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三洋貿易株式会社(3176)

開催日:2024年12月8日(日)

場 所:ミッドランドスクエア オフィスタワー5階 『ミッドランドホール』

              (愛知県名古屋市中村区)

説明者:代表取締役社長  新谷 正伸 氏

 

1.当社概要・業績

・    当社は、戦後に財閥解体された旧三井物産神戸支店の社員によって1947年に設立した会社です。三井物産の社風を受け継ぎ、独立してから今期で79期になります。2012年に上場してからは12年です。

  • 海外主要国10カ国に15の拠点を持ち、国内には現在11社グループ会社があります。上場時は2〜3社でしたが、その後M&Aを推進し、連結グループ全体として利益共に成長しております。
  • 事業には、海外現地法人、化成品、機械資材の三つのセグメントがあります。海外現地法人拠点は、北米、アジア、中国の三つが主要な市場です。去年、欧州の自動車産業の中心地となりつつあるドイツのミュンヘンにも拠点を構え、自動車業界のアクティビティや、欧州での環境施策の情報入手を開始したところです。化成品は、創業以来のビジネスです。1960年代に初めて合成ゴムを日本に輸入したのは当社で、非常に長い歴史があります。機械資材は、自動車内装部材・機械等を取り扱っています。2024年9月期は、売上高1,292億円、営業利益70億円でした。三つのセグメントがバランスよく事業を行い、環境に対するリスクヘッジができる体制となっています。
  • 市場拡大を見込み、注力しているのは四つの市場です。一つ目はファインケミカルです。合成ゴムや機能性添加剤をタイヤ、印刷物等に販売しており、創業以来の基盤ビジネスです。二つ目はインダストリアル・プロダクツです。シートヒーターやランバーサポート、シートベルトリマインダー、シートを動かすモーター等の自動車内装部材を海外から輸入し、全日系自動車メーカーに納入しております。三つ目はサステナビリティです。木質バイオマスの分野においては、ドイツ・ブルクハルト社が製造している、木質ペレットを原料とするガス化熱発電供給装置を日本市場に導入し、新ビジネスとして展開しています。四つ目はライフサイエンスです。電子機器等へ利用する電子材料、検査機器など多岐にわたる商材を扱っております。
  • 身近な例として、化粧品の原材料、ダンボールの梱包材に使われる接着剤、食卓に並ぶ肉の質を向上させる添加物、日持ちを向上させる用途の添加物に当社の製品が含まれています。環境配慮型の商材には、国産間伐木質バイオマス、風力発電/地熱掘削関連機器があり、国内の発電にも一部携わっております。洗濯用洗剤にも当社が取り扱う環境対応型の界面活性剤が使われており、皆さまの暮らしに何らかの関わりがあるかと思います。
  • 2012年に上場して以降の業績推移です。コロナ禍は一時影響を受けたものの、売上高、営業利益は安定成長を続け、2024年9月期の決算でも過去最高の売上高、利益を更新しました。当社およびグループ会社社員の努力により、上場時の約3倍の規模へと成長していますが、現状に満足することなく、今後も将来的に成長すべくさらなる打ち手を考えていきたいと思います。

 

2.当社の強み・高収益性

・    当社の強みは、単なる「モノ売り」ではなく、一気通貫でフルサポートサービスを提供できる点です。自動車内装部材を海外から輸入して日本で紹介する場合、まず海外メーカーを国内自動車メーカーやTier1へ紹介し、コンペ等を通してサンプルを提供します。採用までには通常2〜3年かかります。採用されるとSOP(標準作業手順書)が固まり、量産がスタートします。いったん開始されればそのモデル4〜5年は続きますので、そこから当社の売上が立ちます。その間の供給体制も欠かすことはできませんので、必要に応じて、現地へ直接取りに行く、安定在庫を抱える等し、責任を持ってサポートします。自動車モデル終了後にもアフターマーケットがあります。交換部品が7〜8年続きますので、その在庫も提供し、最後まで一気通貫で対応する。設計・開発から保守までお客さまの製造をフルサポートし、お客さまに寄り添ったソリューションを提供できることが強みです。

  • 当社を通さず、海外メーカーと直接取引をすることも可能かもしれません。しかしながら、海外メーカーと日系企業のビジネスモデルは違います。お互いのビジネスや文化を考慮した通訳を行うことで交渉がうまく運び、海外サプライヤーが、日系に合う高品質なサービスを提供してくれるようになるのです。その機能をサポートしています。
  • また当社は、自動車関係では数少ない、100%独立した会社です。系列ではありませんので、全ての日系企業に海外メーカーを紹介することができます。また、海外の内装部材のサプライヤーが日系企業に紹介したいという話も来ますので、それを日本へ展開することもできます。製造以外の機能もサポートすることで評価いただいているのではないかと思います。
  • 財務的な状況については、当社と同じくらいの規模を持つ上場専門商社と比較して、営業利益率は5%以上と高い収益率を保っております。ROEも約12%、ROICも約10%と過去数年は業界トップクラスで推移しており、財務指標においても非常に高い健全な数字を保っています。

 

3.成長戦略

・    1年前、長期経営計画「SANYO VISION 2028」を策定しました。4年後の2028年に向けたシナリオです。営業利益90億円達成を目指し、事業・DX関連・人的資本の三つの対象に200億〜300億円を投資する計画です。

  • 成長戦略は三つです。一つ目は、潜在コアビジネスの果実化、二つ目はM&Aの推進、三つ目は事業開発室による新事業の開発です。これらを「三つの矢」と称して事業を推進し、成長していきます。

潜在コアビジネスの果実化

  • 潜在コアビジネスというのは、それぞれの事業部が今持っている新規ビジネスのことで、潜在性を秘めた案件開拓とその果実化を推進していきます。毎年、案件の入れ替えを行い、現在、28件が稼働しています。助成金を従来の2.6倍に増加し、会社として背中を押しているものです。
  • 具体例の一つは、海洋資源開発の案件です。当社は再生可能エネルギーに力を入れており、一つが洋上風力です。現在、洋上風力発電は秋田県を中心に国家プロジェクトとして大型案件が進行中ですが、日本は近海でも水深が深いので、将来、着床式から浮体式へ移行するのではないかと期待されています。当社のエネルギーソリューション事業室は、洋上風力に必要な機器をヨーロッパから輸入し、多様な機器を取り扱うことでお客さまへトータルソリューションを提供することが可能となりました。長期のプロジェクトですので、実績が出るのは2027年以降になりますが、微力ながら貢献できればと考えております。
  • 二つ目の例は、自動車の試作品製造の際のデータ供給、自動車ベンチマーキング事業の深化です。新しい自動車を開発するときに、他社のデータを提供するというサービスです。データだけではなく実物を見てみたいという要望もあり、2022年、海外の最新EV車両の部品を自由に手に取って確認できる日本国内初の展示場「瑞浪展示場(Sanyo Solution Gallery)」を岐阜県瑞浪市に開設しました。来場者数は7,000人を突破し、人気を博しております。170台以上の解析情報を提供し、データ販売売上高は2.5倍に成長しました。展示車数は、2024年10月現在20台になりました。新聞等のメディアへも多数展開中です。

M&Aの推進

  • 年間1〜2件実施しているM&Aは着実に利益に貢献しています。規模の大きいところでは、2016年のソート社、2020年のワイピーテック社、2022年のスクラム社があります。ソート社はその後、化学品との相乗効果が高いことから社内に入れています。M&Aは非常に大事な施策ですので、今年10月、事業投資統括室を新設し、M&Aにより注力する体制を構築しました。2028年の営業利益90億円を目指すべく、投資案件も推進していきます。
  • M&Aを含む投資の基本方針です。前提条件は、「事業部との相乗効果があるか」「海外展開を加速できるか」「将来の成長性があるか」の三つです。「長期保有を原則」「自らオーナーシップを持って事業運営を行う」「キャピタルゲイン狙いの投機はしない」という保有方針や、マジョリティ取得を基本スタンスとするという方針も、10年前と変わっていません。自己資本比率を50%以上としているのは、コロナ禍のような非常事態においても、会社の継続性を担保するためです。

事業開発室の取り組み

  • 事業開発室は、注力市場を俯瞰し、大きな成長を期待する有望なビジネスを開発する専門組織です。一例を挙げると、リサイクルの輪を生み出すサーキュラーマテリアルとして、「QUARTECH」という合成皮革を森常株式会社と共同開発しました。統一の材料で作ることで、リサイクルがしやすい。なおかつ天然皮革に近い肌触りという環境配慮型の商品です。これは世界でも類を見ないでしょう。ランドセルも作りました。現在、完売しておりますが、リサイクルができるランドセルというのが来年あたり出てくると思います。
  • DX関連投資については、2022年、株式会社コスモ・コンピューティングシステムを買収したことで、当社グループの中にITソフトの会社ができました。彼らが1年かけて、基幹システム「React」を開発し、2024年10月から始動しています。自前で作った基幹システムを導入する利点は、在庫管理やグループ会社の一元管理、将来的なDX対応が社内でできることです。外注するのではなく、社内で迅速に、低コストで行えるというのは非常に価値の大きい投資だと考えています。
  • 人的資本投資については、人材の数×人材の質と考え、教育に力を入れ、採用の多様化を行う「Sanyo Growth Style」、自由闊達な基盤を強化する「Sanyo Governance Code」、そしてD&I、多様な人材、多様な働き方の推進を行う「Sanyo Work Style」の三つの施策を推進し、働く環境づくりを構築していきます。

 

4.株主還元

・    従来、継続的な増配、安定的な配当を行うという方針を立てております。株主還元をより一層積極的に実施すべく、下期の配当を23円から33円に、10円増額いたしました。よって、年間配当額は55円となります。現在の利回りは12月6日(金)現在3.75%、株価は1,518円です。今後も配当性向は30%以上を目途に、累進配当を基本原則とし、長期的に安定的に株主の皆さまに利益を還元していきます。

 

5.まとめ

  • 本日のまとめとしてポイントは以下の3点です。
  1. 三洋貿易ならではの「よい仕事」をする。利益だけなく、顧客社会に対して良い仕事をするというのは、三洋貿易の理念でもあります。
  2. 成長戦略「三本の矢」により、既存ビジネスを維持、成長させるだけでなく、新しいビジネスも展開する。
  3. 長期安定的な配当増額です。
  • 「Quest for Next」、これは当社のキャッチフレーズです。一歩先を見据えて、お客さまと地球のより良い未来に向けた最適解を探求する当社の姿勢を表しています。今後もこの言葉に秘めた思いを実践してまいりたいと思います。

 

6.質疑応答

Q1.他の大手商社のように何でも取り扱わないのはなぜですか。

A1.当社は中堅の商社ですので、人やお金といった限られたリソースを有効活用するため、ニッチな分野に特化しています。大手商社との違いは次の3点です。

  1. まずは人です。社員の大半が理系出身で、営業だけでなく技術的なサポートも行っていますが、これは商社では珍しいとよく言われます。

A    一気通貫でソリューションを提供するビジネスモデルを推進していることは当社の特徴であり、強みです。

B    「一商品、一支援先」というパートナーシップモデルです。特異なことかもしれませんが、一つの商品を一つの支援先に提供し、長い信頼関係を構築した中でビジネスを展開しています。

 

Q2.バイオマス関連事業の詳細を教えてください。

A2.バイオマスビジネスは、化学品、自動車内装部材とは別に、再生可能エネルギー分野の新ビジネスとして注力しているもので、2015年、ブルクハルト社のガス化熱電供給装置を群馬県上野村に国内初の一号機として納入し、現在43機となっています。

       今年は東北電力等と協力して「横手湯沢フォレストトサイクル株式会社」を設立し、秋田県横手市と湯沢市において、秋田県産木材を燃料とする木質バイオマス発電所を建設・運営等していきます。運転開始は2026年とまだ先ですが、こちらには22機納入する予定ですので、ガス化熱電供給装置は合計65機となります。今後も木質バイオマスでの発電事業には力を入れていきます。

 

Q3.北海道下川町のペレット工場の運転内容を聞かせてください。

A3.下川町は、旭川市から北へ車で2時間くらいの所にあります。冬は雪が深く、人口約3,400人という小さな町ですが、木質バイオマスに力を入れています。そこに北海道バイオマスエネルギーという会社があり、3月31日付けで操業を休止していました。今年6月、当社が約3分の1出資した「北の森グリーンエナジー株式会社」が設立し、北海道バイオマスエネルギーの経営が当社へ移管されたことで、事業が再開しました。

       ここでは、北海道の未利用材を活用し、木質ペレット燃料を製造するほか、製造した木質ペレットを炭化する際に発生するガスを利用して発電する木質バイオマスガス化発電事業を行っております。今年11月にFIT認定が下りましたので、北の森グリーンエナジーでは、年内に売電開始となるよう、最終点検を行っているところです。

 

Q4.現在150円台と円安で動いていますが、御社にとってどのような状況でしょうか。

A4.為替は、当社にとってニュートラルなものです。まず、輸入が多い商社ですので、円安になると、輸入コストが上がり、円安はマイナスに働きます。しかし、海外拠点においては評価益が上がるので、プラスの要因になります。また、為替が変動したときのため、3カ月ごとにどのように為替で単価を決めるか、お客さまや支援先とフォーミュレーションを組んでいるケースがあります。リスクを最小化するため、為替予約を原則としていることなどを加味すると、急激な変動を除いて、為替変動については長い目で見れば軽微なものと考えております。

 

Q5.円安におけるゴム事業について教えてください。

A5.当社のゴム事業部は、海外の合成ゴム製造メーカーから輸入しているビジネスが多いです。円安では輸入材の値段が上がりますので、そのこと自体を見れば、価格が上がり、厳しい状況となります。しかしながら、これもお客さまとフォーミュレーションを組み、価格交渉をすることで対応しています。

       また、世界最大の石油メジャーであるサウジアラムコ社の子会社に、アランセオ社という世界一の合成ゴムサプライヤーがあります。ゴム事業部は今ここを主要仕入先としていますが、アランセオ社の日本マーケットにおける代理店でもあります。日本だけでなく、ASEAN諸国の日系企業にも紹介し、価格や技術を含めたあらゆるサポートを提供していますので、円安については条件の一つだという位置づけで考えています。

 

                                      以上

 

 

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