コクヨ株式会社(7984)
開催日:2024年12月21日(土)
場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区)
説明者:代表執行役社長 黒田 英邦 氏/理財本部IR室長 三浦 慎一郎氏
(説明者:理財本部IR室長 三浦 慎一郎氏)
- コクヨグループについて
・ 皆様、コクヨは何をしている会社か、ご存じでしょうか。圧倒的に多いのは文房具を作っている会社・メーカーという認識なのではないかと思います。あるいは、オフィスで使う家具を作っていることをご存じの方もおられるかもしれません。どちらも正しいのですが、実はそれだけではありません。本日はコクヨの現在の姿について、理解を深めていただけるように説明します。
・ コクヨの基本情報について。日本全国、さらにグローバルに展開している企業ですが、元々は大阪を発祥としています。
・ 事業別の売上構成比について。当社は12月決算なので、昨年12月期の売上が3,287億円。そのうち一番大きいのがファニチャー事業で1,544億円、構成比で43%。ビジネスサプライ流通事業が978億円、構成比で27%。ステーショナリー事業が838億円、構成比は24%。インテリアリテール事業が203億円、構成比は6%という割合です。
・ ファニチャー事業:お客様の「働く」「学ぶ」「暮らす」を、より創造的で快適にするため、オフィス・医療機関・教育機関・官公庁などの家具の製造から納品、それぞれの空間設計や働き方コンサルティングを行っています。
一例として、開放的なオフィスの中に換気に配慮したクローズド環境を構築できるワークポットという製品があります。コロナ禍を受けて急速に拡大したweb会議での防音対策やソーシャルディスタンスの確保など、ニューノーマルな働き方に対応し、安心で快適なワークスペースとして大変好評をいただいています。
・ ビジネスサプライ流通事業:文具や家具に留まらず、オフィス用品の購買の効率化と販売店の受発注業務の効率化をサポートしています。
個人・法人向けの事務用品通販の「カウネット」や文房具店web発注システムの「KiSPA(キスパ)」、オフィスでの文具・事務用品の購買システムの提案・支援などを行っています。卸売から通販まで購買チャネルである「カウネット」「べんりねっと」「KiSPA」の3つを構築。法人や個人顧客に利便性を提供するサービスを展開しています。
・ ステーショナリー事業:使う人の創造性を掻き立てる文具などを通して、「働く」「学ぶ」「暮らす」をより豊かにする物やサービスをお届けする事業です。日本及び中国、インドで文具の開発/製造/販売、絵本など創作ツールの開発販売などを行っています。
例えば、定番商品として多くの皆様に大変認知度が高いキャンパスノートは、使う人のニーズに合わせ絶え間なく進化し続け、学生などのお客様に長年愛されている商品です。今後も、多様化するニーズにグローバルで対応し、業績の確保に取り組みます。
・ インテリアリテール事業:B to Cの、インテリア小売事業のアクタスも含まれています。アクタスでは、ヨーロッパを中心とした家具やインテリア小物全般の輸入販売や、物販店と併設した本格レストラン及びカフェの飲食業を展開。近年のインテリア需要の高まりに対応し、顧客へのオンライン商談や事前予約制の接客サービスなどの営業活動に取り組んでいます。
(説明者:代表執行役社長 黒田 英邦 氏)
- 長期ビジョンCCC2030第4次中期経営計画
・ 長期ビジョンは3年前に10年ビジョンということで設定して、今進めています。さらに3ヵ年の中期経営計画も策定。来年から第4次中期経営計画が始まります。
私どもの長期ビジョンのテーマコンセプトは、森林経営モデル。サステナブルな長期視点での経営を行っていくための経営モデルです。
その中で、自立共同社会の実現に向け、コクヨの役割を「WORK & LIFE STYLE Company(ワークアンドライフスタイルカンパニー)」と定義。「働く」「学ぶ」「暮らす」の領域で人々の豊かな生き方を創造する企業となるべく、長期ビジョンを邁進しています。
また、第4次中期経営計画を進捗するにあたり、長期ビジョンCCC2030における森林経営モデルをアップデートしています。
【第4次中期経営計画の位置づけ】
・ 2021年に発表した長期ビジョンCCC2030及びその先を見据えた成長に向け、今回の第4次中期計画は大きく成長に舵を切る重要な位置づけとなると考えています。そのための基本的な考え方として、私どもの森林経営モデルをアップデートすることです。
・ コクヨグループは、ファニチャー事業、ビジネスサプライ流通事業、ステーショナリー事業、インテリアリテール事業の大きく4つのセグメントがあります。これまでは、4つの事業を明確に分けることを進めてきました。一つひとつの事業を磨き上げていく方向性です。
これが逆に、会社の中が非常に縦割りになりすぎ、各事業が持っているナレッジを共有化し、最大限生かすことができてなかったと反省しています。
・ 今後は、我々の森林経営モデルの中の木をどんどん広げます。我々には120年の歴史がありますが、土の中にあるこれまで蓄積してきたナレッジアセットを様々な事業の成長に活用していく。これをコンセプトにしています。
・ 事業間のシナジーをもっと追求し、4つの事業領域以外にも広げていく。また、今我々の海外売上比率は14%。まだまだ日本のマーケットに依存した事業です。シナジーの活用により、新しい国やお客様に成長の機会を求めることができると考えています。
【価値創出の強み】
・ 私どもの特徴として、お客様に価値を創出していく強みがあると考えています。
・ 当社は1905年の創業以来、最初は紙製品から事業がスタートしました。そこから総合文具メーカーとなり、そしてオフィス家具の販売や卸、オフィス空間を提案する事業を始めました。今ではカタログ通販やEC/インターネット販売とどんどん事業をピボットさせながら発展した経緯があります。
・ これが可能になった経緯を改めて振り返ると、どの時代もお客様の課題に共感して新しい価値を作る「共感共創」というポリシー。様々な実験を通じて形にしていく「実験カルチャー」。ものだけにこだわらず価値を作り込む「体験デザイン」。この3つの価値観が120年の歴史の中で醸成されてきたと考えています。
・ この3つの価値観を具体的にどのように商品やサービス、事業に展開していくのか。我々の社内には、「ワクワク価値創出サイクル」と名付けた、デザインやマーケティング、ソリューションにお客様のニーズを展開させるプロセスがあります。
・ ワクワク価値創出サイクルで重視しているのは、@お客様と共に体験しワクワクすることです。また、A少し先の未来を提案することも重要です。加えて、我々はメーカーですが、Bモノを提案するのではなく、お客さんのコトを提案する。この3つのポイントを我々のどの事業でも重視し、価値の創出に取り組んでいます。
ワクワク価値創出サイクルをコクヨらしく表しているのが、少し先の働き方を提案するライブオフィス。我々のショールームに当たるものです。また、海外のポップアップショップや直営店でも、お客様と共に具体的に体験・ワクワクすることを伝えています。プロダクトなら、フラットになる気持ちよさをモノに込めたキャンパスノートなどがコクヨらしい取り組みと言えます。
今後も、このワクワク価値創出サイクルをさらにユニークに活用し、新たな体験価値を創出し、事業を拡大します。
・ これまでは縦割りになり過ぎていたために、各事業が持っているナレッジや社員が持っている技術、ブランドが有効活用できていませんでした。そこで、我々が持っている色々な事業のナレッジにワクワク価値創出サイクルを掛け合わせ、また、それを支えるコーポレート全社機能も強化し、事業の成長に繋げます。
【森林経営モデルのアップデート】
・ これらの考え方を森林経営モデルに加え、アップデートします。これにより、日本でも成長や収益改善の機会がまだまだあるという認識を持ち、さらなる領域拡張や既存事業の成長に取り組みます。
・ また、この考え方を日本だけでなく、アジアやオセアニア、欧米に展開し、さらなる成長を目指します。森林経営モデルを国内外で推進し、2030年ビジョンの「WORK & LIFE STYLE Company」の実現に邁進します。
・ 日本と海外での成長の2030年時点のゴールとして、まずアジアNo.1を掲げ、長期的にはグローバルNo.1を目指します。
・ 今年度が最終年度となる第3次中期経営計画の振り返りについて。2015年が第1次中期経営計画の前年で、第1次、第2次と進み、第3次中期計画最終年の今年は、売上、収益共に大きく改善できています。
特に我々が全社で重視しているのが売上総利益率です。この改善は、お客様の価値にこだわってきた我々にとって重要な指標となります。これは2015年の34.7%が39.4%になり、4.7ポイントの大きな改善ができました。
・ 来年度から始まる第4次中期計画について。第4次計画は、長期ビジョン、CCC2030及びその先を見据えた成長に向け、大きく成長に舵を切る重要な位置にあります。
・ 第4次中期経営計画での重要な概要は、3点あります。
1つ目は、「中長期的な利益成長と企業価値向上に向けたキャッシュフローを重要視したフレームワークの設定」です。本フレームワークと森林経営モデルに基づき、2030年アジアNo.1、長期的なグローバルNo.1を目指すと共に、企業価値の最大化を図ります。
2つ目は、「ワクワク価値創出サイクルの強みを生かした体験価値の拡張戦略の実行」です。戦略と規律ある投資を実行し、日本・海外における既存事業強化による成長とM&Aによる成長を通じたEBITDAの持続的成長を追求します。
3つ目に、「人材やナレッジの充実により、事業成長の再現性を高めていくこと」です。経営基盤を強化することでリスクを低減すると共に、中長期的な観点でも持続的成長を目指します。
【中長期的な利益成長と企業価値最大化】
・ 当社の企業価値向上コンセプトに基づくフレームワークにおいて、分子である中長期的なEBITDA、言い換えればキャッシュフローの最大化が、企業価値の最大化のために最も重要だと考えています。そのために、設備投資やM&Aを含む成長投資を積極的に実行します。その上で、分母側でキャッシュフローの創出やリスク低減、持続可能な成長における適切なバランスを取ることと合わせ、企業価値のさらなる向上を目指します。
・ フレームワークには3つの重要論点があります。
まずは、中長期的な利益成長と企業価値の最大化について。3つの大きな環境変化により、我々にはまだまだ成長できるチャンスがあると考えています。
1つ目は、顧客の価値観のシフトです。ワークスタイルやライフスタイルの変化に伴い、ワクワク価値創出サイクルによる体験価値創出の大きなチャンスが目の前にあると考えています。
2つ目は、グローバル市場の成長です。経済成長が続く新興国はもとより、先進国でも付加価値を求めるニーズはまだまだ高まっています。現在、主に取り組む中国やインドだけではなく、アセアンやオセアニアなどの豊富な成長機会を捉えています。
最後はテクノロジーの進化です。AIなどの進化により、マス・マーチャンダイジングのビジネスモデルが変化し、より顧客ダイレクトなニーズに対応するビジネスモデルが増えていくと考えます。
当社は、既存事業のビジネスモデルの進化に大きな機会があると考えています。
・ これらのチャンスを捉えて、2030年にはアジアNo.1、中長期的にはグローバルNo.1のポジションを獲得することを目指します。
そこに向けた重要なステップとして、第4次中期経営計画では、日本を中心とした既存事業のさらなる売上成長、EBITDAマージンの向上を実現すると共に、海外ではM&Aも視野に、アセアンやオセアニアでの成長にチャレンジします。
・ このような戦略遂行と成長投資の実施により、2027年度は売上4,300億円、EBITDA 430億円を目指します。これは過去のEBITDA成長ベースの約2倍のスピードです。
2030年は、第5次中期計画で改めて精査しますが、見通しとして、売上5,000億円以上、EBITDA550億円以上。その先のさらなる成長も視野に入れています。
【戦略と投資の実行によるEBITDAの持続的成長の追求】
・ 具体的な戦略と成長投資の実行、成長投資の内容について。当社は、全社戦略として体験価値拡張戦略を掲げ、それに基づく各事業戦略を実行します。
当社の強みであるワクワク価値創出サイクルと様々なナレッジが、体験価値創出の各エリアに共有されるナレッジとして蓄積されています。これらを掛け合わせることで、体験価値を創出し、事業を拡大してきた歴史があります。
日本では、これまで以上にナレッジを掛け合わせ、新たなモノ×コトの体験価値のさらなる拡張を進めます。海外では、日本事業のナレッジや事業モデルの横展開を図り、新たな体験価値拡張を実行します。
・ 体験価値拡張による成長事例について。国内のオフィス家具事業は、ライブオフィスなどのナレッジを活用し、空間構築事業へ拡張しました。その結果、順調な売上成長や大幅な粗利率改善を実現し、収益性改善を実現しています。
中国ではノート事業から女子文具事業に拡張することで、圧倒的な成長性と収益性を実現しました。
インドでM&Aしたコクヨカムリンは、学生をターゲットとした事業へ拡張しており、安定した成長と収益改善を実現しています。
当社は、今後も体験価値の拡張の実行により、持続的な成長を図ります。
・ 全社戦略に基づく各事業の戦略の概要について。ファニチャー事業の日本の空間分野では、人的資本やオフィスのリノベーションなど、お客様の新たなニーズに対応し、確実なオーガニック成長と生産性改善を実現します。
日本のメーカー分野については、日本市場での生産性、粗利率改善を引き続き行うのと同時に、グローバルプロダクト戦略に舵を切り、アジアでの戦略商品の企画・開発、部材単位での適地生産を実現します。
以上により、日本のファニチャー事業では、売上は年率5%の成長、EBITDAマージンは2024年比で+2ポイント上昇の19.3%を実現します。
海外の空間事業について。2022年に子会社化したコクヨ香港のLAMEX(ラメックス)のリソースや日本ファニチャーの空間デザイン力を活用。成長機会の大きいアセアン地域でお客様のニーズに基づく魅力的なオフィス構築を推進します。加えて、オーストラリアやインドなどの魅力的な市場への進出も実行。特にインドでは、ステーショナリー事業で進出しているコクヨカムリンの知見を生かすことも視野に、参入スピードを加速させます。売上は年率16%成長、EBITDAマージンは、2024年比で+3.5ポイントの13.4%を実現します。
・ ビジネスサプライ流通事業について。当社が有するべんりねっとは、多くのお客様から支持いただいている購買管理システムのソリューションです。当社は、このべんりねっとを強化し、当社のEC事業であるカウネットのさらなる成長を図ります。
将来的には、お客様の購買プラットフォームとしての成長戦略を実行。2027年に向けて、そのためのインフラ投資も進めます。
加えて、事業活動を通じデジタル人材の育成にも取り組みます。他の事業の戦略推進に必要なデジタル人材の輩出も、このビジネスサプライ流通事業から行います。売上は年率+8%成長、EBITDAマージンは2024年比+0.6ポイントの7%を目指します。
ステーショナリー事業は、特にインドやアセアン地域での成長を推進。中国で実現したように、日本の企画開発力を生かし、学生をターゲットとした学び方提案も付加した価値の高い文具の創出による成長を目指します。
インテリアリテール事業は、店舗での収益に頼ったポートフォリオから、コクヨのリソースを活用したB to B市場、あるいはレジデンス市場へと顧客基盤を拡大。より成長性と収益性の高い事業に変化させます。
・ 以上の戦略による当社のポートフォリオの変化について。縦軸に売上成長率、横軸にEBITDAマージン(=収益性)の軸で切り、4つの象限で考え方を整理します。
売上成長率が高く、EBITDAマージンも高いのが、最重点セグメントです。ここにはファニチャー事業が当たり、まだまだ成長が望めるので、重点的な成長投資でより継続的に伸ばします。
売上成長率が高いものの、EBITDAマージンは成長途上なのが、成長継続・収益性改善セグメントです。ここにはビジネスサプライ流通事業とインテリアリテール事業が当たり、まだまだ成長継続できる投資を行いつつ、中長期的な収益性改善を重視します。
EBITDAマージンは高いものの、売上成長率が低いのが、再成長検討セグメントです。ステーショナリー事業が当たります。成長のチャンスを見出し、ここにも投資します。
売上成長率が低く、EBITDAマージンも低い位置づけ明確化セグメントは、他象限への移行や他事業へのシナジーの観点から、今後、位置づけが明確にできない場合は売却や撤退も視野に入れます。
この考え方に基づき、ファニチャー事業は、日本と海外へ重点的に投資を行い、EBITDAを大きく成長させます。ビジネスサプライ流通事業は、成長継続・収益性改善セグメントに移行させるために投資を行います。中長期的には、ビジネスモデルの転換による効果も含め、収益性の改善も狙います。ステーショナリー事業は、日本や中国市場の市況が楽観できないことを含め、4次中計期間中の成長は限定的です。新たな国への進出により、2030年に向けて最重点セグメントへの移行を目指します。インテリアリテール事業は、事業内のポートフォリオをよりバランスの取れた形にし、成長性や収益性の高い事業へ変化させます。
これらにより、2030年を目がけ、成長性と収益性にこだわったポートフォリオの形を目指します。
・ 成長投資の内容について。次の3年間で総額約700億円を見通しています。主に既存事業の成長性や収益性を改善するための設備投資とシステム投資で約500億円を計画しています。具体的には、ファニチャー事業の工場生産性改革投資、物流改革投資、アセアンのサプライチェーンの改革投資、ビジネスサプライ流通事業へのプラットフォームインフラ投資などです。
一方、M&Aは、約200億円の計画を立てています。案件次第で見通し以上に投資することも視野に入れて可能性を検討しています。
・ M&Aは、コロナ禍以降、不確実性の高い市場環境の中、様々な課題を抱えた同業界の企業が増えていると考えます。当社は、日本・アジア・オセアニア・欧米の幅広い地域で魅力的なパートナーとの連携機会を探索し、グローバルNo.1を狙います。
・ そのためのM&A方針は、顧客の体験価値拡張に向き合っていただける会社に当社グループに加わっていただき、戦略を加速させることを主眼に置いています。また、事業面や財務面の規律をしっかりと持ち、成功確度の高い案件を実行します。
【経営基盤強化によるリスク低減と中長期の持続的成長力向上】
・ 持続的成長力の向上の取り組みとして、イノベーションへの挑戦と人材戦略について。
・ 新規ニーズの事業化は、既存事業のデジタル化とサービス化を牽引。ここからシナジーを創出することを重視して進めています。2027年には売上目標の4,300億円にプラスする形で100億円の達成を目指しています。2030年に向けては既存事業のシナジーを大きく創出することを目指します。
・ 人材戦略では、森林経営モデルに基づく企業価値向上に向け、持続的に価値創出を支える人材の採用や体験価値拡張で事業成長を牽引するリーダー人材の育成、実験を通じて新たな挑戦を育む働く場の強化に取り組みます。
これらにより、人材採用競争力の継続的強化や従業員エンゲージメントの継続的向上、生産性の継続的改善、イノベーションのアイデア活性化に繋げます。
・ 事業領域や海外への拡張が進むと大きくなるリスクマネジメントの取り組みについて。エリアの統括拠点の拡大を考えており、リスクマネジメントや一部シェアードサービスを担う拠点を、今ある中国に続きアセアンへの設置を予定。今後、インドへの設置も検討しています。エリアごとのリスク低減に加え、将来的な機能拡充によるシナジーの強化も狙います。
事業プロセスのマネジメントは、ITやテクノロジーの力を借り、さらなる事業プロセスの見える化やリスクの低減、生産性向上も狙います。
グローバル統制については、会計・税務・内部統制・ITなどの観点で統制を利かせ、最大リスクの発生確率のさらなる低減を図ります。
これらの取り組みにより、資本コスト低減にも繋がるリスクマネジメントを図ります。
・ 当社のサステナビリティへの取り組みのコンセプトについて。社会課題が解決され続ける自律協働社会の実現のために、社会価値と経済価値の両立を目指しています。この両立については、2025年の統合報告書で、さらにアップデートする予定です。
・ 社会価値創出に向けたマテリアリティ目標について。第3次中期経営計画を踏まえ、より一層社会価値の創出に寄与するマテリアリティを設定。着実に進捗させます。
・ 財務目標としては、売上高とEBITDAに加え、アジアNo.1、グローバルNo.1を目指す観点での海外売上高比率及び資本効率指標であるROEの4つを重視します。
2027年の目標は、売上高4,300億円、海外売上高比率20%、EBITDA 430億円、EBITDAマージン10%、ROE9%以上。2030年に向け、第4次中計をしっかり進捗させます。
・ 財務戦略と資本政策についてポイントは3つ。バランスシートマネジメント、キャピタルアロケーション、株主還元です。
・ バランスシートマネジメント:EBITDAの成長と資本効率の両立により、2027年9%以上、2030年10%以上のROEを実現。持続的成長の実現に向けたバランスシートマネジメントを行います。純資産は、政策保有株式のさらなる縮減などによる資産効率の向上を図ります。負債/自己資本は、D/Eレシオマネジメントや株主還元の実施により資本構成の改善を図ります。
・ キャピタルアロケーション:持続的成長と株主還元を両立させます。
投資については、日本における収益基盤強化、国内外のさらなる成長や業界変革に繋がる業界内アプローチのM&Aも視野に入れています。M&Aの案件次第では、借入の活用も検討します。
・ 株主還元:累進配当を採用し、配当性向50%を目安として配当を実施します。加えて、350億円の自社株買いを実施。保有する自己株式は発行済み株式総数の2%以下を目安として消却し、希薄化の懸念を払拭します。現時点で超過している580万株は、速やかな消却を進めていることを11月にプレスリリースしています。
・ 第4次中期計画のまとめについて。中長期的な利益成長と企業価値向上に向けて、キャッシュフローを重視したフレームワークを設定しました。このフレームワークと「森林経営モデル」に基づき、2030年にアジアNo.1、長期的にはグローバルNo.1を目指し、企業価値の最大化を実現します。
我々の強みである「体験価値拡張戦略」の実行と規律ある投資と経営基盤の強化により、オーガニック成長とM&Aによる成長を日本及び海外で実現。EBITDAの持続的成長を追求します。そして、持続的成長と株主還元とのバランスを取ったキャピタルアロケーションを実行し、資本効率を持続、継続的に改善します。
累進配当の採用、自己株式消却による希薄化の懸念の解消、さらなる政策保有株式の売却推進なども実行します。
(説明者:理財本部IR室長 三浦 慎一郎氏)
- 業績推移、株式配当情報
・ 2024年の業績見込みについて。売上高3,380億円、営業利益が215億円、当期純利益が214億円。当期純利益は過去最高を見込んでいます。
・ 株式配当情報について。今年の年間配当は76円を予定しています。これは第3次中計目標に掲げた40%の配当性向を上回る水準です。
2023年に資本政策を一部見直した際に追加KPIとした総還元性向は、2023年と2024年の平均で50%以上となることを目標としており、達成する見込みです。
・ 株主優待について。当社株式500株以上ご所有の株主様を対象に、商品の詰め合わせか寄付を選択していただけます。優待制度を通じ、当社グループの事業やマテリアリティをさらに深くご理解いただきたいと考えています。
- まとめ
・ 3つあります。1つ目は、コクヨグループは、祖業あるステーショナリー事業に加え、ファニチャー事業、ビジネスサプライ流通事業、インテリアリテール事業に取り組んでいます。そして複数の事業が収益の柱として育っています。
2つ目は、長期ビジョンの実現に向け、第4次中計を来年から推進します。第4次中計では、売上高年率8%成長させ4,300億円を目指します。利益もしっかり成長させ、成長性と資本効率性の両立を図ります。株主還元は、配当性向50%を目安に累進配当を採用して配当を実施。350億円の自社株買を実施する予定です。
3つ目として今年の当期純利益は、過去最高の214億円を見込んでいます。年間配当も同じく過去最高の76円を予定しています。
以上
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