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ホーチキ株式会社 (6745)
開催日:2025年2月15日(土)
場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区)
説明者:代表取締役 社長執行役員  細井 元 氏

1. 基本情報・ 事業概要
・ ホーチキ株式会社は、火災報知設備を事業の軸にしながら、日本のみならずグローバルに火災防災を通じて、安全・安心な生活を守るライフセーフティー創造企業を目指しています。設立は大正7年(1918年)。従業員は連結で約2,300名、東証プライム市場に上場しています。
ホーチキは国内メインの事業会社というイメージがあるかもしれませんが、製品の納入実績は世界129ヵ国に渡っています。実は世界市場の広範囲で事業展開している会社です。これは、私どもの製品とシステムが、世界各国が持つ規格認証に適合した製品ラインナップを有しているということを意味しています。これがホーチキグループの強みの1つと認識しています。
拠点は、国内42拠点、海外で17拠点。海外は、アメリカ、イギリス、シンガポール、オーストラリア、その他の国で9社の海外子会社があります。また、海外工場も3工場あり、合わせて17拠点でグローバルに事業展開しています。
・ 当社の沿革について。当社は大正7年に設立し、今年で創業107年目を迎えます。当時の日本は近代化への道を歩んでいました。そのため都市の防災面のインフラ整備が政府の大きな課題だったと聞いています。そこで当時、警察行政と消防行政の2つを担当していた警視庁が、首都である東京に国産の火災報知設備の設置を計画しました。
その要請を受け、損害保険会社の13社と生命保険会社の3社の共同出資で、東京報知機株式会社、現在のホーチキ株式会社が設立。日本初となる火災報知設備の開発に成功しました。これが当社の原点です。
1920年には、日本で最初の火災報知機を東京の日本橋に設置。その後、皇居や国会議事堂他、国の主要な建物等へ次々と火災報知設備を設置しました。このような経緯から、当社は「日本の火災防災のパイオニア」と自負しています。
・ セグメント別の事業内訳について。私どもは、火災報知設備を中心に4つのセグメントで事業を展開しています。全体の61.2%が主力の火災報知設備。そのうち約3分の1は海外への機器販売です。それから消防防災設備の保守点検や整備工事を行う保守セグメントが21.4%で、消火設備が10.8%。オフィスの入退室管理や鍵管理・電気錠システムなどを手掛ける防犯設備が6.6%という構成です。
防犯設備は、国内の防災の競合会社は手がけていない分野です。社会的なセキュリティ意識の高まりと併せ、今後市場の拡大が期待されています。火災防災分野と非常に親和性の高い領域なので、当社も今後の積極的な事業拡大を図るセグメントとして位置付けています。
・ 火災防災設備の機能と役割について。当社の製品は「建物に付随して設置される」という特徴があります。オフィスやショッピングセンターなど様々な建物用途や規模に応じて適切なシステムや製品が導入されています。
主要製品である火災報知設備は、各エリアに設置してある感知器が煙や熱、炎の加減を感知します。人が直接火災を発見した場合は、発信機のボタンが押されます。そして、感知器や発信機の火災信号を受信機が受信します。受信後、受信機のスピーカーから警報音が発せられ、施設の管理者や警備員の方々に火災の発生を知らせます。と同時に、適切な避難誘導を促し、初期消火や消防通報などを支援します。また、単に火災を知らせる機能に留まらず、受信機から防火扉や排煙口の制御も自動で行うことができ、火災の延焼を最小限に抑えられるシステムになっています。
消火設備は、水や泡、ガスを利用して初期消火を行うことを目的とした設備です。スプリンクラー設備は、火災が発生すると自動で放水されます。また、放水銃システムはスプリンクラー設備と同様に放水するシステムですが、特に大規模な建物や高い天井などの空間の広い施設に適しているという特徴があります。
また、これらの火災防災設備は、消防法という国の規定により年2回の法定点検が義務付けられています。システムの機能保全に向けた定期点検やそこから発生する整備工事などのビジネスが保守セグメントに当たります。
・ 当社が開発した放水銃システムについて。放水銃は、ドーム球場やイベント施設のような大規模な建築物で天井が高い空間で発生した初期の火災を検出し、自動で放水・消火する設備です。これは当社が世界で初めて開発したシステムです。
放水銃システムは、遠距離の火源位置を自動で検出し、80m以上の放水距離を実現できます。先端技術を結集して開発されました。
国内外で100件以上の導入実績があり、この分野では非常に高いシェアを有しています。いざという時の初期消火の具体的なソリューションとして国内外で活躍しているシステムです。

【国内事業】
・ 国内の火災防災の事業環境について。当社のメイン事業である防災関連は、消防法という法令の中で設置や点検が義務付けられています。一定の規模または用途の建物が建設される場合、法令により定められた基準を満たす防災設備の設置が必要です。
複雑・多様化する火災により、防災ニーズが高まり、法律が整備される。その中から需要が創出されるのが当社事業の特性だと考えます。
また、私どもでストックビジネスと呼んでいる保守やリニューアルの営業対象となる防火対象物の件数は年々累進的に増加しています。ここに安定した需要があります。
防火対象物の中でも複合用途の建物が増加しています。オフィスやホテル、ショッピングセンターなどが複合的に組み合わさった建物の大型再開発です。これらは東京を筆頭に地方の大都市でも増加傾向にあります。当社は複合施設を含む大規模物件を得意としています。
大規模向けの受信機を業界ではR型・GR型と呼びますが、それらの受信機の検定台数が大幅に上昇しています。このことからも複合施設を含む大規模物件が増加している事業環境がわかります。
建設業界では、いわゆる2024年問題と言われる残業上限規制への対応や慢性的な人手不足などの構造的な問題を抱えています。実際、再開発計画等の工期の見直し等が行われている実態もあります。しかし再開発等の建築需要の点では、中長期的なトレンドで今後も旺盛な事業環境が継続するとみています。
・ 国内のビジネスモデルは、大きく「工事付」「保守」「機器販売」の3つに分かれます。国内売上高全体の52%を占めているのが工事付、次いで保守、機器販売の構成です。メーカーでありながら、施工や保守などのエンジニアリングの要素も併せ持った事業形態であることを示しています。
当社の国内事業は、建物のライフサイクルに合わせて長期的に安定した需要が見込めるソリューションを提供するビジネスモデルであることが大きな特徴です。
建物のライフサイクルとは、建築の計画や設計段階から始まり、工事の着手、竣工後の設備の維持管理、そして老朽化に対応する設備更新などの長期スパンで構成されています。私どもホーチキでは、システムの設計提案から新築工事の受託、メンテナンスの契約締結、その後派生する整備工事、そして老朽化に対応するリニューアル工事の受託など。建物のライフサイクルに沿ったソリューションをワンストップで提供できます。
メーカーとして直接、工事込みで請け負える体制を構築しています。製品の開発や生産のみならず、施工や保守点検のエンジニアリングの分野でも、お客様と長期の強いリレーションを構築できるのが私どもの強みだと考えます。
また、全国に代理店を多数有しています。自社で施工を請け負わない物件については、代理店への機器販売の形態で、市場を広くカバーできています。
近年では、保守やリニューアルなどのストックビジネスと言われるものが年々増加傾向にあります。鉄筋コンクリートの建物の寿命は50年、もしくはそれ以上と言われています。そのため、リニューアルも複数回、建物の寿命に合わせて行われています。今後も需要は累進的に拡大していく見込みです。
・ 国内事業の強みは3点あります。
1つは、研究開発、製造から販売、設計・施工、メンテナンス、リニューアルに至るまで一貫した火災防災ソリューションを提供できるということ。
2つ目は、日本初の火災報知機を設置以来、長年の間、国の主要な建物に当社製品を導入した経験による豊富なナレッジがあること。
最後は、自社で育成した施工・保守担当者による現場での多様な要望に応えるエンジニアリング力があること。
これらの強みがお客様から評価されており、システムが複雑かつ大規模化する建物市場において、長期間業界No.1を獲得する実績を持っています。
また、私どもホーチキは、大規模市場向け対応型のフラッグシップモデルとなる新しい受信機システムを昨年度フルモデルチェンジしました。おかげさまで、お客様からも大変高い評価をいただいています。

【海外事業】
・ 海外でも、火災報知設備の製品は、日本と同様に各国で定める法律や規格が存在します。また、これも日本と同様、複雑・多様化する火災災害による防災ニーズの高まりと合わせ、各国の法律や規定の改定も常態的に行われています。
2017年にロンドンのグレンフェルタワーという高層マンションの火災により多数の死傷者が出ました。これを契機に、イギリス政府による自動火災報知設備導入の助成金制度が法令化されました。その際に当社製のワイヤレスのセンサーが大量に市場供給された事例もあります。また、数年前には、アメリカで煙を検出する探知機の規格が大幅に改正。これまで以上に精度の高い検出感度が要求されるようになりました。
私どもホーチキを含む世界中の火災防災メーカーは、これに対応した感知器を新規で開発。高度化する防災ニーズに応える体制を取っています。
このような事業特性も含め、世界の火災報知設備の市場動向は、今後もオーガニックな成長が見込まれると考えています。当社のビジネスを展開する上でも安定的な事業環境が見込まれます。今後の海外事業の成長にもご期待いただければと思います。
・ 海外事業におけるビジネスソリューションと商流について。海外事業はホーチキの成長ドライバーと位置付けています。実際、円換算で2020年から3年間で約1.8倍の成長を実現しています。
国内との一番の違いは、海外事業は販売店や施工店に対する100%機器販売に特化したビジネスモデルです。日本のような施工やメンテナンスは行っていません。
海外のビジネス領域は129ヵ国と広範囲に及んでいます。メーカーとして、仕様・規格のみならず、国や地域が定める独自規格の認証取得を推進し、機器の販売シェアを広げる施策を展開しています。
また、従来はセンサーやデバイスのみの単品の機器販売を電材商社向けに行うことが主流でした。しかしパネルメーカーのケンテック社の買収後は、パネルとセンサー、デバイスをシステムパッケージにして建物案件ごとに販売する形態にシフトしています。
これにより、従来は小規模物件の市場をメインにしていましたが、システム拡張が必要な中大規模市場に戦う場を移し、事業領域を拡張する取り組みを進めています。また、これに合わせ近年では、メーカー選定に強い権限を持つビルのオーナーや設計会社・電気設備工事会社へのいわゆる川上営業も強化しています。
これらの取り組みにより、海外事業は今、大きく成長しています。しかし、まだ全体の売上構成比では20%をようやく超えたところです。今後さらに海外への投資を加速し、事業成長を目指したいと考えています。
・ 海外事業の強みも3点あります。
1つは、海外の競合企業と比較しても高度なセンシング機能を持つ日本メーカーとして広く認知されているブランド力です。例えば、ロンドンの地下鉄のキングスクロス駅で大火災が発生したことがありました。この時、当社製品の高い品質が評価されロンドン地下鉄に採用され、現在もロンドンの地下鉄駅舎で高いシェアを有しています。これはセンサー性能について海外で「日本のホーチキ」というブランドを確立した事例です。
2つ目は、世界の主要規格に適用したグローバル生産体制を構築している点です。欧州と米国の規格に関する各認証機関が所在するイギリスとアメリカに、私どもは開発生産拠点をそれぞれ持っています。これにより、各地域の需要に応じた製品をタイムリーに開発・生産・供給することが可能です。
3つ目は、海外の競合会社にはない国内のエンジニアリングサービスで培った手厚いテクニカルサポートによる他社との差別化です。販売後も手厚い顧客サポートを行い、顧客接点の量と質を強化しています。これにより、当社の知名度の向上とお客様との信頼関係を構築。これがホーチキのサービス力として高く評価いただいています。

・ 前期までは3期連続で過去最高の売上高と利益を更新中です。本年度は4期連続の更新を現在目指しています。国内のストック事業と海外事業が会社業績を牽引しており、収益性も向上しています。
当社の成長ドライバーである海外の地域別の売上状況では、最もボリュームがあるのは欧州/中東/インド、最も成長性が高いのはアジア・パシフィックです。
今後の事業環境の見通しについて。国内においては、2024年問題と言われる残業上限規制対応や慢性的な建設業の人手不足によって、一部の再開発案件など計画の見直しが生じるといった実態はあります。しかし、首都圏を中心とした再開発計画の需要は非常に旺盛なので、当面は安定した市場環境が見込めると考えています。
また、海外も市場のオーガニックな成長が見込まれています。こちらも今後さらに事業を拡大するための積極的な投資を計画しています。

2. 中長期経営ビジョン GLOBAL VISION 2030
・ 当社は、2030年までの7年間をターゲットにした中長期経営計画を現在展開中です。今年度から2026年度までの3年間はPhase(フェーズ)1、2027年から2030年度までの4年間をPhase 2としています。Phase 1の3年間は、今後の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に必要な事業構造改革を実行するステージと位置付けています。Phase 2は、Phase 1で実行した事業構造改革を起点に、新たな価値を創出するフェーズとして位置付けています。
重点方針は3項目。「事業ポートフォリオの最適化による資本収益性の向上」「人的資本経営の推進」「DXによるイノベーション推進」です。重点3項目に基づき、2030年度には海外売上高比率30%超えを目指し、日本の“ホーチキ”から世界の“HOCHIKI”へとグローバル化を進めたいと目標を立てています。
・ 構造改革ステージであるPhase 1の3年間の投資とキャッシュアロケーションについて。営業キャッシュフローは3年累計で330億円を見通しています。利益の増加に加え、運転資本の効率性改善により投資や株主還元に向けた原資を確実に生み出したい。
そのようにして生み出したキャッシュを元に225億円の投資を計画しています。主に国内外の生産設備維持・生産性向上を目的とした設備投資に50億円を投資することに加え、人手不足やグローバル化を見据えた自動化ラインの実現及び海外センサーの生産量の拡大、サプライチェーン生産効率向上を目的とした生産能力の増強に115億円の投資を見込んでいます。その上で、DXやM&Aによる事業領域拡張投資に60億円の投資を計画しています。この投資計画は、従来の私どもからすると、非常にチャレンジングな内容です。さらなる事業拡張に必要な戦略投資として認識しており、現在、社内で実行に向けた検討を鋭意進めています。
また、株主還元については、中長期視点での持続的な成長に必要な投資を実行した上で、配当性向やDOE等の指標を勘案しながら、累進的な配当方針を維持します。配当性向はまだまだ十分ではないと認識しています。資本収益性改善を実現することで生まれる投資余力は、投資機会と事業環境を総合的に勘案し、成長投資と追加還元への柔軟で戦略的な資金配分を実現していきたいと考えています。

3. 2025年3月期業績予想
・ 2月6日の第3四半期の決算発表と共に、通期の業績予想と増配について開示。
売上高は990億円、当期純利益は69億円、ROEで12.4%、1株あたりの年間配当金は72円です。この予想数値は4期連続で過去最高の売上高と利益の更新となります。グループ一丸となって業績の達成を目指します。
・ 配当方針について。当社グループは株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つと認識し、安定した株主配当の維持を原則とした上で、財務状況や利益水準を総合的に勘案することを基本方針としており、その考えに変更ありません。
配当性向は今現在十分ではありません。しかし、この事業構造改革フェーズでしっかりと戦略投資を行い、そこから得たリターンは改めて株主の皆様への還元を検討したいと考えています。

4. 本日のまとめ
・ ホーチキは、火災防災を通じて、建物内の安全・安心に貢献する各種製品とサービスをトータルで提供しています。
そして、国内事業では、新築から保守、リニューアルまで、建物のライフサイクルに沿ったサービスを一貫して提供することで、お客様と長期間でのリレーションを構築する。これが強みになっています。
成長余地が大きい海外事業では、投資を加速することで事業規模を拡大し、グローバル企業としての地位の確立を目指しています。
2月6日の第3四半期の決算発表で、通期の業績予想と配当予想の上方修正をしています。こちらの内容も合わせてご確認いただけると幸いです。
私どもホーチキグループは、これからも火災報知設備を事業の軸とし、グローバルな社会の安全・安心な生活を守る企業を目指したいと考えています。

5. 質疑応答
Q1. 同業他社と比較して御社の最大の強みはなんでしょうか。
A1. 国内の同業他社と比較して一番の違いは、海外での事業規模です。海外の3工場、17拠点を有しているのは、国内の競合会社と大きな差があると認識しています。加えて、米国、欧州を含めた世界各国の主要規格に準じた製品やシステムを持っているのが最大の強みだと考えています。

Q2. 海外で競合他社がいれば教えてください。御社は世界でみると売上高ベースの業界順位はどの位置にいらっしゃるのでしょうか。
A2. 当社は、世界の中でのシェアは非常に少ないです。おそらく10%以下だと考えています。国によっては20%を超えるシェアがある国もありますが、グローバルベースでは10%を切った1桁ぐらいだろうと思います。
競合会社としては、非常に大きな会社を相手にしています。アメリカのハネウェルグループや、欧州ではシーメンスまたはボッシュなど。このようなコングロマリット企業が我々が海外で競合するプレーヤーで、それぞれ傘下に防災会社を持っています。
シェアはまだまだ低いですが、だからこそ成長の余地があると考えています。

Q3. 火災報知器の最新製品や防犯分野での今後の展開や計画について教えてください。
A3. 火災報知設備は、消防法の法規制の枠の中で様々な制約を受けています。ただ、火災発生をSNSやメールで速やかに通知できる防災クラウドサービスを4月から立ち上げる予定です。火災情報の迅速な伝達や早期避難誘導が実現すると、これまでクローズだった火災報知設備がよりオープンにソリューション領域を広げられると考えています。
また、防犯設備は、市場の拡大が非常に見込まれています。私どもは従来、建物の入退室管理システムに留まっていました。しかし親和性の高い商品に領域を広げ、セキュリティ事業からソリューション領域を広げることに取り組んでいます。
昨年、防犯カメラでは、行動認識AIをコア技術とする警備システムを展開する株式会社アジラと業務提携しています。このようなアライアンスを加速し、当社のセキュリティソリューションの付加価値を高めていくことに取り組みたいと考えています。

Q4. これから天災が多発する時代に向けて工夫していることはありますか。
A4. 火災による犠牲者を0にしたい、なくしたいというのが私どもの思いです。当社が取り組む火災防災と、広く言われる天災とでは、必要とされる技術に異なる側面があろうかと思います。ただ、当社が持つ火災防災を中心としたナレッジを生かし、様々な安全・安心を手がけている企業との連携や協業を深めることを、今、進めています。1社ではなく、複数のサービスをコラボレーションさせた新たな火災防災のソリューションを、天災への対応も含めて提供することに取り組みたいと考えています。

Q5. 今後の海外展開について教えてください。
A5. 海外展開は、システム領域を拡張することを考えています。従来は機器の単品販売、それから今は火災報知設備のシステム販売が主流ですが、火災防災ではまだ周辺領域の拡張性があります。
今、海外のアライアンスパートナー企業と様々な連携を図りながら、火災防災の事業領域を拡張する取り組みをしています。これにより、これまで主戦場だった小規模建物の市場から、中大規模といったより大きい市場でビジネスを展開できる。それにより海外事業を拡大させたいと考えています。

Q6. 今後の国内事業拡大について教えてください。
A6. 国内事業の拡大については、少子高齢化もあるし、建築の着工床面積の傾向はそう大きく伸びることはない。おそらく現状維持だろうとみています。
しかし、市場的にはストックビジネスの需要がある大型化の建物が非常に増えています。これらの建物の保守やリニューアルを事業拡大の1つのトリガーにしたい。と同時に、建物の大型化に伴い、ニーズに応じた新しい火災報知システムの開発やソリューションの提供も合わせて行い、国内事業を拡大していきたいと考えています。

Q7. 今後のM&A戦略について教えてください。
A7. M&Aについては、あらゆる選択肢を排除せずに検討を進めています。国内・海外問わず、生産分野や販売網を広げる分野などで多面的な検討を行っています。
社内でもM&Aを推進する専任部署を昨年立ち上げました。受動的な対応から能動的なM&A探索に今、舵を切っています。

Q8. 利益の有効活用を何か考えていらっしゃいますか。
A8. この3ヵ年のフェーズを事業構造改革と位置付けています。そのため利益は将来の成長のための投資に充当させたいと考えています。
その上で創出したリターンは、さらなる成長投資枠と株主の皆様への還元とのバランスを図り、利益を配分したいと考えています。

Q9. 火災報知設備はどの会社のものでも大きく変わらないような気がしますが、違うのでしょうか。本社製品と他社製品で大きく違う点がありましたら教えてください。
A9. 火災を検知する機能自体は、国内外ともに定められた規格をクリアする必要があります。製品についてはそれほど大きな差異が生じることはありません。
ただ、当社はセンサーの精度に非常にこだわっています。特に火災の煙を正しく見極めるための研究開発に力を入れています。そのため、当社の煙センサーは、ホテルの客室等々でバスルームから出てくる湯気と本当の火災の煙を見極めるといった高度な先進技術があり、高い評価をいただいています。
また、国内では規格化されていませんが、海外では火災の煙や熱や炎とは別に一酸化炭素のセンサーを組み合わせた製品が販売されています。そういった高精度の製品を海外で有しているのが私どもの強みです。これは今後、日本での展開も可能性として十分にあり得ると考えています。

Q10. AIやIoTなどが活用できる気がします。何か取り組んでいることはありますか。
A10. 当社の重点方針の中でも、DXによるイノベーションの推進を掲げています。
お客様への新たな付加価値の提供という面では、クラウドシステムを活用。防災担当者のスマートフォンに火災情報を通知し、早期の駆け付けを実現したり、提携企業の災害情報サービスに私どもの火災情報を加えて、遠隔地の火災情報を共有する。これによりお客様企業の事業継続性の計画に寄与するなど、クラウドを使った防災サービスを進めています。
また社内的には、残業時間の上限規制の対応等々もあり、DXやいわゆる生成AIやRPAなどのデジタルツールを活用しながら、業務の効率化や標準化に取り組んでいます。

Q11. 配当性向について目標としている水準はありますか。また、広い意味での株主還元として株主優待制度を導入するお考えはありませんか。
A11. 昨今、株主優待制度が見直され、増加傾向にあると認識しています。私どもの事業内容を正しく理解いただき、私どものファンを増やすことができる株主優待があれば、今後積極的に検討していきたいと考えています。
配当政策は、前述の通りです。

Q12. 成長の鍵を握る優秀な人材をどのような方法で確保あるいは育成していますか。
A12. 当社の重点方針の中で、人的資本経営の推進を掲げています。具体的には、今年の4月から新しい人事制度を導入します。
これまで以上に個人の成長を促進する制度内容になっており、教育機会の提供と併せて、人の価値を最大化させる取り組みを現在進めています。
また、これまで以上にキャリア人材の登用を積極的に行います。すでに当社グループでは、半数以上がキャリア人材で占めています。外のキャリアを積んだ方々が我々のグループに入っていただけるように報酬体系を整え、多様性のある人材ポートフォリオを質と量の両面で作り上げていきたいと考えています。

Q13. 研究開発の重要性についてどのようにお考えでしょうか。
A13. 火災報知設備は消防法の枠の中で取り決められると言っても、精度や品質の向上には研究開発が欠かせません。当社では、売上高のだいたい3%相当を研究開発投資に充てています。火災防災の次なるソリューションに向け、今後、研究開発にも積極的な投資を進めてたいと考えています。

Q14. 細井社長が入社してから今までで一番苦労したことと良かったことは何ですか。
A14. 色々な苦労があります。例えば、保守はストックビジネスの要だとお話しましたが、今から10数年前までは、保守を担っているのは私どものグループ会社、いわゆる子会社でした。当時、子会社が全国に8社ありました。しかし今後、保守サービス事業は我々のビジネスの中核になるという考えの元、8社を全てホーチキ本体に統合しました。
この過程の中でグループ会社とホーチキ本体の間で、就業規則等も含めた違いもあれば、様々な軋轢もありました。それから10数年を経て今は、当時子会社だった社員の皆さんもホーチキグループの一員として一緒に仕事をし、事業が拡大している。このことは私にとっては思い出深いエピソードだと思います。

Q15. 機器の製造もしているとのことですが、色々な資源や素材の価格が上昇しています。業績への影響を心配する必要はありませんか。
A15. 今現在、世界的にも我々の製品の部品や材料については値上がりしています。材料費の値上げはビジネスに直接インパクトを与えることになります。
国内・海外問わず、自社の中で吸収しきれないコストアップについては、お客様に丁寧にご説明し、ご理解をいただいて価格転嫁を進めていくことになろうかと考えます。
以上

 

 

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