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フィンテック グローバル株式会社(8789)

開催日:2024年12月7日(土)

場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区)

説明者:代表取締役社長  玉井 信光 氏

 

  1. 事業概要

・ まず事業概要をご説明させていただきます。当社が行う投資銀行業務については、ゴールドマンサックスや、廃業したリーマンブラザーズなどは、お聞きになったことがあるかと思いますが、簡単に言うと、3番目の金融機関というイメージです。

銀行は預金をお預かりし、それを融資の形で市中に融通していく仕事。証券会社は、株式を引き受け、それを投資家に繋ぎ、資本を調達する仕事です。

投資銀行は、例えばものすごく面白いプロジェクトがある。企業や地域がそのプロジェクトに対してお金を調達したい。プロジェクトがあまりにも大きくリスクが高いので、自分たち1社では嫌だとか、専門的なパートナーや投資家がいないかとか、地域金融機関を交えたいなど、ちょっと複雑な話がある場合、これをこなしていく。これをプロジェクトファイナンスと言います。

その他でも、不動産市況がいいので本社ビルを売却して、資金化して新しい工場を作りたいというケースがありますが、売りたくない場合は、信託受益権化し、証券化して売るケースがありますこれを不動産の流動化といいますが、このように新しい資金調達方法を供給するのが、我々投資銀行の役割です。

私どもには3つの業務体制があります。祖業は「投資銀行業務」。これは前述の通り、ちょっと複雑なファイナンスが必要な時に、アレンジャーの形で自分たちが中心になり、投資家や銀行を差配してお金を調達します。これが中核です。それに伴う「投資業務」は、自分たちが資金を出していく業務。併せて外部の投資家からお金をお預かりしてプロジェクト等に投下していくのが「投資運用業務」です。

この3つの体制で、市中や地方の困っているプロジェクトやファイナンスが必要とされてるニーズに対して資金を供給する。これが我々がやっている仕事です。

・ 沿革について。1994年に私どもは会社を作り、最初はアレンジャーの形で投資銀行業務をスタートしました。その後、上場し、資金力がついてきたので、自分たちが組成したプロジェクトやプロダクトに対してお金を投資する投資業務も開始しました。

そして、リーマンショックでは、私どもも非常に大きな痛手を受けました。しかし、それなりになんとか生き残ることができた。と同時に、我々の投資銀行業務は果たして東京だけでいいのか。地方にも重要なお客様がいるのではないかと考え、自治体をクライアントとしたコンサルティング業務を開始。これが公共コンサルティング事業です。

その後、自分たちの資金だけでなく、広く市場からお金をお預かりするために開始したのが投資運用業務です。最初は不動産を対象とし、次に有価証券、航空ビジネスがスタート。そして今、2020年前後ぐらいから私どもに対するお問い合わせやご相談が多いのが、今いい意味でも悪い意味でも非常に問題になっている事業承継です。このような流れで当社のビジネスは進んできています。

一方、ムーミンバレーパーク等のエンタメ事業について。当社は、本業としてムーミンバレーパークを運営しているわけではありません。埼玉県飯能市の地域課題としての要請が発端です。地元の有力な企業や鉄道会社、金融機関と一緒になってムーミンバレーパークを構築・運営するプロジェクトを2019年にスタートしています。

私どもが中心になりこの事業を推進したので、会計的には連結ですが、あくまでも我々にとっては投資先。資金が必要なので我々が出たという流れです。

・ 私どものグループ会社構成について。投資銀行事業は本業なので、ほとんど100%の支配下です。公共コンサルティング事業も、私どもが投資銀行事業を地方に展開するためのインフラとして位置付けています。そのため100%近い支配権を持って進めています。

一方、エンタテインメント・サービス事業は、会計的には連結ですが、あくまで投資事業として考えています。そのため別のものだとご理解いただければと思います。

 

2. 業績・投資銀行事業

・ 業績は、売上よりも連結営業利益に注目してください。終わったばかりの2024年9月期は、営業利益が25億6,900万円。前年が13億4,300万円、前々年が5億8,700万円で、この3〜4年は順調に伸びています。

それ以前のマイナスについて。これはムーミンバレーパークが原因です。売上高をみると、2019年9月期にエンタメ事業で54億円ほどの売上が立っています。これはムーミンバレーパークのオープンによって生まれた売上高です。しかしその後、2022年にかけコロナ禍がありました。これにより、売上高が大きく伸びなかったと同時に、休園日も多かったので、マイナスが大きく出ました。その結果、最終的な連結営業利益は、2019年9月期はマイナスの16億6,400万円、2020年は同じく9億9,200万円。マイナスの結果が大きくなったのは、ムーミンバレーパークのコロナ禍のダメージです。

ムーミンバレーパークは、私どもにとっては単なる投資先のプロジェクトですが、地域にとってはものすごい大事なプロジェクト。消滅可能性都市であった飯能市が人口増加に転じることができました。したがって、何があっても潰すわけにはいきません。当社も株主及び地元の金融機関も必死でこれを守りました。

金融機関が支援できることには限界があります。リスクマネーを追加で引き受けたり、追加で資金を出すのは難しい。そこを我々が代わりに資金をどんどん投下しました。

株式会社ムーミン物語はムーミンバレーパークの事業主体ですが、今の持ち分は84%でスタートした時は50%弱。持ち分が増えたのは、苦しい段階でかなり資金を追加で投入したからです。

その結果、業績の推移でみると、投資銀行事業も2019〜2021年はすごく落ち込んでいます。これは、本来投資銀行事業に回すべき資金が使えずに、ムーミンバレーパークの救援に回ってしまったからです。負のスパイラルに入ったのが2019〜20年です。

ところが、最近、ムーミンバレーパークで徐々にいろいろな施策を打つことにより、少しずつ回復してきました。そのため、ムーミンバレーパークにお金が出て行かなくなった。特にここ2〜3年の投資銀行事業では、米屋に米がなかった状態から、水を得た魚のように前向きな資金がどんどん使えるようになり、業績が伸びている。このように理解していただけると当社のことをよくわかっていただけると思います。

・ 特にこの2年ぐらいは事業承継のニーズがとてもあります。我々は事業承継の仲介者として入るのではありません。自分たちが買い手になり、事業承継先から株式を買い取っています。そのためにはお金が必要です。我々の自己資金で投資事業としてお金を出しますし、併せて株式を買収する時には、1件ごとにファンドを作っています。それがプライベートエクイティ(PE)ファンドです。

事業承継向けのPEファンド組成額の推移を見ると、初めて行ったのが2020年9月期では19億6,500万円。それが2024年9月期では395億7,000万円まで伸びています。

・ 事業承継案件の地域分布をみると、1件あたりの規模が大きいため、東京の案件が434億円で一番大きい。しかし、近畿地方99億円、東北地方84億円、九州35億円で、それなりに全国に散らばっています。現在も中部地方や中国地方、北海道地区で引き合いをいただいています。事業承継の案件・事案は、今後も増えると思います。

・ 投資事業の投資先について。一番肝なのは、プリンシパルインベストメント。出して回収という出入りが激しい。事業承継案件のこれまでの総額・778億8,000万円の投下実績の中で、その何%かは我々のお金を出しています。例えば10億円の買収に当たり、2億円を出す。そういう中で使われているのがプリンシパルインベストメントです。

プリンシパルインベストメントの実績は、9月30日の期末にパシッと切った数字で残りますが、期中では20億円増えたり10億円減るなど、デコボコしている。このように回転していることが、収益の1つの大きな源泉となります。

・ 投資運用事業の預かり資産残高について。投資家からお金をお預かりして資産運用している数字の推移をみると、順調に伸びています。2024年9月期においては1,532億円の預かり資産を運用。そのうち1,207億円は海外の機関投資家がレジデンスの投資を推進し、その受託をさせていただいたことで大きく伸びています。 ただ、これは一段落し始めているので、来年もこのペースで伸びるかどうかは別問題です。とはいえ2,000億円を目指して鋭意努力しています。

 

3. 公共コンサルティング事業

・ 私どものビジネスは東京に集中しているわけではなく、地方に根づいてる。というのも、地銀とうまく提携しているからです。事業承継もそうです。駅前の再開発にお金がないとか、地域にはいろいろな問題があります。そういう部分に対して我々が投資銀行として資金を供給する術をアレンジしているケースがたくさんあります。そのためには、地方自治体とのお付き合いが非常に重要です。

我々はこれをインフラと呼び、ここに資源を集中し展開しています。幸いなことに事業自体が伸び始めています。特に大規模自治体である都道府県や政令指定都市、東京23区の特別区から引き合いや成約があります。コンサルティング事業としても前年度比20〜30%ずつ毎期伸びている状態です。これは非常にありがたい誤算です。

インフラが増えれば、地銀との関係もより強固になり、地元のいろいろな問題解決のお話もやって来る。私どもの収益としては薄いのですが、非常に重要な事業です。

 

4. エンタテインメント・サービス事業

・ 飯能のメッツァというエリアの中に、ムーミンを中心としたテーマパークの「ムーミンバレーパーク」と、「メッツァビレッジ」というレストランやショップなどのゾーンがあります。メッツァビレッジは飯能市とも協約し、無料で遊べる場所も作っています。

この事業はこれからの扱い方により、フィンテックグローバルの営業収益や次のステップに関わるキーポイントとなるものです。

メッツァビレッジは、投資残高で44〜45億円ほどの簿価があります。フィンテックが本体として投資している45億円ですが、ここにメッツァビレッジの建物や土地インフラが入っています。逆に言うと、45億円もの資金が寝ていることになります。

本来、コロナ禍がなければ早急にバリューアップして、証券化していく。そうすれば、利益が出て、キャッシュ化でき、我々の本業である投資銀行事業に回せました。その意味でとても大事なポイントですが、コロナ禍によりバリューアップが遅れ、今はまだ塩付けになっている数字です。もちろん、テナントから賃料をいただき、駐車場からの収益もあるので、全く利益を生んでいないわけではありません。不動産の運用としては悪くない数字が出ていますが、我々は不動産屋ではないので、これを売却して流動化しなければなりません。

一方、ムーミンバレーパークについては、運営会社である株式会社ムーミン物語の84%以上の株を私どもが保有しています。しかし、私どもの簿価としてはゼロです。コロナ禍で非常に運営が悪かった時期があり、私どもが助けています。そのお金は資金を融通した段階で全部損失処理し、引き当てを当てています。私どもがムーミンバレーパークに注いだコロナ禍における支援資金は、簿価としても全部ゼロで、損切処理しています。したがってムーミンバレーパークが復活し、イグジットすれば、我々はここでも資金回収ができ、収益計上もできます。その意味で我々の本業にとって大事なものであることをご理解ください。

・ 来園者数が、開園初年度は118万人でしたが、現状(2024年9月期)では65万人。もう半分近い落ち込みです。ただ、これがやっと徐々に変わってきています。2023年9月期と2024年9月期を見ると、売上高や収益、来園者数共に元に戻ってきており、底を打った状態です。

・ さらに直近の数字を見ると、第1クォーターは10〜12月の秋に当たり、紅葉が綺麗なので、多くの人に来ていただけます。ところが落ち込むが時期が2つあります。第2クォーター(1〜3月)は、寒い寒い冬に当たります。園内の湖の近くはもう寒くて立っていられないぐらいです。それから第4クォーター。こちらは7〜9月の夏に当たり、暑くてなかなか人が来られない。夏と冬をどう越すかが課題です。

ここがうまく回ればプラスになることがわかり、この1〜2年、現場は走り回って対応しています。その結果、来園者数は昨年夏の12万4,000人から今年の夏は16万4,000人と30%増え、売上高も30%近い伸びがありました。

これはいろいろな施策を打ち、勝ちパターンが徐々に出来始めているからです。この次は、秋口が過ぎたお正月から3月。これが次の山ですが、これに対してもいろいろな施策を打ち、おそらく超えてくると思います。

・ 成功のポイントについて。私どもは地方自治体との仲がいいこともあり、いろいろな方たちからご示唆いただきました。その中で「子どもに優しくしろ」「子ども、特に中高生が大人料金とは何事だ」という話がありました。「子どもが呼べる体制を整えないと市や県も応援できないぞ」ぐらいに言われ、NPO法人とのご協力もいただき、「こども応援キャンペーン 1デーパス500円」を作りました。

これによりこの夏休みは、特に中高生が友だちと一緒にたくさん来場しました。同じように冬休みや春休みも経常的にこのアクションをやっていきたいと考えています。

「いいことやると数字に跳ね返る」とすごく思いました。テーマパークは社会的な活動ですから、儲けることばかりやっていてはいけません。今後もこの路線でいきます。これにより、ムーミンバレーパークとメッツァビレッジの価値が上がり流動化できれば、数十億円のキャッシュが私どもの本業に回せる可能性が出てきます。

 

5. 20259月期業績見通し

・ 投資銀行事業では、事業承継が好調の他、いろいろな業務があります。街づくりもあれば、電力事業に対するプロジェクトファイナンスもたくさん来ています。すべての事業分野が上向いている状況の中で、今期は昨年対比の利益ベースで20%ずつ増加し、営業利益は31億円、経常利益30億円、親会社株主に帰属する当期純利益は20億円を予定しています。ムーミン関係のエンタテインメント・サービス事業も、通期黒字化を予想しています。

 

6. ROE株主還元

・ コロナ禍の非常に厳しい時期の利益が出ない時のROEは、意識できないぐらいひどいかった。ただ現状は巡航速度に戻ってきました。そこで、元々持っていたROE目標20% 以上を会社として定めて動いています。

前期は、残念ながら20%を若干割ってしまいましたが、今期の最終利益20億円によりROEは20%超える水準です。今後も20%を目標とします。

・ 今期の配当は、1円50銭増配し、3円の期末配当を予想しています。私どもの基本的な考え方は、最終利益の約30%を配当で還元することを目標としています。ただ、本業の投資銀行事業が非常に好調な場合には、ものすごくお金が必要です。そのため、配当性向30%の水準を出せるかどうかは別問題となります。しかし、気持ちとしては30%をなんとかお出ししたいと考えています。

・ 自己株式の取得について。前期は3回にわたり、延べ約4億5,000万円の自社株買いをしました。今後も機動的に続けていきたいと考えています。

その理由は当社、フィンテックグローバルの株式はちょっと特異な変遷を経ているからです。過去1,500円以上していた株価が、今は大幅に安くなっています。そして、非常に株数が多いのが特徴であり、この状況を改善するには株式自体の体質改善を図らなきゃいけないと経営陣は思っています。具体的な体質改善とは、基本的には安定的な成長をずっと継続することと、成長に見合った配当を伸ばしていくことです。この2つに限る。これしかないと思っています。ただし、それだけで需給が改善するにはちょっと弱いと思います。株価の状況を判断し、私どもの資金ポジションを見ながら、自社株買いを臨機応変に積極的に毎期対応していきたいと思っています。

このように会社の株式の体質改善を図り、株主の皆様のご理解が得やすく、投資がしやすい環境を整えていくことが我々の基本的な考え方です。

 

7. 質疑応答

Q1. 優秀な人材を確保するためには、御社はどのような工夫を考えていますか。また、即戦力として中途採用のケースは多いでしょうか。

A1. まさに人材の確保が、私ども投資銀行にとって生命線です。そして非常に厳しい状況にあります。外資系も日本の金融機関も含め、投資銀行業務に携わっている人間やキャリアを持っている人間は引く手あまた。一人当たりの賃金コストはすごく上がっています。これに対応するように、当社もインセンティブも含め、人材確保のための予算組みを大幅に増額。これがないとなかなか人が集まらないというのが現状です。

それから、私どもは若い会社なので、大規模な都市銀行や証券会社の一部で働くよりも、当社で1〜2年働いた方がはるかに成長します。そして成長している社員を他社に引き抜かれないようにしなければならない。そのために、一人ひとりを大切にし、会社に対する愛社精神を高めていくことを地道に続け、チームワークを醸成している状態です。

したがって、新卒だけでは回りません。中途採用も積極的に行っています。ただ、中途採用の場合は給与がすごく大事です。そこは腹をくくって採用しなければいけない。我々は特別な設備を持ってるわけではありません。人が財産です。人に対する投資はもう際限なく大きくやると決めています。

 

Q2. 中長期の成長においてネックとなり得る事業リスクはなんでしょうか。

A2. 私どもは長期で不動産や債券を保有することは今はやっていません。リーマンショックの前までは、約800億円の運用自己資金があり、長い間のポジションをとってたこともあります。結果、数百億円の損失を出したので、現状は中長期の長いリスクを取ることは原則やっていません。

したがって、事業承継でも、1年から最長1年半ぐらいで回収ができるものをベースに限定しています。大きな長期的なトレンドで、例えば金利や不動産の価格、外交問題や戦争の問題についても、大きな影響を直接受けるポートフォリオは今は持ってないとご理解いただければと思います。

 

Q3. 2024年の御社の株価は堅調だと思います。この良好な株価動向について、どのような点が評価されたと思われますか。

A3. これはもう皆様のおかげもあります。 ただ、当社の株式はちょっと変わっています。収益力や成長力を高くしても、なかなか反応があるようなないような状況で、「反応があってもすぐ下がっちゃう」というご質問もいっぱいいただいています。

これに関しては、需給の問題や特異な性格がある株式だからと思っています。これを順調に普通の株に戻すには、ちゃんと安定的に成長し配当も増額していく。必要であれば自己株を取得するという王道をやるしかないと思います。これを少しずつやり始めた2024年は、その効果が徐々に出て、株価も若干上がってるんだと感じています。

 

Q4. ムーミンバレーパークは自分の周りに行きたいと言ってる方が大勢います。皆さん大人で、もう少し料金が安ければと言っています。ムーミンバレーパークから遠く、交通費もかかるので、なんとかなりませんでしょうか。

A4. とても嬉しい質問です。ありがとうございます。子ども料金を500円に下げたのは夏だけでしたが、中高生の方たちから嬉しいお言葉をたくさんいただきました。そこで、ずっと下げることにし、前売り券(こども前売1デーパス)を1,000円にしています。

1000円に下げた一方で、食事やエネルギーの問題、人件費など、コストが大きく上がりました。そのため、子どもたちの料金を50%下げたと同時に、大人の料金を20%上げてしまいました。すみません。

「高いぞ」という方もいますが、お子さんとご一緒の若いご夫婦からは、「全体でみると安くなったんでありがたい」という声もいただいています。大人料金について、非常に耳の痛いご要望とご指摘ですが、子どもたちを育てる寄付金だと思っていただき、この値段でご容赦願えればと思います。ぜひ来てください。よろしくお願いします。

 

Q5. 可能な範囲で構いませんが、玉井社長の経歴を教えてください。

A5. 僕の経歴は全然シンプルです。自衛隊の基地を拡大するかしないかで騒がれている広島県呉市の出身です。明治大学に入学して上京。18歳からずっと東京にいます。大学卒業後は、オリエントリース、今のオリックスに入り、そこで航空機ファイナンスに携わりました。

航空機ファイナンスは、日本の投資銀行業務(ストラクチャードファイナンス)の多分一番走りです。私はこの会社を作って30年になりますが、30年間ずっとやってきたのは、最初に航空機ファイナンスに関わることができたから。その当時からの友達やライバルたちがずっと同じ業界でいるので、その意味からすると、非常に狭い業界ですが、航空機ファイナンスとの出会いが非常に大きいと思います。

大学卒業後、オリックスに入り、30歳の時にこの会社を作った。経歴書にはそれしか書いていないので、非常にシンプルな男です。

 

Q6. 投資銀行業務について、 各案件はどのように探してこられるものでしょうか。差し支えなければ教えてください。

A6. 実は一番痛い質問です。私ども営業力が非常に弱い。営業で走って案件を取りに行っている人間はあまりいません、作り込んで交渉するという意味からすると、お話は誰かからいただかなきゃいけない。いただいたお話に対して、これはいけるかいけないか、なんとかやろうぜという仕事なんです。

どこから話が来るのかというと、、一番多いのは地銀などの銀行です。銀行からお話をいただき、できるかどうかを自分たちで判断する。できるのなら自分たちもリスクを取れるかどうかを考える。そういう会社なので、自分から取りに行くということはあまりありません。

ただ、一度お取引いただければ、必ずリピートしていただきます。信用を得ることは自信があります。そういう意味からすると、営業能力が低い作り屋ですが、信頼を勝ち取っている商圏はそれなりにあります。

 

Q7. ムーミンバレーパークのチケットを株主優待にしていただきたい。いかがですか。

A7. 最近、値上げしちゃったので、ちょっと大変ですが…。株主様が約3万人いらっしゃいます。3万人に2枚ずつ配れば6万人の増員が図れることは、単純計算でわかります。我々もそこは非常に重要なマーケットであり支援者だと思っているので、継続して今後も考えていきたい。もうしばらくお待ちいただければと思います。

 

Q8. 株式併合のお考えはありませんか。

A8. 株そのものの扱いに関わることなので、決定事項としてなかなか私の口からは申し上げられません。ただ、株式併合は、言葉は悪いですが邪道だと思っています。

私は併合のメリットは、安価な株から脱するためのただの手法であり、そこにある程度のコストをかける必要はないと思っています。私の個人的な発想としては、このまま王道を歩み、株価を順調に上げていくことが全てだと思っています。個人的な考えではありますが、今のところ、併合するつもりはありません。

 

Q9. ムーミンバレーパークについて、屋内型のテーマパークと比べ、どのような点がアピールポイントとなりますか。施設でのイベントもいろいろとあるのでしょうか。

A9. 天気のいい時は外を歩きたいと思いませんか。屋外型で自然が周りにあるのは非常に特殊性もあって、お孫さんと一緒に歩いて回っていただくには非常にいいところです。

ただ、夏になると暑くて、犬を連れて行ったら犬は歩けないです。また冬になると寒くて、我々や我々の親の代の80歳を過ぎると歩けない。こういうことがあるので、体験価値としては特殊ないいものがありますが、年中ずっと来ていただくためには、工夫が必要。もっと言えば室内型に近いものを用意する追加の設備投資も必要だろうと鋭意考えている状態です。

 

Q10. ムーミンバレーパークからの出口戦略はどのようにお考えでしょうか。

A10. ムーミンバレーパークだけじゃなくて、隣の商業施設のメッツァビレッジもエグジットしたいと思います。両方合わせれば、もうこの段階で十分黒字になっています。

これを1つの会社にして株式としてエグジットするのか、あるいは不動産で売却するのか、第三者割り当て増資をし、最終的にIPOを目指すのか。これはまだ流動的です。

ただ、こういう話が今やっとできるようになりました。コロナ禍で、赤字や集客をどうするという状態が3年間ずっと続いていました。今になってようやく、エグジットが図れる可能性があることを検討し始めることができるようになった。エグジットの形はまだ流動的ですが、今申し上げた3つのうちのどれかになるのではないかと思います。

 

Q11. ムーミンバレーパークが5周年を迎え、認知度も徐々に高まっていると思います。リピーターの方はどのようなサービスやアトラクションに関心を持つケースが多いのでしょうか。

A11. この夏に前期比で3万人、来園者が増えたのは、我々が勝ちパターンを得たからだと思っています。それは喜ぶコンテンツを用意しなきゃいけないということです。これは決してモノではなくてソフト。子どもたちが喜ぶことを用意しました。

今現在は「モラン」という雪女を2.5mの動くキャラクターで作りました。夜になるとモランのパレードを開催していて、とても受けています。この寒いのに、来園者の皆さん、7時まで帰らないですよ。人を喜ばせる新たなエンターテインメントをどう用意するかがポイントだと考え、現場は今、それを一生懸命やっています。

以上

 

 

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