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ヤマシンフィルタ株式会社(6240)
開催日:2025年2月16日(日)
場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長執行役員  山崎 敦彦 氏

1.ヤマシンフィルタの強み
・ 当社は1956(昭和31)年に東京・品川で創業しました。創業者は父の山崎正彦で、私は2代目です。子供のころから親に呼ばれて工場を手伝いフィルタを作ってきたため、フィルタにはとても馴染みがありました。現在、本社は神奈川県横浜市みなとみらいにあります。また、創業者の出身地の佐賀県に国内工場があります。油圧ショベル、ブルドーザーなど建設機械の稼働に不可欠なフィルタを建機メーカーに提供しています。
・ 当社の特徴の1つ目は、取引先がTier1(ティア・ワン:最上位)メーカーであることです。日本の建機メーカーのほとんどすべてと取引があります。アメリカ、ヨーロッパ、中国でも、たいていの建機メーカーと直接取引をしています。Tier1メーカーの良い部分は、建設機械メーカーにおける開発設計の部分で話をし、どのようなフィルタが大事なのか等のニーズや情報を直接得られる点で、これはとても重要なことと考えています。
・ 特徴の2つ目は、世界シェアがNo.1であることです。建機は4年に1回、定期的なモデルチェンジがあります。モデルチェンジはフィルタメーカーから見るとチャンスでもありピンチでもあります。今までは他社のフィルタを使っていても「新しいモデルからは、ヤマシンフィルタ株式会社を採用する」と言われれば良いですが、その逆もあるからです。4年ごとにあるモデルチェンジの度に建機メーカーとタッグを組み、新しいフィルタを開発してきた結果、世界のトップシェアを取るに至りました。
・ 当社は製造業ですので、最も大事にしているポリシー・考え方は、現場、現物、現実で物事を考えていくことです。「三現主義」に根差して事業経営を行っています。
・ 特徴の3つ目は、安定した補給品市場があることです。建機用フィルタは使い捨てです。建機メーカーが生産ラインで建機を作っていくときにフィルタを織り込み、部品としてフィルタを組み込んでいきます。これがライン用フィルタです。当社フィルタを組み込んだ建機が市場に出て一定時間稼働すると、フィルタを使い捨てるため消耗品として交換需要が出てきます。それが補給用フィルタです。好景気の時はライン用フィルタが多く売れますが、不景気では売上が鈍化します。しかし、不景気の時は国が公共投資で道路や橋を作りますので機械が動き、補給用フィルタに売上が出ます。当社は不況のときもアフターマーケットで利益を出せます。しかも利益率は補給用フィルタのほうが高いです。補給用とライン用のバランスにより、当社は安定した収益を確保しています。
・ 当社はアフターマーケットのフィルタを扱っていますが、ユーザーに直接販売をしていません。当社のフィルタは、すべて建機メーカーを通して純正フィルタとしてマーケットで扱っています。「なぜ、ユーザーに直接売らないのか」とよく質問をいただきます。「直接売ったほうが利益率も高いし、当社にとっても良いだろう」といった内容です。直接販売をすると販売ネットワークや販売店の固定費がかかります。固定費や経費をかけると高く売れますが、最終利益ではあまり変わりません。それならば、建機メーカーと手を組み二人三脚で行うべきだと考えて、当社は直販を行っていません。あくまでも建機メーカーを通して純正フィルタとしてマーケットにフィルタを流しています。
・ 一方でフィルタには偽物があります。特に中国や東南アジアへ行くと偽物がたくさんあります。当社は建機メーカーと一緒になって偽物を使わない、純正フィルタを推奨する販売促進活動を行っています。そこで得た新しい情報を、次のモデルチェンジに生かすことで、建機メーカーとは非常に良好な関係を築き、海外を含めて各社からたくさんのアワードを頂戴しています。
・ 良いフィルタの条件には3つの要素があります。これは開発に絡む話ですが、金網の篩(ふるい)をイメージするとわかりやすいです。篩で水をすくうと、目が細かければ細かいほど通過抵抗が高くなります。そこにゴミが詰まると、さらに通過抵抗は高くなります。フィルタの技術は少し矛盾しますが、目はなるべく細かくゴミもたくさん取れるようにしながら、油はさっと通り抜けるようにします。これがフィルタの技術です。どうすれば細かいゴミをたくさん取りつつもさっと抜けるようにできるかが、フィルタの開発技術で、ろ材開発の技術です。さらに、それらは安くする必要があります。
・ 特徴の4つ目は、自社でろ材を開発・製造・供給していることです。BCP(事業継続)の意味から、100%内製のろ材を使うことはせずに、約半分は購入ろ材で賄っています。しかし、その気になれば100%を自社で賄うことができます。
・ 中国や東南アジアでは、見た目は純正フィルタと一緒でも、値段は半分の偽物が多く出回ります。純正品との違いは性能です。性能を出すには、自分たちだけが使える独自のろ材を持たなければ差別化はできません。先代社長の時代から、このような考え方でろ材も内製化を行ってきました。
・ 例えばラーメン専門店を名乗る店が他のところから購入したスープや麺でラーメンを作っていたら、これは専門店とは言えません。同じスープ、同じ麺を購入して家で作れば、同じような味になります。フィルタも全く同じ理屈で、ろ材を購入してきて同じように作って売れば、似たような性能になります。専門店と名乗るからには、スペシャルなスープと麺があって、初めて専門店と言えると考えています。フィルタメーカーも同じで、秘伝のろ材があり、自分たちの作り方があって、初めて独自のフィルタができると考えています。この発想のもとで当社は開発・製造業務に取り組んでいます。
・ 昔はフィルタも布を使っていました。それが紙のろ紙となり、1990年頃からはガラス繊維ろ材を使うようになりました。今は世界中どこのフィルタメーカーもガラス繊維ろ材を使っています。このガラス繊維ろ材を油圧分野で初めて使ったのは当社です。それから30年以上が経過し、そろそろ次の新ろ材が出てきてもおかしくない状況になっています。当社では5〜6年前からナノファイバーに着目し、「YAMASHIN Nano Filter™」を開発しました。当社の次世代の新しいフィルタを、ナノファイバーで導入する考え方で進めています。
・ 1mmの1,000分の1が1㎛(マイクロメートル)、1㎛は1,000㎚(ナノメートル)です。髪の毛一本が約70〜80㎛の太さです。当社のナノファイバーは、太さに幅があるものの、平均すると500㎚、髪の毛のおよそ160分の1の太さです。これをシート化して「改良型メルトブロー法」という生産方法で新しいろ材を作っています。
・ 当社の場合、他社と異なり太い繊維と細い繊維が微妙に絡み合っています。フィルタは、嵩高にしたほうがゴミをたくさん取ることができます。繊維径の太いもの、細いものを一定のバランスで混ぜ込んで嵩高さを演出しているのが、当社のろ材技術です。ペットボトルのPET、PBT、ポリエチレンなど熱をかけて溶かすプラスチックであれば、すべてナノファイバー化することができる当社の技術で新ろ材の開発も続けています。

2.新たな価値創造の取り組み
・ 建機事業では、多様なアプローチによるシェア拡大を考えています。北米にある世界最大の建機メーカーに対して営業活動をし、開発を進めて新規採用をしていただく計画です。日本で最大の建機メーカーの2024年3月期売上高は約3兆8,600億円です。北米と日本の建機メーカーは両社とも同じような機械を作っていますが、2.85倍もの売上の差があります。当社の顧客別売上は、日本のメーカーで約50億円、一方、北米最大のメーカーに対しては30億円です。日本のメーカーに50億円の売上があれば、その2.85倍、142億円の売上が北米であってもおかしくありません。
・ 営業活動では、日本のメーカーでは使っているが、アメリカのメーカーで使われていないフィルタは何かを洗い出し、それをアメリカの建機メーカーに合わせるかたちでアレンジし紹介していく考えです。現時点で30億円の売上がありますから、可能性としては、残り112億円ほど拡販の余地があります。ここを狙うことが成長シナリオの第一番目であると考えています。
・ これは、5〜6年ほど前にブルームバーグ(Bloomberg L.P.)の英語雑誌に話したことがあります。日本の3倍弱の売上があるアメリカに対してこの方法で売り込むと話したのですが、そこからいまだに売上・比率は変わっていません。私もアメリカへ足しげく売り込みに行きましたが、先方は悪い感触ではないけれども歯車が噛み合って進む雰囲気ではありませんでした。行うべきことをまず先に取り組む、そうすると利益は後からついてくるという意味の「先義後利」という言葉があります。当社側の都合で売り込み、アメリカのお客様にとって、当社はサプライヤーとしてどのような評価を受けてきたか、納期遅れや品質問題を起こしていないか、お客様の要求通りに開発を行ってきたかなど、「先義後利」を実践できていませんでした。自分たちの利益だけを考えて売り込んでも、行うべきことを先に取り組まなければ、お客様も認めてくれません。それがこの5〜6年で空回りしてしまった大きな原因だと思います。
・ 2024年9月19日にアメリカのダラスで優秀取引先評価、SER(Supplier Excellence Recognition)という北米最大の建機メーカーが独自基準でサプライヤーを認証するミーティングがありました。その北米建機メーカーは、2万3,000社のサプライヤーをもっています。そのなかで当社は2024年にトップ7に入りました。品質・コスト・納期・開発・マネジメントなどの基準で評価され、表彰をいただいてアワードを頂戴しました。このアワードを頂戴することは、新しい次のビジネスで引き合いをたくさんいただけることにつながります。
・ 現在、エンジン用のフィルタで約53億円相当の引き合いがあります。運転席には、エアフィルタが付いていますが、キャビン用のフィルタが約10億円、油圧用のフィルタが20億円、油圧ショベルの油圧が10億円、マイニング鉱山用が約3億円と、合計96億円相当の引き合いをいただいています。しかし、当社の限られたリソース、人材・設備で開発するとなると、3年間でこれら全てに対応していくのは現実的には無理です。安請け合いをするとお客様にご迷惑をかけることになるので、このなかでできるものは何かをピックアップして、それを中期経営計画に織り込んでいます。
・ 当社が2024年に発表した中期経営計画(2025年3月期〜2028年3月期)では、アメリカを軸として確実に売上や収益を上げることを掲げています。これが当社の向こう3年間の第一の作戦です。2024年3月期、当社の売上高に対して北米建機メーカーが占める割合は19.0%ですが、3年後の2028年3月期には23.5%、2031年3月期には30.0%以上と北米の建機メーカーの売上比率を着実に上げることを見込んでいます。
・ 当社は、国内は佐賀、海外はフィリピン・セブ島とベトナム・ハノイに生産工場があります。メインはセブ島にある工場で、ハノイの工場と2馬力で品質・コスト・納期をしっかりとフォローしたいと考えています。また、神奈川県横須賀市に開発センターがあり、リソースも当て込んで開発を進めていきます。
・ 新規に開発したナノファイバーのろ材は、まだ数社の採用にとどまっていますが、徐々に比率が上がってくると見込んでいます。昔、ろ紙だったものが、ガラス繊維のろ材に置き換わり、そこから30年を経て今度はナノファイバーろ材に変わっていくと思います。2031年3月期には70%がナノファイバーのフィルタろ材に変わると予想しています。ナノファイバーを用いると、目が細かいろ材で作るため、今まで大きいフィルタだったものを小さくできます。同じ性能で小さくできれば入れ物などもコンパクトにできるため、大幅にコストダウンができます。この方向に市場は動いていくと考えています。
・ 新車市場のライン用フィルタと、アフターマーケットの補給品は、市場規模で約10倍の差があります。1年間で新規に約30万台の機械が作られています。10年間、機械がマーケットで動くと計算すると歩留まりによって290〜300万台が動きます。これがアフターマーケットの対象となります。ところが、車もそうですが、5年や10年乗り続けた古い車に新しい純正フィルタや新しいタイヤを使うかといえば、古い機械は古いもので良いとなります。歩留まりは若干落ちますが、結構大きなマーケットがここにあります。2024年3月期の売上は、ライン品が約58億円、補給用が約83億円です。
・ 3〜5年くらいまでの機械は、純正フィルタを使った方が良いと考えています。イミテーションのフィルタを使うとろ過精度が悪いため、なかなか目詰まりしません。ロングライフで良いと思われるかもしれませんが、これはただフィルタの仕事をしていないだけです。安くて見かけは良くても、中身が機能しないとゴミはもっと下流へ流れます。そうすると、エンジン、油圧のポンプやシリンダー、バルブといった非常に高価な油圧部品のところにゴミが混ざり動作不良の原因となります。そこで莫大な修理費用が発生する可能性があります。偽物のフィルタを使うと、ゴミは下流側に流れますが、油圧回路は閉回路のため1回流れ出たゴミは、回路の中を回り続けます。500円、1,000円安いからといって偽物を買わず、最初から純正のフィルタを使用することを推奨しています。
・ 以前は建機メーカーと純正フィルタの使用を推奨する販売促進活動を一緒に行っていました。しかし、今は建機メーカーも保証期間をつけて料金を取っています。保証期間中に故障があったら、建機メーカーの責任で無料で修理するメンテナンス契約をお客様と結びはじめています。お客様のメンテナンス契約の加入率が問題ですが、加入したほうがお得ですよという啓蒙活動を今後は展開していく方向で、建機メーカーと手を結び進めています。アフターマーケットは、まだ開発の余地があると考えています。
・ 2019年、大阪府大阪市にある株式会社アクシー(AQC Corporation)というエアフィルタの会社をM&Aで買収し、エアフィルタのマーケットに参入しました。それまでアクシーでは、不織布を使ったエアフィルタをメインに展開していました。当社と経営統合後は、ナノファイバーのろ材を新規に投入して、ガラス繊維・不織布からナノファイバーへろ材を切り替えることで営業活動を展開しています。最近はPFAS・PFOSフリーやボロンフリーといった新しい要求も出てきていますが、これらにガラス繊維では対応しきれないこともあり、ナノファイバーろ材の活躍の場が出てきています。当社は建機メーカーを通して部品を供給する、いわゆるOEM(Original Equipment Manufacturer)で供給するビジネスモデルです。空調用だけではなく、部品としてのエアフィルタも供給する新しい営業の取り組みを行っています。
・ 工作機械、旋盤やMCマシンなどは効率を求めて高速で回転するようになってきています。工作機械が切削油をかけながら高速回転して加工すると、その切削油がミストになって飛び散ります。機械加工場に入ると独特の匂いがありますが、それはミスト化した切削油の匂いです。健康志向の流れから、それが体に良くないということで、ミストフリーを実現するため工作機械へ非常に高精度なエアフィルタをつけて、工作機械場から匂いをなくす取り組みが、日本の大手工作機械メーカーで始まりつつあります。それに対してサンプルを提供して数機種が標準採用されています。これもまたアフターマーケットで補給部品の取り扱いが発生します。将来的には工作機械用のフィルタ、セミ HEPAフィルタ(準HEPAフィルタ)、HEPAフィルタが伸びる可能性があると考えています。
・ さらにナノファイバーを使った新しい取り組みも考えています。すでに燃料用フィルタ、油圧用フィルタ、エアフィルタではナノファイバーを使ってマーケットに投入しています。それ以外に車や航空機、アパレル関係にも応用ができます。
・ アパレルでは、非常に繊維径が細いので衣服の中綿に用いることができます。ナノファイバーを使ってダウンの羽毛と同じようなものを作ることが可能です。アパレル開発のステップとしてすぐに綿として使えるので、高機能のアパレルへの応用に取り組んでいきたいと考えています。ダウンジャケットに使われる羽毛は大変優れており、軽くて保温効果も非常に高いです。それに相当するナノファイバーの人工素材を使うことができれば面白いのではないかと考え、繊維メーカー・アパレルメーカーに売り込みを行っている最中です。これは油圧フィルタに使うナノファイバーではなく、それにもう一ひねり、二ひねりして軽くてふわっとしたナノファイバーにしなければいけないため、素材開発に注力しています。
・ 新しい技術も開発しています。液体と気体の境目を臨界と呼びますが、その境目で液体の性格と空気の性格の両方を持ち合わせた状態を超臨界と呼びます。超臨界の条件下で、ナノファイバーを作る新しい技術によって独自の性能をもつことができます。これをアパレル、さらに進んで防火服、航空機や宇宙船などに使う耐熱材でも使えそうだということで、新しい用途に向けたろ材開発に取り組んでいます。マーケットは結構大きなものですが、現在は開発最中のため何年後にいくらの売上になると明言はできません。ただ夢があります。開発は夢が大事で、これがなければダメだと考えています。
・ 導電性を付加した新素材を開発して、ウェアラブルセンサーや電磁波シールド向けに展開をしていきます。EV(電気自動車)は、モーターに電流が流れてコイルが回りますので電磁波が出ます。体に良くないため電磁波シールドを行うのですが、そうした性能を併せもたせたいということで、その部分の開発も進めています。まだわからない状況ですが、これも夢のある話で新しい技術を導入しながら挑戦したいと考えています。

3.新中期経営計画定量目標
・ 株主還元として、今まではDOE(自己資本配当率)2%を基準に考え、年間6円の配当を行っていました。今期から考え方を変えて投資家の皆様へ十分に還元する方針です。2025年3月期は12円、DOE3.9%と配当を大幅に増やしました。中間配当5円、期末配当7円、年間12円の配当を行いたいと考えています。その後は売上利益の進捗状況、新しい設備投資の必要性を加味しながら進めます。投資家の皆様に対して還元率を上げる方向で考えています。
・ 売上高は、今期の197億80百万円から2026年3月期には204億20百万円、2027年3月期には220億3百万円、2028年3月期には237億90百万円と伸ばす計画です。売上の伸び率をみると、新しいアメリカのビジネスを取り込み、新しいナノファイバーでエアフィルタを作って、新規分野も開拓して3年でこの程度かと投資家の皆様は思われるかもしれません。ですが、現実に開発を進める場合、まず図面を引いて、試作やベンチテスト、実機試験を行うなどの手続きを踏みます。当社のリソースでは確実に消化できる数字がこの辺であるということです。数字ばかり先行することなく「先義後利」で行うべきことを先に取り組み、後から利益がついてくる考え方で、今後も進めていきたいと思います。
・ 非財務情報KPIとして環境にも真剣に取り組み、2023〜2025年にかけて順番に状況も改善してきました。FTSE(フッツィー)のスコアは、2023年3月期には1.5でしたが、2024年3月期には2.7となりました。2028年3月期は4.0を目指しています。これはトップレベルで良い数字です。
・ 地球環境問題に関する国際的な非営利団体のCDP(Carbon Disclosure Project)が実施する気候変動のスコアは、2023年3月期にはDでしたが2024年3月期にはBとなり、つい最近、Aスコアを獲得しました。この流れでフィリピン、ベトナム、佐賀の各工場におけるCO₂排出についても改善を進めています。
・ 当社の企業理念(社是)は、「仕濾過事(ろかじにつかふる)」であり、フィルタビジネスで皆様のお役に立つことです。当社のあるべき存在価値の原点がここにあります。

4.質疑応答
Q1. トランプ大統領は、鉄鋼とアルミニウムの輸入に25%の関税を課すと発表しましたが、御社への影響はございますか。
A1. 第一次トランプ政権ができたのは2017年のことです。2016年にトランプ大統領が当選した直後から、当社はトランプ銘柄だと言われてきました。なぜ、そのように言われていたかというと、トランプ大統領はメキシコとの国境に壁を作ると発言していたからです。壁を作るとなると建設機械が動きます。建設機械が動くと、フィルタも売れるだろうということで、関連銘柄としてトランプ銘柄だと言われていました。実際にトランプ銘柄としての効果があったのかといえば、それほど大きなポイントではなかったと思います。今もまたトランプ銘柄と言われます。アメリカの建機メーカーに向けて営業の軸足がそこに向いていますから、トランプ政権とは仲良くしていきたいと考えています。質問内容のように関税をかける話が出てきています。アルミニウムに関税をかけたとしても、フィルタにもかけるのかについては、まだよくみえません。もし、当社のフィルタについても25%の関税をかけることになれば、そのままお客様に価格転嫁を行います。当社としては、当初の計画通りに収益を上げて必要な投資を行って、株主の皆様にも還元する方向で考えています。

Q2. 新車用フィルタの数量失速を価格転嫁で補うようですが、値上げ交渉の施策が何かおありでしょうか。
A2. 新車フィルタの数量が失速、減少していることは、直接はありません。新車需要は景気によって上下するため、とりたてて今に限って落ち込んでいるわけではありません。また、逆に補給用のフィルタは、去年頃から数が落ちると言われながらも、逆に伸びる状況になっています。新車用、あるいは補給用のフィルタは通常の経済循環によるもので、特に数量の失速ではないと考えています。値上げ交渉についてですが、実際に2021年3月期〜2023年3月期までは、当社の決算書も大変利益率が落ちました。コロナ終息後、諸物価の高騰、原材料費、エネルギーコストや人件費がすべて上がって利益を圧迫することになり、お客様に値上げ交渉をしてきたのも現実です。ところが、お客様に値上げをお願いした際、簡単に値上げを認めてくださるお客様はまずいません。当社では価格の値上げは経営そのものの問題ととらえていますから、経営陣全員で分担してお客様のところを回り、先方の社長・役員方に状況を説明して値上げせざるを得ないことをよくご理解いただいています。これまで当社の営業は値下げを行ってきました。毎年のように2〜3%の原価低減を行ってお客様に利益を還元してきました。当社がお客様に値上げを申請したのは、1975(昭和50)年で50年前の話です。当時はオイルショックで、そのときに値上げを行いましたが、それ以来値上げをしたことがありません。当社の営業は、お客様には値引きするものだと最初から決め込み、今は値上げだといっても、なかなかそのように動きませんでした。ですから、ここは経営の問題ということで、当社は役員をはじめ、皆がお客様のところに行き直接話をして値上げ交渉を行ってきました。おかげさまで2025年3月期・2024年3月期の決算も、来期も若干の影響があるかと思いますが、ほとんどのお客様でほぼ要求通りの値上げ交渉が終わっています。関税の話がありましたが、今後そのようなことでコストがかかるようであれば、これは躊躇なく値上げを申請していこうと考えています。

 

以上

 

 

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