来、「人と技術と信頼と」という普遍の精神と価値観を持ち、全てのステークホルダーの方々と共に歩んできました。この社是の下、当社スタッフが顧客のニーズと先端技術のシーズの橋となって、常に国内外の産業に貢献してきました。
・ 私たちの果たすべき使命は、技術商社として社会と企業のベストパートナーとなることで、社会にプラスワンを提供する企業集団へと今後も進化を続けます。
2.事業紹介
・ 当グループの三つの事業部門について説明します。初めに産業設備関連部門です。これは国内外の基幹産業向け各種機器・設備、海外プラント向け機器、地震計などを扱う「産業インフラ関連事業」と、海洋探査・掘削などの資源開発機器、洋上風力発電関連、航空宇宙・防衛関連、自動車開発用試験装置を扱う「資源・計測機関連事業」で構成されています。また、国内の有名なテーマパークに装置を納入したりしております。この部門は当社の祖業ともいえるもので、製鉄機械、建設機械をはじめ、国内の産業現場に最先端技術や製品を長年にわたって提供してきました。
・ 例えば、製鉄プラントにおいては川上から川下の工程まで、すなわち、製鋼、精製から圧延に関わる機器まで、さまざまな技術を国内外から調達し、お客さまへ納入しています。
・ 次に、産業素材関連部門です。これは国内外向けの自動車部品用エンジアリングプラスチックやコーティング剤、炭素繊維・複合材料などを扱う「機能素材関連事業」と、食品業界向け資材・設備、バイオプロダクツ関連、耐熱・防錆材料などを扱う「生活・環境関連事業」から構成されています。
・ 最後に、機械部品関連部門です。こちらは、子会社であるヱトー株式会社の産業用特殊締結部品を扱う「精密ファスナー関連事業」と、同じく子会社のサンコースプリング株式会社が提供する定荷重ばねなどを扱う「特殊スプリング関連事業」、さらには、株式会社ウエルストンの船舶用エンジンなどの補修部品を扱う「船舶補修部品事業」で構成されています。同部門の主力であるヱトー株式会社では、精密ファスナーをあらゆる産業向けに、グローバルに事業展開しています。
・ 当グループは、77年の歴史の中で培ってきたエンジニアリング、アフターサービス、ソリューション提案、最新技術の提供、グローバルネットワークといった付加価値を提供することで、技術商社のベストパートナーとしてお客さまに貢献しています。
・ 極東貿易の強みをご紹介します。一つ目は、技術力に基づく「プラスワン」です。希少材の提供のみならず、技術提案から運用・保守まで一貫した技術サポートができるエンジニアリング商社であることです。
・ 二つ目は、多様でユニークな取り扱い商材を提供できることです。製鉄プラント向け設備や海洋探査・掘削機器から地震計、エンジニアリングプラスチック、コーティング剤、複合材料、産業用特殊ファスナーまで、多様でユニークな商材を扱っていることです。
・ 三つ目は、グローバル体制によるものづくり支援です。欧米、メキシコ、中国、台湾、ASEANからインドまで、グローバルなネットワークで日系企業のものづくり活動を支援しています。グローバルな事業環境の変化に対して、迅速かつ柔軟に対応する体制を整え、国内外で事業を展開する顧客に対して、幅広い商材と長年培ってきた知見を駆使し、多様なニーズに応えるソリューションを提供しています。
3.成長戦略(1)M&A
・ 当グループは2021年に中期経営計画「KBKプラスワン2025」を掲げ、三つの重点施策に取り組んでいます。特に、サステナブルな社会の実現に向けた事業展開と投資の実行について説明します。さらなる成長を実現し、事業環境の変化に対応するため、M&Aと事業投資を中心にさまざまな施策を推し進め、事業ポートフォリオの組み替えにも注力しています。
・ 成長戦略の取り組み例として、直近に実施した2件のM&Aをご紹介します。まず、株式会社三幸商会についてです。2024年10月に同社を連結子会社化しました。名古屋に本社を置くエンジニアリングプラスチック、溶射材を扱う専門商社です。溶射とは、粉末状の金属やセラミックなどの材料を高温で溶融し、対象物に吹き付け、耐摩耗性や耐熱性などを向上させる表面改質技術のことです。用途は非常に広く、特に半導体製造装置向けでは需要拡大が見込まれるものです。
・ 同社は、名古屋を基盤とする多数の大手企業を顧客に持ち、グローバルに展開する顧客の海外進出に伴い、香港、上海、タイ、ベトナム、フィリピンなどに海外拠点を設け、事業を展開しています。顧客の事業分野は自動車部品、電機製品、半導体関連など多岐にわたっており、素材の開発から生産の技術支援まで、ユーザーが望む提案を通して、幅広い産業分野に貢献しています。今般の連結子会社化により、極東貿易グループとの人材交流、海外拠点などの経営資源を共有することで、新たな商流の構築やシナジーの創出を図ります。
・ 次に、株式会社ウエルストンについてです。こちらも2024年11月、機械部品関連部門の主力子会社のヱトーを通じて連結子会社化しました。同社は、主に船舶用エンジンなどの補修部品の輸出や国内卸を主体とする専門商社です。20年以上の業界経験と実績があり、国内外に幅広い仕入れ先と、ASEANを中心に40カ国を超える国々に100社を超える顧客を有しています。同社は拡大する需要を取り込み、グローバルな事業展開を進めています。また、ヱトーはウエルストンの子会社化により、新たに船舶向け補修部品市場に参入し、事業基盤の強化を図ります。
4.成長戦略(2)事業投資
・ 成長戦略の取り組み例として、近年の主な事業投資2件をご紹介します。1件目は洋上風力発電関連事業です。連結子会社である株式会社TWD Japanは、洋上風力発電の大型風車を建設する際に使用する特殊大型治具などの設計・製作を行う会社です。洋上風力発電分野の建設関連機器の設計において、全世界で50%以上のシェアを持ち、高い評価を獲得しているオランダのTWD B.V社の国内総代理店です。当該分野の建設工事に使用される大型治具はプロジェクトごとに設計・製作が必要となり、また、大型風車の構成部材を沖合まで安全かつ効率よく運ぶことが求められます。TWD JapanはTWD B.V社の技術、経験を活用しながら、日本の顧客にソリューションを展開し、事業の拡大を目指します。
・ 当グループは、海洋資源開発に関わる事業で培ってきた海底探査および掘削の知見と経験、海外メーカーとのネットワークを活かして、洋上風力発電に関連する事業に注力するとともに、将来的にはオペレーションやメンテナンスなどのサービス事業の展開を目指しています。また、洋上風力発電関連事業を通して、脱炭素社会の実現に向けて貢献してまいります。
・ 2件目は、地震計関連事業です。極東貿易は長年にわたって地震計関連機器の販売に携わっており、地震による災害の防止に貢献してきました。2022年からは子会社の日本システム工業株式会社が同機器の製造、販売、保守事業も取り込み、事業を展開しています。日本システム工業の地震計が活躍する場所としては、新幹線を含む鉄道、線路や橋梁などがあります。地震発生をいち早く検出し、列車を安全に停止させる機能を提供しています。
・ また、原子力発電所には国の安全基準に基づき、強い地震が発生した場合の原子炉緊急停止用の地震計が設置されています。日本システム工業の製品は高い信頼性によって、国内の原子力発電所のほぼ全てに設置されています。さらに、火山や地下深部においても、火山活動観測や気象庁による高感度地震観測網の構築に同社製の高感度地震計が数多く使用されています。このように地震計関連事業を通して、社会の安心・安全に貢献しています。今後も積極的かつ機動的な成長投資を継続し、グループ全体の収益力強化を目指します。
5.業績の推移および見通し
・ 2月13 日に開示した当グループの第3四半期決算の内容について説明します。産業設備関連部門においては、国内鉄鋼・化学プラント向け設備事業、地震計関連事業を中心に全般的に好調に推移しました。産業素材関連部門においても、北米向けの自動車部品用エンジニアリングプラスチックやコーティング剤事業が好調に推移しました。機械部品関連部門は、精密ファスナー関連事業が若干減速したものの、特殊スプリング関連事業の収益が改善しました。この結果、第3四半期累計期間の売上高は、前年比41.6億円増の約350億円、営業利益は8.5億円増の約14億円となりました。
・ 親会社株式に帰属する純利益については、子会社株式取得に伴う負ののれん発生益を特別利益として計上したことから、25.1億円増の約32億円となりました。
・ 直近5年間の業績推移を見ると、売上高が2021年3月期から2022年にかけて大きく減少していますが、これは、この年から会計基準が変わったことで、売上高の計上方法が変更になったためです。取引量が減少したわけではなく、売上高に直結する営業利益は、同じ時期においても増益となっており、着実に増収・増益を続けています。
・ 2025年3月期の通期見通しについては、足元の業績が好調であることに加え、M&Aの寄与もあり、上方修正しています。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の通期業績予想値35億円には、三幸商会を連結子会社化したことに伴う負ののれん発生益21億3,200万円を含んでいます。
・ セグメント別の5年間の業績推移は、基本的に3事業部門全てにおいて、直近3カ年で増収・増益となっています。
6.株主還元・資本政策
・ 2025年2月13日に開示した自己株式の取得および消却について説明します。これは株主還元の拡充、資本効率の向上を目的として実施するものです。まず、自己株式取得です。取得する予定の株式の上限を35万株、取得する金額の上限を5億円として自己株式を取得します。2月14日から1年間で実施します。
・ 自己株式消却については、2回に分けて実施します。1回目は、現在保有している自己株式約65万株のうち、52万株を2025年3月31日に消却します。2回目は、35万株を上限に取得した自己株式の全てを2026年3月31日に消却する予定です。引き続き、資本コストや株価を意識した経営に努めます。
・ 当社は、株主の皆さまへ継続的な成果の還元と企業価値の持続的向上を実現するため、適正な資本政策の下、将来の事業展開と財務状況、収益動向などを総合的に勘案した配当を実施することを利益配分の基本方針としています。2025年3月期も高水準の株主還元を維持し、一方で、より多くの経営資源を事業の拡大と新たな成長機会の創出に投入することで、収益基盤をさらに強固なものとします。
・ この方針に基づき、2025年3月期の期末配当は期初予想から変わりなく、1株当たり35円とさせていただき、年間配当は70円を予定しています。この結果、当期の配当性向は負ののれんの発生益を除いたベースで約63%と引き続き高い水準を維持し、自己株取得5億円を含めた総還元性向は、負ののれんの発生益を除いた場合のベースでほぼ100%になります。
・ 2026年3月期の年間配当は、1株当たり70円を下限とする方針であり、当社は引き続き高い水準の株主還元と中長期的な成長に資する事業投資、ならびにM&Aの資金投入の両立を図ります。
7.まとめ
・ 以上の施策や方針に基づき、企業価値の向上への取り組みを推し進めていきます。これからの極東貿易グループの成長と発展にぜひご期待いただきたいと思います。
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