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株式会社アイ・エス・ビー(9702)

開催日:2024年11月30日(土)

場 所:TKPエルガーラホール 8階 大ホール(福岡県福岡市中央区)

説明者:代表取締役社長  若尾 一史 氏

 

はじめに

  • 先週開示したM&Aについて。対象企業は株式会社AMBCで、上流工程のコンサルティング事業を行っている会社です。今後、技術者のスキル向上や顧客基盤の拡大が促進できると考えています。

 

  • ISBについて

 

  • 当社は、1970年に設立されました。上場取引所は東京証券取引所プライム市場、連結子会社は7社、グループ従業員数は約2,500名です。有価証券報告書でのセグメントは2つです。アイ・エス・ビーをはじめ、多くのグループ会社がソフトウエア開発などを行う「情報サービス事業」と、グループ会社の株式会社アートの事業である入退室管理システムを含む「セキュリティシステム事業」です。売り上げの8割相当が情報サービス事業、残りの2割弱がセキュリティシステム事業によるものです。
  • 社名の由来について。1970年、社名をインフォメイション・サービス・ビューローとして設立しました。コンピューター室のオペレーション業務を行っていました。その後、ソフトウエア開発に着手しノウハウを蓄積してきました。当時はまだITという言葉がない時代で、フロンティア企業として1986年にアルファベットの頭文字を取り、片仮名でアイ・エス・ビーとしました。
  • 1970年に創業し、運用管理や保守業務をスタートしました。1990年に、株式を店頭公開しました。1999年には、売上高100億円を超えました。2015年に、東証一部に上場することができました。2019年には、売上高200億円を超えました。2022年4月に市場再編があり、東証プライム市場に移行しました。2023年度には、売上高320億円を超えるまでに成長しました。
  • 1990年頃の携帯電話の成長期に、当社は第3世代移動通信システム(3G)の開発に携わりました。これが売上高100億円を突破したキーポイントとなった仕事です。当時は国内メーカーから1年に4モデルが出され、その4モデルの開発も行っていました。現在、第5世代(5G)の開発に取り組んでいます。
  • 2017年度、セキュリティシステム事業のアート社をM&Aをしました。2019年には、システム会社である株式会社テイクスと資本提携を結びました。それらが現在の成長につながっています。
  • 当社の主な拠点は、東京、神奈川、千葉の首都圏に加え、名古屋、大阪と三大都市圏にあります。7つのグループ会社があり、アート社がセキュリティシステム事業、他のグループ6社は当社と同じ情報サービス事業等を行っています。北海道札幌市には、株式会社スリーエスがあります。当社と4つのグループ会社(株式会社エス・エム・シー、アート社、テイクス社、ノックスデータ株式会社)が東京に本社を置いています。九州の福岡市にコンピュータハウス株式会社があり、グループで全国を網羅しています。ベトナムホーチミン市に、ISB VIETNAM COMPANY LIMITEDを置き、グローバル展開をしています。

 

2IT市場の動向・当社の事業

  • ソフトウエア調査専門企業であるIDC Japanは、国内ソフトウエア市場は2023年から2028年までの6年間で、毎年平均9.4%ずつ成長し、4年後の2028年には7兆3,000億円を超える規模に達すると予測しています。デジタルシフトが急速に進むと予想されています。最近では、生成AIやAI活用、サイバーセキュリティ対策などのソフトウエア投資が堅調に伸びています。当社の事業領域となるソフトウエア市場は、今後も持続的に成長する傾向となっています。
  • 当社はSIer(エスアイヤー)と呼ばれる企業です。IT業界の専門用語であるSIerとは、システム開発や運用などを請け負う企業のことで、システムインテグレーターとも呼ばれています。その語源となる言葉が、SI(System Integration:システムインテグレーション)です。
  • 当社の商流について。当社の主な業務は元請け、一次請け、二次請けと上流工程である「マネジメント寄り」の業務内容です。お客さまとの接点となる営業から始まり、お客さまのニーズを伺いシステム要件定義を行います。機能を決める基本設計からプロジェクト進捗(しんちょく)管理までを行います。グループ会社はその下の二次請けや三次請けを担います。これらは下流工程の「テクニカル寄り」の業務になります。詳細設計やプログラミングを行います。 このように当社のグループで上流工程から下流工程まで一貫して、ワンストップで業務を担っています。上流になればなるほど、マネジメント寄りになればなるほど、利益は高くなりますがその分、比例してリスクも大きくなります。グループ全体で最適化を目指し、技術者が持つ管理能力や技術力に見合ったバランスの良い案件を受注して、リスクを抑えながらも着実に利益を上げられるよう取り組んでいます。

 

3.当社の強み・事業の内容

  • 当社には3つの強みがあります。1つ目は「幅広い事業領域」です。さまざまな業種のお客さまの課題を解決します。2つ目は「ワンストップサービス」です。当社グループで一貫して案件の対応をすることができます。最後が「ITエンジニア集団」です。グループで2,000名以上を抱えるエンジニア集団です。
  • @幅広い事業領域。当社で開発したソフトウエアは幅広い事業領域で、さまざまな製品に搭載されています。モビリティは、自動車メーター制御や車載システム、基幹システム・アプリ開発では、企業内の業務系システム、銀行・証券・保険などの金融分野では、証券系Webシステムを構築しています。病院・薬局・ヘルスケアなど医療分野では、MRI等画像システムを開発しています。通信基地局では、スマートフォンのセキュリティやモバイル通信システムを構築しています。このように、安全・快適・便利な社会を、システム開発で支えています。
  • Aワンストップサービス。当社の一般的なシステム開発は、コンサルティングから運用サポートまでをワンストップで提供します。コンサルティングでは課題を共有して解決策を提案します。アプリケーション開発では、ソフトウエアの開発を行います。インフラ構築では、コンピューターやネットワークの環境設定をします。導入支援を行い、その後の運用保守を行います。このように当社のワンストップサービスは、複数の会社で開発を請け負う他社事例と比較すると、きめ細かいサービスをお客さまに提供することができます。これが大きな強みとなっています。
  • BITエンジニア集団。着実にエンジニア数を増やしています。2020年度と比較して、2024年度のエンジニア数は20%増となり、2,000人を超えました。人数を増やすだけでなく、一定の水準以上のスキルを有するITエンジニア集団とすべく、グループ全体で採用と教育に取り組んでいます。今年度からスタートした中期経営計画では、人事戦略を第一の重点戦略と考えています。その中でも、エンジニアの採用と教育に向けた成長投資は、さらなる成長に必要不可欠として実施しています。
  • 人材の確保において、高等専門学校の新卒採用は計画どおり順調に進んでいます。「2023年春入社国立高専生の就職先ランキング」では、全産業中36位でした。先日、日本経済新聞で発表された2024年度のランキングでは、20位にランクインしました。高専生から高い評価をいただいています。
  • 当社グループは事業領域を4つに分けて取り組んでいます。モビリティソリューションは、自動車や通信、携帯端末のシステム開発を行っています。ビジネスインダストリーソリューションは、業務システムや産業機器、医療のソフトウエア開発を行っています。エンタープライズソリューションは、官公庁・自治体や金融・証券、ITインフラのシステム開発を行っています。プロダクトソリューションは、情報サービス事業の他、セキュリティシステム事業も含みます。その代表例として、自社製品の入退室管理を提供しています。

【情報サービス事業の事例】

  • 自動車の事例です。車載システムを開発し、安全な運転環境を提供しました。工学系では日本最大の学術団体「公益社団法人 自動車技術会」が主催する、第73回自動車技術会賞で、当社の技術者が論文賞を受賞しました。これはトヨタ自動車の技術者の皆さまとともに研究を行いました。論文では、一般道で歩行者の横断や飛び出しなど運転の状況に応じたリスクのポテンシャルを先読みすることで、危険を回避するために緩やかなステアリングやブレーキなど運転操作を支援する技術を発表しました。この論文に記載されている技術は既に製品化され、数多くの車に搭載され安全をサポートしています。
  • 医療分野のDX推進の事例です。オンラインで服薬指導を行い、薬を配送することで、患者が薬局に行かなくても済むようになるシステムを開発しました。また、薬局での調剤の過誤を防ぐためのシステムも開発しました。患者側と薬局側ともに、このシステムで効率化を提供しています。
  • 業務システムの事例です。日本全国で接客型プリントサービスの店舗を運営されているキンコーズ・ジャパン様の業務について、最初のヒアリングできめ細かくニーズを吸い上げ、課題解決策の提案をしました。当社のパートナー企業と共同で、接客業務支援機能を搭載したPOSシステム(レジ)を開発しました。買い物やレジ業務だけでなく、商品数が増え複雑化するPOS業務の生産性の向上や、他システムとの連携も行い、お客さまのサービス向上に貢献しています。
  • 地元密着型企業の業務管理システムの事例です。介護・福祉・セレモニーなどを提供する株式会社愛和様に、ローコード開発プラットフォームを利用した、業務管理システムを提供しました。ローコードとは、プログラミングの深い知識がなくても、アプリケーション開発が可能となる先進的な技術です。アプリケーション開発を素早く行い、かつ柔軟に作り変えることができる特徴があります。当社の業界では今後、人手不足の解消にローコードやノーコードが重要になってきます。本システムの提供により、従来手作業で行っていた配車管理や、日報作業をオンラインで可能となり、大幅な作業効率の改善につながりました。また、管理面では、これまで日報と照合して作成した請求書が、請求書と日報の連携をしたことで、業務改善もできました。
  • 金融・証券分野のITソリューションの事例です。当社は30年来、大和証券グループと取引をしています。当社の店頭公開した時期に取引が始まりました。ホストコンピューター時代の基幹システムの構築からクラウド対応が進む現在も、株式の売買などさまざまな商品に対応するシステム構築を支援し続けています。最近のトピックスとして、証券コードの変更や、新NISA対応、東京証券取引所の売買システムであるアローヘッドの更新対応も実施しました。

【プロダクトソリューション事業の事例】

  • セキュリティシステム事業では、公共施設やオフィスビルに向けて顔認証システムや入退室管理システムを提供しています。
  • 入退室管理システムは、建物の入り口に設置したリーダーを通じて、個人を特定し、入室の許可や記録を管理します。これにより、セキュリティが向上します。また、これまで警備員が必要であった建物でも、省力化でき経費も抑制できます。さらに、外部への機密情報の漏えいも防ぐことができます。 電気錠制御盤システムは、建物の扉をまとめて管理をするものです。テンキーや顔認証で電気錠の解錠やその状態の確認ができます。火災発生など緊急時には、扉の一斉解除も可能です。このように企業のセーフティやセキュリティ対策、経費削減に貢献しています。
  • クラウド型入退室管理の事例です。大和証券グループのITシンクタンク機能を担う大和総研様のオフィスに、AI顔認証の技術を利用したクラウド型入退室管理サービスを導入しました。スピード認証により、立ち止まらずにスムーズな入退室が実現しました。カード紛失や、カード忘れなど不携帯へのサポート業務が無くなりました。生産性向上や業務効率化、経費削減、なりすまし防止等セキュリティ強化にも貢献しています。また、他システムと連携する入退室ログはクラウド内で管理し、管理業務を効率化しました。
  • リカーリング製品の売上高は、モバイル端末管理「FiT SDM」、クラウド型入退室管理「ALLIGATE」、就業履歴を記録する建設現場用カードリーダー「Easy Pass」で構成されています。この3製品は、3カ年で毎期30%前後の伸び率で着実に成長し、収益に貢献しています。リカーリング製品は今後も注力する方針です。

 

4.中期経営計画

  • ISBグループ社員のよりどころでもあり、中期経営計画2026の策定の源でもあるグループの企業理念体系について。企業理念は「夢を持って夢に挑戦」です。これは創業者の言葉で、社員一人一人が夢や希望を持って、常に挑む精神で取り組むことを目標としています。ミッションは、「私たちアイ・エス・ビーグループは卓越した技術と魅力ある製品・サービスで心豊かに暮らす笑顔溢れる社会づくりに貢献をします。」です。お客さまに選ばれ、社会に必要とされ続けるために、ビジョンにありますように、ITで新たな価値を創造して、100年200年、そして永続する企業を目指すものです。
  • 過去6年間、既存事業の強みを最大限に生かして、売上高と営業利益を毎期、伸ばし続け、安定した成長を実現してきました。この期間は、事業基盤を確固たるものにするフェーズでした。業績は成長しましたが、一方で重要な課題も明らかになりました。1つは人材面です。技術者の確保や技術力向上、従業員満足度の向上が課題です。もう一つのマネジメント面では、プロジェクトの管理や、効率的な組織運営が課題に挙がりました。これらの課題をしっかり克服することが、さらなる飛躍のためには不可欠だと考えています。 今回の中計は、これらの課題に真摯(しんし)に向き合い、解決策を取り組むことで、未来を切り開くための基盤を構築する計画です。持続的成長への変革のため、将来への種まきである成長投資を積極的に進め、成長の基盤づくりに取り組みます。そして、売上高が500億円や1,000億円規模に、そして永続する企業にしたいと考え、目指したいと思っています。
  • 本中計の最終年度である2026年12月のグループ目標は、売上高が375億円、営業利益が27億円です。この目標を達成するために、またその先の将来に向けた持続的な成長のために、3カ年累計で人的投資やIT投資として37億円の成長投資を計画しています。そのうち、今期は9億円の計画です。
  • 中計の実現に向けて、3つの重点戦略を掲げています。1つ目は人事戦略で、最重要戦略と認識しています。働き方改革の推進とワークライフバランスを実現し、社員の働きやすさを向上させる施策に取り組みます。制度面では昇給・昇格の処遇改善や教育制度を充実させます。働く環境の改善として、来年5月、本社を今の五反田から品川駅前に移転します。また、東京、神奈川、千葉の首都圏の事業所も品川に集約します。これらを通じて、社員のエンゲージメントを向上し、持続可能な成長が可能となる基盤を構築します。 2つ目は情報サービス事業戦略です。グループ全体のシナジーを最大限に生かし、高収益と多角的成長を目指します。グループ間のシナジーを発揮すべく、各グループ会社の得意分野と、地域ごとの特性を生かす他、協力会社との協業により、付加価値の高いサービスの提供や、自社プロダクトによる多角的な成長を目指します。 3つ目はセキュリティシステム事業戦略です。グループ会社のアート社が取り組む収益性の向上と新たなビジネスモデルの構築を目指します。既存事業の業務効率化や品質向上を通じて、収益性を強化します。また、リカーリングビジネスへの注力により、継続的な収益を生む安定的な事業成長を実現します。
  • 本中計の先に目指す売上高500億円、1,000億円と成長するためのプロセスとして、取り組む定性的なメッセージ集です。現在は定量的な事業計画を策定中です。将来のアイ・エス・ビーグループのイメージを皆さまと共有して、その実現をより確かなものにするために策定しています。これら一つ一つのメッセージを着実に実行できれば、必ず目標に達するとともに、そこからさらに成長を重ねて、永続する企業を目指せるものと考えています。

 

5.業績・配当予想

  • 2024年12月期第3四半期の累計の連結業績は、8期連続の増収増益となりました。創業以来の最高業績を更新しています。売上高は250億円で前年同期比104%、通期予想に対する第3クオーターの進捗率は74%です。営業利益は21億円で前年同期比103%、第3クオーターの進捗率は87%となりました。中期経営計画の施策の取り組みが一定程度効果を発揮して、収益性の向上に寄与することができました。2024年通期予想は、売上高を337億円、営業利益を24.7億円としています。
  • 連結損益は、前期まで増収増益となり、通算では8期連続の増収、7期連続の増益となりました。収益面では受託案件の高付加価値化、高採算のプライム案件の獲得、リカーリングビジネスの伸長がありました。営業利益率は8.4%と前期比で0.4ポイント改善しました。長期トレンドでも技術力の向上やプライム案件の獲得、生産性向上に寄与した結果、この3カ年で1.7ポイント向上しました。
  • 配当性向は30%以上の安定配当を目標としています。現時点で2024年12月期の配当は、1株当たり46円を予定しています。株主の皆さまへの還元は配当を重視しています。成長のための事業投資や財務健全性を維持できる範囲内で、可能な限り安定した配当を行うことを最重要と考えています。
  • 過去12年間、配当性向30%、配当額20円以上の実績を継続しています。2015年は配当性向100%近い水準でした。株主さまへの還元方針は、配当性向30%以上の安定した配当です。今期の配当予想は現時点で、配当性向30%以上、1株当たり46円の予定です。

 

6.質疑応答

Q1. 株式会社AMBCの株式取得に関して、同社との今後のシナジー効果や将来的なビジネスの可能性について教えてください。

A1. 先日発表した買収したばかりのAMBC社は大きな規模の会社ではありませんが、当社グループには無い技術とスキルを有したエンジニアがいます。また、当社が今後強みとしたい上流工程にも強い会社で、具体的には基幹システム開発の上流工程を行っています。当社でも基幹システムを手掛けており、その上流工程が強みになることでエンタープライズ領域を強化でき、成長のシナジーが生まれると考えています。今後、戦略を練り強化し大きく成長したいと考えています。

 

Q2. 直近の業績について、2024年期第3クオーターの利益が大きく上振れているにもかかわらず、通期計画を据え置いている理由を教えてください。見通しに懸念やリスクがあるのでしょうか。

A2. 先行きの不透明感もありますが、今回の成長投資が大きな要因です。今期も約9億円の成長投資を行っています。その効果をしっかり見極めるためにも、通期計画の数字を据え置いています。また、今後懸念するリスクは、昨今からある人手不足です。これは社会的な現象にもなっています。当社グループも要員を確保するための人材は必要で、人手不足は他人事ではなく大きく影響する場合があります。人材確保がしっかりできない場合は、案件獲得が困難になるというリスクがあります。そのためにも、中途採用やエンジニア増強に力を入れています。

 

以上

 

 

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