株式会社CRI・ミドルウェア(3698)
開催日:2025年2月22日(土)
場 所:グラントウキョウノースタワー 18階 大和コンファレンスホール(千代田区丸の内)
説明者:取締役専務執行役員 企画本部長 櫻井 敦史 氏
1.会社紹介
・ CRI・ミドルウェアの前身はCSKの子会社であったCSK総合研究所、略称CRIというソフトウエア会社です。1990年代に富士通がFM TOWNSという当時、CD-ROMメディアを初めて標準搭載したマルチメディアパソコンを発表しました。取り扱えるデータの量が飛躍的に増え、音声や映像をふんだんに入れることができるようになり、関連のソフトウエアの開発・研究をCSK総合研究所が行っていました。
・ 同じCSKのグループ会社にゲーム開発・販売するセガ社があり、その後、セガが新しいゲーム機を出す際にCD-ROMを搭載することが決定しました。CR-ROM関連の研究開発を先に手掛けているCSK総合研究所に声が掛かり、新ハードを共に開発する取り組みが始まりました。セガのゲーム機としては、セガサターン、ドリームキャストという2世代にわたる機種をCSK総合研究所の技術でサポートしてきました。数多くのゲームソフトウエア会社が開発の際にCSK総合研究所の技術を利用しました。
2001年にセガはゲームハードから撤退することを決定し、ゲームソフトの会社になると発表します。幸いなことにセガのハードでゲームを開発していた会社の皆さんから、CSK総合研究所の技術を他のゲーム機でも使えないのかといったお声をいただきました。当時は、ソニーのプレイステーション2や任天堂のゲームキューブが発売されていた時期に当たります。CSK総合研究所の技術をセガハードのみではなくさまざまな所で使えるようにしようと方針転換をしました。業界内の一つのゲーム会社であるセガの子会社という立場であると他社に広く技術を使ってもらいにくくなるのではないかと考え、その後、セガの協力も得てミドルウェア部門が独立し、現在のCRI・ミドルウェアという会社が設立されました。
・ マザーズ市場への株式上場は2014年11月になります。当時、ゲームで培った音声や映像技術を非ゲームの領域、エンタープライズ領域にも使ってもらいたいという方針を持つようになりました。ゲーム業界以外の他業界では全く知名度がなかったため、会社としての信頼度や安心感を確保したいという思いから、この上場に至りました。
・ 当社の事業別の売り上げ構成を示します。資料に青く示す部分がゲーム事業、ミドルウェアやツール、音響制作です。オレンジ系の色で示す部分がエンタープライズ事業、非ゲーム分野です。非ゲームへ領域を広げる取り組みを継続してきた結果、現時点では半々程度までの売り上げ規模となりました。
・ 会社全体の売り上げは着実に伸ばしながら来ています。ただ、資料に示すグラフを見ると、最近は営業利益が伸びていないと見えるかもしれません。直近数年はコミュニケーション向け技術に対して大きめの研究開発投資を続けており、営業利益を下げている一つの要因として挙げられます。後半でその取り組みについては少し補足します。
・ 会社の特長の紹介に戻ります。「ブランド力」「ニッチトップな技術力」「×nが見込めるビジネス」「非ゲーム分野への拡大」の四つを特長として挙げています。
・ まず「ブランド力」について紹介します。CRIのロゴ、「CRIWARE(シーアールアイウェア)」をこの説明会以前にご覧になった方がいれば挙手をお願いします。ほぼ手が挙がらない結果でした。こちらはゲームに使われているロゴです。パッケージ版のゲームソフトでは、パッケージの裏にロゴマークが書いてあります。スマートフォンアプリのようにダウンロードで遊ぶゲームではタイトル画面の隅にロゴを出してもらっています。
・ ゲームソフトでのCRIWARE採用数は2024年12月末日時点で累計9,071ライセンスです。当社がゲーム以外の領域の会社へ訪問した際にも、相手方から「ゲームを遊んでいたよ」と言ってくださり、CRIロゴをきっかけに最初の雑談が盛り上がるケースも多くあります。ブランド力という意味では重宝している部分です。
・ IR資料として、CRIWARE採用数のデータを公開しています。スマートフォンの売り上げランキングで言うと、上位3分の1程度がCRIWAREを採用しています。家庭用ゲームの年間ランキングで言うと、上位の4分の1程度が採用しています。長きにわたり高い採用率を継続していると理解ください。
・ ブランド力の源は「ニッチトップな技術力」であり、技術を強みにしている会社です。
・ まず、社名でもある「ミドルウェア」とは何かについて説明します。ソフトウエアとハードウエアの間に入るものという意味で、当社ではミドルウェアという単語を使っています。ハードウエアはそれぞれ物理的構成や動いてるOS等、さまざまな条件が異なります。その上で、それぞれ異なるソフトが動きます。例えばiPhoneとAndroid、またはWindowsとMacはハードウエアとしても異なり、動いているOSも異なります。ミドルウェアがその間に入ることによって、ハードやOSの違いを吸収します。ソフトウエアを開発する技術者は、音声や映像に関して、ハードウエアの違いを気にせず、作ったソフトウエアを異なる環境へ持っていきやすくなり、活用チャンスが増えるわけです。ミドルウェアは顧客のビジネス拡大に貢献できるものであると言えます。
新しいゲーム機が発売されると、ゲームソフト開発会社はその新機種について調べて、しっかりと動くものを作らなければなりません。従来のゲーム機ではノウハウも分かっているため問題なく開発できますが、新機種ではチャンスであるものの手間暇がかかるという課題が常に存在します。CRIのミドルウェアを使ってもらえれば、少なくとも音声や映像に関してはそこまで心配しなくても新機種へ対応ができます。実際、ゲームソフト開発会社にはそのように思ってもらえていると認識しています。
・ 当社は音声と映像に特化したプロ技術者集団です。約100名のエンジニアを擁しており、その全員が音声や映像に対して何かしらの強みを持っています。これほどの人員が集まると、技術範囲が広いといわれる音声・映像領域もカバーできます。音と映像で何か困り事があればCRIに相談してみようといった形で、業界内にてポジションを確立していければと考えています。実際に、浸透している業界においては、一度相談してみようと思ってもらえるような立場になってきているのではないかと感じます。
音声と映像の世界においては、例えば大学や機関で研究する最先端技術もありますが、当社はビジネスをしている会社であり、理論のみではなく実際に動くもの、ハードウエアに実装できるものを作っています。そのためには性能を出すテクニックがさまざまに求められますが、当社は豊富な経験を持っているため、パソコンやスマートフォン等のリッチな環境に限らず、家電や自動車など、性能が極めて限られている世界に向けても当社の音声・映像技術を持っていけます。その点が当社の強みです。
・ その技術力を用いた「×nが見込めるビジネス」について紹介します。
・ 当社では「許諾ビジネス」と呼んでいます。対になるのは「受託ビジネス」です。受託とは、ある顧客が望む機能やソフトに対して開発費をもらって製品を完成させ納品するといったスタイルです。収入が確実に確保できるという意味で頑健なビジネスです。当社がメインとする許諾ビジネスは、自分たちのコスト持ち出しで技術・製品を開発し、顧客に使用してもらって利用料を受け取るスタイルです。ゲームソフト開発会社に権利を売り渡しているわけではなく、組み込んだソフトやプログラムの利用料として対価をもらう形態です。このビジネスモデルは採用する顧客が増えれば増えるほど売り上げが伸びます。ユーザーが広がれば利益率がますます上がっていくという基本構造を持っています。このビジネスモデルで利益率の高い構成を狙っています。
当社のIR資料を見ると、受託と許諾の割合が出ています。現時点、非ゲーム分野においては受託案件もかなりの規模であり、全体で見ると受託・許諾は半々程度です。ただ、当社の受託は、自分たちの持つ技術をしっかりと動くものに仕上げるために開発ごと請け負う形が大半であり、その先として開発した技術を許諾で拡げていくという展開を狙っている点は変わりないと理解ください。
・ 許諾ビジネスでは数多く採用してもらえれば利益率が高いという話は理論上そのとおりですが、当然ながら立ち上げには時間やお金もかかります。ましてや、売れる保証も絶対ではありません。許諾ビジネスを新しく始めようと思っても大変なのですが、ゲームの世界においては既に数多くの顧客にCRIを使ってもらうという許諾ビジネスのモデルが回っています。ゲーム事業はある程度頑健な売り上げと利益を出すことが可能になっています。そのゲーム向けビジネスで得たお金とノウハウを非ゲーム分野へ持っていき、許諾が立ち上がるまでやり切れる点が当社の特長と言えます。
・ 「非ゲーム分野への拡大」について説明します。ゲーム機やスマートフォンで培った技術を、非ゲーム分野である家電やモビリティ、カラオケ等、さまざまな領域へ展開しています。最近では、スピーカーや子ども向けの知育玩具にも採用されています。
・ 非ゲーム分野を強化していくことで、まずは売り上げ100億円を目指します。ゲーム分野も当然ながら育てていきますが、100億円を達成するためには非ゲーム分野が伸びていくことが必須であり、そのような計画の下で動いています。
・ 最近のトピックスを紹介します。最初に紹介するのはコミュニケーションミドルウェア「TeleXus(テレクサス)」です。このコミュニケーションミドルウェアの一部にAI通訳機能があります。言語の壁を越えて会話ができるようにするための技術です。2025年1月に発表しましたが、韓国のロッテグループが手掛ける大型メタバースサービス「CALIVERSE(カリバース)」の中でAI通訳機能を入れることによって、言語の壁を越えるべく一緒に取り組んでいます。2025年1月のアメリカ・ラスベガスで開催された「CES2025」において、ロッテ社ブースとCRIの日本オフィスをつなぎ、韓国語と日本語で会話をするデモンストレーションを実施しました。本日は詳しく説明しませんが、音声と映像を強みにしている会社がネットワークも組み合わせると、これは新しいコミュニケーション手段になるという考えの下、現在開発を行っています。
・ 他のトピックスも紹介します。ゲーム分野において当社は海外展開がまだまだの状況と言えます。海外向けの展開として、2025年3月にサンフランシスコで開催される「GDC2025」での登壇を発表しました。
「EdgeTech+AWARD 2024」では、当社のオーディオ技術である「CRI SOLIDAS(ソリダス)」がJASA特別賞を授与されました。このオーディオ技術について簡単に説明すると、従来は専用のオーディオICを使って音声処理していたものを汎用のマイコン、ソフトウエアにていろいろとできるようになります。結果的に、コスト面やハードウエアの調達面、電力消費の面でメリットがあります。
・ 2024年にパイオニアのスピーカーに搭載される形でCRI SOLIDASを発表しました。資料には、組み込み事例としてポータブルゲーミングスピーカーとコンパクトフロントスピーカーの製品写真を載せています。ポータブルゲーミングスピーカーはNintendo Switchで使えます。コンパクトフロントスピーカーは、小さなスピーカーで音の広がりをしっかりと感じられるものとして作られています。別売りで首に掛けるネックスピーカーもあり、巨大なスピーカーを部屋に配置する必要もなく、個人で簡単なホームシアター体験が可能になります。
2.業績動向
・ 2025年9月期1Qの業績を紹介します。最近ではモビリティ向けのビジネスが成長しています。当社はもともと2Qと4Qに利益が大きく出るという構造になっていたのですが、この1Qに関しては当社として過去最高レベルで売り上げも利益も大きく出ました。
・ 資料のグラフのとおり、青色で示すゲーム分野もオレンジ系の色で示す非ゲーム分野も伸びており、モビリティ・自動車領域も含めて全体的に良い結果が出ています。1Qは良い状況だったかと思います。
3.中長期の成長方針
・ 中長期の成長方針についてお話しします。基本方針はゲームの技術を非ゲーム領域に持っていくことです。
・ 2024年6月に成長方針の説明会を開催し、その資料をWebでも発表しています。当社の基幹事業であるゲーム分野は当然ながら育てていきます。モビリティがようやく大きく立ち上がってきているため、しっかりと育てます。研究開発投資をしているTeleXusをはじめ、コミュニケーション領域はまだこれからですが、こちらにも大きなチャンスを感じています。以上の三つを中核事業3本柱として、まずは売上高100億円を目指すというところが現状の内容です。
・ 今回は時間が限られているため、モビリティ事業にフォーカスしてお話をします。
・ モビリティの中で音と映像の技術を提供すると聞いたときに、どこにCRIの技術を使ってもらえると思われますか。恐らく最初に想像されるのはカーオーディオかもしれません。車の中で音楽を聴く、カーナビを見る、最近では映画鑑賞もありますが、カーオーディオ、カーエンターテインメントの領域が想像されるのではないでしょうか。当社が何年も前に着手した領域はそこではなく、コックピットサウンド、メータークラスタと呼ばれる領域です。運転席の周りで鳴る音や映像を指します。ウインカーの音や、シートベルトや半ドアの警告音など、基本的な音であり、マイコン上で動作します。車にWindowsが入っているわけではなく、リッチな環境で派手なことができるわけではありません。限られた性能のマイコンで音を制御しなければならないという領域です。当社としてはこの領域に強みがあると捉えて取り組んでいます。
メータークラスタはスピードメーター等を表示している、運転席の目の前の部分です。かつてスピードメーターは物理的に針が動いていましたが、最近では液晶パネルに変わっており、速度に限らずさまざまな情報を表示しています。ただ、ハイエンドの車を購入すれば別かもしれませんが、一般の車ではそれほど性能が高い環境ではありません。そこでどれほど良いものを出せるかという点に着目しています。
・ モビリティ向け製品は何年も前から着手していますが、非常に時間を要する領域です。1台の車が設計から始まりソフトウエアを決めて生産されるまでは多くの時間を要しますが、ようやく仕込みが成果を出してきまして、3年ほど前からCRIの技術を搭載した自動車が徐々に販売されています。その累計は1,000万台弱になりました。
・ 具体的にどのような音声と映像の技術を提供しているか紹介します。モビリティ向けのオーディオは「ADX Automotive」という名前で展開しています。先述のとおり、エンターテインメント以外の、車内で鳴る音周りです。音の鳴り方には、安全性を担保するためにさまざまなルールが設定されています。ある警告音が鳴る際には、他の音でかき消されて、聞こえない状態になってはいけないとされています。警告音が鳴る際には他の音を止めなければならない、音量を下げなければならないといったさまざまなルール設計がされているわけです。従来は開発メーカーがマイコンに対して細かなプログラムを作り、音声の処理をしていました。ここにCRIがゲームで培った技術を持ってきまして、ミドルウェアとして提供しています。警告音がいつ鳴るかは当然ながら分かりません。突然、警告音が鳴った際に周りの音をいかに調整すればよいか、状況に応じて音をどのように音を変えるかといったところは、ゲームで頻繁かつ通常に行っている処理です。当社としては簡単にできる技術として提供しており、かつ、コスト面やハードウエア的メリットもあり、作った音もさまざまな車種で動きます。そのような強みを発揮して、現在、国内メーカーを中心に多く採用されています。
・ ADX Automotiveは日系メーカーを中心に取引をしており、この台数を増やしていくことが根本的な取り組みです。車1台当たり幾らといった細かい金額は発表していませんが、そのようなビジネスモデルとなっています。同時に、車内で音が鳴る場所は運転席以外に数多くあります。そのようなところでも、CRIの技術で安価に良い音を鳴らす、あるいは多くのスピーカーを活用するなどできるようになっていけば、さらに貢献できると考えています。1台の車の複数箇所でCRIのオーディオを入れてもらう形を目指して数字を伸ばしていく計画を立てています。
・ モビリティ向けグラフィック製品、メータークラスタについて紹介します。「Glassco(グラスコ)」という製品名で展開しています。飛行機のパイロット席、グラスコックピットが製品名の由来です。自動車メーカーは、見た目が分かりやすく、思ったとおりのデザインを、いかに限られたマイコン性能上で表示するかという点で苦労していました。Glasscoはそのような悩みを解消する製品です。Glasscoは2024年からようやく量産期に少しずつ入り、立ち上がってきました。Glasscoが最初に採用された領域は二輪車です。バイクのスピードメーターも徐々に液晶パネルへ変わってきました。車以上にコスト面で厳しい環境となり、その中でいかに分かりやすく表示するかという工夫をしています。モビリティ需要が旺盛なインド市場等では二輪車が非常に伸びており、日系メーカーも力を入れています。決して侮れない市場規模があります。
・ Glasscoの自動車への展開をする上では、テスラなどのハイエンドの車を狙っているわけではなく、いわゆる大衆車・国民車と呼ばれるゾーンの車種に使ってもらえる製品としての提供を目指しています。そこが台数を増やすポイントだと捉えています。
・ 2025年2月12日には、二輪車向けのGlasscoの生産台数が1Qの3カ月で30万台を達成したというニュースリリースを出しました。
・ 車がネットワークにつながるコネクテッドカーが当たり前の時代になり、この先、車内でのコミュニケーション手段についても必ず需要が発生すると考えています。TeleXusはモビリティにおいても十分にチャンスを持つ製品だと言えます。コア事業の3本柱の一つとして、モビリティで30億円を目指します。
・ 最近、モビリティ業界で注目されているワードの一つにSDVがあります。Software Defined Vehicleの略です。SDVは、テスラが採用している方式であり、購入後も車の機能がアップデート、強化されていくという考え方です。モビリティ業界にとっては今までの売り切り型、車種ごとの専用ソフト・ハード生産といった車の造り方と全く異なります。ビジネスモデルとしても、ソフトウエアサービスを利用するために、ドライバーにお金を払ってもらう構造になっていくと思います。つまり、自動車業界のビジネスモデル自体が大きく変化します。自動車メーカーや関連企業はいかにしてSDVの流れを自分たちでコントロールしてつくっていけるかという点に着目しています。
そこでは、根本的な発想として、開発したソフトウエアをさまざまな車種にわたって使用できるようにしたいという考えがあります。当社がゲーム機向けに行ってきたマルチプラットフォーム対応で音声や映像を同じように使えるといった思想が、全く同じ構造でモビリティ業界に登場したことになります。当社が持つ知見でモビリティ業界に貢献していきたいと考え、2024年にはSDVのAPI策定を目指す「Open SDV Initiative」という団体に参画しました。先日のオートモーティブ・ソフトウエア・フロンティアというオンラインカンファレンスでは当社のモビリティ担当者が登壇しています。Car Watchのウェブサイトには講演のレビュー記事もアップされているため、ご興味のある方はぜひご覧ください。
4.株主還元方針について
・ 当社は事業を拡大し、株価を上げて還元するところを最も重要なポイントと捉えていますが、先述のとおりコミュニケーション技術に大型投資をしている点もあり、2年前から配当を開始しました。現在、配当性向30%を目安にすると発表しています。
5.質疑応答
Q1.国際化の拡大方針とその状況について教えてください。
A1.われわれが手掛ける音声・映像技術は特に日本向けというわけではありませんが、当社ができる範囲の各種展開はまだ日本中心です。ゲーム向けのミドルウェアに関しては、海外をもう一度強化しようという取り組みを行っています。過去にも欧米圏にチャレンジしたこともあったのですが、首尾よくいかなかった経緯もあり、現在は仕切り直しを始めたというタイミングです。ターゲットとして、一つは中国市場を見ています。中国はゲーム分野で極めて勢いがあります。合弁で設立されたCRIチャイナという子会社を拠点としてビジネスを展開しています。欧米圏では、CRIが日本からコントロールするのは過去の経験からも難しいと判断し、ヨーロッパ圏を拠点としている代理店と契約し、欧米圏への紹介をしていくべく仕切り直しをしています。製品としては、過去に映像関連の製品を多く使ってもらっており、今期はこの辺りを皮切りに拡げていこうと取り組みを進めています。
Q2.ミドルウェア製品、CRIWAREについて詳しく教えてください。また、この展開を通じて今後の飛躍が期待される分野についても教えてください。
A2.CRIWAREがCRIの技術全般を指すと考えた上でお答えします。音声・映像のところで言うと、圧縮してデータを小さくし、きれいに、軽く、早く再生するというものが根本的な思想です。小さくすることによって、容量低減、安価なマイコンで音や映像が流せるというところをポイントにしつつ、その周辺技術と組み合わせて各分野において求められているものを提供します。ゲームは性能が限られており、その環境で当社の技術が鍛えられてきた部分もあります。家電へ拡がっていったのも、家電に搭載されている性能が限られたマイコンであってもCRIならば顧客が望む機能を実現できるといった点がきっかけとなりました。
飛躍が期待される注目分野はモビリティです。10年近くの仕込みの結果、ようやく立ち上がってきました。立ち上がればそれなりに大きくなると期待して動いています。
Q3.ニッチトップな技術力を持っていますが、海外進出は考えていますか。売り上げ100億円はいつ頃に達成できそうですか。
A3.先述のとおり、海外向けにはゲーム分野で仕切り直しをして、戦略を練っています。モビリティに関しては日系メーカー自体が強いため、国内でお付き合いをするだけでも海外へ車やバイクが出ていく流れがあります。そこは拡がる可能性として期待しつつ、時期は明言できないものの、海外の自動車メーカーもターゲットに入れてお付き合いをさせてもらわなければいけないと考えています。
売り上げ100億円の目標は、中期計画でも詳細には発表していないのですが、2024年に発表した時点では5年から10年のうちに達成を目指すとしています。
Q4.ミドルウェアの使用料について、「@年間、月間で使用料を取る」「Aタイトルで使用料を取る」「Bミドルウェアを使って売れたソフトの本数に従って取る」という形が考えられますが、CRIでは@からBのどちらが該当しますか。
A4.全て該当します。スマートフォンゲームは売り上げがこの程度ある場合、月間幾らくださいというモデルです。年間幾らという考えで言うと、一部のゲーム会社に関しては、使い放題の形でよいためこの額をくださいという契約をしている顧客もいます。当社の考え方は「とにかくたくさん使ってほしい」というものです。大ヒットするタイトル一つに使われればOKという考えではなく、マイナーなものから人気のあるものまで、さまざまなタイトルで皆が使ってほしいという思想です。そのような意味では料金体系を抑え気味な面はありますが、年間何百ライセンスといった数多くのタイトルに使用されることで、一部の会社や一部機種の勢い等の影響をそこまで受けず、ある程度安定した収益を上げられる構造になってきていると思います。
以上
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