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株式会社エル・ティー・エス(6560)
開催日:2025年2月15日(土)
場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区)
説明者:代表取締役社長  樺島 弘明 氏

1. 会社紹介
・ 本日ご説明したいこととして、コンサルティングやDX業界はまだまだ成長余地が大きいこと。3年前、当社も含めてPERは30超えていました。1年前にはそれが半分から3分の1まで下がりました。しかし、業績や需要の点でコンサルティングやDX支援は成長余地が大きい。個社ごとの判断をしていただけるのがいいと思っています。
エル・ティー・エスは2017年12月に上場しました。上場後、売上高は24億円から165億円に年平均31%の成長。営業利益も上場当時の1.8億円が現在は11億円です。今期は売上182億円、営業利益14億円を目指しており、成長性という点では一定の率を維持しています。
加えて、上場時はコンサルティングとデータサイエンティストの集団でしたが、この7〜8年で、コンサルは332名まで増えて、エンジニアも569名となりました。総合サービスを提供できる組織能力も構築しています。
今後は、6年後の2030年をターゲットに、M&Aも活用。売上500億円、営業利益50億円を目指します。外部環境では生成AIも追い風となっています。これを掴みながら事業を伸ばしていきたいと考えています。
・ エル・ティー・エスは2002年3月設立。今23年目を迎えています。私・樺島は今49歳。社員数は1,096名。オフィスは赤坂、静岡、大阪、広島にあり、アジアでもグループ連携会社のオフィスを使いながら展開しています。
・ グループ経営をしていますが、経営そのものは極めてシンプル。プロフェッショナルサービス事業に6つの会社がありますが、子会社というよりも、ほとんど一事業部のような形です。同じ戦略や考え方の元、組織運営をしています。グループ各社が色々あるものの、経営は極めてシンプルだとご理解ください。
・ 創業して23年。色々な経験を積んできました。リーマンショックや東日本大震災、コロナ禍などを乗り越えてきたメンバーが経営と組織の中心にいます。そして専門性を持ったメンバーが追加されて今に至っています。
・ エル・ティー・エスは、2008年に初めて新卒採用した時に、「三つ葉を四つ葉へ」というブランドアイデンティティを作りました。元々、創業メンバーが外資系のコンサル会社出身者が多く、「本当の成長支援とは何か」を常に考えていました。我々が事業展開で大事にしたいのは、「真の成長支援をする」こと。三つ葉のクライアントに対し、4枚目の葉っぱとしてエル・ティー・エスが入っていく。それが「三つ葉を四つ葉へ」です。
そのために、超当事者として中に入る行動と、中に染まらず、外部ならではの目や客観性や専門性を発揮する。このような仕事のスタンスを当社の文化や習慣とするべく、「三つ葉を四つ葉へ」というブランドアイデンティティを掲げています。
そして、「真の成長支援は何か」を常に問いかけながら事業活動しています。

2. マーケット概況
・ コンサルティングファームは40年の歴史があります。1990年〜2000年代前半ぐらいまでは、コンサルといえば戦略コンサル、なおかつアドバイザー。「ベストプラクティス」と言いますが、「他社ではこれがうまくいっている」とか「海外ではこのモデルが成功している」ということを伝えるのがコンサルティング会社の主な役割でした。しかし、クライアントサイドから見ると、提案された戦略が「絵に描いた餅に終わる」とか「分かったけどできない」ということが続きます。
そこで、2000年代を超えると、コンサル会社はアドバイザーから実行そのものを支援する総合化が進みます。絵に描いた餅ではなく、「実行まで我々がお手伝いします」という形になっていきました。
そうなると、変革の企画も実行もコンサル会社に依存する弊害が起きるようになります。また、コンサル会社は、変革が大きければ大きいほど、長くなれば長くなるほどビジネスが潤う。一方、お客様からすると、その状態は投資対効果が下がる。形の上では色々な変革が実行されたものの、投資対効果が出ない、あまりにもコストと時間をかけすぎた、多くの点でコンサル会社に依存したなどの反省が出てくるようになりました。
2020年以降は、コロナ禍もありましたが、企業として本当の意味の変革をしなければいけない。そのためには、自分たちの変革能力や組織変革力をきちんと上げ、なおかつ、ビジネスの成果にこだわる変革となりました。お客様サイドから見ると、ベストテクノロジーやベストソリューションを探しながら、自分たちに一番相応しいベストパートナーはどこか、という目線で、コンサル会社とお付き合いするようになっています。
・ コンサル会社の需要が増えている背景にあるのは、デジタル化です。時代の変化が早くて複雑化している。そんな時代に企業経営に当たる経営者の悩みがあります。
私、今49歳です。生まれた時は、家にはダイヤル式の黒電話がありました。しかし、スマホやその手前のモバイルの時代からは、半年単位で新しい機種が出てくる。しかも、黒電話のような通話のみの機能ではなく、検索もショッピングもサービスの購入も翻訳もSNSも映画の視聴も、あらゆる機能がスマホに盛り込まれている。そんな時代の変化が早く、複雑に起きている中で、どう立ち向かうかが組織の命題になっています。
・ そういった時代のキーワードは、クライアントサイドで起きている「変革の日常化」です。2000年代前半までは、変化対応は5〜10年に1回程度。10年に1回の大きな変革をやり遂げて事業を伸ばしていくという事業成長のサイクルがありました。
ところが今は、変化が早く複雑に起きているので、様々なテーマの変革を日常的に立ち上げて推進しなければならない。それが変革の頻度あるいは数、テーマを増やしている。その結果として、それを支援するコンサルティングやDXやAIの会社のビジネスチャンスを生むという構造があります。
・ 昨年、資本市場ではDXやコンサル会社のPERはちょっと下がる局面がありました。しかし実際には、今も顧客の変革の規模や頻度、テーマは増えています。そして、それを支援するプレイヤーのビジネスチャンスや外部環境は極めて良好です。
その状況を市場という点で捉えると、コンサルティング市場周辺の巨大市場であるITやデジタルマーケティング、アウトソーシングや人材サービス、教育・研修などの市場にコンサルティング機能を持った会社が侵食し、その市場で大きなビジネスを掴んでいます。そのため、「コンサルティング市場そのものが伸びている」というよりも、「他の市場にコンサルティングプレイヤーが出て存在感を高めている」という見方の方が正しいのではないかと思います。そしてエル・ティー・エスは、良好な外部環境が過去5年、そしてこれからの5年も続くと考えています。

3. 事業概要
・ エル・ティー・エスの事業内容は、「プロフェッショナルサービス事業」と「プラットフォーム事業」の2つのセグメントがあります。
一社一社の変革やDXを支援するのがプロフェッショナルサービス事業。大手企業がお客様の中心です。
プラットフォーム事業は、IT業界全体のコラボレーションを促進する仕組みを提供しています。こちらは数千を超えるIT企業やフリーランスの方、中小やベンチャー企業が会員となりご利用いただいています。
プロフェッショナルサービス事業の体制を作る時に、フリーランスや協力会社を使う時があります。我々は、プラットフォーム事業の会員の方々を使っている。このような補完関係を持ちながら事業を展開しています。
・ サービス構成では、色々なことをしています。ビジネスコンサルやITコンサル、M&Aや戦略コンサル、データ解析やAI、地方創生支援など、どんどん増やしています。
コンサルティングやIT、DXの業界では、売上30億〜50億円までは1サービスや1専門制で伸ばすことができる。ただ、そこから先は、複数の専門チームを持たないとクライアントの期待に応えられません。そこである規模感になると、どの会社も専門チームを増やし、その組み合わせで提供する総合化に向かうことになります。
そのため、売上が100億〜200億円を超える会社の今後の成長を見ると、ほぼ似たようなキーワードが並ぶのは、お客様の要請に応えるには、1つのサービスや専門性だけでは難しい。複数にしなければならないという背景があります。エル・ティー・エスはすでに複数の専門チームによるサービスの総合化を進めています。
・ 我々が目指す姿は、デジタル時代のベストパートナー。単なるデジタル化の支援だけでなく、変化が早く複雑に起きる時代の企業経営や事業組織運営を支援していきます。
変革というプロジェクトがある時に、それを推進・支援する存在としてのエル・ティー・エスもあれば、複数の変革を企画・組成しながら事業を伸ばすパートナーでもあること、さらに外部コンサル依存にならず、自らの変革や内省力を上げる組織能力のためのパートナーでもある。この3つにおいてデジタル時代のベストパートナーになるべく色々なサービスを立ち上げ、磨いています。
・ 我々がお客様を支援する時、あるいはお客様が我々を見た時、基本的に3つのレイヤーで価値提供しています。
1つは一番下の層。変革を成功させるプロジェクトのマネジメントのレイヤーです。今のDXの失敗も、過去のITプロジェクトの失敗も、昨今のERPのプロジェクトの失敗も、全て要件・要求のフェーズに問題がある。プロジェクトを立ち上げた段階からずれているのです。
この要件・要求のフェーズを進める知識体系をビジネスアナリシス、それを進める人をビジネスアナリストと呼びます。エル・ティー・エスはもう20年間ここの集団として、お客様あるいはコンサルの皆様を教育する立場をずっと続けています。つまり、プロジェクトを推進する上で肝となる要件・要求のフェーズを支援できる。その点でエル・ティー・エスは多くのお客様と業界の認知を得ています。
次にエル・ティー・エスは、事業を伸ばすために、1つではなく、10〜20のプロジェクトを同時に動かすことができます。そしてプロジェクトを健全に企画・管理・推進する。その知識体系をビジネスプロセスマネジメントやビジネスアーキテクトと言いますが、エル・ティー・エスはこの分野でも業界をリードし、教える側の立場で活動しています。
さらに、組織を強化するためのトレーニングプログラムや個別の変革を推進するプロジェクト支援を組み合わせて提供。エル・ティー・エスはこの3つのレイヤーでお客様に価値提供しています。

【パートナーシップ事例】
・ 個別に立ち上がるプロジェクト予算は、50億円のものもあれば5億円のものもあります。多くのコンサルティング会社はその中でビジネスをしている。エル・ティー・エスも同様に個別のプロジェクトを支援しています。
しかし、エル・ティー・エスのポジショニングは、プロジェクトの管理や組成、軌道修正を横断的に取り組み、年単位で契約すること。今の企業は、前述したように変革の日常化の中にあります。事業をデジタルベースで切り替えようとすると、この商社の場合、常に100件ぐらいのプロジェクトが動き、そこに多くのコンサルとIT企業を使っている。でも、適切なガバナンスを利かせ、軌道修正を図るのは難しい。エル・ティー・エスは複数のプロジェクトを管理する第一人者として多くの企業を支援しています。
・ 具体的には、個別のプロジェクトを支援するために、事業のデジタル化のためのロードマップを作ることも必要だし、個別のプロジェクトを管理するシステムや各プロジェクトで生まれたナレッジを他のプロジェクトに還元する仕組みも運営しなければなりません。プロジェクト慣れしている部門ばかりではないので、メンバーを教育するプログラムを組んだり、実際に伴走支援するコンサルタントを10〜20名単位で派遣することもやっています。また、プロジェクトをやりきったけれど、何も残らなかったではいけない。人材育成や組織の枠組みを作ることをエル・ティー・エスは担っています。
しかし、多くのコンサルやSIerは、個別のプロジェクトの方が予算がわかりやすい。また、単価帯も高い。そのため個別プロジェクトに偏りがちです。
一方、我々は個別プロジェクトを支援しながら、実際はプロジェクト全体を束ねる機能も有している。そのため、お客様で何が起きているかがよく見えています。
エル・ティー・エスのポジショニングを他のコンサルティング会社が取らないのは、年単位契約だと単価が20%ぐらい下がるから。コンサルタントを数百名単位でアサインできるなら、個別のプロジェクト行こう方が効率的です。しかし当社は全体のマネジメントをしっかりと押さえた上で、場合によっては個別のプロジェクトも当社が支援するビジネスモデルです。
・ つまり変革の上流ではなく、源流で仕事をするのがエル・ティー・エスの特徴です。お客様からもその点で評価いただいています。その結果、多くのコンサル会社ではプロジェクトの終了と共に顧客関係も区切りを迎えますが、エル・ティー・エスの場合は引き続き多くのプロジェクトを束ね、支援する。長いお付き合いが続きます。
そのため、売上の既存重点顧客が占める割合が、この10数年ずっと高い。これは、源流のポジションを押さえつつ、色々なプロジェクトを支援しているからです。
・ 複数の専門チームによる顧客支援として、生成AIの事例があります。あるカーメーカーでは、技術の伝承や開発スピードを上げたい。でも技能の伝承ができないという2つの課題がありました。そのために呼ばれたのは、データサイエンティストによるAIチームでした。
彼らが行ったのは、モノ作りの業務をきちんと解明する業務コンサルの仕事と、伝承すべき、あるいは開発スピードを上げるためのナレッジがバラバラに存在しているので、それらをきちんと整えていく地道なデータサイエンスの仕事でした。さらに日々の開発の中で、よりよく回答する精度の高いAIをチューニングするチームも必要でした。つまり、業務コンサルもデータサイエンスのチームもAIのチームもいて初めて、プロジェクトが完遂でき、大きな成果を収められるのです。
1つの専門性やサービスで、効率よく事業を伸ばすフェーズもありますが、売上が50億〜100億円を超える規模になると、複数の専門チームがないと、顧客の期待には応えられません。我々は業務コンサルやITコンサル、AIチーム、データチームの人材を持ち、クライアントのお手伝いをしています。今も生成AI絡みの仕事を多数いただいていますが、必ずしもAIチームだけが対応しているわけではないことをご理解ください。
・ 加えて、我々のやりたいのは、強い会社をより強くする支援だけでなく、IT非武装など、コンサルのノウハウをなかなか使える立場にない地方や中堅企業の皆様、あるいは自治体の皆様も支援すること。広島と静岡のエリア限定で、地方創生の取り組みも支援をしています。売上に占める割合は極めて小さいですが、我々のやりたいのは、強い会社をさらに強く、だけではありません。地方に対する取り組みもしています。
・ エル・ティー・エスの事業内容として、一番お伝えしたいのは、サービスの総合化は、すでにクリアしていること。そして、プロジェクト支援も、プロジェクト群を組成する支援も、お客様の変革対応力を上げていく支援も、3レイヤーできちんと届けながら、お客様との関係をより強固にしていることです。今やっていることをきっちり磨けば、これからも安定的で力強い成長はできると思っています。

4. 中長期の成長シナリオ
・ 2020年に東証一部に市場変更した際、2030年に向けて3つのフェーズで考えていくこととしました。今はちょうど真ん中の2nd Growth Planというフェーズです。
一つ前のフェーズ(1st Glowth Plan)の2021年からの4年間で達成したのは、毎年31%の売上高成長率。総合サービスのために必要な1,000名体制。上場企業のM&Aも行い、M&Aのリテラシーも上げることができました。これらの成果がある一方で、以前10%あった営業利益率が前期では6.7%。収益性をきちんと回復させる必要がある。スケールだけでは良くないと考えています。
そこで、2025〜2027年は、社員の報酬を上げながら、収益性も回復を図ります。そして基盤として整えた上で、もう一度、売上高や事業規模の成長速度を上げることを考えています。目標とするのは、2030年にプロフェッショナルの体制が今の2倍超の2,000名、売上高が500億円、営業力50億円。これを念頭に社内計画を進めています。

【1st Glowth Plan(2021年〜2024年)の振り返り】
・ エル・ティー・エスが2020年に東証一部に市場変更した時に「2024年段階で売上高120億円、営業利益18億円を念頭に事業を進めます」と宣言しました。その後、年を追うごとに売上高、営業利益共に徐々に上方修正し、結果として売上高は165億円で達成しました。しかし、営業利益は大幅な未達で終わりました。これは元々のシナリオに問題はなかったのですが、足元の収益力向上に結びつける力が弱かったと判断しています。
元々はコンサルとデータサイエンティストの集団がエンジニア機能を取り込み、複数の専門チームを作り、総合サービス体制を整えていく。既存の顧客基盤はとても充実しているので、総合サービスを展開していけるとみていました。
実際には、ビジネスとテクノロジーを一体支援する体制やサービスは作れました。しかし、エンジニアリング(テクノロジー)機能を収益に結びつけることが弱かったのです。
・ 具体的には、エンジニアの数は増えたが、単価をすぐに上げ切れなかった。上げ方の力強さに欠けていたことが大きな反省点でした。
また、色々な既存顧客のプロジェクト情報に触れるので、プロジェクトの機会は多い。それにも拘わらず、適切なプロジェクト体制をタイムリーに整えることができなかった。
なぜか。多くの専門チームがあり、それぞれの事情でアサインしていたため、事前調整がなかなかできず、多くの機会損失が発生することになりました。その結果、エンジニアの単価上昇に繋がるような仕事が取れず、足元の収益力が計画に届きませんでした。
もう1つは、人財のポートフォリオで歪みが発生したこと。マネージャーとプレイヤーのバランスを整える必要もありました。
これらの課題はすでに1年前に総括し、それを踏まえて昨年度、展開してきました。現在は、人財のポートフォリオの歪みも治りつつあります。既存顧客の機会損失も、コンサルとエンジニアが一体的に運営する組織に変更したので、だいぶ是正されています。
今日お伝えしたいのは、4年前の目標に対し、未達の営業利益と達成した売上高がある。その原因をきちんと受け止め、反省し、次のゴールを明確にし、すべきことを改めてセットする。これは経営の当たり前の基本ですが、我々はそれにしっかり臨む認識を持っています。その点について決算説明資料でも紹介しています。

【2nd Growth Plan(2025年〜2027年)】
・ 今後は、すでにサービスの総合化や複数の専門チームからなる組織運営がうまく回り始めています。既存事業の深化と前に進める進化で、十分な成長を持続できます。
加えて、戦略コンサルや気候変動対応支援の会社も作っています。これらの取り組みがさらに伸びればアップサイドになります。資本提携している横河電機グループやFPTグループの海外のお客様に当社のサービスを乗せる取り組みも徐々に始まっていきます。海外事業も上乗せできると思います。
新しい手を打つよりも、今までのシナリオの中で、これまでの反省と培ってきた武器を生かして経営を進めれば、十分成長できると考えています。
・ 業績数値について。2025〜2027年は収益性の回復をとにかく優先します。トップラインの伸びは10%から高くても15%程度。営業利益額を20〜30%、毎年堅実に伸ばすことを考えています。今期の営業利益率の伸びは26%。基本的には手堅く営業利益額を積み上げ、収益性を回復していきます。
以上がオーガニックでの成長イメージですが、M&Aも行います。それも加味すると2030年の売上高は500億円。オーガニックだけの場合、2030年の売上高は345億円、営業利益35億円程度。今の取り組みを持続することで、この数字には到達できます。
・ M&Aについて。過去4件のM&Aをしました。そのうち1件は数名の会社なので、実質的には3件です。3社とも、エル・ティー・エスグループに入った後、大幅に業績を伸ばしています。現在は、当社の一事業部門のような形で、顧客や体制もロスなく運営できています。これからも色々な機会を生かし、M&Aを積極的に行います。
・ 成長投資と配当・株主還元のバランスについて。上場して8年目となり、売上や事業規模も伸びています。今は配当をしっかり出しながら成長投資もしていくフェーズです。
今後、トップラインの伸びは、今までの30%から10〜15%に減りますが、とにかく収益性を重視。営業利益額を毎期20%以上伸ばし、30%まで持っていく。加えてM&Aを乗せればその分がプラスになる。過去3件のM&Aは、全て順調にPMIも終わり、そのリテラシーもあります。オーガニックを1つのボトムラインとし、その上乗せとして注目していただければと思います。

5. 2024年12月期決算概要
・ 昨年12月期の決算については、売上高は165億円、営業利益11億円でした。
・ バランスシートでは、業界的にPERが軒並み下がりました。その中でもちょっと浮上した会社と、我々のようにそのままの会社に分かれています。その要因の一つが増資懸念です。
我々は1年前に上場企業を買収し、53億円で取得しました。46億円の長期借り入れを行い、自己資本比率が50%超えから29%まで下がりました。我々は増資しないことを表明していましたが、増資懸念をお持ちの投資家もいたようです。実際に増資せずに、買収した会社の資産を整理しながら長期借り入れを返済。自己資本比率はすでに39.1%まで戻っています。増資懸念をお持ちの投資家に対しては、バランスシートを示し、増資の予定がないことを説明しています。

6. 2025年12月期見通し
・ 1月から新しい期がスタートしています。売上高は対前年10%増の182億8,000万円、営業利益は26.4%増の14億円を今期の業績予想としています。とにかく収益性の回復を優先するために手堅い数値目標にしています。
・ うちのビジネスの季節性として、4〜6月の第2クォーターが売上と営業利益が一番低く、その後、第3、第4、翌年の第1クォーターで売上と営業力が伸びるモデルです。
その理由は、4月は新卒が入社。キャリア採用も4月入社がとても多い。その後3ヵ月間は受入トレーニングを行うからです。この間、社内のコンサルタントも講師としてアサインされます。そのため、売上や粗利を作るパワーが落ちるので、業績が一旦そこで屈みます。しかし、7月以降になるとみんな現場に戻り、第3クォーターで急回復して、第4クォーターでさらに伸び、翌年の第1クォーターでピークを迎えます。
売上と営業利益の達成バランスを見ると、売上は47〜48%が上半期、下半期が51〜52%。営業利益は35〜40%が上半期、下半期が60〜65%となっています。
・ 今期の配当予想は35円。配当性向はそんなに高くありませんが、一定の配当を望む株主様もいらっしゃいます。配当しながら成長投資も続けることを考えています。
・ プライム市場維持基準について。我々はこの1年間の株価の低迷で、流通株式時価総額が不適合という状態が続いています。
我々が目安として認識している株価水準は3,900〜4,000円。今年の業績予想の想定PERで20倍です。一方、足元は10〜11倍。きちんと業績を上げ、PERを20に近づけることで、適合していこうと考えています。
この1年間が判定基準になり、未達の場合、2026年は改善期間になります。さらにそこで未達の場合はスタンダード市場を検討することになります。我々としては、今、10〜11倍のPERを20に近づける。EPS(一株当たり当期純利益)も今掲げている目標を上回っていく。そしてIR活動を強化することで適合しようと考えています。
我々がお伝えしたいのは、まだまだDXやコンサルは伸びていくこと。そしてエル・ティー・エスはすでに総合化したコンサル会社であること。そのため、これからの取り組みを続ければ、数値目標は達成し、それをいかに上回るかというフェーズになっているということです。

7. 質疑応答
Q1. 顧客の多くは幅広い業界のリーディングカンパニーとのことですが、どのように開拓したのでしょうか。
A1. 創業からの5〜10年は、ゲリラ的に人脈をたぐり寄せて1つ目の取引をいただき、そこで実績を挙げて深掘りました。そして、深掘る時は変革の源流を押さえていきました。このような形で創業10年を超えると、日系企業のCIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)などの事業のトップの方々が集まり、情報交換するコミュニティの中で、「エル・ティー・エスといえば、ビジネスアナリシスが強い」「ビジネスプロセスマネジメントやビジネスアーキテクトの集団である」ということを認知いただくようになりました。そこからリアルにご紹介いただいたり、ウェブから問い合わせをいただくようになりました。今は当社のブランドや知名度がきっちりと立ち、ご紹介いただけている状況です。
また、世の中を騒がすITプロジェクトの失敗などがあると、雑誌社から当社に問い合わせが来て、コメントや解説を求められる。そんなポジションでも仕事をしています。

Q2. プライム市場維持基準早期達成のため、株主優待は考えているのでしょうか。
A2. 断定的な言い方はできませんが、やはり株価が極めて重要だと思っています。業績上げればなんとかなるではなく、きちんとPERを上げなければいけない。なおかつ、我々の今の時価総額の水準からすると、個人投資家の皆様にしっかりと買って応援していただくことが大事です。そのため、業績や配当、機動的に行ってきた自己株取得に加え、優待についても前向きに検討していく考えでいます。

Q3. 御社は人材採用が要になると思いますが、採用市場における強みと苦戦している点について教えてください。
A3. 昨年は170名のコンサルタントとエンジニアを採用しています。既に2008年から新卒採用をしているので、結構ブランド力があります。コンサル業界の就活で受けるべきインターンシップとして、アワードも受賞しています。このように新卒採用においては、実績を元にした知名度とブランド力があり、十分いい人材が採れています。
キャリア採用は、2021〜2022年は苦戦しましたが、2023年後半から好転しています。これは、報酬体系を見直したことと、外資系コンサルやITコンサルの経験者が、これまでの経験を活かし、次に自分のやりたいことを目指す時に当社に魅力を感じることが増えているからです。
例えばAIコンサルは当社に20人ぐらいいます。彼らは戦略とテクノロジーのハイブリッド人材です。多くの会社ではAIの知識があると、AIの仕事ばかり担当することになるのですが、我々は戦略コンサルなどいくつか違ったプロジェクトも打席として選べるようになっています。これもAIの人材が当社を選ぶ魅力となり、今増えています。

Q4. 同業他社と比べた際の御社の強みと課題を教えてください。
A4. お客様から見た強みでは、プロジェクト1個1個のご支援だけでなく、大きな変革として様々なプロジェクト群を健全に企画、組成、管理しています。そういうポジションで仕事をし、知識体系を持ったプロフェッショナルが多く、なおかつその知識体系を教える立場でも仕事をしています。このポジションで仕事する会社が世の中にはあまり多くないのが強みになっています。

Q5. 御社のPERが低いことについて、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
A5. ここ最近、コンサルやDX関連銘柄のPERが軒並み下がる傾向にあります。しかし、上がり始めた会社もある中で、エル・ティー・エスの場合はまだ上がってきていません。
その理由の1つは、増資懸念です。53億円で上場企業を取得したので、増資するのではないかという見方がありました。しかし、今回の決算発表でバランスシートが極めて良好な状態であることをお示しできたので、増資懸念は消えたのではないかと考えています。もう1つは、収益性。トップラインはすごく伸びたが、収益性の伸びが想定ほどではなかった。これに対しては実績で示すことができれば、今のような評価から変わるだろうと思っています。

Q6. 2025年から3年間の業績目標達成に向け、具体的な指標は今後開示されますか。
A6. ガイダンスとして業績予想は当期のものなので、適切に示し、しっかり目指します。一方、2〜5年先については、我々の考え方を前提として経営を進めることになります。そのため、当期については個々のタイミングをお待ちください。中期的な数値のガイダンスもタイミングを見て、見直したいと思います。
そのほか、キャピタルアロケーションなどは今、考え方だけ提示しています。具体的な内容については、決まり次第、随時リリースします。

Q7. どの業界のコンサルが強いのでしょうか。
A7. 変革の源流を押さえている業界では、自動車メーカーや商社、一部の金融サービスと飲料メーカーです。つまり、製造業とサービス業、一部の金融業で仕事をしています。

【最後にひと言】
エル・ティー・エスを今日初めて知ってくださった方には、できれば株を買っていただきたい。今年のIRは、当社の取り組みをスライドでお示しする形でやろうと思います。
社員とよく話すのは、「誇れる会社とは、自分たちのプロダクトやサービスがお客様に対してどれだけ貢献できるのか」。ここが誇れるかどうかということ。その次は、「一緒に働く仲間がどれだけ優秀で人間的にいい人たちなのか」。ここが絶対に土台になると考えており、我々は、みんな自信があります。
一方、業績について成長性や収益性を他社と比較すると、成長性は当社が明らかに上のことが多い。しかし、収益性は少し下がっているので、改善しようとしています。
最後は株価です。資本市場からの期待や知名度。ここは伸びしろと課題があります。
まとめると、私たちは、自分たちの日頃のサービスと同僚と仕事ぶりに自信を持ち、課題である業績の収益性と資本市場からの期待を上げていく1〜2年にしたいと思っています。このような会社を引き続きフォローしていただけたらありがたく思います。
以上

 

 

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