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NISSOホールディングス株式会社 (9332)

開催日:2024年12月14日(土)

説明者:代表取締役社長執行役員兼CEO  清水 竜一 氏

 

  1. NISSOホールディングスについて

・ 日総グループの特徴は、業界のパイオニアであることです。人材業界の歴史が浅い中で、50年以上の歴史のある会社です。日本の産業構造の変化の中でそれぞれの業種のトップランナーである大手メーカーと非常に強い関係で取引をさせていただいています。

・ 創業理念・ミッション・ビジョンについて、特に申し上げたいのは、我々は働く方々に寄り添っていること。そして、働く方々がどうすれば働きがいを持って仕事ができるのか、あるいは将来に夢を持って仕事ができるのかに非常に注力しています。また、ビジョンとしては、高い成長力のある企業グループに変革することを目指しています。

・ グループの歩み・沿革について。50年以上前の1971年に、グループの中核会社の日総工産の前身の日総工営からスタートしています。2016年に、我々が大変力を入れている人材育成の拠点を東北エリアに開設。2018年、日総工産が東京証券取引所第一部市場に上場しました。その後、長野県に日総テクニカルセンター中日本を開設。2023年に日総テクニカルセンター熊本を開設しました。熊本は今、半導体で非常にホットなエリアです。また2023年10月2日には、NISSOホールディングスが純粋持ち株会社として再上場しました。

昨年春にテクニカルセンター熊本をオープンしたのですが、ニーズからするととても足りないため、今年、2.5倍の広さのテクニカルセンター第2をオープン。年間の育成キャパシティを300名にすることにも挑戦しています。

・ グループ会社について。総合人材サービスと介護・福祉サービスの2つのサービスで展開。97%が総合人材サービスで、残りの3%が介護・福祉サービスです。総合人材サービスでは製造系/技術系、ホワイトカラー系、その他の人材サービスを展開しています。

 

  1. 事業内容と業績推移

・ 特に今日しっかりご説明しておきたいのは、日本の少子高齢化市場での人材サービスについてです。少子高齢化で人材サービスは伸びないのではないかと思っている方もおられると思いますが、少子高齢化や人手不足でも、しっかり成長する事業戦略を組んでいることをご説明申し上げたい。昨年、ようやくコロナの出口が見えてきたことで、2025年3月期第2四半期営業利益は前期比で53.3%も伸びています。

・ コロナの出口も見え、時代がどんどん変化する中で、新しい中期経営計画を今年8月に発表しました。来年からの3ヵ年の計画で、3年後の連結売上高を1,500億円、連結営業利益75億円を目指しています。

・ 我々が重要視している数値指標に離職率があります。普通の会社ではあまり表すことは少ないのですが、我々はここに非常に力点を置いています。

昨今の人手不足の時代。せっかく縁あって入社された方々が、できるだけ離職せずにキャリアを積んでいくことが、人材サービスの成長にも本人にも大変有益です。その意味で、離職率を重視しています。

・ セグメントの売上構成比について。連結売上高の90%は人材サービスが占めています。元々当社は製造系の人材サービスが非常に強いのですが、ここ数年は色々なお客様のニーズの変化により、生産技術を中心としたエンジニアの比率が徐々に上がってきています。そして、パイオニア企業として、それぞれの業種のトップランナーの上場企業や上場会社の企業グループを中心に700社以上と取引しています。

・ 皆様が普段使われているスマートフォンには50個以上の半導体や電子部品が使われている。このような電子部品を当社の従業員が作っている。自動車に至っては2万〜3万点の部品があり、それらの部品を作ったり、自動車を組み立てることに当社の従業員が関わっています。そんなところから当社を身近に感じていただけたらと思います。

 

  1. 成長戦略

・ 最近、人的資本経営という言葉がよく使われています。我々は入社した方の能力開発など、色々なスキルを上げるための投資をしっかり行っています。そして、その方々が基礎教育を受けた後、取引先で仕事をしながら価値を増していく。研修でのOff‐JTと職場でのOJTを組み合わせながら、付加価値の高い人材として活躍する。このような仕組みで、働く方々の処遇を上げ、お客様の満足度を上げていくというサイクルをしっかり回しています。そうすることで結果的に受注単価が上昇する、あるいはお客様の信頼を得てシェアが上がる。それにより収益が上がる。このサイクルをしっかり回し続けていくのが当社の基本的な考え方です。

・ 人材派遣では、働いている人の人数と受注単価とその月の稼働時間を掛け合わせたものが売上です。在籍を増やしながら受注単価を上げていくために、営業戦略・採用戦略・定着戦略・育成戦略を4つの柱としています。これらをしっかりとやり上げていくことで、結果的に会社は成長していきます。

 

【営業戦略】

・ 業務領域ごとに取り組むインダストリー戦略です。注力領域には、オートモーティブとセミコンダクター、エレクトロニクスがあります。オートモーティブは自動車関連、セミコンダクターは半導体関連、エレクトロニクスは半導体以外の電子部品を指します。

それぞれの中でこれから将来にわたり必要になる人材や市場性の高い人材を考え、それを先取りしながら、人材を育成する仕組みを作り、お客様にお届けする。そのような形で成長する営業戦略です。

・ オートモーティブのインダストリー戦略について。昨今は自動運転等の研究が進み、100年に1度の変革期と言われています。

我々がその中で特に注目しているのは、自動車に搭載される部品が、従来の部品に加えて、リチウム用バッテリーや自動運転に紐づく半導体を中心とした電子部品であることです。そこで、関西地区の産業局や学校、企業と連携したコンソーシアムに参加し、電池を作るために必要な人材の育成に取り組んでいます。1つ目の事例として、3月に滋賀県に日総EVテクニカルセンター関西を新しく開設しています。

2つ目の事例として、自動車メーカーも人材確保に苦労し、人手不足の中で自動化に取り組んでいます。スマートファクトリーと呼ばれる工場では、ロボットや生産設備の保全を担当する方々やエンジニアのニーズが高まっています。こういった人材をしっかり育成をしていくことも、我々のオートモーティブインダストリーでの戦略です。

・ セミコンダクターインダストリーとエレクトロニクスインダストリーでは、全国4ヵ所のコンソーシアムに参加。これからの量産化を技術で支えられるエンジニアに特に注目しています。量産化で必要なのは装置のエンジニアや保全員、生産技術の方々です。

日本では補助金等をつけて大きな半導体工場を誘致していますが、1990年以降、日本の半導体は衰退の一途をたどってきたため、量産技術を支える人材が本当に少なくなっています。その当時半導体に関わった方々も高齢化しています。そのため、これからの人材を育成する必要があります。

我々はコンソーシアムに参加しながらニーズを先取りし、必要な人材を私どものテクニカルセンターで育成し、お客様にお届けしていく取り組みを行っています。

・ さらに人材が活躍できるように、特にメーカーを対象とした展示会に人材サービス企業としてブースを出展。その結果、新たに3,600件以上のリードを獲得しました。これからの拡大のために、新たなお客様との関係性を構築できています。

・ 10月に開かれた名古屋ファクトリーイノベーションWEEKでは、製造系の人材不足の解決に関するセミナーを実施。私どもは上場会社のツナググループと資本業務提携をしていますが、連携によりお客様の満足度を上げるための新しいサービスを提案した事例をお話しました。

これは「HR Innovation Hub(イノベーションハブ)」という取り組みです。従来、人材会社は人材を派遣したり、工程を請け負ったり、人材を紹介するサービスがメインでした。しかし、今、人手不足の中では、直接雇っている正社員や契約社員、我々のような外注やこれからは外国の方々も雇っていかなければいけない。かつ人的資本経営では、タレントマネジメントのようなこともしっかりやらなければなりません。そうなると、メーカーの特に工場の人事の方は非常に疲弊し、やるべきことがたくさんあるけど工数が足らないという課題を抱えています。

そこで、メーカーの人事担当者の業務について、メーカーの方々はコア領域に集約していただき、我々はその周辺領域のお手伝いをする。この新たなサービスをツナググループとの共創で提案しています。

 

【採用戦略】

・ 当社の採用のフローについて。当社は自社の採用サイト、製造系なら工場求人ナビ、エンジニア系ならengineer worksを持っています。この自社サイトからの入社が半分以上という特殊な会社です。これらを的確に行ってきたおかげで、今年は月間平均で5,700名の応募があります。このフローを上手に回しながら、たくさんの人に来ていただき、できるだけ上手に仕事を紹介することが非常に重要になってきます。

・ 入口となる自社サイトへのプロモーションは、この数年、女優の黒島結菜さんをイメージキャラクターにしています。自社サイトから半分、他社サイトから4分の1、その他の方法で4分の1が入社をしています。

・ 4分の1を占める人材募集の「その他の方法」について。これは人材会社を中心に150社以上と組んだコンソーシアムを通じた採用です。月平均5,000名以上も応募があるのに、なぜそのようなことが必要なのか。実は5,000名以上の応募のうち、入社されるのは700名程度。他の方々は、残念ながら本人の希望と合わないなどの理由から入社に至っていません。我々としては、ミスマッチをできるだけ0にしたい。そのためにこのようなコンソーシアムを活用たり、グループ内での仕事を紹介しています。

このような形で、入社者が活躍できる仕事を紹介するプラットフォームを構築。そのマッチングにはAIを補助的に活用。マッチングの効率化を図ることを始めています。

・ 採用戦略にはグローバル人材戦略もあります。外国人人材は従来、技能実習制度の形で安く使おうという考え方が一般的だと私は認識しています。しかし、これからの日本の産業界の発展を考えると、安く使うのではなく、グローバルな人材が「日本で働いてよかった」「もっと働きたい」、場合によっては「定着したい」というぐらいの働き方を提案していかなければ、日本で活躍する外国人が減っていく危機感を持っています。

そこで我々は、基礎教育を行っているアジアの国々の教育機関と基本契約を締結。各国の大学で我々が提案しているカリキュラムを勉強して頂き、その中から人材を選んで採用。日本で再教育の後、活躍していくことを始めています。そして、6年先(2030年度)には、エンジニアビザを取得し、活躍する方が3,000名になることを目指しています。

・ まず、ベトナムの2つの大学と人材育成に関する協定及び基本合意を締結しました。そしてカリキュラムを学んだ学生が、この11月に第1期生として入社しました。彼らは、日本で再度、スキルチェックや語学力のチェック等を行いながら研修を行い、これから現場で活躍することになっています。

これから先は、少なくともベトナム国内の重点的な大学20校ぐらいとこのような契約を締結。並行して、インドネシアやインド、タイ等の他のアジアの国々でも同じような取り組みを進めていく計画です。

 

【育成戦略】

・ 当社の半導体や電子部品系、車のバッテリー系の研修施設は、それぞれ各地にある業界のコンソーシアムに参加しています。

私どもの研修施設の主力となるのは、テクニカルセンターという非常に規模が大きく自動車系にも電子部品系にも対応できるセンターです。さらその地区のメーカー向けの育成のためのトレーニングセンターもあります。

愛知県には色々な産業の集積エリアがあるので、今後、新たな自動車系あるいは電子部品系の育成センターを開設する予定です。

・ 一般の方はあまりピンと来ないかもしれませんが、メーカーは安全に対し非常に神経を使っています。通常の仕事と違い、労働事故が起こると重大な災害になるケースがあるからです。そこで我々は、従来から安全教育にしっかり力を入れています。それはお客様との信頼も大事ですし、ケガをすると何よりも本人が一番辛い思いをするからです。

さらにこの10月から、滋賀のEVテクニカルセンター関西に、VRを使った危険体験トレーニングシステムを導入しました。そういったものをこれから積極的に使うことで、危険体験をVRを通してできる、エリアなどの制約を受けずに体験できる仕組み作りを積極的に進めていく予定です。

・ 九州のテクニカルセンター熊本は、2023年4月に開所。さらに1年後に増床しました。技術者教育では、データサイエンティストや生産技術、設備技術の教育。半導体関係では専門教育や保全教育をしています。

この施設の最大の特色は、半導体を量産する会社で使われている装置を設置。電気やガスを通し、実際に動いているのと同じ状態で勉強できることです。こういう教育ができると即戦力に繋がりやすい、基礎教育がしっかりできるとご好評をいただいています。

・ 産官学のコンソーシアム等に参画しているので、各地の自治体の方々や九州エリアの学校が私どもの施設見学をされます。そして、連携して育成したい等の提案もいただいています。これは結果的に営業戦略になり、幅広い育成という点で大変役に立っています。

・ その一つの証左が私どもの新しいサービスが、研修受託サービスのNISSO HR Development Service(デベロップメントサービス)です。お客様の新入社員の教育や、最近ではリスキリングやキャリアアップ教育をお手伝いすることをやり始めています。

メーカーの中でも育成に関して色々な課題があります。そこに我々の社員を育成するための仕組みが活用できるのではないかと提案したところ、10数社との取り組みを始めています。新しい時代に活躍できる人材の育成を、メーカーと力を合わせながら取り組んでいきたいと考えています。

・ その一方で、研修施設はキャパに制限があります。そこで研修施設で行っている研修をe-ラーニング化することにも取り組んでいます。

ホワイトカラー向けにはe-ラーニングのコンテンツがたくさんありますが、製造系やエンジニア系のコンテンツが世の中には少ない。そこで、14コース、49講座を開設。エンジニアの基礎を勉強するスタートアップエンジニアは一般にも公開しています。

・ 一人ひとりのスキルを伸ばすタレントマネジメントについて。我々の会社は中途の方が圧倒的に多く、いろんな経験のある方々が入社されます。入社後は、活躍したい領域で必要な基礎教育を私どもの研修施設で行い、取引先で仕事をしながらスキルを身につけていくサイクルを回しています。しかしそのままではジョブ型の働き方で給料を上げることが難しい。そこで定期的に当社のキャリアアシスタントが面談し、本人が得たいキャリアや目指したい方向性を確認。そのために必要な教育プランを作り、教育し、また取引先で活躍する…このサイクルをぐるぐる回しながら、働く方々が長く働くことでインセンティブが動くような取り組みを行っています。

【定着戦略】

・ スタッフ専用で24時間いつでもスマートフォンで色々な相談をしたり、契約書や情報のやり取りができるツールを導入しています。また、自分のキャリア等を相談できるキャリアカウンセリングの仕組みがあります。取引先ごとに担当者を配置し、全国56ヵ所の拠点からいつでも働いている方々のサポートができます。このような信頼感の中で、定着率を上げています。

 

・ 日総グループは、共創により広がり続けています。時代の変化は非常に早く、お客様の課題や困りごとも刻々と変化します。従来は当社で対応できる内容でできる限りの提案をしていましたが、それだけではお客様の満足度を上げることが難しい。グループ内はもちろん、グループ外でも様々なパートナーを見つけ、協力しながらお客様や働く方々の課題を解決しています。

例えばインターステラテクノロジズ社は、人工衛星を打ち上げるロケットを開発中の会社で、堀江貴文さん(ホリエモン)がファウンダーとして投資をしています。そういった会社と協定を締結し、活躍できる環境整備をしています。ドクターズ社は、メディカルヘルスケアのDXを推進している会社です。各社とその時に必要な人材育成を一緒にできるよう、色々な取り組みをしています。クロスコンパス社はAIの会社で、この会社と組むことで、データサイエンティストの育成なども行っています。

 

4. 介護・福祉サービス

・ 現在、 6つの有料老人ホームを展開しています。

・ 介護・福祉領域も人手不足で、今、3名の外国人が介護福祉士の資格を取得。現場で外国人の方々を育成する仕組みを作っています。

介護品質の向上では、産官学の連携で未病に対する共同研究を行っています。また、高齢者の方々が環境に快適に順応するための研究を横浜国立大学と行っています。

介護する方々の作業負荷を下げるためにはロボットやセンサーの技術も必要です。これについても今私どもの施設で色々な実験を行っています。

 

5. 株主還元方針と株主優待

・ 当社は上場後一貫して、配当性向30%以上の考え方で配当を行っています。

・ 個人株主様に好評なのは株主優待です。付与条件は300株以上保有している方。保有株数に応じてポイントを進呈し、たくさんのメニューがあるカタログの中から優待商品を選べます。また1年の繰り越しもできるので、ポイントを貯めて、翌年、高額商品に取り替えることも可能です。「優待は絶対やめないでくださいね」という声を株主の皆様からいただいており、今後も継続してやっていきたいと考えています。

・ 2,000株お持ちなら5万ポイント、金額に直すと5万円相当の商品に使えます。

 

6. 終わりに

・ 今年8月に発表した新しい中期経営計画について、経済アナリストの馬渕磨理子さんとディスカッションし、当社HPで公開しています。お時間がある時にご覧ください。

当社は人を大事にする会社です。その中で地域との共生にも取り組んでおり、地域のスポーツや文化芸術を支援しています。例えば神奈川大学陸上部駅伝チームのスポンサーになっています。幸いにして来年は箱根駅伝に出場するということで、大変喜んでいます。また、横浜DeNAベイスターズは、横浜スタジアムの宣伝広告もさることながら、スカイデッキに地域の少年野球チームを招待しています。その他、横浜市の消防局消防音楽隊に協賛したり、女子サッカーのニッパツ横浜FCシーガルズのアスリートを社員として採用したり、支援しています。

・ ブランドムービーでは、当社がいかに働く方々に寄り添いながら仕事をしているかがわかります。こちらもお時間がある時にぜひご覧いただくと大変ありがたく思います。

 

 

以上

 

 

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