ホーチキ株式会社(6745)
開催日:2024年12月9日(月)
場 所:ホテルメトロポリタン仙台 3階 『曙の間』(宮城県仙台市青葉区)
説明者:代表取締役 社長執行役員 細井 元 氏
1.基本情報・事業概要
・ 当社は1918年(大正7年)に設立し、今年で創立106年を迎えます。従業員数は単体で1500名、連結で2300名です。東京証券取引市場プライム市場に上場しています。
・ イメージ的には国内オンリーの事業会社と見られる節もあるかもしれませんが、製品の納入実績は世界129カ国と広範囲にわたって事業を展開しています。
・ 拠点数は国内で42拠点、海外で17拠点。海外におきましてはアメリカ、イギリス、シンガポール、オーストラリアを中心に海外子会社9社を有しています。海外に現地工場として3工場あり、海外販売子会社と合わせてグローバルベースに事業展開をしています。
創業の原点
・ 大正7年当時の日本は近代化への整備を急速に進めていた時代でした。都市における火災防災面でのインフラ整備は大きな社会課題と受け止められていました。そこで当時、まだ警察行政と消防行政の両方を担当していた警視庁が、首都である東京に国産の火災報知設備の設置を計画しました。その要請を受け、当時の損害保険会社13社と生命保険会社3社の共同出資のもとに東京報知機株式会社(現ホーチキ株式会社)が設立され、日本初となる火災報知機の開発に成功したというのが当社の原点です。
・ 1920年に日本で最初の火災報知機を東京日本橋に設置。その後、皇居、国会議事堂など国の主要な建物への火災報知機の設置を次々と手がけていきました。日本の近代化に向けて大きな貢献を果たしたという意味で、当社は日本の火災防災設備のパイオニアであろうという自負を持っています。
セグメント別事業概要
・ 社名のとおり、メインの火災報知設備を中心に四つのセグメントで事業を展開しています。全体の62%を占めるのは主力の火災報知設備です。このうち、約3分の1は海外への機器販売の売り上げとなります。消防防災設備の保守点検、整備工事を行う保守セグメントが20.6%。続いて、スプリンクラーや放水銃システム等の消火設備が10.8%。オフィスの入退室管理や鍵管理、電気錠システムなどの防犯設備が6.6%という構成です。
・ 国内の同業他社と比較して、海外事業のウエートが高いというのが当社の特徴だろうと思います。当社は海外事業を成長戦略の柱と位置付けており、その事業規模はこの3年間においては売上高ベースで1.8倍に増加しています。海外売上高比率も連結ベースで20%を超えるところまでまいりました。
・ 国内の火災報知機設備メーカーの中では唯一、防犯設備の事業展開をしています。防犯設備は火災防災部門と親和性の高い領域と位置付け、社会的なセキュリティニーズの高まりと合わせて今後も市場の拡大が期待される分野と見ています。
火災防災設備の機能と役割
・ 当社の製品は建物に付随して設置されるという特徴があります。オフィスやショッピングセンターなど、さまざまな建物に当社製品またはシステムが導入されています。
・ 主要の製品である火災報知設備ですが、まず各エリアに設置されている感知器が煙や熱または炎を感知します。火災を発見し、発信機を押すことによって防災センター等に設置されている受信機が火災信号を受信します。火災信号の受信後はさまざまな警報、移報信号を出力して、施設の管理者または警備員に火災の発生を知らせると共に防火扉や防火シャッターを起動させます。施設の管理者または警備員は、受信機の表示を確認することで火災の発生した場所を正確に把握することができ、初期消火や消防通報または避難誘導などを行って火災の被害を最小限にとどめるために迅速な行動を行います。
・ 消火設備は水・泡・ガスなどを利用して初期消火を行うことを目的としています。スプリンクラー設備は火災が発生すると自動的にスプリンクラーヘッドから放水がされます。放水銃システムもスプリンクラーと同様に放水するシステムですが、放水銃は大規模な建築物、ドーム球場などの高い天井空間といった建物に適しているという特徴があります。
・ これらの設備について、研究開発、製造から販売、設計・施工、メンテナンス、リニューアルに至るまで、一貫した火災防災のソリューションを提供しています。
国内事業の環境
・ この事業の特性は、消防法という厳格な法令の中で製品性能、設置基準、設置後の点検が義務づけられているという点にあると思います。一定の規模または用途の建物が建設される場合、法令によって定められた基準を満たす防災設備の設置や点検が必要となります。この厳格な法規制の中で需要が創出されてくるというのが、当社の事業の安定性・持続性につながっています。海外の企業が参入することが難しい障壁になっている要因も、厳しい法規制にあるかと考えています。
・ 市場動向を見ますと、私どもの営業対象となる防火対象物の物件数は年々累積で増加しています。その中でも建物用途で複合用途と分類される、オフィスやホテルまたはショッピングセンターが複合的に組み合わさったような大型の再開発案件といわれる防火対象物が、いま東京を筆頭に地方の大都市でも計画が目白押しという状況です。
・ 当社は複合施設を含む大規模物件を得意としています。業界の中では大規模向けの受信機のタイプを「R型」「GR型」と言いますが、大型物件向けの受信機検定台数が大きく上昇しています。建設業界は24年問題と言われる残業上限規制対応、構造的な人手不足といった問題を抱えていますが、国内の建設需要においては当面の間、事業環境は堅調に推移するだろうと考えています。
国内事業のビジネスソリューション
・ 国内のビジネスは工事付・保守・機器販売という三つのタイプに分かれています。国内売り上げ全体の52%を占めているのが工事付のビジネス。次いで保守・点検整備工事が26.9%、機器販売が21.1%という構成になっています。メーカーでありながら設置工事や、その後の保守サービスまで一貫したソリューションを提供しているところが当社ビジネスモデルの特徴となります。
・ 私どもでは建物の建築計画段階から、設置工事、その後の保守サービスまで、建物のライフサイクルに沿ったソリューションを一貫して提供しています。
・ 初めに、建物の建築計画段階から火災防災システムの設計提案を行います。新築工事においては火災報知設備の設置工事を受諾してシステムを導入します。システム導入後は法令で求められる点検契約をお客さまとの間に締結し、設備保全のために必要な整備工事を継続的に実施します。火災報知設備の全面設備更新時期は設置後15年から20年と言われていますので、そのタイミングで全面設備のリニューアルを実施し、引き続き点検・整備対応を行います。
・ 鉄筋コンクリートの建物の寿命はメンテナンス次第では100年とも言われています。システム導入後、多いものでは2サイクルから3サイクルと、点検・リニューアル、また点検というストックビジネスのサイクルを継続することになります。私どもはメーカーでありながら直接工事部隊や保守点検・整備部隊を有していることで、建物のライフサイクルに沿った長期のリレーションをお客さまとの間に構築できる、そのモデルを有するところが強みだろうと考えています。
国内事業の主な商流
・ 新築工事においては、施主、建築主であるオーナーさまから設計事務所、ゼネコン、サブコンを通した商流で受諾するのが通例です。保守やリニューアル工事では建築主または管理会社から直接発注というのが主流になります。私どもは全国に代理店・販売網を構築しており、機器販売については代理店・販売店を通して機器のみを卸し、取り付け工事自体は代理店・販売店が同様の商流で行います。
・ 直接工事を請け負う市場と代理店網でカバーする市場をすみ分けることによって、全国の市場シェアを高める網羅性の高い販売体制を構築しています。国内事業においては商流の各パートさまとの良好なビジネス関係を構築することが大切で、事業の競争力を高める重要なポイントと位置付けています。
国内事業における当社の強みとシェア
・ 強みの1点目は、研究開発、製造から販売、設計・施工、メンテナンス、リニューアルに至るまで一貫した火災防災ソリューションを提供していること。2点目は、日本初の火災報知機を設置以来、長年の間、国の主要な建物に当社製品を導入した経験による豊富なナレッジ。3点目は、自社で育成した施工・保守担当者による現場での多様な要望に応えるエンジニアリング力。この三つであると考えています。これらの強みをお客さまから評価いただくことで、システムが複雑かつ大型化する大規模物件の市場において業界シェアナンバーワンを獲得できていると認識しています。
・ 昨年、大規模市場向けの対応型受信機システムをフルモデルチェンジしました。お客さまから高い評価を頂いておりますので、引き続き変化の激しい技術革新・社会ニーズに迅速に対応することで、火災防災分野におけるリーディングカンパニーを目指していきたいと考えています。
海外事業の環境
・ 海外においても、火災報知設備の製品には、日本と同様、各国で定める法律・規格が存在するという事業特性があります。欧州ではEN規格、米国ではUL規格、豪州ではAS規格があります。海外でグローバルに事業展開をするためには、この主要規格とそこから派生する各国特有のレギュレーションに適正に対応する必要があります。その規格や基準は、複雑・多様化する火災災害の発生によって断続的に改正されますので、われわれ火災防災メーカーとしましてはそれにタイムリーに対応できる高い技術力や開発力が求められ、その対応力が事業の競争力に直接影響を及ぼします。
・ 市場動向としましては、世界的な火災報知設備のマーケットは新興国を中心に今後もオーガニックな成長が見込まれています。当社の方針としても、海外における事業特性に適正に対応すべく事業投資を積極的に行い、引き続き海外事業の拡大を目指します。
海外事業のビジネスソリューション・商流
・ 国内事業と海外事業の一番の違いは何か。海外事業は販売店や施工店に対する百パーセントの機器販売に特化した事業ですので、国内のように工事付やメンテナンスは展開していません。海外におけるビジネス領域は129カ国と広範囲に及びます。メーカーとして主要規格のみならず、国、地域が定める独自の規格認証取得を推進していくことで機器販売のシェアを広げる施策に優先的に取り組んでいます。
・ 私どもは従来、日本で開発したセンサー、デバイスのみを単品で海外の消費者向けに販売するということを主流としてきました。しかし、2012年に受信機メーカーであるケンテック社を買収した以降、受信機とセンサー、デバイスをシステムパッケージにして、建物案件ごとにホーチキブランドで販売できるという形にビジネスモデルをシフトさせました。将来的に火災報知設備の周辺領域である非常放送設備までシステム領域を広げていくという考え方で、2027年にはこれを市場投入すべく、今その準備を進めているところです。
・ 機器の単品販売のモデルからシステム領域を拡張していく動きに合わせて、近年では、メーカー選定においても強い権限を持つ施主ビルオーナーや設計会社、電気設備工事会社などの川上営業への取り組み強化を進めています。その結果として、市場の中で小規模物件の市場から中大規模物件の市場へ進出することが可能になりました。事業をさらに成長させるための販売体制の土台ができつつあります。これらの取り組みを進めまして海外事業は大きく伸長してきていますが、まだ20%を超えたボリュームですので、今後は事業投資を加速して事業の成長を狙っていきたいと考えています。
海外事業における当社の強み
・ 当社の強みは主に3点あります。一つ目はブランド力です。当社は海外の競合企業と比較しても高度なセンシング機能を持つメーカーとして認知されています。海外競合と比較して企業規模の小さい日本のメーカーが海外市場で戦っていく競争力は、信頼性の高い火災のセンシング機能にあると考えています。1987年、ロンドンの地下鉄のキングスクロス駅で大火災が発生しました。当時、当社製品の高い品質が評価されてロンドン地下鉄に採用されていましたが、現在もロンドンの地下鉄駅舎では高いシェアを有しています。これは当社の高いセンシング技術への評価を証明している事例であり、世界でホーチキといえば高品質センサーメーカーであると認知されています。
・ 二つ目は世界の主要規格に適応したグローバル生産体制を構築している点です。欧州規格と米州規格の各認証機関が所在する欧州と米国にそれぞれ開発・製造拠点を持っていまして、このことによって各地域の需要に応じた製品をタイムリーに生産・供給することが可能となっています。
・ 三つ目は国内事業で培った手厚いテクニカルサポートによる他社との差別化です。海外の競合他社と比較して、日本企業ならではの手厚い顧客サポートを行うことで、お客さまとの接点の量と質を強化し、当社の知名度の向上と顧客の信頼関係を構築するという取り組みを行っています。海外の中で、これは差別化要素として高く評価されています。
連結売上高・営業利益の推移
・ 当社は前期まで3期連続で過去最高の売上高と利益を更新しています。内訳を見ると、特に国内のストックが大幅に伸び、対前期比でプラス11.7%です。これは国内のリニューアルまたはメンテナンスの事業です。海外も前々期から前期は15.6%と大きくジャンプアップしました。利益も前期は31.9%増となり、大幅に積み上げることができています。利益率についても7.9%と1.4ポイントの向上を示しています。
・ 事業環境の今後の見通しです。国内においては24年問題と言われている残業上限規制対応、建築業における慢性的な人手不足によって、再開発案件の計画の一部見直しが生じていますが、首都圏を中心とした再開発計画の需要は旺盛で、当面は安定した市場環境が望めると考えています。海外においても市場のオーガニックな成長が期待されていますので、こちらも積極的な事業投資の実行により今後さらに事業を拡大させていきたいと考えています。
2.中長期経営ビジョンGLOBAL VISION 2030
・ 当社グループの中長期経営ビジョンGLOBAL VISION 2030は、2030年度までの7年間をターゲットにしており、フェーズ1とフェーズ2の2段階構成となっています。
・ フェーズ1は26年度までの3年間で、今後の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に必要な構造改革を実行するステージと位置付けています。フェーズ2は、フェーズ1で行った構造改革によって新しい付加価値を創出するということで、New Valueと位置付けています。重点方針として、事業ポートフォリオの最適化による資本収益性の向上、人的資本経営の推進、DXによるイノベーションの推進の三つを掲げています。
・ 経営目標としては、26年度に売上高1,000億、営業利益率8.2%、ROEは10.0%以上、ROICは9.0%以上を目指していきたいと考えています。
・ フェーズ2の目標として、売上高はさらなる持続的な成長維持を目指します。収益性指標である営業利益率、ROE、ROICはそれぞれを10.0%以上とする目標設定をしています。
投資とキャッシュアロケーション
・ GLOBAL VISIONのフェーズ1である最初の3年間の投資とキャッシュアロケーションについて説明します。営業キャッシュフローは今年から始まる3年間で累計330億円を計画しています。利益の増加に加えて運転資本の効率性改善によって投資や株主還元に向けた原資を確実に創出していきます。投資は225億円を計画しています。通常の設備投資で50億円。将来に向けた事業拡大に備えた生産能力増強・生産合理化推進投資で115億円。DX等々を含めた事業領域の拡張として60億円を計画しています。
・ 株主還元につきましては、中長期視点での持続的な成長に必要な投資を確実に実行した上で、配当性向やDOE等の指標を勘案しながら累進的な配当を維持する考えを基本の方針としています。
・ 今後の利益創出や資本収益性改善を実現することによって生まれる投資余力は、投資機会と事業環境を総合的に勘案し、株主の皆さまへの追加還元に向けても柔軟で戦略的な資金配分を実行していきたいと考えています。
2025年3月期業績の進捗および予想
・ 上期の実績として売上高、利益とも前年を大きく上回る結果となりました。通期の見通しについては、市場関係は中間期から大きな変化がなく堅調に推移すると見ていますが、通期の業績はいくつかの理由によって現時点ではまだ不確定要素があると考えています。その内容が明らかになった段階で改めて皆さまにお知らせしたいと考えています。
配当方針
・ 本年度の配当は、現時点では期初予想である前期同様の58円を予定しています。配当につきましては今期の業績予想を見極めながら、配当方針にのっとって株主の皆さまへの累進的な利益還元を検討していきたいと考えています。
3.当地での取り組み
・ 当社は宮城県に複数の拠点を有しています。仙台市には営業拠点の一つである東北支社があります。角田市には国内生産拠点の核となる宮城工場と総合防災実験場があります。
・ 宮城工場では自動化設備を導入して効率的な生産を行っています。また、環境にも配慮して、太陽光発電、風力発電が工場で使用する電力の一部をまかなうサステイナブルな事業活動を行っています。
・ 総合防災実験場は長さが120mと世界最大規模を誇ります。ここでは当社が世界で初めて開発した放水銃システムの実証実験も行っています。ドーム球場やイベント施設など大型の空間建築物を火災から守る消火設備として、ここで最終試験したものが全国に導入されています。放水銃のシステムとして、国内においては東京ドームを中心に私どもは約8割のシェアを誇っています。
地域との共生の取り組み
・ 当社とご縁の深い宮城県角田市とは今年、地域防災推進の観点から「災害時における指定緊急避難場所の利用に関する協定」を締結しました。2019年に発生した台風19号が、角田市をはじめさまざまな地域で甚大な被害を発生させたことは記憶に新しいと思います。私ども宮城事業所ではその教訓を踏まえ、事業所敷地内、周辺に防水壁を設置しています。この協定は、水害発生時における地域の方々の車両避難先として宮城事業所の敷地をご利用いただくというものです。私どもは火災防災設備の提供だけではなく、安心して暮らしていけるように、これからも皆さまの生活に寄り添った事業活動を行っていきたいと考えています。
4.まとめ
@ ホーチキは、火災防災を通じて、建物内の安全・安心に貢献する各種製品とサービスをトータルで提供します。
A 国内事業では、新築から保守、リニューアルまで建物のライフサイクルに沿ったサービスを一貫して提供することで、お客さまとのリレーションを長期にわたり構築していきます。
B 海外事業は成長余地が大きいので、投資を加速することで事業規模を拡大し、グローバル企業としての地位の確立を目指します。
5.質疑応答
Q1.意識している同業他社と比べての優位性を教えてください。
A1.国内においては能美防災株式会社が業界ナンバーワンです。当社の優位性として、一つは海外のウエートが大きいというところがあります。海外の事業成長性から考えますと、今後、火災報知設備の分野では、能美防災株式会社と真正面から勝負をして市場シェアをグローバルベースで高めていけると考えています。
Q2.株主優待、配当について教えてください。
A2.配当性向の目標値をきちんとお示しできていないという認識は強く持っています。今後、数年間は事業投資を積極的に行っていきますが、創出するキャッシュもまず成長のための投資に充てさせていただきたい、それとバランスをとった中で配当を考えさせていただきたいと考え、今は25%相当の配当をご案内しています。
株主優待につきましても、特に個人投資家向けの方々に対して有望な選択肢、施策であると考えていますので、今後の検討課題として社内で検討しているところです。
Q3.今後の海外戦略、事業拡大についての考えをお聞かせください。
A3.海外事業の拡大については、製品のシステム領域を拡張していくことだと考えています。自社の開発力を強化して製品拡張も目指しますが、あらゆる海外のパートナー企業とアライアンスをもって当社ブランドのシステム領域を拡張し、小規模市場から中大規模市場の建物へ進出することで事業を拡大していきたいと考えています。
Q4.成長のカギを握る優秀な人材をどのような方法で確保あるいは育成していきますか。
A4.人材につきましては、重点方針の2番目で人的資本経営を推進するとうたっています。特に優秀な人材の確保につきましては、社内での育成のみならず、外部から優秀な人材を登用することを考えています。そのためには魅力ある人事諸制度、報酬制度がなければいけないという観点から、来年4月から新しい人事制度を導入し、優秀な人材に参画していただけるような制度づくりを進めていきます。
育成につきましては、教育あるいは会社の意思を持った人材育成カリキュラムが必要だろうということで、2024年から全社ベースで人材育成センターを立ち上げました。この中に専任部署を設けて技術、開発、営業、施工にわたるまで必要なスキルを積んでいただく仕組み、制度をつくっているところです。
Q5.機動的な追加投資・追加還元を検討されているとのことですが、自社株買い等も検討されていますか。
A5.自社株については検討を進めていますが、当社の株式流動性は非常に低いので、市場の中から自社株を取ってしまうと流動性の向上が図れません。そのため、まず自社株を置いておいて株価を上げる、流動性を高めるといった資本政策を含めた取り組みを優先していきたいと考えています。
Q6.国内の火災をゼロにする方策は何かありますか。その対策は考えられますか。
A6.火災による犠牲者をゼロにしたいというのが私どもの思いですが、残念ながら、住宅火災を含めて、火災による死者、被災者の方々はなかなかなくならないのが実態です。そのため従来の消防法の枠を超えた技術革新に挑戦し、DX、AIといったツールを最大限駆使しながら、火災による被災者を少しでもなくしていく取り組みを研究ベースでも進めています。実現するのは難しいというのは十分認識していますが、グループ全体で挑戦しています。
Q7.防犯に対するビジネスの多様化にはどの程度進出する予定ですか。
A7.防犯セキュリティ市場の裾野は非常に広くて、私どもがいま展開しているメインは建物の入退室を管理するシステムです。この市場は年々増加しており、今後はこの市場だけでも大きな成長が見込まれています。技術的にも、カードリーダーで読み取る入退室管理の方法から、今は顔認証、生体認証のほうへ移行してきていますので、まず入退室管理の市場の中で確固たるポジションを得ることを第一の目標にして進めていきたいと考えています。
Q8.現状の株価について会社はどのように考えていますか。
A8.株価につきましては、PBRでも足元で約1.1倍、PERにおいては10倍台となりますので、かなり割安です。これは、当社が皆さま方に対して、将来成長できるための事業戦略、それを実行するための事業投資を定量・定性的にご説明しきれていないことが理由だろうと考えています。そこで、いま東証からも要請を受けている資本コストと株価を意識した経営を実現していく取り組みを急ピッチで進めています。その中で皆さまに当社の戦略を広く理解していただきながら株価向上に結びつけていきたいと考えています。
Q9.宮城工場では主にどのような製品を生産していますか。また年間で何個ぐらいの感知器を生産していますか。
A9.宮城工場は感知器とその周辺デバイスの量産工場です。感知器ベースでいうと、現在、世界で年間400万個ほど生産しており、そのうち280万個が宮城工場で生産しています。アメリカとイギリスに海外工場がありますが、宮城工場は海外工場のマザー工場としての位置付けで、基幹工場となって全体の生産管理をコントロールする仕組みになっています。
以上
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