ラサ商事株式会社(3023)
開催日:2024年12月13日(金)
場 所:ミッドランドスクエア オフィスタワー5階 ミッドランドホール(名古屋市中村区)
説明者:代表取締役社長 井村 周一 氏
1.当社グループの概要
・ 当社は専門商社として、資源や産業機械を取り扱っており、一般消費財を扱っている会社ではありません。そのため、皆さまにはなじみの薄い会社だと思いますが、名古屋地区との関わりでは、当社の名古屋支店が地下鉄伏見駅のすぐ近くにあります。また、当社機械部門の主力商品である産業用ポンプのワーマンポンプは、JERA様の碧南火力発電所の排煙脱硫装置に使用されているほか、日本製鉄様の名古屋製鉄所などに数百台単位で納入されています。その他ポンプも、各市町村の下水処理やし尿処理場などで、幅広く使用されています。また、岐阜や四日市には、当社資源部門の主力商品であるジルコンサンドを大口で納入しているお客さまが多数あります。皆さまの目に直接触れる機会は少ないですが、当社はこうした商品を通じて、この名古屋地区とも深い関わり合いを持っています。
まず、グループの中核企業であるラサ商事の社名の由来についてです。ラサ商事のラサは、沖縄本島の南東約400キロメートルにある沖大東島が、通称ラサ島と呼ばれていることに由来しています。このラサ島で戦前、リン酸肥料の原料となるリン鉱石を採掘していたのがラサ工業で、そのラサ工業の商事部門が分離独立したのが当社ラサ商事です。
当社は1939年、昭和14年に、このラサ工業の子会社としてスタートしました。現在は独立系の商社として事業を営んでおり、東京証券取引所には2006年第2部に上場、そして翌年の2007年第1部に指定替えして、2022年の市場再編に伴い、現在はスタンダード市場に上場しています。
・ 次に事業の変遷についてです。当社は食糧や鉱物資源を取り扱う商社機能からスタートしています。2009年までは食糧も取り扱っていましたが、独自性の高い分野への経営資源集中という観点から、食糧分野からは撤退しました。一方、鉱物資源を取り扱う過程で、オーストラリアとの関係が非常に深くなり、オーストラリアのワーマン社で発明、開発されたワーマンポンプという産業用の特殊ポンプに着目し、当時の日曹製鋼、現在の大平洋金属株式会社と共同で商品化したことが、産機・建機関連事業を営む足がかりとなっています。さらにその後、単品の機械販売にとどまらず、その周辺機器、さらにはプラント設備を手がけるための技術力を高め、下水汚泥関連、産業廃棄物関連、そして高炉の付帯設備である水砕スラグ製造設備などの環境設備関連事業へと事業を拡大してきました。
このように、商社機能から機械メーカー機能、そしてプラントエンジニアリングへと事業範囲を拡大しており、それぞれの事業が現在も競争力のある3本柱となっています。2010年代にはM&Aを2社行い、事業領域の拡大を図っています。2012年にイズミ株式会社を得たことで、新たに化成品関連事業と、イズミが保有していた不動産を集約化した不動産賃貸関連事業の2事業が加わっています。さらに2014年には、旭テック株式会社のプラント設備工事関連事業が加わり、現在当社グループの事業は6事業となり、以前から目指していた主要3事業プラス新3事業の体制が整っています。
なお、イズミ株式会社は、経営資源の集約、管理部門の組織運営の効率化を図るとともに、営業面での連携強化、コンプライアンスリスクの管理の強化などを推進することを目的に、本年4月ラサ商事を存続会社として吸収合併しています。
2.事業の概要・特徴
・ それぞれの事業の概要と特徴を具体的に説明します。まず、資源・金属素材関連事業の特徴です。主力商品のジルコンサンドは天然鉱産物であり、融点が高い、比重が大きい、硬いなどの特性を活用して、半導体ウエハーの鏡面加工用研磨剤として最も多く使われています。また、耐火物材料、鋳造用の部材、電子材料など、広い用途に供給されているほか、ジルコニウム化合物として自動車用部材やファインセラミックス等にも用途が広がっています。セラミック業界での釉薬の原料にも使用されています。
ジルコンサンドは、オーストラリアと南アフリカが二大生産地となっており、特にオーストラリアは世界の生産量の約4割を占めています。その中で、最大の生産量を誇るオーストラリアのアイルカ社は、世界最大のジルコンサンドのメーカーであり、当社はそのアイルカ社と日本における総販売代理店契約を締結しています。ジルコンサンドの国内シェアの50パーセント以上を占めており、シェアナンバーワンの企業です。
・ 次に産機・建機関連の特徴です。当社は国産の機械と輸入の機械の両方を扱っており、産業用の特殊ポンプを中心に販売しています。ポンプには、一般的な水を送るポンプから、スラリーといって砂利や石ころなどが混ざった液体を送るポンプまで、多様な用途に合わせてさまざまあります。当社は耐摩耗性、耐腐食性に優れたスラリーポンプ分野を得意としており、この分野では国内トップシェアを争っています。中でも、1959年の発売開始当初から60年以上にわたって主力商品であり続けているのがワーマンポンプです。これはオーストラリアのワーマン社で、主に鉱山向けに開発された特殊ポンプです。もともと鉱山用のポンプなので、鉱石の混ざった流体を送るなど、タフな使用に適合しており、取り扱いも簡単であることから、世界中に広まっているポンプです。当社は、このワーマンポンプの特性に注目して、国内に導入し、鉱山以外の用途開発も行いました。その結果、現在では電力、製鉄、化学、非鉄金属、精密機器、電子半導体、食品など、国内外の3,000社あまりの企業に納入実績があります。
・ 次は環境設備関連事業の特徴です。この事業は、商社の枠組みを超えて、大型のプラント設備などの設計から建設、運転サポートまでの一貫提供が特徴です。このため、当社は商社ですが、エンジニアリング部門を保有しています。現在の主力商品の一つは、製鉄業界でラサ・システムとして世界的に知られている水砕スラグ製造設備です。この設備は、製鉄の過程で副産物として生じるスラグをセメント原料などとして再利用できるように処理するもので、廃棄するものをリサイクルにつなげる環境に配慮した設備です。例えば、鉄1万トンをつくると、約3,000トンのスラグと呼ばれる溶岩のような状態の副産物が発生します。以前は、これは埋め立て処分するしかなかったのですが、ラサ・システムの導入によって、砂状となったスラグはセメント原料などにリサイクルされています。昨今では、環境意識の高まりや復興需要などもあり、スラグセメントの需要も高まっています。このラサ・システムは、製鉄所では必要不可欠な設備となっており、当社では国内の大手鉄鋼メーカーの全てに納入実績があります。
・ 次に化成品関連事業です。これは2012年にM&Aによってグループ化したイズミ株式会社が担ってきた事業です。自動車分野や建材分野、電気電子分野など、幅広い業界に多種多様な合成樹脂、化学製品を提供しています。当社は本年4月にイズミを吸収合併しましたが、引き続き化成品関連事業の収益基盤の拡大を目指して、社内における連携強化、また販売コストの効率化に努めています。
・ 次のプラント・設備工事関連事業は、2014年12月にM&Aによりグループ化した旭テック株式会社が担っている事業です。旭テックは設立から36年で、業界内では比較的若い会社でありながら、その高い技術力から厚い信頼と実績を誇っています。旭テックの主な活躍の舞台は、東京湾の千葉県海岸部に広がる京葉臨海コンビナートで、お客さまの中心はこの地区に進出している多数の大手企業の工場やプラントです。旭テックはこれらの石油化学、石油精製プラントの配管工事で、設計施工からメンテナンス工事まで、一貫した対応を行っています。また、熱供給設備などの配管工事を手掛けているほか、大手テーマパークの配管工事も請け負うなど、その技術力は高く評価されています。さらに、4万平方メートルの自社工場を保有しており、そこではプラント等で使用される各種配管などのプレハブ加工、各種鋼材、製缶品の加工、加えて各種ポンプ類のメンテナンスなども行っています。
・ 次が不動産賃貸関連事業です。これは所有不動産の有効活用を事業の目的としており、ラサ・リアルエステート株式会社が企画、運営、管理を担っています。現在、RASA日本橋ビル、そしてイズミビルの二つの賃貸オフィスビルを保有しており、いずれも満室の状態です。また、賃貸を目的とした土地の保有、管理、そして現在遊休地となっている土地区画整理地の有効活用策の検討等を行っています。こうした保有不動産の有効活用は、優良物件への買い替えも一段落したところで、今後は中長期的な不動産の管理や活用へ軸足を移していくことになっています。
3.当社グループの強み
・ ラサ商事の強みを総括すると、五つの主な強みがあります。
・ 一つ目の強みは、ラサ商事の事業がニッチ市場でトップシェアを築き上げていった点です。資源・金属素材関連では、ジルコンサンドが国内シェア50パーセント以上を誇っています。産機・建機関連では、スラリーポンプ分野で国内シェアナンバーワンを競っており、特にワーマンポンプは、あらゆる業界で絶大な支持を得ています。環境設備関連では、ラサ・システムが業界内で広く世界に知れわたっており、水砕スラグ製造設備を設計から建設、運転サポートまで一貫提供できるのは、世界でも当社を含めて数社しかありません。ニッチな分野ではあるものの、トップシェアを持つことは、当社が必要とされる分野を確立し、収益の安定性を確保する原動力となっています。
・ 二つ目の強みは、商社の枠組みを超えた技術、ノウハウが蓄積されている点です。それを支えているのが、提案型営業力であると自負しています。商品の販売は、基本的には代理店を介さず、常にお客さまと直接接点を持つことで、お客さまの新たなニーズや課題を把握しています。それをメーカーにフィードバックして、新たな商品や使用方法などを提案することで、お客さまの問題解決や業務改善の役に立っています。私どもは、常にお客さまに近いところにいることによって、お客さまとのコミュニケーションを図り、長年にわたる良好な関係を維持するよう努めています。
・ 三つ目の強みは、設計・施工からメンテナンスまで、一貫した対応が可能な技術力を築き上げている点です。当社が取り扱っている商品は、産機・建機関連、産業設備関連、いずれも非常に特殊なもの、非汎用品がほとんどです。そのため、導入に当たってのお手伝いだけでなく、その後の保守メンテナンスも、当社が責任を持って対応していくことが必要不可欠です。当社は技術商社としての幅広い人材、ノウハウ、ネットワークを独自に築き上げてきました。また、自社工場を持ち、回転機の保守、メンテナンス業務を担う旭テックが当社グループに加わったことにより、こうした強みがさらに強化されています。
・ 四つ目の強みは、社員教育が充実していることです。人材面では、機械関連部門に在籍する営業職およびエンジニア職の5分の1は、理工系の学部や大学院の卒業者が占めています。また、営業担当者にも技術的な知識と技能を持たせることに努めており、社内教育や研修会を行う他、毎年数名の若手社員をドイツ、スイス、オーストラリアを中心に海外研修へ派遣するなど、社員教育の充実を図っています。こうした海外研修を通して、製品に対する海外との考え方の違い、新たな発見等を若い社員が経験することにより、今後の営業や商品開発に生かせると考えています。
・ 五つ目の強みとして、健全な財務体質が挙げられます。有利子負債は圧縮傾向にあり、一方で純資産は着実に積み上がっています。2024年3月期では、預貯金が有利子負債を上回っており、実質無借金経営となっています。自己資本比率は2021年3月期では56.2パーセントでしたが、直近の2024年9月期では68.9パーセントとなり、新中期経営計画の目標50パーセントの水準をクリアしています。今後も着実にキャッシュフローを積み増し、M&Aを含めて将来の成長に向けた投資を適時的確に実行していきたいと考えています。
4.当社グループの成長戦略
・ 前の中期経営計画までの10年間を定量面から振り返ると、売上高は安定的に推移しています。また、利益は経営基盤の構築強化に注力して、当社グループの総合力と収益力の強化が進んだことから、ほとんどの期で着実に増益を実現してきました。最終年度の2022年3月期では、中期経営計画の売上高350億円の計画に対して、313億2,900万円と、売上高については未達になりましたが、経常利益は25億円の計画に対して28億1,200万円で、過去最高益を達成しています。この振り返りを踏まえて、2022年5月に公表した2022年度から2024年度までの現中期経営計画の概要を説明します。
・ 前の中期経営計画期間では、各事業での収益基盤の強化やグループ企業間の連携強化など、グループ全体の収益力強化が進んだ反面、2021年3月に連結子会社である旭テックで不適切会計事案が判明するなど、グループガバナンスに課題を残しています。この反省の下、現在の中期経営計画では「Resilience Rasa 2024再生から飛躍へ」をテーマにして、グループガバナンスの確立を最重要課題と位置付け、グループガバナンスの再構築から再生を始動させ、社会インフラを支える付加価値創出企業としての新たな飛躍を目指すこととしました。
・ 現在の中期経営計画では、当社の企業理念である「世界に通用する一流技術商品と有用な価値ある資源を国内外に販売し、豊かな社会に貢献する」にあらためて立ち返り、持続可能な社会の実現への寄与と、グループ全体の持続的な成長を同時に目指すべく、10年後の目指す姿、長期ビジョンを「専門商社の枠組みを超えて、社会のインフラを支える付加価値創出企業へ」としました。
・ 2022年度から2024年度までの3カ年の中期経営計画では、「再生から飛躍へ」をテーマに、グループガバナンスの再構築を通じて、ラサ商事グループとしての再生を図り、社会インフラを支える付加価値創出企業としての新たな飛躍を目指しています。目指す姿を達成するために、中期経営計画では四つの重点施策を掲げています。
重点施策1「グループガバナンスの確立」では、子会社の旭テックにて新基幹システムおよび新人事制度の運用を開始し、教育体制の構築、業務フローおよび承認体制の再構築により、内部統制の強化を進めています。また、イズミでは、この4月にラサ商事に吸収合併したことにより、コンプライアンスリスクの管理をより強化しています。
重点施策2「グループ連携強化によるシナジーの追求」では、グループ内人事による連携強化、グループ間での講習の実施、管理職同士の交流を図り連携を強化するとともに、ラサ商事が受注した案件に関して、旭テックが配管や施工管理を実施するなど、シナジー効果が生まれてきています。
重点施策4「事業を通じたサステナビリティへの取り組み」では、環境面でCO2フリーの電力への変更、人材面で女性の積極採用、また登用に向けたホームページの刷新、従業員エンゲージメント調査の実施などにより、取り組みを進めています。
・ 重点施策3は「既存事業の収益基盤強化と新規事業機会の獲得」です。既存事業の収益基盤強化は、産機・建機関連事業での主力ポンプの効率改善に向け、メーカーと共に開発改良を進めています。また、食品業界団体に加盟し、内容物を壊さずに運ぶソフトポンピング技術を有したポンプの拡販により、食品業界の開拓を進めています。新規事業機会の獲得では、社会・環境課題解決に対応した取り組みを中心に展開しており、下水道BCPにおいては、公益社団法人日本下水道新技術機構との共同研究で開発した下水処理施設向けの耐水型汚泥ポンプの販売を開始しています。また、津波、高潮、豪雨等の自然災害対策として、多目的で移動可能なポンプ、SUPER BETSYが評価されており、全国自治体への導入を拡大しています。さらに、災害停電時でもマンホールポンプが稼働するための起動支援、バイオマス設備によるクリーンエネルギーへの貢献にも取り組んでいます。
・ 次に、現中期経営計画の経営目標と経営指標について説明します。現中期経営計画の最終年度である2024年度の利益目標は、21年度実績を下回る計画としています。これは、ウクライナ情勢の当社事業への影響が懸念される中、プラント設備・工事関連において、組織整備、ガバナンス確立のための人材やシステムなどへの投資を計画したことに加え、建設資材の高騰、資材不足による工期の延期などが少なからず業績に影響することが見込まれるために、このような目標としています。経営指標は、前中期計画の目標数値を据え置いています。資本の効率的な活用、本業収益力強化、財務の健全性確保の観点から、ROEは9パーセント以上、売上高営業利益率は6パーセント以上、自己資本比率は50パーセント以上の継続を目標としています。これらの指標は最低限達成すべきレベルと考えており、さらなる上を目指して取り組んでいます。
・ 現中期経営計画の投資方針は、今後も財務の健全性を意識した経営を進めてまいります。M&Aについても、これまで同様、当社グループの企業価値向上に資する案件であれば、機動的に対処していく考えです。設備投資は、将来を見据えた能力増強、業務効率化に資するものは継続して実施していくつもりです。
配当方針については、株主さまへの長期的な利益還元を重要な経営指標の一つと考えており、安定配当を基本としつつ、2023年3月期から配当性向を従来の30パーセント前後から40パーセント前後へ引き上げています。
5.配当、株価など
・ 当社の配当方針は、まずは安定配当を行うこと、そして配当性向40パーセント前後を維持することの2点です。今期の配当は、現時点においては前期と同様の年間68円配当、配当性向は39.3パーセントを予想しています。
・ これまでの配当実績は、2006年の上場以来、安定配当を継続しており、2012年3月期からの5年間は、年間配当15円、配当性向20パーセント前後で推移していましたが、2017年3月期からは配当性向25パーセント前後に、2020年3月期からはそれを30パーセント前後に、そして23年3月期からは配当性向40パーセント前後へ引き上げる方針としています。その結果、2017年3月期以来、基本体には増配基調を維持しています。これからも、株主価値の極大化に努め、業績の拡大を通じて増配や配当性向の引き上げが実現できるよう取り組んでいきます。
・ 最後に、当社の株価の状況をお伝えします。当社の株価は昨日の終値で1,350円です。昨日の終値ベースでの予想配当利回りは5.04パーセント、PBRは0.70倍、PERは7.79倍となっています。
6.質疑応答
Q1.会社名ラサ商事の由来や意味について、あらためて教えていただけますか。
A1.ラサ商事は、もともとラサ工業の子会社として分離独立したものです。ラサ工業のラサは、ラサ島という島の名前で、正式には沖大東島です。この島でリン鉱石を採掘していたのがラサ工業で、社名はそのラサ島のラサを取ってラサ商事になっています。
Q2.御社は独立系専門技術商社とのことですが、御社が持つ専門性や技術力といった点から、詳しく教えてください。
A2.産機・建機関連、環境設備関連の仕事などが、技術商社といわれる一番のゆえんになっています。当社が扱っている機械や産機・建機関連は、特殊なものがほとんどであるために、導入のお手伝い、納入後の運転のお手伝い、そしてメンテナンスのお手伝い、その辺のサービスを的確にすることにより、お客さまの円滑な機械の使用が可能になっています。また、部品の供給と取り換えを含めたメンテナンスが非常に重要で、営業マンにその技術を習得させる必要があり、技術習得に対する教育が、当社の一番肝心な部分になっています。
Q3.御社がニッチ市場でトップシェア商品を複数持っている要因を教えてください。
A3.会社として事業を継続してきたところが、結果としてニッチの分野であり、その中での競争でトップシェアを取ることで、長年のお客さまとの関係も築けており、それが当社の原動力になっています。
Q4.御社の顧客はどのような業種、分野の企業が多いですか。
A4.例えば、主力商品のジルコンサンドは、半導体の研磨業界が最も大きいユーザーで、衛生陶器などの色を出しているセラミックの釉薬のメーカーなども顧客です。また、鋳物業界、耐火物業界のメーカーも顧客になっています。産業用ポンプでは、一番の主力ポンプは鉱山向けに開発されたポンプですが、日本の市場で当社とメーカーとで使用分野の拡大を進めてきて、現在では化学業界、製鉄業界、発電業界など、日本のあらゆるお客さまに納入しています。
Q5.御社はM&Aによって新規事業に進出していますが、今後の事業領域拡大の方針を教えてください。今後もM&Aを積極的に活用する方針ですか。
A5.日本では人口が減っていきます。こうした状況で会社の発展を考えると、常に新しい分野、新しい顧客、新しい商品に取り組んでいくことが必要で、それにはM&Aが必要だと思っています。これからもチャンスがあれば、常にM&Aは考えていきたく、そのアンテナは張り巡らせていくつもりです。当社の財務体質を考えると、当社に見合った規模になると思いますが、M&Aができるだけの体力は常に確保しているつもりであり、これからも財務体質の健全化を図っていきたいと考えています。
Q6.重視している経営指標、財務指標はありますか。
A6.基本的には自己資本比率、ROEなどは常に頭に置いています。このところ自己資本比率は上がってきており、これからもこの方針を続けていき、新たな投資やM&Aに常に対応できる体制を築いていきたいと考えています。
Q7.その指標を重視する理由として、どのようなことがありますか。
A7.機動的に投資やM&Aに動けるだけの余力を常に持っていないと、会社としての発展はないと思います。そのようなことで発展していくことが必要と考えています。
Q8.御社の利益率が商社としては高い水準になっています。その要因はどこにありますか。
A8.商品によっても違いますが、資源などでは波があり、当社が扱っているジルコンサンドは、中国が世界で最も使用量が多い国で、ここの景気が世界の需要や価格に影響しています。現在の中国の景気によって、利益率が従来と比べて少なくなっていますが、一方機械関係では、部品供給からメンテナンスまで含めて一貫してサービスをしており、付加価値を付けてお客さまに提供できることから、商社としては高い利益率が確保できていると考えています。
Q9.連結ROEが9.6パーセントである一方で、連結PBRが1倍に届いていない現状をどのように捉えていますか。PBR改善に向けて、御社はどのように対応する計画ですか。
A9.企業価値を高める意味でも、PBRを意識した経営は考えていかないといけません。自己株買いなども含めて、株価の上昇を意識しています。最も肝心なものは業績だと思います。業績を意識しながら、その上で自己株買いも含めて、PBRの向上にはこれからもいろいろ工夫して、施策を取っていきたいと考えています。 以上
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