Daiwa Investor Relations

企業を探す

企業コード / 会社名
業 種

この条件で検索する

ZACROS株式会社(7917)(旧社名:藤森工業株式会社)
開催日:2025年2月15日(土)
場 所:オービック御堂筋ビル 2階 『オービックホール』(大阪府大阪市中央区)
説明者:代表取締役社長  下田 拓 氏

1.自己紹介
・ ZACROS(ザクロス)という会社をご存知の方はいらっしゃいますか。藤森工業ならよく知っている、名前も聞いたことがあるという方はいらっしゃるかもしれません。社名が変わり、どんなことをやっていくのか、まだまだ皆さんに発信しきれてないと反省しながら、今日はこの機会にしっかりご説明いたします。
・ 最初に自己紹介です。私は1972年生まれ、今年で53歳になります。出身は兵庫県西宮市で、高校生まで過ごしました。大学卒業後すぐに松下電機産業株式会社(現パナソニックホールディングス株式会社)に入社しました。ここでは主に自動車用のバッテリーや電池の営業、営業企画、事業企画を担当していました。2006年からは4年間ほどタイ現地法人の自動車用蓄電池事業責任者を務め、営業以外の全てを担当しました。
・ 2010年、日本に帰国したタイミングで藤森工業に転職しました。一番最初に手掛けた仕事は、アメリカの現地法人の立ち上げです。これもビザを取るところから事務所の立ち上げまで全部一人で行ってやってこいというわけです。会社で経費精算をする際に発行される小切手をどう換金していいかも分からない。そういう状態から会社を立ち上げ、帰ってきた後、2018年からは先端医療事業推進部というところで、医療機器や細胞培養を新事業立ち上げに携わってまいりました。
・ 2021年からはそこを発展させたウェルネス事業本部の責任者を担当し、2023年からは1年間、経営企画室で中長期の経営計画を作ってまいりました。それを作り終えた段階で、2024年、自分で作ったのなら責任を持ってやれということで、社長の大役を拝命し、今推進しているという形です。
・ 趣味はラグビーです。小学校1年生からラグビーを始め、小中高大、社会人とたしなんでおります。今も週1回やっていますが、本格的に当たり合いをするとさすがにけがをしてしまいます。包帯を巻きながらこのような場に出るということは避けたいので、練習にとどめておりますが、週1回は体を動かし、リフレッシュした上で、また月曜日からは仕事には臨んでおります。

2.本日お伝えしたいこと
・ ZACROSは創業110周年の会社です。しかし一方で、常に究極の先端のものを出している。その結果、世界初・日本初の製品をたくさん持っています。その会社は今後ソリューション創造企業として進化していきます。今日はZACROSがどのように110年育ってきたか、究極の先端とはどういうことなのか、どんな世界初・日本初があるのか、それらを今後どう伸ばしていくのかについてご説明します。

3.会社概要
・ 創業は1914年(大正3年)、第一次世界大戦が始まった年です。関東では東京駅が開業、関西では近鉄奈良線が開通するなど日本国内の交通網が発達し、産業が進行していくタイミングに東京でスタートしました。
・ ZACROSという社名は、ZとACRO(アクロ)、Sで作られた造語です。Zというのはアルファベットの一番最後です。それより後ろには何もない、究極を表す言葉です。ACROはギリシャ語で「頂点」「先端」という意味で、最後のSは複数系のSです。究極の先端がたくさんある。そういう会社にこれからなっていこうという思いを込めてZACROSという社名になりました。
・ 2024年3月末の売上高は1,361億円、従業員数は全世界で2,664人です。日本国内に営業拠点、研究・開発拠点、生産拠点を多数持ちながら、北米、中国、台湾、東南アジアを中心に事業を展開しています。
・ 業績は、110年間安定して推移しています。110年の歴史の中で唯一赤字を出したのは2008年です。リーマンショークのときはさすがに厳しくて、国内の工場7拠点のうち、数拠点は数カ月全く動きませんでした。そのとき構造改革を行い、意図的に赤字を出すことで翌年復活したのですが、赤字になったのはこの1回だけです。コロナ禍においても順調に成長を続けてきました。2024年9月はランサムフェアの被害にも遭いました。2週間、生産も何もできない状態になりましたが、それでも24年度の営業利益は105億円へと上方修正し、増収増益の見通しとなっています。

4.110年の軌跡
・ 110年、どういう形で成長してきたか。大正3年、日本国内でさまざまな産業が興り、海外へ物を運ぶ時代となりました。日本の輸出主力品はシルクでしたが、当時は海上輸送なので、海水や湿気によりダメージを受けました。アメリカやヨーロッパに着いたときには、品質が著しく落ちていた。防水・防湿紙を使って包装していましたが、その質もあまり良くなかった。でも、みんな仕方ないよねと諦めていたのです。
・ そこに着目したのが創業者である藤森彌彦でした。せっかく日本のシルクは高品質なのに、海外に着くと劣化してしまう。日本の信頼感やイメージが損なわれてしまう、なんとかできないかということで開発したのが「藤森式ターポリン紙」です。防水機能の高い塗料を発明し、それを均等に塗っていく技術も開発しました。その結果、日本のシルクは品質が保たれた状態で世界の至るところに運ぶことができるようになり、日本産業の復興に貢献することとなりました。こういった世の中の潜在的な困り事に挑み、改善していく。誰もやったことのない手でソリューションを作っていくというのがわれわれのDNAであり、今でも脈々と受け継がれています。
・ このとき発明した技術は、プラスチックの包装や、それを使った培養など、さまざまな分野に応用しております。元はシルクを包むものでしたが、タイルを包んだらどうか、建築・土木ではトンネルのシートに使ったらどうか。あるいは、プラスチックの包材に利用してジュースのパックを作るなど、用途を拡大しています。
・ 今現在、大きく四つの事業を展開しております。「ウェルネス」は、医薬品の包装資材や医療機器等々です。「産業インフラ」は建築・土木が中心です。「情報電子」は、半導体や大型ディスプレイといった領域です。「環境ソリューション」は、詰め替え用のパウチなど身近なものの開発です。まるで違う四つ事業体ですけれども、コアの技術は同じで、異なる素材を塗ったり貼ったり、それを組み合わせて加工するというものです。
・ 4本足の事業であるというのがポイントです。時代によっては、半導体の不況があります。そういったときは非常に苦しい状態になるので、ウェルネスや環境ソリューションの事業が支える。新型コロナのときは、ウェルネスの事業でも一部の製品は伸長しましたが、病院へのアクセスがストップしたので、薬の包材はほぼ出なくなりました。そういったときは建築・土木の産業インフラでカバーする。四つのどれかが必ず支えるというのが安定した成長のポイントではないかと捉えております。
・ そういった活動の結果、さまざまな世界初・日本初がございます。まずは「レトルトパウチ」です。今では皆さん普通に目にしているものですが、日本で初めてFDA認可を受けたのはわれわれです。「テトラパック」は子どもの頃に給食で出てきた方もいらっしゃると思いますが、これはヨーロッパのテトラパック社と技術提携して当社が日本で販売したものです。それから「ポリエチレンラミネーター」。食品の包装袋を切って開けると、その断面は何層ものフィルムが重なっているのが分かると思いますが、異なる素材を貼り合わせること(ラミネート)で中身を守っています。ラミネートという技術を日本に導入して、日本で初めてポリエチレンラミネーターを自社開発しました。
・ トップシェアの製品、サービスはたくさんございます。例えば「トンネル用防水シート」の国内シェアはダントツNo.1です。「偏光板保護フィルム」はテレビや大きなディスプレイなどで使われている、偏光板が貼られたガラスを守る保護フィルムですが、世界シェアでNo.1です。「業務用折りたたみ液体容器」は血液検査に使われる容器ですけれども、こちらも世界シェアNo.1。身近にある「つめかえパウチ」も国内トップシェアです。

5.中長期の成長戦略
・ われわれは、お客さまや社会の潜在的な困り事に先行して挑み、これまでにない新しい解決策を創出していくという活動を繰り返していますが、創業から110年間、つめかえパウチも、ターポリン紙もそうですけれども、基本的には困り事をモノで解決してきました。今後もものづくりはさらに磨いていきますが、モノの価値を最大化させるサービスや仕組みも付け加えることで、もっと社会に貢献し、成長していきたいと考えています。
・ 例えば、つめかえパウチは1990年ころに日本で始まったものです。当時は容器包装リサイクル法が施行され、洗剤を作っているメーカーなどは、今まで使っていたプラスチックボトルの使用量を減らさなければいけなくなり、困っていました。一般家庭では、使用済みのプラスチックボトルは燃えるごみでは出せなかった。燃えるごみは週2回は回収に来るけれども、こういうボトルは月1〜2回程度で、家に置いておける場所もない。そこでパウチを詰め替える袋に使えないかと考えたのです。
・ でもシャンプーやボディーソープの詰め替えをやるのはお風呂場ですよね。とはいえ、封を開けるためにハサミは持っていきたくない。それならば、手で開けられるような工夫をしよう。でも輸送中には絶対に破れない。また、注ぐときにこぼれたらベタベタするし、もったいないので、注ぎやすくするためストローを入れ込もう。そういうところまで考え、工夫したものが「つめかえパウチ」です。それをお客さまに提案すると、これだったらプラスチックの量を減らせるねと。家庭ではごみの量も減らせて、燃えるごみの日に出せる。そういうことで、日本では詰め替えの文化で定着しました。でも、我々が提供したのは、あくまでもモノでした。
・ これからはモノ+αです。例えば、われわれはトンネル内の水漏れを防ぐシートを50年前から作っていますが、30mくらいの幅がありながら、水が漏れるわけにはいかないので絶対に破れないものを作らなければいけない。その商品化に成功しています。それだけでなく、これを使う工事現場は何に困っているのか。今、工事現場は人手が足りません。労働時間を短縮しないといけない。どうやって改善すればいいのか、を考えたサービスも提供しています。
・ 今のトンネル工事現場では、湧水下(掘り進んでいったときに自然に湧き出る水)では、湧水量を減らす薬剤を注入し、その上でシートを貼っていきます。そこで我々は、薬剤を注入しながら機械的にシート貼りが可能な機械を提供しています。さらに、トンネルの工事現場では、地山を支える支保材料(土砂の崩落などを防止するために施工される構造物)やコンクリートなど、様々な資材が使われています。それらの資材の在庫管理や受発注管理も現場でする必要があります。それらを一括で管理できるシステムも、我々が併せて提供しています。すると、建設現場は最小限の人数で、効率よく施工ができるようになるのです。
・ そういったソリューション創造活動を進化させることで、2030年には売上高を2,200億円にしていこうというのが中長期の計画です。一番のポイントはROEです。2023年度5.4%だったものを2倍の12%にする。投資対効果のある、付加価値の高い事業に変化させていこうというのがコアの考え方です。
・ そのためには、24〜26年の最初の3年間は事業の構造改革、付加価値事業の追加をやらなければいけません。生産性も上げなければいけない。だから投資額700億円+αを使って事業ポートフォリオを変え、ビジネスモデルを進化させる。その上で27年以降、ROE12%に向けて一気にジャンプアップしていくという計画です。
【成長牽引事業】
・ これらを推進するにあたりポイントとなる事業は、しっかりと稼いでいく事業です。
・ 一つ目はオフィスビル用煙突です。ビルや商業施設には必ず非常用電源があり、動かしたときにはかなりの熱が出るので、その熱を逃がすための煙突がついています。この煙突のシェアは国内トップです。それから、これから日本はデータセンターが新設・増設されると報道されていますが、データセンターもすごい熱が出ます。それを逃がすための煙突も対応していきます。さらに、これらはインフラ事業なので、老朽化を見据えて、点検、調査、補修、回収ができるようなメンテナンスサービスもつけて、事業を展開しています。
・ 二つ目は、プロテクトフィルム(光学ディスプレイ関連部材)です。テレビやスマートフォンを買った時に表面にフィルムが貼られていますが、これではありません。例えば、テレビの液晶パネルに使われているガラスは、製造過程においていくつも工程が分かれており、違う場所で作られています。偏光板メーカー、パネルメーカー、組立メーカーを経てテレビが出来上がりますが、その間、中のガラスが傷ついたら絶対駄目なんです。だから保護するのですが、最後に組み立てる時は剥がさなければいけません。われわれの保護フィルムは、輸送中は絶対に剥がれませんが、最後にはスッと剥がれて糊は残らない。剥がれないけど、剥がしやすいという機能を備えています。
・ また、テレビの画面というのは、傷やほこりが少しでもあると、その部分が映らなくなります。絶対ほこりや汚れがついてはいけません。でも、作業工程では「検査済」の判も押さなければいけない。汚れはつかないけれども、検査印はきちんと押せて、消えない。生産性も追求するので、3m幅で塗工するけれども、ミクロン単位の厚みも制御する必要がある。こういった矛盾を全部入れ込み、商品化しているのがわが社です。3m幅というのは世界初なので、世界シェアをさらに引き上げるため、群馬県沼田市にある沼田事業所の設備投資も決定しました。
・ 三つ目は情報記録用材(半導体関連部材)です。半導体は今後、AIや自動運転の分野で大量に使われることが見込まれます。今使っている半導体パッケージ基板の面積を広げて、さらにそれをより多く積み重ねることで性能を上げていく必要が出てきます。この積み重ねの作業のときにわれわれの層間絶縁材料が使われているのですが、これは高性能ロジック半導体と呼ばれているところでは世界シェア90%以上の味の素さんと一緒に作っています。今後の需要回復を見据えて、沼田事業所、昭和事業所を生産拠点に、投資を継続していきます。
・ さらにその次の3年、5年はどうするか。一つは医療検査用の液体容器です。血液検査の試薬を入れるのに使われる容器ですが、非常に高い世界シェアをもっています。日本や欧米はこれから高齢化が進み、未病予防の検査は需要が増えていきます。また、中国、インド、アフリカ、東南アジアなどの新興市場では健康診断を受ける人が増えており、そこで使われる容器が必要に迫られています。今アメリカ、静岡、マレーシアを拠点に生産しておりますが、それらの生産能力を拡張すると同時に、2025年1月、中国に生産拠点を構えることも発表しました。こういった体制で世界シェアをさらに拡大していきます。
・ 次はBioPhaS(バイファス)です。バイオ医薬品やワクチン、抗がん剤などを作る際に使われる資材です。最大で500点の部材を使いますが、実はほとんどが海外製です。アメリカやヨーロッパから購入し、組み合わせて作るのですが、コロナのときに日本でワクチンが作れないという事態が起こったのは、各国で部材が使われ、入手できなくなったためです。そこで、今後そういった状態を作らないために、国内の部材メーカーを集めて、J-STAC(ジェイ・スタック)という共同体を当社が発起人となり設立しました。また、部材の一つであるBioPhaSの製造と、集めた部材の組み立てを行う三重の生産拠点の生産能力を3倍に広げています。今度何かあったときには、日本国内で部材を調達できるようにするため、経済産業省とも協議し、補助金をいただきながら準備を進めているところです。
【育成事業】
・ さらにその先はどうするか。一つは体外診断薬用医療機器の事業推進です。これから、手術やいろいろな治療法が増えていきます。人間というのは傷をつけると血が止まるのですが、手術をしている最中にそれが血液の中で起こることがあります。コロナのときにも、ECMOで人工心肺をやると血栓ができ、それで亡くなるということがよくありました。なので、手術は血栓を溶かす薬を投与しながら進めるのですが、量を間違えると今度は血が止まらなくなります。今はお医者さんの感覚でやっていますが、それを定量的に測定できるようにしたのが「血栓形成能解析システムT-TAS」です。アメリカとヨーロッパで薬事登録を終え、これから販売を強化していきます。
・ もう一つは、再生医療で使われる細胞培養です。われわれは、細胞を同じ状態で大量に一度に増やすということをやっていきたいのです。でも、細胞というのは少しの刺激で全く違うものに変わっていくので、非常に難しい。それを均一な状態で増やせると、いろいろな治療に使える可能性があるのです。例えば、現在がんの治療にはT細胞が使われてます。人が持っているT細胞をいったん外に取り出し、遺伝子改変を行い、CAR-T(カーティー)細胞として戻すという治療ですが、1回の治療に約1億個の細胞が必要です。それにかかる費用は約3,000万円。これを大勢の患者さんに使ったら、日本の財政は破綻してしまいます。ではどうやればいいか。iPS細胞などを大量に増やして、そこから作っていけるようにすれば、今は一度に1人しか作れないものを一度に100人、1000人と作れるようになる。そういう可能性を秘めているのが大量培養技術です。我々はこれを100億個まで増やすことにもうすでに成功しています。その上で、心臓の筋肉(心筋)に変わることを確認できています。今一部の治療にしか使われていない再生医療が一般的な治療になるよう少しでも貢献できればという思いで事業化を加速しています。
【新規事業】
・ 細胞培養の知識や技術は、再生医療だけなく、細胞性食品(細胞から肉を作る)や、海洋性分解性バイオマス樹脂(微生物の培養を利用して、海でも土でも溶けるようなプラスチックを作る)の開発へも展開しています。培養肉については、2025年の大阪・関西万博でステーキを細胞から作ることを目指し、「培養肉未来創造コンソーシアム」に参画している大阪大学、TOPPANホールディングス株式会社、株式会社島津製作所、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社、株式会社シグマクシス・ホールディングスとともに取り組んでいるところです。海洋性分解性バイオマス樹脂については、土の中でも、海の中でも、川の中でも、4週間から1カ月でちゃんと溶けます。今はカトラリーを作ることに挑戦しています。
・ そういったことをやっていく上で、藤森工業という社名の「工業」の部分が業態に合わなくなってきたわけです。工業というと、モノづくりだけになってしまう。モノづくりだけではない事業で世界に広く羽ばたいていきたいということで、2024年10月1日よりZACROS株式会社と社名を変更しました。
・ 2024〜2026年の3年間で事業ポートフォリオを強化します。事業の発展だけでなく社会的な責任も果たすため、持続可能で豊かな未来の創造、環境負荷の最小化、多彩な人財の活躍と育成、持続的な成長のための組織基盤の強化といったこともコミットし、充実させていきます。
・ 環境対応の例として、2025年1月から、神戸の医療機器メーカーであるシスメックス株式会社と連携して、血液検査で使われた当社の容器を回収し、粉砕・洗浄・乾燥させた後、また同じ容器として使っていただくという水平リサイクルの展開を開始しました。初回の出荷にも立ち会ってまいりましたが、こういう活動はどんどん拡大したいと思っております。

6.株主還元
・ 利益をしっかり稼ぎ、次の成長への投資につないでいくだけでなく、応援していただける株主様にも還元し、さらに応援していただくという取り組みを続けていきたいと思っています。
・ われわれの基本方針は、安定的に長期に継続して応援いただくこと。そのための配当政策を取っております。従来、配当性向30%を目安としてやってまいりましたが、24年度はそれを引き上げ、40%を目安としました。今年度は63円+63円で、年間126円の見込みです。
・ リーマンショックで赤字になった年にも、長期安定的に応援していただける株主様のために、配当を出させていただきました。
・ 株主優待として、保有いただいている株数に応じて若干金額は変わりますが、6月にクオカードを贈呈しております。
・ 最後に2025年度のZACROSカレンダーについてご紹介します。毎年、コンセプトを従業員が考えています。今年は「究極の先端」という新社名の意味を踏まえて、その時代その時代の先端技法を取り入れた芸術作品を題材としています。スマートフォンでQRコードを読み込むと私が出てきて、動画で解説いたします。これを撮影したのは9月14日で、あるトラブルで時間の経過とともに徐々に背後の人が増え、私の口調も表情も険しくなり、早口になってまいります。そんなときに撮影したカレンダーを本日展示コーナーでお配りしています。まだ10本ぐらい残っておりますので、ご興味のある方はぜひお持ち帰りになってください。
・ 110年という歴史を持ちますが、「究極の先端」を軸に、次の未来をしっかりつくっていくという会社でございます。ぜひこれを機会にわれわれのことを知っていただき、長期に応援していただけるとありがたいです。

7.質疑応答
Q1.M&Aや資本業務提携などについて、どのようにお考えでしょうか。海外展開についてのお考えもお聞かせください
A1.110年の歴史の中で、M&Aはあまりやっておらず、オーガニックに成長してきました。ただ、今後を見据えて、医療機器や、細胞培養を使った再生医療の領域は事業を拡大していこうと思っています。もちろんコアの技術はわれわれが作っていきますが、事業として進めていこうと思ったら、足りない機能があります。
 再生医療はそれこそ薬を作るのと同じようなことをやるわけですから、そのための施設や、薬事の機能が必要になります。そういったものをゼロから始めるには時間がかかりすぎる。外部で既にそういう機能を持たれている会社とパートナーシップを組み、スピードアップを図ってやっていく必要があると考えています。そこにおいては、M&Aという話も出てくるかと思いますし、中長期の投資を700億円+αとしたのはそういう意図もあります。
 海外戦略については、新規事業を展開していく場所は日本だけではありません。アメリカやヨーロッパ、インドなど、われわれが強みを発揮できる事業であれば、どこへでも出ていくという考えでおります。その代表例が、2025年1月に発表した、中国での製造拠点を持つというリリースです。積極的に進めていく方針です。

Q2.新規事業のシーズはどのように探して見極めていますか。
A2.基本的にわれわれのコア技術というのは、異なる素材を塗って、貼って、加工するというもので、全てここから始まっています。例えば細胞培養技術のシーズは、コーティング(塗る)の技術から出てきました。塗るための素材をどう液体にして、どう均質に塗っていくかという技術ですけれども、大量に細胞を培養しようと思ったら、大きなタンクで培養するときに、タンクのどの位置でも全く同じ環境を作らないといけません。環境が違うと、酸素やアルカリ性の濃度が変わり、違うものが生まれてしまうので、常に均一な状態を保たなければならない。そのときに3m幅で均一に塗るコーティングの技術が活かされております。
 また、当社の技術はどこへ展開できるかというのは外部の先生方にも相談しています。この分野にわれわれの技術を使ったらどんなことが起きるか、世の中ではこっちが伸びそうだと言っているけれども、そこにわれわれの技術を組み合わせたらどんなことが起こるか。社内で頻繁にディスカッションを行っているので、同じ技術で用途を拡大するという形で成長できているのだと思います。

                                      以上

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

大和インベスター・リレーションズ(以下、「当社」といいます。)はこの資料の正確性、完全性を保証するものではありません。

ここに記載された意見等は当社が開催する個人投資家向け会社説明会の開催時点における当該会社側の判断を示すに過ぎず、今後予告なく変更されることがあります。

当社は、ここに記載された意見等に関して、お客様の銘柄の選択・投資に対して何らの責任を負うものではありません。

この資料は投資勧誘を意図するものではありません。

当社の承諾なくこの資料の複製または転載を行わないようお願いいたします。