株式会社ユー・エス・エス(4732)
開催日:2024年11月30日(土)
場 所:オービック御堂筋ビル2階 オービックホール(大阪府大阪市中央区)
説明者:代表取締役社長 兼 最高執行責任者(COO) 瀬田 大 氏
1. 当社の概要・業績について
・ 私たちユー・エス・エスはオークションを始めてから今年で42年を迎えました。業績面では、おかげさまで上期の4月から9月までの半年間で過去最高益を達成することができました。また、通期の業績予想をこの11月に上方修正しました。
・ 本社は名古屋市の南に隣接する東海市にあります。会社の設立は1980年。オークション事業は1982年にスタートしました。1999年、名古屋証券取引所第二部に上場。翌年2000年12月、東京証券取引所第一部に上場。現在はプライム市場に属し、業種はサービス業に分類されています。証券コードは4732です。
・ 1999年に株式上場してから23年間の売上高及び営業利益の推移について。昨年度の2023年度売上高は976億円、営業利益は489億円。上場以来24年間の平均営業利益率は44%以上維持しています。
高い利益率を実現できるのは、私たちの事業が車を仕入れ、販売する小売サービス業ではないこと。オークションというプラットフォームをお客様に提供し、その対価として手数料をいただくビジネスモデルを展開している点にあります。なお、昨年度の営業利益率は50%を記録しました。
・ 当社の事業は、大きく3つのセグメントに分かれています。最も大きな事業はオークション事業で、売上の7割以上を占めています。営業利益では、連結で489億円のうち474億円、約97%を占めています。車の買取販売事業はラビットブランドで全国に展開。リサイクル事業も行っています。
2. オートオークション事業について
・ 日本の中古車オークション市場は非常に大きなマーケットです。日本国内には、大小合わせ約120のオークション場が存在。昨年2023年のトータルの流通量は約790万台でした。また、トータルの売上高は年間で3.7兆円を超えています。
その中で、私どもユー・エス・エスは4割のシェアを獲得。ユー・エス・エスのお客様は全国に約5万社あり、現在も毎年1,000社の新しい入会があります。
・ ユー・エス・エスは、北海道から九州まで日本全国に、業界最多となる19のオークション会場を展開。あらゆる地域のお客様が参加可能な環境を構築しています。また、関東・中部・近畿の3大マーケットでは、市場シェア40〜50%を占め、地域最大規模の会場を運営しています。
近畿地区は、大阪市西淀川区に大阪会場、兵庫県神戸市には2つの会場を運営。3つの会場で、毎週1万2,000台以上の車両が私どものオークションにかけられています。
・ 約30年間の出品台数のシェアの推移をみると、順調にシェアを伸ばしています。2024年上期はシェア41.1%です。
・ オークションで成約される車両の単価について。ユー・エス・エスには元々コンディションの良い車両や高額な輸入車が集まる傾向があります。これが当社の競争優位性の1つとなっています。その結果、私どもの成約車両単価は他のオークション会場と比べて高く、約60万円の差があります。
・ 今から42年前、第1回ユー・エス・エス名古屋オークションが開かれました。オープン当初はお客さんの前で車を1台ずつ引き回し、3万円、5万円、10万円と手でオークションが行われていました。手作業のオークションでは、1台が成約するのに3分以上かかりました。また、人と人がダイレクトに関わるので、いわゆる忖度が発生。声の大きい、また力の強い業者に優位に働くような不公平なオークション環境でした。
そんな不公平な環境を改善すべく、ユー・エス・エスはどこよりも早くコンピュータ競り機を導入。導入後は、応札や入札価格をデジタルで処理できるようになり、忖度のない公正公平なオークション環境を提供できるようになりました。これが大ヒットとなり、多くのお客様に支持されるオークション場となりました。
・ 第1回のオークションの出品台数は255台でしたが、現在の名古屋会場は毎週金曜日に9,000台以上の車両が集まるオークション場になっています。ここでは10台同時に競りが行われており、1台の成約時間は約20秒。高速で車両取引が行われています。また、名古屋会場は約1万6,000台の車両が収容可能です。
・ オートオークションのビジネスモデルについて。ユー・エス・エスの収益の柱は、会員様からいただく3つの手数料で構成。1台の車がオークションに出品され、成約すると、3つの手数料をいただくことになります。
まず、出品者の方から出品手数料として約8,000円、次に成約した際に成約手数料として約1万円、そして落札者から落札手数料として約1万円をいただきます。つまり、1台が成約すると合計で平均2万8,000円の手数料収入が得られる仕組みです。
このモデルの特徴は、出品台数や成約台数が増えれば増えるほど、安定して売上を伸ばしていけることです。また、私たちのオークションは一般の方にはご参加いただけません。当社の入会基準を事前に満たした会員様だけが参加できる、完全なB to Bのオークションです。会員様は主に国内の新車ディーラー、中古車販売店、それからガリバーのような中古車買取専門店です。業界のプロの方々に支えられているのが、私たちユー・エス・エスのオークションです。
・ 会員の皆様が会社にいながらリアルタイムに現車オークションに参加できるシステムを私どもは外部落札と呼んでいます。このサービスは、インターネット、または専用端末を利用する2つの方法があります。取引車両の全体の半分以上でご利用いただいています。
このサービスは有料で提供。専用端末をご利用の会員様約2,000社から毎月4万円、インターネットをご利用の会員様約3万4,000社から毎月1万2,000円の会費をいただいています。外部落札での落札手数料は、通常手数料の1万円よりも高く設定。このサービスは当社の大きな収入源の1つになっています。
・ ユー・エス・エスでは、創業以来、公正公平なオークション運営に徹底して取り組んでいます。1点目として、熟練した車両検査員による厳正な車両検査体制を導入。検査員は、1台1台、丁寧に事故歴や内外層の傷・へこみなどのコンディションをチェック。この検査制度はオークションでの評価に直結します。そこで品質の維持向上のために、独自の検査員資格制度を導入しています。
2点目としては、積極的にAIを活用した車両細部の可視化など、DXの推進に取り組んでいます。特に人の目で確認しづらい車両の下回りは、専用の画像システムを活用。人が行う車両検査を補っています。画質クオリティが高いこのサービスは、会員様からは高い評価をいただいています。
3. リサイクル事業について
・ 当社のメインビジネスのオートオークションは、車両の流通で、リデュース・リユース・リサイクルの3Rに貢献しています。さらに、子会社のアビヅで自動車の解体をはじめとする総合リサイクル事業を展開。リサイクルの取り組みを推進しています。
・ アビヅは2003年に設立。オークションでは値がつかずにスクラップになる車両があります。アビヅでは、そのような車両を適切に処理し、鉄や非鉄金属、レアメタルなどの再資源化を図っています。
また、小型家電や工場から排出される廃材なども受け入れ、現在では廃プラスチックのリサイクルにも積極的に取り組んでいます。
さらに、独自技術を活用し、自動車の破砕物を省エネ資材として製品化。電炉メーカーへ販売する事業も展開しています。
・ 株式会社SMARTは、SMBC三井住友銀行グループの三井住友ファイナンス&リースの子会社と共同出資し、2019年に設立した会社です。三井住友銀行グループからリースアップ資産やインフラ案件、工場の解体案件などをいただき、解体工事を請け負う事業を展開しています。2026年までに売上高100億円を目指す目標を現在掲げており、今後の成長が楽しみな会社です。
・ 引き続きオートオークション事業をメイン軸にし、安定した収益の確保と持続的な成長を目指します。さらにリサイクル事業の拡大を図ることで、企業全体の成長を一層高めていきたいと考えています。
4. 業績予想について
・ 第2四半期までの業績を反映し、今期の連結業績予想を今月11月に上方修正しました。通期の業績予想は、売上高1,026億円、営業利益529億円、経常利益536億円、当期純利益363億円としました。
・ 2024年度上期の売上高は、前年同期比104%の504億円、営業利益は前年同期比110%の262億円。売上高、営業利益共に前期に引き続き、過去最高を記録しました。
5. 株主還元について
・ 中長期的な成長イメージについて。オートオークション事業では、市場シェア50%を目標に掲げ、収益のさらなる拡大を目指しています。また、リサイクル事業では、サーキュラーエコノミーへの貢献を一層高めながら、こちらも事業の拡大を図っていきます。
・ キャッシュアロケーションの方針について。2024年度から2026年度までの3年間の成長投資を300億円程度とします。また、株主還元として、配当と自己株式取得を合わせた総還元性向を毎期80%以上としました。
・ 1999年からの配当の推移について。当社は、株主還元を最重要課題として取り組んでいます。配当の基本方針は、連結配当性向55%以上。上場以来、24期連続で増配を継続しています。
今期は、業績予想の上方修正に伴い、1株あたりの年間配当を41円20銭から41円60銭に上方修正しています。前期より3.9円増配となり、25期連続増配となります。これからも株主の皆様にたくさん還元できるよう、精一杯努めてまいります。
・ 配当利回りについて。昨日11月29日の終値は1,387円50銭でした。最低投資単価の100株に投資していただくと、取得金額13万8,750円。年間配当額4,160円。これに500円分のクオカードが年2回、1,000円相当分が追加されるので、配当と優待の合計は年間5,160円、利回りは年率3.71%となります。
・ 年2回、株主優待を実施。4つのパターンを用意しています。保有100株以上で500円分のQUOカード。500株以上で2,000円分の商品券。1,000株以上で5,000円相当のグルメカタログギフト、1万株以上で1万円相当のグルメカタロギフトです。
・ 当社は10年前の2014年から「JPX日経400」の組入銘柄に選定されています。
6. 質疑応答
A1. 業績の上方修正のお話がありました。営業利益の修正額が4億円ですが、上期の実績が当初の予想から4億円上振れして実績になっている。そのため、その分が乗っかったように見えます。そうすると下期は、結構慎重に見ていると考えられますが、実際のところはいかがでしょうか。
Q1. 鋭い指摘だと思います。実際に我々は非常に厳しく、保守的に数字を出しています。注目すべきは今後の新車登録の動向です。この下期、新車登録台数が増えれば、上振れする可能性が大いにあります。
下期のスタートは10月で、先月は前年また計画よりも上振れしています。そのため、10〜11月も悪くない手応えがあります。下期のスタートがいいので、期待していただけるのではないかと私は思っています。
Q2. オートオークションの市場全体の成約台数はほぼ横ばいです。それに対して御社を見ると成約台数で9%伸びている。これが業績の向上に繋がっているわけですが、どうして御社だけ好調なのですか。また、今好調でも将来は大丈夫なのかという持続性です。この点も気になっているので、併せてご説明ください。
A2. ユー・エス・エスと他のオークション場を比べると、当社の方が60万円ほど成約単価が高い。その理由として、他の会場よりもコンディションが良くて高額な、いわゆる売れ筋の商品・車両が集まる傾向があります。その傾向がより鮮明になってきたという実感があります。そのため他のオークション場と比べ、台数が伸びていると思われます。
また、このいい流れは今後も続くだろうと思われます。全国に5万社の会員様がおり、ハード面だけでなくソフト面でも会社全体で営業をかけています。成約台数が伸びれば、3つの手数料が入る仕組みがあり、一生懸命に営業していきたいと考えています。
Q3. 米国のトランプ大統領の就任により、今、株式市場でさまざまな影響を織り込む動きが見られます。その辺りについて、御社では円ドルのレートが中古車の輸出に影響することなどがあるのでしょうか。為替だけではなく、実はもっとこういうこともあるという心配事やリスクは正直あるんでしょうか。
A3. 当社にとって為替リスクはないものと思っています。元々、中古車需要は国内・海外共に非常に強い。その中で為替が大きく円高また円安に振れたとしても、国内が買い越すか、また海外が買い越すか、相殺されるような動きになります。私どもは、いずれにしてもオークションで成約すれば手数料収入が増えるビジネスモデルなので、為替変動のリスクは全くないものと考えております。ただ円安傾向で、この数年、海外に輸出される車の台数は非常に伸びています。
Q4. 今後3年間で成長投資に300億円を充てるとのことですが、具体的には横浜や神戸、東京などの会場の建て替えにお使いになられる部分があると思います。これはシェア50%を目指しての戦略だと思いますが、気になるのは、成長投資費用を200億円から100億円引き上げ、300億円とされています。その要因として建築費の高騰もあると思いますが、これが今後も続くと当初の計画よりもますます費用がかかり、どうしようかなということになる可能性はありますか。
A4. 当初、3つの会場の新築や建て替え、コンピュータの入れ替えに200億円程度必要だと見積もりを取ったのですが、特に建築工数がほぼ1.5倍になり、200億円から300億円に上方修正しました。ただ、計画はもう進んでおり、今後も3つの会場の計画変更は全く考えていません。中長期的に見て、300億円の投資が非常にプラスになる効果は十分にみられるので、引き続き新築建て替え計画を続けていく予定です。
Q5. オークションにおいてハイブリッド車やEV車の台数は増えてきていますか。その割合はどれくらいでしょう。さらに業界最大手のオークション企業として、割合や推移、今後について、どう見ていますか。収益を伸ばすチャンスになりますか。
A5. 正式な数字はありませんが、EV車よりもハイブリッド車の出品も多く、また非常に人気があります。成約率が高い車両です。
一方、我々が年間300万台を取り扱う中で、電気自動車の出品比率は0.5%とすごく低い。それは新車のEV車比率がまだ2〜3%弱だからだと思います。EV車に関しては成約率もあまり良くなく、また新車価格に対して非常に値落ちが大きい。ハイブリッド車は日本国内、また海外需要でも非常に人気がありますが、EV車の比率がどんどん上がることもなく、今後数年は全体に対する比率も変わらないと思います。
Q6. 中古車価格も新車価格も上がっていますが、御社の業績への影響はいかがですか。
A6. 私どもの商売は3つの手数料で構成されています。車両単価が上がっても一定のフィックスした手数料をいただいているので、車両単価が上がるよりも、取扱量や出品台数、成約台数を伸ばすことが我々のビジネスの規模になります。
ただ、新車発売やモデルチェンジが行われるたびに新車価格がどんどん上がっています。その影響もあり、私どもの成約単価も毎年上がっています。
Q7. リサイクル事業の中で御社はプラントリサイクルにも取り組んでいる。ここの数字は前回よりも足元はちょっとマイナスになっています。この辺りの要因について、例えばライバルが結構出てきたとか、何か心配しているところはあるんでしょうか。
A7. 全く心配はしていません。プラントリサイクルに関わるSMARTは三井住友ファイナンス&リースとタグを組んで5年前に設立した会社です。非常にうまく立ち上がってきましたが、今期はたまたま、なかなか実力が発揮できませんでした。現在、プラントの解体など、ほぼSMBCグループからの紹介で受注させていただいており、その受注残が40億円以上あります。今一度しっかり体制を整え、収益が出せるようにやっていきたい。今後も三井住友グループのシナジーを最大限活かしながら利益を上げていきたいと考えています。
Q8. 受注残40億円について、今期のプラントリサイクル事業の当初計画に含まれていると思いますが、計画を達成するには十分な数字ということですか。
A8. 工期の長いものあるので、今期はちょっと厳しい。ただ、2026年までに売上100億円を目指そうとSMBCグループともきちんとお話をしています。今までの実績だと営業利益率は大体15〜16%。利益率の高い商売だと思っているので、しっかり売上を上げていきたいと考えています。
Q9. 御社の配当性向は55%。この水準は結構高い方なので、個人投資家に人気があり、「いいんじゃないの」と思う銘柄だと思います。また、御社自身も今日のこの場もそうですが、年間でいろいろな説明会に登場され、個人投資家の皆様にご理解いただこうと熱心にご説明されています。
さらに今年に入って分割もされている。分割すると株価下がるので、個人投資家の皆様も買いやすくなります。このように個人投資家の皆様に向けてあらゆる施策を行われている。 その結果、今年3月で株主数が2万3,000人とかなり増えています。その後もさらに増えているのではないかと思いますが、そうなると、ここまで熱心に続けてきた活動に何か変化が起こるのではないか。個人投資家の皆様が心配している可能性もあると思いますが、その辺りについてはいかがでしょうか。
A9. 今までずっと個人株主様を増やすために活動を行ってきました。この4月に株式を分割し、3月末に2万3,000人ほどの株主数が9月末では4万人ほどになりました。また、政策保有株の一連の動きで、三菱UFJ銀行が持つ株式を10月に売り出し、足元ではもっと増えていると思います。
株主数が増えたその後についてですが、ユー・エス・エスでは配当以外に年に2回、株主優待を行っています。優待の質を下げるとか、その他については全く考えていません。
24期連続で増配していますが、来期も25期連続で増配できるように頑張っています。今後も個人株主様には配当も含め、いろいろとお世話になりながら、きちんと説明をし、もっともっと株主様を増やしたいという考えです。
以上
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